説明

グリホサート除草剤用の貯蔵および輸送システム

【課題】イソプロピルアンモニウム塩形態のグリホサートを同じ重量で保持するコンテナの容量よりも、よりも小さく、かかるよりも小さいコンテナを、多数、所定の閉鎖容量で輸送でき、これにより、より大きい重量のグリホサートを単一の運送で輸送することができる貯蔵および輸送システムの提供。
【解決手段】コンテナを含んでなる、グリホサート除草剤用の貯蔵および輸送システムであって、当該コンテナは、容量約0.1〜約100,000 Lまたはそれ以上を有し、かつ、グリホサートの水溶液によって実質的に満たされており、グリホサートは、主としてカリウム塩もしくはモノエタノールアンモニウム塩の形態またはカリウム塩とモノエタノールアミン塩との混合物の形態を有し、上記水溶液のグリホサート酸当量濃度は、少なくとも約30重量%であることを特徴とするシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬の貯蔵および輸送システムに関する。特に、本発明は、除草剤グリホサート(glycosate)の倉庫保管および輸送に有用な製造物品に関する。
【背景技術】
【0002】
農業は、この産業において使用される製品の供給者に多くの補給輸送上の問題を提起し、これらの問題は、農業に特殊であり、他の大部分の産業におけるより少なくともより深刻である。農業における個々の生産単位(本明細書においてそのような単位は、それらが従来の農家のイメージに合うかどうかに関係なく「農家」と呼ぶ)は、他のどの産業におけるより数が多く、地理的に分散し、北アメリカおよび西ヨーロッパのような高度先進国においてさえ、主要輸送幹線から比較的離れている場合が多い。これらの理由から、国内および国外の両方における輸送コストが、この産業におけるかなりの負担であり、これらのコストを減少させる輸送効率の向上が常に求められている。
【0003】
農業に必要とされる製品の配給チャンネルは、地理的分散および多数の農家に対処しようとしてきた。ある場合において、製品を製造地から個々の農家へ直接に輸送するが、これは珍しく、経済的に大農家だけに可能である。一般に、配給チャンネルにおいて最初の供給者と農家ゲートの間に少なくとも1つ、多くの場合1つ以上の段階が存在する。例えば、農家で使用される製品の製造者は、卸配給会社に供給し、当該卸配給会社が小売業者または農業共同組合に供給し、次にそれらが個々の農家に供給する。従って、配給会社、小売業者、および共同組合がそのような製品の在庫を維持し、在庫コストが発生し、最終的に農家によって負担されるコストが増加する。従って、コスト削減のためにも貯蔵効率の向上が求められる。
【0004】
意図する製品が農薬、例えば除草剤の場合、向上した輸送および貯蔵効率によって得られる利益は特に大きい。農薬製品は一般に、種子および肥料のような他の多くの製品に使用されるコンテナ(container, 容器)よって、容量単位当たりのコストが高いコンテナで輸送し貯蔵しなければならない。大部分の農薬は、その価格/容量の高い比率から生じるコンテナ保全性の重要性、および多くの農薬がこぼれたり漏れたりした場合に有害である可能性を有する故に、コストの高いコンテナが使用される。
【0005】
従って、一般に、最終使用者による取扱やすさを犠牲にせず、できるだけ濃縮するかまたはコンパクトな形態で農薬を貯蔵し輸送し、最終使用者はほとんど場合、農作物、雑草、または土壌に農薬を適用する前に、農薬を水または他の担体で稀釈しなければならない。所定容量のコンテナに入れることができる農薬有効成分の量が多いほど、活性成分の単位当たり、およびその有効成分で最終的に処理される土地の単位面積当たりの、輸送および貯蔵コストが低くなる。従来技術では、貯蔵コンテナにおける農薬の充填率に関し、上限が設けられており、除草剤グリホサート(N-ホスホノメチルグリシン)の場合は、その輸送について詳しく説明されている。
【0006】
グリホサートは、「世界市場で最もよく販売されている農薬」であり、推定年間製造量93,420〜114,180トンである(Woold Mackenzie Agrochemical Service, Agrochemicals Product Databasc, 1998)。事実上、全ての農業生産システム、ならびに林業、工業、地方自治、住宅、公道用地、施設および他の用途において、好ましくない植物の抑制に、グリホサートを使用することができる。グリホサートは、水に比較的不溶性の酸である(25℃において1.16重量%)。この理由から、グリホサートは一般に水溶液中の水溶性塩として処方される。
【0007】
グリホサートは、一塩基性、二塩基性、および三塩基性の塩として、製造することができる。しかし、一塩基性の塩としてグリホサートを処方し、植物に適用するのが一般に好ましい。最も広く使用されているグリホサートの塩は、モノ(イソプロピルアンモニウム)であり、IPA塩と略される場合が多い。有効成分としてグリホサートのIPA塩を含有するMonsanto Companyによって市販されている除草剤は、Roundup(登録商標)、Roundup(登録商標)Ultra、Roundup(登録商標)Xtra、およびRodeo(登録商標)除草剤を包含する。そのような全ての市販製品は、グリホサートIPA塩の濃厚水溶液の形態であり、ほとんどの場合、不活性配合成分、主として界面活性剤が使用される。濃厚水溶液として工業的に処方されている他のグリホサート塩は、例えばZenecaのTouchdown(登録商標)除草剤に使用されている、TMS塩と略されることが多いモノ(トリメチルスルホニウム)を包含する。
【0008】
グリホサート除草剤の世界市場の多様性が、コンテナの種類および大きさにおける対応する多様性、ならびに多くのより複雑な貯蔵および輸送システムに導いている。そのような組成物の貯蔵および輸送に使用されるコンテナは一般に、高密度ポリエチレン(HDPE)のような耐久性プラスチックで製造されるが、大容量タンクは、ステンレス鋼のような他の材料で製造される場合が多い。
【0009】
米国で広く使用されている標準2.5ガロン(9.46リットル)コンテナを包含する約0.1リットル〜約10リットルの容量の小さいコンテナは一般に、着脱自在なネジ蓋付きのジャグ(jug)またはフラスコの形態である。それらは一般に使い捨て用にデザインされ、空になった際に一般に販売者に戻されず、現地の農業化学コンテナ廃棄ガイドライン、規則、規制、または法律に従って最終使用者によって廃棄される。一般に、複数のこれらの小さいコンテナが1つの箱に梱包され、複数のそのような箱がパレットで輸送される。輸送の際に、小さいコンテナ(一般にパレット上の箱の中)を、鉄道有蓋車または道路トラック、船または航空機の貨物室、または道路、鉄道、および水上輸送に適合させたモジュールボックスコンテナのような閉鎖容量中に配置することができる。
【0010】
最大約200リットル、例えば約50リットル〜約200リットルの容量の大きい使い捨てのコンテナは、一般にドラムの形態であり、1個のパレットにつき1個またはそれ以上のドラムを載せるか、またはパレットに載せずに、前記の閉鎖容量において輸送することができる。
【0011】
一般に液体を移せるようにする一体型ポンプまたは外部ポンプ用コネクターを有する大型の再充填可能コンテナ(シャトル)によって、より大容量の液体水性グリホサート製品が最終使用者に販売されている。シャトルは、約200リットル〜約2000リットルの容量を有し、一般にパレットに載せて輸送される。
【0012】
液体水性グリホサート製品は、最大約100,000リットルの容量を有する大型タンクによっても大量に輸送される。卸売業者、小売業者、または共同組合によって操作される施設において、当該液体が一般にポンプ輸送によって貯蔵タンクに移され、そこから次への配給のためにシャトルまたは小さいコンテナにさらに移すことができる。界面活性剤のような追加成分を含有する配合除草剤組成物の原料として使用される濃厚グリホサート塩溶液についても、バルク輸送を使用することができる。
【0013】
道路、鉄道、および水上輸送に適合させたモジュールバルク(modular bulk)輸送タンクは一般に約15,000リットル〜約20,000リットルの容量を有する。道路輸送用のタンクローリーは一般に約20,000リットル〜約25,000リットルの容量を有する。貨車タンクは一般に約75,000リットル〜約90,000リットルの容量を有する。
【0014】
前記に例として説明した全ての貯蔵および輸送コンテナは制限容量を有する。さらに、コンテナが閉鎖容量によって輸送されるかまたは貯蔵される場合に、閉鎖容量も制限容量を有する。
【0015】
大部分の輸送形式の貯蔵および輸送コストは、主として容量に関係し、従って、利用しうる容量または容量へのグリホサートのよりコンパクトな充填を可能にするシステムは、貯蔵されるかまたは輸送されるグリホサートの単位当たりのそのようなコストをかなり減少させることができる。そのようなシステムの他の利点は、廃棄するコンテナが少ないという最終使用者に対する便宜およびコスト節減、その結果としての環境的利益、シャトルまたは貯蔵タンクの再充填の回数の減少、および本明細書における開示から明らかな他の利点を包含する。
【0016】
グリホサートの種々の塩、グリホサートの塩の製造法、グリホサートまたはその塩の配合、ならびに雑草および他の植物の除草および抑制におけるグリホサートまたはその塩の使用法が、Bakelの米国特許第4,507,250号、Prisbyllaの米国特許第4,481,026号、Franzの米国特許第4,405,531号、Largeの米国特許第4,315,765号、Prillの米国特許第4,140,513号、Franzの米国特許第3,977,860号、Franzの米国特許第3,853,530号、およびFranzの米国特許第3,799,758号に開示されている。
【0017】
グリホサートIPA塩に関し、水溶液として有利に貯蔵され輸送される最も高い濃度は、約62重量%である。IPA塩の溶解度の限度は、これよりも少しだけ高い。除草剤として活性を示すものは、IPA成分ではなくむしろグリホサートであるため、濃度は、グリホサート酸当量(a.e., acid equivalent)として表すのが最も有用である。62重量%のグリホサートIPA塩溶液は、約46重量%のグリホサートa.e.を含有する。この濃度においてさえ、低温で長時間貯蔵した際、グリホサート塩の結晶化の問題、並びに特に低温での高粘度溶液による流動化(注入/排出、pouring)および/またはポンプ輸送(pumping)が困難であることの問題を含め、種々の問題が生じる。
【0018】
ほとんどのグリホサート塩は、62重量%よりもかなり高い濃度における貯蔵および輸送を可能にするのに充分に水溶性ではない。TMS塩は、高溶解性であり、ある場合においては有用であるが、全ての適用においてIPA塩に取って代わることはできない。
【0019】
IPAよりもかなり低い分子量を有するアンモニウムイオンのようなグリホサートの対イオンを選択することによって、よりも高いグリホサートa.e.濃度が可能であると考えられる。例えば、36重量%の塩濃度において、グリホサートアンモニウム塩溶液は、約33a.e.重量%を含有し、一方、グリホサートIPA塩溶液は、約27a.e.重量%を含有するにすぎない。残念なことに、水におけるグリホサートアンモニウム塩の溶解性は、IPA塩の溶解性よりもかなり低く、従って、例えば40a.e.重量%またはそれ以上の高濃厚溶液において、この明白な利点を利用することができない。
【0020】
本発明によれば、上記課題は、グリホサートを乾燥塩として製造することによって解決できることを見出した。IPAおよびTMS塩を包含する多くのグリホサート塩は、乾燥形態に製造するのが難しくコストがかかるが、アンモニウムおよびナトリウム塩は、これを行いやすい。例えば、約95重量%のグリホサートアンモニウム塩を含有するグリホサートアンモニウム塩の乾燥水溶性粉末または粒状組成物は、商業規模で製造することができ、そのような組成物は、約86重量%のグリホサートa.e.含有量を有する。これは、一見したところでは、より多くのグリホサートa.e.を所定容量のコンテナに充填するという課題に対する優れた解決策を与えるように思われる。しかし、遺憾なことに、そのような粉末または粒状組成物の嵩密度は、むしろ低く、従って、予想されるほどその利益は、大きくない。さらに、多くの最終使用者および多くの配給業者は、取扱いにおける融通性の故に液体組成物を好み、従って、液体形態のグリホサート塩のよりコンパクトな貯蔵および輸送システムが求められている。
【0021】
文献において既知であるが商業的に使用されないグリホサートの水溶性塩は、カリウム塩およびモノエタノールアンモニウム(MEA)塩を包含する。これらの塩は、例えば前記に引用したFranzの米国特許第4,405,531号において、除草剤として有効な極めて多くのグリホサートの塩に包含されるものとして開示されている。
【0022】
ほとんどの除草剤は、それらのカリウムまたはMEA塩として市販されていない。Pesticide Manual、第11版、1997年は、カリウム塩として、オーキシン型除草剤2,4−DB((2,4−ジクロロフェノキシ)ブタン酸)、ジカンバ(3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸)、ジクロルプロプ(2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロパン酸)およびMCPA((4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸)、ならびにピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジンカルボン酸)、DowElancoによって商品名Tordon(登録商標)として市販されているある種の除草剤の有効成分を記載している。クロピラリド(3,6−ジクロロ−2−ピリジンカルボン酸)は、DowElancoによって商品名Lontrel(登録商標)として市販されているある種の除草剤において、そのMEA塩として配合される。
【0023】
グリホサートカリウム塩は、208の分子量を有する。グリホサートMEA塩は230の分子量を有し、グリホサートIPA塩(228)の分子量に極めて似ている。
【0024】
グリホサートのカリウムおよびMEA塩の水への溶解性は、先行文献に記載されていないと考えられるが、当業者に既知の方法によって簡単に求めることができる。同様に、約40重量%よりも高い濃度のこれらの塩の水溶液は、特に報告されていないと考えられ、従って、そのような溶液の普通でないかまたは予期されない特性は、知られていない。本明細書において重量%で示される濃度は、溶液100重量部当たり、塩または酸当量(acid equivalent)の重量部である。
【0025】
本発明によれば、グリホサートカリウム塩は、20℃の純水において約54%の溶解度、即ち約44重量%のグリホサート酸当量(a.e.)を有することが分かった。さらに、グリホサートMEA塩は、20℃の純水において、溶液の約64重量%の溶解度、即ち、約47重量%のグリホサートa.e.(グリホサート約47a.e.重量%)を有することが分かった。MEA塩の溶解度は、IPA塩の溶解度に極めて似ている。従って、Monsanto Companyによって商品名MON 0139として市販されている水溶液濃縮物のように、グリホサートIPA塩を使用して市販されているものと比較して、グリホサートMEA塩単独の水溶液濃縮物は、例えば46a.e.重量%の濃度で簡単に得ることができる。
【0026】
前記したように、グリホサート塩のコンパクト貯蔵および輸送システムが好ましいが、農業経済学的に有効な量の1種類またはそれ以上の界面活性剤を含有するグリホサート塩のコンパクト貯蔵および輸送システムも好ましい。
【0027】
「農業経済的に有効な量」という語句は、界面活性剤の不存在において適用されるグリホサート塩と比較して向上した除草剤有効性に利益をもたらすのに充分な界面活性剤の量を意味する。使用者によってさらに界面活性剤を添加する必要がなく、1種類またはそれ以上の重要な雑草種において、Roundup(登録商標)除草剤のような現在市販されているグリホサートIPA塩組成物の除草剤有効性に少なくとも匹敵する除草剤有効性を与えるのに充分な量の1種類またはそれ以上の界面活性剤を含有するグリホサート塩のコンパクト貯蔵および輸送システムが特に好ましい。
【0028】
コンパクトな貯蔵および輸送システムの一部を構成するグリホサート組成物は、貯蔵安定性を示す必要がある。グリホサート塩の濃厚水溶液に関する「貯蔵安定性」という用語は、約0℃以上の温度に約7日までの期間にわたって暴露した際、グリホサートまたはその塩の結晶を形成しないことを意味する。理想的には、組成物が、グリホサート塩の種結晶の存在においてさえ、結晶を形成せずに約−10℃以上の温度に最大約7日間にわたって耐えることができなければならない。グリホサート組成物が界面活性剤も含有する場合に、約50℃またはそれ以下の温度、理想的には約60℃またはそれ以下の温度で組成物が相分離を示さない貯蔵安定性が、最小限、必要とされる。好ましくは、そのような界面活性剤含有組成物が、結晶を形成せずに約0℃以上の温度で約7日までの期間、耐えることもできるのが好ましい。
【0029】
特定の界面活性剤濃度およびグリホサートa.e.濃度のグリホサート塩に関し、「相溶性」であると本明細書に記載される界面活性剤は、特定濃度でその界面活性剤および塩を含有する前記に規定した貯蔵安定性組成物を与える界面活性剤である。
【0030】
液体除草剤の使用者は、一般に重量ではなく容量で投与量を計量し、そのような組成物は、一般に、単位面積当たりの容量、例えば1ヘクタール当たりのリットル(l/ha)または1エーカー当たりの液体オンス(oz/acrc)で示される好適な使用量についての指示がラベルに記載されている。従って、使用者にとって重要な除草剤有効成分の濃度は、重量%ではなく、単位容量当たりの重量、例えば、1リットル当たりのグラム( g/L)または1ガロン当たりのポンド(lb/gal)である。グリホサート塩の場合は、1リットル当たりの酸当量のグラム(g a.e./L)(g a.e./l)として濃度を示す場合が多い。
【0031】
歴史的に見て、Monsanto CompanyのRoundup(登録商標)およびRoundup(登録商標)Ultra除草剤のような界面活性剤含有グリホサートIPA塩組成物は、約360g a.e./Lのグリホサート濃度で処方されのるが最も一般的である。Zenecaの界面活性剤含有グリホサートTMS塩組成物Touchdown(登録商標)は、約330g a.e./Lのグリホサート濃度で処方されている。より低いa.e.濃度、即ちより稀釈された組成物も市販されているが、それらが含有するグリホサート1単位当たりのコストが高く、主として梱包、輸送、および貯蔵コストに反映される。
【0032】
コンパクト貯蔵および輸送システムの一部を構成し、農業経済的に有効な量の界面活性剤を含有するグリホサート塩の濃厚水溶液を、360g a.e./Lよりも顕著に高い、例えば、約420g a.e./Lまたはそれ以上、または約480gb a.e./Lまたはそれ以上のグリホサート濃度で得られる場合に、コスト節減および使用者への利便性においてさらに利益が得られる。そのようなコンパクト貯蔵および輸送システムが、低温においてさえ、濃厚溶液の容易な流動化および/またはポンプ輸送を可能にする場合に、特に有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、グリホサートのカリウム塩およびMEA塩の濃厚水溶液に関し、これまでに知られていない意外な特性、即ち、同じグリホサートa.e.濃度において、IPA塩を包含する他の大部分の農業経済的に有効なグリホサート塩の水溶液と比較して、そのような溶液が極めて高い比重を有するという特性を利用している。従って、所定の重量%濃度において、グリホサートカリウム塩またはMEA塩の水溶液が、グリホサートIPA塩の対応する組成物と比較して、組成物の単位容量に対してより多い重量の有効成分を含有する。これが、図1においてMEA塩に関して示されている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
従って、本発明の1つの実施態様において、主としてカリウム塩およびモノエタノールアンモニウム塩の1つまたは混合物の形態のグリホサートの水溶液であって、その水溶液が(約30重量%)〜(存在するグリホサート塩または塩の混合物の溶解度によって決まる最大重量%)のグリホサート酸当量濃度を有する水溶液を、実質的に充填した約0.1リットル〜約100,000リットルまたはそれ以上の容量を有するコンテナを含んでなるグリホサート除草剤の貯蔵および輸送システムを提供する。グリホサートが主としてモノエタノールアンモニウム塩の形態であり、その溶液が、約30〜約48重量%、より好ましくは約40〜約48重量%のグリホサート酸当量濃度を有するのが好ましい。
【0035】
図2に示されるように、そのような貯蔵および輸送システムは、グリホサート塩溶液の比較的高い比重の故に、同じグリホサート酸当量重量濃度のグリホサートのイソプロピルアンモニウム塩の水溶液を実質的に充填した同じコンテナを含んでなるシステムよりも多い重量のグリホサート酸当量を有する。
【0036】
また、図3に示すように、そのような貯蔵および輸送システムのコンテナは、イソプロピルアンモニウム塩の形態でグリホサート酸当量の同重量を含有するコンテナよりも小さくすることができる。さらに、図4に示すように、より多い数のそのような小さいコンテナを所定の閉鎖容量に入れて輸送することができ、それによって、一回の発送で、より多い重量のグリホサート酸当量の輸送をすることができる。
【0037】
関連する本発明の実施態様において、主としてカリウム塩およびモノエタノールアンモニウム塩の1つまたは混合物の形態のグリホサートの水溶液であって、その水溶液が約360g/L溶液〜存在するグリホサート塩またはグリホサート塩の混合物の溶解度によって決まる最大濃度を有する水溶液を、部分的にまたは完全に充填した約0.1リットル〜約100,000リットルまたはそれ以上の容量を有するコンテナを含んでなるグリホサート除草剤の貯蔵および輸送システムを提供する。コンテナに、溶液を実質的に充填するのが好ましい。グリホサートが主としてそのモノエタノールアンモニウム塩の形態であり、溶液が約360〜約600g/L溶液のグリホサート酸当量を有するのが好ましい。
【0038】
同じ酸当量重量/容量の濃度のグリホサートのイソプロピルアンモニウム塩の対応する溶液よりも顕著に低い粘度を、溶液が有する結果として、そのような貯蔵および輸送システムは、流動化(pouring)またはポンプ輸送(pumping)によってコンテナに移すかまたはコンテナから移すのを容易にする。
【0039】
本明細書における「実質的に充填されたまたは実質的に満たされた」という用語は、コンテナ内のグリホサート塩溶液の容量が、コンテナの設計容量または公称容量よりも実質的に少なくはなく、例えば設計容量または公称容量の約95%以上であることを意味する。従って、例えば、「10リットルジャグ」として市販されるかまたはラベルに表示されているコンテナは、9.5〜10リットルのグリホサート塩溶液を含有する場合、10リットルを含有している場合に充填後にコンテナ頂部に空隙が残っているとしても、「実質的に充填されている」と考えられる。
【0040】
本発明の他の実施態様において、農業経済的に有効な量の界面活性剤の存在下に、濃厚水溶液中にグリホサートMEA塩の極めて高い重量/容量濃度が得られることを見い出した。界面活性剤の選択が、このような結果を得るのに重要であることが分かった。
【0041】
従って、そのような実施態様において、本発明は、コンテナを含んでなる、グリホサート除草剤用の貯蔵および輸送システムであって、
当該コンテナは、容量約0.1〜約100,000 Lまたはそれ以上を有し、かつ、組成物によって部分的または完全に満たされており、
上記組成物は、
(1)水、
(2)主としてモノエタノールアンモニウム塩形態のN-ホスホノメチルグリシン(水溶液中、上記組成物1 L当たり、酸当量約360 g〜約570 gの量)、および
(3)1またはそれ以上の界面活性剤を含んでなる、水溶液または安定な水分散形態の界面活性剤成分(全量で、上記組成物1 L当たり、約20〜約200 gの量)
を含んでなり、
上記界面活性剤成分は、得られる組成物が約50℃またはそれ以下の温度で、何ら相分離を示さない(好適には、当該組成物を約0℃以上の温度で約7日間貯蔵しても、当該組成物においてグリホサートまたはその塩の結晶化が実質的に起こらない)ように、選択される
ことを特徴とするシステムを提供する。
【発明の効果】
【0042】
従来技術では、グリホサート除草剤の貯蔵および/または輸送に使用されるコンテナの最大容量は約100,000リットルであるが、本発明はそのような従来技術によって制限されないことが容易に理解される。例えば、100,000リットルよりもかなり大きい容量の1個またはそれ以上のタンクを有するタンク船またはハシケ(barge)でグリホサート除草剤を輸送することを考慮しなければならない場合に、本明細書に記載するグリホサートカリウム塩またはMEA塩を使用することの利益は、より小さい容量のコンテナにおけると同様に明白である。
【0043】
コンテナは、その容量に関係なく、組成物を実質的に充填されるのが好ましい。
【0044】
グリホサート塩に関して「主として」という用語は、a.e.として表されるグリホサートの重量の、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%が、所定の塩または塩の混合物として存在することを意味する。残り部分は、組成物の所定の特性が所定の範囲に維持される限り、他の塩および/またはグリホサート酸で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】グリホセートIPAおよびMEA塩についての、塩の水溶液におけるグリホセートa.e.の重量%濃度と水溶液の比重との関係の比較を示すグラフである。
【図2】本発明のシステムが先行技術のシステムよりも多い重量のグリホセートの保存および輸送を可能にすることを示す、同じコンテナを含んでなる先行技術のシステムと比較した、本発明の所定容量のコンテナ(10リットルのジャグ)を含んでなるグリホセート除草剤の保存および輸送システムの模式図である。
【図3】本発明のシステムが先行技術のシステムよりも小さいコンテナを有するが、同重量のグリホセートの保存および輸送を可能にすることを示す、先行技術のシステムと比較した、本発明の所定容量のコンテナ、例えばドラムを含んでなるグリホセート除草剤の保存および輸送システムの一部切欠模式図である。
【図4】図3に示す本発明の保存および輸送システムに関係する多数のコンテナが配列されている輸送閉鎖容量の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
前記したように、驚くことに、グリホサートカリウム塩およびMEA塩の濃厚水溶液が、極めて大きい比重を有することが見い出された。表1は、例として、現在のまたは以前の商業的に関心のある有機アンモニウム塩および他の塩と比較して、グリホサートのカリウム塩およびMEA塩の30重量%グリホサートa.e.溶液について測定した比重を示す。比重は、Mettler DA−300 Density/Specific Gravity Meterを使用して測定される。
【0047】
【表1】

【0048】
従って、20℃の30a.e.重量%グリホサートカリウム塩溶液1リットルは、約376gのグリホサートa.e./Lを含有し、一方、20℃の30a.e.重量%グリホサートIPA塩溶液は、約347gグリホサートa.e./Lを含有する。言い換えれば、同じa.e.重量濃度において、カリウム塩溶液は、1リットルにつき約8%多いグリホサートa.e.を与える。
【0049】
同様に、20℃の30a.e.重量%グリホサートMEA塩溶液は、約371gグリホサートa.e./Lを含有する。従って、同じa.e.重量濃度において、MEA塩溶液は、IPA塩溶液よりも約7%多いグリホサートa.e./Lを与える。
【0050】
カリウムまたはMEA塩が使用される場合に、水溶液における最少有効濃度は、約30a.e.重量%、好ましくは約40a.e.重量%である。20℃における溶解度の限界によって決まる最大濃度は、カリウム塩の場合は約44a.e.重量%であり、MEA塩の場合は約47a.e.重量%である。
【0051】
グリホサートカリウム塩溶液を使用する貯蔵および輸送システムは、溶液が界面活性剤をさらに含有しないか、および/または、溶液が濃厚界面活性剤含有配合物の製造に使用することを予定しない場合に特に有効である。数種の界面活性剤だけが、農業経済的に有効な量において、高濃度のグリホサートカリウム塩に相溶性であることが見い出された。
【0052】
しかし、MEA塩を使用するグリホサート除草剤の貯蔵および輸送システムは、界面活性剤不含溶液および界面活性剤含有溶液の両方に高い有効性を有する。界面活性剤含有溶液において、グリホサートの最大濃度は、水におけるMEAの溶解度の限界だけでなく、界面活性剤の相溶性の限界によっても抑制される。そのような溶液におけるMEA塩の利点は、(a)同じ界面活性剤濃度において、同じ相溶性界面活性剤の存在下に、IPA塩よりも高い最大グリホサートa.e.重量/容量濃度が得られ、(b)同じグリホサートa.e.重量/容量濃度において、IPA塩よりも高い相溶性界面活性剤濃度が得られ、(c)グリホサートa.e.および界面活性剤の所定の重量/容量濃度において、IPA塩を使用して製造される対応する組成物よりも向上した貯蔵安定性が得られ、および/または(d)グリホサートa.e.および界面活性剤の所定の重量/容量濃度において、より低い粘度の結果として、IPA塩を使用して製造した対応する組成物よりも向上した流動性(注入/排出特性)およびポンプ輸送性能を有することである。
【0053】
本発明の貯蔵および輸送システムの利点は、水溶液におけるグリホサート濃度が減少するにつれて小さくなって、約360g a.e./Lよりも低いグリホサート濃度、即ちRoundup(登録商標)除草剤として市販されているグリホサートIPA塩組成物に見られる濃度よりも低いグリホサート濃度において、限界であるにすぎない。本発明の好ましいシステムにおいては、水溶液におけるグリホサート濃度は、420g a.e./L以上または約420g a.e./Lであり、特に好ましいシステムにおいては、約480g a.e./L以上、例えば、約480〜約540g a.e./Lである。グリホサートカリウム塩またはMEA塩の貯蔵安定性界面活性剤含有水性組成物におけるグリホサート濃度の事実上の上限は約570g a.e./Lであると考えられ、この上限は、水におけるグリホサート塩の溶解度の限界の結果であり、ある場合には、界面活性剤の存在によってさらに制限される。当然であるが、より高いグリホサート濃度が可能であり、界面活性剤が極めて少量しか存在しない本発明によって使用される。しかし、界面活性剤のそのような低濃度は、農業経済的には有効でないと考えられる。
【0054】
グリホサート濃度のこの上限に近い場合に、適合しうる界面活性剤の量は、より低いグリホサート濃度におけるよりもより少ない。大部分の目的について、この少量の界面活性剤は、グリホサートの除草剤有効性の信頼できる強化を、許容される程度に与えるのに不充分であると考えられる。しかし、組成物が比較的少量の水で稀釈されるある特別な目的の適用において、例えば約10〜約50L/haの容量での植物処理については、本発明の濃厚組成物における界面活性剤濃度は、約20g/Lの低さで有効であることができる。そのような特別な目的の適用には、ロープ芯適用(rope-wick application)および超低容量空気吹付(ultra-low-volume aerial spraying)が包含される。一般に、約50〜約1,000L/ha、最も一般的には約100〜約400L/haの水で稀釈した後に吹き付けする一般的な目的の適用については、本発明の濃厚組成物における界面活性剤濃度は、約60〜約200g/Lであるのが好ましい。
【0055】
本発明の1つの実施態様においては、図2に示すように、主としてカリウム塩およびMEA塩の形態であるが、例示的には実質的に全てがMEA塩の形態の、グリホサートの水溶液13aを実質的に充填されている、10リットルの例示的容量を有するジャグ12aの形態の例示的コンテナを含んでなる、グリホサート除草剤の貯蔵および輸送システム11aを提供する。溶液13aは、例示的に46重量%のグリホサートa.e.濃度を有する。
【0056】
46重量%の同じ例示的グリホサートa.e.濃度において、グリホサートのIPA塩の水溶液13bで実質的に充填された、本発明のシステムに使用される10リットルのジャグ12aと同じ10リットルのジャグ12bを含んでなる先行技術の貯蔵および輸送システム11bも、比較のために図2に示す。両方のシステムにおけるグリホサート分子14が図2に模式図で示され、本発明の貯蔵および輸送システム11aに存在するグリホサートa.e.のより多い重量を可視的に示している。
【0057】
または、図3に示すように、本発明の貯蔵および輸送システム15aにおいて、コンテナ、例示的にドラム16aは、先行技術の貯蔵および輸送システム15bのドラム16bよりも小さい。ドラム16aは、例示的に46重量%のグリホサートa.e.濃度において、例示的に全てがMEA塩形態のグリホサート水溶液18aを所定レベル17aまで実質的に充填されている。先行技術のドラム16bは、46重量%の同じ例示的グリホサートa.e.濃度において、グリホサートIPA塩の水溶液18bが所定レベル17bまで実質的に充填されている。ドラム16aに含有される水溶液18aの容量は、ドラム16bに含有される水溶液18bの容量より少ないが、グリホサート分子14の模式図によって表されるように、同じ重量のグリホサートa.e.を含有する。
【0058】
さらに、図4に示されるように、より多い数のそのようなコンテナ、例示的にドラム16bと比較したドラム16aを、所定の閉鎖容量、例えば鉄道有蓋車19で輸送することができ、それによって、本発明の貯蔵および輸送システムを使用して一回の発送で、より多い重量のグリホサートa.e.を輸送することができる。
【0059】
本発明の他の要旨において、前記の濃度におけるグリホサートMEA塩への相溶性が予想外に高い特定種類の界面活性剤を確認した。従って、本発明の実施態様は、界面活性剤成分が、
(1) エーテル、チオエーテル、スルホキシド、エステル、チオエステル、およびアミド結合から選択される0〜約7個の結合によって結合している、1個または複数の独立して飽和または不飽和、分岐鎖または非分岐鎖、脂肪族、脂環式または芳香族のC3-18ヒドロカルビルまたはヒドロカルビリデン(hyrocarbylidene)基を有する疎水性成分であって、この疎水性成分が合計J個の炭素原子を有し、Jが約8〜約24である疎水性成分;および
(2) 親水性成分(moiety)であって、
(i) カチオンであるかまたはプロトン化してカチオンにすることができるアミノ基であって、それに直接的に結合した0〜3個のオキシエチレン基またはポリオキシエチレン鎖を有し、これらのオキシエチレン基およびポリオキシエチレン鎖が、E+J=25であるように界面活性剤分子1個につき平均でE個以下のオキシエチレン単位を含んでなる、アミノ基;および
(ii) 界面活性剤分子1個につき平均で約2個以下のグリコシド単位を含んでなるグリコシドまたはポリグリコシド基:
を含んでなる親水性成分;
を含んでなる分子構造をそれぞれが有する1種類またはそれ以上の界面活性剤を主として含んでなる、前記の界面活性剤含有水性グリホサートMEA塩溶液を部分的にまたは完全に、好ましくは実質的に充填された約0.1〜約100,000リットルまたはそれ以上の容量を有するコンテナを含んでなるグリホサート除草剤の貯蔵および輸送システムである。
【0060】
そのような界面活性剤において、疎水性成分は、以下の方法の1つによって親水性成分に結合する。
(a)アミノ基が存在する場合に、アミノ基に直接に結合する方法、
(b)オキシエチレン基が存在する場合にオキシエチレン基の1つの酸素原子、またはポリオキシエチレン鎖が存在する場合にポリオキシエチレン鎖の1つの末端オキシエチレン単位の酸素原子を組み込んでいるエーテル結合によって結合する方法、または
(c)グリコシド単位が存在する場合に、グリコシド単位の1つにエーテル結合する方法。
【0061】
界面活性剤含有量に関して、「主として含んでなる」という用語は、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%の界面活性剤成分が、特定の分子構造を有する界面活性剤から構成されることを意味する。本明細書に規定される界面活性剤の重量または濃度は、水、イソプロパノール、または他の溶剤、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)のような、界面活性剤成分と一緒に導入される場合がある本質的に非界面活性剤の化合物を含まない。
【0062】
ポリオキシエチレンアミン界面活性剤におけるEとJの関係をさらに説明すると、驚くことに、グリホサートMEA塩との適切な相溶性に関して、疎水性成分が大きいほど(即ち、Jの数値が大きいほど)、より少ないオキシエチレン単位が存在する(即ち、Eの数値が小さい)ことが見い出された。例えば、ポリオキシエチレン獣脂アミンにおけるように、Jが約18の平均値を有する場合に、オキシエチレン単位の最大数は約7である。しかし、ポリオキシエチレンココアミンにおけるように、Jが約12の平均値を有する場合に、Eは約13である。
【0063】
いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものではないが、下記式(V)および(VI)で示される2種類の界面活性剤が、本発明の貯蔵および輸送システムに特に有効である。
【0064】
本発明の1つの実施態様において、グリホサートは、主としてMEA塩の形態で溶液に存在し、その溶液が、約4のpHレベルにおいて、式(V):
【化1】

〔式中:
は、水素またはC1-18ヒドロカルビルであり;
各Xは、独立して、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、エステル、チオエステル、またはアミド結合であり;
各Rは、独立して、C3-6ヒドロカルビリデンであり;
mは、0〜約8の平均数であり;
−(XRにおける炭素原子の合計数は、約8〜約24であり;
nは、0〜約5の平均数であり;
およびRは、独立して、水素またはC1-4アルキルであり;
pは、2〜4であり;
qは、0または1であり;
gluは、式:
【化2】

で示される単位(本明細書において、グルコシド単位と称する)であり;
rは、1〜約2の平均数であり;
Aは、アニオン性成分であり;および
sは、電気的中性が維持されるように、1〜3の整数であり、
tは0または1である〕
で示される1種類またはそれ以上の界面活性剤を主として含んでなる界面活性剤成分約20〜約200g/Lをさらに含有する。
【0065】
本発明の他の実施態様において、グリホサートMEA塩溶液が、約4のpHレベルにおいて、式(VI):
【化3】

〔式中:
は、水素またはC1-18ヒドロカルビルであり;
各Xは、独立して、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、エステル、チオエステル、またはアミド結合であり;
各Rは、独立して、C3-6ヒドロカルビリデンであり;
mは、0〜約9の平均数であり;
−(XRにおける炭素原子の合計数Jは、約8〜約24であり;
nは、0〜約5の平均数であり;
は、水素、C1-4アルキル、ベンジル、アニオン性オキシド基、またはアニオン性基−(CHC(O)Oであり;
uは、1〜3であり;
およびRは、独立して、水素、C1-4アルキルまたはC2-4アシルであり;
xおよびyは、(x+y+n)が前記に定義される数Eよりも大きくならないような平均数であり;
Aは、アニオン性成分であり;および
sは、電気的中性が維持されるように、1〜3の整数であり、
tは0または1である〕
で示される1種類またはそれ以上の界面活性剤を主として含んでなる界面活性剤成分約20〜約200g/Lを含有する。
【0066】
前記の式(V)または(VI)で示される界面活性剤は、オキシエチレン単位が存在する場合に、界面活性剤分子1個当たりのオキシエチレン単位の平均数が25−J以下(Jは前記に定義した通りである)であり、グルコース単位が存在する場合に、界面活性剤分子1個当たりのグルコース単位の平均数が約2以下である、アルキルポリグルコシド、アルキルアミノグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアミン、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンN−メチルアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンN−メチルアルキルエーテルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルアミン等のように記載しうる非限定的な界面活性剤を包含する。このパラグラフに使用される「アルキル」という用語は、当分野で一般的な意味を有し、C8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビルを意味する。
【0067】
オキシエチレン単位またはグルコシド単位のような界面活性剤の構造特性に関して、最大または最小「平均数」という用語が本明細書で使用される場合に、界面活性剤の各分子のそのような単位の整数が一般に、最大「平均数」よりも大きい整数または最小「平均数」よりも小さい整数を包含する範囲で変化すると理解すべきものとする。「平均数」の所定範囲外の単位の整数を有するような界面活性剤分子が組成物中に存在しても、「平均数」が前記範囲であり、他の条件が満たされている限り、その組成物は本発明に含まれる。
【0068】
本発明のシステムに有効であることが見い出された例示的な界面活性剤の種類は、下記のものを包含する:
(A) RがC8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル鎖であり、m、n、およびqが0であり、sが1であり、tが0である式(V)の界面活性剤。この種類は、「アルキルポリグルコシド」または「APG」として、当分野で一般に既知であるかまたは本明細書でそのように称される、いくつかの市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、Henkelによって市販されているAgrimulTM PG−2069およびAgrimulTM PG−2076である。
【0069】
(B) RがC8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル鎖であり、mが0である式(VI)の界面活性剤。この種類において、Rは、単独で界面活性剤の疎水性成分(moiety)を形成し、アルキルアミンにおけるように直接に、またはある種のアルキルエーテルアミンにおけるようにオキシエチレン基の酸素原子またはポリオキシエチレン鎖の末端酸素原子によって形成されるエーテル結合によって、アミノ官能基に結合している。種々の親水性成分を有する例示的な種類は、下記のものを包含する:
(B−1) xおよびyが0であり、RおよびRが独立してC1-4アルキルであり、Rが水素であり、tが1である、界面活性剤。この種類(RおよびRがそれぞれメチルである)は、「アルキルジメチルアミン」として当分野で既知であるかまたは本明細書においてそのように称されるいくつかの市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、AkzoによってArmeenTM DM12Dとして市販されているドデシルジメチルアミン、ならびにCecaによってNoramTM DMC DおよびNoramTM DMS Dとしてそれぞれ市販されているココジメチルアミンおよび獣脂ジメチルアミンである。そのような界面活性剤は一般に非プロトン化形態で市販されており、アニオン性Aが界面活性剤に含有されていない。しかし、約4〜5のpHのグリホサートMEA塩組成物においては、界面活性剤がプロトン化され、アニオン性Aが二塩基性塩を形成しうるグリホサートとしうることが判明している。
【0070】
(B−2) xおよびyが0であり、R、R、およびRが独立してC1〜4アルキルであり、tが1である、界面活性剤。この種類(R、R、およびRがそれぞれメチルであり、Aがクロリドイオンである)は、「アルキルトリメチルアンモニウムクロリド」として当分野で既知であるかまたは本明細書においてそのように称されるいくつかの市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、AkzoによってArquadTM Cとして市販されているココアルキルトリメチルアンモニウムクロリドを包含する。
【0071】
(B−3) (x+y)が2またはそれ以上であり、RおよびRが水素であり、tが1である界面活性剤。この種類は、「ポリオキシエチレンアルキルアミン」(nが0であり、R5が水素である)、ある種の「ポリオキシエチレンアルキルエーテルアミン」(nが1〜5であり、Rが水素である)、「ポリオキシエチレンN−メチルアルキルアンモニウムクロリド」(nが0であり、Rがメチルである)、ある種の「ポリオキシエチレンN−メチルアルキルエーテルアンモニウムクロリド」(nが1〜5であり、Rがメチルである)として当分野で既知であるかまたは本明細書においてそのように称される市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、AkzoによってEthomeenTM C/12、EthomeenTM T/15、およびEthomeenTM C/20としてそれぞれ市販されているポリオキシエチレン(2)ココアミン、ポリオキシエチレン(5)獣脂アミン、およびポリオキシエチレン(10)ココアミン;アミン基がプロトン化されていない場合に、米国特許第5,750,468号に開示されている式:
【化4】

[式中、RはC12-15アルキルであり、x+yは5である」
で示される界面活性剤;ならびに、AkzoによってEthoquadTM C/12およびEthoquadTM 18/12としてそれぞれ市販されているポリオキシエチレン(2)N−メチルココアンモニウムクロリドおよびポリオキシエチレン(2)N−メチルステアリルアンモニウムクロリドである。Rが水素であり、即ち第四級アンモニウム界面活性剤ではなく第三級である場合に、アニオン性Aは、一般に界面活性剤に含有されない。しかし、約4〜5のpHのグリホサートMEA塩組成物においては、アニオン性Aが二塩基性塩を形成しうるグリホサートとしうることが判明している。
(B−4) Rがアニオン性オキシド基であり、tが0である界面活性剤。この種類は、「アルキルジメチルアミンオキシド」(n、x、およびyが0であり、RおよびRがメチルである)、ある種の「アルキルエーテルジメチルアミンオキシド」(nが1〜5であり、xおよびyが0であり、RおよびRがメチルである)、「ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシド」(nが0であり、x+yが2またはそれ以上であり、RおよびRが水素である)、およびある種の「ポリオキシエチレンアルキルエーテルアミンオキシド」(nが1〜5であり、x+yが2またはそれ以上であり、RおよびRが水素である)として当分野で既知であるかまたは本明細書においてそのように称される市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、AkzoによってAromoxTM DMCとして市販されているココジメチルアミンオキシド、およびAkzoによってAromoxTM C/12として市販されているポリオキシエチレン(2)ココアミンオキシドである。
(B−5) Rがアニオン性基−CHC(O)O(アセテート)であり、xおよびyが0であり、tが0である界面活性剤。この種類は、「アルキルベタイン」(nが0であり、R5がアセテートであり、RおよびRがメチルである)、およびある種の「アルキルエーテルベタイン」(nが1〜5であり、Rがアセテートであり、RおよびRがメチルである)として当分野で既知であるかまたは本明細書においてそのように称される市販の界面活性剤を包含する。好適な例は、HenkelよってVelvetexTM AB−45として市販されているココベタインである。
(C) RがC8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル鎖であり、mが1であり、Xがエーテル結合であり、Rがn−プロピレンであり、nが0である式(VI)の界面活性剤。この種類において、RがORと一緒になって、R結合によってアミノ官能基に直接に結合している界面活性剤の疎水性成分を形成する。これらの界面活性剤は、米国特許第5,750,468号に開示されているアルキルエーテルアミンの種類である。例示的な種類は、前記(B−1)〜(B−5)に例示される種々の親水性成分を有する。好適な例は、アミン基がプロトン化されていない場合に、米国特許第5,750,468号に開示されているような、式(VIII)、(IX)および(X):
【化5】

【化6】

【化7】

[各式(VIII)、(IX)、および(X)において、RはC12-15アルキルであり、x+yは5である]
で示される界面活性剤である。
(D) RがC8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル鎖であり、mが1〜5であり、各XRが−OCH(CH)CH−基であり、nが0である式(VI)の界面活性剤。この種類において、Rが−OCH(CH)CH−基と一緒になって、アミノ官能基に直接に結合している界面活性剤の疎水性成分を形成する。これらの界面活性剤も、米国特許第5,750,468号に開示されているアルキルエーテルアミンの種類である。例示的な種類は、前記(B−1)〜(B−5)に例示される種々の親水性成分を有する。好適な例は、アミン基がプロトン化されていない場合に、米国特許第5,750,468号に開示されているような、式(XI):
【化8】

[式中、RはC12-15アルキルであり、mは2であり、x+yは5である]
で示される界面活性剤である。
(E) RがC8-18脂肪族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル鎖であり、mが1であり、Xがアミド結合であり、Rがn−プロピレンであり、nが0である式(VI)の界面活性剤。この種類において、RがXRと一緒になって、R結合によってアミノ官能基に直接に結合している界面活性剤の疎水性成分を形成する。この種類の好ましい界面活性剤において、xおよびyは0であり、Rは、水素またはC1-4アルキルであり、RおよびRは、独立してC1-4アルキルであり、tは1である。好適な例は、McIntyreによってMackaleneTM 117として市販されているココアミドプロピルジメチルアミンプロピオネートである。
(F) Rが水素であり、mが3〜8であり、各XRが−OCH(CH)CH−基である式(VI)の界面活性剤。この種類において、−OCH(CH)CH−基のポリエーテル鎖(ポリオキシプロピレン鎖)が、直接的にかまたは1個またはそれ以上のオキシエチレン単位を介してアミノ官能基に直接に結合している界面活性剤の疎水性成分を形成する。この種類の好ましい界面活性剤において、xおよびyは0であり、R、R、およびRは独立してC1-4アルキルであり、tは1である。これらの界面活性剤は、米国特許第5,652,197号に開示されているポリオキシプロピレン第四級アンモニウム界面活性剤の種類である。好適な例において、mは7であり、nは1であり、R、R、およびRはそれぞれメチルであり、Aはクロリドである。
【0072】
tが1である界面活性剤においては、Aがどのような好適なアニオン性であってもよいが、好適には、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸、エト硫酸、燐酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸または前記のようにグリホサートイオンである。
【0073】
本発明の1つの実施態様において、水溶液が、米国特許第5,750,468号に開示されているアルキルエーテルアミンの種類の界面活性剤を含有する。他の実施態様においては、存在する界面活性剤が、米国特許第5,750,468号に開示されているアルキルエーテルアミン以外の界面活性剤である。
【0074】
本発明の特定の実施態様は、g a.e./Lで表されるグリホサート濃度が、全てのグリホサートがIPA塩として存在する場合に許容される貯蔵安定性を与える最大濃度よりも高い、前記のグリホサートMEA塩組成物を使用することができる。ここでも、許容される貯蔵安定性という語句は、約50℃またはそれ以下の温度において相分離を示さず、約0℃以上の温度に、最大7日間にわたって暴露した際に、グリホサートまたはその塩の結晶の形成を実質的に示さないことを意味する。
【0075】
本発明の他の特定の実施態様は、全てのグリホサートがIPA塩の形態であるそれ以外は同じ組成物よりも低い粘度を有する、前記のグリホサートMEA塩組成物を使用する。より低い粘度は、低温、例えば約−10℃〜約10℃における向上した流動性および/またはポンプ輸送性能として現れる場合に特に有効である。驚くことに、減少した粘度は、グリホサートIPA塩の対応する組成物と比較した場合に、事実上全てのグリホサートMEA塩水性濃厚組成物の特徴であることが見い出された。これは、本明細書の実施例4、特にその実施例における表6のデータによく示されている。
【0076】
水性濃厚組成物において、グリホサート塩の濃度および/または界面活性剤の濃度が、MEA塩を用いた場合でさえ粘度が許容されないほどの高い濃度である場合であっても、MEA塩は、IPA塩よりも顕著な利益を与える。そのような組成物において、グリホサートがIPA塩ではなくMEA塩として存在する場合に、少量の水の添加が一般にかなりの程度に粘度を減少させる。所望のレベルに粘度を低下させるのに必要な水の量は、MEA塩の場合に、IPA塩の場合よりもかなり少ない。
【0077】
界面活性剤を含有する濃厚水溶液組成物において、グリホサートIPA塩をグリホサートMEA塩で置き換えることによって、眼への刺激(眼の炎症)が少ないという他の利益が得られることが意外にも見い出された。特に主要な界面活性剤がアミンに基づく界面活性剤である場合に、眼への刺激に主として関与するのは、そのような組成物の界面活性剤成分であることが既知である故に、これは特に驚きである。従って、本発明の貯蔵および輸送システムは、システムの取扱いの際のこぼれまたは漏れからの危険性が、グリホサートのIPA塩を使用する先行技術の貯蔵および輸送システムと比較して減少されるという利益も有する。
【0078】
本発明は主としてグリホサートのMEA塩の濃厚水溶液を使用する貯蔵および輸送システムに関するが、以下のもの限定されないが、水溶性形態の1種類またはそれ以上の追加の除草剤有効成分を所望により含むことができる:アシフルオルフェン、アスラム、ベナゾリン、ベンタゾン、ビアラホス、ビスピリバック、ブロマシル、ブロモキシニル、カルフェントラゾン、クロラムベン、クロピラリド、2,4−D、2,4−DB、ダラポン、ジカムバ、ジクロロプロップ、ジクロホップ、ジフェンゾクァット、ジクァット、エンドサル、フェナック、フェノキサプロップ、フラムプロップ、フルアジホップ、フルオログリコフェン、フルロキシピル、ホメサフェン、ホサミン、グルホシネート、ハロキシホップ、イマザメト、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イオキシニル、MCPA、MCPB、メコプロップ、メチルアルソン酸、ナプタラム、ノナン酸、パラクァット、ピクロラム、スルファミン酸、2,3,6−TBA、TCA、およびトリクロピル。追加の除草剤がグリホサートのようにアニオン性である場合に、追加の除草剤も主としてMEA塩として存在するのが好ましい。
【0079】
本発明の好適な一具体例によれば、本発明は、1つの種類がグリホサートである、2またはそれ以上のアニオン性除草剤の貯蔵および輸送システムであって、主としてMEA塩の形態のグリホサート、および主としてMEA塩の形態の第二アニオン性除草剤を含んでなる水溶液を部分的にまたは全体的に、好ましくは実質的に充填された約0.1リットル〜約100,000リットルの容量を有するコンテナを有して成り、グリホサートおよび第二アニオン性除草剤の合計濃度が約360〜約600g a.e./Lであり、その溶液は、その中に溶解しているかまたは安定に分散している本発明によって選択される界面活性剤成分を約20〜約200 g/Lの濃度でさらに含んでなることを特徴とするシステムを提供する。
【0080】
この実施態様において、グリホサート/第二アニオン性除草剤の重量/重量比が、約1:1以上、例えば約1:1〜約30:1であるのが好ましい。第二アニオン性除草剤は、好適には、アシフルオルフェン、ビアラホス、カルフェントラゾン、クロピラリド、2,4−D、2,4−DB、ジカムバ、ジクロロプロップ、グルホシネート、MCPA、MCPB、メコプロップ、メチルアルソン酸、ノナン酸、ピクロラム、トリクロピル、ならびにイマザメト、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、およびイマゼタピルを包含するイミダゾリノンの種類の除草剤からなる群から選択する。
【0081】
グリホサートのMEA塩を含有する水性相、および比較的水不溶性の第二除草剤有効成分を所望により含有する非水性相を有する、液体濃厚組成物を使用する貯蔵および輸送システムも本発明に含まれる。そのような組成物は例えば、乳濁液(油中水、水中油、および水中油中水型のマクロまたはミクロエマルジョンを包含する)、懸濁液、および懸乳濁液(suspoemulsions)を包含する。非水性相は、マイクロカプセル化成分、例えばマイクロカプセル化除草剤を所望により含んでなることができる。非水性相を有する本発明の組成物において、それにもかかわらず、組成物におけるグリホサートa.e.の全体としての濃度は水溶液濃厚組成物について本明細書に記載する範囲である。
【0082】
そのような組成物に使用される水不溶性除草剤の例は、次の通りである:アセトクロル、アクロニフェン、アラクロル、アメトリン、アミドスルフロン、アニロホス、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン−メチル、ベンスリド、ベンゾフェナップ、ビフェノックス、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブタクロル、ブタミホス、ブトラリン、ブトロキシジム、ブチレート、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾン−エチル、クロメトキシフェン、クロルブロムロン、クロリダゾン、クロリムロン−エチル、クロルニトロフェン、クロロトルロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタル−ジメチル、クロルチアミド、シンメチリン、シノスルフロン、クレトジム、クロジナホップ−プロパルギル、クロマゾン、クロメプロップ、クロランスラム−メチル、シナジン、シクロエート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シハロホップ−ブチル、ダイムロン、デスメジファム、デスメトリン、ジクロベニル、ジクロホップ−メチル、ジフルフェニカン、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジニトラミン、ジノテルブ、ジフェナミド、ジチオピル、ジウロン、EPTC、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメツルフロン−メチル、エトフメセート、エトキシスルフロン、エトベンザニド、フェノキサプロップ−エチル、フェヌロン、フラムプロップ−メチル、フラザスルフロン、フルアジホップ−ブチル、フルクロラリン、フルメツラム、フルミクロラック−ペンチル、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルオロクロリドン、フルオログリコフェン−エチル、フルポキサム、フルレノール、フルリドン、フルロキシピル−1−メチルヘプチル、フルルタモン、フルチアクト−メチル、ホメサフェン、ハロスルフロン、ハロキシホップ−メチル、ヘキサジノン、イマゾスルフロン、インダノファン、イソプロツロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサフルトール、イソキサピリホップ、ラクトフェン、レナシル、リヌロン、メフェナセット、メタミトロン、メタザクロル、メタベンズチアズロン、メチルジムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトラクロル、メトスラム、メトクスロン、メトリブジン、メツルフロン、モリネート、モノリヌロン、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、オルベンカルブ、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサスルフロン、オキシフルオルフェン、ペブレート、ペンジメタリン、ペンタノクロル、ペントキサゾン、フェンメジファム、ピペロホス、プレチラクロル、プリミスルフロン、プロジアミン、プロメトン、プロメトリン、プロパクロル、プロパニル、プロパキザホップ、プロパジン、プロファム、プロピソクロル、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラフルフェン−エチル、ピラゾリネート、ピラゾスルフロン−エチル、ピラゾキシフェン、ピリブチカルブ、ピリデート、ピリミノバック−メチル、キンクロラック、キンメラック、キザロホップ−エチル、リムスルフロン、セトキシジム、シズロン、シマジン、シメトリン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホメツロン、スルホスルフロン、テブタム、テブチウロン、テルバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、テニルクロル、チアゾピル、チフェンスルフロン、チオベンカザルブ、チオカルバジル、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリエタジン、トリフラリン、トリフルスルフロン、およびベルノレートを包含する。グリホサートa.e.とそのような水不溶性除草剤との重量/重量は1:1以上、例えば、約1:1〜約30:1であるのが好ましい。
【0083】
本発明のシステムに有効な組成物において、組成物が本明細書に規定されるような貯蔵安定性である限り、前記に定義した界面活性剤成分の他に賦形剤成分が所望により存在することができる。そのような追加の賦形剤成分は、染料、増粘剤、結晶化防止剤、グリコールを包含する凍結防止剤、制泡剤、ドリフト防止剤、相溶化剤などのような従来の配合添加剤を包含する。
【0084】
グリホサート配合物に使用されることが多い賦形剤成分の種類は、グリホサートの除草剤活性または除草剤活性の安定性を向上させるために含有される硫酸アンモニウムのような無機塩である。そのような向上を与えるのに必要な、配合物における無機塩の含有量は一般に比較的多く、存在するグリホサートの量よりも多い場合が多いので、本発明のシステムに使用される組成物にそのような塩を添加するのはあまり有効でない。例えば少なくとも360g a.e./Lの濃度でグリホサートMEA塩を含有する貯蔵安定性水性組成物に使用しうる硫酸アンモニウムの量は、非常に少ないので実質的な利益を与えることができないと考えられる。従って、代替法は、国際特許出願公開第WO98/33384号および第WO98/33385号にそれぞれ開示されているアントラキノン化合物またはフェニル置換オレフィン化合物のような相乗剤を少量で含有することである。
【0085】
本発明によるグリホサート除草剤の貯蔵および輸送システムに有効なコンテナは、約4〜5のpHを有する濃厚グリホサート塩溶液との長時間の接触に安全かつ有利に使用することができる材料で構成される、グリホサートIPA塩を貯蔵し輸送するのに有効な既知のコンテナであることができる。好ましい構成材料はHDPEであり、特に、大きいバルクタンクの場合はステンレス鋼である。
【0086】
コンテナは、例えば、約0.1〜約10リットルの容量の使い捨てのジャグまたはフラスコ、約50〜約200リットルの容量のドラム、約200〜約2000リットルの容量のシャトル、約15,000〜約20,000リットルの容量のモジュールバルク輸送タンク、約20,000〜約25,000リットルの容量のタンクローリーのタンク、約75,000〜約90,000リットルの容量の貨車タンクであることができる。
【0087】
小さい使い捨てコンテナは、着脱しうる蓋、例えばネジ蓋で覆われる開口部を有し、注入口を有するように成形することができる。そのようなコンテナは、当分野で既知の方法によって、例えば、液体を注ぐ際に連続的に空気が入って液体と入れ替わるようにして「ゴボゴボという音がする」のを防止して、こぼれを最小限にするようにデザインするのが好ましい。約50リットルよりも大きい容量を有する大容量コンテナは、その中に入っている液体組成物の取出し用のスピゴット(spigot)、および/また組成物を迅速に移せるようにするポンプ用のジョイントを有することができる。特定の実施態様において、コンテナが一体型ポンプを有する。
【0088】
本発明は、グリホサート除草剤の貯蔵または輸送法にも関する。
【0089】
従って、1つの実施態様において、4つの段階を含んでなるグリホサート除草剤の貯蔵法を提供する。
【0090】
第一段階において、グリホサート酸を、水性媒体中で、カリウムまたはモノエタノールアンモニウムカチオンを与える塩基と反応させて、グリホサートの一塩基性カリウムまたはモノエタノールアンモニウム塩の水溶液を製造する。塩基が、水酸化カリウムまたはモノエタノールアミンであるのが好ましく、モノエタノールアミンであるのが最も好ましい。ほぼ等モル量のグリホサートおよび塩基が使用される。
【0091】
第二段階において、必要であれば水および/または他の成分を使用して、水溶液を調節して、約30重量%から塩の溶解度によって決まる最大重量%のグリホサート酸当量濃度を有する調節溶液を製造する。一般に水だけを使用して調節されるが、必要であれば界面活性剤を包含する他の成分をこの段階で添加することができる。塩がグリホサートのモノエタノールアンモニウム塩である場合に、約30〜約46重量%、より好ましくは約40〜約46重量%のグリホサート酸当量濃度に溶液を調節するのが好ましい。
【0092】
第三段階において、約0.1〜約100,000リットルまたはそれ以上の容量を有するコンテナに、調節溶液を実質的に充填する。
【0093】
第四段階において、充填されたコンテナを好適な貯蔵場所に配置する。これは、倉庫または相当する貯蔵設備であることができる。
【0094】
他の実施態様においては、5つの段階を含んでなるグリホサート除草剤の輸送法を提供する。第一および第二段階は、前記と全く同じである。
【0095】
第三段階において、約0.1〜約2000リットルの容量をそれぞれ有する多数の各コンテナに、調節溶液を実質的に充填する。コンテナは、例えば、ジャグ、フラスコ、またはドラムのような使い捨てのコンテナであるかまたはシャトルのような再充填可能なコンテナである。
【0096】
第四段階において、充填されたコンテナを、荷積み場所で、道路または鉄道車両または水上輸送船の閉鎖容量に入れる。閉鎖容量は、例えば、道路、鉄道、および水上輸送用に適合されたモジュールボックスコンテナ、トラック、または鉄道有蓋者の容量である。
【0097】
第五段階において、閉鎖容量に入れた後に、車両または船を、荷積み場所から荷下し場所に輸送する。
【0098】
他の実施態様においては、5つの段階を含んでなるグリホサート除草剤の輸送法を提供する。
【0099】
第三段階において、約15,000〜約100,000リットルまたはそれ以上の容量を有するバルクコンテナに、調節溶液を実質的に充填する。バルクコンテナは、例えば、モジュールバルク輸送タンク、またはタンクローリーまたは貨車のタンクである。
【0100】
先の3つの段階の前にまたは後にきてもよい第四段階において、荷積み場所で、鉄道車両または水上輸送船にバルクコンテナーを固定する。タンクローリーまたは貨車の場合は、バルクコンテナーを車両に一体化することができ、車両の組立の際に車両に固定される。
【0101】
第五段階において、バルクコンテナの充填および固定後に、車両または船を荷積み場所から荷下し区域に輸送する。
【実施例】
【0102】
次に、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。実施例によって、本発明の良好な理解およびその利点の良好な理解および種々の変形例の説明が可能となる。
【0103】
実施例1
1 L容ガラス容器(電磁撹拌機付き)において、479.2 gのグリホサート酸、工業グレイド(分析値96%)、166.0 gのモノエタノールアミンおよび水100 gを混合した。グリホサート酸とモノエタノールアミンとを反応させて、MEA塩を形成する反応は、発熱反応である。反応混合物を室温に冷却した。得られた62.6重量%グリホサートMEA塩水溶液(46.0重量%グリホサートa.e.を含有)の比重(20/15.6℃)を測定すると、1.32であることがわかった。得られた溶液の密度(25℃)は、1.31 g/Lであるから、この溶液1,000 gの25℃での容量は、763 mlであって、グリホサートの重量/容量濃度は、602 g a.e./lである。
【0104】
比較のため、62.1重量%グリホサートIPA塩水溶液(同様に46.0重量%グリホサートa.e.含有)の比重は、1.24であることがわかった。溶液の密度(25℃)は、1.23 g/Lであるから、この比較溶液1,000 gの25℃での容量は、813 mlであって、グリホサートの重量/容量濃度は、565 g a.e./lである。
【0105】
第1の100 ml容フラスコに、25℃で、この実施例のグリホサートMEA塩溶液を満たし、第2の100 ml容フラスコに、前記したグリホサートIPA塩溶液比較例を満たした。第1フラスコは、60.2 gのグリホサートa.e.を含む一方、第2フラスコは、グリホサートa.e.を56.5 gしか含まないことがわかった。すなわち、本発明の代表例である第1フラスコは、グリホサートa.e.を、第2フラスコよりも約6.5%多量に含む。
【0106】
実施例2
所定の範囲のグリホサートa.e.濃度を有する、一連のグリホサートMEA塩水溶液を、実施例1の方法で製造した。各溶液について、比重を測定した。
【0107】
グリホサートIPA塩溶液と比較した結果を図1に示す。全ての濃度において、MEA塩水溶液の比重は、対応するIPA塩水溶液の比重よりも、著しく高いことが判明した。
【0108】
この実施例のグリホサートMEA塩水溶液(グリホサート濃度29.9 a.e.重量%)を、充分な容量で、10 L容のジャグ(これは、グリホサートIPA塩水溶液(30.2%)の貯蔵および輸送用に工業的に常用されている)に、添加して、コンテナを実質的に満たした。得られた充填コンテナは、本発明の貯蔵および輸送システムである。29.9a.e.重量%MEA塩水溶液の比重は、1.1991であって、この比重は、30.2重量%IPA塩水溶液の比重1.1566よりも、3.7%高いという、事実のため、本発明の充填コンテナは、3,585 gのグリホサートa.e.を保持でき、これに対し、従来技術の貯蔵および輸送システム(これは、本発明のMEA塩水溶液に代えて、IPA塩水溶液を充填した同じコンテナからなる)は、グリホサート3,493 gを含む。
【0109】
実施例1の46a.e.重量%グリホサート塩水溶液を、より多量に用いて、繰り返した。
【0110】
円筒形HDPEドラムは、従来品の100 L容ドラム(これは、46 a.e.重量%グリホサートIPA水溶液の貯蔵および輸送用に使用されている)と、同じになるように製造した。ただし、HDPEドラムの直径は、従来品のドラムの直径よりも、2.55%小さく、このため、断面積も、6.5%小さい。より小さいドラムの容量は、93.5 Lである。この93.5 Lドラムに、グリホサートMEA塩水溶液を実質的に充填して、本発明の貯蔵および輸送システムを形成した。本発明の充填93.5 Lドラムの総重量は、46 a.e.重量%グリホサートIPA塩水溶液を充填した100 Lドラムの総重量と等しい。しかしながら、本発明の93.5 Lドラムは、より小さい直径を有するため、多数のかかるドラム、所定寸法の貯蔵庫に貯蔵でき、また、例えば、船舶または航空機において、所定寸法の貨物用コンパートメントによって輸送することができる。
【0111】
ドラムの充填により本発明の貯蔵および輸送システムを形成することは、以下の2つの理由によって、46 a.e.重量%IPA塩水溶液を従来品の100 Lドラムに充填することに比し、時間を節約することができ、これにより、コストをより低下させることができる。(1)充填時間は、容量に比例するため、本発明の93.5 Lドラムの場合には、6.5%も、より小さいからである。(2)MEA塩水溶液の粘度88 cP(25℃)は、IPA塩水溶液の粘度165 cP(25℃)よりも著しく小さいため、より大きな流速が可能となるからである。
【0112】
加えて、本発明の充填ドラムは、最終使用者にとって、IPA塩水溶液の100 Lドラムよりも、人間工学的により効率的である。第1に、重量の損失なく、本発明の充填ドラムは、直径がよりも小さいため、その取り扱いおよび持ち上げがより容易である。第2に、本発明のMEA塩水溶液は、粘度が低いため、ドラムから、水溶液を、例えば噴霧器のタンクへ流動化させたり、ポンプ輸送することが、より迅速であって、より容易である。第3に、MEA塩水溶液は、粘度が低いため、空のドラムの洗浄がより容易で、より迅速に実施することができる。これは、また材料の無駄を防止し、かつ、空のドラムに関し、化学物質を含んでない状態での廃棄、戻しまたはリサイクルが保証される。IPA塩水溶液に対する、MEA塩水溶液の利点は、低温で拡大される。
【0113】
実施例4
界面活性剤含有組成物4−01〜4−11を、下記のように調製した。それぞれの組成物は、グリホサートMEA塩を含有し、46a.e.重量%、602g a.e./lの実施例1で製造した水溶液を使用して調製した。各々の場合の界面活性剤を、表2で示されるリストから選択した。比較組成物を、グリホサートIPA塩によって調製し、グリホサートIPA塩を、46a.e.重量%、565g a.e./lの実施例1で製造した水溶液として添加した。
【0114】
【表2】

* この界面活性剤の製造方法は、イギリス特許第1,588,079号に開示。
【0115】
式:[グリホサートa.e.]/[界面活性剤]で示され、単位 g/Lであるターゲット重量/容量濃度を設定した。実際の重量/容量濃度は、ターゲット濃度とわずかに異なることがある。なぜなら、成分が便宜上、重量で測定されるからである。種々のターゲット濃度が得られるように混合される成分の量を、表3(本発明のグリホサートMEA塩組成物)および表4(グリホサートIPA塩比較組成物)に示す。
【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
比重(20/15.6℃)、25℃での粘度および曇り点を、表5に示すように、調製した組成物について記録した。曇り点は、所定の濃度で界面活性剤および塩を含有する所定の水性組成物が単一相溶液を形成する最高温度についての測定尺度である。曇り点を超える温度で、界面活性剤は、溶液から分離し、始めは、曇った分散体または濁った分散体として分離し、放置すると、一般に溶液表面に生じる明らかな相として分離する。曇り点を、溶液が曇るまで組成物を加熱することによって決定し、次いで、組成物を攪拌しながら、冷却させて、温度を連続的にモニターする。溶液が透明になったときに読み取られる温度が、曇り点の測定尺度である。
【0119】
【表5】

【0120】
表5において注目すべきは、グリホサートMEA塩を含有する本発明の組成物すべてが、対応するIPA塩組成物に比し、かなり低い粘度を有する点である。MEA塩組成物とって都合のよい粘度利点の大きさは、幾分、界面活性剤の選択および濃度に依存する。例えば、MEA塩形態の480 g/Lのグリホサートa.e.および120 g/Lのポリオキシエチレン(5)ココアミン界面活性剤のターゲット濃度を有する本発明の組成物4-01は、IPA塩比較組成物よりもかなり有利であることを示す。
【0121】
表5に示されるすべてではないが、いくつかの場合、グリホサートMEA塩組成物は、対応するIPA塩組成物よりも低い曇り点を示す。しかしながら、曇り点が50℃よりも低い場合は1つもなく、商業的に許容できる下限にほぼ等しい場合(組成物4-03)が1つだけ存在する。したがって、一般に、曇り点の低下が、MEA塩に代えて、IPA塩を用いることによって生じる場合、この低下は、粘度の重要な利点によって許容できる見かえりである。すなわち、粘度の利点は、流動化およびポンプ輸送挙動の際に、そのような置き換えによって可能になる。
【0122】
グリホサートMEA塩組成物4-01〜4-11を、より大きな容量で再び調製し、10L容のジャグをこれらの組成物で実質的に満たし、各場合に、本発明の貯蔵および輸送システムを形成した。
【0123】
実施例5
540 g a.e./lのグリホサートを含む水性濃縮組成物において、実際に達成可能な最大界面活性剤濃度について、MEA塩とIPA塩とを比較した。これは、選択した界面活性剤を、46 a.e.重量%まで増量させながら、グリホサート塩水溶液に対し、グリホサート重量/容量濃度がその初期レベル(565 g a.e./l(IPA塩)、602 g a.e./l(MEA塩))から540 g a.e./lに、落下するまで、添加することによって測定した。実験は、前記表3の界面活性剤Aまたは界面活性剤Fのいずれかを用いて行った。達成可能な最大界面活性剤濃度に達した際に、粘度を25℃で測定した。結果を表6に示す。この方法で測定した達成可能な最大界面活性剤濃度を有する組成物は、曇り点および/または結晶形成によって測定したような許容可能な安定性を、必然的に示さないことに、注目すべきである。
【0124】
【表6】

【0125】
表6のデータは、グリホサートMEA塩組成物の最も有益な利点の1つを示し、最も驚くべきことの1つである。MEA塩を用いれば、540 g a.e./lの著しく高いグリホサートa.e.濃度で、IPA塩を用いて達成可能な最大濃度の2.5倍を超える選択界面活性剤濃度を達成することができる。これは、特に意外なことである。なぜなら、MEA塩は、ポリオキシエチレン(15)獣脂アミンとのIPA塩よりも相溶性が非常に小さいことが測定されているからであり、これは、グリホサートIPA塩組成物においてこれまで最も広く使用されてきた界面活性剤である。
【0126】
表6から明らかなように、ここで選択したタイプの界面活性剤を用いれば、MEA塩の場合の界面活性剤/グリホサートa.e.の重量比は、1:5(市販の除草剤有効性に匹敵するレベル)よりも、より大きい一方、IPA塩の場合の上記比率は、1:10よりも、低い。同様に重要なこととして、表6に示した界面活性剤は、当該分野において、グリホサート除草剤の有効性を向上させる点で、非常に有効であることが知られている(界面活性剤/グリホサートa.e.の比率=1.5またはそれ以上、例えば、US 5,668,085(界面活性剤A)、US 5,750,468(界面活性剤F)、参照)。したがって、かかる界面活性剤の利点を示すことができる一方、540 g a.e./lほどの高いグリホサートa.e.充填量が得られるような組成物は、これら界面活性剤またはグリホサートMEA塩に関する従来技術での知識から当該分野では予測できないような、著しい技術的進歩を達成することができる。
【0127】
表6から明らかなように、驚くべきことに、MEA塩によって、より高い界面活性剤濃度を達成できた場合でも、MEA塩組成物の濃度は、IPA塩組成物の濃度よりもより低い。IPA塩組成物は、界面活性剤濃度が、市販の除草剤の有効性(特に、高いスプレイ容量)を示す見込みがないほどに低いだけでなく、粘度が、市販の除草剤の流動化またはポンプ輸送挙動(特に、表6に例示の温度よりも低い温度での挙動)を示す見込みがないほどに高い。これとは対照的に、MEA塩組成物は、良好な除草剤有効性を提供するだけでなく、流動化またはポンプ輸送に関し、問題が起こることがない。
【0128】
理論的には、46 a.e.重量%よりもやや高い濃度のグリホサートMEAまたはIPA塩水溶液を用いて出発したこの実施例では、当該実施例に示した濃度よりも僅に高い界面活性剤濃度を達成することができる。しかしながら、得られた組成物のグリホサート塩濃度は、溶解度の限界に近接しているため、実際には、当該組成物は、許容可能な貯蔵安定性を示さないようであって、特に、グリホサートまたはその塩の結晶の沈殿を、特に低温で示すようである。
【0129】
10 L容のジャグに、実質的に、この実施例の540 g a.e./lグリホサートMEA塩組成物の各々を充填して、本発明の貯蔵および輸送システムを形成した。前記した他の利点に加え、この実施例の貯蔵および輸送システムは、540 g a.e./lのグリホサートIPA塩を含む対応するシステムよりも、次のような利点を有する:この実施例のシステムは、完全充填である利点、すなわち使用者が許容可能で信頼性のある除草剤有効性を得るために付加的な界面活性剤の添加が不要となるような利点を有する。これにより、付加的な環境的利点並びに使用者の経済的利点が得られ、使用者は、本発明の貯蔵および輸送システムを用いれば、洗浄および廃棄が必要な付加的な界面活性剤容器が不要である。
【0130】
実施例6
低温での貯蔵安定性を、4つの比較例と比較した。組成物6-01は、グリホサートMEA塩を、540 g a.e./lの濃度で含み、界面活性剤Aを46 g/Lで含む。組成物6-02は、同様であるが、界面活性剤Fを濃度46 g/Lで含む。比較組成物は、各々の場合、グリホサートMEA塩に代えて、グリホサートIPA塩を用いる一方、同じ界面活性剤を、同じ濃度46 g/Lで含み、IPA塩で達成可能な最大濃度は、実施例5に示した。
【0131】
組成物は、キャップ付ガラスジャグ中に入れ、冷凍貯蔵域において、温度0℃で3日間貯蔵した。組成物製造に用いたのと同じグリホサート塩を、種結晶として添加し、組成物をさらに7日間、貯蔵した。この期間の終了時点で、組成物を、結晶成長について調べた。
【0132】
結晶成長に関し、MEA組成物6-01および6-02は、何ら痕跡が見られなかったが、IPA塩比較組成物は、共に著しい痕跡が見られた。コンテナへの充填によって、本発明の貯蔵および輸送システムを形成すると、グリホサートMEA塩組成物6-01および02は、低温貯蔵安定性に関し、著しい利点が得られた。
【0133】
実施例7
グリホサートMEA塩組成物7-01および7-02を、各々、組成物4-08および4-11と、実質的に同様に製造した。IPA塩比較組成物も、同様に製造した。粘度を、25℃および一連の低温で測定し、これにより、MEA塩組成物についての25℃で見られる低粘度の利点が、事実低温度でも保持され、低温度でも、流動化およびポンプ輸送上の問題は、殆ど見られなかった。結果を表7に示す。
【0134】
【表7】

【0135】
表7に示すように、本発明のグリホサートMEA塩組成物は、対応するIPA塩組成物に比し、低粘度の利点を有している。コンテナへの充填によって、本発明の貯蔵および輸送システムを形成すると、グリホサート塩組成物7-01および02は、低粘度に関する本明細書に開示の利点の全て、特に、低温での特性を示している。
【0136】
実施例8
グリホサート濃度480 g a.e./lの組成物4-08および7-01と実質的に同じグリホサートMEA塩組成物8-01を製造した。また、同じグリホサート濃度および同じ界面活性剤Fを有するグリホサートIPA塩組成物を、同じ濃度120 g/Lで、比較組成物として形成した。
【0137】
標準眼炎症試験は、これらの組成物につき、以下の文献記載の方法に従い、行った:U.S.Enviommental Protection Agency (EPA) assesment guidelines, section F, Hazard Evaluation: Human and Domestic Animals (Revised eddition, 1984), Section 81-4, Primary Eye Irritation。IPA塩比較組成物は除草剤組成物の分類に関しEPAで採用されている、最も激しい炎症クラス(カテゴリーI)に属するのに充分な眼の炎症を引き起こすことが判明した。これとは対照的に、本発明の組成物8-01は、カテゴリーIIに属し、眼の炎症の程度は、より小さいことが判明した。
【0138】
コンテナへの充填によって、本発明の貯蔵および輸送システムを形成すると、グリホサートMEA塩組成物8-01は、本発明の別の利点を奏し、すなわち、ヒトがかかるコンテナを取り扱う際の危険が減少し、特に、コンテナの偶発的な破壊または漏れによる刺激が減少した。
【0139】
以上、本発明の具体例を説明したが、全ての具体例を説明したわけではない。当業者ならば、本明細書に記載の具体例から、本発明の技術的範囲内で種々の変形例をなすことができる。
【符号の説明】
【0140】
11a:本発明の貯蔵および輸送システム、11b:従来技術の貯蔵および輸送システム、15a:本発明の貯蔵および輸送システム、15b:従来技術の貯蔵および輸送システム、16a:本発明の貯蔵および輸送システム、16b:従来技術の貯蔵および輸送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートの一塩基性カリウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記一塩基性カリウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)0.1ないし100000リットルまたはそれ以上の容量を有する容器に該調節された溶液を実質的に充填し;次いで、
(3)充填後、該容器を適切な貯蔵区域に置く
を含む方法。
【請求項2】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートのモノエタノールアンモニウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記モノエタノールアンモニウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)0.1ないし100000リットルまたはそれ以上の容量を有する容器に該調節された溶液を実質的に充填し;次いで、
(3)充填後、該容器を適切な貯蔵区域に置く
を含む方法。
【請求項3】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートの一塩基性カリウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記一塩基性カリウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)0.1ないし2000リットルまたはそれ以上の容量を有する複数の容器に該調節された溶液を実質的に充填し;
(3)荷積み区域において、道路用車両、鉄道用車両または水上輸送用車両内または上に荷積みし;次いで、
(4)荷積みの後、車両を、荷積み区域から荷下ろし区域へ移動させる
を含む方法。
【請求項4】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートのモノエタノールアンモニウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記モノエタノールアンモニウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)0.1ないし2000リットルまたはそれ以上の容量を有する複数の容器に該調節された溶液を実質的に充填し;
(3)荷積み区域において、道路用車両、鉄道用車両または水上輸送用車両内または上に荷積みし;次いで、
(4)荷積みの後、車両を、荷積み区域から荷下ろし区域へ移動させる
を含む方法。
【請求項5】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートの一塩基性カリウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記一塩基性カリウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)15000ないし100000リットルまたはそれ以上の容量を有するバルクコンテナに該調節された溶液を実質的に充填し;
(3)荷積み区域において、道路用車両、鉄道用車両または水上輸送用車両内または上に荷積みし;次いで、
(4)荷積みの後、車両を、荷積み区域から荷下ろし区域へ移動させる
を含む方法。
【請求項6】
グリホサート除草剤の貯蔵効率を最大化させる方法であって、下記工程:
(1)同様に処方されたグリホサートのIPA塩の組成物よりも低い粘度を有し、かつ同様に処方されたグリホサートのIPA塩よりも大きい比重を有するグリホサートのモノエタノールアンモニウム塩の水溶液を選択し、ここに、前記水溶液のグリホサート酸当量濃度が40重量%と上記モノエタノールアンモニウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間であり;
(2)15000ないし100000リットルまたはそれ以上の容量を有するバルクコンテナに該調節された溶液を実質的に充填し;
(3)荷積み区域において、道路用車両、鉄道用車両または水上輸送用車両内または上に荷積みし;次いで、
(4)荷積みの後、車両を、荷積み区域から荷下ろし区域へ移動させる
を含む方法。
【請求項7】
該選択された溶液が、水溶液中または安定な水中分散物中の界面活性剤成分を用いて調節され、該溶液は該組成物1リットルあたり合計20ないし200グラムの1またはそれ以上の界面活性剤を含むものであり、該界面活性剤成分は50℃またはそれ未満の温度において組成物が相分離を示さないように選択されるものである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
該界面活性剤成分が、0℃またはそれ未満の温度において、7日間まで貯蔵された場合に、該グリホサートまたはその塩の結晶化が示されないように選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
g/lで表された界面活性剤濃度が、全てのグリホサートがイソプロピルアンモニウム塩として存在する場合に達成される最大濃度よりも高い、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
選択された溶液の調製をさらに含み、前記調製が、水、界面活性剤およびグリホサートの一塩基性カリウム塩またはモノエタノールアミン塩を混合し、ついで、水および/または他の成分で調節することを含む、請求項1〜9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記水溶液が、40重量%と上記一塩基性カリウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間である所望のグリホサート酸当量濃度を有することを確認し;ついで、
前記水溶液が、40重量%と上記一塩基性カリウム塩の溶解度により決定される最大重量%との間である所望のグリホサート酸当量濃度を有していない場合、前記水溶液を水および/または他の成分で調節することをさらに含む、請求項1〜9いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
除草に有効な量の請求項1〜11のいずれか1項記載の選択された溶液を適当な体積の水で希釈して適用組成物を得て、次いで、適用組成物を植物の葉に適用することを特徴とする、除草方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−62334(P2012−62334A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−800(P2012−800)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2000−583349(P2000−583349)の分割
【原出願日】平成11年11月19日(1999.11.19)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】