ケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ
【課題】 ケミカルフィルタユニットを構成するフィルタカートリッジはそれぞれ有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の３種類のフィルタカートリッジが必要であった。そのためフィルタカートリッジから構成されるケミカルフィルタユニットは大きな設置スペースを取ってしまっていた。このため従来の空調系統のスペースに設置できなかったり、追加設置するのに大掛かりな改造が必要となったりしてしまう上コスト的にも高くなってしまうといった問題があった。
【解決手段】 ケミカルフィルタユニットを構成するフィルタカートリッジに関し、フィルタカートリッジを着脱可能な蓋板と他端を側板で形成したケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成し、ケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により形成した２つ以上複数の充填室に異種のイオン交換基の粒状吸着材を充填したことを特徴とするものである。
【解決手段】 ケミカルフィルタユニットを構成するフィルタカートリッジに関し、フィルタカートリッジを着脱可能な蓋板と他端を側板で形成したケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成し、ケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により形成した２つ以上複数の充填室に異種のイオン交換基の粒状吸着材を充填したことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は半導体、液晶、精密機械、医療、食品、薬品工場などのクリーンルーム内に清浄空気を取り入れる際やホルムアルデヒド、トイレ臭、ペット臭などの生活環境に存在する種々の臭気成分を除去する際に使用される粒状タイプの吸着材を使ったケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ケミカルフィルタに使用される粒状タイプの吸着材は、粒状の素材を用い主に有機ガスなどの除去を行う物理吸着型、素材に酸、アルカリを添着することによりカチオン交換基、アニオン交換基を有した吸着材を形成しアルカリ性ガスまたは酸性ガスの除去を行う化学吸着型、素材にイオン交換基を導入してカチオン交換基、アニオン交換基を有した吸着材を形成しアルカリ性ガスまたは酸性ガスの除去を行うイオン交換型のものがある。
【０００３】
しかしこれらの吸着材を使用する場合、異種の交換基を接触させたり混合したりすると除去対象ガス成分との接触が十分に行われず、十分なガス除去性能を発揮できない場合や互にイオンの交換現象が生じイオン交換基自身の機能を損なってしまうという懸念があった。
【０００４】
特に半導体製造、液晶製造などの先端産業では、従来微粒子の除去のみで十分であったが、製品の高品質化、精密化がますます進むに伴ないガス状汚染物質の制御が重要となっている。そこで半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルームの空気取り入れ口には従来のＨＥＰＡやＵＬＰＡフィルタに併設してケミカルフィルタユニットが取り付けられている。
【０００５】
ところが、ケミカルフィルタユニットは使用する粒状タイプの吸着材がイオン交換基を有しているため、それぞれ有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用を設置するフィルタカートリッジが必要であった。
【０００６】
そのためフィルタカートリッジから構成されるケミカルフィルタユニットは大きな設置スペースを取ってしまっていた。このため従来の空調系統のスペースに設置できなかったり、追加設置するのに大掛かりな改造が必要となったりしてしまう上コスト的にも高くなってしまうといった問題があった。
そこで、ケミカルフィルタユニットの小型化が強く望まれていた。
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
まず本発明の目的はフィルタカートリッジ内部を２層式にして交換基を有する異種の吸着材を充填可能にしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【０００８】
次に本発明の目的は２層式フィルタカートリッジに交換基を有する異種の吸着材を容易に充填できるようにしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【０００９】
さらに本発明の目的は簡単な構造で取り付け取り外しを容易にしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【００１０】
さらに本発明の目的は２種類の機能をもったフィルタカートリッジでケミカルフィルタユニットを構成したのでケミカルフィルタユニットの小型化を可能にしたものである。
【問題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の第１の解決手段はフィルタカートリッジを、上端を着脱可能な蓋板とし他端を側板で形成した略長立方体のケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成したことを特徴としたものである。
【００１２】
本発明の第２の解決手段はケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により、２つの充填室を形成したことを特徴としたものである。
【００１３】
本発明の第３の解決手段はケーシングの中空部の１室に有機ガスなどの除去を行う粒状吸着材を、他の室にはカチオン交換基あるいはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填したことを特徴としたものである。
【００１４】
本発明の第４の解決手段はケーシングの中空部にカチオン交換基の粒状吸着材層とアニオン交換基を形成した粒状吸着材の層の２層を形成したことを特徴としたものである。また、目的により３層式も容易に提供できるものである。
【００１５】
ここでケーシングを構成する蓋側板や側板およびパンチング板に使用される材質は鋼板またはステンレス板あるいは合成樹脂板が好ましいがこれに限定されるものではない。
【００１６】
次にケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板の穴の径は粒状吸着材の径より小さくなっていればよく、形状は円形が好ましいが四角形、△形などどんな形状のものでも構わない。
【００１７】
さらにカチオン交換基を形成した粒状吸着材は素材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりカチオン交換基を形成させることにより製造する。またアニオン交換基を形成した粒状吸着材は素材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりアニオン交換基を形成させることにより製造する。
【００１８】
粒状吸着材の素材は粒状活性炭あるいはシリカゲルなどが好ましいがこれに限るものではない。
【００１９】
次に組み立て手順について説明する。まず下枠の左右端を折り曲げ左右の側板とし、上端を着脱可能な蓋側板として略長立方体のケーシングを構成する。そしてケーシングの前面及び背面にパンチング板を貼り付け略長立方体の中空部を形成する。略長立方体の中空部にはパンチング仕切板を取り付け２層を形成する。
【００２０】
そしてケーシングの中空部の１室に有機ガス用の粒状吸着材を、他の室にはカチオン交換基あるいはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填するか、または１室にカチオン交換基の粒状吸着材を他の室にはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填する。
【００２１】
ケーシングの中空部の２室に充填後、蓋板を左右の側板に取り付けてフィルタカートリッジを形成する。
【００２２】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。まず、フィルタカートリッジの正面を通過することで大気中に含まれる有機ガス、酸性ガスおよびアルカリ性ガスは１層目に充填されたカチオン交換基の粒状吸着材で酸性ガスが除去される。次に２層目にて充填されたアニオン交換基の粒状吸着材でアルカリ性ガス除去される。そして有機ガスは同時にカチオン交換基の粒状吸着材およびアニオン交換基の粒状吸着材によって物理吸着されることから清浄な空気となってフィルタカートリッジの背面より流出される。
【００２３】
しかし、酸性ガスおよびアルカリ性ガスの除去は、それぞれのイオン交換基の吸着量で決まるが、寿命があるため吸着材の交換が必要となってくる。
【００２４】
そこで、まずケーシングの中空部を覆っている蓋側板を左右の側板から取り外しケーシングの中空部の２層を開放する。次にケーシングを逆さまにした状態でぞれぞれのイオン交換基の粒状吸着材を排出しケーシングの中空部を空の状態にする。次に新しいそれぞれのイオン交換基の粒状吸着材を充填し、再び蓋側板を左右の側板に取り付けて新規なフィルタカートリッジを形成する。
【発明の効果】
【００２５】
上述したように、本発明のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジは次のような効果が得られる。
（１）フィルタカートリッジ内部を２層式にして２種類のイオン交換基の粒状吸着材を充填し、２つの機能を１つのフィルタカートリッジで済ますことができフィルタカートリッジを収納するケミカルフィルタユニットは非常に小型化となった。
（２）ケーシングの中空部にパンチング仕切板を取り付けるだけといった簡単な方法で２層式を可能にしたので、構造が非常に簡単で且つイオン交換基の粒状吸着材の充填および排出を容易にしたものである。
（３）ケミカルフィルタユニットを非常に小型化としたので、大きな設置スペースがいらなくなり、輸送時や取り付け時の取り扱いは容易となり且つコストメリットも生じた。
（４）２つの機能を１つのフィルタカートリッジで済ますことができるようにしたので、イオン交換基の粒状吸着材の経費も削減できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明の実施形態に係るケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを添付図面に基づいて説明する。
（実施形態）
１はフィルタカートリッジのケーシングを示し、ケーシング１は下板２と蓋板３及び左右の側板４、５からなり略長立方体の中空部となっている。これらの下板２と蓋板３及び左右の側板４、５は金属板または合成樹脂板により形成されている。
【００２７】
そして左右の側板４，５は、下板２の左右端から上方に垂直に折曲されることにより形成されている。
【００２８】
一方、蓋板３の左右端には、左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６にそれぞれ穿った穴に合致する穴が設けられそれぞれの穴を貫通してビス７で固定され、取り付け取り外し可能に結合されている。
【００２９】
さらに下板２と蓋板３及び左右の側板４、５の前後縁にはそれぞれ全長にわたって突出部２ａ、２ｂ、３ａ、３ｂ、４ａ、４ｂ、５ａ、５ｂが折曲形成されている。
【００３０】
そして、突出部２ａ、３ａ、４ａ、５ａ、の内面に適時大きさの多数穴を設けたパンチング板８が溶接により固定されている。
また突出部２ｂ、３ｂ、４ｂ、５ｂにも内面に適時大きさの多数穴を設けたパンチング板９が溶接により固定されている。
さらにパンチング板８、９は補強材１０、１１、１２、１３と溶接にて固定されている。
【００３１】
またケーシングの中空部１４にはパンチング仕切板１５が左右の側板４、５の内側にて固定金具１６、１７および補強材１０、１１、１２、１３によって固定されている。さらにパンチング仕切板１５は補強材１０、１１、１２、１３と溶接にて固定されている。そして充填室Ａ、Ｂの２室が形成されている。
【００３２】
そして粒状タイプの吸着材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりカチオン交換基を形成させた酸性ガス用粒状活性炭を充填室Ａに充填する。また充填室Ｂには粒状タイプの吸着材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりアニオン交換基を形成させたアルカリガス用粒状活性炭を充填する。
【００３３】
ケーシングの中空部１４への充填終了後、左右の側板４、５の上端部に蓋板３を覆って蓋板３の穴を左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６の穴と合致させてそれぞれの穴に貫通してビス７にて固定することによりフィルタカートリッジを形成する。
【００３４】
次に粒状活性炭の交換に当たっては、ビス７を外して側板４、５の上端部を覆っている蓋板３を取り外し、側板４、５の上端部より粒状活性炭を排出し充填室Ａ、Ｂを空の状態にする。
【００３５】
そして空となった充填室Ａ、Ｂに所望の粒状活性炭を充填し、再び左右の側板４、５の上端部に蓋板３を覆って蓋板３の穴を左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６の穴と合致させてそれぞれの穴に貫通してビス７にて固定することにより完了する。
【００３６】
ここで、ケーシングの中空部１４に開口穴が粒状活性炭の径よりも小さいパンチング仕切板１５が穿設されているので、充填室Ａ、Ｂに充填された異種のイオン交換基が接触したり、混合したりして反応することなく本来の機能が十分保たれるものである。
【００３７】
図５はフィルタカートリッジをケミカルフィルタユニットに組み込んだ概略図を示したもので、半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルーム、および又は工場空調、ビル空調の空気取り入れ口には従来それぞれ有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の３つを設置するケミカルフィルタユニットが必要であったが、本発明の場合１あるいは２つで十分機能を果たすものである。
【００３８】
なお、上記実施例では１実施例を述べただけで種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。例えばケーシング１の形状を略長立方体の中空部としたが、略正立方体の中空部としても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルームおよび又は工場空調、ビル空調の空気取り入れ口に設けるケミカルフィルタユニットに関するもので、１つのフィルタカートリッジのケーシングの中空部１４にパンチング仕切板１５を設けるといった簡単な構造で、異種のイオン交換基を形成した粒状タイプの吸着材を充填して同時に有機ガス、酸性ガス、アルカリガスを除去可能にしたので、フィルタカートリッジを収納したケミカルフィルタユニットは小型化となり、設置スペースを取らない上、その分コストをかからず実用上はなはだ効果大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】フィルタカートリッジの正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ’の横断面図である。
【図３】蓋板と左右の側板４、５の取り付け部を示す概略図である。
【図４】図１のＢ−Ｂ’の縦断面図である。
【図５】フィルタカートリッジをケミカルフィルタユニットに組み込んだ概略図である。
【符号の説明】
【００４１】
１・・・ケーシング ２・・・下板 ３・・・蓋板
４、５・・・側板 ８、９・・・パンチング板
１４・・・ケーシング中空部 １５・・・パンチング仕切板
【技術分野】
【０００１】
本発明は半導体、液晶、精密機械、医療、食品、薬品工場などのクリーンルーム内に清浄空気を取り入れる際やホルムアルデヒド、トイレ臭、ペット臭などの生活環境に存在する種々の臭気成分を除去する際に使用される粒状タイプの吸着材を使ったケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ケミカルフィルタに使用される粒状タイプの吸着材は、粒状の素材を用い主に有機ガスなどの除去を行う物理吸着型、素材に酸、アルカリを添着することによりカチオン交換基、アニオン交換基を有した吸着材を形成しアルカリ性ガスまたは酸性ガスの除去を行う化学吸着型、素材にイオン交換基を導入してカチオン交換基、アニオン交換基を有した吸着材を形成しアルカリ性ガスまたは酸性ガスの除去を行うイオン交換型のものがある。
【０００３】
しかしこれらの吸着材を使用する場合、異種の交換基を接触させたり混合したりすると除去対象ガス成分との接触が十分に行われず、十分なガス除去性能を発揮できない場合や互にイオンの交換現象が生じイオン交換基自身の機能を損なってしまうという懸念があった。
【０００４】
特に半導体製造、液晶製造などの先端産業では、従来微粒子の除去のみで十分であったが、製品の高品質化、精密化がますます進むに伴ないガス状汚染物質の制御が重要となっている。そこで半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルームの空気取り入れ口には従来のＨＥＰＡやＵＬＰＡフィルタに併設してケミカルフィルタユニットが取り付けられている。
【０００５】
ところが、ケミカルフィルタユニットは使用する粒状タイプの吸着材がイオン交換基を有しているため、それぞれ有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用を設置するフィルタカートリッジが必要であった。
【０００６】
そのためフィルタカートリッジから構成されるケミカルフィルタユニットは大きな設置スペースを取ってしまっていた。このため従来の空調系統のスペースに設置できなかったり、追加設置するのに大掛かりな改造が必要となったりしてしまう上コスト的にも高くなってしまうといった問題があった。
そこで、ケミカルフィルタユニットの小型化が強く望まれていた。
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
まず本発明の目的はフィルタカートリッジ内部を２層式にして交換基を有する異種の吸着材を充填可能にしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【０００８】
次に本発明の目的は２層式フィルタカートリッジに交換基を有する異種の吸着材を容易に充填できるようにしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【０００９】
さらに本発明の目的は簡単な構造で取り付け取り外しを容易にしたケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを提供しようとしたものである。
【００１０】
さらに本発明の目的は２種類の機能をもったフィルタカートリッジでケミカルフィルタユニットを構成したのでケミカルフィルタユニットの小型化を可能にしたものである。
【問題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の第１の解決手段はフィルタカートリッジを、上端を着脱可能な蓋板とし他端を側板で形成した略長立方体のケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成したことを特徴としたものである。
【００１２】
本発明の第２の解決手段はケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により、２つの充填室を形成したことを特徴としたものである。
【００１３】
本発明の第３の解決手段はケーシングの中空部の１室に有機ガスなどの除去を行う粒状吸着材を、他の室にはカチオン交換基あるいはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填したことを特徴としたものである。
【００１４】
本発明の第４の解決手段はケーシングの中空部にカチオン交換基の粒状吸着材層とアニオン交換基を形成した粒状吸着材の層の２層を形成したことを特徴としたものである。また、目的により３層式も容易に提供できるものである。
【００１５】
ここでケーシングを構成する蓋側板や側板およびパンチング板に使用される材質は鋼板またはステンレス板あるいは合成樹脂板が好ましいがこれに限定されるものではない。
【００１６】
次にケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板の穴の径は粒状吸着材の径より小さくなっていればよく、形状は円形が好ましいが四角形、△形などどんな形状のものでも構わない。
【００１７】
さらにカチオン交換基を形成した粒状吸着材は素材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりカチオン交換基を形成させることにより製造する。またアニオン交換基を形成した粒状吸着材は素材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりアニオン交換基を形成させることにより製造する。
【００１８】
粒状吸着材の素材は粒状活性炭あるいはシリカゲルなどが好ましいがこれに限るものではない。
【００１９】
次に組み立て手順について説明する。まず下枠の左右端を折り曲げ左右の側板とし、上端を着脱可能な蓋側板として略長立方体のケーシングを構成する。そしてケーシングの前面及び背面にパンチング板を貼り付け略長立方体の中空部を形成する。略長立方体の中空部にはパンチング仕切板を取り付け２層を形成する。
【００２０】
そしてケーシングの中空部の１室に有機ガス用の粒状吸着材を、他の室にはカチオン交換基あるいはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填するか、または１室にカチオン交換基の粒状吸着材を他の室にはアニオン交換基を形成した粒状吸着材を充填する。
【００２１】
ケーシングの中空部の２室に充填後、蓋板を左右の側板に取り付けてフィルタカートリッジを形成する。
【００２２】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。まず、フィルタカートリッジの正面を通過することで大気中に含まれる有機ガス、酸性ガスおよびアルカリ性ガスは１層目に充填されたカチオン交換基の粒状吸着材で酸性ガスが除去される。次に２層目にて充填されたアニオン交換基の粒状吸着材でアルカリ性ガス除去される。そして有機ガスは同時にカチオン交換基の粒状吸着材およびアニオン交換基の粒状吸着材によって物理吸着されることから清浄な空気となってフィルタカートリッジの背面より流出される。
【００２３】
しかし、酸性ガスおよびアルカリ性ガスの除去は、それぞれのイオン交換基の吸着量で決まるが、寿命があるため吸着材の交換が必要となってくる。
【００２４】
そこで、まずケーシングの中空部を覆っている蓋側板を左右の側板から取り外しケーシングの中空部の２層を開放する。次にケーシングを逆さまにした状態でぞれぞれのイオン交換基の粒状吸着材を排出しケーシングの中空部を空の状態にする。次に新しいそれぞれのイオン交換基の粒状吸着材を充填し、再び蓋側板を左右の側板に取り付けて新規なフィルタカートリッジを形成する。
【発明の効果】
【００２５】
上述したように、本発明のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジは次のような効果が得られる。
（１）フィルタカートリッジ内部を２層式にして２種類のイオン交換基の粒状吸着材を充填し、２つの機能を１つのフィルタカートリッジで済ますことができフィルタカートリッジを収納するケミカルフィルタユニットは非常に小型化となった。
（２）ケーシングの中空部にパンチング仕切板を取り付けるだけといった簡単な方法で２層式を可能にしたので、構造が非常に簡単で且つイオン交換基の粒状吸着材の充填および排出を容易にしたものである。
（３）ケミカルフィルタユニットを非常に小型化としたので、大きな設置スペースがいらなくなり、輸送時や取り付け時の取り扱いは容易となり且つコストメリットも生じた。
（４）２つの機能を１つのフィルタカートリッジで済ますことができるようにしたので、イオン交換基の粒状吸着材の経費も削減できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明の実施形態に係るケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジを添付図面に基づいて説明する。
（実施形態）
１はフィルタカートリッジのケーシングを示し、ケーシング１は下板２と蓋板３及び左右の側板４、５からなり略長立方体の中空部となっている。これらの下板２と蓋板３及び左右の側板４、５は金属板または合成樹脂板により形成されている。
【００２７】
そして左右の側板４，５は、下板２の左右端から上方に垂直に折曲されることにより形成されている。
【００２８】
一方、蓋板３の左右端には、左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６にそれぞれ穿った穴に合致する穴が設けられそれぞれの穴を貫通してビス７で固定され、取り付け取り外し可能に結合されている。
【００２９】
さらに下板２と蓋板３及び左右の側板４、５の前後縁にはそれぞれ全長にわたって突出部２ａ、２ｂ、３ａ、３ｂ、４ａ、４ｂ、５ａ、５ｂが折曲形成されている。
【００３０】
そして、突出部２ａ、３ａ、４ａ、５ａ、の内面に適時大きさの多数穴を設けたパンチング板８が溶接により固定されている。
また突出部２ｂ、３ｂ、４ｂ、５ｂにも内面に適時大きさの多数穴を設けたパンチング板９が溶接により固定されている。
さらにパンチング板８、９は補強材１０、１１、１２、１３と溶接にて固定されている。
【００３１】
またケーシングの中空部１４にはパンチング仕切板１５が左右の側板４、５の内側にて固定金具１６、１７および補強材１０、１１、１２、１３によって固定されている。さらにパンチング仕切板１５は補強材１０、１１、１２、１３と溶接にて固定されている。そして充填室Ａ、Ｂの２室が形成されている。
【００３２】
そして粒状タイプの吸着材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりカチオン交換基を形成させた酸性ガス用粒状活性炭を充填室Ａに充填する。また充填室Ｂには粒状タイプの吸着材を放射線グラフト重合法や薬品添着などの方法によりアニオン交換基を形成させたアルカリガス用粒状活性炭を充填する。
【００３３】
ケーシングの中空部１４への充填終了後、左右の側板４、５の上端部に蓋板３を覆って蓋板３の穴を左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６の穴と合致させてそれぞれの穴に貫通してビス７にて固定することによりフィルタカートリッジを形成する。
【００３４】
次に粒状活性炭の交換に当たっては、ビス７を外して側板４、５の上端部を覆っている蓋板３を取り外し、側板４、５の上端部より粒状活性炭を排出し充填室Ａ、Ｂを空の状態にする。
【００３５】
そして空となった充填室Ａ、Ｂに所望の粒状活性炭を充填し、再び左右の側板４、５の上端部に蓋板３を覆って蓋板３の穴を左右の側板４、５の上部内側に取り付けられた蓋板受台６の穴と合致させてそれぞれの穴に貫通してビス７にて固定することにより完了する。
【００３６】
ここで、ケーシングの中空部１４に開口穴が粒状活性炭の径よりも小さいパンチング仕切板１５が穿設されているので、充填室Ａ、Ｂに充填された異種のイオン交換基が接触したり、混合したりして反応することなく本来の機能が十分保たれるものである。
【００３７】
図５はフィルタカートリッジをケミカルフィルタユニットに組み込んだ概略図を示したもので、半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルーム、および又は工場空調、ビル空調の空気取り入れ口には従来それぞれ有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の３つを設置するケミカルフィルタユニットが必要であったが、本発明の場合１あるいは２つで十分機能を果たすものである。
【００３８】
なお、上記実施例では１実施例を述べただけで種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。例えばケーシング１の形状を略長立方体の中空部としたが、略正立方体の中空部としても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
半導体製造工場、液晶製造工場などのクリーンルームおよび又は工場空調、ビル空調の空気取り入れ口に設けるケミカルフィルタユニットに関するもので、１つのフィルタカートリッジのケーシングの中空部１４にパンチング仕切板１５を設けるといった簡単な構造で、異種のイオン交換基を形成した粒状タイプの吸着材を充填して同時に有機ガス、酸性ガス、アルカリガスを除去可能にしたので、フィルタカートリッジを収納したケミカルフィルタユニットは小型化となり、設置スペースを取らない上、その分コストをかからず実用上はなはだ効果大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】フィルタカートリッジの正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ’の横断面図である。
【図３】蓋板と左右の側板４、５の取り付け部を示す概略図である。
【図４】図１のＢ−Ｂ’の縦断面図である。
【図５】フィルタカートリッジをケミカルフィルタユニットに組み込んだ概略図である。
【符号の説明】
【００４１】
１・・・ケーシング ２・・・下板 ３・・・蓋板
４、５・・・側板 ８、９・・・パンチング板
１４・・・ケーシング中空部 １５・・・パンチング仕切板
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上端を着脱可能な蓋板とし他端を側板で形成したケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成したケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【請求項２】
ケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により、２つ以上複数の充填室を形成したことを特徴とする請求項１記載のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【請求項３】
ケーシングの中空部の２つ以上複数の充填室に異質のイオン交換基の粒状タイプの吸着材を充填したことを特徴とする請求項１記載のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【請求項１】
上端を着脱可能な蓋板とし他端を側板で形成したケーシングとケーシングの前面及び背面の全面開口に貼り付けたパンチング板とケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板とから構成したケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【請求項２】
ケーシングの中空部に取り付けたパンチング仕切板により、２つ以上複数の充填室を形成したことを特徴とする請求項１記載のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【請求項３】
ケーシングの中空部の２つ以上複数の充填室に異質のイオン交換基の粒状タイプの吸着材を充填したことを特徴とする請求項１記載のケミカルフィルタユニットのフィルタカートリッジ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００９−１５４１４２（Ｐ２００９−１５４１４２Ａ）
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３４１９４５（Ｐ２００７−３４１９４５）
【出願日】平成１９年１２月２７日（２００７．１２．２７）
【出願人】（３９００４０８８８）日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月２７日（２００７．１２．２７）
【出願人】（３９００４０８８８）日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]