説明

グループウェアシステム、情報処理端末装置、グループウェア方法、及びグループウェアプログラム

【課題】グループウェアを利用する場合、エンドユーザが行う設定作業を省力化でき、また、どのユーザがどの情報処理端末装置を利用しても同一のデスクトップ環境を利用できるようにする。
【解決手段】グループウェアを他のクライアント装置で利用する場合、環境定義ファイルを引数として指定し、別システムからユーザ固有情報を取得し、FTPサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードし、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、別システムから取得したユーザ固有情報に更新し、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付け、メニューデータベースへアクセスし、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を初期画面として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループウェアソフトの利用時に、全ユーザに同一のデスクトップ環境を提供するグループウェアシステム、情報処理端末装置、グループウェア方法、及びグループウェアプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、グループウェアを利用する場合、クライアント装置(パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理端末装置)において、エンドユーザ自身の手による初期設定作業が必要となる。そして、エンドユーザにより設定された内容(クライアント環境)はクライアント装置のローカルディスクに保存される。よって、エンドユーザが普段使用しているクライアント装置以外の他の装置を使用する場合には、そのエンドユーザのIDファイル(ユーザIDやパスワード等)やクライアント環境を定義したファイル(個人アドレス帳やデスクトップ環境など)を持ち運ぶか、あるいは、ネットワーク上のサーバに保存するなど、エンドユーザ自身の手でクライアント環境を引き継ぐことを考えなければならず、また、別のクライアント装置において、再度初期設定作業を行ったり、ユーザIDを切り替える操作を行ったりする必要があるので、ユーザの手間がかかってしまう。
【0003】
このような情報処理端末装置におけるクライアント環境の設定に係る従来技術例として、自分の端末以外の端末を使用する場合にも、その端末を自分用に環境設定することができる「ユーザ環境設定システム、その方法及び記録媒体」がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−282729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、「各ユーザが自分の環境をホストからロードすることにより、各ユーザに適した環境を自動構成できる」ものであり、「環境構築に必要な情報のみをサーバからダウンロードして使用することにより、全ユーザに同一の環境を提供でき、不必要な環境設定変更を防ぐことができる(管理側の意図した設定を適用することが可能となる)」ものではない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グループウェアを利用する場合、エンドユーザが行う設定作業を省力化でき、また、どのユーザがどの情報処理端末装置を利用しても同一のデスクトップ環境を利用できるグループウェアシステム、情報処理端末装置、グループウェア方法、及びグループウェアプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバを有し、クライアント装置は、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定手段と、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得手段と、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード手段と、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、ユーザ固有情報取得手段で取得したユーザ固有情報に更新する手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有し、クライアント装置は、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付手段と、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバを有し、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有し、クライアント装置は、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定手段と、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得手段と、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード手段と、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、ユーザ固有情報取得手段で取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新手段と、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付手段と、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1又は3記載の発明において、ユーザ固有情報取得手段は、所定の記録媒体からユーザ固有情報を取得するか、又は、ユーザによるユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3記載の発明において、ユーザ固有情報更新手段は、環境初期化用ファイルダウンロード手段によりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、ユーザ固有情報取得手段で取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、共通メニュー画面表示手段は、ブックマークにスタートページ設定として、メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のグループウェアシステムで、クライアント装置として用いられることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェア方法であって、クライアント装置は、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定ステップと、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得ステップと、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロードステップと、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、ユーザ固有情報取得ステップで取得したユーザ固有情報に更新するステップと、を実行することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェア方法であって、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、クライアント装置は、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付ステップと、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示ステップと、を実行することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、クライアント装置は、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定ステップと、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得ステップと、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロードステップと、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、ユーザ固有情報取得ステップで取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新ステップと、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付ステップと、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示ステップと、を実行することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項8又は10記載の発明において、ユーザ固有情報取得ステップは、所定の記録媒体からユーザ固有情報を取得するか、又は、ユーザによるユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項8又は10記載の発明において、ユーザ固有情報更新ステップは、環境初期化用ファイルダウンロードステップによりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、ユーザ固有情報取得ステップで取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項9又は10記載の発明において、共通メニュー画面表示ステップは、ブックマークにスタートページ設定として、メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、クライアント装置に、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定処理と、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得処理と、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード処理と、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、ユーザ固有情報取得処理で取得したユーザ固有情報に更新する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、クライアント装置に、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付処理と、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示処理と、を実行させることを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、複数のクライアント装置と、複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、第1のサーバは、複数のユーザ全てに共通する、各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、クライアント装置に、環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定処理と、クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得処理と、第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード処理と、ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、ユーザ固有情報取得処理で取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新処理と、ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付処理と、メニューデータベースへアクセスし、共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示処理と、を実行させることを特徴とする。
【0022】
請求項17記載の発明は、請求項14又は16記載の発明において、ユーザ固有情報取得処理は、所定の記録媒体からユーザ固有情報を取得するか、又は、ユーザによるユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする。
【0023】
請求項18記載の発明は、請求項14又は16記載の発明において、ユーザ固有情報更新処理は、環境初期化用ファイルダウンロード処理によりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、ユーザ固有情報取得処理で取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする。
【0024】
請求項19記載の発明は、請求項15又は16記載の発明において、共通メニュー画面表示処理は、ブックマークにスタートページ設定として、メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、グループウェアを利用する場合に、エンドユーザが行う設定作業を省力化することができ、また、どのユーザがどの情報処理端末装置を利用しても同一のデスクトップ環境を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0027】
以下に説明する本発明の実施例では、グループウェアとして、Lotus Development社製の「ノーツ(Notes)」を利用する場合について説明するが、本発明はその他のグループウェアでも適用できる。
【0028】
まず、本実施例の構成について説明する。
本実施例のグループウェアシステムは、図1に示すように、FTP(File Transfer Protocol)サーバ100と、ドミノサーバ110と、クライアント装置であるPC120と、を有して構成される。なお、図1ではPC120のみを図示しているが、PCは複数あるものとする。
【0029】
FTPサーバ(第2のサーバ)100は、ユーザ固有の情報及び全ユーザ共通の情報を格納した環境初期化用ファイルを保持しており、PC120からのダウンロード要求に従い、環境初期化用ファイルをPC120に提供する。なお、環境初期化用ファイルについては後述する。
【0030】
ドミノサーバ(第1のサーバ)110は、ノーツ利用時にPC120からアクセスされる各種データベースを有する。なお、本実施例では、ドミノサーバ110には、ノーツ起動時の初期画面として表示され、各データベースへのリンク集となる「共通メニュー画面」を格納するメニューデータベース(以下メニューDBという)を備える。
【0031】
PC120は、ノーツを利用するために使用される情報処理端末装置である。なお、本実施例では、現在一般的に使用されているパーソナルコンピュータとするが、これに限られるものではない。
【0032】
次に、上記のように構成された本実施例のグループウェアシステムにおけるクライアント装置の動作(グループウェア方法及びグループウェアプログラム)について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
一般的にノーツを利用する場合には、ノーツを利用するユーザ個々のクライアント環境(個人アドレス帳,デスクトップ,notes.ini)をネットワーク上の共有サーバに保持するために、クライアント環境を定義したファイルのアップロード/ダウンロードを共有サーバに対して毎回行う必要がある。しかし、ユーザ全員のファイルを共有サーバに保持するには、それらのファイルを圧縮したとしても非常に大容量のハードディスクを必要とする。そこで、本実施例では、クライアント環境は固定とし、ユーザ個々では保持しないことにして、以下に説明する代替方法を採ることとした。
【0034】
ここでは、例として、社内等のLAN(Local Area Network)環境において、あるユーザが、普段使用しているPC以外のPC120を使用してノーツを利用する場合について説明する。
【0035】
まず、ユーザが、PC120において、初期設定プログラムを起動するための簡易な所定の操作を行うと、起動した初期設定プログラムにより、以下の各初期設定処理が開始される(図2のステップS1)。
【0036】
まず、導入環境に対応できるような柔軟性を持たせるため、環境定義ファイルを引数として指定する処理が行われる(図1の〈1〉及び図2のステップS2)。この環境定義ファイルは、変動する要素(例:FTPサーバの名称、ファイルの場所等)を内容とし、本実施例では予めPC120に保持されているものとする。
【0037】
次に、ユーザが別システム(ICカード等の記録媒体)130をPC120に接続すると、PC120に接続された別システム(ICカード等の記録媒体)130からSSO(Single Sign-On)情報を取得する処理が行われる(図1の〈2〉及び図2のステップS3)。SSO情報は、ユーザIDやパスワード等のユーザ固有の情報である。なお、本実施例では、SSO情報を別システムから取得したが、ユーザIDやパスワードを入力するための画面インターフェースを用意して、ユーザ自身に入力させるようにしてもよい。
【0038】
次に、クライアントを当該ログインユーザ毎に切り替えるための環境初期化用ファイルをFTPサーバ100からダウンロードする処理が行われる(図1の〈3〉及び図2のステップS4)。環境初期化用ファイルは表1に示す内容である。
【表1】

【0039】
次に、ダウンロードした環境初期化用ファイルのうち、個人アドレス帳及びnotes.ini(ユーザ固有の情報)を更新する処理が行われる(図1の〈4〉および図2のステップS4)。この更新は、個人アドレス帳(names.nsf)の個人別定義情報(メールファイル名、IDファイル名、メールサーバ名)に、取得したSSO情報を書き込むことにより更新する。
【0040】
以上により初期設定プログラムにより各初期設定処理が終了する。
【0041】
その後、ユーザが、PC120において、ノーツクライアントを起動するための簡易な所定の操作を行うと、ノーツクライアントが起動するとともに共通メニュー提供プログラムも起動し、この起動された共通メニュー提供プログラムにより、以下の各共通メニュー提供処理が行われる(図3のステップS11)。
【0042】
まず、クライアント装置に表示されるワークスペースに、ユーザのメールデータベースアイコンを貼り付ける処理が行われる(図2のステップS12)。これにより、ユーザは、自分でメールデータベースを探し出す操作を行うことなく利用できる。
【0043】
次に、ドミノサーバ110内のメニューDBへアクセスし、図1に示す共通メニュー画面50を表示する処理が行われる(図1の〈5〉および図2のステップS13)。これはブックマークにスタートページ設定としてメニューDBを割り当てることにより実現する。
【0044】
以上によりノーツ起動時には共通メニュー画面が初期画面として表示される。ユーザは、共通メニュー画面50に表示された所望のデータベースを、マウスクリック等により操作すると、そのデータベースの内容が画面表示される。
【0045】
なお、本実施例では、ノーツ起動時に表示される共通メニュー画面は1つとしたが、PC120の表示画面を2分割して、共通メニュー画面を2つ表示するようにしてもよい。この場合、例えば、1つは、会社全体で共通するデータベースを利用するための画面とし、もう1つは、ユーザが所属する部門で共通するデータベースを利用するための画面とすることができる。このように、用途に応じて複数の共通メニュー画面を分類して表示することにより、更にユーザの利便性を向上させることができる。
【0046】
以上のように、本実施例は、社内等のLAN環境であれば、どのPCからでも常に同一のデスクトップ画面(共通メニュー画面)が開き、どこでも同様の操作性を提供することが可能となる。よって、同一のデスクトップ画面により共通のメニューを提供することで、利用するクライアント装置を問わず同じ環境で業務が行える。また、ICカード等を利用したシングルサインオンの機能と連動させることで、利用者はICカード等をクライアント装置に差し込み、ノーツを起動するだけで同一環境が利用できるようになる。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施例は、以下効果を奏する。
第1の効果は、エンドユーザは一切の準備作業をすることなく、ノーツ利用初心者であっても直ぐに利用することができることにある。
その理由は、初期設定プログラムによる環境設定の自動化と、共通メニュー画面により業務で利用する全てのデータベースへの入り口が用意されていることにある。
【0048】
第2の効果は、新規にデータベースを公開したり、データベースを廃止して非公開としたりする場合などにおいて、エンドユーザへの作業指示は特に発生せず、共通メニュー画面の表示を変更するだけで済むことである。
その理由は、データベースへの入り口のすべてを共通メニュー画面に集約化したことにある。
【0049】
第3の効果は、IDファイルの管理やパスワードの管理がエンドユーザで発生しないことからセキュリティ面でのリスク低減は図れることである。
その理由は、SSOと組み合わせることによりエンドユーザに対してさえ、そのユーザのIDやパスワード情報を一切公開する必要がないためである。
【0050】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、グループウェアソフトを利用し、クライアント装置を共用する場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例であるグループウェアシステムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施例であるグループウェアシステムのクライアント装置の初期設定動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例であるグループウェアシステムのクライアント装置の共通メニュー提供動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
50 共通メニュー画面
100 FTPサーバ
110 ドミノサーバ
120 PC(クライアント装置)
130 別システム(ICカード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、
クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバを有し、
前記クライアント装置は、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定手段と、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得手段と、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード手段と、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、前記ユーザ固有情報取得手段で取得したユーザ固有情報に更新する手段と、
を有することを特徴とするグループウェアシステム。
【請求項2】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有し、
前記クライアント装置は、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付手段と、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示手段と、
を有することを特徴とするグループウェアシステム。
【請求項3】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバとがネットワークに接続され、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、
クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバを有し、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有し、
前記クライアント装置は、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定手段と、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得手段と、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード手段と、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、前記ユーザ固有情報取得手段で取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新手段と、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付手段と、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示手段と、
を有することを特徴とするグループウェアシステム。
【請求項4】
前記ユーザ固有情報取得手段は、所定の記録媒体から前記ユーザ固有情報を取得するか、又は、前記ユーザによる前記ユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする請求項1又は3記載のグループウェアシステム。
【請求項5】
前記ユーザ固有情報更新手段は、前記環境初期化用ファイルダウンロード手段によりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、前記ユーザ固有情報取得手段で取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする請求項1又は3記載のグループウェアシステム。
【請求項6】
前記共通メニュー画面表示手段は、ブックマークにスタートページ設定として、前記メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする請求項2又は3記載のグループウェアシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のグループウェアシステムで、クライアント装置として用いられることを特徴とする情報処理端末装置。
【請求項8】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェア方法であって、
前記クライアント装置は、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定ステップと、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得ステップと、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロードステップと、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、前記ユーザ固有情報取得ステップで取得したユーザ固有情報に更新するステップと、
を実行することを特徴とするグループウェア方法。
【請求項9】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェア方法であって、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、
前記クライアント装置は、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付ステップと、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示ステップと、
を実行することを特徴とするグループウェア方法。
【請求項10】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアシステムであって、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、
前記クライアント装置は、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定ステップと、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得ステップと、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロードステップと、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、前記ユーザ固有情報取得ステップで取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新ステップと、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付ステップと、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示ステップと、
を実行することを特徴とするグループウェア方法。
【請求項11】
前記ユーザ固有情報取得ステップは、所定の記録媒体から前記ユーザ固有情報を取得するか、又は、前記ユーザによる前記ユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする請求項8又は10記載のグループウェア方法。
【請求項12】
前記ユーザ固有情報更新ステップは、前記環境初期化用ファイルダウンロードステップによりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、前記ユーザ固有情報取得ステップで取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする請求項8又は10記載のグループウェア方法。
【請求項13】
前記共通メニュー画面表示ステップは、ブックマークにスタートページ設定として、前記メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする請求項9又は10記載のグループウェア方法。
【請求項14】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、
前記クライアント装置に、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定処理と、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得処理と、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード処理と、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有情報を、前記ユーザ固有情報取得処理で取得したユーザ固有情報に更新する処理と、
を実行させることを特徴とするグループウェアプログラム。
【請求項15】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、
前記クライアント装置に、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付処理と、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示処理と、
を実行させることを特徴とするグループウェアプログラム。
【請求項16】
複数のクライアント装置と、該複数のクライアント装置からアクセスされる各種データベースを備えた第1のサーバと、クライアント環境を定義した環境初期化用ファイルを保持する第2のサーバと、をネットワークに接続し、複数のユーザによってネットワーク上の共同作業を実現するグループウェアプログラムであって、
前記第1のサーバは、
前記複数のユーザ全てに共通する、前記各種データベースへのリンク集である共通メニュー画面を保持するメニューデータベースを有しており、
前記クライアント装置に、
環境定義ファイルを引数として指定する環境定義ファイル引数指定処理と、
前記クライアント装置のユーザを識別するためのユーザ固有情報を取得するユーザ固有情報取得処理と、
前記第2のサーバから環境初期化用ファイルをダウンロードする環境初期化用ファイルダウンロード処理と、
前記ダウンロードした環境初期化用ファイルに含まれるユーザ固有の情報を、前記ユーザ固有情報取得処理で取得したユーザ固有情報に更新するユーザ固有情報更新処理と、
前記ユーザのメールデータベースアイコンをワークスペースに貼り付けるアイコン貼付処理と、
前記メニューデータベースへアクセスし、前記共通メニュー画面を初期画面として表示する共通メニュー画面表示処理と、
を実行させることを特徴とするグループウェアプログラム。
【請求項17】
前記ユーザ固有情報取得処理は、所定の記録媒体から前記ユーザ固有情報を取得するか、又は、前記ユーザによる前記ユーザ固有情報の画面入力によって取得することを特徴とする請求項14又は16記載のグループウェアプログラム。
【請求項18】
前記ユーザ固有情報更新処理は、前記環境初期化用ファイルダウンロード処理によりダウンロードされた環境初期化用ファイルに含まれる、個人アドレス帳のメールファイル名、IDファイル名、及びメールサーバ名に、前記ユーザ固有情報取得処理で取得されたユーザ固有情報を書き込むことにより更新することを特徴とする請求項14又は16記載のグループウェアプログラム。
【請求項19】
前記共通メニュー画面表示処理は、ブックマークにスタートページ設定として、前記メニューデータベースを割り当てることにより実現することを特徴とする請求項15又は16記載のグループウェアプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−108068(P2008−108068A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290294(P2006−290294)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】