説明

ケタールビスフェノール類およびその製造方法

【課題】重合活性及び長期安定性に優れたケタールビスフェノール類及びその製造方法の提供。
【解決手段】安定剤を含む下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類であって、前記安定剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも1種。


(X〜Xはそれぞれ独立して、H、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基又はアルコキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して、H又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基、Aは酸素原子又は硫黄原子、Eは単結合又は無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケタールビスフェノール類およびその製造方法に関し、さらに詳しくは重合活性および長期安定性に優れたケタールビスフェノール類およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリエーテルケトンや芳香族ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリケトンは、熱可塑性樹脂中最高レベルの耐熱性(連続使用温度)、耐熱変形性を有し、難燃性が優れると同時に燃焼時の発煙や腐食性ガスの発生が極めて少ないという従来にない特性を備えた結晶性樹脂である。また、機械特性、耐熱水性、耐放射線性、耐薬品性も非常に優れている。これらの性質は主として、融点が高いことと結晶性が高いことに起因する。
【0003】
しかしながら、芳香族ポリケトンは、結晶化度が高いため、ポリマーの重合や加工の妨げとなり、芳香族ポリケトンを製造するのに好ましい温度、例えば250℃以下の温度において典型的な有機溶媒に不溶性であり、芳香族ポリケトンの分子量を高くすることが困難であった。また、高分子量の芳香族ポリケトンが得られたとしても、高い融点と溶剤不溶性から加工方法が限定され、幅広い用途に展開することができなかった。
【0004】
このような欠点を解決するために、まず高分子量の非晶性重合体としてポリケタールケトンを合成し、その後、ケタール基の脱保護により高分子量の結晶性の芳香族ポリエーテルケトンを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1は、ポリケタールケトンの原料となるケタールビスフェノール類の製造方法として、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンとグリコール類とをアルキルオルトエステルおよびモンモリロナイトクレーのような固体触媒の存在下に反応させる方法、あるいは酸触媒として臭化水素の存在下に反応させる方法を提案している。
【0006】
しかし、これらの方法により製造されたケタールビスフェノール類には、未反応の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンが不純物として4〜5%残在するため、芳香族ポリケタールの原料として使用する場合に、長期安定性および重合活性が不十分になる原因になっていた。長期安定性の低下は、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンがケタールビスフェノール類に比べて、ケトン基の電子吸引性効果により酸性度が高く、ケタールの脱保護反応を促進するためであり、また、重合活性の低下は、アルカリ金属塩として芳香族ポリケタールの重合を行う場合に、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンにより、求核性が低くなるためである。
【0007】
また、不純物として4〜5%残在する未反応の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンを精製により除去しても、長期間(25℃、3ヶ月)の保存においてはケタールビスフェノール類の一部が原料の4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンに分解されるため、さらに安定性に優れたケタールビスフェノール類の開発が求められていた。
【特許文献1】特公平02−14334号公報
【特許文献2】特公平02−1844号公報
【非特許文献1】Macromolecules,20,1204(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、重合活性および長期安定性に優れたケタールビスフェノール類およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のケタールビスフェノール類は、安定剤を含む下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類であって、前記安定剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
【化1】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)
【0010】
前記安定剤の含有量は、0.001〜10重量%にすることが好ましく、前記安定剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
本発明のケタールビスフェノール類の製造方法は、下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類に、安定剤を添加するケタールビスフェノール類の製造方法であって、前記安定剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
【化2】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明のケタールビスフェノール類は、安定剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよびケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいるので、重合活性が良好でかつ安定性の向上したケタールビスフェノール類を工業的に有利な製造方法で安価に提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明のケタールビスフェノール類の製造方法は、安定剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよびケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加しているので、重合活性が良好でかつ安定性の向上したケタールビスフェノール類を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明におけるケタールビスフェノール類は、下記式(1)で示される。
【化3】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)
【0016】
本発明におけるケタールビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジチアンが挙げられる。
【0017】
本発明におけるケタールビスフェノール類の製造方法としては、例えば、特願2006−216437号や特願2006−216441号等に記載された方法が挙げられ、例えば、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンとエチレングリコールとをオルトギ酸トリメチル及びp−トルエンスルホン酸存在下に反応することにより得ることができる。
【0018】
本発明における安定剤のうち前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩としては例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては例えば、カルシウム塩等が挙げられる。これらのなかでもナトリウム塩、カリウム塩が好ましく、カリウム塩がさらに好ましい。
【0019】
本発明に使用する安定剤のうち前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の製造方法としては、例えば、前記式(1)のケタールビスフェノール類と水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩とを反応させる方法が挙げられる。
【0020】
本発明に使用する安定剤のうちアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩としては例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等が挙げられる。これらのなかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましく、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムがさらに好ましい。これらは、イオン性物質であり、例えば炭酸カリウムの場合、水溶液中では炭酸イオンとカリウムイオンとして存在する。
【0021】
本発明に使用する安定剤のうち有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2−アミノ−1―ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルカノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、n―プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン、トリメチルアミン等の第三級アルキルアミンなどの水溶性有機アミンやピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の非水溶性有機アミンが挙げられる。安定剤としてアンモニアを用いてもよく、その効果は変わらない。上述した水溶性有機アミンおよびアンモニアは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0022】
本発明のケタールビスフェノール類に含まれる安定剤の割合は、前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類に対し好ましくは0.001〜10重量%であり、より好ましくは、0.001〜5重量%である。安定剤が0.001重量%未満であると、長期安定性を確保することができず、10重量%を超えると、重合活性を確保できなくなる場合があり好ましくない。
【0023】
本発明のケタールビスフェノール類は、溶媒に希釈、又は分散させたものでも良く、本発明の性能を損なわない範囲において他の成分が含まれていてもよい。
【0024】
本発明のケタールビスフェノール類を溶解又は分散させる際に用いる溶媒としては、本発明におけるケタールビスフェノール類の安定性を損なわない溶媒であれば特に限定されず、具体的には、例えばトルエン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロフォルム、クロロトルエン、ジクロロトルエン、塩化メチル、塩化メチレン、アミルアルコール、オクタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルターシャリーブチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル等が上げられる。また、有機溶媒は単独でも2種以上を併用することもできる。
【0025】
本発明のケタールビスフェノール類の製造方法は、下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類に、安定剤として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加する方法であり、安定剤の添加量は、ケタールビスフェノール類に対し好ましくは0.001〜10重量%であり、より好ましくは0.001〜5重量%である。
【化4】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)
【0026】
具体的に、前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、およびアンモニアから選ばれた少なくとも1種を配合する方法や、ジヒドロキシベンゾフェノン類とグリコール類またはアルキレンジチオール類とを反応することにより前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類を生成させ、水、有機溶媒を加えた後、未反応のグリコール類を含む水層を分離することにより得られた前記式(1)で示されるケタールビスフェノール類を含む有機層にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩あるいは炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアを添加したのち、晶析濾過により組成物を分離、乾燥する方法等により得ることができる。
【0027】
本発明によって得られる安定性の向上したケタールビスフェノール類の用途としては、たとえば各種モノマー、酸化防止剤や老化防止剤等の添加剤およびそれらの前駆体、医薬品原料等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なかでも、モノマー用途が好ましく、芳香族ポリケタール系重合体を製造するためのモノマーとしての用途がさらに好適である。
【0028】
かかる芳香族ポリケタール系重合体とは、主として芳香環から構成される重合体において、ケタール部位が含まれているものをいう。ケタール部位以外に、直接結合、エーテル、ケトン、スルホン、スルフィド、各種アルキレン、イミド、アミド、エステル、ウレタン等、芳香族系ポリマーの形成に一般的に使用される結合様式が存在していても良い。芳香環は炭化水素系芳香環だけでなく、ヘテロ環などを含んでいても良い。また、芳香環ユニットと共に一部脂肪族系ユニットがポリマーを構成していてもかまわない。芳香族ユニットは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族基、アリーロキシ基等の炭化水素系基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基等、任意の置換基を有していても良い。
【0029】
芳香族ポリケタール系重合体の合成方法としては、例えばケタールビスフェノール類と芳香族ジハライドの芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。なお、必要に応じて、ケタールビスフェノール類以外のビスフェノールを併用しても構わない。
【0030】
また、芳香族ジハライドとしては、ケタールビスフェノール類との芳香族求核置換反応により高分子量化が可能なものであれば、特に限定されるものではなく、2種以上の芳香族ジハライドを併用することも可能である。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物にイオン性基が導入されたものをモノマーとして用いることもできる。
【0031】
芳香族求核置換反応による重合は、上記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合反応は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。
【0032】
かかる重合反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを使用することができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用することができるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用しても良い。
【0033】
芳香族求核置換反応による重合に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。かかる塩基性化合物の存在下で反応させる芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際はトルエンなどを反応系に共存させて、共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。
【0034】
かかる芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるように、モノマーを仕込むことが好ましい。かかるポリマー濃度が、5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向があり、一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
【0035】
芳香族ポリケタール系重合体のGPC法による重量平均分子量は、好ましくは1万から100万、さらに好ましくは10万から60万である。かかる重量平均分子量が、1万未満では機械特性が不十分な場合があり、一方、100万を越えると加工性に劣る場合がある。
【0036】
本発明によって得られるケタールビスフェノール類、ならびに併用するビスフェノール、芳香族ジハライド等の原料モノマーの純度は、本発明の目的を損なわない程度に高純度であれば問題ないが、安定剤を除いて、98重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは99重量%以上である。ケタールビスフェノール類の純度を分析する方法は特に限定されないが、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等が例示できる。
【0037】
また、本発明によって得られるケタールビスフェノール類を用いて得た芳香族ポリケタール系重合体は、溶解性や加工性に優れることから、各種成型品を製造する上で、その可溶性前駆体として特に好ましく使用することができる。具体的には、芳香族ポリケタール系重合体として、膜状の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状など使用用途によって様々な形態に加工した後、必要に応じて高結晶性と高融点を有する芳香族ポリケトン系重合体に変換して使用することができる。
【0038】
また、芳香族ポリケタール系重合体および芳香族ポリケトン系重合体にイオン性基を含有させて使用することも好適であり、種々の用途に適用可能である。例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、イオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途に適用可能である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用することができる。かかる電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等が挙げられるが、中でも燃料電池が最も好ましい用途である。さらに燃料電池のなかでも高分子電解質型燃料電池用の高分子電解質材料に好適であり、これには水素を燃料とするものとメタノールなどの有機化合物を燃料とするものがあるが、炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池に特に好ましく用いられる。かかる炭素数1〜6の有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルが好ましく、メタノールが最も好ましく使用される。
【0039】
本発明によって得られるケタールビスフェノール類を用いて得た芳香族ポリケタール系重合体および芳香族ポリケトン系重合体を燃料電池用として使用する際には、通常膜の状態で使用される。
【0040】
また、本発明によって得られるケタールビスフェノール類を用いて得た芳香族ポリケタール系重合体および芳香族ポリケトン系重合体には、通常の高分子化合物に使用される可塑剤、安定剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。また、諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で、機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、ケタールビスフェノール類の純度、安定性および重合性は、以下に示す方法により測定した。
【0042】
<純度の測定方法>
ケタールビスフェノール類の純度は、液体クロマトグラフィー(LC)を用いて下記の条件で測定した。
装置:島津製作所社製 LC−10A
カラム:Inertsil ODS−3 (5μm 4.6φ×250mm)
温度:40℃
検出器:UV 220nm
移動相:A液:水/アセトニトリル=7/3(V/V) B液:アセトニトリル
グラジエント法:B液=20%→(30分)→100%(5分保持)
【0043】
<炭酸イオン含有量の測定方法>
炭酸イオン含有量は、イオンクロマトグラフィーを用いて下記の条件で測定した。その値から安定剤として含まれる炭酸カリウムの量を算出した。
測定対象:CO2−
装置:DIONEX DX−320型 イオンクロマトグラフ
検出器:電気伝導度検出器
プレカラム:Ionpac AG4A−SC(4×50mm)(ダイオネクス製)
分離カラム:Ionpac AS4A−SC(4×250mm)(ダイオネクス製)
恒温槽温度:35℃
溶離液:40mM NaOH
溶離液流量:1.5ml/min
【0044】
<安定性試験>
試料を密閉したガラス製サンプル缶に入れ25℃で3ヶ月間保存後、1カ月毎に試料の純度を上記の方法により液体クロマトグラフィー(LC)を用いて測定し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量の低下の有無により安定性を評価した。
【0045】
<重合性試験>
ケタールビスフェノール類の重合性は、下記条件で重合したポリマーの重量平均分子量を測定することにより、評価した。
【0046】
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム13.82g(アルドリッチ試薬、100mmol)、合成した2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン20.4g×100/(100−安定剤の含有量(wt%))(80mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン12.2g(アルドリッチ試薬、56mmol)、およびジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン10.1g(24mmol、純度100%)を入れ、窒素置換後、N−メチルピロリドン(NMP)110mL、トルエン55mL中で180℃で脱水後、昇温してトルエン除去、230℃で5時間重合を行った。
【0047】
得られたポリマーの重量平均分子量はGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、サンプル濃度0.1wt%、流量0.2mL/min、温度40℃で測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
【0048】
実施例1
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mlフラスコに、4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp−トルエンスルホン酸1水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した後、室温まで冷却し反応液を得た。
【0049】
この反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mlで洗浄し分液後、溶媒を留去し残留物を53.0g得た。この残留物をLCにより分析したところ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランを99.0wt%含有していた。また、この残留物のカリウム分含有量を原子吸光法により測定したところ1ppm(検出限界)以下であった。この残留物にジクロロメタン80ml、炭酸カリウム0.05gを加え結晶を析出させ、濾別し、乾燥して本発明の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た(以下、「試料1」という。)。
【0050】
この試料1をLCにより分析したところ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン99.8wt%が含まれていた。試料1について、カリウム分含有量を原子吸光法により定量したところ560ppm(炭酸カリウム換算で0.1wt%)であった。試料1について、イオンクロマトグラフィーにより分析したところ炭酸イオンが200ppm含有されていた。
【0051】
この試料1について安定性試験を実施したところ、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後のいづれも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量は99.8wt%であり、3ヶ月後においても純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下は認められなかった。
【0052】
また、重合性試験においても、重量平均分子量43万のポリケタール重合体が得られ、重合性も良好であった。
【0053】
実施例2
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mlフラスコに、4,4′−ジヒドロキシベ
ンゾフエノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9
g及びp−トルエンスルホン酸1水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82
℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノー
ル、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した後、室温まで冷却し反応液
を得た。
【0054】
この反応液をメチルイソブチルケトンで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液150mlで洗浄し分液後、溶媒を留去し残留物を53.0g得た。この残留物をLCにより分析したところ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランを99.0wt%含有していた。また、この残留物のカリウム分含有量を原子吸光法により測定したところ1ppm(検出限界)以下であった。この残留物にトルエン180ml、炭酸カリウム1.8gを加え結晶を析出させ、濾別し、乾燥して、本発明の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン50.0gを得た(以下、「試料2」という。)。
【0055】
この試料2をLCにより分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン99.9wt%が含まれていた。この試料2について、カリウム分含有量を原子吸光法により定量したところ22000ppm(炭酸カリウム換算で3.9wt%)であった。試料2について、イオンクロマトグラフィーにより分析したところ炭酸イオンが7800ppm含有されていた。
【0056】
この試料2について安定性試験を実施したところ、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後のいづれも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量は99.9wt%であり、3ヶ月後においても純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下は認められなかった。
【0057】
また、重合性試験においても、重量平均分子量46万のポリケタール重合体が得られ、重合性も良好であった。
【0058】
実施例3
実施例1において炭酸カリウム0.05gを加える代わりに炭酸水素カリウム0.1gを加える以外は実施例1と同様の操作をおこない、本発明の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.1gを得た(以下、「試料3」という。)。
【0059】
この試料3をLC分析したところ99.7wt%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランが含まれていた。また、試料3について、カリウム分含有量を原子吸光法により定量したところ1100ppm(炭酸水素カリウム換算で0.2wt%)であった。試料3について、イオンクロマトグラフィーにより分析したところ炭酸イオンが580ppm含有されていた。
【0060】
この試料3について安定性試験を実施したところ、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後のいづれも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量は99.7wt%であり、3ヶ月後においても純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下は認められなかった。
【0061】
また、重合性試験においても、重量平均分子量33万のポリケタール重合体が得られ、重合性も良好であった。
【0062】
比較例1
実施例1において炭酸カリウム0.05gを加えない以外は実施例1と同様の操作をおこない、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た(以下、「試料4」という。)。
【0063】
この試料4をLC分析したところ99.9wt%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランであった。また、試料4のカリウム分含有量を原子吸光法により測定したところ1ppm(検出限界)以下であった。
【0064】
この試料4について安定性試験を実施したところ、1ヶ月後および2ヶ月後は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量は99.9wt%であり、純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下は認められなかったが、3ヶ月後においては、98.0wt%と純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下が認められた。
【0065】
また、3ヶ月後の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)―1,3−ジオキソランを用いて重合性試験を実施したところ、重量平均分子量10万のポリケタール重合体しか得られず、重合性も低下していた。
【0066】
実施例4
比較例1と同様の操作により得られた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを500mlフラスコに移し、窒素雰囲気下において炭酸カリウム0.05gを加えよく混合したあと取り出し、本発明の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た(以下、「試料5」という。)。
【0067】
この試料5をLCにより分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン99.8wt%が含まれていた。試料5について、カリウム分含有量を原子吸光法により定量したところ550ppm(炭酸カリウム換算で0.1wt%)であった。試料5についてイオンクロマトグラフィーにより分析したところ炭酸イオンが195ppm含有されていた。
【0068】
この試料5について安定性試験を実施したところ、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後のいづれも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量は99.8wt%であり、3ヶ月後においても純度(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの含有量)の低下は認められなかった。
【0069】
また、重合性試験においても、重量平均分子量44万のポリケタール重合体が得られ、重合性も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のケタールビスフェノール類は、芳香族ポリケタールのモノマーとして有用である。さらに、芳香族ポリケタールは芳香族ポリケトンの可溶性前駆体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定剤を含む下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類であって、前記安定剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするケタールビスフェノール類。
【化1】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)
【請求項2】
前記安定剤の含有量が0.001〜10重量%である請求項1記載のケタールビスフェノール類。
【請求項3】
前記安定剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2記載のケタールビスフェノール類。
【請求項4】
下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類に、安定剤を添加するケタールビスフェノール類の製造方法であって、前記安定剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、有機アミン、アンモニアおよび下記式(1)で示されるケタールビスフェノール類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするケタールビスフェノール類の製造方法。
【化2】

(式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基またはアルコキシ基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、Aは酸素原子または硫黄原子を示し、Eは単結合または無置換もしくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で置換されたメチレンもしくはエチレン鎖を示す。)

【公開番号】特開2009−40733(P2009−40733A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208502(P2007−208502)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、燃料電池・水素技術開発部委託研究(「固体高分子形燃料電池実用化戦略技術開発 要素技術開発高性能炭化水素系電解質膜の研究開発」)、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)