説明

グロメット装着部の遮音構造

【課題】パネルの貫通穴に取り付けるグロメット装着部から車室への音漏れを低減する。
【解決手段】周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体の車室側面に、前記貫通穴の外周を囲むサイレンサ層が設けられており、前記貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーと、前記グロメット本体に移動可能に組つけられるエラストマー系樹脂からなる傘部材からなるグロメットが外装され、前記傘部材は大径筒状の柄部分と、該柄部分の一端側から外方へ屈曲して拡がるように成形されている傘部分とを備え、前記樹脂インナーに前記傘部材を移動自在に収容する傘部材収容筒部を設けており、該傘部材収容筒部に前記傘部材の傘部分をたたんで収容しておき、前記車体の貫通穴へグロメットを通した後に前記傘部分を傘部材収容筒部から引き出して傘部分を開き、該傘部分の先端のシール部を前記サイレンサ層の車室側面に押し当てている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグロメット装着部の遮音構造に関し、詳しくは、自動車のエンジンルームから車室へと車体パネルの貫通穴を通して配索するワイヤハーネスにグロメットを外装しておき、前記貫通穴に嵌合するグロメット装着部の遮音性の向上を図るものである。
【背景技術】
【0002】
前記グロメット装着部の遮音性能を図るために、図4に示すように、エンジンルームXと車室Yとを仕切るダッシュパネルPの車室側面には貫通穴Hの周縁に吸音性を有する遮音材からなるサイレンサ100を貼り付けている。
特開平8−308067号公報(特許文献1)では、図5に示すように、貫通穴HにはワイヤハーネスW/Hに外装したグロメット110を装着し、該グロメット110に設けたシールリップ111を貫通穴Hを通過させて車室面側からサイレンサ100に押し当てている。
前記シールリップ111をサイレンサ100に当接することで、貫通穴Hとサイレンサ100との間に隙間を生じないようにして、エンジンルームX側の騒音が車室Yに侵入するのを阻止すると共に、車室側面ではサイレンサ100によりエンジンルーム側の騒音を吸音して車室Y内を静寂に保つようにしている。
【0003】
また、特開2002−44839号公報(特許文献2)では、グロメットにサイレンサを取り付け、グロメットの内周とグロメット内を貫通するワイヤハーネスの間をサイレンサで塞いで遮音している場合がある。
【0004】
また、前記図4に示すように、ゴム等の弾性体からなるグロメット本体151と樹脂成形品からなる樹脂インナー152とを組み合わせた二体物のグロメット150を用いた場合、グロメット本体151に設けたシールリップ155をダッシュパネルPのエンジンルーム側面に押し当てている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−308067号公報
【特許文献2】特開2002−44839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図5に示す特許文献1では、グロメット110の挿入側先端にシールリップ111
を設けた拡径筒112を設ける必要があり、該拡径筒112の外径は貫通穴Hの内径より大きいため貫通穴Hの挿通作業性が非常に悪い問題がある。
また、グロメット内部にサイレンサを設けても、グロメット外周の貫通穴周縁からの遮音性能の向上は図れない。
【0007】
図4に示す構造において、エンジンルームXから車室Yへと騒音が漏れる4つのルート(1)〜(4)がある。このうち、グロメット150のシールリップがダッシュパネルに当接している部分で囲まれた領域内のルート(2)〜(4)からの遮音を高度に図ることができる。しかしながら、グロメットから離れた外周のエンジンルーム側からサイレンサ100の貫通穴100hで囲まれた部分を通るルート(1)の音漏れを低減することはできず室内騒音の要因となっている。
【0008】
前記問題に対して、車室側に貼着されたサイレンサ100にグロメットのシールリップを当接させることができれば、ルート(1)の遮音を図ることができる。しかしながら、サイレンサ100に設ける穴をパネル貫通穴より小さくして貫通穴周縁より中空内へ突出させるとワイヤハーネスの挿通作業性が悪くなる一方、グロメットに設ける環状のシールリップを貫通穴より大径とすると、該シールリップを備えたグロメットを貫通穴に挿通するのが困難となる問題がある。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、グロメットの貫通穴への取付性を損なうことなく、遮音性能の向上を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体の車室側面に、前記貫通穴の外周を囲むサイレンサ層が設けられており、
前記貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーと、前記グロメット本体に移動可能に組つけられるエラストマー系樹脂からなる傘部材からなるグロメットが外装され、
前記傘部材は、大径筒状の柄部分と、該柄部分の一端側から外方へ屈曲して拡がるように成形されている傘部分とを備え、
前記樹脂インナーに前記傘部材を移動自在に収容する傘部材収容筒部を設けており、該傘部材収容筒部に前記傘部材の傘部分をたたんで収容しておき、
前記車体の貫通穴へグロメットを通した後に前記傘部分を傘部材収容筒部から引き出して傘部分を開き、該傘部分の先端のシール部を前記サイレンサ層の車室側面に押し当てているグロメット装着部の遮音構造を提供している。
【0011】
前記グロメットでは、車体の貫通穴にグロメットを挿通するときはシール用の傘部材の傘部分をたたんで樹脂インナーの傘部材収容筒部に収容しておき、貫通穴への挿通後に傘部材の傘部分を引き出して開いた状態とし、その先端に設けたシール部を車室側からサイレンサ層に当接している。
これにより、サイレンサ層を貫通穴から突出させることなく、サイレンサが貼り付けられていない貫通穴の周縁から、即ち、サイレンサの貫通穴からの音漏れを低減または防止することができる。
【0012】
前記した傘部分を傘部材収容筒部より引き出して拡げる作業は作業者が行っても良いが、グロメット本体に押し出し部分を設けておくことが好ましい。
即ち、前記グロメット本体に前記貫通穴への挿入時に挿入側へと引っ張られる蛇腹部を設け、前記傘部材の柄部分を前記蛇腹部側へと突出させており、
前記車体の貫通穴への挿入時に蛇腹部で前記傘部材の柄部分を押圧して傘部分を傘部材収容筒部から押し出し、傘部分をたたんだ状態から開いている。
【0013】
前記構成とすると、グロメットの貫通穴への挿通工程で、グロメット本体の変形で傘部材の柄部分を押し出して傘部分を拡げている。このグロメット本体の変形はグロメットが車室側に引っ張られることにより傘部材の柄と対向位置の部分が車室側へ突出するように変形し、この変形で柄の部分を押し出し、たたんだ状態で傘部材収容筒部内に収容されていた傘部分を押し出すことにより傘部分を拡げている。
【0014】
前記グロメット本体は、前記ワイヤハーネスを密着して挿通させる小径筒部と、該小径筒部の外周から径方向に凹凸を設けて形成した前記蛇腹部と、該蛇腹部の外周端に設けた樹脂インナー内嵌係止部と、該樹脂インナー内嵌係止部の先端面に設けたバーリングおよび車体に押し当てるシールリップ部を備え、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部に外嵌すると共に前記蛇腹部に重ねる径方向の環状部と、該環状部に突設した前記傘部材収容筒部と、該傘部材収容筒部の外周側に設けて前記バーリングの内周面に位置させる筒部の基端にL形状の係止鍔部を突設しているバーリング係止部を備え、該バーリング係止部の係止鍔部を前記グロメット本体の樹脂インナー内嵌係止部に内嵌固定している。
【0015】
また、前記グロメット本体に、前記蛇腹部の内周側に線材貫通用筒部を突設させてもよい。該線材貫通用筒部にはウオッシャー洗浄水供給用のホースやボンネット開放用のオープナーケーブルが挿通される。
【発明の効果】
【0016】
前記構成からなる本発明のグロメット装着部の遮音構造では、車体の貫通穴への挿通時にはシール用の傘部材の傘部分を畳んだ状態として貫通穴より拡げていないため、グロメットの貫通穴への挿通作業性を阻害せず、スムーズに通すことができる。また、傘部材の傘部分が貫通穴を挿通した時点で、柄の部分をグロメット本体の変形部分で押し出して傘部分を拡げるため、車室側面に取り付けるサイレンサを貫通穴内に突出させることなく、該サイレンサに設けた貫通穴の周縁に傘部材の先端に設けたシールリップを車室側から当接させることができる。これにより、サイレンサの貫通穴を通したエンジンルーム側からの音漏れを低減または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】前記実施形態で用いるグロメットの要部拡大断面図である。
【図3】(A)はグロメットを貫通穴に挿入する工程の断面図、(B)は挿入後の断面図である。
【図4】従来例を示す図面である。
【図5】他の従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、自動車のエンジンルームXと車室Yを仕切る車体のダッシュパネルPに設けたバーリング付きの貫通穴HにワイヤハーネスW/Hを通し、該ワイヤハーネスに外装しているグロメット1を貫通穴Hの内周縁に装着し、かつ、該グロメット1に設けたシールリップ33をダッシュパネルPの室内側面Piに貼り付けたサイレンサ3の貫通穴3aの周縁に車室側から当接している。該サイレンサ3の貫通穴3aはダッシュパネルPの貫通穴Hと同心とすると共に、内径を一回り大きくして連通させている。
即ち、ダッシュパネルPの貫通穴Hの周縁から屈曲するバーリングHbはエンジンルームX側へ突出し、該ダッシュパネルPの反対側面の車室側面にサイレンサ3が貼り付けられ、グロメット1はエンジンルームXから車室Y内へ貫通穴Hを通して挿入される。
【0019】
グロメット1は、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体10と、該グロメット本体10に内嵌される樹脂インナー20と、前記グロメット本体10に移動可能に組つけられるエラストマー系樹脂からなるシール用の傘部材30とからなる。
【0020】
グロメット本体10は、ワイヤハーネスを密着して挿通させる小径筒部11と、該小径筒部11の軸線方向で中間位置の外周から径方向にV字状の凹凸を設けて形成した蛇腹部12と、該蛇腹部12の外周端に設けた樹脂インナー内嵌係止部13と、該樹脂インナー内嵌係止部13の先端面に設けたバーリング押当用のシールリップ14と車体押当用のシールリップ部15を備えている。前記蛇腹部12は1つの大きなV字状凹部16を備え、該蛇腹部12の外周縁から外方へとコ字状に突出させた前記樹脂インナー内嵌係止部13を設けている。
【0021】
前記樹脂インナー20は筒形状であり、グロメット本体10の小径筒部11に外嵌すると共に蛇腹部12の内周に重ねる径方向の環状部21と、該環状部21に突設した傘部材収容筒部22と、該傘部材収容筒部22の外周側に設けたバーリング係止部23を備えている。該バーリング係止部23は前記貫通穴Hの周縁から突設するバーリングHbの内周面に位置させる筒部23aと、該筒部23aの基端に突設したL形状の係止鍔部23bとからなり、該係止鍔部23bを前記グロメット本体10の樹脂インナー内嵌係止部13に内嵌固定している。
前記傘部材収容筒部22は両端開口としているが、前記蛇腹部12とV字状凹部16と対向する開口内面にストッパー用突起22aを設けている。
【0022】
前記シール用の傘部材30は、エラストマー系樹脂で成形して可撓性を持たせており、大径筒状の柄部分31と、該柄部分31の先端から外方へ屈曲して拡がるように賦形された傘部分32とからなる。前記柄部分31の基端には大径部31aを設けると共に該大径部31aより寸法をあけた位置に中径部31bを突設している。また、傘部分32の外周縁に沿ってシールリップ33を設けている。
【0023】
傘部分32は柄部分31の外周面に沿って畳むように強制的に変形させることができ、この傘部分32をたたんだ状態で樹脂インナー20の傘部材収容筒部22に収容できるようにしている。この傘部分32に対するたたみ方向の負荷が解かれると、傘が開くように外方に向けて拡がるものとしている。傘部分32の突出端はシールリップ33としており、傘部分32の大きさは、拡がった状態で、外周縁のシールリップ33が前記サイレンサ3の貫通穴3aの周縁に押し付けられる大きさに設定している。
【0024】
次に、ワイヤハーネスW/Hに取り付けたグロメット1の貫通穴Hへの装着工程に付いて説明する。
グロメット1はグロメット本体10に樹脂インナー20および傘部材30を予め組みつけている。即ち、グロメット本体10の樹脂インナー内嵌係止部13に樹脂インナー20の係止鍔部23bを挿入係止している。
図3(A)に示すように、樹脂インナー20の傘部材収容筒部22に傘部材30を傘部分32をたたんだ状態で収容し、柄部分31をグロメット本体10の蛇腹部12のV字状凹部16に突出させている。たたんだ傘部分32の大径部先端は傘部材収容筒部22のストッパー用突起22aに突き当たって位置決め保持している。一方、柄部分31の基端側の大径部31aは蛇腹部12のV字状凹部16に接して位置している。
【0025】
前記グロメット1のグロメット本体10に設けた小径筒部11を治具で拡げてワイヤハーネスW/Hを貫通させ、小径筒部11の長さ方向の両端をワイヤハーネスW/Hと粘着テープで巻き付けて固着している。
【0026】
このように、グロメット1を外装したワイヤハーネスW/HをダッシュパネルPの貫通穴HにエンジンルームX側から車室Y側へと挿入係止する。具体的には、樹脂インナー20のバーリング係止部23の筒部23aの突出側を挿入側として図1中の矢印方向に挿入する。その際、グロメット本体10のV字状凹部16はエンジンルーム側に突出している。
【0027】
ダッシュパネルPに設けた貫通穴Hに対して、樹脂インナー20の筒部23aがバーリングHbの内周面を慴接しながら挿入し、さらに挿入することで、筒部23aの基部に突出したL形状の係止鍔部23bに外嵌したグロメット本体側のバーリング押当用のシールリップ14がバーリングHbの先端面に当接し、車体押当用のシールリップ部15がダッシュパネルの外面に当接する。
【0028】
前記のように、シールリップ14、シールリップ部15がバーリングHbおよびダッシュパネルPに当接した時点で、傘部材30の傘部分32はまだ畳まれた状態で傘部材収容筒部22内に収容保持されており、傘部分32の外周には貫通穴Hおよびサイレンサ3の貫通穴3aの内周面との間に大きな空隙があり、スムーズにサイレンサ3の貫通穴3aに通すことができる。
【0029】
樹脂インナー20のバーリング係止部23がバーリングに係止した時点から更にワイヤハーネスW/Hを引っ張ってグロメット本体10の小径筒部11を車室Y側へと引っ張ると、蛇腹部12は図3(B)に示すようにV字状凹部16が車室側へと引っ張られて変形する。この変形する蛇腹部12は傘部材30の柄部分31の基端の大径部31aに接触し、ワイヤハーネスW/Hの引っ張りに応じて柄部分31を車室Y側へ押し上げるように変形する。
【0030】
柄部分31が傘部材収容筒部22内で前進し、たたんだ傘部分32のシールリップ33を設けた先端が傘部材収容筒部22から押し出されると、傘部分32はたたみ方向の負荷から開放されて賦形された開き方向に弾性復帰し、図1、2に示すように、傘部分32が開いた状態となる。
この傘部分32が開くことにより、その外周縁に設けたシールリップ33がサイレンサ3の貫通穴3aの全周縁位置に車室Y側から押し当てられる。また、柄部分31は中径部31bが傘部材収容筒部22内に挿入されるが、大径部31aはストッパー用突起22aで停止され、傘部材30が樹脂インナー20から外れるのを防止し、確実に傘部分32を開いた状態で保持している。
【0031】
傘部分32が開いた状態でワイヤハーネスW/Hの引っ張りを停止すると、グロメット本体10の蛇腹部12は内周側が車室側へ引っ張られた傾斜状態から元の状態に弾性復帰し、傘部材30の柄部分31への押圧を解くが、傘部材30は傘部分32が開いているため、たたんだ状態でしか収容されない傘部材収容筒部22内に戻ることはない。
【0032】
このように、グロメット1を貫通穴Hに通す時点では、傘部分32が開いていないためにスムーズに貫通穴に通すことができる。また、貫通穴Hを通過した時点で、傘部分32が開き、サイレンサ3の貫通穴3aの周縁に当接するため、サイレンサ3の貫通穴3aを小さくしなくともサイレンサ3の貫通穴3aを通す音漏れを防止することができる。
【0033】
前記実施形態では、グロメット本体に設けたV字状凹部が変形して傘部材30の柄部分31を押し上げて傘部分32を開いているが、樹脂インナー20の傘部材収容筒部22内に傘部分32をたたんだ状態で収容した傘部材30を作業員が引っ張って引き出してもよい。作業員が傘部分を引き出すと、傘部分32は自動的に開く。
【0034】
さらに、グロメット本体の蛇腹部の内周側に線材貫通用筒部を突設してもよい。該線材貫通用筒部は先端を閉鎖しておき、ウオッシャーホースやオープナーケーブルを挿通する時に閉鎖端を切断して貫通させるようにしている。
【符号の説明】
【0035】
1 グロメット
3 サイレンサ
3a 貫通穴
10 グロメット本体
20 樹脂インナー
22 傘部材収容筒部
30 傘部材
31 柄部分
32 傘部分
33 シールリップ
P ダッシュパネル
H 貫通穴
Hb バーリング
W/H ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁からバーリングが突出したワイヤハーネス挿通用の貫通穴を設けた車体の車室側面に、前記貫通穴の外周を囲むサイレンサ層が設けられており、
前記貫通穴に挿通するワイヤハーネスに、ゴムまたはエラストマーからなるグロメット本体と、該グロメット本体に内嵌される樹脂インナーと、前記グロメット本体に移動可能に組つけられるエラストマー系樹脂からなる傘部材からなるグロメットが外装され、
前記傘部材は、大径筒状の柄部分と、該柄部分の一端側から外方へ屈曲して拡がるように成形されている傘部分とを備え、
前記樹脂インナーに前記傘部材を移動自在に収容する傘部材収容筒部を設けており、該傘部材収容筒部に前記傘部材の傘部分をたたんで収容しておき、
前記車体の貫通穴へグロメットを通した後に前記傘部分を傘部材収容筒部から引き出して傘部分を開き、該傘部分の先端のシール部を前記サイレンサ層の車室側面に押し当てているグロメット装着部の遮音構造。
【請求項2】
前記グロメット本体に前記貫通穴への挿入時に挿入側へと引っ張られる蛇腹部を設け、
前記傘部材の柄部分を前記蛇腹部側へと突出させており、
前記車体の貫通穴への挿入時に蛇腹部で前記傘部材の柄部分を押圧して傘部分を傘部材収容筒部から押し出し、傘部分をたたんだ状態から開いている請求項1に記載のグロメット装着部の遮音構造。
【請求項3】
前記グロメット本体は、前記ワイヤハーネスを密着して挿通させる小径筒部と、該小径筒部の外周から径方向に凹凸を設けて形成した蛇腹部と、該蛇腹部の外周端に設けた樹脂インナー内嵌係止部と、該樹脂インナー内嵌係止部の先端面に設けたバーリングおよび車体に押し当てるシールリップ部を備え、
前記樹脂インナーは、前記グロメット本体の小径筒部に外嵌すると共に前記蛇腹部に重ねる径方向の環状部と、該環状部に突設した前記傘部材収容筒部と、該傘部材収容筒部の外周側に設けて前記バーリングの内周面に位置させる筒部の基端にL形状の係止鍔部を突設しているバーリング係止部を備え、該バーリング係止部の係止鍔部を前記グロメット本体の樹脂インナー内嵌係止部に内嵌固定している請求項1または請求項2に記載のグロメット装着部の遮音構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−19612(P2012−19612A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155427(P2010−155427)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】