説明

グループ撮像検査のデータ処理

マルチ被写体ボリュームを処理するシステムが、同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセット13を受信するボリューム入力部1を有する。メタデータ入力部2は、被写体の個別の1つに関するメタデータ15を受信する。被写体ファインダー3は、入力ボリューム画像データセット13の複数の部分を特定する。各部分は、被写体の1つを含む。ボリューム画像データセット生成器4は、複数の別々のボリューム画像データセット16を生成する。各別々のボリューム画像データセット7は、入力ボリューム画像データセットの部分の1つを含む。メタデータハンドラ5は、被写体を含む部分を備える別々のボリューム画像データセット7と、被写体に関するメタデータ15とを関連付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ被写体ボリュームの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床前研究は、生物学的プロセスに対する新しい洞察を発見又は調査するための仮説によって駆動されるプログラムにより特徴づけられる。これらのプログラムの目的は、臨床前研究の間、有望であることが判明した場合、究極的には動物モデルから人間へと転換される、生物マーカー、薬及び治療法の系統的発見及び開発である。人間の疾患に関する小動物のモデル、特に遺伝子工学によるマウスが、臨床前研究において広く使われている。分散分布グループにおける研究(薬を服用した動物の例示グループ vs 動物の対照グループ)が、仮説を立証するために行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生体内撮像は、分子プローブ及び関連する生物学的プロセスの時間及び空間バイオ分布が、無傷の生体の被写体にわたり、より意味ある態様で決定されることを可能にする。それは、より高いスループットを実現するため、スキャナにおいて同時に複数の被写体を撮像することが可能である。結果として生じる画像データの処理、評価及び視覚化は、例えばPhilips HealthcareのIMALYTICS Workspaceといった臨床前ワークステーションを用いて実行されることができる。
【0004】
マルチ被写体ボリュームの改良された処理を持つことは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この懸念により好適に処理するため、本発明の第1の側面は、
同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを受信するボリューム入力部と、
上記被写体の個別の1つに関するメタデータを受信するメタデータ入力部と、
上記入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定する被写体ファインダーであって、各部分が、上記被写体の1つを含む、被写体ファインダーと、
複数の別々のボリューム画像データセットを生成するボリューム画像データセット生成器であって、各別々のボリューム画像データセットが、上記入力ボリューム画像データセットの部分の1つを含む、ボリューム画像データセット生成器と、
上記被写体を含む部分を備える上記別々のボリューム画像データセットと、被写体に関する上記メタデータとを関連付けるメタデータハンドラとを有する。
【0006】
複数の被写体が画像スキャナにおいて同時にスキャンされるとき、すべてのスキャンされる被写体が見えるボリューム画像データセットが結果として生じることができる。しかしながら、これらのデータを組織化又は評価することは困難である。なぜなら、このデータセットは、それらに適用可能な異なるメタデータを持つことができる複数の被写体を有するからである。関連付けられる適切なメタデータを持つ別々のボリューム画像データセットを生成することにより、関連付けられるメタデータを用いて、個別の被写体の画像を検索することが可能になる。また、単一の被写体の視覚化は改善される。なぜなら、1つの被写体の表示が、他の被写体により乱されないからである。
【0007】
上記ボリューム画像データセット生成器が、上記別々のボリューム画像データセットを含むファイルを生成するファイル生成器を有することができる。更に、上記メタデータハンドラは、上記ファイルに上記メタデータを含めるため上記ボリューム画像データセット生成器に動作可能に接続されることができる。ファイルは、別々のボリューム画像データセットを格納及び/又は送信するのに便利なフォーマットである。
【0008】
別々のボリューム画像データセットは、DICOMフォーマットとすることができる。メタデータは、DICOM属性として表されることができる。これは、別々のボリューム画像データセットに関してDICOMフォーマットが用いられることを可能にする。結果的に、DICOMツールが、別々のボリューム画像データセットの処理及び/又はデータマイニングに関して用いられることができる。例えば、ファイルは、メタデータがDICOM属性として格納されることができるDICOMファイルとすることができる。
【0009】
上記ボリューム入力部が、上記入力ボリューム画像データセットをDICOMフォーマットで受信するよう構成されることができる。これは、例えば医療画像スキャナといったDICOM撮像装置及び/又はDICOMベースの医療画像リポジトリから、システムがデータを受信することを可能にする。
【0010】
上記複数の被写体が、異なる研究グループに属し、上記メタデータは、被写体が属する上記研究グループを示すことができる。こうして、異なる被写体グループのスキャンを検索することが、より容易にされる。異なる研究グループからの被写体を含む画像ボリュームスキャンに組み込まれる場合、特定の研究グループに属する被写体のスキャンを検索することは困難である。
【0011】
上記メタデータ入力部が、上記被写体の各々に関する情報フィールドをユーザが入力することを可能にするユーザインタフェース要素を有することができる。これは、各々の被写体に関連付けられるメタデータをユーザが決定することを可能にする。
【0012】
上記メタデータ入力部が、上記被写体の個別の1つの識別子を示すメタデータを受信するよう構成されることができる。識別子はメタデータの有益なフォームである。なぜなら、それが被写体を特定するからである。他のメタデータが、含まれることもできる。
【0013】
上記メタデータハンドラが、上記別々のボリューム画像データセットと上記入力ボリューム画像データセットの識別子とを関連付けるよう構成されることができる。これは、別々のボリューム画像データセットから入力ボリューム画像データセットをトレースバックすることを可能にする。
【0014】
このシステムは更に、クエリを受信するクエリ入力部と、上記メタデータが上記クエリにマッチする1つ又は複数の別々のボリューム画像データセットを検索する検索エンジンとを有することができる。これは、メタデータに基づき別々のボリューム画像データセットを見つけることを可能にする。
【0015】
上記のシステムは、臨床前ワークステーションに含まれることができる。
【0016】
画像取得装置が、同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを取得する画像スキャナを更に有することができる。これは、入力ボリューム画像データセットを取得すること、及び同じ装置を用いて別々のボリューム画像データセットを生成することを可能にする。
【0017】
本発明の別の側面は、マルチ被写体ボリュームを処理する方法を提供する。この方法は、
同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを受信するステップと、
上記被写体の個別の1つに関するメタデータを受信するステップと、
上記入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定するステップであって、各部分が、上記被写体の1つを含む、ステップと、
複数の別々のボリューム画像データセットを生成するステップであって、各別々のボリューム画像データセットが、上記入力ボリューム画像データセットの部分の1つを含む、ステップと、
上記被写体を含む部分を備える上記別々のボリューム画像データセットと、被写体に関する上記メタデータとを関連付けるステップとを有する。
【0018】
本発明の別の側面は、上述の方法をプロセッサシステムに実行させる命令を有するコンピュータプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マルチ被写体ボリュームを処理するシステムの図である。
【図2】マルチ被写体ボリュームを処理する方法の図である。
【図3】2つの被写体を有する画像データセットの視覚化を示す図である。
【図4】ボリュームにおいて複数の被写体を見つけ出す例示的な処理の図である。
【図5】入力ボリューム画像データセットの中央スライスのスケッチを示す図である。
【図6】3次元画像ボリュームデータセットの2次元スケッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の上述の特徴、実施形態、実現及び/又は側面の2つ又はこれ以上が有益と思われる任意の態様で結合されることができる点を当業者であれば理解されるであろう。
【0021】
システムについて上述された修正及び変形に対応する、画像取得装置の、ワークステーションの、システムの、方法の、及び/又はコンピュータプログラムの修正及び変形が、本書の記載に基づき当業者により実施されることができる。
【0022】
当業者であれば、本方法が、様々なモダリティにより撮像される、例えば2次元(2D)、3次元(3D)又は4次元(4D)画像といった多次元画像データに適用されることができる点を理解されるであろう。斯かるモダリティは、以下に限定されるものではないが、例えば、標準的なX線イメージング、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波(US)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出断層撮影(SPECT)及び核医学(NM)を含む。
【0023】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に説明される実施形態を参照して明らかとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0024】
以下、本発明の側面が更に詳細に説明される。しかしながら、この説明は、本発明の可能な実施形態及びこれらの利点を示すために機能するだけである点を理解されたい。当業者であれば、これらの実施形態の変形に到達可能である。
【0025】
図1は、マルチ被写体ボリュームを処理するシステムを示す。このシステムは、異なる態様で、例えば適切にプログラムされたコンピュータを用いて実現されることができる。専用の電子機器回路を含む他の実現も可能である。
【0026】
このシステムは、入力ボリューム画像データセット13を受信するボリューム入力部1を含むことができる。このデータセットは、同時にスキャンされる複数の被写体を含むことができる。例えば、ボリューム入力部1は、ディスクインタフェース又は画像リポジトリとのネットワーク接続を含む。ボリューム入力部1は、画像スキャナ14との直接的な接続も含むことができる。このシステムは更に、被写体の各個人に関連するメタデータ15を受信するメタデータ入力部2を有することができる。
【0027】
被写体ファインダー3は、入力ボリューム画像データセット13を解析するよう構成されることができる。被写体ファインダー3は、入力ボリューム画像データセット13の複数の部分を特定することを試みることができる。各部分は、被写体の1人を含む。試みが成功しない場合、入力ボリューム画像データセット13の処理を停止することが可能である。なぜなら、それは、ただ1つの被写体しか含んでいないからである。代替的に、システムは、ユーザが部分を示すことを可能にするユーザインタフェース要素を有することができる。部分が特定されたとき、複数の別々のボリューム画像データセット16を生成するボリューム画像データセット生成器4に、これらの部分は転送されることができる。別々のボリューム画像データセット7はそれぞれ、入力ボリューム画像データセットの部分の1つを有する。こうして、別々のボリューム画像データセットはそれぞれ、被写体の1つを有する。
【0028】
メタデータハンドラ5は、別々のボリューム画像データセット16と適切なメタデータ15とを関連付けるよう構成されることができる。特に、特定の被写体に関して受信されるメタデータ15は、その特定の被写体を含む部分を有する対応する別々のボリューム画像データセット7に関連付けられる。本書において、「部分」は、入力ボリューム画像データセットの部分を意味する。
【0029】
ボリューム画像データセット生成器4は、ファイル生成器6を有することができる。ファイル生成器6は例えば、ファイルシステムにおけるファイルといったファイルを生成するよう構成されることができる。ファイル生成器6は、このため、適切なオペ−レーティングシステム呼び出しを実行するよう構成されることができる。別の例において、このファイルは、データストリームとして送信されることができる。このファイルは、別々のボリューム画像データセット7を有する。メタデータハンドラ5は、ボリューム画像データセット生成器4に動作可能に接続されることができる。その結果、対応する被写体を含む別々のボリューム画像データセットを持つファイルに、適切なメタデータが含まれる。しかしながら、テーブル又はデータベースにおいて対応する別々のボリューム画像データセット7への参照と共にメタデータを格納することも可能である。別々のボリューム画像データセット7とメタデータとを関連付ける他の態様も可能である。ファイル生成器6により生成されるファイルは、DICOMファイルとすることができる。しかしながら、これは限定ではない。別々のボリューム画像ファイルを格納及び/又は送信する他のファイル形式が、当業者には明らかである。
【0030】
一般に、別々のボリューム画像データセット7は、DICOMフォーマットとすることができる。この場合、メタデータは、DICOM属性として表される。例えば、別々のボリューム画像データセット7が、ネットワークにわたり送信されることができるDICOMストリームとして表されることができる。
【0031】
ボリューム入力部1は、入力ボリューム画像データセット13をDICOMフォーマットで受信するよう構成されることができる。従って、画像スキャナ14は、入力ボリューム画像データセット13をDICOMフォーマットで生成するよう構成されることができる。
【0032】
DICOMは、「Digital Imaging and Communications in Medicine」の略記である。これは、医学において使用される異なる種類の画像データのフォーマットを規定する業界標準である。
【0033】
入力ボリューム画像データセットに含まれる複数の被写体が、異なる検査グループに属することが可能である。例えば、いくつかの被写体は、第1の研究グループに属し、他のいくつかは、第2の研究グループに属する場合がある。メタデータ15は、被写体が属する研究グループを示すことができる。例えば、メタデータ15は、被写体に関する適切な研究グループの識別子を有することができる。メタデータハンドラは、そのメタデータ、即ちその識別子を、その被写体を含む別々のボリューム画像データセットに関連付けるよう構成されることができる。この関連付けは、本書に記載される態様で、例えば、ファイル又はDICOMファイルに包含することにより、又は他の任意の態様で実行されることができる。
【0034】
請求項1に記載のシステムによれば、メタデータ入力部2が、被写体のいずれか又はそれぞれに関連する1つ又は複数の情報フィールドをユーザが入力することを可能にするユーザインタフェース要素8を有する。
【0035】
メタデータ入力部2は、被写体の個別の1つの識別子を示すメタデータ15を受信するよう構成されることができる。この識別子15は、上述された態様で、メタデータハンドラ5により別々のボリューム画像データセット7に関連付けられることができる。更に、メタデータハンドラ2は、別々のボリューム画像データセットと入力ボリューム画像データセットの識別子とを関連付けるよう構成されることができる。
【0036】
このシステムは更に、データマイニングを実行するサブシステムを有することができる。中でも、1つ又は複数の入力ボリューム画像データセットからシステムにより生成される別々のボリューム画像データセットのデータマイニングを実行することができる。斯かるデータマイニングサブシステムは、クエリを受信するクエリ入力部9を有することができる。例えば、クエリ入力部9は、ユーザからクエリを受信するよう構成される。代替的に、所定のクエリが、別のソースから取得されることができる。検索エンジン10は、メタデータがクエリにマッチする1つ又は複数の別々のボリューム画像データセット7を検索するよう構成されることができる。
【0037】
このシステムは、例えば臨床前ワークステーションといったコンピュータワークステーションとして実現されることができる。
【0038】
画像スキャナ14は、入力ボリューム画像データセットを提供するため、ボリューム入力部1に対して動作可能に結合されることができる。画像スキャナ14は、MR、PET、SPECT、超音波又はCT画像を生成するよう構成されることができる。他の撮像モダリティが、用いられることもできる。画像スキャナ14は、人間をスキャンするのに適した医療画像スキャナを有することができる。画像スキャナ14は、例えば小動物といった複数の被写体が一度でスキャンされるための十分なスペースを可能にする。これにより、複数の被写体の表現を有する入力ボリューム画像データセットが生じる。マルチ被写体ボリュームを処理するシステムが、画像取得装置を形成するため、画像スキャナ14を有することができる。
【0039】
図2は、マルチ被写体ボリュームを処理する方法を示す。この方法は、同時にスキャンされる複数の被写体を有する入力ボリューム画像データセットを受信するステップ201を含む。例えば、入力ボリューム画像データセットが、メモリ又は画像スキャナから受信されることができる。ステップ202において、被写体の個別の1つに関連するメタデータが受信される。この方法は、メタデータをユーザが入力することを可能にするステップを有することができる。代替的に、この方法は、メタデータをメモリ又は別のソースから、例えば画像スキャナから受信するステップを有することができる。この方法は更に、入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定するステップ203を有することができる。各部分は、被写体の1つを有する。このステップは、メタデータを受信するステップと独立して実行されることができる。代替的に、メタデータは、入力ボリューム画像データセットにおける被写体の数を示し、この情報は、対応する数の部分を特定するために用いられる。メタデータにおける他の情報が、特定ステップ203において用いられることができる。この他の情報は例えば、入力ボリューム画像データセットにおける被写体の形状又は被写体の位置に関する情報である。この方法は更に、複数の別々のボリューム画像データセットを生成するステップ204を有することができる。各別々のボリューム画像データセットは、入力ボリューム画像データセットの部分の1つを有する。結果的に、各別々のボリューム画像データセットは、被写体の1つを有する。この方法は更に、被写体を含む部分を備える別々のボリューム画像データセットと被写体に関するメタデータとを関連付けるステップ205を有することができる。このため、メタデータは、入力ボリューム画像データセットにおける被写体の相対的及び/又は絶対的な位置に関する情報を有することができる。斯かる情報は、正確な別々のボリューム画像データセットと正確なメタデータとを関連付けるために用いられることができる。
【0040】
この方法は、コンピュータプログラムとして実現されることができる。
【0041】
本書に記載される技術は、とりわけ、グループ研究に関する画像スキャン及び定量的結果の簡単なアクセス及び/又はデータ管理を可能にすることができる。撮像スキャンにおける複数の被写体の存在は、臨床前研究ワークフローにおいて課題をもたらす場合がある。複数の被写体が存在する場合、関連する被写体ID、グループ名及び解析データを被写体に関連付けることは、わずらわしい場合がある。アーカイブされた別々のボリューム画像データセットは、挫傷名、グループ名といったグループ属性に基づき取得されることができる。特に、これらの属性がメタデータに含まれる場合に、そうなる。既存の臨床前用途の画像解析ユーザインタフェースは、所与の被写体の撮像データと解析されたデータ又は統計結果とを関連付けるようカスタマイズされることができる。これは、撮像検査と定量化データとをより好適に一体化することをもたらすことができる。
【0042】
ユーザインタフェースは、例えば主任研究員、検査に関連するグループ及び各グループに関連付けられる被写体といった発見プロジェクトに関する情報のセットを集めることを可能にすることができる。発見プロジェクトは、プロジェクト名によりアクセス及び格納されることができる。これは、所与のプロジェクトに関連付けられる被写体データが一緒に格納されることを可能にする。
【0043】
臨床前グループ検査におけるデータの階層は、機関で実行される異なるプロジェクトを有することができる。プロジェクトは、被写体の複数のグループを有することができる。各グループは、異なる種類の実験を受けることができる。各グループは、複数の被写体を有することができる。撮像装置の高いスループットのため、複数の被写体が同時にスキャンされることができる。例えば、図3は、2つの被写体を有する入力ボリューム画像データセットの視覚化を示す。これらの被写体が、必ずしも同じグループ及び/又はプロジェクトに属するわけではない。これは、データの使用をわずらわしくする場合がある。なぜなら、入力ボリューム画像データセットが、単一のグループ及び/又はプロジェクトに属するわけではないからである。
【0044】
撮像スキャンにおいて異なる研究グループからの複数の被写体が存在することは、ワークフローにおいて課題をもたらす。撮像検査において研究グループからの被写体がある場合、関連する被写体ID、グループ名及び解析データと被写体とを関連付けることは、わずらわしくなる。例えば、DICOMといった画像フォーマットは、単一の被写体に関する情報を格納することができる。本書に記載される技術は、複数の被写体のボリュメトリックデータを含む撮像スキャンから被写体あたりのボリュメトリックデータを生成すること、及び別々のDICOMシリーズとして被写体のボリュメトリックデータを格納することを容易にする。この方法は、所与のスキャンにおける複数の被写体の存在を自動的に決定し、被写体あたりの新しいボリュメトリックデータを生成することができる。被写体につき生成されるボリュメトリックデータは、より好適なワークフロー管理、及び(ワークフローの後の部分における)生成された解析データの被写体との一体化のため、新しいDICOMシリーズとして保存されることができる。
【0045】
被写体に関連付けられるメタデータ属性は、例えば、プロジェクトID、プロジェクト名、プロジェクト詳細、主任研究員、検査、検査ID、検査詳細、科学技術者、モダリティタイプ、スキャンタイプ、取得プロトコル、再構成プロトコル、挫傷名及び/又は検査タイプ(個人又はグループ)を有することができる。
【0046】
図1に戻ると、被写体ファインダー3は、多くの異なる態様において実現されることができる。セグメント化アルゴリズムは、被写体をセグメント化し、例えば、被写体の周りの境界ボックスを決定するために用いられることができる。
【0047】
図4は、被写体ファインダー3により実行されることができる例示的な処理を示す。この処理は、図5及び図6に示される例を参照して説明されることになる。図5は、入力ボリューム画像データセットの中央のスライスを示し、図6は、3次元画像ボリュームデータセットの例示的な2次元スケッチを示す。第1に、ステップ401において、入力ボリューム画像データセットが受信される。1つ以上の被写体を含むことが既に知られている場合、フローはステップ408に進む。そうでなければ、まず、1つ以上の被写体が入力ボリューム画像データセットに存在するかがチェックされる。例えば、ステップ402―406が、以下のように用いられることができる。ステップ402において、中央のスライス501が、医療撮像モダリティから取得されるボリュメトリックデータセットから抽出されることができる。ステップ404において、光線合計技術が、中央のスライスの2つの軸に沿った確率分布関数を作成するために用いられることができる。中央のスライス501における画像要素のすべての列502又は行503に対して、閾値より大きい強度値を持つピクセルの数を計数することにより光線合計が計算されることができる。光線合計を計算する他の態様も可能である。ステップ405において、撮像検査における複数の被写体の存在が、推定された確率分布(即ち行確率分布504又は列確率分布505)の1つ又は両方における複数のピークの存在により検出されることができる。図5の例において、列確率分布505における2つのピーク506及び507は、2つの被写体が画像データセットに存在することを示す。ステップ406において、複数の被写体が検出されない場合、この処理はターミネータ407で終わる。そうでなければ、この処理は、入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定することにより続く。各部分は、被写体の1つを有する。例えば、これは、以下に説明されるように、ステップ408〜409を用いて実行されることができる。ステップ408において、被写体のボリュメトリックデータの自動セグメント化及びラベル付けが実行されることができる。閾値及び3D接続要素ラベル付けアルゴリズムが、ボリュメトリックデータセットにおける被写体をセグメント化し、及びラベル付けするのに用いられることができる。接続要素ラベル付けは、ボリュメトリックデータセットをスキャンし、ボクセル接続性に基づき(このボクセルは、同様な強度特性を持つ)、そのボクセルを要素へとグループ化する。接続要素ラベル付けの終わりに、各被写体のボリュメトリックデータは、異なるラベルを与えられることができる。ステップ409において、関心ボリュームが、各被写体に対して規定されることができる。例えば、(角座標(Xmin、Ymin、Zmin)及び(Xmax、Ymax、Zmax)を用いて、)境界ボックスが、各ラベルに関して計算されることができる。図6は、個別の被写体601及び602に関する2つの境界ボックス603及び604を持つ3次元画像ボリュームデータセット600の例示的な2次元スケッチを示す。計算された境界ボックスは、被写体の関心ボリューム又は被写体のボリュメトリックデータを含むサブボリュームを表す。ステップ410において、3次元画像ボリュームデータセット600及び境界ボックス603及び604は、ボリューム画像データセット生成器4へと転送される。この生成器は、例えば新しいDICOMシリーズとしてフォーマットされる、別々のボリューム画像データセット7として被写体にあたりのサブボリュームをそれぞれ保存することができる。
【0048】
本発明は、本発明を実行するよう構成されるコンピュータプログラムに、特に担体上又は内のコンピュータプログラムにも適用さることを理解されたい。このプログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた中間ソースコード及び中間オブジェクトコードの形式、又は本発明による方法を実現するための使用に適した他の任意の形式とすることができる。斯かるプログラムが、多くの異なる設計上のデザインを持つことができる点も理解されたい。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実現するプログラムコードは、1つ又は複数のサブルーチンに分割されることができる。これらのサブルーチンにおける機能を分散させる多くの異なる態様が当業者には明らかであろう。このサブルーチンは、自己完結的なプログラムを形成するため、1つの実行可能ファイルに一緒に格納されることができる。斯かる実行可能ファイルは、コンピュータ実行可能な命令、例えばプロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えばJavaインタプリタ命令)を有することができる。代替的に、1つ又は複数又は全てのサブルーチンが、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに格納されることができ、及び例えば実行時にメインプログラムに静的に又は動的にリンクされることができる。メインプログラムは、少なくとも1つのサブルーチンへの少なくとも1つの呼び出しを含む。サブルーチンは、互いに対する関数呼び出しを有することもできる。コンピュータプログラムに関する実施形態は、記載される方法の少なくとも1つにおける処理ステップの各々に対応するコンピュータ実行可能な命令を有する。これらの命令は、サブルーチンに再分割されることができ、及び/又は静的に若しくは動的にリンクされることができる1つ又は複数のファイルに格納されることができる。コンピュータプログラムに関する別の実施形態は、本書に記載されるシステム及び/又は製品のうちの少なくとも1つにおける各手段に対応するコンピュータ実行可能な命令を有する。これらの命令は、サブルーチンに再分割されることができ、及び/又は静的に若しくは動的にリンクされることができる1つ又は複数のファイルに格納されることができる。
【0049】
コンピュータプログラムの担体は、プログラムを実行することができる任意のエンティティ又はデバイスとすることができる。例えば、担体は、CDROM又は半導体ROMといったROMのようなストレージ媒体、又は例えばフロッピーディスク又はハードディスクといった磁気記録媒体を含むことができる。更に、担体は、例えば電気又は光学信号といった通信可能担体とすることができる。これは、電気又は光学ケーブルを介して又は無線又は他の手段により搬送されることができる。プログラムが斯かる信号において実現されるとき、担体は、斯かるケーブル又は他のデバイス又は手段により構成されることができる。代替的に、担体は、プログラムが埋め込まれる集積回路とすることができる。この集積回路は、関連する方法を実行するよう構成されるか、又は関連する方法の実行に使用されるよう構成される。
【0050】
上述された実施形態は本発明を限定するものではなく、説明するものであり、当業者であれば、添付された請求項の範囲から逸脱することなく、代替的な多くの実施形態をデザインすることができることになることに留意されたい。請求項において、括弧内に配置されるいかなる参照符号も請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する」及びその共役の使用は、請求項において述べられる要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。ある要素に先行する「a」又は「an」という語は、斯かる要素が複数存在することを除外するものではない。本発明は、複数の個別の要素を有するハードウェアを用いて、及び適切にプログラムされたコンピュータを用いて実現されることができる。複数の手段を列挙するデバイスクレームにおいて、複数のこれらの手段がハードウェアの1つの同じアイテムにより実現されることができる。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ被写体ボリュームを処理するシステムであって、
同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを受信するボリューム入力部と、
前記被写体の個別の1つに関するメタデータを受信するメタデータ入力部と、
前記入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定する被写体ファインダーであって、各部分が、前記被写体の1つを含む、被写体ファインダーと、
複数の別々のボリューム画像データセットを生成するボリューム画像データセット生成器であって、各別々のボリューム画像データセットが、前記入力ボリューム画像データセットの部分の1つを含む、ボリューム画像データセット生成器と、
前記被写体を含む部分を備える前記別々のボリューム画像データセットと、被写体に関する前記メタデータとを関連付けるメタデータハンドラとを有する、システム。
【請求項2】
前記ボリューム画像データセット生成器が、前記別々のボリューム画像データセットを含むファイルを生成するファイル生成器を有し、前記メタデータハンドラは、前記ファイルに前記メタデータを含めるため前記ボリューム画像データセット生成器に動作可能に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記別々のボリューム画像データセットが、DICOMフォーマットであり、前記メタデータは、DICOM属性として表される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ボリューム入力部が、前記入力ボリューム画像データセットをDICOMフォーマットで受信するよう構成される、請求項1又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の被写体が、異なる研究グループに属し、前記メタデータは、被写体が属する前記研究グループを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記メタデータ入力部が、前記被写体の各々に関する情報フィールドをユーザが入力することを可能にするユーザインタフェース要素を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記メタデータ入力部が、前記被写体の個別の1つの識別子を示すメタデータを受信するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記メタデータハンドラが、前記別々のボリューム画像データセットと前記入力ボリューム画像データセットの識別子とを関連付けるよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
クエリを受信するクエリ入力部と、
前記メタデータが前記クエリにマッチする1つ又は複数の別々のボリューム画像データセットを検索する検索エンジンとを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
画像取得装置であって、
同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを取得する画像スキャナと、
請求項1に記載のシステムとを有する、画像取得装置。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムを有する臨床前ワークステーション。
【請求項12】
マルチ被写体ボリュームを処理する方法において、
同時にスキャンされる複数の被写体を含む入力ボリューム画像データセットを受信するステップと、
前記被写体の個別の1つに関するメタデータを受信するステップと、
前記入力ボリューム画像データセットの複数の部分を特定するステップであって、各部分が、前記被写体の1つを含む、ステップと、
複数の別々のボリューム画像データセットを生成するステップであって、各別々のボリューム画像データセットが、前記入力ボリューム画像データセットの部分の1つを含む、ステップと、
前記被写体を含む部分を備える前記別々のボリューム画像データセットと、被写体に関する前記メタデータとを関連付けるステップとを有する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法をプロセッサに実行させる命令を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−519130(P2013−519130A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550548(P2012−550548)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050378
【国際公開番号】WO2011/095918
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.フロッピー
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】