説明

グレーチングユニット

【課題】本発明の目的は、現場での高さ調整が可能であり、敷設される仕上げ材等の有無に関わらず対応することが可能なグレーチングユニットを提供することにある。
【解決手段】排水経路上部を被覆するためのグレーチングユニットSに関する。
グレーチングユニットSは、グレーチング受部材2と、グレーチング1とを有して構成されており、第3係止側壁16を第1支持壁23に係止するとともに第1係止側壁14を第2支持壁24に係止した場合と、グレーチング1を反転させて、第2側壁13を第1支持壁23に係止するとともに第2係止側壁15を第2支持壁24に係止した場合と、では、土台部21,22,22と天面部11との高さ方向距離が異なるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレーチングユニットに関するものであり、特に、バルコニーの床等に形成される側溝等を被覆するために有効に機能するグレーチングユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物のバルコニー、道路側部等には、生活用水や雨水を床面・路上等より集結させて排水するための排水溝が設けられている。
このような排水溝は、床面・路面よりも低い位置に底を持つ断面凹字形状の溝として形成されていることが一般的であるため、床・道路利用者が誤って足を踏み入れることを防止するため及びこの排水溝内部に枯葉やごみ等が蓄積することを防止するために、上部を被覆することが多い。
このように、排水溝の被覆物(蓋)としては、グレーチングが使用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、アルミグレーチングが開示されている。
本技術におけるグレーチングは、平坦な基板と、この基板上に長手方向に延びる複数のメインバーが等間隔に配設されて形成される。
このメインバー間は、雨水等を流水させるための水流路が形成され、基板上には、その水流路に整合する所定位置に水落孔が形成されている。
そして、このグレーチングは、排水溝上面を被覆するように配設され、排水路を塞ぐ。
また、雨水等は、上記水流路を通って、水落孔から排水溝へと誘導されて排水されるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、グレーチング装置が開示されている。
本技術におけるグレーチング装置は、グレーチングと、このグレーチングを支持するグレーチング支持部とを備えて構成される。
このグレーチングは、断面略コ字形状の長尺体であり、床面に敷設されるデッキ材上面と引き違い窓との間に形成される間隙を被覆するように配設される。
また、グレーチングの天面部には、複数のスリット孔が並列して形成されており、この部分から雨水等を排水するように構成されている。
更に、このグレーチングは、引き違い窓下部に取付けられたグレーチング支持部に載置固定されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−300895号公報
【特許文献2】特開2005−089981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、特許文献1及び特許文献2に係る技術によれば、排水溝の被覆を目的とするグレーチングが開示されており、雨水等の排水も可能となるように構成されている。
しかし、バルコニー等の床には、バルコニーマット等の仕上げ材を配設することがあり、このようにバルコニーマットを配設する際と配設しない際とでは、仕上げレベルが異なる。
このような際には、高さサイズの異なるグレーチングが必要となり、コスト、施工性等の点で不利益なものとなっていた。
【0007】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、現場での高さ調整が可能で、敷設される仕上げ材等の有無・肉厚差による床面仕上げレベルの相違に対応することが可能なグレーチングユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡易な施工方法で、仕上げ材等の有無・肉厚差による仕上げレベルの相違に対応し、コストを抑え施工性を向上させることができるグレーチングユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、排水流路を確保しながら排水経路上部を被覆するためのグレーチングユニットであって、該グレーチングユニットは、建物躯体側に取付けられるグレーチング受部材と、前記排水経路上部を被覆するグレーチングとを有して構成されており、前記グレーチング受部材は、前記排水経路の幅方向に渡る土台部と、該土台部から上部方向へ起立する第1支持壁と、該第1支持壁と所定距離離隔して前記土台部から上部方向へ起立する第2支持壁と、備え、前記グレーチングは、略長方形状の平板で前記排水経路上部を被覆する天面部と、該天面部の一長辺から略垂直に屈曲して垂下する第1側壁と、該第1側壁が垂下する長辺と対向する長辺から略垂直に屈曲して垂下し前記第1側壁よりも前記天面部からの垂下距離が長い第2側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下する第1係止側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下するとともに前記第1係止側壁よりも前記天面部からの垂下距離が長く前記第1係止側壁よりも前記第1側壁側に配設される第2係止側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下するとともに前記第2係止側壁よりも前記天面部からの垂下距離が短く前記第2係止側壁よりも前記第1側壁側に配設される第3係止側壁と、を有して構成されており、前記第1支持壁と前記第2支持壁の前記土台部からの距離は略同一として形成され、前記第1係止側壁と前記第3係止側壁との前記天面部からの垂下距離、及び前記第2側壁と前記第2係止側壁との前記天面部からの垂下距離は、略同一として形成されるとともに、前記第1係止側壁と前記第3係止側壁との離間距離、及び前記第2側壁と前記第2係止側壁との離間距離は、略同一として形成されており、前記第3係止側壁を前記第1支持壁に係止するとともに前記第1係止側壁を前記第2支持壁に係止した場合と、前記グレーチングを反転させて、前記第2側壁を前記第1支持壁に係止するとともに前記第2係止側壁を前記第2支持壁に係止した場合と、では、前記土台部と前記天面部との高さ方向距離が異なるように構成されたことにより解決される。
【0009】
このように、本発明に係るグレーチングユニットは、グレーチング受部材とグレーチングとにより構成されている。
また、グレーチングは、天面部から互いに略平行に同一方向に向かい垂下する、第1側壁、第2側壁、第1係止側壁、第2係止側壁、第3係止側壁を有して構成されている。
そして、これらは、天面部からの垂下距離が大きい第2係止側壁及び第2側壁(略同一の長さ)と、天面部からの垂下距離が小さい第1係止側壁及び第3係止側壁(略同一の長さ)として構成されるとともに、第2側壁、第1係止側壁、第2係止側壁、第3係止側壁、第1側壁の順に並ぶよう構成される。
また、第1係止側壁と第3係止側壁との離間距離、及び第2側壁と第2係止側壁との離間距離は、略同一として形成されている。
よって、第3係止側壁を第1支持壁に係止するとともに第1係止側壁を第2支持壁に係止した場合と、グレーチングを反転させて、第2側壁を第1支持壁に係止するとともに第2係止側壁を第2支持壁に係止した場合と、では、土台部と天面部との高さ方向距離が異なることとなる。
つまり、グレーチングの組立て方向を変えることにより、土台部から天面部までの高さが変わることになる。
よって、現場でのグレーチングユニットの高さ調整が可能であり、敷設される仕上げ材等の有無に関わらず対応することが可能である。
つまり、第3係止側壁を第1支持壁に係止するとともに第1係止側壁を第2支持壁に係止する方向に向けて、グレーチングをグレーチング受部材に組付けると、第1係止側壁及び第3係止側壁は天面部からの垂下距離が小さいため、グレーチングユニットの上下方向の高さが小さくなる。
一方、(グレーチングユニットを反転させて)第2側壁を第1支持壁に係止するとともに第2係止側壁を第2支持壁に係止する方向に向けて、グレーチングをグレーチング受部材に組付けると、第2側壁及び第2係止側壁は天面部からの垂下距離が大きいため、グレーチングユニットの上下方向の高さが大きくなる。
よって、フロアマット等が敷設され、排水経路両端部からフロアマット上面までの距離が、排水経路両端部からベランダ床面までの距離より大きくなっても、第2側壁を第1支持壁に係止するとともに第2係止側壁を第2支持壁に係止する方向に組付けることにより簡易に対応することができる。
このように、本発明に係るグレーチングユニットによれば、仕上げ材等の有無による仕上げレベルの相違に対応できるため、製品サイズのバリエーションを少なくし、コストを抑えることが可能となるとともに、現場での施工性を向上させることができる。
【0010】
また、このとき、前記グレーチング受部材は、複数備えられ、前記土台部は、略矩形状平板の支持部と、該支持部の相対向する各々の辺より前記支持部と鈍角をなして屈曲して垂下する脚部を有して構成されており、前記第1支持壁及び前記第2支持壁は、前記支持部の前記相対向する各々の辺に近接する位置より前記脚部が垂下する側と反対方向側に、前記支持部に対して略垂直に起立し、前記脚部を前記排水経路の幅方向両端に配設することにより前記支持部が前記排水経路上部を跨いで配設されるとともに、前記第1支持部及び前記第2支持部は前記排水経路の幅方向両端側上部に各々配設されるよう構成されていると好適である。
【0011】
このように、複数のグレーチングユニットを配置することによって、隣接するグレーチング受部材間より、雨水等を落下させて排水経路に排出することができる。
また、複数のグレーチング受部材によりグレーチングを支持する構成であるため、排水経路の形状に対処しやすくなるとともに、グレーチングを確実に支持することができる。
【0012】
更に、請求項1に係る発明において、前記第1支持壁、前記第2支持壁、前記第1係止側壁、前記第2係止側壁、前記第3係止側壁、前記第2側壁には、係合状態を構築するための凹部若しくは凸部が形成されており、前記凹部若しくは前記凸部により、前記第1支持壁と前記第1係止側壁又は前記第2側壁、前記第2支持壁と前記第1係止側壁又は前記第2係止側壁、の係合状態が構築されていると好適である。
【0013】
このように、係合状態を構築することにより、グレーチングとグレーチング受部材とを確実に取付けることができ、ユニット化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るグレーチングユニットは、第3係止側壁を第1支持壁に係止するとともに第1係止側壁を第2支持壁に係止する方向に向けて、グレーチングをグレーチング受部材に組付けると、第1係止側壁及び第3係止側壁は天面部からの垂下距離が小さいため、グレーチングユニットの上下方向の高さが小さくなる。
一方、(グレーチングユニットを反転させて)第2側壁を第1支持壁に係止するとともに第2係止側壁を第2支持壁に係止する方向に向けて、グレーチングをグレーチング受部材に組付けると、第2側壁及び第2係止側壁は天面部からの垂下距離が大きいため、グレーチングユニットの上下方向の高さが大きくなる。
このように、グレーチングの取付け方向を変えるのみで、グレーチングユニットの
現場での高さ調整が可能であり、敷設される仕上げ材等の有無に関わらず対応することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るグレーチングユニットは、簡易な施工方法(グレーチングの反転のみ)で、仕上げ材等の有無による仕上げレベルの相違に対応するため、製品サイズのバリエーションを少なくしてコストを抑えることができるとともに、現場での施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニットの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第1の使用形態に係る組立て状態を示す断面説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第1の使用状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第2の使用形態に係る組立て状態を示す断面説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第2の使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第1の使用状態と第2の使用状態とによる上下方向高さレベルの差異を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第1の使用状態における使用例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るグレーチングユニット第2の使用状態における使用例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る排水経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、現場での高さ調整が可能であり、敷設される仕上げ材等の有無に関わらず対応することが可能なグレーチングユニットSに関するものである。
【0018】
図1乃至図11は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、図1はグレーチングユニットの斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4はグレーチングユニット第1の使用形態に係る組立て状態を示す断面説明図、図5はグレーチングユニット第1の使用状態を示す斜視図、図6はグレーチングユニット第2の使用形態に係る組立て状態を示す断面説明図、図7はグレーチングユニット第2の使用状態を示す斜視図、図8はグレーチングユニット第1の使用状態と第2の使用状態とによる上下方向高さレベルの差異を示す説明図、図9はグレーチングユニット第1の使用状態における使用例を示す説明図、図10はグレーチングユニット第2の使用状態における使用例を示す説明図、図11は排水経路を示す説明図である。
【0019】
まず、図1乃至図3により、本実施形態に係るグレーチングユニットSについて説明する。
本実施形態に係るグレーチングユニットSは、グレーチング1、複数のグレーチング受部材2を有して構成されている。
【0020】
本実施形態に係るグレーチングユニットSは、別部材として構成されたグレーチング1と複数のグレーチング受部材2を組み立てることにより構成される。
本実施形態に係るグレーチンユニットSにおいては、このように別体として構成されたグレーチング1と複数のグレーチング受部材2との組合せ方を変えることにより、その高さ方向のサイズを容易に変更することができる。
【0021】
図1及び図2により、本実施形態に係るグレーチング1を説明する。
本実施形態に係るグレーチング1は、平板状の天面部11と、その長辺から略垂直に屈曲して垂下する第1側壁12と、第1側壁12が起立する長辺と対向する長辺から略垂直に屈曲して垂下する第2側壁13と、を基本骨格とし、第1係止側壁14、第2係止側壁15、第3係止側壁16とをさらに備えて形成されている。
【0022】
第1側壁12と第2側壁13は、天面部11から同方向へ垂下しており(つまり、平行に相対向している)、天面部11、第1側壁12、第2側壁13により断面略コ字形状の部材が基本骨格として形成されている。
なお、本実施形態においては、第1側壁12の天面部11からの高さは、第2側壁13の天面部11からの高さよりも、小さくなるように形成されている。
【0023】
天面部11からは、第1側壁12及び第2側壁13が垂下する方向と同方向に第1係止側壁14、第2係止側壁15、第3係止側壁16が、天面部11に対して略垂直に垂下している(つまり、略平行に相対向するように形成されている)。
なお、第1係止側壁14は、第2側壁13に近い側に配設され、第3係止側壁16は、第1側壁12に近い側に配設される。
そして、第2係止側壁15は、第1係止側壁14と第3係止側壁16との間に配設される。
【0024】
また、第1係止側壁14の天面部11からの高さをh1、第2係止側壁15の天面部11からの高さをh2、第3係止側壁16の天面部11からの高さをh3、第2側壁13の天面部11からの高さをh4とすると、(h4≧h2)>(h3≧h1)となるように構成されている。
【0025】
なお、h4とh2及びh3とh1は、ほぼ同一の高さである。
本実施形態においては、係合構造の相違による誤差分の差異があるため若干の相違が存在する。
つまり、特許請求の範囲でいう「略同一」は、このように、係合構造等の成形上の都合により生じる誤差を考慮した概念であり、天面部11を水平に保つために実質的に同じ高さであることを意味する。
【0026】
また、第3係止側壁16と第1係止側壁14との離間距離をx1、第2係止側壁15と第2側壁13との離間距離をx2とすると、x1≒x2となるように構成されている。
これは、後述するグレーチング受部材2を構成する第1支持壁23と第2支持壁24との離間距離にほぼ等しい。
つまり、グレーチング1を反転させても、第3係止側壁16と第1係止側壁14、及び第2係止側壁15と第2側壁13、を第1支持壁23と第2支持壁24で支持できるように構成されている。
【0027】
第1係止側壁14の端部には、天面部11と平行となるように屈曲した第1係止側壁係止部14aが形成されており、このため、第1係止側壁14は断面略L字形状となっている。
また、第2係止側壁15の端部には、天面部11と平行となるように屈曲した第2係止側壁係止部15aが形成されており、このため、第2係止側壁15は断面略L字形状となっている。
【0028】
同様に、第3係止側壁16の端部には、第3係止側壁係止部16aが断面鉤状の突縁として形成されている。
この第3係止側壁係止部16aの鉤状部分(係止突縁部分)は、第1側壁12側に向けて形成されている。
【0029】
なお、第2係止側壁15を構成する第2係止側壁係止部15aは、第1側壁12の方向へ向かい屈曲しており、一方、第1係止側壁14を構成する第1係止側壁係止部14aは、第2側壁13の方向へ向かい屈曲している。
また、第3係止側壁16を構成する第3係止側壁係止部16aの鉤状部分は、第1側壁12の方向に形成されている。
【0030】
更に、第2側壁13の端部には、第2側壁係止部13aが断面鉤状の突縁として形成されている。
この第2側壁係止部13aの鉤状部分(係止突起部分)は、外側に向けて形成されている。
【0031】
また、第2側壁13の外側面略中央部分からは、外側方向に第2側壁13と鋭角を成して垂下するように形成された流下ガイド部13Aが形成されている。
更に、この流下ガイド部13Aの端部には、略L字形状の先端部13b(天面部11と平行に屈曲するともに先端部分が第2側壁13と平行になるように屈曲して略L字形状を形成する)が形成されている。
【0032】
次いで、図1及び図3により、本実施形態に係るグレーチング受部材2を説明する。
本実施形態に係るグレーチング受部材2は、平板状の支持部21と、脚部22,22、第1支持壁23、第2支持壁24とを基本構成として形成されている。
なお、「支持部21」と「脚部22,22」とで、特許請求の範囲に記載された「土台部」を構成する。
脚部22,22は、支持部21の相対向する辺(短辺)上から、支持部21と鈍角を成すように屈曲して垂下している。
【0033】
また、これら脚部22,22は、支持部21から同方向へ起立し、これら支持部21、脚部22,22により、開口側が広がった断面略コ字形状の部材の基本骨格を形成することとなる。
【0034】
脚部22は、支持部21の長辺と鈍角を成し外側へと屈曲形成された架橋部22bと、この架橋部22b端部より支持部21と平行となるように外側へむけて屈曲した固定部22aとを有して構成されている。
【0035】
また、支持部21の一辺側(脚部22の一方が垂下する辺側)からは、脚部22が形成される側と反対方向に向けて、支持部21と略垂直となるように起立した第1支持壁23が形成されるとともに、支持部21の他の一辺側(脚部22の他方が垂下する辺側)からは、脚部22が形成される側と反対方向に向けて、支持部21と略垂直となるように起立した第2支持壁24が形成されている。
【0036】
第1支持壁23は、第1起立部23A、第1載置面23B、第1係合部23Cを有して構成されている。
第1起立部23Aは、支持部21の一長辺側(脚部22の一方が垂下する辺側)から、脚部22が形成される側と反対方向に向けて、支持部21と略垂直となるように起立している。
【0037】
第1載置面23Bは、第1起立部23Aの上端辺から支持部21と平行に外側へ屈曲して延出した平板部であり、第1係合部23Cは、第1載置面23Bの外側端辺より、支持部21と略垂直となるように屈曲して立上っている。
そして、第1係合部23Cの上端部には、断面鉤状の突縁が形成されており、第1支持壁係合部23aを構成する
この第1支持壁係合部23aの鉤状部分(係止突縁部分)は、内側に向けて形成されている。
【0038】
第2支持壁24は、第1支持壁23と略平行に対向するように、支持部21の他方の長辺側から、支持部21と略垂直となるように起立している。
なお、第1支持壁23と第2支持壁24との、支持部21からの上下方向の距離(高さ)は、ほぼ同じになるように構成されている。
【0039】
本実施形態においては、係合構造の相違による誤差分の相違があるため若干の相違が存在する。
つまり、特許請求の範囲でいう「略同一」は、このように、係合構造等の成形上の都合により生じる誤差を考慮した概念であり、グレーチング1の天面部11を水平に保つために実質的に同じ高さであることを意味する。
【0040】
第2支持壁24は、支持部21から略垂直に起立する第2起立部24Aを有して構成されており、この第2起立部24Aの先端には、第1支持壁23方向へ向けて、第2起立部24Aと略垂直となるように屈曲した第2支持壁上部壁24aが形成されている。
【0041】
また、第2支持壁上部壁24aと支持部21との間には、第1支持壁23方向へ向けて、第2起立部24Aと略垂直に延出する第2支持壁下部壁24bが形成されている。
なお、本実施形態においては、第1支持壁上部壁24aの第2起立部24Aからの距離は、第2支持壁下部壁24bの第2起立部24Aからの距離以下となるように構成されている。
【0042】
これは、施工時に、被係合物の係合及び離脱を容易にするためである。
なお、第2支持壁上部壁24a、第2支持壁下部壁24b、第2起立部24Aで囲まれた空間を、「第2支持壁側係合空間24c」と記す。
【0043】
なお、本実施形態においては、グレーチングユニットSは、グレーチング1と複数のグレーチング受部材2とにより構成されている。
グレーチング受部材2は、脚部22を構成する固定部22a,22aを建物躯体側の土台に取付けることにより、建物躯体に配設される。
【0044】
このとき、支持部21が排水経路上部を跨ぐように、固定部22a,22aは、排水経路の両側に固定される。
また、複数のグレーチング受部材2は、基本的に一定間隔をもって、排水経路の流路方向に並列して配設され、グレーチング1は、この複数グレーチング受部材2上部に覆設される。
【0045】
よって、このグレーチング受部材2の配設個数は、排水経路の流路方向長さによって決定され、その間隔は排水経路の流路形状や建物躯体側の状況等により適宜決定されるものである。
また、係合状態を形成する構成である第2側壁係止部13a、第1係止側壁係止部14a、第2係止側壁係止部15a、第3係止側壁係止部16a、第1支持壁係合部23a、第2支持壁側係合空間24cの構成は一例であり、これに限られるものではない。
つまり、係合状態を形成することができる構成であれば、形状・個数・形成位置等、どのように設計されていてもよい。
【0046】
次いで、図4乃至図7により、グレーチングユニットSの2パターンの使用形態を説明する。
まず、図4乃至図5により、第1の使用形態を説明する。
図4(a)に示すように、第1係止側壁14に形成される第1係止側壁係止部14aは、第2支持壁24に形成される第2支持壁側係合空間24cに挿入されて係止される。
【0047】
また、第3係止側壁16に形成される第3係止側壁係止部16aは、第1支持壁23に形成される第1支持壁係合部23aに係止される。
このとき、第3係止側壁係止部16aの下端部分は、第1支持壁23を構成する第1載置面23B上に載置支持される。
更に、このとき、第2係止側壁15に形成される第2係止側壁係止部15aは、支持部21上面に載置される。
このように組み立てられた状態を図4(b)及び図5に示す。
【0048】
次いで、図6乃至図7により、第2の使用形態を説明する。
第2側壁13に形成される第2側壁係止部13aは、第1支持壁23に形成される第1支持壁係合部23aに係止される。
【0049】
このとき、第2側壁係止部13aの下端部分は、第1支持壁23を構成する第1載置面23B上に載置支持される。
第2係止側壁15に形成される第2係止側壁係止部15aは、第2支持壁24に形成される第2支持壁側係合空間24cに挿入されて係止される。
【0050】
このように、第2の使用形態では、グレーチング1を第1の使用形態の状態より反転させて使用する。
つまり、第1の使用形態においては、グレーチング1を構成する第1側壁12が、グレーチング受部材2を構成する第1支持壁23側に配設され、グレーチング1を構成する第2側壁13が、グレーチング受部材2を構成する第2支持壁24側に配設されるように、グレーチング1の方向を決定して、グレーチング受部材2に取付ける。
【0051】
一方、第2の使用形態においては、グレーチング1を構成する第2側壁13が、グレーチング受部材2を構成する第1支持壁23側に配設され、グレーチング1を構成する第1側壁12が、グレーチング受部材2を構成する第2支持壁24側に配設されるように、グレーチング1の方向を決定して、グレーチング受部材2に取付ける。
【0052】
このような状態で、上記のごとく、グレーチング1をグレーチング受部材2に取付けると、前述したとおり、第1係止側壁14の天面部11からの高さをh1、第2係止側壁15の天面部11からの高さをh2、第3係止側壁16の天面部11からの高さをh3、第2側壁13の天面部11からの高さをh4とすると、(h4≧h2)>(h3≧h1)となるように構成されている。
なお、h4とh2及びh3とh1は、ほぼ同一の高さである。
【0053】
このように構成されているため、グレーチングユニットSの高さが第1の使用形態と第2の使用形態では異なることとなる。
つまり、本実施形態においては、第1係止側壁14と第2係止側壁15との高さの差異(h2,h4>h1,h3)により、トータルのグレーチングユニットの高さに差異が生じる。
【0054】
この差異を図8に示す。
図8に示すとおり、第2係止側壁15の高さと第1係止側壁14の高さの差(h2(h4)−h1(h3))Δhが、第1の使用形態でのグレーチングユニットSと第2の使用状態でのグレーチングユニットSの上下方向高さの差異となる。
【0055】
このように本実施形態においては、グレーチング1の配設方向を変更するのみで、グレーチングユニットSの上下方向高さに差異を設けることができる。
よって、本実施形態においては、一つのサイズのグレーチングユニットSで、二つのサイズバリエーションを実現することができる。
【0056】
図9及び図10により、本実施形態に係るグレーチングユニットSの使用例を説明する。
図9は、バルコニーの床に薄肉厚の仕上げ材R1を敷設した場合を示し、図10は、バルコニーの床に厚みのあるフロアマットR2を敷設した場合を示す。
図9に示すように、仕上げ材R1が敷設されている場合には、第1の使用形態に係るグレーチングユニットSが使用される。
【0057】
一方、肉厚の大きいフロアマットR2が敷設される場合には、上下方向の高さが第1の使用形態よりも大きくなる第2の使用形態に係るグレーチングユニットSが使用される。
このような場合に、第1の使用形態に係るグレーチングユニットSを使用すると、フロアマットR2上面とグレーチング1の上面との間には段差が形成されてしまい、使用者が謝って脚を踏み入れてしまったり、意匠上好ましくないといったような様々な問題が生じる。
【0058】
従来の技術においては、グレーチング自体が別体として構成されておらず、高さ調整が可能な構造ではないため、このような問題を解決するためには、製品サイズ(上下方向高さ)の異なるバリエーションを製造する必要があった。
【0059】
しかし、本実施形態におけるグレーチングユニットSは、グレーチング1とグレーチング受部材2とに別体として形成されており、高さを変更できる構造を採用しているため、グレーチング1の配設方向を変更するのみで、グレーチングユニットSの高さを変更し、このような状態に簡易に対処することが可能となる。
【0060】
次いで、図11に排水経路を示す。
本実施形態に係るグレーチングユニットSでは、グレーチング1の上部に落下した雨水等は、第1側壁12外側面及び第2側壁13(流下ガイド部13A)外側面を伝って落下し、隣り合うグレーチング受部材2,2間を通って排水路に排出されるよう構成されている。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るグレーチングユニットSによれば、グレーチング1を反転させて、取付け方向を変更するのみで、簡易に上下方向の高さレベルを変更することができる。
よって、バルコニー等の床にフロアマットR2等を敷設した場合であっても、容易に対処することができ、製品の高さバリエーションを準備する必要がない。
【符号の説明】
【0062】
1 グレーチング
11 天面部
12 第1側壁
13 第2側壁
13A 流下ガイド部
13a 第2側壁係止部
13b 先端部
14 第1係止側壁
14a 第1係止側壁係止部
15 第2係止側壁
15a 第2係止側壁係止部
16 第3係止側壁
16a 第3係止側壁係止部
2 グレーチング受部材
21 支持部
22 脚部
22a 固定部
22b 架橋部
23 第1支持壁
23A 第1起立部
23a 第1支持壁係合部
23B 第1載置面
23C 第1係合部
24 第2支持壁
24A 第2起立部
24a 第2支持壁上部壁
24b 第2支持壁下部壁
24c 第2支持壁側係合空間
R1 仕上げ材
R2 フロアマット
S グレーチングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水流路を確保しながら排水経路上部を被覆するためのグレーチングユニットであって、
該グレーチングユニットは、建物躯体側に取付けられるグレーチング受部材と、前記排水経路上部を被覆するグレーチングとを有して構成されており、
前記グレーチング受部材は、前記排水経路の幅方向に渡る土台部と、該土台部から上部方向へ略垂直に起立する第1支持壁と、該第1支持壁と対向して前記土台部から上部方向へ略垂直に起立する第2支持壁と、備え、
前記グレーチングは、略長方形状の平板で前記排水経路上部を被覆する天面部と、該天面部の一長辺から略垂直に屈曲して垂下する第1側壁と、該第1側壁が垂下する長辺と対向する長辺から略垂直に屈曲して垂下し前記第1側壁よりも前記天面部からの垂下距離が長い第2側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下する第1係止側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下するとともに前記第1係止側壁よりも前記天面部からの垂下距離が長く前記第1係止側壁よりも前記第1側壁側に配設される第2係止側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁とに同方向かつ略平行となるように前記天面部より垂下するとともに前記第2係止側壁よりも前記天面部からの垂下距離が短く前記第2係止側壁よりも前記第1側壁側に配設される第3係止側壁と、を有して構成されており、
前記第1支持壁と前記第2支持壁の前記土台部からの距離は略同一として形成され、
前記第1係止側壁と前記第3係止側壁との前記天面部からの垂下距離、及び前記第2側壁と前記第2係止側壁との前記天面部からの垂下距離は、略同一として形成されるとともに、前記第1係止側壁と前記第3係止側壁との離間距離、及び前記第2側壁と前記第2係止側壁との離間距離は、略同一として形成されており、
前記第3係止側壁を前記第1支持壁に係止するとともに前記第1係止側壁を前記第2支持壁に係止した場合と、前記グレーチングを反転させて、前記第2側壁を前記第1支持壁に係止するとともに前記第2係止側壁を前記第2支持壁に係止した場合と、では、前記土台部と前記天面部との高さ方向距離が異なるように構成されたことを特徴とするグレーチングユニット。
【請求項2】
前記グレーチング受部材は、複数備えられ、
前記土台部は、略矩形状平板の支持部と、該支持部の相対向する各々の辺より前記支持部と鈍角をなして屈曲して垂下する脚部を有して構成されており、
前記第1支持壁及び前記第2支持壁は、前記支持部の前記相対向する各々の辺に近接する位置より前記脚部が垂下する側と反対方向側に、前記支持部に対して略垂直に起立し、
前記脚部を前記排水経路の幅方向両端に配設することにより前記支持部が前記排水経路上部を跨いで配設されるとともに、前記第1支持部及び前記第2支持部は前記排水経路の幅方向両端側上部に各々配設されることを特徴とする請求項1に記載のグレーチングユニット。
【請求項3】
前記第1支持壁、前記第2支持壁、前記第1係止側壁、前記第2係止側壁、前記第3係止側壁、前記第2側壁には、係合状態を構築するための凹部若しくは凸部が形成されており、
前記凹部若しくは前記凸部により、前記第1支持壁と前記第1係止側壁又は前記第2側壁、前記第2支持壁と前記第1係止側壁又は前記第2係止側壁、の係合状態が構築されることを特徴とする請求項1に記載のグレーチングユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−163090(P2011−163090A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30369(P2010−30369)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】