説明

グリーンシート印刷積層方法とその装置

【目的】 薄いグリーンシートをキャリアテープごと取り扱う場合に、これをフレームに貼りつけたりせず、正確な位置合わせのもとに、グリーンフィルム上に印刷し、積層することで、製造工程の合理化を図る。
【構成】 キャリアフィルムごと裁断したセラミックグリーンシートに位置決め用の孔を開設し、この位置決め孔に該搬送ヘッド13の位置決めピン15を差込み、位置決めした状態でキャリアフィルム付グリーンシートbを搬送ヘッド13で保持し、印刷台23上や積層台上に搬送する。印刷台23には前記搬送ヘッド13の位置決めピン15を差し込む位置決め孔25が設けられており、これを基準としてキャリアフィルム付グリーンシートbを正確な位置に載せて印刷することができる。積層台においても同様である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層セラミックコンデンサや積層インダクタ等を製造するため、セラミックグリーンシートを所定の大きさに裁断し、積層する方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】積層電子部品の最も代表的な例である積層セラミックコンデンサは、内部電極を有する誘電体セラミック層が多数積み重ねられ、内部電極が積層体の端面に交互に引き出されている。そして、これらの内部電極が引き出された積層体の端面に外部電極が形成されている。
【0003】このような積層セラミックコンデンサの製造方法は、例えば、図7に示すように、誘電体セラミック粉末を有機バインダーに分散させたセラミックスラリーをシート状に成形してグリーンシート71、71…を作り、スクリーン印刷法等により、このグリーンシート71、71…の上に導電ペーストで内部電極パターン75、76を印刷する。そして、この内部電極パターン75、76が印刷されたグリーンシート71、71…を図7R>7で示す順序に積層し、さらにその両側に内部電極パターンが印刷されてないグリーンシート77、78を複数枚積み重ねる。こうして得られた積層体を内部電極が端面に露出するようにしてチップ状に切断し、これを焼成する。これにより、焼結された積層体が得られ、前記内部電極パターン75、76を形成する導体層が内部電極となる。そして、この焼結された積層体の内部電極が露出した端面に導電ペーストを塗布し、これを焼き付けて外部電極を形成することにより、積層チップコンデンサが完成する。
【0004】多くの回路部品が小型化される中で、このような積層セラミックコンデンサについても、小型化、大容量化が要求されている。このような背景の中で、厚さ10μm以下の極めて薄いグリーンシートを積層して積層セラミックコンデンサを製造することが行なわれるようになった。このようなコンデンサを歩留り良く製造するためには、前記のような極めて薄いグリーンシートに精度良く印刷し、これを積層する技術が必要である。この場合、セラミックグリーンシートが極端に薄いので、それを搬送し、印刷し、積層する際に、同グリーンシートが伸びたり歪んだりしないよう、その取扱いに慎重を要する。
【0005】セラミックグリーンシートは、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のキャリアフィルム上にセラミックスラリーを一定の膜厚に塗布し、乾燥して形成される。従来、薄いセラミックグリーンシートについては、前記のようにしてキャリアフィルム上に形成した後、それを同キャリアフィルムごと所定の大きさに打ち抜き、キャリアフィルムごと枠状体に貼り付け、その後の印刷、積層工程等を行う、いわゆる「枠貼り法」が開発されている
【0006】この枠貼り法は、キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムごと打ち抜き、この周辺部を額枠状のフレームに糊着けする。そして、このフレームを印刷機にセットし、グリーンシート上に電極パターンを印刷し、乾燥する。ここでは、フレームを基準としてグリーンシートが位置決めされ、印刷される。その後、フレームの内側でグリーンシートをキャリアフィルムごと打ち抜き、これを仮圧着機の圧着台上にセットする。このとき、最も下の層のグリーンシートは、キャリアフィルム側を下にして前記仮圧着台の上に載せ、その上にキャリアフィルム側を上にしてグリーンシートを載せ、キャリアシートを剥す。これを順次所定の層数だけ繰り返した後、最も上の層のグリーンシートのキャリアフィルムを剥さず、残したまま、その上から積層されたグリーンシートに圧力を加え、仮圧着する。その後、仮圧着された積層体を金型に入れ、本圧着する。その後、積層体の最上層と最下層に貼り付いているキャリアフィルムを剥離し、電子部品複数個単位の積層体が完成する。なお、この場合のグリーンシートの積層順序は、個々の積層チップコンデンサにおいて、各々図7で示された積層順序となるように積層されるのは言うまでもない。
【0007】このようにして積層された積層体は、個々の電子部品単位毎にチップ状に切り分ける。さらに、このチップの端面から内部電極を露出させると共に、クラックが入り難いようにチップをバレル研磨した後、焼成炉に入れて焼成する。その後、焼成したチップの両端面に外部電極を塗布し、焼き付けることにより、積層セラミックコンデンサが完成する。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、前述のような枠貼り法では、キャリアフィルムごと裁断したグリーンシートをフレームに貼り付ける工程が必要であり、その際には、フレームへの糊着けやその糊を乾燥する作業等も必要であり、面倒な工程を経なければならない。さらに、使用するフレームを固定するためにラックが必要であること、そして、これらフレームは消耗品であることから、ランニングコストが高くなるという問題点があった。本発明は、このような従来の枠貼り法の欠点に鑑み、フレームを使用せず、従って面倒な枠貼りを行なわず、正確な位置合わせのもとに、グリーンフィルムの印刷と積層が行えるグリーンシートの印刷積層方法とその装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明では、前記の目的を達成するため、キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに裁断する工程と、裁断されたグリーンシートの上に所定のパターンを印刷する工程と、グリーンシートを所定の順序で積層し、圧着する工程とを有するグリーンシート印刷積層方法において、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムごと裁断すると共に、該グリーンシートに位置決め用の孔を開設し、裁断されたグリーンシートをキャリアフィルムごと搬送ヘッドで搬送する際に、前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込み、ピンでグリーンシートを保持しながら、同搬送ヘッドでグリーンシートを印刷台上に搬送し、該印刷台上で前記位置決め孔を基準としてグリーンシート上に所定のパターンを印刷し、印刷されたグリーンシートをキャリアフィルムごと前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込み、ピンでグリーンシートを保持しながら、同搬送ヘッドでグリーンシートを積層台上に搬送し、該積層台上で前記位置決め孔を基準として複数のグリーンシートを順次積層し、その都度キャリアフィルムをグリーンシートから剥離することを特徴とするグリーンシート印刷積層方法を提供する。
【0010】さらに、キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに裁断する裁断手段と、裁断されたグリーンシートを搬送ヘッドに保持し、搬送するグリーンシートの搬送手段と、該搬送手段で搬送されるグリーンシートを印刷台上で印刷する印刷手段と、搬送手段で搬送されるグリーンシートを積層台上で順次積層し、仮圧着する積層手段とを備えるグリーンシート積層装置において、前記裁断手段は、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムごと裁断すると共に、該グリーンシートに位置決め用の孔を開設するものであり、前記搬送手段は、裁断されたグリーンシートをキャリアフィルムごと搬送ヘッドで保持する際に、前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込んで位置決めし、搬送するものであり、前記印刷手段の印刷台は、前記搬送ヘッドの位置決めピンを受けるピン受け孔を有するものであり、前記積層手段の積層台は、前記搬送ヘッドの位置決めピンに対応する位置に、積層台に載置されるキャリアフィルム付グリーンシートの位置決め用の孔に嵌合される位置決めピンを有するものであることを特徴とするグリーンシート印刷積層装置を提供する。
【0011】
【作用】前記本発明によるグリーンシートの印刷積層方法とその装置によれば、キャリアフィルムごと裁断したセラミックグリーンシートに位置決め用の孔を開設し、この位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込み、位置決めした状態で裁断されたグリーンシートをキャリアフィルムごと搬送ヘッドで保持し、印刷台上や積層台上に搬送するため、額枠状のフレームを用いずに、搬送ヘッドだけで正確な位置決めを行いながら、グリーンシートをキャリアテープごと印刷台や積層台に搬送することができる。しかも、キャリアテープごと搬送ヘッドで保持し、搬送することができるため、グリーンシートに伸びや歪みを生じさせない。
【0012】
【実施例】次に、図面を参照しながら、本発明の実施例について詳細に説明する。本発明による装置の例の概要を図1〜図6に示す。例えば、ドクターブレード法等の手段により、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなる長尺なキャリアテープ上にセラミックスラリーが所定の厚さで塗布され、乾燥されて、グリーンシートが形成される。図1に示されたように、このキャリアテープ付グリーンシートaは、図示されてない巻出ロール側から繰り出され、図1に示す裁断機側に送られ、その裁断台11の上を通過するよう案内される。この長尺なキャリアテープ付グリーンシートaは、裁断台11上を間欠的に送られ、裁断台11を通った後、ガイドロール12を経て図示しない巻取ロールに巻き取られる。前記裁断台11に図示しない真空源が接続されており、キャリアテープ付グリーンシートaが停止したとき、これを裁断台11の上に真空吸引し、保持する。また、この裁断台11の上に合計4つのピン受穴16が設けられている。
【0013】裁断台11の上に昇降機構駆動部19により昇降されるカッター18が設けられている。このカッター18は、前記裁断台11のピン受穴16に対応する位置に孔明けパンチ18aを有し、その外側でキャリアテープ付グリーンシートaを所定の寸法で裁断するブレード18bが設けられている。このカッター18が下降し、裁断台11上に保持されているキャリアテープ付グリーンシートaに前記パンチ18aとブレード18bが当たると、前記ブレード18bによってキャリアテープ付グリーンシートaが所定の形状に裁断されると共に、この裁断されたキャリアテープ付グリーンシートの外形線を基準として所定の位置に位置決め孔が開設される。
【0014】さらに、この裁断機側と後述する印刷機側との間にリニア駆動レール17が配置され、このリニア駆動レール17に沿って前記裁断台11と印刷機側の印刷台23との間を往復する搬送ヘッド13が設けられている。この搬送ヘッド13は、昇降駆動部14を介して前記リニア駆動レール17に取り付けられ、同駆動レール17に対して昇降駆動される。また、搬送ヘッド13は、前記裁断台11のピン受け孔16の位置に対応して底面から突出するピン15を有する。このピン15は、エアシリンダー15aによって搬送ヘッド13の底面から突出したり引き込んだりすることができる。
【0015】前記カッター18がキャリアテープ付グリーンシートaを裁断すると共に、それに位置決め孔を開設した後、カッター18が図1に示すように上昇したとき、前記搬送ヘッド13は、リニア駆動レール17の図1R>1において左側に移動し、昇降駆動部14によって下降され、その底面が裁断されたキャリアテープ付グリーンシートaの上に乗る。そして、同搬送ヘッド13の底面からピン15が突出され、このピン15の先端が裁断されたキャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔を通してその下の裁断台11のピン受穴16に僅かに入る。これによって、裁断されたキャリアテープ付グリーンシートを位置決め孔を基準として保持する。その後、裁断台11の上面の負圧が解除されると共に、搬送ヘッド13が昇降駆動部14によって上昇され、続いてリニア駆動レール17上を印刷機側に移動する。
【0016】図2及び図3にも示すように、印刷機の印刷台23は、その上面に多数の保持孔26、26…を有し、この吸引孔26、26…を通して上面を負圧とし、その上に裁断されたキャリアテープ付グリーンシートbを保持できるようになっている。さらに、前記搬送ヘッド13のピン15に対応する位置にピン受穴25が設けられている。この印刷台23は、スライドテーブル22の上に載せられ、このスライドテーブル22は、ガイドレール21に沿って図2において左右にスライド自在となっている。さらに、このスライドテーブル22にアクチュエータ28が連結され、同テーブル22がガイドレール21に沿って図2に実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で移動される。
【0017】印刷台23は、前記スライド台22に軸22aを支点として揺動自在に取り付けられている。スライド台22の軸22aに支持された部分の図2において右側からアーム24が同図において上側に延設されており、印刷台23が図2で実線位置にあるとき、このアーム24の真上に当たる位置にエアシリンダ31が配置されている。前記アーム24の図2において上側に、適当な傾斜角をもって板状のシート受治具33を載せた傾斜台32が配置されている。また、印刷台23が図2で右側の二点鎖線の位置に移動したとき、その真上に対応して印刷機29が配置されている。
【0018】前記アクチュエータ28により、印刷台23が図2で実線の位置に位置されたとき、前記搬送ヘッド13が図1で二点鎖線で示す位置に移動し、ここからさらに下降し、その下面に保持したキャリアテープ付グリーンシートbを印刷台23の上に載せる。このとき、ピン15が印刷台23のピン受穴25に嵌合され、これによって搬送ヘッド13及びキャリアテープ付グリーンシートbがピン15を基準として印刷台23の上に載せられる。その後、図2に示す印刷台23の上面が吸引孔26、26…を通して負圧に維持され、そこにキャリアテープ付グリーンシートbを保持すると共に、搬送ヘッド13のピン15が引き込まれる。この間、前述のようにして、カッター18で次のキャリアテープ付グリーンシートbが裁断され、その後、搬送ヘッド13が図1で実線で示す位置に戻り、その裁断したキャリアテープ付グリーンシートbを保持する。
【0019】キャリアテープ付グリーンシートbを載せた印刷台23は、前記アクチュエータ28によってガイドレール21上を図2に二点鎖線で示す位置まで移動され、そこで導電ペースト等を用いて、キャリアテープ付グリーンシートbのグリーンシート表面に所定の電極パターンが印刷される。印刷台23は、前記アクチュエータ28によってガイドレール21上を図2に実線で示す位置まで戻される。ここで、図3に示すように、前記エアシリンダ31のプランジャが伸び、それがアーム24を下方に押して、印刷台23を同図において二点鎖線で示す位置から実線で示すように傾ける。このとき、図2に示す前記吸引孔26、26の開口部を大気圧より若干高い圧力とすることによって、キャリアテープ付グリーンシートbが印刷台23の傾斜に沿って滑り落ち、その脇の傾斜台32の上に載せた板状のシート受治具33に受けられる。板状のシート受治具33は、突起状のストッパを有し、前記印刷済みのキャリアテープ付グリーンシートbを所定の位置に受ける。
【0020】その後、エアシリンダ31のプランジャが元位置に復帰することで、印刷台23が復帰して、スライドテーブル22の上に水平に置かれ、ここで前述と同様にして次のキャリアテープ付グリーンシートbの供給を受ける。前記キャリアテープ付グリーンシートbを載せたシート受治具33は、搬送機34で図示しない乾燥位置に搬送され、印刷された導電ペーストが乾燥される。
【0021】印刷機において前述のようにして電極パターンが印刷されたキャリアテープ付グリーンシートbは、乾燥の後、前記の搬送機34によって、シート受治具33ごと図4に示すシート反転機へ送られる。このシート反転機において、前記シート受治具33の導入部となるのは、治具受台35であり、この治具受台35の上にシート受治具33が動かないように保持される。この治具受台35は、その一端側が軸37を支点として揺動自在に支持されていると共に、その他端側にエアシリンダー36が連結され、同エアシリンダー36のプランジャーの延伸動作によって、治具受台35が軸37を支点として揺動される。
【0022】治具受台35の軸ピン37側に隣接して、シート反転台38が配置されている。このシート反転台38は、その上面を負圧に維持することができるとともに、突出、引き込み自在なストッパ40と位置決めピン39、39とを備えている。また、このシート反転台38の一端側は、駆動軸41aを介して回転駆動機構41に連結されており、回転駆動機構41によって、図4に示す位置から、矢印で示すように、時針方向に180°反転できるようになっている。
【0023】シート反転台38が図4において実線に示す位置にあるとき、ストッパ40をシート反転台38の上面から突出させると共に、位置決めピン39、39を引き込めた状態で、前記治具受台35を図4で示すように傾けると、シート受治具33のキャリアテープ付グリーンシートbがその上からシート反転台38の上に滑り落ち、ストッパ40で所定の位置に停止される。前記位置決めピン39、39は、ストッパ40で停止されたキャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔の位置に対応する位置に設けられており、同グリーンシートbがシート反転台38の上に乗った時点で、これら位置決めピン39、39がシート反転台38の上面から突出され、さらにキャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔に挿入されて、同キャリアテープ付グリーンシートbを所定の位置に固定する。これと同時に、シート反転台38の上面が負圧となり、キャリアテープ付グリーンシートbが同上面上に保持保持される。
【0024】シート反転台38の駆動軸41a側に隣接して、シート受台42が配置されている。このシート受台42は、その上面を負圧に維持することができると共に、前記シート反転台38の位置決めピン39、39に対応して、ピン受穴43を備えている。前記のようにして、キャリアテープ付グリーンシートbを上面に保持したシート反転台38は、そのストッパー40が引き込まれ、さらに回転駆動機構41によって、図4に実線で示す位置から、その駆動軸41aを支点として180°反転される。そうすると、その上のキャリアテープ付グリーンシートbが180°反転した状態、つまりキャリアテープ側が上側となった状態でシート受台42の上に載せられる。またこのとき、シート反転台38側の位置決めピン39がシート受台42側の突起受穴43に嵌合し、キャリアテープ付グリーンシートbをシート受台42の所定の位置に位置決めする。その後、シート反転台38のキャリアテープ付グリーンシートbに対する保持が解除されると共に、シート受台42の上面の保持が行なわれ、続いて回転駆動機構41により、シート反転台38が図4に実線で示す位置に戻される。これにより、シート受台42上に反転したキャリアテープ付グリーンシートbが残る。
【0025】このシート反転機側と後述する積層機側との間に、リニア駆動レール47が配置され、このリニア駆動レール47に沿って前記シート受台42と積層機側の積層台48との間を往復する搬送ヘッド44が設けられている。この搬送ヘッド44は、前記搬送ヘッド13と同様のものであり、昇降駆動部45を介して前記リニア駆動レール47に取り付けられている。また、搬送ヘッド44は、前記シート受台42のピン受け孔43の位置に対応してピン46を有する。このピン46は、エアシリンダー46aによって搬送ヘッド44の下面から突出したり引き込んだりすることができる点も、前記搬送ヘッド13と同様である。。
【0026】前述のようにして、シート受台42上にキャリアテープ付グリーンシートbが反転して載せられ、その後シート反転台38が図4に実線で示す元の位置の戻ったとき、前記搬送ヘッド44は、リニア駆動レール47の図4において左側に移動し、昇降駆動部45によって下降され、キャリアテープ付グリーンシートaの上に乗る。そして、ピン46が突出され、このピン46の先端がキャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔を通してその下のシート受台42のピン受穴43に僅かに入る。これによって、キャリアテープ付グリーンシートbが位置決め孔を基準として保持、保持される。その後、シート受台42の上面の負圧が解除されると共に、搬送ヘッド44が昇降駆動部45によって上昇され、続いてリニア駆動レール47上を積層機側に移動する。
【0027】図5にも示すように、積層機の積層台48は、その上面に多数の保持孔51、51…を有し、この吸引孔51、51…を通してグリーンシートの載置面である上面を負圧として、その上に裁断されたキャリアテープ付グリーンシートbを保持できるようになっている。さらに、この吸引孔51、51…を囲んで、前記搬送ヘッド44のピン46に対応する位置に位置決ピン49が設けられている。この位置決ピン49は、ごく低いものであるが、図6に示すエアシリンダ50で積層台48の上面から引き込むことができるようになっている。
【0028】前記搬送ヘッド44が図4で二点鎖線で示す位置に移動し、ここからさらに下降し、その下面に保持したキャリアテープ付グリーンシートbを積層台48の上に載せる。このとき、積層台48の位置決ピン49は突出しており、これに搬送ヘッド44のピン46の先端が当たる。その後、図5に示す積層台48の上面の吸引孔51、51…を通して、その上面が負圧になると共に、これによって積層台48の上にキャリアテープ付グリーンシートbが載せられる。このとき、前記位置決ピン49にキャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔eが嵌合され、これを基準として同キャリアテープ付グリーンシートbが積層台48上に載置される。この間、前述のようにして、シート反転台38で次のキャリアテープ付グリーンシートbがシート受台42の上に載せられ、その後、搬送ヘッド44が図4で実線で示す位置に戻り、その反転されキャリアテープ付グリーンシートbを保持する。以下、前述の動作を繰り返しながら、次々と必要な回数だけ、キャリアテープ付グリーンシートbが積層台48の上に運ばれ、積層される。
【0029】この間、積層台48上では、保持チャック61でキャリアテープdの端を保持し、キャリアテープdをグリーンシートの積層体cから順次剥していく。これによって、グリーンシートの積層体cのみが積層台48の上に残る。所定の枚数のグリーンシートが所定順序で積層台48の上に積層されたら、前記エアシリンダー50によって積層台48の上面から位置決ピン49が引き込められ、グリーンシートの積層体が図示しないプレス機に移動し、そこで本圧着される。
【0030】このように、積層されるグリーンシートは、前記キャリアテープ付グリーンシートbの位置決め孔を基準として積み上げられるため、各層のグリーンシートが互いに正確な位置で積み上げられる。そして、積み上げられるまでは、キャリアテープdごと取り扱われるため、薄いグリーンシートであっても、その搬送中に伸びや歪みが生じない。この場合のグリーンシートの積層順序は、個々の積層チップコンデンサにおいて、各々図7で示された積層順序となるように積層されるのは言うまでもない。なお、以上説明した実施例は、積層セラミックコンデンサの製造に本発明を適用したものであるが、積層セラミックインダクタや積層セラミックLCフィルタ等の製造についても、印刷パターン等が異なるだけで、同様にして本発明の印刷積層方法と装置を適用することが可能である。
【0031】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、額枠状のフレームを使用せず、グリーンシートをキャリアテープごと取り扱えると共に、正確な位置合わせのもので、それらに印刷し、積層することができるようになり、生産工程の簡易化と歩留りの向上により、生産性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における裁断機と印刷機の部分の要部側面である。
【図2】同実施例における印刷機の部分の平面図である。
【図3】同実施例における印刷機の部分の要部側面図である。
【図4】同実施例における反転機と積層機の部分を示す側面図である。
【図5】同実施例における積層機の積層台の概略斜視図である。
【図6】同実施例における積層機の積層台の概略側面図である。
【図7】積層セラミックコンデンサを製造するためのグリーンシートの積層順序の例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
11 裁断台
13 搬送ヘッド
15 搬送ヘッドのピン
17 リニア駆動レール
18 カッター
23 印刷台
25 印刷台のピン受穴
38 シート反転台
39 シート反転台の位置決めピン
44 搬送ヘッド
46 搬送ヘッドのピン
48 積層台
49 積層台の位置決ピン
a 裁断前のキャリアテープ付グリーンシート
b 裁断後のキャリアテープ付グリーンシート
c グリーンシートの積層体
d キャリアテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに裁断する工程と、裁断されたグリーンシートの上に所定のパターンを印刷する工程と、グリーンシートを所定の順序で積層し、圧着する工程とを有するグリーンシート印刷積層方法において、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムごと裁断すると共に、該グリーンシートに位置決め用の孔を開設し、裁断されたグリーンシートをキャリアフィルムごと搬送ヘッドで搬送する際に、前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込み、ピンでグリーンシートを保持しながら、同搬送ヘッドでグリーンシートを印刷台上に搬送し、該印刷台上で前記位置決め孔を基準としてグリーンシート上に所定のパターンを印刷し、印刷されたグリーンシートをキャリアフィルムごと前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込み、ピンでグリーンシートを保持しながら、同搬送ヘッドでグリーンシートを積層台上に搬送し、該積層台上で前記位置決め孔を基準として複数のグリーンシートを順次積層し、その都度キャリアフィルムをグリーンシートから剥離することを特徴とするグリーンシート印刷積層方法。
【請求項2】 キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを所定の大きさに裁断する裁断手段と、裁断されたグリーンシートを搬送ヘッドに保持し、搬送するグリーンシートの搬送手段と、該搬送手段で搬送されるグリーンシートを印刷台上で印刷する印刷手段と、搬送手段で搬送されるグリーンシートを積層台上で順次積層し、仮圧着する積層手段とを備えるグリーンシート積層装置において、前記裁断手段は、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムごと裁断すると共に、該グリーンシートに位置決め用の孔を開設するものであり、前記搬送手段は、裁断されたグリーンシートをキャリアフィルムごと搬送ヘッドで保持する際に、前記位置決め孔に該搬送ヘッドの位置決めピンを差込んで位置決めし、搬送するものであり、前記印刷手段の印刷台は、前記搬送ヘッドの位置決めピンを受けるピン受け孔を有するものであり、前記積層手段の積層台は、前記搬送ヘッドの位置決めピンに対応する位置に、積層台に載置されるキャリアフィルム付グリーンシートの位置決め用の孔に嵌合される位置決めピンを有するものであることを特徴とするグリーンシート印刷積層装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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