説明

グレリン−担体結合体

本発明は、分子生物学、ウイルス学、免疫学及び医学の分野に関する。本発明は、ウイルス様粒子(VLP)及びそれに結合するグレリンから誘導される特定のペプチドを含む改変ウイルス様粒子を提供する。また本発明は、改変VLPを製造するための方法を提供する。本発明の改変VLPは、肥満、食物摂取の増加、又は体重の増加に関連する他の病気を治療するためのワクチンの製造に有用であり、免疫応答、特に抗体応答を効果的に誘発させるのに有用である。さらに、本発明の組成物は、示した文脈で自己特異性免疫応答を効果的に誘発させるのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の背景)
発明の分野
本発明は、分子生物学、ウイルス学、免疫学及び医学の分野に関する。本発明は、ウイルス様粒子(VLP)とそれに結合するグレリンから誘導される特定のペプチドを含む改変ウイルス様粒子を提供する。
【0002】
本発明はまた改変VLPを製造するための方法を提供する。本発明の改変VLPは、肥満、食物摂取の増加、又は体重の増加に関連する他の病気を処置するためのワクチンの製造に有用であり、免疫応答、特に抗体応答を効果的に誘発させるのに有用である。さらに、本発明の組成物は、示した文脈で自己特異性免疫応答を効果的に誘発させるのに特に有用である。
【0003】
関連技術
肥満は、全世界で何百万の人々が苦しんでいる病気である。レプチン、成長ホルモン(GH)、神経ペプチドY(NPY)、アグート関連タンパク質(AGRP)等を含む多くの因子により、空腹感及び摂食行動が調節される。摂食行動の最近同定された重要な調節因子は、グレリン、つまり胃及び脳のある部位(視床下部)で産生されるアシル化ペプチドである(Kojimaら, Nature 402:656-660(1999))。グレリンは、117アミノ酸を含むプレプロ型が酵素的に切断されて、セリン3がn-オクタノイル化された28アミノ酸長のペプチドになることにより誘導される。生物学的に活性なグレリンは、この位置でn-オクタノイル化されることが必要である。14位のグルタミン(Q)を欠く第二のグレリンの27aaイソ型(グレリン-desQ14)が同定されたが、このイソ型は循環グレリンのほんの微量の成分を表す。全長グレリンのように、グレリン-des-Q14の生物活性は、セリン3のn-オクタノイル基に依存している。それにもかかわらず、ほとんどの官能活性は、28aaグレリンイソ型から誘導される(Hosodaら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 279(3):909-913(2000))。ヒト及びラットのグレリンは2個のアミノ酸だけが異なっているので、グレリンは高度に保存されている。
【0004】
グレリンのレセプター(GHS-R)は、視床下部及び脳下垂体の弓状核(Arc)及び腹内側核を含む脳の種々の領域で発現し(Howardら, Science 273:974-977(1996));McKeeら, Mol Endokrin. 11:415-423(1997);Guanら, Mol Brain Research 48:23-29(1997))、グレリンが主として脳で作用することが示されている。脳下垂体からのGHの放出を刺激することに加えて(Kojimaら, Nature 402:656-660(1999))、さらに近年、グレリンは、摂食において鍵となる主要調節因子として同定されている(Nakazatoら, Nature 409:194-198(2001))。特に、脳室内への適用の際、グレリンは摂食を刺激することが示されている。さらに抗グレリン抗体を脳室内に適用すると、摂食が阻害された。グレリンの注入により、グレリン誘発性摂食をブロックするAGRPアンタゴニストと共に、NPY及び抗-NPY抗体放出のアップレギュレーションが誘発され、グレリンがNPY及びAGRP発現の亢進によって摂食を調節していることが示唆される(Nakazatoら, Nature 409:194-198(2001))。さらに、グレリンを末梢に毎日投与することにより、マウス及びラットにおいては体重増加が誘発され、絶食ラットでは血清グレリン濃度が増加し、摂食により低下し、このことにより、グレリンは摂食の調節において重要な役割を担っていることが示唆される(Tschopら, Nature 407:908-912)。Arcにおいてアンチ-センスGHS-R RNAを発現するトランスジェニックラットは体重低下を示し、脂肪組織が減少し、このことにより、グレリンが体重を調節していることが示唆される(Shutoら, JCI 109:14291436(2002))。また、ヒトの摂食行動におけるグレリンの重要な役割についての証拠もある。ヒトの末梢へのグレリン投与により食欲が亢進し、ヒトへの食物の取り込みが増加する(Wrenら, J Clin Endocrinol Metab 86:5992-5998(2001))。ヒト症候性肥満の最も一般的な形態であるプラダー・ウィリ症候群を患っているヒトは、非常に増加したグレリンレベルを示す(Cummingsら, Nat Med 8:643-644(2002))。さらに、ヒトにおける血漿グレリンレベルは、ダイエットによる体重損失後に強力に増加し、ダイエット中止時における急速な体重回復と相関している。これに対し、胃のバイパス手術を受けた患者では、ダイエット中とその後も、グレリンレベルは低いままであり、これらの条件下で通常、患者は体重回復しない((Cummingsら, N Engl J Med 21:1623-1630(2002))。よって、グレリンは、ヒトにおける食物取り込み及び体重の鍵となる調節因子であると思われる。
【0005】
グレリンの末梢投与により、食物取り込みを増加させ、体重増加に至らしめることができるため(Tschopら, Nature 407:908-912)、胃で産生されたグレリンは、血流を通して脳に到達し、食餌を誘発すると思われる。よって、血液から脳へのグレリンの移動をブロックし、動物及びヒトにおける食物取り込みを停止させることができる。特異的抗体が脳内におけるグレリン作用をブロックすることができるということが示されたため(Nakazatoら, Nature 409:194-198(2001))、末梢抗体も、末梢グレリンの作用をブロックすることができるであろうと思われる。さらに、抗体は血液脳関門を効率的に透過しないため、おそらく、グレリン特異的抗体は、脳からグレリンを隔離可能であるが、脳内ではグレリンに作用しない。グレリンはおそらく食物取り込みの調節とは異なる機能をなしている脳内で産生されるため、これは、特に魅力的な可能性であろう(Nakazatoら, Nature 409:194-198(2001))。よって、肥満に対する治療可能性は、宿主におけるグレリン特異的抗体を誘発し、長時間にわたるグレリンの閉塞障害に至らしめ、結果として、胃のバイパス患者において観察されたものと同様に、食物取り込みの低下を招く。
【0006】
国際公開第98/42840号は、消化管に対するグレリン及びグレリン誘導断片の影響を開示し、特に、胃の運動及び胃内容排出に対するそれらの影響を開示している。さらに、米国特許第6420521号は、胃内容排出、胃収縮及びグルコース吸収を含む、胃の機能に対して影響を及ぼすための短いグレリンペプチドの使用を開示している。
【0007】
国際公開第02/056905号は、規則的な繰り返し抗原又は抗原決定アレイを含む組成物を開示している。規則的な繰り返し抗原又は抗原決定基は、感染症の処置、アレルギーの処置のためのワクチンの製造、及び癌の予防及び治療、及び自己特異的免疫応答、特に抗体応答を効果的に誘発するための治療用ワクチン(pharmaccine)として有用である。
【0008】
(発明の概要)
我々は、固有の繰り返し組織を有する構造を持つコア粒子、特にウイルス様粒子(VLP)及びVLPのサブユニットに結合する特定のグレリン-ペプチドが、特に高度に規則的な繰り返し結合体に至る場合に、特異的な抗体の誘導のための有力な免疫原であることを見出した。我々は、1−6、1−7又は1−8、特に1−8等の、グレリンのN末端から誘導され、VLPに結合した短いペプチドが、天然型グレリンに対し、強い抗体応答を誘発可能であることを見出した。天然グレリンは、3位がオクタノイル残基により修飾されており、グレリンのこの領域に特異的な抗体を結合させることは不可能であると予想されていたため、このことは驚くことであった。抗体は、通常、約7−10アミノ酸の大きさのタンパク質上のエピトープを認識するため、このことは、特に思いもよらない驚くべき結果であった。よって、<10aaのペプチドは、3位にオクタノイル修飾を有する天然グレリンを効果的に認識する抗体を誘発しないことが予想された。VLPに結合する長いグレリン-ペプチド(>8-12)に対するワクチン接種により、自己免疫疾患の潜在的原因である、グレリンに特異的なT細胞反応を生じる可能性があるため、この知見は治療的に非常に重要である。ペプチド1−6、1−7又はペプチド1−8等の短いペプチドは、T細胞によって認識されるとは殆ど思われず、よって、有害なT細胞反応を誘発するとも同様に思われない(Bachmann and Dyer, Nature Reviews, Vol.3, 2004年1月のref.39を参照)。実際、ペプチド1−7は短すぎてMHC分子と結合せず、ペプチド1−8は短すぎて、MHCクラスII分子に結合せず、よってこのようなT細胞反応を誘発することはできない。しかして、我々は、VLPに結合したペプチド1−6、ペプチド1−7及びペプチド1−8が、天然グレリンと交差反応する強い抗体応答を誘発する驚くべき能力を有する安全なワクチンを構成することを見出した。さらに、VLPに結合したグレリン-ペプチドは、体重増加を低減させることができた。またさらに、我々は、驚くべきことに、そのC末端を介してウイルス様粒子に結合したグレリン-ペプチドは、そのN末端を介してVLPに結合したグレリン-ペプチドよりも、体重増加の低減において遙かにより効力があることを見出した。よって、N末端に対する抗体は、予期しないことに、C末端に対する抗体よりもさらに効力がある。しかして、本発明は、コア粒子に結合した特定の短いグレリン誘導ペプチド、特にVLP-グレリン-ペプチド-結合体、中でも規則的な繰り返しアレイに基づく、肥満及び関連疾患の治療のための予防的及び治療的手段を提供するものである。これらの予防用及び治療用組成物は、ワクチン接種された動物又はヒトに、高力価の抗グレリン抗体を誘発させることができる。よって、本発明はグレリン及びその脳関連特性に関する。さらに本発明は、脳内におけるグレリンの中枢効果、より重要なこととしては、食欲、成長ホルモン分泌、及びエネルギーのホメオスタシスの調節に関連している。我々のワクチン接種ストラテジーにより誘発される抗体は、グレリンのn-オクタノイル化型(類)にまた結合可能であることが観察されている。示したように、より短いグレリン-ペプチド断片が、コア粒子に結合された場合に、あるいはアジュバントと共に投与されて、使用され、ヒト及び動物にグレリン特異的抗体が誘発される。しかしながら、T細胞反応誘発アジュバントなしの投与が好ましい。よって、これら2つの異なる製剤(アジュバント有り(+)/アジュバントなし(−))は、混合T/B細胞-反応(+)とB細胞のみ(−)の反応の誘導の間での選択を可能にする。
【0009】
よって、グレリンの短いペプチド断片、特に残基1−5、1−6(配列番号:1)、1−7(配列番号:2)及び1−8(配列番号:3)、特に1−6(配列番号:1)及び1−8(配列番号:3)からなる短いペプチドで、C又はN末端のいずれかで、それぞれコア粒子又はウイルス様粒子に結合しているもの、好ましくはそれらのC末端を介して結合しているものは、高度に特異的な抗グレリン抗体を誘発可能である。好ましくは、そのような抗体は、CNSへ入る前に末梢循環グレリンを中和可能で、成長ホルモン、よって食物取り込みに対する効果を生じることができる。
【0010】
本発明の特に好ましい実施態様では、グレリン-ペプチドは、配列番号:72〜74に記載されている何れかの配列の、24−29、24−30及び24−31残基に相当するグレリン-ペプチドの群から選択され、ここで前記好ましいグレリン-ペプチド断片は、(a)ヒトグレリン;(b)ウシグレリン;(c)ヒツジグレリン;(d)イヌグレリン;(e)ネコグレリン;(f)マウスグレリン;(g)ブタグレリン;及び(h)ウマグレリンからなる群から選択される。
【0011】
より詳細には、本発明の改変VLPは、驚いたことに、ここに示したグレリンのn-オクタノル化型を、特に実施例11において認識する抗体を高レベルで誘発することができた。さらに、産生した抗体は、別のイソ型であるグレリン-desQ14もまた認識した。従って、コア粒子、好ましくはVLPにC又はN末端的に結合したグレリン-ペプチドを用いたワクチン接種から生じた抗体は、好ましくは、脳へのn-オクタノイル化グレリンの侵入をブロックすることにより、インビボでのグレリン機能を妨害することができ、マウスにおける食物取り込みを調節した。よって、本発明は、肥満及び他の関連疾患の治療法としてのグレリンに対するワクチン接種ストラテジーに焦点を当てている。
【0012】
本明細書、特に実施例12に示すように、コア粒子、好ましくはVLPに、C又はN末端的に結合したグレリン-ペプチド、特にC末端的に結合したグレリン-ペプチドを用いたワクチン接種により、マウスにおける体重増加の低減が達成される。よって、グレリン及び生理学的なグレリン誘導ペプチドを標的とする本発明のワクチン及び/又は本発明のワクチンにより誘発される抗体は、それぞれ肥満及び他の関連疾患のための有望な治療薬である。
【0013】
よって、本発明は、(a)少なくとも一の第1付着部位を有するコア粒子;及び(b)少なくとも一の第2付着部位を有する少なくとも一の抗原又は抗原決定基を含む組成物を提供することにあり、ここで前記抗原又は抗原決定基は本発明のグレリン-ペプチドであり、前記第2付着部位は、(i)抗原又は抗原決定基では天然には生じない付着部位;及び(ii)抗原又は抗原付着部位に天然に生じる付着部位からなる群から選択され、前記第2付着部位は前記第1付着部位と結合可能であり;前記抗原又は抗原決定基及び前記コア粒子は、前記結合を通して相互作用し、好ましくは規則的な繰り返し抗原アレイを形成する。本発明での使用に適切なコア粒子の好適な実施態様は、ウイルス、ウイルス様粒子、バクテリオファージ、RNA-ファージのウイルス様粒子、細菌線毛又は鞭毛、又は固有の繰り返し構造を有する任意の他のコア粒子、好ましくは本発明に係る規則的な繰り返し抗原アレイを形成可能な繰り返し構造である。
【0014】
より詳細には、本発明は、ウイルス様粒子と、それに結合した本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドを含む改変VLPを提供する。よって、さらなる態様では、本発明は、ウイルス様粒子(VLP)、及びポリペプチドグレリン(グレリン-ペプチド)から誘導される少なくとも一のペプチドを含む改変ウイルス様粒子(VLP)提供するものであり、ここで前記グレリン-ペプチドは6又は8のアミノ残基長を有するペプチドからなり、ペプチドは配列番号:1又は配列番号:3と相同又は同一であり、前記VLP及び本発明の前記グレリン-ペプチドは互いに結合している。ある種の好ましい実施態様では、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドとVLPとの結合は、少なくとも一の共有結合、好ましくは少なくとも一の非ペプチド結合、さらに好ましくは排他的に非ペプチド結合(類)を介している。
【0015】
また、本発明は、本発明の改変VLPを製造する方法を提供する。本発明の改変VLP及び組成物は、肥満及び関連疾患を処置するためのワクチンの製造、肥満及び関連疾患を予防又は治療し、さらに免疫応答、特に抗体応答を効果的に誘発させる医薬として有用である。さらに、本発明の改変VLP及び組成物は、示した文脈で自己特異的免疫応答を効果的に誘発させるのに特に有用である。
【0016】
本発明では、本発明のグレリン-ペプチドは、コア粒子及びVLPのそれぞれに、好ましくは配向した形で結合し、好ましくは規則的な繰り返しグレリン-ペプチド抗原アレイを生じる。さらに、コア粒子及びVLPの高度に繰り返され組織化された構造は、それぞれ、高度に規則的な繰り返し態様でグレリン-ペプチドのディスプレイを媒介することができ、その好ましい場合には高度に組織化され繰り返される抗原アレイを生じる。さらに、本発明のグレリン-ペプチドのコア粒子及びVLPそれぞれへの結合は、如何なる理論に縛られるものではないが、コア粒子及びVLPが、それぞれコア粒子-グレリン-ペプチドアレイ及びVLP-グレリン-ペプチドアレイで免疫化される宿主に対して外来性であるため、Tヘルパー細胞エピトープを提供することにより機能しうる。好ましいアレイは、特にその高度に組織化された構造、寸法、及びアレイ表面上での抗原の反復性において、従来技術の結合体とは異なっている。
【0017】
本発明の一態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、適切な発現宿主で発現されるか又は合成される一方、コア粒子及びVLPは、それぞれコア粒子及びVLPの折り畳み及び組立(アセンブリ)に適した発現宿主から発現され、精製される。本発明のグレリン-ペプチドは化学的にも合成されうる。生物学的に活性なグレリンは3位にn-オクタノイル化セリンを含んでいるため、このようなグレリン-ペプチドのオクタノイル化形態を含むワクチン製剤にとって、化学的合成は修飾グレリン-ペプチドを生産するための好ましい方法である。ついで、本発明のグレリン-ペプチドを、コア粒子及びVLPにそれぞれ結合させることにより、本発明のグレリン-ペプチド-アレイが組立てられる。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、組成物を提供し、(a)改変コア粒子、医薬組成物の場合は特に改変VLPと、また(b)許容可能な製薬用担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、(a)ウイルス様粒子;及び(b)本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドを含有する医薬組成物、好ましくはワクチン組成物を提供するものであり、ここで本発明のグレリン-ペプチドは前記ウイルス様粒子に結合している。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、(a)ウイルス様粒子を提供し;(b)本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドを提供し;(c)前記グレリン-ペプチドが、特にVLPとグレリン-ペプチドとの間で結合を媒介するのに適切な条件下で、前記ウイルス様粒子に結合するよう、本発明の前記グレリン-ペプチドと前記ウイルス様粒子とを組み合わせる;ことを含む、本発明の改変VLPを製造するための方法を提供する。
【0021】
同様に、本発明は、(a)少なくとも一の第1付着部位をコア粒子にもたらし;(b)少なくとも一の付着部位(第2付着部位とも称される)を本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドにもたらすことを含み、ここで前記第2付着部位は、(i)本発明の前記グレリン-ペプチドには天然に生じない付着部位;及び(ii)本発明のグレリン-ペプチドに天然に生じる付着部位からなる群から選択され、前記第2付着部位は前記第1付着部位と結合可能で;さらに(c)本発明の前記少なくとも一のグレリン-ペプチドと前記コア粒子とを組み合わせることを含み、ここで本発明の前記グレリン-ペプチドと前記コア粒子とは前記結合を介して相互作用し、好ましくは規則的な繰り返し抗原アレイを形成する、本発明の改変コア粒子を製造するための方法を提供する。
【0022】
他の態様では、本発明は、本発明の改変VLP、組成物又は医薬組成物を動物又はヒトに投与することを含む、免疫化方法を提供する。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、肥満又は関連疾患を治療するための医薬の製造における、本発明の改変VLP、組成物又は医薬組成物の使用を提供する。
【0024】
さらなる他の態様では、本発明は、肥満又は関連疾患を治療的又は予防的に処置するための医薬の製造における、本発明の改変VLP、組成物又は医薬組成物の使用を提供する。またさらなる態様では、本発明は、肥満又は関連疾患の治療又は予防のための、及び/又は哺乳動物の免疫系を刺激するための組成物、ワクチン又は医薬の製造のための、本発明の改変VLP、組成物又は医薬組成物の、単独での又は他の薬剤と組み合わせての使用を提供する。
【0025】
よって、本発明は、肥満又はそれに関連した病状を予防及び/又は低減又は治療するのに適切なワクチン組成物を特に提供する。さらに本発明は、動物、特にネコ又はイヌなどのペット、並びにヒトにおける、肥満又はそれに関連した病状を予防及び/又は低減、又は治療するための、免疫化及びワクチン接種方法を提供する。本発明の組成物は、予防的又は治療的に使用することができる。
【0026】
特定の実施態様では、本発明は「自己」遺伝子産物、すなわちここで使用される場合には「自己抗原」に起因するか又はそれらにより悪化する、肥満又はそれに関連した病状を予防、治療及び/又は減弱するための方法を提供する。関連した実施態様では、本発明は、動物及び個人において、それぞれ免疫学的反応を誘発させ、「自己」遺伝子産物に起因するか又はそれらにより悪化する肥満又はそれに関連した病状を予防、治療及び/又は減弱する抗体の産生に至らしめるための方法を提供する。
【0027】
当業者には理解されるように、本発明の組成物が、動物又はヒトに投与される場合、それらは、塩、バッファー、アジュバント、又は組成物の有効性を改善するために望ましい他の物質を含む組成物であってよい。医薬組成物の調製における使用に適した物質の具体例は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Osol, A, ed., Mack Publishing Co.(1990))を含む、多くの出典において提供される。
【0028】
本発明の組成物は、それらの投与がレシピエント個体にとって許容可能であるならば、「薬学的に許容可能である」と言える。さらに、本発明の組成物は治療的有効量(すなわち、所望の生理学的効果を生じる量)で投与されるであろう。
【0029】
本発明の組成物は、当該分野で知られている様々な方法によって投与することができるが、通常は注射、注入、吸入、経口投与、又は他の適切な物理的方法により投与される。また、組成物は、筋肉内、静脈内又は皮下的に投与されてもよい。投与される組成物の成分には、滅菌水溶液(例えば、生理食塩水)又は非水溶液及び懸濁液が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。担体又は閉鎖包帯を使用して、皮膚の浸透性を高め、抗原吸着を増大させることができる。
【0030】
本発明の他の実施態様は、当該分野で公知のもの、本発明の以下の説明、並びに特許請求の範囲に照らせば、当業者には明らかであろう。
【0031】
(発明の詳細な記述)
特段の定義をしない限り、ここで使用される技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されているもの同じ意味を有する。ここに記載されるものと同等あるいは均等である任意の方法及び材料を、本発明を実施し又は試験する際に使用することができ、好ましい方法と材料は、以下に記載する。
【0032】
1.定義
アジュバント:ここで使用される場合、「アジュバント」なる用語は、免疫応答の非特異的刺激物質又は本発明のワクチン及び医薬組成物とそれぞれ組み合わせると、より一層亢進した免疫応答をもたらしうるデポーを宿主中に産生することを可能にする物質を指す。様々なアジュバントを使用することができる。具体例には、不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニウム、及び修飾型ムラミルジペプチドが含まれる。さらにアジュバントは、無機物ゲル、例えば水酸化アルミニウム、界面活性剤、例えばリゾレシチン、プルロン酸ポリオール類(pluronic polyols)、ポリアニオン類、ペプチド、油性エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン類、ジニトロフェノール、及び潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウム・パルヴム(parvum)である。このようなアジュバントは、当該分野でよく知られている。さらに本発明の組成物と共に投与可能なアジュバントには、限定されるものではないが、モノホスホリル脂質免疫調節物質、AdjuVax100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩(Alum)、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294、及びVirosomalアジュバント技術が含まれる。またアジュバントは、これらの物質の混合物を含むこともできる。典型的にまた好ましくは、VLPはアジュバントである。しかしながら、「アジュバント」なる用語がこの出願の文脈で言及される場合、アジュバントはVLPに加えてのアジュバントを意味する。
【0033】
南アメリカの木であるQuillaja Saponaria Molinaの樹皮から得られるアジュバント活性を有する免疫学的に活性なサポニンフラクションが、当該分野で公知である。例えばQA21としても知られているQS21は、Quillaja Saponaria Molinaの木からのHplc精製フラクションであり、その産生方法は、米国特許第5057540号に開示されている。キラヤ属サポニンは、Scottら, Int. Archs. Allergy Appl. Immun, 1985, 77, 409にアジュバントとして開示されている。モノスホリル脂質A及びその誘導体は当該分野で公知である。好ましい誘導体は、3-デ-o-アシル化モノホスホリル脂質Aであり、英国特許第2220211号から知られている。さらに好ましいアジュバントは、その開示が出典明示によりここに援用される国際公開第00/00462号に開示されている。
【0034】
しかしながら、本発明の有利な特性は、アジュバントを欠いていても、本発明の改変コア粒子に高い免疫原性があることである。既にここで概説し、又はこの明細書から明らかであるように、アジュバントのないワクチン及び医薬組成物が提供され、さらなるあるいは好ましい実施態様では、アジュバントは副作用の原因となりうるために、アジュバントを欠くことによって、優れた安全性特性を有する、肥満治療のためのワクチン及び医薬組成物が得られる。ここで使用される場合、「欠く」なる用語は、肥満治療のためのワクチン及び医薬組成物において、本質的にアジュバントを含有しないで、好ましくは検出可能な量のアジュバントを含有しないで使用されるワクチン及び医薬組成物を意味する。
【0035】
アミノ酸リンカー:ここで使用される場合、「アミノ酸リンカー」、又はこの明細書中で単に「リンカー」と呼ばれるものは、本発明のグレリン-ペプチドを第2付着部位と結合させるか、あるいは、必ずしもではないが典型的には、1個のアミノ酸残基として、好ましくはシステイン残基として、第2の付着部位を既に有するか、含むかあるいはそれからなっていることがより好ましい。しかしながら、ここで使用される場合、「アミノ酸リンカー」という用語は、アミノ酸残基からなるアミノ酸リンカーが本発明の好ましい実施態様である場合でも、そのようなアミノ酸リンカーがアミノ酸残基のみからなることを意味することを意図するものではない。アミノ酸リンカーのアミノ酸残基は、当該分野で知られている天然に存在するアミノ酸又は非天然アミノ酸のすべてのL型又はすべてのD型、あるいはそれらの混合物から構成されることが好ましい。しかしながら、スルフヒドリル基又はシステイン残基を有する分子を含むアミノ酸リンカーも本発明内に含まれる。このような分子は、C1−C6アルキル−、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、又はヘテロアリール部分を含むことが好ましい。しかしながら、アミノ酸リンカーに加えて、C1−C6アルキル−、シクロアルキル-(C5、C6)、アリール、又はヘテロアリール部分を好ましくは含み、如何なるアミノ酸も欠いているリンカーも本発明内に含まれるものとする。本発明のグレリン-ペプチド、又は場合によっては第2付着部位と、アミノ酸リンカーの間の結合は、少なくとも一の共有結合によるものであることが好ましく、少なくとも一のペプチド結合によるものであることがより好ましい。
【0036】
動物:ここで使用される場合、「動物」という用語は、たとえばヒト、ヒツジ、エルク、シカ、ミュールジカ、ミンク、哺乳動物、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、ニワトリ、爬虫類、魚類、昆虫、及びクモ形類を含むことを意味する。好ましい動物は哺乳動物である。
【0037】
抗原:ここで使用される場合、「抗原」という用語は、抗体またはMHC分子によって提示される場合、T細胞受容体(TCR)が結合することができる分子を意味する。ここで使用される場合、「抗原」という用語は、T細胞エピトープも包含する。さらに抗原は、免疫系によって認識することができ、及び/又は、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導することができ、B-及び/又はTリンパ球の活性化がもたらされる。しかしながら、このことは、少なくともある場合には、抗原がTh細胞エピトープを含むかあるいはこれと結合し、アジュバント中に与えられることを必要とする場合がある。抗原は、一又は複数のエピトープ(B-及びTエピトープ)を有することができる。前述の特異的反応は、抗原が、好ましくは典型的には非常に選択的な態様で、その対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって誘発される可能性がある多数の他の抗体又はTCRとは反応しないことが示されることを意味する。また、ここで用いられる抗原はいくつかの別々の抗原の混合体でもよい。好ましい抗原は短いペプチド(6−8aa残基)である。
【0038】
抗原決定基:ここで用いられる場合、「抗原決定基」なる用語は、B-又はTリンパ球によって特異的に認識される抗原の部分を指すことを意味する。抗原決定基に応答したBリンパ球は抗体を産生する一方、Tリンパ球は細胞性免疫及び/又は体液性免疫の媒介に重要なエフェクター機能の確立や増殖によって抗原決定基に応答する。
【0039】
結合(association):ここで用いられる場合、第1及び第2付着部位に適用する際の「結合」なる用語は、好ましくは少なくとも一の非ペプチド結合によるものである第1付着部位と第2付着部位の結合を指す。結合の性質は共有性、イオン性、疎水性、極性、又はこれらの何れかの組合せであってよく、好ましくは結合の性質は共有性である。しかしながら、ここで用いられる場合、「結合」なる用語は、少なくとも一の第1付着部位と少なくとも一の第2付着部位の直接的結合を包含するだけでなく、場合によって好ましくは、中間分子を介した少なくとも一の第1付着部位と少なくとも一の第2付着部位の間接的結合をも包含するものであり、この結果、典型的にはまた好ましくは、少なくとも一で、好ましくは一のヘテロ二官能性架橋剤によるものである。
【0040】
第1付着部位:ここで用いられる場合、「第1付着部位」なる用語は、本発明のグレリン-ペプチド上に位置する第2付着部位が結合しうる非天然又は天然起源のエレメントを指す。第1付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はこれらの組合せ、又はこれらの化学反応基であってよい。第1付着部位は、典型的かつ好ましくは、コア粒子、好ましくはウイルス様粒子の表面に位置する。複数の第1付着部位が、典型的には反復形状で、コア及びウイルス様粒子の表面上に存在する。
【0041】
第2付着部位:ここで用いられる場合、「第2付着部位」なる用語は、コア粒子及びウイルス様粒子の表面上に位置する第1付着部位が結合し得る本発明のグレリン-ペプチドと結合するエレメントを指す。グレリン-ペプチドの第2付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次的代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はこれらの組合せ、又はこれらの化学反応基であってよい。少なくとも一の第2付着部位が、本発明のグレリン-ペプチド上に存在する。本発明のある実施態様では、少なくとも一の第2付着部位は本発明のグレリン-ペプチドに加えられてもよい。したがって、「少なくとも一の第2付着部位を有する本発明のグレリン-ペプチド」なる用語は、少なくとも本発明のグレリン-ペプチドと第2付着部位を含む本発明のグレリン-ペプチドを指す。しかしながら、特に、非天然起源である、すなわち本発明のグレリン-ペプチド中に天然には存在しない第2付着部位に関しては、本発明のこれらの修飾グレリン-ペプチドが、「アミノ酸リンカー」を含みうる。
【0042】
コートタンパク質(類):ここで用いられる場合、「コートタンパク質(類)」なる用語は、バクテリオファージ又はRNAファージのキャプシド集合体内に取り込むことができるバクテリオファージ又はRNAファージのタンパク質を指す。しかしながら、RNAファージのコートタンパク質遺伝子の特異的遺伝子産物を指すときは、「CP」なる用語を使用する。例えば、RNAファージQβのコートタンパク質遺伝子の特異的遺伝子産物は「QβCP」と呼ぶ一方、バクテリオファージQβの「コートタンパク質」は、「QβCP」並びにA1タンパク質を含む。バクテリオファージQβのキャプシドは、主にQβCPと、少ない含量のA1タンパク質で構成される。同様に、VLP Qβのコートタンパク質は、主にQβCPと、少ない含量のA1タンパク質を含む。
【0043】
コア粒子:ここで用いられる場合、「コア粒子」なる用語は、固有の繰り返し組織を有する硬い構造体を意味する。ここで使用されるコア粒子は、合成プロセスの産物又は生物学的プロセスの産物でありうる。
【0044】
結合(coupled):ここで用いられる場合、「結合(coupled)」なる用語は、共有結合による、あるいは強力な非共有的相互作用による付着で、典型的かつ好ましくは共有結合による付着を意味する。生物学的に活性がある物質を結合させるために、当業者により通常使用されている任意の方法を、本発明において使用することができる。
【0045】
有効量:ここで用いられる場合、「有効量」なる用語は、所望の生物学的効果を実現するのに必要なあるいは十分な量を指す。組成物の有効量は、この選択した結果を達成する量であり、このような量は当業者が常套的に決定することができる。例えば、免疫系不全を治療するための有効量は、免疫系の活性化を引き起こし、抗原への暴露により抗原特異的な免疫応答の進行をもたらすのに必要な量とすることができる。この用語は、「十分量」とも同義である。
【0046】
任意の特定の適用例に対する有効量は、処置する疾患又は状態、投与される特定の組成物、被験体の大きさ、及び/又は疾患又は状態の重度などの要因に応じて変わる可能性がある。当業者であれば、過度の実験を必要とせずに、本発明の特定の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0047】
エピトープ:ここで用いられる場合、「エピトープ」なる用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト中で、抗原性又は免疫原性を有するポリペプチドの連続的又は非連続的部分を指す。エピトープは抗体によりまたはMHC分子の関係ではそのT細胞レセプターを介してT細胞により認識される。ここで用いられる場合、「免疫原性エピトープ」は、当該分野で知られている任意の方法によって決定される(例えば、Geysenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA81:3998-4002(1983)を参照のこと)、動物の抗体応答を誘発するかあるいはT細胞応答を誘導するポリペプチドの部分として定義する。ここで用いられる場合、「抗原性エピトープ」は、当該分野でよく知られている任意の方法によって決定される場合、抗体がその抗原に免疫特異的に結合することができるタンパク質の部分として定義される。免疫特異的結合は非特異的結合を含まないが、他の抗原との交差反応性は必ずしも除外しない。抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。抗原性エピトープはT細胞エピトープであってもよく、この場合、抗原性エピトープを、MHC分子の文脈でのT細胞レセプターによって免疫特異的に結合させることができる。
【0048】
エピトープは、典型的には、そのエピトープに特有である空間コンフォメーション中に7−10のアミノ酸を含む。エピトープが有機分子である場合、それはニトロフェニルと同じくらい小さくてよい。好ましいエピトープは本発明のグレリン-ペプチドであり、それはβ細胞エピトープであると考えられている。
【0049】
融合(fusion):ここで用いられる場合、「融合」なる用語は、そのコード化ヌクレオチド配列をインフレームで組み合わせた一つのポリペプチド鎖中の異なる起源のアミノ酸配列の組合せを指す。「融合」なる用語は、その末端の一つへの融合に加えて、内部融合、すなわちポリペプチド鎖内の異なる起源の配列の挿入を明示的に包含する。
【0050】
グレリン:ここで用いられる場合、「グレリン」なる用語は、グレリン遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。ここで用いられる場合のグレリンには、ヒト、ネコ、イヌ、及び全ての家畜、並びに他の動物で公知の全ての形態のグレリンが含まれる。ここで用いられる場合のグレリンには、n-オクタノイル-修飾された又はされていないグレリンが含まれる。さらに、グレリンには、グレリンの存在する全てのスプライス変異体も含まれる。加えて、種々の種のグレリン間には、高度な配列相同性があるために(ラットとヒトグレリンの間で交換されるのは2aaのみ(Kojimaら, Nature 402:656-660(1999))、ヒトグレリンと、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性を有するグレリンの全ての天然変異体が、ここでは「グレリン」と称される。
【0051】
ここで用いられる場合、「グレリン-ペプチド」又は「本発明のグレリン-ペプチド」なる用語は、6−8のアミノ酸残基長を有するペプチドとして定義され、そのペプチドは、配列番号:1(GSSFLS)、配列番号:2(GSSFLSP)又は配列番号:3(GSSFLSPE)と相同又は同一である。相同ペプチドは、(i)他の動物のグレリン、特に哺乳動物グレリン等、例えばネコ又はイヌのグレリンから誘導され、配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3に相当するアミノ酸残基を表し;又は(ii)配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3とは2つの位置のみ、好ましくは1つの位置のみが配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3と異なっており、その差異は、アシル化又はグリコシル化等のアミノ酸修飾又はアミノ酸置換等、好ましくは置換、さらに好ましくは保存的置換により、特定の位置でアミノ酸の性質が異なっているもので、また差異は、好ましくは長さの差異ではないペプチドである。相同ペプチド、ここでは特に(i)の相同ペプチドは、ヒトグレリンと、他の動物のグレリンとをアライメントする方法により、当業者により同定可能である。ここで用いられる場合、「グレリン-ペプチド」又は「本発明のグレリン-ペプチド」なる用語は、好ましくは6又は8のアミノ酸残基長を有するペプチドを意味し、そのペプチドは、配列番号:1(GSSFLS)又は配列番号:3(GSSFLSPE)と相同又は同一である。本発明の好ましい実施態様に係る相同ペプチドは、(i)他の動物のグレリン、特に哺乳動物グレリン等、例えばネコ又はイヌのグレリンから誘導され、配列番号:1又は配列番号:3に相当するアミノ酸残基を表すようなペプチドである。このような場合、本発明のグレリン-ペプチドが、より大きな関係、すなわち付加的なリンカーペプチド又は付着部位を有するグレリン-ペプチド又は融合ポリペプチドに含まれる場合、例えば配列番号:1のグレリン-ペプチドには、好ましくはプロリン残基が続かず、例えば配列番号:3のグレリン-ペプチドには、好ましくはヒスチジン残基が続かない。グレリン-ペプチドは、グレリン-ペプチド単独として真核生物又は原核生物発現系において組換え発現させることにより得ることができるが、好ましくは、例えばグレリン-ペプチドの折り畳み、発現又は溶解が促進するように、又はグレリン-ペプチドの精製が容易になるように、他のアミノ酸又はタンパク質との融合体として得ることができる。好ましくは、グレリン-ペプチドと、キャプシド又はVLPのサブユニットタンパク質との間の融合体である。このような場合、一又は複数のアミノ酸をN-又はC末端からグレリン-ペプチドに加えてもよいが、好ましくはグレリン-ペプチドは、融合ポリペプチドのN末端にあり、すなわちその融合パートナーに対し、それ自身のC末端を介して連結又は結合している。
【0052】
非常に好ましくは、コア粒子又はキャプシド又はVLPのサブユニットタンパク質に対するグレリン-ペプチドの結合(連結)を可能にするため、少なくとも一の第2付着部位をグレリン-ペプチドに添加してもよい。またグレリン-ペプチドは、当該分野で公知の方法を使用し、特に有機化学ペプチド合成法により合成されてもよい。このようなペプチドは対応するグレリンタンパク質に存在しないアミノ酸さえ含有し得る。ペプチドは、n-オクタノイルにより修飾されてよいが、驚くべきことに、この修飾は、本発明の改変VLP、組成物又はワクチンにより、有効な抗体を誘発させるためには必要ない。
【0053】
残基:ここで用いられる場合、「残基」なる用語は、ポリペプチド骨格又は側鎖における特定のアミノ酸を意味するものである。
【0054】
免疫応答:ここで用いられる場合、「免疫応答」なる用語は、B-及び/又はTリンパ球及び/又は抗原提示細胞の活性化又は増殖をもたらす、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を指す。しかしながら、ある場合では、免疫応答は強度が低い可能性があり、本発明に係る少なくとも一の物質を使用するときのみ、検出可能となる可能性がある。「免疫原性」は、免疫系の一又は複数の機能が高まり、免疫原物質を対象とするように、生物の免疫系を刺激するために使用される薬剤を指す。免疫応答を「高める」物質とは、その物質を添加しないで測定された同じ免疫応答と比較して、該物質の添加により、とにかく免疫応答の増大又は強化又は偏向が観察される物質を意味する。例えば、細胞傷害性T細胞の溶解活性は、Bachmannら, (1997)「LCMV-specific CTL responses」, Immunology Methods Manual, Academic Press Ltd.に開示されているように、免疫化中に該物質を使用するか又は使用しないで得られたサンプルにおいて、例えば51Cr放出アッセイを使用することにより測定することができる。物質を含有しない場合のCTL溶解活性と比較して、CTL溶解活性が高められる場合の物質の量は、抗原に対する動物の免疫応答を高めるのに十分な量であると言われる。好ましい実施態様では、免疫応答は、少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約3倍又はそれ以上高められる。分泌されるサイトカイン類の量又は種類はまた変更されうる。また、誘発される抗体又はそれらのサブクラスの量は変更されうる。
【0055】
免疫化:ここで用いられる場合、「免疫化する」又は「免疫化」なる用語、又は関連用語は、標的抗原又はエピトープに対して十分な免疫応答(抗体及び/又は細胞免疫、例えばエフェクターCTL等を含む)を備えるための能力を与えることを指す。これらの用語は、完全な免疫が生み出されることは必要としないが、基本レベルより大幅に免疫応答の増強が生じることを必要とする。例えば哺乳動物は、本発明の方法の適用後に、標的抗原に対する細胞及び/又は体液性免疫応答が起こる場合、標的抗原に対して免疫化することができると考えられる。
【0056】
結合(linked):ここで用いられる場合、「結合(連結)」ならびに「結合(bound)」なる用語は、ここでは等価に使用され、共有的、例えば化学的連結、又は非共有的、例えばイオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合等であってよい結合又は付着を指す。共有結合は、例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、イミド、炭素-イオウ結合、炭素-リン結合等であってよい。ここで用いられる場合、「結合(連鎖)」なる用語は、特に少なくとも一のグレリン-ペプチドとウイルス様粒子との間の結合を意味する場合、本発明のグレリン-ペプチドとVLPとの直接結合を含むばかりでなく、好ましくは中間分子(類)を介した本発明のグレリン-ペプチドとVLPとの、典型的に好ましくは少なくとも一、好ましくは一のヘテロ二官能性架橋剤を使用することによる間接的結合も含む。
【0057】
天然起源:ここで用いられる場合、「天然起源」なる用語は、その全体又は一部が合成ではなく、天然に存在するか又は産生されるものを意味する。
【0058】
非天然:ここで用いられる場合、該用語は自然からのものを意味せず、特に該用語はヒトの手によるものを意味する。
【0059】
非天然起源:ここで用いられる場合、「非天然起源」なる用語は、一般的に合成であって、天然からではないものを意味し;特に該用語はヒトの手によるものを意味する。
【0060】
規則的な繰り返し抗原又は抗原決定基アレイ:ここで用いられる場合、「規則的な繰り返し抗原又は抗原決定基アレイ」なる用語は、一般的に、典型的に好ましくは、コア粒子及びウイルス様粒子それぞれに対する、抗原又は抗原決定基の均質な空間的配置により特徴付けられる、抗原又は抗原決定基の繰り返しパターンを意味する。本発明の一実施態様では、繰り返しパターンは幾何学的パターンであってよい。典型的な好ましい適切な規則的な繰り返し抗原又は抗原決定基アレイの例は、1〜30ナノメートル、好ましくは2〜15ナノメートル、より好ましくは2〜10ナノメートル、さらに好ましくは2〜8ナノメートル、さらにまた好ましくは2〜7ナノメートルのスペーシングを有し、厳密に繰り返される準結晶性順序の抗原又は抗原決定基を有するものである。
【0061】
線毛(pili):ここで用いられる場合、「線毛」なる用語(単数形は「pilus」)は、規則的な繰り返しパターンに組織化されるタンパク質単量体(例えばピリン単量体)からなる細菌細胞の細胞外構造体を称する。さらに線毛は、宿主細胞表面レセプターへの細菌細胞の付着、細胞間の遺伝子交換、及び細胞-細胞認識等のプロセスに関与している構造である。線毛の例には、1型線毛、P-線毛、F1C線毛、S-線毛、及び987P-線毛が含まれる。線毛のさらなる例は以下に示す。
【0062】
線毛様構造:ここで用いられる場合、「線毛様構造」なる用語は、線毛に類似した特徴を有し、タンパク質単量体からなる構造を称する。「線毛様構造」の一例は、天然の線毛と同一であり、規則的な繰り返しアレイを形成しない修飾ピリンタンパク質を発現する細菌細胞により形成される構造である。
【0063】
ポリペプチド:ここで用いられる場合、「ポリペプチド」なる用語は、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連鎖した単量体(アミノ酸)から構成される分子を指す。これはアミノ酸の分子鎖を示し、特定の長さの生成物を指すわけではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質は、ポリペプチドの定義に含まれる。本発明の好ましいペプチドは、ペンタペプチド類、ヘキサペプチド類、ヘプタペプチド類及びオクタペプチド類である。ポリペプチドはこの発明の目的に対しては、オクタペプチドより多くのアミノ酸残基からなる。この用語は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等、発現後に修飾されたポリペプチド又はペプチドを指すことを意図している。組換え体又は誘導ポリペプチド又はペプチドは、必ずしも指定の核酸配列から翻訳されるわけではない。それらは、ペプチドにとって好ましい、化学合成を含めた任意の方法で生成させることができる。
【0064】
自己抗原:ここで用いられる場合、「自己抗原」なる用語は、宿主のDNAによってコードされたタンパク質と、宿主のDNAによってコードされたタンパク質又はRNAによって生成される生成物を指し、自己として定義される。さらに、2又はいくつかの自己-分子の組み合わせに由来する、又は上述した高度に相同的(>95%、好ましくは>97%、さらに好ましくは>99%)な2つの自己-分子を有するタンパク質、又は自己-分子のフラクションを表すタンパク質も自己であると見なされる。
【0065】
治療(処置):ここで用いられる場合、「治療(処置)」、「治療(処置)する」、「治療(処置)した」、又は「治療(処置)している」なる用語は、予防及び/又は治療を指す。感染病に関して使用するとき、例えば、この用語は、病原体による感染に対する被験者の耐性を増大させる、あるいは言い換えると、被験者が病原体によって感染するか、あるいは感染に起因する病気の徴候を示す可能性を低下させる予防的処置、及び感染と戦うため、例えば感染を低下させるか除外するため、あるいは感染が悪化するのを防ぐための、被験者が感染した後の処置を指す。肥満又は関連疾患に関して使用される場合、「治療(処置)」なる用語は、患者の耐性を増大させる、及び/又は肥満を元に戻す予防的又は治療的処置を称する。
【0066】
ワクチン:ここで用いられる場合、「ワクチン」という用語は、本発明の改変コア粒子、特に改変VLPを含み、動物に投与することができる形である製剤を指す。典型的にはワクチンは、通常の生理食塩水又は緩衝水溶液媒体を含み、本発明の組成物がその中に懸濁又は溶解している。この形で、本発明の組成物を簡便に使用して、病状を予防、改善、あるいはその他処置することができる。宿主に導入することによって、ワクチンは、これだけに限らないが、抗体及び/又はサイトカインの産生、及び/又は細胞傷害性T細胞、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、樹状細胞及び/又は他の細胞応答を含む免疫応答を誘発することができる。典型的には、本発明の改変コア粒子、好ましくは本発明の改変VLPは、優勢なB細胞応答を誘発することが好ましく、さらにはB細胞反応のみを誘発することが、さらに有利である。
【0067】
場合によっては、本発明のワクチンは、本発明の化合物に比較して少量又は多量の割合で存在することができるアジュバントをさらに含む。
【0068】
ウイルス様粒子(VLP):ここで用いられる場合、「ウイルス様粒子」なる用語は、ウイルス粒子に類似した構造体を称する。さらに本発明のウイルス様粒子は、ウイルスゲノム機能の全て又は一部、特にウイルスゲノムの反復性かつ感染性成分を欠いているため、非反復性かつ非感染性である。ウイルスゲノム機能は、紫外線照射又はホルムアルデヒド処理等の物理的又は化学的方法、好ましくは遺伝子工学的方法により不活性にされ、感染及び/又は複製の原因である遺伝子を欠失又は変異させることができる。本発明のウイルス様粒子は、それらのゲノムと異なる核酸を含むことができる。本発明のウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施態様は、対応するウイルス、バクテリオファージ、又はRNAファージのウイルスキャプシド等の、ウイルスキャプシドである。ここで互換的に使用する「ウイルスキャプシド」又は「キャプシド」なる用語は、ウイルスタンパク質のサブユニットから構成される巨大分子の集合体を指す。典型的かつ好ましくは、ウイルスタンパク質のサブユニットは、固有の反復組織である構造を有する、ウイルスキャプシド及びキャプシドにそれぞれ組み込まれ、前記構造は典型的には球状又は管状である。例えば、RNAファージ又はHBcAgのキャプシドは、正二十面体様対称性の球状形を有する。ここで用いられる場合、「キャプシド様構造」なる用語は、前に定義した意味でキャプシドの形態に似ているが十分な程度の状態及び反復性を保ちながらも、典型的な対称集合体からは逸脱する、ウイルスタンパク質のサブユニットから構成される巨大分子の集合体を指す。
【0069】
バクテリオファージのウイルス様粒子:ここで用いられる場合、「バクテリオファージのウイルス様粒子」なる用語、並びに「バクテリオファージから誘導されるウイルス様粒子」なる用語はここでは等しく使用され、バクテリオファージの構造に類似しており、非反復性及び非感染性であり、バクテリオファージの複製機構をコードする少なくとも遺伝子又は遺伝子群を欠き、また典型的には、ウイルスの宿主への付着又は挿入の原因となるタンパク質又はタンパク質群をコードする遺伝子又は遺伝子群を欠く、ウイルス様粒子を意味する。しかしながら、この定義はバクテリオファージのウイルス様粒子も含み、その中で、上述した遺伝子又は遺伝子群は既に存在しているが不活性であり、よってバクテリオファージの非反復性及び非感染性ウイルス様粒子に至る。RNAファージから誘導されるほとんどのVLPは正二十面体様対称性を示し、180のサブユニットからなる。この発明の開示において、「サブユニット」及び「単量体」なる用語は、この文脈においては互換的かつ等価に使用される。
【0070】
RNAファージコートタンパク質のVLP:RNAファージコートタンパク質の180サブユニットの自己集合体から形成され、場合によっては宿主のRNAを含むキャプシド構造を、「RNAファージコートタンパク質のVLP」と呼ぶ。特定の具体例は、Qβコートタンパク質のVLPである。この特定の場合には、Qβコートタンパク質のVLPは、QβCPサブユニットから独占的に構築されるか(抑制によって大きなA1タンパク質の任意の発現を邪魔するTAA停止コドン等を含む、QβCP遺伝子の発現によって産生、Kozlovska,T.M.ら、Intervirology 39:9-15(1996)を参照のこと)、あるいはキャプシド集合体中にA1タンパク質サブユニットをさらに含んでもよい。
【0071】
ウイルス粒子:ここで用いられる場合、「ウイルス粒子」なる用語は、ウイルスの形態を指す。いくつかのウイルス型では、ウイルスはタンパク質キャプシドに囲まれたゲノムを含み;他のウイルスは追加的な構造(たとえば、エンベロープ、尾部等)を有する。
【0072】
One、a、又はan:「one」、「a」、又は「an」という用語を本開示中で使用するとき、それらは、特に示さない限りは、「少なくとも一」又は「一又は複数」を意味する。
【0073】
当業者には明らかであるように、本発明のある実施態様は、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応、DNA及びRNAの精製、原核及び真核細胞等における組換えタンパク質の発現などの、組換え核酸技術の使用に関するものである。このような方法は当業者によく知られており、公開されている実験室の方法マニュアル中で簡便に発見することができる(例えば、Sambrook, J.他編, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1989);Ausubel,F.他編, Current Protocols in Molecular Biology, John H.Wiley & Sons,Inc.(1997))。組織培養細胞系を用いた作業のための基礎的な実験室の技法(Cells,J.編, Cell Biology, Academic Press, 2版, (1998))、及び抗体系の技術(Harlow,E.及びLane,D., 「Antibodies:A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1988);Deutscher, M.P., 「Guide to Protein Purification」Meth.Enzymol.128, Academic Press San Diego(1990);Scopes, R.K., 「Protein Purification Principles and Practice」3版, Springer-Verlag, New York(1994))も文献中に十分に記載されており、これらのすべてを出典明示により本明細書に援用する。
【0074】
2.免疫応答を高めるための組成物及び方法
開示された発明は、動物又はヒトにおけるグレリン又はグレリン-ペプチドに対する、免疫応答を高めるための組成物及び方法を提供する。本発明の組成物は、(a)コア粒子、好ましくはVLP;及び(b)少なくとも一のグレリン-ペプチドを含むか、又はそれらからなり、前記グレリン-ペプチドは6又は8のアミノ酸残基長を有するペプチドからなり、そのペプチドは配列番号:1(GSSFLS)又は3(GSSFLSPE)と相同又は同一であり、ここでa)及びb)は互いに結合している。より詳細には、改変コア粒子、好ましくは本発明の改変VLPは、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチド及びウイルス様粒子を含有するか、又はそれらからなる。好ましくは、本発明のグレリン-ペプチドは、規則的な繰り返し抗原-VLPアレイが形成されるように、ウイルス様粒子に結合している。さらに、本発明によって実務家は、とりわけ、肥満の処置及び/又は予防のための、このような組成物を簡便に構築することができる。
【0075】
一実施態様では、コア粒子は、ウイルス、細菌線毛、細菌ピリンから形成される構造体、バクテリオファージ、ウイルス様粒子、RNAファージのウイルス様粒子、ウイルスキャプシド粒子、又はそれらの組換え形態を含むか、それらからなる群から選択される。好ましくは、前記コア粒子、さらにより好ましくは前記VLPは、組換えウイルス様粒子を含むか、又は組換えウイルス様粒子である。
【0076】
規則的な繰り返しコート及び/又はコアタンパク質構造を有する当該分野で公知の任意のウイルスは、本発明のコア粒子として選択することができる;適切なウイルスの例には、シンドビス及び他のアルファウイルス、ラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ヒトライノウイルス、アイチ(Aichi)ウイルス)、トガウイルス(例えば、風疹ウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、トゴト(Thogoto)ウイルス、バトケン(Batken)ウイルス、家禽ペストウイルス)、ポリオーマウイルス(例えば、ポリオーマウイルスBK、ポリオーマウイルスJC、トリポリオーマウイルスBFDV)、パルボウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、タバコモザイクウイルス、フロック・ハウス(Flock House)ウイルス、及びヒトパピローマウイルス(Papilomavirus)、好ましくはRNAファージを含み、好ましくは前記RNAファージは、バクテリオファージQβ、バクテリオファージR17、バクテリオファージM11、バクテリオファージMX1、バクテリオファージNL95、バクテリオファージfr、バクテリオファージGA、バクテリオファージSP、バクテリオファージMS2、バクテリオファージf2、バクテリオファージPP7、及びAP205から選択される(例えば、Bachmann, M.F.及びZinkernagel, R.M., Immunol. Today 17:553-558(1996)の表1を参照)。
【0077】
さらなる実施態様では、本発明は、規則的な繰り返しウイルスコートタンパク質と本発明のグレリン-ペプチドとの間に、又は別に非相同タンパク質、ペプチド、抗原決定基、又は選択した反応性アミノ酸残基から構成されるか、又は別にあるいは好ましくはこれらである第1付着部位と、付加された第2付着部位を有する本発明のグレリン-ペプチドとの間に融合を生じせしめるためにウイルスの遺伝子操作を利用する。当該分野で公知の他の遺伝子操作は、本発明の組成物の構築に含まれてもよく;例えば遺伝的変異を介して、組換えウイルスの複製能力を制限することが望ましい場合がある。さらに、本発明で使用されるウイルスは、化学的又は物理的な不活性化のため、又は示されているように、複製コンピテントゲノム及び/又はゲノム機能を欠いているため、複製不能である。第1付着部位への融合のために選択されるウイルスタンパク質は、組織化された繰り返し構造を有するべきである。このような組織化された繰り返し構造は、ウイルス表面上に5−30nm、好ましくは5−15nmのスペーシングを有する準結晶組織を含む。この種類の融合タンパク質の創造は、複数の規則的な繰り返し本発明のグレリン-ペプチド、又はウイルス表面上の第1付着部位に至り、天然ウイルスタンパク質の正常な組織化を示す。当業者には理解されるように、第1付着部位は、任意の適切なタンパク質、ポリペプチド、糖、ポリヌクレオチド、ペプチド(アミノ酸)、天然又は合成ポリマー、二次代謝産物、又はそれらの組み合わせで、好ましくは規則的な繰り返し抗原アレイを生じる、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドに特異的に付着し得るものであるか、又はその一部でありうる。もちろん、本発明のグレリン-ペプチド上におけるウイルスコートタンパク質間の直接融合は、第1及び/又は第2付着部位を導入することなくなされることが可能で、この場合、第1付着部位はウイルスコートタンパク質の天然アミノ酸であり、第2付着部位は本発明のグレリン-ペプチドの天然アミノ酸、又はグレリン-ペプチドに結合し、好ましくは融合したアミノ酸リンカーの天然アミノ酸であり、第1及び第2付着部位は、ペプチド結合により結合している。
【0078】
本発明の他の実施態様では、コア粒子は組換えアルファウイルス、より詳細には組換えシンビスウイルスである。アルファウイルスファミリーのいくつかのメンバー、シンビス(Xiong, C.ら, Science 243:1188-1191(1989);Schlesinger, S., Trends Biotechnol. 11:18-22(1993))、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)(Liljestroem, P. & Garoff, H.,Bio/Technology 9:1356-1361(1991))及び他のもの(Davis, N.L.ら, Virology 171:189-204(1989))は、多様なタンパク質(Lundstrom, K., Curr. Opin. Biotechnol. 8:578-582(1997);Liljestroem, P., Curr. Opin. Biotechnol. 5:495-500(1994))のウイルスベースの発現ベクターとして、またワクチン開発用の候補剤として使用するために、かなりの注目を受けている。近年、発行されている多くの特許は、異種タンパク質の発現及びワクチンの開発のためのアルファウイルスの使用に関している(米国特許第5766602号;同5792462号;同5739026号;同5789245号;及び同5814482号)。本発明の改変アルファウイルスコア粒子の作製は、出典明示によりここに援用される上述した文献に記載されているように、組換えDNA技術において一般的に公知の手段によりなされうる。
【0079】
規則的な繰り返し構造を有する当該分野で公知の任意のウイルスを、本発明のVLPとして選択することができる。例示的なDNA又はRNAウイルス、コート又はキャプシドタンパク質で、VLPの調製に使用可能であるものは、国際公開第2004/009124号の25頁10−21行、26頁11−28行、28頁4行ないし31頁4行に開示されている。これらの開示は出典明示によりここに援用される。
【0080】
他の実施態様では、細菌ピリン、細菌ピリンのサブ部分、又は細菌ピリン又はそのサブ部分のいずれかを含む融合タンパク質は、本発明の改変コア粒子及び組成物及びワクチン組成物それぞれの調製に使用される。ピリンタンパク質の具体例には、大腸菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、淋菌、カウロバクター属クレセンツス(Caulobacter crescentus)、シュードモナス属シュトゥッゼリ(Pseudomonas stutzeri)、及び緑膿菌により産生されるピリン類が含まれる。本発明での使用に適したピリンタンパク質のアミノ酸配列には、全ての開示が出典明示によりここに援用されるGenBankレポートAJ000636、AJ132364、AF229646、AF051814、AF051815、及びX00981に示されているものが含まれる。
【0081】
本発明での使用に適したピリンタンパク質の特定の好ましい例は、国際公開第02/056905号の41頁13−21行、41頁25行ないし43頁22行に開示されており、出典明示によりここに援用される。
【0082】
殆どの例では、本発明の組成物及びワクチン組成物それぞれに使用される線毛又は線毛様構造は、単一のタイプのピリンサブユニットからなる。しかしながら、本発明の組成物は、異種ピリンサブユニットから形成される線毛又は線毛様構造を有する組成物及びワクチンを含む。本発明の好ましい実施態様の発現の可能性ある方法は、国際公開第02/056905号の43頁28行ないし44頁6行に開示されている。
【0083】
さらに、本発明のグレリン-ペプチドは、少なくとも一の共有結合によって、細菌線毛又は線毛様構造に結合可能である。好ましい一実施態様では、前記少なくとも一の共有結合は、非ペプチド結合である。さらなる好ましい実施態様では、第1付着部位は、ピリン内部で自然に生じるか、又はピリンに操作されるリジンである。他のさらに好ましい実施態様では、第2付着部位はグレリン-ペプチドに加えられるシステインである。
【0084】
他の好ましい実施態様では、前記少なくとも一の共有結合はペプチド結合である。本発明の組成物に使用される線毛又は線毛様構造を生産する細菌細胞を、本発明のグレリン-ペプチドに融合するピリンタンパク質が生じるように、一般的に操作することができる。線毛又は線毛様構造を形成するこのような融合タンパク質は、本発明のワクチン組成物への使用に適切である。
【0085】
好ましい実施態様では、コア粒子はウイルス様粒子であり、好ましくはウイルス様粒子は組換えウイルス様粒子である。当業者であれば、組換えDNA技術及び公的に容易に利用可能なウイルスコード化配列を使用して、VLPを生産することができる。
【0086】
VLPの例には、限定されるものではないが、B型肝炎ウイルス(Ulrichら, Virus Res, 50:141-182(1998))、麻疹ウイルス(Warnesら, Gene 160:173-178(1995))、シンドビスウイルス、ロタウイルス(米国特許第5071651号及び米国特許第5374426号)、口蹄疫ウイルス(Twomeyら, Vaccine 13:1603 1610(1995))、ノーウォークウイルス(Jiang, Xら, Science 250:1580 1583(1990);Matsui, S.M.ら, J. Clin. Invest. 87:1456 1461(1991))のキャプシドタンパク質、レトロウイルスGAGタンパク質(国際公開第96/30523号)、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1、B型肝炎ウイルスの表面タンパク質(国際公開第92/11291号)、ヒトパピローマウイルス(国際公開第98/15631号)、RNAファージ、Ty、fr-ファージ、GA-ファージ、AP205-ファージ及びQβ-ファージが含まれる。
【0087】
当業者には直ぐに明らかであるように、本発明のVLPは任意の特定の形態に限定されない。粒子は、化学的に、又は天然又は非天然とすることができる生物学的プロセスを介して、合成することができる。例を挙げると、この種の実施態様には、ウイルス様粒子又はその組換え型が含まれる。
【0088】
より特定の実施態様では、VLPは、組換えポリペプチド、又はVLPに組立可能なそれらの断片で、ロタウイルスの組換えポリペプチド、ノーウォークウイルスの組換えポリペプチド、アルファウイルスの組換えポリペプチド、口蹄疫ウイルスの組換えポリペプチド、麻疹ウイルスの組換えポリペプチド、シンドビスウイルスの組換えポリペプチド、ポリオーマウイルスの組換えポリペプチド、レトロウイルスの組換えポリペプチド、B型肝炎ウイルス(例えばHBcAg)の組換えポリペプチド、タバコモザイクウイルスの組換えポリペプチド、フロック・ハウスウイルスの組換えポリペプチド、ヒトパピローマウイルスの組換えポリペプチド、バクテリオファージの組換えポリペプチド、RNAファージの組換えポリペプチド、Tyの組換えポリペプチド、fr-ファージの組換えポリペプチド、GA-ファージの組換えポリペプチド、及びQβ-ファージの組換えポリペプチドを含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなりうる。ウイルス様粒子は、このようなポリペプチドの一又は複数の断片、並びにこのようなポリペプチドの変異体がVLPに組立可能であるという条件で、このようなポリペプチドの断片又はこのようなポリペプチドの変異体をさらに含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなりうる。ポリペプチドの変異体は、それらの野生型対応物と、アミノ酸レベルで少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%の同一性を共有可能である。
【0089】
好ましい一実施態様では、本発明のウイルス様粒子はB型肝炎ウイルスのものである。B型肝炎ウイルス様粒子の調製は、とりわけ、国際公開第00/32227号、国際公開第01/85208号及び国際公開第01/056905号に開示されている。3つの公報の全てが明示的に出典明示によりここに援用される。本発明の実施での使用に適したHBcAgの他の変異体は、国際公開第01/056905号の34−39頁に開示されている。
【0090】
本発明のさらに好ましい一実施態様では、リジン残基がHBcAgポリペプチドに導入されて、HBcAgのVLPへの本発明のグレリン-ペプチドの結合を媒介する。好ましい実施態様では、本発明のVLP及び組成物は、79及び80位のアミノ酸がGly-Gly-Lys-Gly-Glyのアミノ酸配列を有するペプチドで置き換えられるように修飾された配列番号:25のアミノ酸1−144、又は1−149、1−185を含むか、又はそれらからなるHBcAgを使用して調製される。この修飾は配列番号:25を配列番号:26へ変化させる。さらに好ましい実施態様では、配列番号:25の48及び110位のシステイン残基、又はその対応する断片、好ましくは1−144又は1−149は、セリンに変異せしめられる。本発明は、上述した対応するアミノ酸変化を有するB型肝炎コアタンパク質変異を有する組成物をさらに含む。さらに本発明は、配列番号:26と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%同一のアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなるHBcAgポリペプチドをそれぞれ含有する組成物及びワクチンを含む。
【0091】
好ましい実施態様では、VLPはRNAバクテリオファージのウイルス様粒子である。さらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージの組換えタンパク質又はその断片を含むか、好ましくは本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。またさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージの組換えコートタンパク質又はその断片を含むか、好ましくは本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。好ましくは、RNA-ファージは、a)バクテリオファージQβ;b)バクテリオファージR17;c)バクテリオファージfr;d)バクテリオファージGA;e)バクテリオファージSP;f)バクテリオファージMS2;g)バクテリオファージM11;h)バクテリオファージMX1;i)バクテリオファージNL95;k)バクテリオファージf2;l)バクテリオファージPP7、及びm)バクテリオファージAP205からなる群から選択される。
【0092】
本発明の他の好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、VLP、RNA-バクテリオファージQβ又はRNA-バクテリオファージfr、又はRNA-バクテリオファージAP205、好ましくはRNA-バクテリオファージQβに組立可能な組換えタンパク質又はその断片を含むか、好ましくはそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0093】
好ましい一実施態様では、VLPはRNA-ファージの組換えタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらからなり、ここで好ましくは、前記組換えタンパク質は、RNAファージのコートタンパク質を含むか、好ましくはそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0094】
本発明の他の好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、VLP、RNA-ファージQβ、fr、AP205又はGAに組立可能な組換えタンパク質、好ましくは組換えコートタンパク質、又はその断片を含むか又はそれらからなる。
【0095】
よって、キャプシド又はVLPを形成するRNA-ファージコートタンパク質、又はキャプシド又はVLPへの自己集合と適合性のあるバクテリオファージコートタンパク質の断片は、本発明のさらに好ましい実施態様である。例えばバクテリオファージQβコートタンパク質は、大腸菌中で組換え的に発現可能である。本発明の組成物を調製するのに使用可能な特に好ましいバクテリオファージコートタンパク質の例には、RNAバクテリオファージ、例えばバクテリオファージQβ(配列番号:4及び配列番号:5)、バクテリオファージR17(配列番号:6)、バクテリオファージfr(配列番号:7)、バクテリオファージGA(配列番号:8)、バクテリオファージSP(配列番号:9及び配列番号:10)、バクテリオファージMS2(配列番号:11)、バクテリオファージM11(配列番号:12)、バクテリオファージMX1(配列番号:13)、バクテリオファージNL95(配列番号:14)、バクテリオファージf2(配列番号:15)、バクテリオファージPP7(配列番号:16)、及びバクテリオファージAP205(配列番号:28)のコートタンパク質が含まれる。さらに、バクテリオファージQβ(配列番号:5)のA1タンパク質、又はA1のC末端から100、150又は180アミノ酸程がなくなったC末端が切断された形態のものを、Qβコートタンパク質のキャプシド集合物に導入することができる。一般的に、キャプシド集合物において、Qβ CPに対するQβ A1タンパク質のパーセントは、キャプシド形成を確実にするために限定される。本発明のさらに好ましい実施態様では、アミノ酸配列を有するRNAファージのコートタンパク質は、配列番号:4;配列番号:4及び配列番号:5の混合物;配列番号:6;配列番号:7;配列番号:8;配列番号:9;配列番号:9及び配列番号:10の混合物;配列番号:11;配列番号:12;配列番号:13;配列番号:14;配列番号:15;配列番号:16;及び配列番号:28からなる群から選択される。
【0096】
またQβコートタンパク質は、大腸菌中で発現される場合に、キャプシドにおいて自己集合することが見出されている(Kozlovska TM.ら, GENE 137:133-137(1993))。キャプシドは、ジスルフィド架橋により共有結合性五量体及び六量体で結合し(Golmohammadi, Rら, Structure 4:543-5554(1996))、際だって安定したQβコートタンパク質のキャプシドを生じるコートタンパク質の180のコピーを含む。しかしながら、組換えQβコートタンパク質から作製されるキャプシド又はVLPは、キャプシド内の他のサブユニットへ、ジスルフィド結合を介して結合していないか、又は不完全に結合しているサブユニットを含んでいてもよい。しかしながら、典型的には約80%を越えるサブユニットが、VLP中で互いにジスルフィド結合を介して結合している。また、Qβキャプシドタンパク質は、有機溶媒及び変性剤に対して普通ではない耐性を示す。驚くべきことに、我々は、30%程度のアセトニトリル及びDMSO濃度、1M程度のグアニジニウム濃度が、キャプシドの安定性に影響を与えないことを観察した。Qβコートタンパク質のキャプシドが高度に安定していることは、特に本発明による動物及びヒトの免疫化及びワクチン接種での使用に対して、有利な特徴である。
【0097】
本発明において、さらに好ましいQβ等のRNA-ファージのウイルス様粒子は、その開示の全てが出典明示によりここに援用される国際公開第02/056905号に開示されている。
【0098】
さらに、RNAファージコートタンパク質は、細菌宿主中での発現において、自己集合することが示されている(Kastelein, RAら, Gene 23:245-254(1983)、Kozlovskaya, TMら, Dokl. Akad. Nauk SSSR 287:452-455(1986)、Adhin, MRら, Virology 170:238-242(1989)、Ni, CZら, Protein Sci. 5:2485-2493(1996)、Priano, Cら, J. Mol. Biol. 249:283-297(1995))。Qβファージキャプシドは、コートタンパク質に加えて、いわゆるリードスルー(read-through)タンパク質A1及び成熟タンパク質A2を含む。A1はUGA停止コドンを抑制することにより生じ、329aa長を有する。本発明で使用されるファージQβ組換えコートタンパク質のキャプシドは、A2溶解タンパク質を欠いており、宿主からのRNAを含んでいる。
【0099】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージの組換えタンパク質又はその断片を含むか、又は好ましくはそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、ここで組換えタンパク質は、RNAファージの変異コートタンパク質、好ましくは上述したRNAファージの変異コートタンパク質を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。一実施態様では、変異コートタンパク質は、本発明のグレリン-ペプチドとの融合タンパク質である。他の好ましい実施態様では、RNAファージの変異コートタンパク質は、置換により少なくとも1個、又は少なくとも2個のリジン残基が除去されることによって、又は置換により少なくとも1個のリジン残基が付加されることによって修飾されるか;又はRNAファージの変異コートタンパク質は、少なくとも1個、又は少なくとも2個のリジン残基が欠失するか、又は挿入により少なくとも1個のリジン残基が付加されることによって修飾される。少なくとも1個のリジン残基の欠失、置換又は付加により、結合の度合い、すなわちRNA-ファージのVLPのサブユニット当たりのグレリン-ペプチドの量を、特にワクチンの要求に適合させ、調整するように変えることができる。よって、本発明のさらに好ましい実施態様では、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、少なくとも1個の自然に生じたリジン残基を除去するための欠失又は置換により修飾されたか、又は少なくとも1個のリジン残基を付加するための挿入又は置換により修飾された前記RNAファージの一又は複数のコートタンパク質を含む。
【0100】
本発明の好ましい実施態様では、サブユニット当たり、平均少なくとも1.0のグレリン-ペプチドが、RNA-ファージのVLPに結合している。この値は、RNA-ファージのVLPの全てのサブユニット又は単量体の平均として算出される。本発明のさらに好ましい実施態様では、RNA-ファージのVLPの全てのサブユニット又は単量体に対しての結合平均として算出された場合、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2.0のグレリン-ペプチドが、RNA-ファージのVLPに結合している。
【0101】
他の好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-バクテリオファージQβの組換えタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、ここで組換えタンパク質は、配列番号:4のアミノ酸配列を有するコートタンパク質、又は配列番号:4と配列番号:5のアミノ酸配列を有するコートタンパク質の混合物、又は配列番号:5、好ましくは配列番号:5のC末端が切断され、N末端のメチオニンが好ましくは切断されている形態の変異体を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0102】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、Qβの組換えタンパク質又はその断片を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり、ここで組換えタンパク質は、変異Qβコートタンパク質を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。他の好ましい実施態様では、これらの変異コートタンパク質は、置換により少なくとも1個のリジン残基が除去され、又は置換により少なくとも1個のリジン残基が付加されることで修飾される。またこれらの変異コートタンパク質は、少なくとも1個のリジン残基の欠失により、又は挿入による少なくとも1個のリジン残基の付加により修飾される。
【0103】
4個のリジン残基はQβコートタンパク質のキャプシド表面上に露出される。露出されたリジン残基がアルギニンで置き換えられたQβ変異体も、本発明でまた使用可能である。よって、次のQβコートタンパク質変異体及び変異体Qβ VLPが、本発明の実施において使用可能である:「Qβ-240」(Lys13-Arg:配列番号:17)、「Qβ-243」(Asn 10-Lys;配列番号:18)、「Qβ-250」(Lys 2-Arg、Lys13-Arg;配列番号:19)、「Qβ-251」(配列番号:20)及び「Qβ-259」(Lys 2-Arg、Lys16-Arg;配列番号:21)。しかして、本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、a)配列番号:17;b)配列番号:18;c)配列番号:19;d)配列番号:20;及びe)配列番号:21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、変異Qβコートタンパク質の組換えタンパク質を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。上述したQβコートタンパク質、変異Qβコートタンパク質VLP及びキャプシドの構成、発現及び精製は、それぞれ国際公開第02/056905号に記載されている。特に上述した出願の実施例18が参照される。
【0104】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、Qβの組換えタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、ここで組換えタンパク質は、前述のQβ変異体及び対応するA1タンパク質のいずれか一方の混合物を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。
【0105】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージAP205のVLPに組立可能な組換えタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0106】
他のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージAP205のVLPに組立可能なコートタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。AP205 VLPは高度に免疫原性である。
【0107】
国際公開第2004/007538号、特に実施例1及び実施例2には、AP205コートタンパク質を含むVLPを得る方法と、特にその発現及び精製のための方法が記載されている。国際公開第2004/007538号は出典明示によりここに援用される。アミノ酸5でプロリンがスレオニンに置換され(配列番号:29)、又はアミノ酸14でアスパラギンが配列番号:28のアスパラギン酸に置換された、AP205コートタンパク質を含む、AP205VLPの集合にコンピテントな変異形態も本発明の実施に使用され、本発明のさらに好ましい実施態様となる。
【0108】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージAP205の組換え変異コートタンパク質又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0109】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージAP205の組換えコートタンパク質又はその断片、及びRNA-ファージAP205の組換え変異コートタンパク質又はその断片の混合物を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0110】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージAP205の組換えコートタンパク質又は組換え変異コートタンパク質の断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0111】
VLP及びキャプシドにそれぞれ組立可能な組換えAP205コートタンパク質断片も本発明の実施に有用である。これらの断片は、それぞれコートタンパク質及び変異コートタンパク質の内部又は末端のいずれかが欠失されることによって生じ得る。コートタンパク質及び変異コートタンパク質配列又はVLPへの組立と適合性があり、本発明のグレリン-ペプチドのコートタンパク質及び変異コートタンパク質配列への融合体への挿入も本発明のさらなる実施態様であり、それぞれキメラAP205コートタンパク質及び粒子を生じる。コートタンパク質配列への挿入、欠失及び融合の結果と、それがVLPへの集合と適合性があるかどうかは、電子顕微鏡検査により決定することができる。
【0112】
いくつかのRNAバクテリオファージの結晶構造は決定されている(Golmohammadi, Rら, Structure 4:543-554(1996))。このような情報を使用し、表面露出残基を同定することができ、よってRNA-ファージコートタンパク質を、一又は複数の反応性アミノ酸残基が挿入又は置換により挿入可能であるように修飾することができる。その結果、修飾形態のバクテリオファージコートタンパク質も本発明で使用することができる。よって、キャプシド又はキャプシド様構造を形成するタンパク質の変異体(例えば、バクテリオファージQβ、バクテリオファージR17、バクテリオファージfr、バクテリオファージGA、バクテリオファージSP、バクテリオファージAP205、及びバクテリオファージMS2のコートタンパク質)も、改変コア粒子、好ましくは改変VLP、及び本発明の組成物を調製するために使用することができる。
【0113】
上で検討した変異タンパク質の配列は、それらの野生型対応物と異なっているが、これらの変異タンパク質は、一般的に、キャプシド又はキャプシド様構造を形成する能力を保持している。よって、本発明は、組成物及びワクチン組成物をそれぞれ含み、さらにキャプシド又はキャプシド様構造を形成するタンパク質の変異体、並びにそのような組成物及びワクチン組成物を調製する方法、このような組成物の調製に使用される個々のタンパク質サブユニット、及びこれらのタンパク質サブユニットをコードする核酸分子を含む。よって、本発明の範囲に含まれるものは、キャプシド又はキャプシド様構造を形成し、また結合してキャプシド又はキャプシド様構造を形成する能力を保持している野生型タンパク質の変異型である。
【0114】
その結果、本発明は、それぞれ規則的なアレイを形成し、固有の繰り返し構造を有する、野生型タンパク質に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなるタンパク質をそれぞれ含む組成物及びワクチン組成物をさらに含む。
【0115】
さらに本発明の範囲に含まれるものは、本発明の組成物を調製するために使用されるタンパク質をコードする核酸分子である。
【0116】
他の実施態様では、本発明は、配列番号:4−21に示されるいずれかのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなるタンパク質を含有する組成物をさらに含む。
【0117】
本発明のさらに好ましい実施態様では、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドは、少なくとも一の共有結合を介して、前記コア粒子及びウイルス様粒子にそれぞれ結合している。好ましくは、少なくとも一のグレリン-ペプチドは、少なくとも一の共有結合を介して、コア粒子及びウイルス様粒子にそれぞれ結合しており、前記共有結合は、コア粒子-グレリン粒子、好ましくは規則的な繰り返しアレイ、及びグレリン-VLP-結合体、好ましくはアレイをそれぞれ生じる非ペプチド結合である。このグレリン-VLPアレイ及び結合体はそれぞれ、少なくとも一、しかし通常は一を超える本発明のグレリン-ペプチドが、配向された態様で、それぞれVLP及びコア粒子に結合しているため、典型的に、かつ好ましくは規則的な繰り返し構造を有する。好ましくは120以上、さらに好ましくは180以上、より好ましくは270以上、またさらに好ましくは360以上の本発明のグレリン-ペプチドがVLPに結合している。
【0118】
本発明のさらに好ましい実施態様では、改変VLPは、少なくとも一で、好ましくは一のヘテロ二官能性架橋剤をさらに含む。本発明は、コア粒子及びVLPそれぞれへ本発明のグレリン-ペプチドを結合させる方法を開示している。示したように、本発明の一態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、化学的架橋によって、典型的にかつ好ましくはヘテロ二官能性架橋剤を使用して、コア粒子及びVLPそれぞれに結合せしめられる。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤は当該分野で公知である。好ましい実施態様では、ヘテロ二官能性架橋剤は、好適な第1付着部位、好ましくはコア粒子及びVLP又は少なくとも一のVLPサブユニットのリジン残基の側鎖アミノ基と反応可能な官能基と、好適な第2付着部位、好ましくは本発明のグレリン-ペプチドに付加されもしくは付加されるように操作され、場合によっては還元反応に利用可能とされたシステイン残基を反応可能なさらなる官能基を有する。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤は当該分野で公知である。これらには、好適な架橋剤SMPH(Pierce)、スルホ-MBS、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMPB、スルホ-SMCC、SVSB、SIA、及び例えばPierce Chemical Company(Rockford, IL, USA)から入手可能な他の架橋剤で、アミノ基に対して反応性のある一官能基とシステイン残基に対して反応性のある一官能基を有するものが含まれる。本発明の実施に適した他のクラスの架橋剤は、結合の際に、本発明のグレリン-ペプチドとコア粒子又はVLPとの間にジスルフィド結合が導入されることにより特徴付けられる。このクラスに属する好ましい架橋剤には、例えばSPDP及びスルホ-LC-SPDP(Pierce)が含まれる。
【0119】
本発明のまたさらに好ましい実施態様では、改変VLPはアミノ酸リンカーをさらに含有し、ここで好ましくは前記アミノ酸リンカーはグレリンアミノ酸残基配列をさらには含まない。本発明の好ましい実施態様では、第1付着部位はアミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはその基である。本発明の他の好ましい実施態様では、第2付着部位はスルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基を含むか、好ましくはその基である。本発明の非常に好ましい実施態様では、少なくとも一の第1付着部位はアミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基であり、少なくとも一の第2付着部位はスルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基である。
【0120】
いくつかの実施態様では、コア粒子及びVLPそれぞれに結合させるために、本発明のグレリン-ペプチドに、第2付着部位又はその一部として、システイン残基を有するアミノ酸リンカーを操作することは、好ましいか又は必要でありうる。あるいは、システインは本発明のグレリン-ペプチドへの付加により導入されうる。また、システイン残基は化学的カップリングにより導入されうる。
【0121】
アミノ酸リンカーの選択は、本発明のグレリン-ペプチドの性質、その生化学的特性、例えばpI、電荷分布、及びグリコシル化度に依存するであろう。一般に、フレキシブルなアミノ酸リンカーが好まれる。アミノ酸リンカーの好ましい実施態様は:(a)CGG;(b)N末端ガンマ1-リンカー;(c)N末端ガンマ3-リンカー;(d)Igヒンジ領域;(e)N末端グリシンリンカー;(f)n=0−12、k=0−5である(G)kC(G)n(配列番号:34);(g)N末端グリシン-セリンリンカー;(h)n=0−3、k=0−5、m=0−10、l=0−2である(G)kC(G)m(S)l(GGGGS)n(配列番号:35);(i)GGC;(k)GGC-NH2;(l)C末端ガンマ1-リンカー;(m)C末端ガンマ3-リンカー;(n)C末端グリシンリンカー;(o)n=0−12及びk=0−5である(G)nC(G)k(配列番号:36);(p)C末端グリシン-セリンリンカー;(q)n=0−3、k=0−5、m=0−10、l=0−2及びo=0−8である(G)m(S)l(GGGGS)n(G)oC(G)k(配列番号:37)からなる群から選択される。さらに好ましい実施態様では、少なくとも一のグレリン-ペプチドは、そのC末端を介してVLPに結合している。よってC末端リンカーは本発明の好ましい実施態様である。
【0122】
アミノ酸リンカーのさらに好ましい例は、免疫グロブリンのヒンジ領域、グリシン-セリンリンカー(GGGGS)n(配列番号:38)、及びグリシンリンカー(G)nで、第2付着部位としてシステイン残基、場合によってはグリシン残基をさらに含むものである。前記アミノ酸リンカーの典型的に好ましい例は、N末端ガンマ1:CGDKTHTSPP(配列番号:39);C末端ガンマ1:DKTHTSPPCG(配列番号:40);N末端ガンマ3:CGGPKPSTPPGSSGGAP(配列番号:41);C末端ガンマ3:PKPSTPPGSSGGAPGGCG(配列番号:42);N末端グリシンリンカー:GCGGGG(配列番号:43);C末端グリシンリンカー:GGGGCG(配列番号:44);C末端グリシン-リジンリンカー:GGKKGC(配列番号:45);N末端グリシン-リジンリンカー:CGKKGG(配列番号:46)である。
【0123】
本発明のさらに好ましい実施態様では、GGCC(配列番号:47)、GGC又はGGC-NH2(「NH2」はアミド化を表す)、GC又はCリンカーで、グレリン-ペプチドのC末端におけるものが、アミノ酸リンカーとして好ましい。一般に、カップリング反応においてより大きなアミノ酸の潜在的な立体障害を回避するために、大きなアミノ酸と第2付着部位として使用されるシステインとの間にグリシン残基が挿入される。
【0124】
上述した好適な方法によってヘテロ二官能性架橋剤を使用して、コア粒子及びVLPのそれぞれへ本発明のグレリン-ペプチドを結合させると、本発明のグレリン-ペプチドをコア粒子及びVLPのそれぞれに配向された形で結合させることが可能になる。コア粒子及びVLPのそれぞれへ本発明のグレリン-ペプチドを結合させるための他の方法には、カルボジイミドEDC、及びNHSを使用し、本発明のグレリン-ペプチドがコア粒子及びVLPのそれぞれに架橋させる方法が含まれる。また本発明のグレリン-ペプチドは、例えばSATA、SATP又はイミノチオランを用いた反応を介して、まずチオラート化されてもよい。ついで、必要ならば脱保護した後、本発明のグレリン-ペプチドは、次のようにしてコア粒子及びVLPのそれぞれに結合させることができる。過度のチオラート化剤を分離した後、本発明のグレリン-ペプチドを、システイン反応部分を含むヘテロ二官能性架橋剤で予め活性化され、よってシステイン残基に対して反応性の少なくとも一又は複数の官能基を示すコア粒子及びVLPのそれぞれと反応させるもので、本発明のチオラートされたグレリン-ペプチドは上述したようにそのシステイン残基に反応可能である。場合によっては、少量の還元剤を反応混合物に含有せしめる。さらなる方法では、本発明のグレリン-ペプチドは、ホモ二官能性架橋剤、例えばグルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3、(Pierce Chemical Company, Rockford, IL, USA)、又はコア粒子及びVLPそれぞれのアミノ基又はカルボキシル基に対して反応する官能基を有する他の公知のホモ二官能性架橋剤を使用して、コア粒子及びVLPそれぞれに付着せしめられる。あるいは、配列番号:3のグルタミン酸は、好ましくはリジン残基を介して、VLPに本発明のグレリン-ペプチドを結合させるための第2付着部位として使用することができる。
【0125】
本発明のグレリン-ペプチドにVLPを結合させるの他の方法には、コア粒子及びVLPそれぞれがビオチン化され、本発明のグレリン-ペプチドがストレプタビジン融合タンパク質として発現する方法、又は本発明のグレリン-ペプチドと、コア粒子及びVLPそれぞれが、例えば国際公開第00/23955号に開示されているようにビオチン化される方法が含まれる。レセプター及びリガンドの可溶性型が利用可能であり、コア粒子及びVLP、又は本発明のグレリン-ペプチドに架橋可能である他のリガンド-レセプター対を、コア粒子及びVLPそれぞれへ本発明のグレリン-ペプチドを結合させるための結合剤として使用してもよい。また、リガンド又はレセプターのいずれかが、本発明のグレリン-ペプチドに融合してよく、レセプター又はリガンドいずれかの化学的結合又は融合による、コア粒子及びVLPへの結合が媒介される。また融合は、挿入又は置換により達成されてもよい。
【0126】
既に示したように、本発明の好ましい実施態様では、VLPはRNAファージのVLPであり、より好ましい実施態様では、VLPはRNAファージQβのVLPである。
【0127】
一又はいくつかの抗原分子、すなわち本発明のグレリン-ペプチドは、立体的に許容されるならば、好ましくはRNAファージのVLPの露出リジン残基を介して、RNAファージコートタンパク質のVLP又はキャプシドの一つのサブユニットに付着させることができる。RNAファージのコートタンパク質のVLP、特にQβコートタンパク質VLPに特異的な特性は、サブユニット当たりいくつかの抗原に結合可能なことである。このことにより、高密度な抗原アレイの産生が可能になる。
【0128】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドの、コア粒子及びウイルス様粒子それぞれへの結合は、ウイルス様粒子の少なくとも一の第1付着部位と、本発明のグレリン-ペプチドの少なくとも一の第2付着部位との間の結合による。
【0129】
Qβコートタンパク質のVLP又はキャプシドは、キャプシドの内部に向き、RNAと相互作用する3個のリジン残基と、キャプシドの外部に露出した4個の他のリジン残基を有する定まったトポロジーで、その表面に定まった数のリジン残基をディスプレイする。これらの定まった特性は、リジン残基がRNAと相互作用する粒子の内部よりもむしろ、粒子の外部への抗原の付着に好ましい。
【0130】
本発明の非常に好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、本発明のグレリン-ペプチドに付加されているシステイン残基を介して、RNAファージコートタンパク質のVLPのリジン残基、特にQβコートタンパク質のVLPに結合している。
【0131】
RNAファージから誘導されたVLPの他の利点は、手頃なコストで多量の物質を生産可能な細菌において、それらの発現収率が高いことである。他の好ましい実施態様は、本発明のグレリン-ペプチドと、RNAファージコートタンパク質の融合タンパク質から誘導されたVLPにある。
【0132】
担体としてVLPを使用すると、可変の抗原密度を有する、強固な抗原アレイ及び結合体の形成が可能になる。特に、RNAファージのVLPを使用、特にRNAファージQβコートタンパク質のVLPを使用すると、非常に高いエピトープ密度の達成が可能になる。高いエピトープ密度を有するRNAファージコートタンパク質のVLPの組成物の調製は、この出願の教示を使用することにより達成可能である。本発明の好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドがRNAバクテリオファージのVLP、好ましくはQβコートタンパク質のVLPに結合する場合、サブユニット当たりの本発明のグレリン-ペプチドの平均数は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又はそれ以上であることが好ましい。
【0133】
ここで定義したような非天然の第2付着部位は、存在する場合、本発明のグレリン-ペプチドに付加された化学部分である。このような非天然の第2付着部位は、好ましくは遺伝子工学により、又はグレリン-ペプチドと第2付着部位の双方を含むポリペプチドを化学的に合成することにより、本発明のグレリン-ペプチドに操作可能である。
【0134】
上述したように、4個のリジン残基はQβコートタンパク質のVLP表面に露出している。典型的には、これらの残基は架橋剤分子との反応の際に誘導体化される。全ての露出リジン残基が抗原に結合するものではない場合は、架橋剤と反応したリジン残基が、誘導体化工程の後、ε-アミノ基に付着した架橋剤分子と共に残る。これにより、一又はいくつかの正電荷が消失し、これがVLPの可溶性及び安定性に有害になりうる。アルギニンでリジン残基のいくつかを置き換えると、以下に記載する開示されたQβコートタンパク質変異体におけるように、アルギニン残基が好ましい架橋剤と反応しないため、正電荷の過度の消失が防止される。さらに、アルギニンによるリジン残基の置き換えにより、抗原に対する反応にはより少ない部位が利用されるため、より明確な抗原アレイを生じる可能性がある。
【0135】
従って、露出リジン残基は、この出願で開示されている次のQβコートタンパク質変異体及び変異Qβ VLPにおいて、アルギニンに置き換えられた:Qβ-240(Lys13-Arg;配列番号:17)、Qβ-250(Lys 2-Arg, Lys13-Arg;配列番号:19)、Qβ-251;(配列番号:20)及びQβ-259(Lys 2-Arg, Lys16-Arg;配列番号:21)。構成物をクローニングし、タンパク質を発現させ、VLPを精製し、本発明のグレリン-ペプチドへの結合に使用した。
【0136】
さらなる実施態様では、我々は、抗原のさらに高密度のアレイを得るのに適した、一つの付加的なリジン残基を有するQβ変異コートタンパク質を開示する。この変異Qβコートタンパク質、Qβ-243(Asn 10-Lys;配列番号:18)をクローニングし、タンパク質を発現させ、キャプシド又はVLPを単離して精製したところ、付加的なリジン残基の導入が、キャプシド又はVLPへのサブユニットの自己集合と適合性があることが示された。
【0137】
非天然の第2付着部位の設計をする前に、融合、挿入、又一般的には操作すべき位置が選択されなければならない。よって、第2付着部位の位置は、第2付着部位又はそれを含む任意のアミノ酸リンカーからの立体障害が回避されるように選択されるであろう。さらなる実施態様では、その天然リガンドとの自己抗原の相互作用部位とは異なる部位に対する抗体応答が望まれる。このような実施態様では、第2付着部位は、その天然リガンドとの自己抗原の相互作用部位に対する抗体の産生が妨げられるように選択することができる。
【0138】
最も好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、コア粒子及びVLP又はVLPサブユニットの第1付着部位と結合可能な付加された単一の第2付着部位又は単一の反応性付着部位を含む。これにより、少なくとも一で、典型的には1を超え、好ましくは10、20、40、80、120、150、180、210、240、270、300,360、400、450の本発明のグレリン-ペプチドの、コア粒子及びVLPへの定まった均一な結合(binding及びassociation)が確実になる。よって、抗原上への単一の第2付着部位又は単一の反応性付着部位の提供は、単一で均一なタイプの結合(binding及びassociation)を確実にし、非常に高度に規則的な繰り返しアレイを生じる。例えば結合(binding及びassociation)それぞれが、リジン-(第1付着部位として)及びシステイン-(第2付着部位として)の相互作用により達成されるならば、本発明の好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチド当たり、唯一の付加されたシステイン残基が、コア粒子の第1付着部位及びVLPと、結合(binding及びassociation)可能であることが保証される。
【0139】
好ましい実施態様では、アミノ酸リンカーは、少なくとも一の共有結合、好ましくは少なくとも一のペプチド結合により、抗原又は抗原決定基に結合している。好ましくは、アミノ酸リンカーは、第2付着部位を含むか、又はそれらからなる。さらに好ましい実施態様では、アミノ酸リンカーはスルフヒドリル基又はシステイン残基を含む。他の好ましい実施態様では、アミノ酸リンカーはシステインである。
【0140】
本発明の好ましい一実施態様では、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドは、コア粒子及びVLPにそれぞれ融合している。本発明のまたさらに好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、VLPに導入されてキメラVLP-サブユニットグレリン-ペプチドタンパク質融合体を産生することが可能なタンパク質又はVLPの少なくとも一のサブユニットに融合せしめられる。VLPのコートタンパク質をコードする遺伝子に対し、内部において、又は好ましくはN-又はC末端で本発明のグレリン-ペプチドをコードする遺伝子が融合される。また融合は、コートタンパク質の変異体にグレリン-ペプチドの配列を挿入することにより達成することができ、ここでコートタンパク質配列の一部は欠失しており、切断変異と称される。切断変異は、コートタンパク質配列の一部が、N-又はC末端、もしくは内部で欠失されたものであってよい。例えば特定のVLP HBcAgに対して、アミノ酸79−80が外来エピトープで置き換えられる。融合タンパク質は、発現の際、VLPに集合する能力を保持していおり、電子顕微鏡検査法により検査することができる。
【0141】
フランキングアミノ酸残基を付加して、コートタンパク質と外来エピトープとの間の距離を増加させることができる。グリシン及びセリン残基が、フランキング配列に使用される特に好ましいアミノ酸である。このようなフランキング配列によりさらなる可撓性が付与され、VLPサブユニットの配列における外来配列の融合を潜在的に不安定にさせる影響が低減し、外来エピトープの存在による集合体との干渉が低減する。
【0142】
好ましい一実施態様では、改変VLPはモザイクVLPである。好ましい実施態様では、前記モザイクVLPは、少なくとも一の融合タンパク質と少なくとも一のウイルスコートタンパク質を含むか、又はそれらからなる。他の実施態様では、本発明の少なくとも一のグレリン-ペプチドは、多くの他のウイルスコートタンパク質、例えばQβのA1タンパク質のC末端切断形態に融合させるか(Kozlovska, T.Mら, Intervirology 39:9-15(1996))、又はCP伸展の72及び73位の間に挿入することができる。例えば、Kozlovskaら(Intervirology, 39:9-15(1996))は、エピトープが19位で切断されたQβCP伸長のC末端で融合しているQβA1タンパク質融合体を記載している。他の例として、グレリン-ペプチドはfr CPのアミノ酸2及び3の間に挿入可能であり、グレリン-ペプチド-fr CP融合タンパク質が得られる(Pushko Pら, Prot. Eng. 6:883-891(1993))。さらに、グレリン-ペプチドは、RNAファージMS-2のコートタンパク質のN末端隆起β-ヘアピンに融合させることができる(国際公開第92/13081号)。またグレリン-ペプチドは、パピローマウイルスのキャプシドタンパク質、好ましくはウシパピローマウイルス1型(BPV-1)の主たるキャプシドタンパク質L1に融合可能である(Chackerian, Bら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:2373-2378(1999)、国際公開第00/23955号)。グレリン-ペプチドを有するBPV-1 L1のアミノ酸130−136の置換も、本発明の実施態様である。本発明の抗原の、コートタンパク質、その変異体又は断片、ウイルスのコートタンパク質への使用のさらなる実施態様は、出典明示によりここに援用される国際公開第2004/009124号の62頁20行ないし68頁17行に開示されている。
【0143】
本発明のさらなる非常に好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、6又は8のアミノ酸残基長を有するグレリン-ペプチドであり、そのペプチドは配列番号:1又は配列番号:3に相同であり、a)ヒトグレリン;b)ネコグレリン;c)イヌグレリン;d)ウシグレリン;e)ヒツジグレリン;f)ウマグレリン、及びg)ブタグレリンからなる群から選択される。
【0144】
本発明のさらに非常に好ましい実施態様では、本発明のグレリン-ペプチドは、本発明のヒト、ネコ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、モルモット、イヌ又はマウスのグレリン-ペプチドである。本発明のグレリン-ペプチドは、本発明のグレリン-ペプチドをコードするDNAの組換え発現により産生することができる。好ましくは、DNAはプレプログレリンをコードしないが、活性化n-オクタノイル修飾ペプチドのペプチド骨格のみをコードする。ここで種々の例が文献に記載されており、可能ならば修飾後、好ましくは融合ポリペプチド、例えばGST、DHFR、ヒスチジンタグ、Flagタグ、mycタグ又は抗体の定常領域(Fc領域)との融合における、任意の所望の種の本発明のグレリン-ペプチドを発現させるために使用することができる。本発明のグレリン-ペプチドとタグとの間に、エンテロキナーゼ切断を導入することで、本発明のグレリン-ペプチドは、エンテロキナーゼを用いた消化後により、精製後、タグから分離することができる。他のアプローチでは、本発明のグレリン-ペプチドは、当業者に公知の標準的なペプチド合成反応を使用し、N-オクタノイル-修飾をする又はしないで合成することができる。
【0145】
好ましい一実施態様では、グレリン-ペプチドはGSSFLS(配列番号:1)又はGSSFLSPE(配列番号:3)から選択される。さらに好ましい一実施態様では、グレリン-ペプチドは配列番号:1又は配列番号:3から1位置のみが異なっており、前記差異は配列番号:2に帰さない。さらに好ましい一実施態様では、前記差異は特定の位置でのアミノ酸の性質の際であるが、長さの差異ではない。
【0146】
好ましい一実施態様では、グレリン-ペプチドはn-オクタノイル修飾を含まない。
【0147】
様々な種のグレリンは高度に相同的であるために、架橋反応性の抗体応答を誘発可能であると思われる。よって、イヌ又はマウスのグレリンに対する抗体応答は、ヒトグレリンを認識しうるし、逆も同様である。しかして、本発明の範囲において、ヒトグレリンと>80%、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、又はまたさらに好ましくは95%以上、97%、又は99%同一であるアミノ酸を有する本発明の全てのグレリン-ペプチドがワクチン接種に使用可能であり、また逆も同様である。配列番号:1又は3と1位置のみが異なり、配列番号:2ではない、このような本発明のグレリン-ペプチドが、本発明の好ましいグレリン-ペプチドである。
【0148】
本発明の好ましい一実施態様では、改変VLPは少なくとも一のポリペプチドをさらに含み、ここで前記少なくとも一のポリペプチドは、本発明のグレリン-ペプチドに融合している。グレリン-ペプチドへの付加的なアミノ酸配列の融合によりグレリン-ペプチドの溶解性及び/又は安定性が増加しうる。典型的でかつ好ましい前記少なくとも一のポリペプチドは、グレリン-ポリペプチドから誘導されるアミノ酸配列を含まないか、又はそれからなる。さらに好ましい一実施態様では、前記少なくとも一のポリペプチドはアミノ酸リンカーである。好ましい実施態様では、前記アミノ酸リンカーは少なくとも一の第2付着部位を含むか、又はそれらからなる。さらに好ましい実施態様では、本発明の前記アミノ酸リンカーは、C、GC又はGGCのリンカー配列を含むか、又は別に又は好ましくはそれらからなる。好ましいアミノ酸リンカーは本発明のグレリンのC末端に融合している。好ましくは、前記付加的な少なくとも一の第2付着部位を有する本発明のグレリン-ペプチドは:
Ghrel24-31GC GSSFLSPEGC(配列番号:50)
Ghrel24-31C GSSFLSPEC(配列番号:51)
Ghrel24-30GC GSSFLSPGC(配列番号:52)
Ghrel24-30C GSSFLSPC(配列番号:53)
Ghrel24-29GC GSSFLSGC(配列番号:54)
Ghrel24-29C GSSFLSC(配列番号:55)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0149】
本発明のさらに非常に好ましい実施態様では、前記少なくとも一の第2付着部位を有する本発明のグレリン-ペプチドは、配列番号:50又は配列番号:51のアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0150】
本発明の非常に好ましいグレリン-ペプチドのいくつかは、実施例9に開示されている。これらのペプチドは、VLP及び線毛に結合するために付加される第2付着として、C末端システイン残基を含む。これらの非常に好ましい短い本発明のグレリン-ペプチドは、VLP及びコア粒子それぞれに結合する場合に、非常に高められた免疫原性を有することができる。さらに、本発明の好ましいグレリン-ペプチドは、より短い断片として、標的自己タンパク質がT細胞エピトープを含むとはそれ程思われない場合に生じる、安全性の問題点を克服することができる。典型的には、ペプチドが短ければ短い程、T細胞活性化に関しては安全である。しかしながら、ペプチドがあまりに短すぎると、すなわち4未満のアミノ酸を有する場合は、溶液中で、グレリンに強く結合可能な高親和性の抗体を誘発させるのに失敗するおそれがある。
【0151】
残基1−8(GSSFLSPE)(配列番号:3)のグレリン断片に相当する非常に好ましいグレリン-ペプチド断片は、グレリンのN末端セグメントが全ての公知の種の間で同一であるために、主として選択された。さらに、それは、グレリンがまだ同定されなければならない種において同一であると思われる。さらに、C末端残基のグルタメートは、可溶性を亢進し、VLP及びコア粒子にそれぞれ結合する場合、可溶性ワクチン産物の生産を容易にする。実際、ペプチドの溶解度は、多くの場合、結合効率及びワクチン安定性の限定因子である。さらなる理由には、潜在的T細胞エピトープの回避が含まれる。より小さなペプチド断片を選択することで、T細胞エピトープの存在の可能性が低下する。VLPへのC末端を介したグレリン残基1−8の結合は、マウスに免疫化された場合、活性化グレリンへ結合可能なN末端特異的抗体を誘発し、よって好ましくは血液脳関門の通過を防止し、食物取り込みの低下を生じる。
【0152】
残基1−6(GSSFLS)(配列番号:1)のマウスグレリン-ペプチド断片に相当するさらなる非常に好ましいグレリン-ペプチド断片が、上述と同様の理由から選択される。VLPへのC末端を介したグレリン残基1−6の結合は、活性化グレリンを中和可能な抗体を誘発し、よって好ましくは血液脳関門の通過を防止し、食物取り込みの低下を生じるであろう。
【0153】
さらなる一態様では、本発明は、本発明の改変コア粒子、又は好ましくは改変VLPを含有する組成物を提供する。
【0154】
さらに一態様では、本発明は、本発明の改変コア粒子、又は好ましくは改変VLPと、許容可能な薬学的担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0155】
またさらに一態様では、本発明は、本発明の改変コア粒子又は好ましくは改変VLPを含有するワクチン組成物を提供する。
【0156】
一実施態様では、本発明は、アジュバントをさらに含有する本発明のワクチン組成物を提供する。他の実施態様では、本発明のワクチン組成物はアジュバントを欠く。本発明のさらなる実施態様では、ワクチン組成物は本発明のコア粒子を含有し、ここでコア粒子はウイルス様粒子を含み、好ましくはウイルス様粒子であり、好ましい前記ウイルス様粒子は組換えウイルス様粒子である。好ましくは、ウイルス様粒子は、RNA-ファージの組換えタンパク質又はその断片、好ましくはRNAファージのコートタンパク質を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。好ましい実施態様では、RNAファージのコートタンパク質は、(a)配列番号:4;(b)配列番号:4と配列番号:5の混合物;(c)配列番号:6;(d)配列番号:7;(e)配列番号:8;(f)配列番号:9;(g)配列番号:9と配列番号:10の混合物;(h)配列番号:11;(i)配列番号:12;(k)配列番号:13;(l)配列番号:14;(m)配列番号:15;(n)配列番号:16;及び(o)配列番号:28からなる群から選択されるアミノ酸を有する。また、本発明のワクチン組成物のウイルス様粒子の組換えタンパク質は、RNAファージの変異コートタンパク質を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなり、RNA-ファージは、(a)バクテリオファージQβ;(b)バクテリオファージR17;(c)バクテリオファージfr;(d)バクテリオファージGA;(e)バクテリオファージSP;(f)バクテリオファージMS2;(g)バクテリオファージM11;(h)バクテリオファージMX1;(i)バクテリオファージNL95;(k)バクテリオファージf2;(l)バクテリオファージPP7;及び(m)バクテリオファージAP205からなる群から選択される。
【0157】
好ましい実施態様では、前記RNAファージの変異コートタンパク質は、置換による少なくとも一のリジン残基の除去又は付加により修飾されている。他の好ましい実施態様では、前記RNAファージの変異コートタンパク質は、挿入による少なくとも一のリジン残基の付加、又は少なくとも一のリジン残基の欠失により修飾されている。好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-ファージQβ、又はRNA-ファージfr、RNA-ファージGA、又はRNA-ファージAP205の組換えタンパク質又はその断片を含む。
【0158】
さらなる一態様では、本発明は、本発明のワクチン組成物を動物又はヒトに投与する工程を含む、好ましくは肥満を処置するための、グレリンに対する免疫化方法を提供する。好ましい一実施態様では、ワクチン組成物はヒトに投与され、ここで前記グレリン-ペプチドはヒトグレリン-ペプチドである。
【0159】
他の好ましい実施態様では、前記動物はネコ起源であり、前記グレリン-ペプチドはネコグレリン-ペプチドである。さらなる他の好ましい実施態様では、前記動物はイヌ起源であり、前記グレリン-ペプチドはイヌグレリン-ペプチドである。
【0160】
一態様では、本発明は、医薬として使用される本発明の改変コア粒子、好ましくは改変VLPを提供する。
【0161】
他のさらなる一態様では、本発明は、肥満を処置するための医薬の製造のための、改変コア粒子、好ましくは本発明のVLPの使用を提供する。
【実施例】
【0162】
実施例1 HBcAg1-185-Lysの構築
国際公報02/056905の実施例23に記載のように、肝炎コア抗原(HBcAg)1-185を変更した。c/e1エピトープの一部(残基72−88)領域(プロリン79及びアラニン80)をペプチドGly-Gly-Lys-Gly-Gly(配列番号33)に遺伝的に置換して、HBcAg-Lysコンストラクトを得た(配列番号26)。導入したリジン残基は、その側鎖にシステイン基を含有しない任意の抗原とHBcAg粒子との分子間化学的架橋に使用されうる作用的アミノ基を含有する。PCR法及び従来のクローニング技術を用いてHBcAg1-185-Lys遺伝子を調製した。
国際公報02/056905の実施例23に記載のように、Gly-Gly-Lys-Gly-Gly配列(配列番号33)を、pEco63から2つの別々のHBcAg断片を増幅することによって挿入し、続いてPCRによって2つの断片を融合させ完全長遺伝子を構築した。以下の組み合わせのPCRプライマーを用いた。
【0163】
断片1:
プライマー1:EcoRIHBcAg(s) (配列番号56)
プライマー2:Lys-HBcAg(as) (配列番号57)
断片2:
プライマー3:Lys-HBcAg(s) (配列番号58)
プライマー4:HBcAgwtHindIIII
CGCGTCCCAAGCTTCTAACATTGAGATTCCCGAGATTG (配列番号59)
構築:
プライマー1:EcoRIHBcAg(s) (配列番号56)
プライマー2:HBcAgwtHindIIII (配列番号59)
次いで、構築した完全長遺伝子をEcoRI(GAATTC)及びHindIII(AAGCTT)酵素にて消化し、同じ制限酵素部位で切断したpKKベクター(Pharmacia)にクローニングした。
【0164】
実施例2 HbcAgのMIR領域におけるペプチドエピトープの融合
HBcAg1-185の残基79及び80を配列VNLTWSRASG(配列番号60)のエピトープCεH3で置換した。CεH3配列はヒトIgEの重鎖の第三定常ドメインの配列から始まる。前記エピトープは組み立てPCR法を用いてHBcAg1-185内に挿入した。第一PCR工程では、ATCCクローンpEco63起源で、プライマーHBcAg-wt EcoRI fwd及びHBcAg-wt HindIIIrevにて増幅したHBcAg1-185遺伝子を鋳型として用いて2つの異なる反応を行い、CεH3配列をコードする配列因子を含有する2つの断片を増幅した。次いで、これら2つの断片を第二PCR工程、つまり組み立てPCR反応で組み立てた。
【0165】
第一PCR工程に用いたプライマーの組み合わせ:CEH3fwdとHBcAg-wt HindIII rev並びにHBcAg-wt EcoRI fwdとCEH3rev。組み立てPCR反応では、第一PCR工程で単離した2つの断片を外側のプライマーを用いずに3PCRサイクルでまず組み立て、続く25サイクルでは以下のプライマーを反応混合液に添加した。外側のプライマー:HBcAg-wt ECoRI fwdとHBcAg-wt Hind III rev。
大腸菌内で発現させるために、PCR産物をEcoRI及びHindIII部位を用いてpKK223.3にクローニングした(国際公報02/056905の実施例2を参照)。国際公報02/056905の実施例2に記載のように、キメラのVLPを大腸菌内で発現させ、精製した。HBcAg1-185-CεH3をゲル濾過から溶出したときの溶出容積からキメラVLPへのタンパク質の融合が組み立てられたことが示された。
【0166】
プライマー配列:
CεH3fwd:
5'GTT AAC TTG ACC TGG TCT CGT GCT TCT GGT GCA TCC AGG GAT CTA GTA GTC 3' (配列番号61)
V N L T w S R A S G A80 S R D L V V86 (配列番号62)
CEH3rev:
5' ACC AGA AGC ACG AGA CCA GGT CAA GTT AAC ATC TTC CAA ATT ATT ACC CAC 3' (配列番号63)
D78 E L N N G V72 (配列番号64)
HBcAg-wt EcoRI fwd:
5' CCGgaattcATGGACATTGACCCTTATAAAG (配列番号65)
HBcAg-wt Hind III rev:
5' CGCGTCCCaagcttCTAACATTGAGATTCCCGAGATTG (配列番号66)
【0167】
実施例3 HbcAgのMIR領域におけるグレリン24-31-ペプチドエピトープの融合
HBcAg1-185の残基79及び80をグレリン-ペプチドエピトープ配列:GSSFLSPE(配列番号3)で置換した。実施例2に記載と同じ方策を用いて2つのオーバーラップしたプライマーを設定し、組み立てPCR法によって融合タンパク質を構築した。PCR産物をpKK223.3ベクターにクローニングして、大腸菌K802内で発現させた。国際公報02/056905の実施例2に記載のように、キメラVLPを発現させ、精製した。
【0168】
実施例4 CP伸展の位置19で切断したQβ A1タンパク質のC末端へのグレリン24-31-ペプチドエピトープの融合
QβA1遺伝子の5'末端にアニーリングするプライマー、並びにA1遺伝子の3'末端にアニーリングし、かつグレリン断片をコードする配列因子の配列GSSFLSPE(配列番号3)を付加的に含有するプライマーを用いてpQβ10を鋳型としてPCR反応を行った。PCR産物をpQβ10にクローニングし(Kozlovska T.M.等, Gene 137: 133-37 (1993))、国際公報02/056905の実施例18に記載のようにVLPを発現させ、精製した。
【0169】
実施例5 frコートタンパク質の位置2と3との間へのグレリン24-31-ペプチドエピトープの挿入
グレリン-ペプチドの配列GSSFLSPE(配列番号3)をコードし、フレーム内挿入に適切なBsp119I末端及び付加的なヌクレオチドを含有する相補的なプライマーを標準的な分子生物学的技術によってpFrd8ベクター(Pushko, P.等, Prot. Eng. 6: 883-91 (1993))のBsp119I部位に挿入した。あるいは、pFrd8ベクターの突出をBsp119Iで消化した後にクレノーで埋め、マウスグレリン-ペプチドの配列をコードするオリゴヌクレオチド及びフレーム内クローニングのための付加的ヌクレオチドをクレノー処理の後にpFrd8にライゲーションした。正方向に挿入されたクローンを配列決定により解析した。セファロースCL-4B又はセファクリルS-400(pharmacia)を用いたクロマトグラフィ工程を除いては、Pushko, P. 等, Prot. Eng. 6:883-91 (1993)の記載にあるように大腸菌JM109又は大腸菌K802内でキメラ融合タンパク質の発現及び精製を行った。硫酸アンモニウムを用いて細胞溶解物を調製し、国際公報02/056905の実施例18のQβについての記載と同様の手順、つまり2つの連続したゲル濾過精製工程によって精製した。
【0170】
実施例6 ベクターpOGS8111内のTy1タンパク質p1の位置67と68との間へのグレリン24-31-ペプチドエピトープの挿入
ヒトグレリン-ペプチドの配列GSSFLSPE(配列番号3)をコードし、pOGS8111のNheIに互換性のある末端を有する2つの相補的プライマーを合成した。欧州特許06777111の明細書に従って、付加的ヌクレオチドを添加して、マウスグレリンエピトープをコードする配列のフレーム内挿入を行った。pOGS8111のTyA(d)遺伝子内のオリゴヌクレオチドの挿入により生じるNheI部位を変更することによって、挿入エピトープに隣接するアミノ酸AS及びSSがコードされる。
欧州特許06777111及びその参考文献に記載があるようにキメラTy VLPを発現させるためにパン酵母株MC2内にpOGS8111を形質移入した。欧州特許06777111に記載があるようにショ糖勾配超遠心によってキメラTy VLPを精製した。
【0171】
実施例7 パピローマウイルスタイプ1(BPV-1)の主要キャプシドタンパク質L1内へのグレリン24-31-ペプチドエピトープの挿入
記載されているように(Chackerian, B.等, Proc. Natl. Acad. USA 96: 2373-2378 (1999))、配列GSSFLSPE(配列番号3)を有するグレリンエピトープのコード配列をpFastBac1(GIBCO/BRL)ベクター内にクローニングされたBPV-1 L1遺伝子のアミノ酸130-136のコード配列に置換した。コンストラクトの配列をヌクレオチド配列分析によって確認した。製造者の記載のあるようにGIBCO/BRLバキュロウイルスシステムを用いて組み換えバキュロウイルスを生成した。Kimbauer, R.等, Proc. Natl. Acad. Sci. 89:12180-84 (1992)及びGreenstone, H.L.,等, Proc. Natl. Acad. Sci. 95:1800-05 (1998)に記載のあるように、キメラVLPをバキュロウイルス感染Sf9細胞より精製した。
【0172】
実施例8 VLPに融合のグレリンペプチドを用いたマウスの免疫化
実施例3、5、6及び7で生成した配列GSSFLSPE(配列番号3)のマウスグレリンエピトープを表出したキメラVLPを実施例12に記載のようなマウスの免疫化に用いた。実施例13に記載のように、免疫化したマウスより得た血清をグレリン特異的ELISAにて分析した。以下のようなマウスの体重増加及び食物摂取を測定することによってワクチンの効果を評価した。
【0173】
実施例9 グレリンペプチドのVLPへの結合
グレリン断片のC末端に融合したGC又はCリンカー配列を含有するグレリン断片24-31及び24-30(配列番号50-53)を標準的な手順に従って化学的に合成した。
グレリン断片のC末端に融合したGC又はCリンカー配列を含有するグレリン断片24-29(配列番号54-55)を標準的な手順に従って化学的に合成した。
グレリン24-31GC GSSFLSPEGC (配列番号50)
グレリン24-31C GSSFLSPEC (配列番号51)
グレリン24-30GC GSSFLSPGC (配列番号52)
グレリン24-30C GSSFLSPC (配列番号53)
グレリン24-29GC GSSFLSGC (配列番号54)
グレリン24-29C GSSFLSC (配列番号55)
【0174】
2.0mg/ml Qβ VLPを含有する20mM Hepes、150mM NaCI pH7.2の溶液2mlを114.4μlのSMPH (Pierce)溶液(50mMの貯蔵溶液を溶解したDMSO)と共に25℃で30分間反応させた。続いて、反応溶液を2Lの20mM Hepes,150mM NaCl, pH7.2にて4℃で2時間、2回透析した。
続いて、透析して得たQβ VLPをグレリン24-31-GC、グレリン24-31C、グレリン24-30GC又はグレリン24-30Cに結合した。簡潔に言うと、1mlの生成したQβ VLP(2mg/mlの濃度)を286μlの10mM ペプチド溶液と共に15℃で2時間、20mM Hepes, 150mM NaCl, pH7.2中で反応させた。次いで、結合反応液を13000rpmにて5分間遠心分離して、上清を回収し、2Lの20mM Hepes,150mM NaCl,pH7.2にて4℃で2時間で一度、次いで終夜透析した。
【0175】
Qβ VLPへのグレリンペプチドの共有的化学結合を16%TRISIBIS SDS-PAGE ゲル(Invitrogen)を用いたSDS-PAGEによって評価した。結合反応のクーマシーブルーゲル染色により、Qβに共有結合したグレリンペプチドと思われるものと一致する分子量を有するバンドを確認した(図1)。1サブユニット当たり1、2、3又は4の結合したペプチドに一致する結合バンドを矢印で表す。生成されたQβ VLP単独のものと比較してこれら付加的なバンドの出現は、グレリン断片がQβ VLPと共有結合したことを示す。結合効率(すなわちモルQβ-グレリン/モルQβ単量体(全量))は、クーマシーブルー染色したSDS-PAGEの濃度測定分析によると、Qβ単量体当たりおよそ2グレリン断片と推測された。
【0176】
透析して得たQβ VLPをグレリン24-29-GC又はグレリン24-29-Cに結合した。簡潔に言うと、1mlの生成したQβ VLP(2mg/mlの濃度)を286μlの10mM ペプチド溶液と共に15℃で2時間、20mM Hepes, 150mM NaCl, pH7.2中で反応させた。次いで、結合反応液を13000rpmにて5分間遠心分離して、上清を回収し、2Lの20mM Hepes,150mM NaCl,pH7.2にて4℃で2時間で一度、次いで終夜透析した。
【0177】
fr VLPへのグレリンペプチドの結合
120μM fr VLPを含有する20mM Hepes, 150mM NaCl pH7.2の溶液を10倍のモル濃度のSMPH(Pierce)と共に30分間反応させ、貯蔵溶液からDMSOにて希釈し、25℃の振とう器上においた。続いて、反応溶液を1Lの20mM Hepes,150mM NaCl,pH7.2にて4℃で2時間、2回透析した。次いで、透析したfr反応混合液を等モル濃度のグレリンペプチド又は1:2の比率のグレリンペプチド/frと共に振とう器上にて16℃で終夜反応させた。結合産生物をSDS-PAGEによって分析した。
【0178】
AP205 VLPへのグレリンペプチドの結合
120μM AP205 VLPを含有する20mM Hepes, 150mM NaCl pH7.2の溶液を10倍のモル濃度のSMPH(Pierce)と共に30分間反応させ、貯蔵溶液からDMSOにて希釈し、25℃の振とう器上においた。続いて、反応溶液を1Lの20mM Hepes,150mM NaCl,pH7.2にて4℃で2時間、2回透析した。次いで、透析したAP205反応混合液を等モル濃度のグレリンペプチド又は1:2の比率のグレリンペプチド/AP205と共に振とう器上にて16℃で終夜反応させた。結合産生物をSDS-PAGEによって分析した。
【0179】
HBcAg-Lys-2cys-Mutへのグレリンペプチドの結合
120μM HBcAg-Lys-2cys-Mutを含有する20mM Hepes, 150mM NaCl pH7.2の溶液を10倍のモル濃度のSMPH(Pierce)と共に30分間反応させ、貯蔵溶液からDMSOにて希釈し、25℃の振とう器上においた。続いて、反応溶液を1Lの20mM Hepes,150mM NaCl,pH7.2にて4℃で2時間、2回透析した。次いで、透析したHBcAg-Lys-2cys-Mut反応混合液を等モル濃度のグレリンペプチド又は1:2の比率のグレリンペプチド/HBcAg-Lys-2cys-Mutと共に振とう器上にて16℃で終夜反応させた。結合産生物をSDS-PAGEによって分析した。
【0180】
Piliへのグレリンペプチドの結合
125μMの大腸菌のタイプ1Piliを含有する20mM Hepes,pH7.2の溶液を50倍のモル濃度の交差リンカーSMPH(Pierce)と共に60分間反応させ、貯蔵溶液からDMSOにて希釈し、室温の振とう器上においた。反応混合液をPD-10カラムにて脱塩した(Arnersham-Pharmacia Biotech)。カラムから溶出したタンパク質含有分画をプールし、脱塩して生じたpiliタンパク質を等モル濃度のグレリンペプチド又は1:2の比率のペプチドpiliと共に振とう器上にて16℃で終夜反応させた。結合産生物をSDS-PAGEによって分析した。
【0181】
実施例10 Qβ VLPに結合したグレリン24-31-GC、24-31C、24-30GC又は24-30Cを用いたマウスの免疫化
従来の(実施例9aで得た)Qβ VLPに結合したマウスグレリン24-31-GC、24-31C、24-30GC又は24-30Cを用いて、成体雌、C57BL/6マウス(一グループにつき5)をワクチン処理した。各試料から透析したワクチン100μgをPBSにて200μl容量にまで希釈し、第0日目、14日目、28日目及び42日目に皮下注射した(腹側2カ所に100μl)。ワクチンは補助剤なしで投与した。対照として、一群のマウスにPBSを接種した。第0日目、14日目、28日目、42日目及び56日目にマウスの逆眼窩から血液を採取し、その血清を実施例11に記載のようにELISAによって分析した。
【0182】
実施例11 ELISAによるグレリン特異的抗体の検出
ELISAプレート(96ウェルMAXIsorp, NUNC免疫プレート)を20μg/ml濃度のグレリンタンパク質(Bachem)を含むコーティング緩衝液(0.1M NaHCO3,pH9.6)にて4℃で終夜、コートした。洗浄緩衝液(PBS-0.05% Tween)にてプレートを洗浄した後、ブロッキング緩衝液(2% BSA-PBS-Tween20溶液)にて37℃で2時間、プレートの反応を止め、再び洗浄し、段階的に希釈したマウス血清と共に培養した。対照として、同じマウスの免疫前の血清も試験した。プレートを室温にて2時間インキュベートした。さらに、洗浄の後、結合した抗体をHRPO-標識した、Fc特異的、ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunoresearch)にて検出し、室温にて1時間インキュベートした。さらに、洗浄の後、プレートを6分間、OPD溶液(1OPD錠剤、25μl OPD緩衝液及び8μl H)と反応させ、5% HSO溶液にて反応を止めた。ELISA読み取り機(Biorad Benchmark)によってプレートを450nmにて読み取った。ELISA力価はELISAアッセイにて最大ODの半分となる血清希釈として表す。表1にグレリン特異的抗体の平均的力価を示す。この結果は1群当たり5マウスのプールされた血清からの力価である。ELISA力価はELISAアッセイにて最大ODの半分となる血清希釈として表す。従来のQβ VLPに結合したマウスグレリン24-31-GC、24-31C、24-30GC又は24-30Cを用いて免疫化したすべてのマウスに第56日目までにグレリン特異的抗体力価を十分に誘発させた(表1)。PBSを接種したマウスからの血清又は免疫前の血清はマウスグレリンペプチドに対して反応を全く示さなかった。最大ODの半分の力価が100未満であり、アッセイのカットオフ以下であると考えられる。これは、たとえ自己タンパク質の場合であっても、グレリン-VLPコンジュゲートがグレリンタンパク質に対して高い抗体力価を誘発しうることを明確に示唆する。これによりグレリン断片にて誘発された抗体はグレリンタンパク質を認識しうることが示唆される。
【0183】
表1 第0日目、14日目、28日目及び42日目にQb-Ghr24-31GC、Qb-Ghr24-31C、Qb-Ghr24-30GC又はQb-Ghr24-30Cにより免疫化したマウスにおける平均的抗グレリン特異的IgG抗体力価(希釈因子として表す)

【0184】
実施例12 食餌誘発性肥満動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C及びグレリン24-30GCを用いた有効性実験
実施例9で得たQβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C及びグレリン24-30GCを用いた実施例10に記載のあるように、出発体重(18.71g〜19.75g)に相当する成体雌C57BL/6マウス(1群につき5)をワクチン接種した。対照として、マウスにPBSを注射した。全てのマウスは、初めの注射の後、高脂肪食餌(35重量%の脂肪、エネルギーとして60%)下において、食餌誘発性肥満の発達を促進した。食物及び水は適宜投与した。それぞれの動物の体重を一定期間、つまり初めの注射からおよそ90日の期間にわたってモニターした。
表2に示すように、Qβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C及びグレリン24-30GCにより免疫化されたマウスは、PBSを接種した対照動物よりも一連の実験の間に体重が減少した。実際、初めの接種から88日に対照動物はおよそ76%体重が増えたが、Qβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C及びグレリン24-30GCにより免疫化されたマウスはそれぞれ60%、67%、73%しか体重が増えなかった。したがって、これら3つのワクチン接種群は対照群と比較して明らかな体重減少を示した。この結果から、グレリン-VLPコンジュゲートは体重増加を減退させうることを明らかに示唆する。
【0185】
表2 Qβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C及びグレリン24-30GCにて免疫化した群(それぞれ10マウス)の88日間の平均的体重増加と標準誤差を割合で表す

【0186】
実施例13 Qβ VLPに結合したグレリン24-29GC及びグレリン24-29Cを用いたマウスの免疫化
実施例9で得たQβ VLPに結合したグレリン24-29-GC及び24-29Cを用いて、成体の雄又は雌C57BL/6マウスをワクチン処理した。簡単に言うと、各試料から透析したワクチン100μgをPBSにて200μl容量にまで希釈し、第0日目、14日目、28日目及び42日目に皮下注射し(腹側2か所に100μl)、必要に応じて以下のようにした。ワクチンは補助剤あり又はなしで投与した。対照として、一群のマウスに、補助剤あり又はなしで、Qβ VLPで免疫化するか又はPBSを接種した。第0日目、14日目、28日目、42日目及びその後は一定間隔をおいてマウスの逆眼窩から血液を採取した。次いで、実施例11に記載のようにELISAによってグレリン特異的抗体を定量した。
【0187】
実施例14 食餌誘発性肥満動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-29GC又は24-29Cを用いた有効性実験
Qβ VLPに結合したグレリン24-30C、24-29GC又は24-29Cを用いた実施例10に記載のあるように、出発体重を有する成体の雄又は雌のC57BL/6マウスをワクチン接種した。対照として、マウスにQβ VLP単独で免疫化ないしはPBS接種を行った。続いて、グレリン特異的抗体力価が実験中に有意に減退する場合は追加免役した。全てのマウスは、高脂肪食餌(35重量%の脂肪、エネルギーとして60%)下において、食餌誘発性肥満の発達を促進した。食物及び水は適宜投与した。体重を一定間隔でモニターした。
【0188】
実施例15 一般的な肥満動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C、グレリン24-30GC、グレリン24-30C、グレリン24-29GC又は24-29Cを用いた有効性実験
実施例9で得た従来技術のQβ VLPに結合したマウスグレリン24-31GC、グレリン24-31C、グレリン24-30GC、グレリン24-30C、グレリン24-29GC又は24-29Cを用いた実施例12に記載のあるように、成体の雄又は雌のC57BL/6 ob/obマウスをワクチン接種した。対照として、マウスにQβ VLPで免疫化ないしはPBS接種を行った。続いて、グレリン特異的抗体力価が実験期間中に有意に減退する場合は追加免役した。マウスには標準的な食餌(4〜10重量%の脂肪を含む)を適宜与え、水は自由に与えた。体重を一定間隔でモニターした。
【0189】
実施例16 治療的食餌誘発性肥満動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-31GC、グレリン24-31C、グレリン24-30GC、グレリン24-30C、グレリン24-29GC又はグレリン24-29Cを用いた有効性実験
成体の雄又は雌のC57BL/6マウスにおよそ17〜24週間又は肥満になるまで(体重>45g)高脂肪食餌を与えた。次いで、マウスを出発体重及び平均的出発体重がそれぞれの群で同じになるようにグループ分けした。
実施例9で得たQβ VLPに結合したマウスグレリン24-31GC、グレリン24-31C、グレリン24-30GC、グレリン24-30C、グレリン24-29GC又はグレリン24-29C何れかを用いて、実施例10に記載のようにマウスにワクチン接種した。対照として、マウスにQβ VLPで免疫化ないしはPBS接種を行った。さらに、グレリン特異的抗体力価が減退し始めたら追加免役した。第0日目、14日目、28日目、42日目、56日目、70日目及びその後は1か月間隔でマウスの逆眼窩から血液を採取した。実施例11に記載のようにELISAによって血清のグレリン特異的抗体を定量した。体重は一定間隔でモニターした。
【0190】
実施例17 インビトロ動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-31GCを用いた外来性放射性グレリンの脳への移動の遮断
実施例9で得たQβ VLPに結合したグレリン24-31GCを用いて、実施例10に記載のように成体雌C57BL/6マウス(1群当たり3)にワクチン接種した。対照として、マウスにQβ VLPを接種した。第174日目に更なる免疫化を行い、14日後にすべてのマウスに10ngのヨウ素化セリン-オクタノイル化マウスグレリン(I125-グレリン)を静脈接種した。接種30分後にマウスを屠殺し、血清及び脳組織を採取した。シンチレーションカウンターによって放射性レベルを測定し、各個体の血清及び脳に存在するI125-グレリンの量を算出した。
Qβ VLP免疫化対照マウスと比較して、Qβ VLPに結合したグレリン24-31GCにて免疫化したマウスの血清中のI125-グレリン量の増加及び脳中のI125-グレリンの著しい減少が図2に示された。60倍以上のI125-グレリン投与にもかかわらず、生理的血中グレリン濃度と比較して、グレリン特異的抗体はI125-グレリンに結合して血液から脳への移動を阻害することができた。この結果から、グレリン-VLPコンジュゲートは血清中のグレリンを隔離し、その脳に及ぼす効果を遮断しうることが明らかとなった。
【0191】
実施例18 インビトロ動物モデルにおけるQβ VLPに結合したグレリン24-31GCを用いたグレリン誘発性成長ホルモン分泌の遮断
実施例9で得たQβ VLPに結合したグレリン24-31GCを用いて、実施例10に記載のように成体雌C57BL/6マウス(1群当たり5)にワクチン接種した。対照として、マウスにQβ VLPを接種した。およそ6週間後(第80日目)に、マウスを48時間絶食させ、次いで10μgのセリン-オクタノイル化マウスグレリンを静脈接種した。接種5分後にマウスの逆眼窩から血液を採取し手血清を回収した。成長ホルモン特異的ELISA(ラット成長ホルモンBiotrakアッセイ, Amersham)によって血清中の成長ホルモンを測定した。
Qβ VLP免疫化対照マウスと比較して、Qβ VLPに結合したグレリン24-31GCにて免疫化したマウスにおいてグレリン誘発性成長ホルモンの放出が著しく減少したことが表3に示された。グレリン特異的抗体は血清中の外来的に投与されたグレリンに結合してそれを隔離し、それによって成長ホルモン放出に対する効果を遮断することができた。この結果から、グレリン-VLPコンジュゲートがグレリン誘発性成長ホルモンの放出を阻害しうることが明らかとなった。
【0192】
表3 第0日目、14日目、28日目及び42日目にQβ-グレリン24-31GC又はQβ VLPで免疫化したマウスにおける10μgセリン-オクタノイル化グレリン投与5分後の平均的成長ホルモンレベル

【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】図1は、Qβ VLPに結合したグレリン24-31GC又はグレリン24−31Cの反応からの結合生成物のSDS-PAGEを示す。レーン1はマーカーであり、レーン2は誘導体化されたQβ VLPを示し、レーン3は可溶性フラクション中のQβ-グレリン24−31GCを示し、レーン4は可溶性フラクション中のQβ-グレリン24−31Cを示す。
【図2】図2は、Qβ-グレリン24−31GC又は対照としてのQβ VLPで予め免疫化し、10ngのI125-グレリンで静脈接種した30分後のマウスの血清(図2A)及び脳(図2B)中のI125-グレリンの量を示す。値は、血清(ng/ml)及び脳(ng/g)中のI125-グレリンの平均量として表している。脳は、脳中に存在する血液量に対して補正される。エラーバーはSEM(標準誤差)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ウイルス様粒子(VLP)、及び
(b)少なくとも一のグレリン-ペプチド
を含む改変ウイルス様粒子であって、該グレリン-ペプチドが、配列番号:1又は配列番号:3と相同又は同一である6又は8のアミノ酸残基長を有するペプチドからなり、a)及びb)が互いに結合している、改変ウイルス様粒子。
【請求項2】
前記グレリン-ペプチドが配列番号:1又は配列番号:3から選択され、好ましくは前記グレリン-ペプチドが配列番号:3である、請求項1に記載の改変VLP。
【請求項3】
前記グレリン-ペプチドが、配列番号:1又は配列番号:3とは1位置のみ異なっており、好ましくは該差異がアミノ酸置換、さらに好ましくは保存的アミノ酸置換である、請求項1に記載の改変VLP。
【請求項4】
前記グレリン-ペプチドが哺乳動物のグレリン-ペプチド、特にヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、マウス又はラット由来のグレリン-ペプチドである、請求項1ないし3の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項5】
前記グレリン-ペプチドがn-オクタノイル修飾を含まず、好ましくは前記グレリン-ペプチドが配列番号:1又は配列番号:3の3位におけるn-オクタノイル修飾を含まず、さらに好ましくは前記グレリン-ペプチドが配列番号:3の3位におけるn-オクタノイル修飾を含まない、請求項1ないし4の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項6】
前記ウイルス様粒子が;
(a)RNA-ファージの組換えタンパク質;
(b)バクテリオファージの組換えタンパク質;
(c)シンドビスウイルスの組換えタンパク質;
(d)ロタウイルスの組換えタンパク質;
(e)口蹄疫ウイルスの組換えタンパク質;
(f)レトロウイルスの組換えタンパク質;
(g)ノーウォークウイルスの組換えタンパク質;
(h)アルファウイルスの組換えタンパク質;
(i)ヒトパピローマウイルスの組換えタンパク質;
(j)ポリオーマウイルスの組換えタンパク質;
(k)麻疹ウイルスの組換えタンパク質;
(l)B型肝炎ウイルスの組換えタンパク質;
(m)Tyの組換えタンパク質;
(n)VLPに構築可能な(a)ないし(m)の任意の組換えタンパク質の断片;
からなる群から選択される組換えタンパク質を含む、請求項1ないし5の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項7】
前記VLPが、RNA-ファージの、VLPに構築可能な組換えタンパク質又はその断片を含むか、あるいはそれらからなり、該RNA-ファージがQβ、fr、AP205又はGAである、請求項1ないし6の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項8】
VLP(a)が少なくとも一の共有結合を介してグレリン-ペプチド(b)に結合している、請求項1ないし7の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項9】
前記グレリン-ペプチドが前記VLPに融合している、請求項1ないし8の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項10】
VLP(a)が少なくとも一の非ペプチド結合を介してグレリン-ペプチド(b)に結合している、請求項1ないし8の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項11】
アミノ酸リンカーをさらに含み、好ましくは該アミノ酸リンカーが:
(a)GGC;
(b)GGC-CONH2;
(c)GC;
(d)GC-CONH2;
(e)C;及び
(f)C-CONH2;
からなる群から選択される、請求項1ないし10の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項12】
前記グレリン-ペプチドがそのC末端を介してVLPに結合している、請求項1ないし11の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項13】
前記VLP粒子が少なくとも一の第1付着部位を含み;前記少なくとも一のグレリン-ペプチドが、(i)該グレリン-ペプチドには天然に生じない付着部位;及び(ii)該グレリン-ペプチドに天然に生じる付着部位からなる群から選択される少なくとも一の第2付着部位を含み、該第2付着部位が該第1付着部位と結合可能で、好ましくは規則的な繰り返し抗原アレイを形成可能である、請求項1ないし12の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項14】
前記付加された少なくとも一の第2付着部位を有するグレリン-ペプチドが:
(a)Ghrel24-31GC: GSSFLSPEGC(配列番号:50)又は
(b)Ghrel24-31C: GSSFLSPEC(配列番号:51)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項13に記載の改変VLP。
【請求項15】
前記第1付着部位がアミノ基を含むか、好ましくはアミノ基であり、さらに好ましくは、前記第1付着部位がリジン残基のアミノ基である、請求項13又は14に記載の改変VLP。
【請求項16】
前記第2付着部位がスルフヒドリル基を含むか、好ましくはスルフヒドリル基であり、さらに好ましくは、前記第2付着部位がシステイン残基のスルフヒドリル基である、請求項13ないし15の何れか一項に記載の改変VLP。
【請求項17】
請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLPを含有する組成物。
【請求項18】
(a)請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLP;及び
(b)許容可能な薬学的担体;
を含有する医薬組成物。
【請求項19】
請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLPを含有するワクチン組成物。
【請求項20】
前記ワクチン組成物がアジュバントを欠く、請求項19に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
(a)少なくとも一の第1付着部位をVLPに付与し;
(b)少なくとも一の第2付着部位を少なくとも一のグレリン-ペプチドに付与し、前記第2付着部位が前記第1付着部位と結合可能であり;
(c)前記VLPと前記グレリン-ペプチドを組み合わせて、改変VLPを製造し、前記グレリン-ペプチドと前記VLPが前記結合を介して相互作用する、請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLPの製造方法。
【請求項22】
請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLPを動物又はヒトに投与することを含む免疫化方法。
【請求項23】
(i)前記動物がヒトであり、前記グレリン-ペプチドがヒトグレリン-ペプチドであり;(ii)前記動物がネコ由来であり、前記グレリン-ペプチドがネコグレリン-ペプチドであり;又は(iii)前記動物がイヌ由来であり、前記グレリン-ペプチドがイヌグレリン-ペプチドである、請求項22に記載の免疫化方法。
【請求項24】
医薬としての使用のための、請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLP又は請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
肥満治療薬の製造のための、請求項1ないし16の何れか一項に記載の改変VLP又は請求項17に記載の組成物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−518762(P2007−518762A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550027(P2006−550027)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000497
【国際公開番号】WO2005/068639
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(304042375)サイトス バイオテクノロジー アーゲー (26)
【Fターム(参考)】