説明

グロメット装着部の遮音構造

【課題】パネルの貫通穴に取り付けるグロメット装着部から車室への音漏れを低減する。
【解決手段】周縁からバーリングHbが突出した貫通穴Hを設けた車体Pには、車室側面に貫通穴を囲むソフトサイレンサ3と、バーリングの内周面より先端を内方に突出させたハードサイレンサ4が取り付けられ、貫通穴に挿通するワイヤハーネスW/Hに、ゴム等からなるグロメット本体10と、樹脂インナー20とからなるグロメット1が外装され、ワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部11の外周から樹脂インナー内嵌係止部12が突設し、その外面にバーリングおよび車体当接用のシールリップ15を突設する。樹脂インナーは、バーリングの内周面に沿って挿入する筒部21の基端から、樹脂インナー内嵌係止部に挿入係止する断面L形状の係止鍔部22が突出し、筒部にハードサイレンサに当接させるシール部23を先端に設けた延長筒部24を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグロメット装着部の遮音構造に関し、詳しくは、自動車のエンジンルームから車室へと車体パネルの貫通穴を通して配索するワイヤハーネスにグロメットを外装しておき、前記貫通穴に嵌合するグロメット装着部の遮音性の向上を図るものである。
【背景技術】
【0002】
前記グロメット装着部の遮音性能を図るために、図4に示すように、エンジンルームXと車室Yとを仕切るダッシュパネルPの車室側面には貫通穴Hの周縁に吸音性を有する遮音材からなるサイレンサ100を貼り付けている。
特開平8−308067号公報(特許文献1)では、図5に示すように、貫通穴HにはワイヤハーネスW/Hに外装したグロメット110を装着し、該グロメット110に設けたシールリップ111を貫通穴Hを通過させて車室面側からサイレンサ100に押し当てている。
前記シールリップ111をサイレンサ100に当接することで、貫通穴Hとサイレンサ100との間に隙間を生じないようにして、エンジンルームX側の騒音が車室Yに侵入するのを阻止すると共に、車室側面ではサイレンサ100によりエンジンルーム側の騒音を吸音して車室Y内を静寂に保つようにしている。
【0003】
また、特開平2002−44839号公報(特許文献2)では、グロメットにサイレンサを取り付け、グロメットの内周とグロメット内を貫通するワイヤハーネスの間をサイレンサで塞いで遮音している場合がある。
【0004】
また、前記図4に示すように、ゴム等の弾性体からなるグロメット本体151と樹脂成形品からなる樹脂インナー152とを組み合わせた二体物のグロメット150を用いた場合、グロメット本体151に設けたシールリップ155をダッシュパネルPのエンジンルーム側面に押し当てている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−308067号公報
【特許文献2】特開平2002−44839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図5に示す特許文献1では、グロメット110の挿入側先端にシールリップ111
を設けた拡径筒112を設ける必要があり、該拡径筒112の外径は貫通穴Hの内径より大きいため貫通穴Hの挿通作業性が非常に悪い問題がある。
また、グロメット内部にサイレンサを設けても、グロメット外周の貫通穴周縁からの遮音性能の向上は図れない。
【0007】
図4に示す構造において、エンジンルームXから車室Yへと騒音が漏れる4つルート(1)〜(4)がある。このうち、グロメット150のシールリップがダッシュパネルに当接している部分で囲まれた領域内のルート(2)〜(4)からの遮音を高度に図ることができる。しかしながら、グロメットから離れた外周のエンジンルーム側からサイレンサ100の貫通穴100hで囲まれた部分を通るルート(1)の音漏れを低減することはできず室内騒音の要因となっている。
【0008】
前記問題に対して、車室側に貼着されたサイレンサ100にグロメットのシールリップを当接させることができれば、ルート(1)の遮音を図ることができる。しかしながら、サイレンサ100に設ける穴をパネル貫通穴より小さくして貫通穴周縁より中空内へ突出させるとワイヤハーネスの挿通作業性が悪くなる一方、グロメットに設ける環状のシールリップを貫通穴より大径とすると、該シールリップを備えたグロメットを貫通穴に挿通するのが困難となる問題がある。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、グロメットの貫通穴への取付性を損なうことなく、遮音性能の向上を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、第1の発明として、
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体には、その車室側面に、前記貫通穴を囲むソフトサイレンサが取り付けられていると共に、該ソフトサイレンサの車室側面に前記バーリングの内周面より先端を内方に突出させたハードサイレンサが取り付けられ、
前記車体の貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーとからなる二体物のグロメットが外装され、
前記グロメット本体はワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部の外周から樹脂インナー内嵌係止部を外径方向に突設し、該樹脂インナー内嵌係止部の外面にバーリングおよび車体当接用のシールリップが突設している一方、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部を貫通させて組みつける筒形状で、前記バーリングの内周面に沿って挿入する筒部の基端から前記樹脂インナー内嵌係止部に挿入係止する断面L形状の係止鍔部が突出し、かつ、前記筒部に前記ハードサイレンサに当接させるシール部を先端に設けた延長筒部を備えていることを特徴とするグロメット装着部の遮音構造を提供している。
【0011】
車体の車室側面に張り付けるソフトサイレンサは、従来車室側に取り付けられている比較的厚肉のサイレンサで発泡体等からなる。該ソフトサイレンサの車室面側に更に皮革シートや可撓性樹脂シート等からなるハードサイレンサを表皮として張り付けている。
このハードサイレンサに設けるワイヤハーネス用の貫通穴をソフトサイレンサの貫通穴より小さくすると共に、さらに車体の貫通穴より小さくし、樹脂インナーに設けた延長筒部の先端をハードサイレンサに突き当てている。これにより、ソフトサイレンサで囲まれていなかった車体貫通穴の周縁がハードサイレンサで塞がれるため、エンジンルーム側等からの音漏れを低減または防止できる。
前記樹脂インナーに設ける延長筒部は車体貫通穴のバーリングの内周面に沿わせる位置に突設し、この延長筒部の位置はワイヤハーネスを挿通する小径筒部の外周側に位置しているため、グロメットの挿入作業性を損なわず、ワイヤハーネスを押し込むだけのワンタッチで挿入できると共に、樹脂インナーの延長筒部をハードサイレンサに突き当てて音漏れを低減または防止することができる。
【0012】
また、第2の発明として、
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体には、その車室側面に、前記貫通穴を囲むソフトサイレンサが取り付けられていると共に、該ソフトサイレンサの車室側面に前記バーリングの内径と同等な内径を有するハードサイレンサが設けられており、
前記貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーとからなる二体物のグロメットが外装され、
前記グロメット本体はワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部の外周から樹脂インナー内嵌係止部を外径方向に突設し、該樹脂インナー内嵌係止部の内周側に前記小径筒部を囲むように延長筒部を突設し、該延長筒部の先端から外周側へと屈曲して前記ハードサイレンサに当接させるシール部を備える一方、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部を貫通させて組みつける筒形状で、前記バーリングの内周面に沿って挿入する筒部の基端から前記樹脂インナー内嵌係止部に挿入係止する断面L形状の係止鍔部を突出し、かつ、前記筒部は前記グロメット本体の延長筒部の外周面に沿わせて外周側への屈曲部に押し当てる延長筒部とし、
前記樹脂インナーの延長筒部の先端位置を前記ハードサイレンサに囲まれた位置としているグロメット装着部の遮音構造を提供している。
【0013】
第2の発明では、ハードサイレンサの貫通穴は車体貫通穴の略同径とし、第1の発明のハードサイレンサの貫通穴よりも大きくしている。よって、バーリングの内周面に沿って挿入する樹脂インナーの延長筒部をハードサイレンサに接触させることはできないため、グロメット本体に先端が外側に屈曲して拡がる延長筒部を設け、この外側へ屈曲させた先端にシール部を設けてハードサイレンサと接触させて、音漏れ防止をはかっている。
かつ、グロメット本体に設けた延長筒部は剛性が低く倒れやすいために、バーリングとグロメットとの間に噛み込みやすい。そのため、グロメット本体の延長筒部を補強して倒れないようにするため樹脂インナーに延長筒部を設け、グロメット本体の延長筒部の先端から外側に屈曲させた部分がハードサイレンサに確実に押し当てられるようにしている。
【0014】
前記グロメット本体の樹脂インナー内嵌係止部は、該小径筒部の外周から突設する径方向突出部と、該径方向突出部の外周端に連続する外周壁と、該外周壁の先端を内方へ折り返して前記樹脂インナーの係止鍔部を内嵌係止する中空部を形成する段状折返部と、該段状折返部の先端面からなるバーリング用シールリップと、前記段状折返部の外面から突設して車体の外面に当接させるシールリップを備えた形状としている。
【0015】
また、前記グロメット本体に、前記径方向突出部の内周側に線材貫通用筒部を突設させてもよい。該線材貫通用筒部にはウオッシャー洗浄水供給用のホースやボンネット開放用のオープナーケーブルが挿通される。
【発明の効果】
【0016】
前記構成からなる第1の発明のグロメット装着部の遮音構造では、樹脂インナーに設けた延長筒部の先端を車体貫通穴およびソフトサイレンサの貫通穴より内方へ突出したハードサイレンサに押し当てるため、ソフトサイレンサの貫通穴を通したエンジンルーム側からの音漏れを低減または防止することができる。
【0017】
また、第2の発明のグロメット装着部の遮音構造では、グロメット本体に設けた延長筒部の先端を外方に屈曲して車体貫通穴と略同径としたハードサイレンサに押し当てるため、ソフトサイレンサの貫通穴を通したエンジンルーム側からの音漏れを低減または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】第2実施形態の要部拡大断面図である。
【図4】従来例を示す図面である。
【図5】他の従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に第1実施形態を示す。
図1に示すように、自動車のエンジンルームXと車室Yを仕切る車体のダッシュパネルPに設けたバーリング付きの貫通穴HにワイヤハーネスW/Hを通し、該ワイヤハーネスに外装しているグロメット1を貫通穴Hの内周縁に装着し、かつ、該グロメット1に設けたシール部23をダッシュパネルPの室内側面Piに貼り付けたソフトサイレンサ3の貫通穴3aを通し、さらに、該ソフトサイレンサ3の室内側面に張り付けたハードサイレンサ4の貫通穴4aの周縁にエンジンルーム側から当接している。
【0020】
ソフトサイレンサ3は発泡樹脂または発泡ゴムからなり吸音性に優れたものとし、ハードサイレンサ4より厚さを大としている。該ソフトサイレンサ3は車体の貫通穴Hと連通する貫通穴3aを設け、該貫通穴3aは車体の貫通穴Hより大径としている。
【0021】
ハードサイレンサ4は皮革または可撓性を有する樹脂シートからなり遮音性に優れたものとし、厚さはソフトサイレンサ3の1/2〜1/4程度としている。
該ハードサイレンサ4に設ける貫通穴4aはダッシュパネルPに設けた貫通穴Hより小径としているが、後述するグロメット本体10のワイヤハーネスW/Hを挿通した小径筒部11の外形より大きくしている。
前記ダッシュパネルPの貫通穴Hの周縁から屈曲するバーリングHbはエンジンルームX側へ突出し、該ダッシュパネルPの反対側面の車室側面にソフトサイレンサ3が貼り付けられると共に該ソフトサイレンサ3の車室側面にハードサイレンサ4が貼り付けられている。該ハードサイレンサ4がダッシュパネルPの貫通穴Hより内方へ突出しているが、ワイヤハーネスを挿通した小径筒部11の挿通を邪魔する位置まで突出させていない。
【0022】
グロメット1は、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体10と、該グロメット本体10に内嵌される樹脂インナー20とからなる。
【0023】
グロメット本体10は、ワイヤハーネスを密着して挿通させる前記小径筒部11と、該小径筒部11の外周から樹脂インナー内嵌係止部12を外径方向に突設している。該樹脂インナー内嵌係止部12は、小径筒部11の外周から突設する径方向突出部12aと、該径方向突出部12aの外周端に連続する外周壁12bと、該外周壁12bの先端を内方へ折り返して前記樹脂インナー20の係止鍔部を内嵌係止する中空部を形成する段状折返部12cとからなる。該段状折返部12cの先端面からなるバーリング先端シール部13と、前記段状折返部12cの外面から突設しダッシュパネルPに当接させるシールリップ部15を備えた形状としている。
【0024】
前記樹脂インナー20は、グロメット本体10の小径筒部11を貫通させて組みつける筒形状で、バーリングHbの内周面に沿って挿入する筒部21の基端から樹脂インナー内嵌係止部12に挿入係止する断面L形状の係止鍔部22が突出している。該筒部21に前記ハードサイレンサ4に当接させるシール部23を先端に設けた延長筒部24を備えている。該延長筒部24の突出量は、グロメット1を貫通穴Hに係止した状態で、貫通穴Hおよびソフトサイレンサ3の貫通穴3aを通り、ハードサイレンサ4の貫通穴4aの周縁に先端のシール部23が押し当てられる寸法としている。
【0025】
次に、ワイヤハーネスW/Hに取り付けたグロメット1の貫通穴Hへの装着工程に付いて説明する。
グロメット1はグロメット本体10に樹脂インナー20を予め組みつけている。即ち、グロメット本体10の樹脂インナー内嵌係止部12に樹脂インナー20の係止鍔部22を挿入係止している。
【0026】
前記グロメット1のグロメット本体10に設けた小径筒部11を治具で拡げてワイヤハーネスW/Hを貫通させ、小径筒部11の長さ方向の両端をワイヤハーネスW/Hと粘着テープで巻き付けて固着している。
【0027】
このように、グロメット1を外装したワイヤハーネスW/HをダッジュパネルPの貫通穴HにエンジンルームX側から車室Y側へと挿入係止する。具体的には、樹脂インナー20の延長筒部24の先端シール部23を挿入側として図1中の矢印方向に挿入する。
【0028】
ダッシュパネルPに設けた貫通穴Hに対して、樹脂インナー20の延長筒部24をバーリングHbの内周面を慴接しながら挿入する。貫通穴Hの車室側面に貼り付けたソフトサイレンサ3の貫通穴3aは貫通穴Hより大径としているため、延長筒部24は無理なく貫通穴3a内を挿通する。樹脂インナー20の係止鍔部22がバーリングHbの先端に係止し、グロメット本体10のバーリング先端シール部13がバーリングHbの先端に当接し、ダッシュパネルPにシールリップ部15が当接した段階で、延長筒部24の先端のシール部23がハードサイレンサ4の貫通穴4aの周縁に押し当てられる。
【0029】
前記のように、シールリップ13、15がバーリングHbおよびダッシュパネルPに当接した時点で、樹脂インナー20の延長筒部24の先端のシール部23がハードサイレンサ4に突き当たるため、貫通穴Hおよびサイレンサ3の貫通穴3aを通る音漏れを低減または防止できる。
【0030】
図2及び図3に第2実施形態を示す。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ダッシュパネルPの貫通穴Hを囲むソフトサイレンサ3が取り付けられ、該ソフトサイレンサ3の貫通穴3aは貫通穴Hより大径としているが、該ソフトサイレンサ3の車室側面に取り付けるハードサイレンサ4の貫通穴4aは貫通穴Hと同等な内径を有するものとしている。即ち、ハードサイレンサ4を貫通穴Hより内方に突出させていない。
【0031】
第2実施形態のグロメット1は、グロメット本体10の径方向突出部12aの内周側に延長筒部30を突設し、樹脂インナー20の延長筒部24の内周側に沿わせている。
該延長筒部30の突出端は樹脂インナーの延長筒部24の突出端を支点30pとして外側へと屈曲して傘部32を設け、該傘部32の先端に前記ハードサイレンサ4の内周面に当接させるシール部33を設けている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0032】
第2実施形態では、グロメット1のシール部を押し当てるハードサイレンサ4の貫通穴4aを大きくしているため、樹脂インナーではなくグロメット本体に延長筒部30を設け、その先端を傘状に外側へ屈曲してシール部33を設け、該シール部33をハードサイレンサ4に押し当てている。かつ、グロメット本体10はゴムからなるため撓んで倒れやすいため、グロメット本体の延長筒部30を樹脂インナー20の延長筒部24で外嵌し、突出した延長筒部30が倒れないようにして、バーリングHbとグロメット1との間に食い込まないようにしている。かつ、延長筒部30の先端屈曲位置を支持して、言わば傘の開き位置を確定していることにより、その先端のシール部33をハードサイレンサ4に確実に押し当てている。
【0033】
また、グロメット本体10の径方向突出部12aの内周側に線材貫通用筒部45A、45Bを突設している。該線材貫通用筒部45A、45Bの先端は閉鎖しており、ウオッシャーホースやオープナーケーブルを挿通する時に閉鎖端を切断して貫通させるようにしている。他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
1 グロメット
3 ソフトサイレンサ
3a 貫通穴
4 ハードサイレンサ
4a 貫通穴
10 グロメット本体
20 樹脂インナー
24 延長筒部
23 シール部
P ダッシュパネル
H 貫通穴
Hb バーリング
W/H ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体には、その車室側面に、前記貫通穴を囲むソフトサイレンサが取り付けられていると共に、該ソフトサイレンサの車室側面に前記バーリングの内周面より先端を内方に突出させたハードサイレンサが取り付けられ、
前記車体の貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーとからなる二体物のグロメットが外装され、
前記グロメット本体はワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部の外周から樹脂インナー内嵌係止部を外径方向に突設し、該樹脂インナー内嵌係止部の外面にバーリングおよび車体当接用のシールリップが突設している一方、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部を貫通させて組みつける筒形状で、前記バーリングの内周面に沿って挿入する筒部の基端から前記樹脂インナー内嵌係止部に挿入係止する断面L形状の係止鍔部が突出し、かつ、前記筒部に前記ハードサイレンサに当接させるシール部を先端に設けた延長筒部を備えていることを特徴とするグロメット装着部の遮音構造。
【請求項2】
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体には、その車室側面に、前記貫通穴を囲むソフトサイレンサが取り付けられていると共に、該ソフトサイレンサの車室側面に前記バーリングの内径と同等な内径を有するハードサイレンサが設けられており、
前記貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーとからなる二体物のグロメットが外装され、
前記グロメット本体はワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部の外周から樹脂インナー内嵌係止部を外径方向に突設し、該樹脂インナー内嵌係止部の内周側に前記小径筒部を囲むように延長筒部を突設し、該延長筒部の先端から外周側へと屈曲して前記ハードサイレンサに当接させるシール部を備える一方、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部を貫通させて組みつける筒形状で、前記バーリングの内周面に沿って挿入する筒部の基端から前記樹脂インナー内嵌係止部に挿入係止する断面L形状の係止鍔部を突出し、かつ、前記筒部は前記グロメット本体の延長筒部の外周面に沿わせて外周側への屈曲部に押し当てる延長筒部とし、
前記樹脂インナーの延長筒部の先端位置を前記ハードサイレンサに囲まれた位置としているグロメット装着部の遮音構造。
【請求項3】
前記グロメット本体の樹脂インナー内嵌係止部は、該小径筒部の外周から突設する径方向突出部と、該径方向突出部の外周端に連続する外周壁と、該外周壁の先端を内方へ折り返して前記樹脂インナーの係止鍔部を内嵌係止する中空部を形成する段状折返部と、該段状折返部の先端面からなるバーリング用シールリップと、前記段状折返部の外面から突設して車体の外面に当接させるシールリップを備えた形状としている請求項1または請求項2に記載のグロメット装着部の遮音構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−16254(P2012−16254A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153455(P2010−153455)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】