説明

ケースおよびその製法

【課題】ケースを被収容体から完全に取り外さなくても被収容体の表示部を見ながらボタン等を操作することができ、しかも、製造コストが安価であるケースを提供する。
【解決手段】被収容体を保持するケース本体1と、このケース本体1の後端部にヒンジ連結されるケース蓋2とを備え、上記ケース本体1とケース蓋2の双方が、アルミニウム板11,21の外側面に皮革製シート材13をシート状のホットメルト接着剤により接着した接着体で構成され、上記ケース本体1が、上記被収容体を載置する長板状の載置板部3と、この載置板部3の前端部から立設される前側板部4と、上記載置板部3の左右両側部から立設され上記被収容体を前後方向にスライド自在に保持する左右両側板部5a,5bと、前側板部4,右側板部5aおよび左側板部5bの少なくとも1つの上端縁から上記載置板部3に対向する状態で突設される上側板部6a,6bとからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MP3(MPEG Audio Layer−3 )オーディオ,デジタルカメラ等の携帯用の各種小形電子機器等を収容するために用いられるケースおよびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、MP3オーディオ,デジタルカメラ等の携帯用の各種小形電子機器等を収容するケースとして、各種材質のケースが用いられているが、厚みを極力薄くしながらも充分な強度を確保することができ、かつ内部で発生する電磁波等が外部に漏出しにくくするため、金属製のケースがよく用いられている。このような金属製ケースとして、図23に示すように、携帯電話41をスライド自在に挿入して収納しうる箱形の携帯通信端末用ケース42が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、ユーザーの多様化に伴いケースを、ユーザーの好む外観(模様や色彩等)等にすることが要求されており、金属製ケースの表面にめっき処理を行ったり、塗装をしたりして装飾を施すことにより、ユーザーのニーズにマッチした外観にすることが行われている。特に近年において、高級感のあるものをユーザーが要求しており、上記の装飾に種々の工夫を加えることが行われているが、金属製ケースの表面にめっき処理を行ったり、塗装をしたりしたものでは、高級感を持たせることができないというのが実情である。
【特許文献1】特開2003−179674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の携帯通信端末用ケース42では、これを携帯電話41から完全に取り外さないと、携帯電話41の表示部43を見ながら各種操作ボタン44を操作することができないという問題がある。一方、金属製ケースに高級感を持たせるために、金属製ケースの表面に皮革を貼り付けることが考えられるが、所定の形状に加工した金属製ケースの表面もしくは皮革の裏面に液状のりを刷毛等で塗布したのち金属製ケースの表面に皮革を貼り付けるのでは、多大な労力を必要とするうえ、作業に長時間かかり、製造コストが高価になるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ケースを被収容体から完全に取り外さなくても被収容体の表示部を見ながらボタン等を操作することができ、しかも、製造コストが安価であるケースおよびその製法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、被収容体を保持するケース本体と、このケース本体の後端部にヒンジ連結され上記ケース本体の上面を蓋するケース蓋とを備え、上記ケース本体とケース蓋の双方が、アルミニウム板の外側面に皮革製シート材をシート状接着剤により接着した接着体で構成され、上記ケース本体が、上記被収容体を載置する長板状の載置板部と、この載置板部の前端部から立設される前側板部と、上記載置板部の左右両側部から立設され上記被収容体を前後方向にスライド自在に保持する左右両側板部と、前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つの上端縁から上記載置板部に相対向する状態で突設され上記被収容体が上方に抜け出すのを阻止する上側板部とからなっていることを特徴とするケースを第1の要旨とし、長板状の載置部分の前端面から前側突出部分が形成されているとともに左右両側面から左右両側突出部分が形成されているアルミニウム製の板状本体部と、アルミニウム製の板状蓋部とをそれぞれ別体に作製する作製工程と、上記作製工程で作製した板状本体部の後方に、上記作製工程で作製した板状蓋部を所定の隙間をあけて位置決めする位置決め工程と、この位置決め工程で位置決めされた板状本体部および板状蓋部の外側面に、一連につながる皮革製シート材をシート状接着剤により接着固定することにより板状本体部の後端部に板状蓋部をヒンジ連結する連結工程と、この連結工程で連結された板状本体部および板状蓋部をプレス加工して板状本体部の前側突出部分および左右両側突出部分を垂直に折り曲げ前側板部と左右両側板部を形成する1次プレス加工工程と、この1次プレス加工工程でプレス加工した板状本体部および板状蓋部を再度プレス加工し、前側突出部分,右側突出部分および左側突出部分の少なくとも1つの先端側部分を上記載置部分に対向する状態で垂直に折り曲げて上側板部を形成する2次プレス加工工程と備えたケースの製法を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明のケースは、被収容体を保持するケース本体と、このケース本体の後端部にヒンジ連結されるケース蓋とを備えており、上記ケース本体が、上記被収容体を載置する長板状の載置板部と、この載置板部の前端部の前側板部と、上記載置板部の左右両側部の左右両側板部と、これら前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つの上端縁から突設される上側板部とからなっている。したがって、上記ケース本体の上面は開放されており、かつ、このケース本体に収容される被収容体は、載置板部,前側板部および左右両側板部により前側および左右両側への抜け出しが阻止された状態で前後方向にスライド自在に保持されているとともに、上側板部により上方への抜け出しも阻止されている。このため、開蓋した状態で、ケース本体の後部をやや上向きにしておくと、被収容体をケース本体内に安定よく保持することができる。しかも、ケース本体に被収容体を収容した状態で、上記開放されたケース本体の上面を通して被収容体の上面が大きく露呈しており、被収容体の上面にある表示部を見ながら、被収容体の上面にあるボタン等の操作部を操作することができる。しかも、上記ケース本体とケース蓋の双方が、アルミニウム板の外側面に皮革製シート材を接着した接着体で構成されているため、金属製ケースに高級感を持たせることができる。しかも、シート状接着剤を用い、アルミニウム板の外側面に皮革製シート材を接着しているため、従来例のように、液状のりを用い刷毛等で塗布するものと比べ、作業が簡単になり、労力が少なくてすむうえ、作業が短時間で行え、製造コストが安価になる。
【0007】
また、本発明のケースの製法によれば、上記優れた効果を奏するケースを製造することができる。しかも、1次および2次のプレス加工は、板状本体部および板状蓋部をそれぞれ別々に行うのではなく、板状本体部および板状蓋部の双方を皮革製シート材で接着固定した状態で一緒に行うため、板状本体部および板状蓋部のプレス加工が同時に行え、工程数が少なくてすみ、さらに製造コストが安価になる。
【0008】
さらに、本発明のケースにおいて、アルミニウム板からなるケース本体とケース蓋とがそれぞれ別体に作製され、これらケース本体とケース蓋の外側面に一連につながる皮革製シート材をシート状接着剤で接着固定することにより、ケース本体の後端部にケース蓋がヒンジ連結されている場合には、ケース本体とケース蓋とを皮革製シート材で連結するという簡単な構造で、ケース本体とケース蓋とをヒンジ連結することができる。
【0009】
また、本発明のケースにおいて、上記ケース蓋が、上記ケース本体の上面を蓋する蓋板部と、この蓋部の一側部から垂設され閉蓋状態で上記ケース本体の前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つに着脱自在に圧接することにより上記閉蓋状態を保持しうる固定板部とからなっている場合には、上記ケース本体の一部(前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つ)とケース蓋の一部(固定板部)とを利用して閉蓋状態を保持することができ、さらに構造が簡単になる。
【0010】
さらにまた、本発明のケースにおいて、ケースがMP3オーディオ収容用のものである場合には、本発明のケースを、MP3オーディオ専用のケースとして用いることができる。
【0011】
また、本発明のケースの製法において、上記連結工程において、位置決め工程で位置決めされた板状本体部の後端部および板状蓋部の前端部を帯状体で連結したのち、板状本体部および板状蓋部の外側面に、一連につながる皮革製シート材を接着固定する場合には、ケース本体の後端部とケース蓋の前端部とのヒンジ連結部を上記帯状体により強度アップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の最良の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明はこの実施の形態に限定されるわけではない。
【0013】
図1〜図5は本発明のケースの一実施の形態を示している。この実施の形態では、上記ケースに収容される被収容体として、MP3オーディオ(図示せず)が用いられている。これらの図において、1はケース本体であり、2は上記ケース本体1の上面を蓋するケース蓋であり、その前端部が上記ケース本体1の後端部にヒンジ連結されている。
【0014】
上記ケース本体1は、図6および図7に示すように、前後方向に長い長方形状に形成された載置板部3と、この載置板部3の前側端縁から立設された前側板部4と、上記載置板部3の左右両側縁から立設された左右両側板部5a,5bと、これら左右両側板部5a,5bの上端縁から内側に向かって略水平に(上記載置板部3に相対向する状態で)延びる左右一対の上側板部6a,6bとで構成されている。上記前側板部4は、上記載置板部3上に載置,保持される被収容体が前側に抜け出すのを阻止する作用をする。また、上記前側板部4は、その右側部分が切欠き形成されており、この切欠き形成部4aが、上記ケース蓋2の切欠き形成部8aとともに、上記被収容体に接続されるコード,ジャック等の電気配線類を通すための隙間に利用されている。上記左右両側板部5a,5bは、上記載置板部3上に載置,保持される被収容体を前後方向にスライドさせる作用をし、上記両上側板部6a,6bは、上記載置板部3上に載置,保持される被収容体が上側に抜け出すのを阻止するとともに、閉蓋状態で上記ケース蓋2を当接状に支受する作用をする。
【0015】
このようなケース本体1は、図8に示すように、アルミニウム板11と、このアルミニウム板11の外側面(下面)にホットメルト接着剤層12を介して接着,固定された牛革製等の皮革製シート材13と、上記アルミニウム板11の内側面(上面)に第1両面テープ14を介して接着,固定された内側シート材(裏生地)15とからなっている。また、上記アルミニウム板11には、図9に示すように、その外周部の内側面に皮革製シート材13の外周部がへり返されており、このへり返された部分13aが上記アルミニウム板11の外周部の内側面にホットメルト接着剤層12を介して接着,固定されている。また、上記アルミニウム板11の後端部の内側面には、図10に示すように、上記第1両面テープ14との間に帯状体16(例えば、補強用ナイロンタフタ)が第2両面テープ17を介して接着,固定されている。これら帯状体16,第2両面テープ17は、上記アルミニウム板11の後端部と、上記ケース蓋2の前端部とにまたがって接着,固定されている。
【0016】
上記ケース蓋2は、上記載置板部3に対応する長方形状に形成された蓋板部7と、この蓋板部7の前側端縁のうち、ケース本体1の前側板部4に対応する部分から垂設された圧接板部(固定板部)8と、上記蓋板部7の後側端縁から垂設される後側板部9とで構成されている。上記圧接板部8は、閉蓋状態で上記前側板部4の外側面(前側面)に摺接自在に圧接してその閉蓋状態を保持する作用をする。また、上記圧接板部8は、上記前側板部4の切欠き形成部4aに対応する部分が切欠き形成されており、この切欠き形成部8aが上記ケース本体1の切欠き形成部4aとともに、電気配線類を通すための隙間に利用されている。上記後側板部9は、閉蓋状態で上記載置板部3上に載置,保持される被収容体が後側に抜け出すのを阻止する作用をする。
【0017】
このようなケース蓋2は、図11に示すように、アルミニウム板21と、このアルミニウム板21の外側面(下面)にホットメルト接着剤層12を介して接着,固定された皮革製シート材13(この皮革製シート材13は、ケース本体1の皮革製シート材13と一連につながっている)と、上記アルミニウム板21の内側面(上面)に第3両面テープ22を介して接着,固定された中間シート材(例えば、人工床)23と、この中間シート材23の内側面(上面)に第1両面テープ14を介して接着,固定された内側シート材15(この内側シート材15も、ケース本体1の内側シート材15と一連につながっている)からなっている。また、上記アルミニウム板21には、その外周部の内側面に皮革製シート材13の外周部がへり返されており、このへり返された部分13a(図示せず)が上記アルミニウム板21の外周部の内側面にホットメルト接着剤層12を介して接着,固定されている(図9参照)。また、上記アルミニウム板21の前端部の内側面には、上記第3両面テープ22との間に上記帯状体16が第2両面テープ17を介して接着,固定されている(図10参照)。
【0018】
上記のケースは、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、まず、アルミニウム板から所定の形状の板状本体部25(図12参照),板状蓋部26(図13参照)をそれぞれ別体で作製する(作製工程)。上記板状本体部25は、上記ケース本体1となるものであり、前後方向に長い長方形状に形成された載置部分27(上記載置板部3になる)と、この載置部分27の前側端縁からその右側部分を残した状態で延設された前側突出部分28(上記前側板部4になる)と、上記載置部分27の左右両側縁から延設された左右両側突出部分29a,29b(上記左右両側板部5a,5bと両上側板部6a,6bになる)とで構成されている。また、上記板状蓋部26は、上記ケース蓋2になるものであり、前後方向に長い長方形状(上記載置部分27に対応する長方形状)に形成された蓋部分30(上記蓋板部7になる)と、この蓋部分30の後側端縁からその右側部分を残した状態で延設された圧接部分31(上記圧接板部8になる)と、上記蓋部分30の前側端縁から延設された前側突出部分32(上記後側板部9になる)とで構成されている。
【0019】
一方、所定の形状に形成された皮革製シート材13、内側シート材15、帯状体16、中間シート材23、ホットメルト接着剤(図示せず)、第1〜第3両面テープ14,17,22を準備する。上記皮革製シート材13は、板状本体部25,板状蓋部26を所定の隙間をあけて前後に並べた形状に対応する2枚並び形状(図14参照)であって、その外周部を内側にへり返す必要があるため、上記2枚並び形状よりやや大きい形状に形成されている。上記内側シート材15は、上記2枚並び形状よりやや小さい形状に形成されている。上記中間シート材23は、板状蓋部26に対応する形状に形成されている。
【0020】
ついで、皮革製シート材13の裏面に、シート状に形成されたホットメルト接着剤(図示せず)をアイロン等の加熱手段(加熱温度:100〜120℃程度)で貼付ける(仮付けする)。また、板状本体部25および板状蓋部26の表裏両面にプライマー塗布を行う。つぎに、図14に示すように、板状本体部25の後方に所定の隙間(2mm程度)をあけて板状蓋部26を位置決めし(位置決め工程)、板状本体部25の後端部,板状蓋部26の前端部の内側面に、裏面に第2両面テープ17を貼付けた帯状体16を接着固定する。つぎに、板状本体部25,板状蓋部26の外側面に皮革製シート材13を位置決めし、板状本体部25の後端部と板状蓋部26の前端部のみ(すなわち、ヒンジ連結部)を高周波加熱で接着する。つぎに、皮革製シート材13の外周部を板状本体部25,板状蓋部26の外周部の内側面にへり返し、高周波加熱により皮革製シート材13全体を板状本体部25,板状蓋部26の外側面に接着固定する(連結工程)。
【0021】
つぎに、中間シート材23を第3両面テープ22を介して板状蓋部25の内側面に接着し、内側シート材15を板状本体部25,板状蓋部26の内側面に第2両面テープ17を介して接着する。つぎに、1次プレス加工を行い、図15および図16に示すように、板状本体部25の左右両側突出部分29a,29bの外側部分(上記両上側板部6a,6bになる)を垂直に折り曲げ、板状蓋部26の圧接部分31を垂直に折り曲げて圧接板部8を形成する(1次プレス加工工程)。つぎに、2次プレス加工を行い、図17および図18(これらの図では、板状蓋部26は図示せず)に示すように、板状本体部25の左右両側突出部分29a,29bの内側部分を垂直に折り曲げて上記左右両側板部5a,5bを形成し、図19および図20に示すように、板状蓋部26の前側突出部分32を垂直に折り曲げて蓋板部7,後側板部9を形成することを行う(2次プレス加工工程)。
【0022】
上記のように、この実施の形態では、上記ケース本体1に収容される被収容体は、載置板部3,前側板部4および左右両側板部5a,5bにより前側および左右両側への抜け出しが阻止されているとともに、両上側板部6a,6bにより上方への抜け出しも阻止されているため、開蓋した状態で、ケース本体1の後部をやや上向きにしておくと、被収容体をケース本体1内に安定よく保持することができる。しかも、上記ケース本体1の上面は開放されているため、開蓋した状態で、被収容体の上面が大きく露呈しており、被収容体の上面にある表示部を見ながら、被収容体の上面にあるボタン等の操作部を操作することができる。しかも、上記ケース本体1とケース蓋2の双方が、アルミニウム板11,21の外側面に皮革製シート材13を接着固定したもので構成されているため、皮革製シート材13により上記ケースに高級感を持たせることができる。しかも、シート状のホットメルト接着剤を用い、アルミニウム板11,21の外側面に皮革製シート材13を接着固定しているため、従来例のように、液状のりを用い刷毛等で塗布するものと比べ、作業が簡単になり、労力が少なくてすむうえ、作業が短時間で行え、製造コストが安価になる。
【0023】
しかも、1次および2次のプレス加工は、板状本体部25および板状蓋部26の双方を皮革製シート材13で接着固定した状態で行うため、板状本体部25および板状蓋部26のプレス加工が同時に行え、工程数が少なくてすむ。しかも、ケース本体1とケース蓋2とを皮革製シート材13で連結するという簡単な構造で、ケース本体1とケース蓋2とをヒンジ連結することができる。しかも、上記ケース本体1の前側板部4とケース蓋2の圧接板部8とを利用して閉蓋状態を保持することができる。しかも、上記ケース本体1とケース蓋2とを帯状体16で連結しているため、この連結部の強度アップを図ることができる。
【0024】
図21および図22は本発明のケースの他の実施の形態に用いるケース本体1およびケース蓋2の構造を示している。この実施の形態では、上記実施の形態において、ホットメルト接着剤層12に代えて、第4両面テープ35を用いている。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0025】
上記のケースは、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、まず、上記実施の形態と同様に、板状本体部25(図12参照)および板状蓋部26(図13参照)を作製し(作製工程)、皮革製シート材13、内側シート材15、帯状体16、中間シート材23、第1〜第4両面テープ14,17,22,35を準備する。ついで、上記実施の形態と同様に、位置決め工程を行い、板状本体部25の後端部,板状蓋部26の前端部の内側面に帯状体16を接着固定する。つぎに、上記板状本体部25,板状蓋部26の外側面に第4両面テープ35を貼り付け、この第4両面テープ35に皮革製シート材13を貼り付け、この皮革製シート材13の外周部にゴムのりを塗布して板状本体部25,板状蓋部26の外周部にへり返し、板状本体部25,板状蓋部26の内側面に接着固定する(連結工程)。この連結工程ののちは、上記実施の形態と同様に行う。
【0026】
この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0027】
なお、上記両実施の形態では、皮革製シート材13として牛革を用いているが、これに限定するものではなく、羊皮,豚皮等の各種天然皮革や人工皮革等が用いられる。また、裏生地となる内側シート材15としては、特に限定されるものではなく、人工皮革等を用いることができる。また、帯状体16としては、特に限定されるものではなく、補強用ナイロンタフタ等の各種の帯状シート材等が用いられる。また、中間シート材23としても、特に限定されるものではないが、皮革の裏地である人工床等が好適に用いられる。
【0028】
また、上記両実施の形態では、上記ケース本体1の左右両側板部5a,5bの上端縁から上側板部6a,6bが突設されているが、前側板部4の上端縁から突設されていてもよい。また、上記ケース蓋2の蓋板部7の前側端縁から圧接板部8が垂設されているが、左右両側縁から垂設されていてもよい。また、上記両実施の形態では、上記ケース本体1とケース蓋2とが別々に作製されているが、一体成形されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のケースの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】上記ケースの側面図である。
【図3】上記ケースの正面図である。
【図4】上記ケースの背面図である。
【図5】上記ケースの平面図である。
【図6】開蓋した状態を示すケースの側面図である。
【図7】開蓋した状態を示すケースの平面図である。
【図8】ケース本体の断面図である。
【図9】上記ケース本体の要部の断面図である。
【図10】上記ケース本体とケース蓋の連結部の断面図である。
【図11】上記ケース蓋の断面図である。
【図12】板状本体部の平面図である。
【図13】板状蓋部の平面図である。
【図14】2枚並び形状を示すケース本体とケース蓋の平面図である。
【図15】1次プレス加工の説明図である。
【図16】1次プレス加工の説明図である。
【図17】2次プレス加工の説明図である。
【図18】板状本体部の断面図である。
【図19】2次プレス加工の説明図である。
【図20】2次プレス加工の説明図である。
【図21】本発明のケースの他の実施の形態を示すケース本体の断面図である。
【図22】上記他の実施の形態を示すケース蓋の断面図である。
【図23】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ケース本体
2 ケース蓋
3 載置板部
4 前側板部
5a,5b 左右両側板部
6a,6b 上側板部
11,21 アルミニウム板
13 皮革製シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容体を保持するケース本体と、このケース本体の後端部にヒンジ連結され上記ケース本体の上面を蓋するケース蓋とを備え、上記ケース本体とケース蓋の双方が、アルミニウム板の外側面に皮革製シート材をシート状接着剤により接着した接着体で構成され、上記ケース本体が、上記被収容体を載置する長板状の載置板部と、この載置板部の前端部から立設される前側板部と、上記載置板部の左右両側部から立設され上記被収容体を前後方向にスライド自在に保持する左右両側板部と、前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つの上端縁から上記載置板部に相対向する状態で突設され上記被収容体が上方に抜け出すのを阻止する上側板部とからなっていることを特徴とするケース。
【請求項2】
アルミニウム板からなるケース本体とケース蓋とがそれぞれ別体に作製され、これらケース本体とケース蓋の外側面に一連につながる皮革製シート材をシート状接着剤で接着固定することにより、ケース本体の後端部にケース蓋がヒンジ連結されている請求項1記載のケース。
【請求項3】
上記ケース蓋が、上記ケース本体の上面を蓋する蓋板部と、この蓋部の一側部から垂設され閉蓋状態で上記ケース本体の前側板部,右側板部および左側板部の少なくとも1つに着脱自在に圧接することにより上記閉蓋状態を保持しうる固定板部とからなっている請求項1または2記載のケース。
【請求項4】
ケースがMP3オーディオ収容用のものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のケース。
【請求項5】
長板状の載置部分の前端面から前側突出部分が形成されているとともに左右両側面から左右両側突出部分が形成されているアルミニウム製の板状本体部と、アルミニウム製の板状蓋部とをそれぞれ別体に作製する作製工程と、上記作製工程で作製した板状本体部の後方に、上記作製工程で作製した板状蓋部を所定の隙間をあけて位置決めする位置決め工程と、この位置決め工程で位置決めされた板状本体部および板状蓋部の外側面に、一連につながる皮革製シート材をシート状接着剤により接着固定することにより板状本体部の後端部に板状蓋部をヒンジ連結する連結工程と、この連結工程で連結された板状本体部および板状蓋部をプレス加工して板状本体部の前側突出部分および左右両側突出部分を垂直に折り曲げ前側板部と左右両側板部を形成する1次プレス加工工程と、この1次プレス加工工程でプレス加工した板状本体部および板状蓋部を再度プレス加工し、前側突出部分,右側突出部分および左側突出部分の少なくとも1つの先端側部分を上記載置部分に対向する状態で垂直に折り曲げて上側板部を形成する2次プレス加工工程と備えたことを特徴とするケースの製法。
【請求項6】
上記連結工程において、位置決め工程で位置決めされた板状本体部の後端部および板状蓋部の前端部を帯状体で連結したのち、板状本体部および板状蓋部の外側面に、一連につながる皮革製シート材を接着固定する請求項5記載のケースの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−43424(P2008−43424A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220041(P2006−220041)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(391036264)株式会社サカン (8)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】