説明

ケースと固定ベースの着脱構造

【課題】固定ベースに対してケースを片手で着脱操作することができかつケース内部の体積を大きくすることが可能な固定ベースとケースの着脱構造を提供する。
【解決手段】固定部材に固定される固定ベース12と、固定ベースに着脱可能なケース13からなり、ケース13の一側に形成された係合部13Aが固定ベース12の一側に対応して形成された係合部12Aに着脱可能に係合され、ケースの他側に形成された係合孔13gが固定ベースの他側に形成された係止爪12gに着脱可能に係合するように形成されたケース12と固定ベース13の着脱構造において、ケースの係合孔13g内に係合孔13gと係止爪12gとの係合を解除する係合解除手段15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースと固定ベースの着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、装置の制御盤を構成するモジュール型コントローラのハウジングは、DINレール等の固定部材に固定された固定ベースと、内部に制御基板が収容され固定ベースに着脱可能に装着されるカバーとにより構成されている。そして、制御盤は一般にこのようなハウジングが僅かな隙間を存して複数並設されている。
【0003】
従来、このようなモジュール型コントローラのハウジングとして例えば図6に示すようなものが知られている。ハウジング1は、縦長の直方体形状をなし浅い箱状の固定ベース2と、固定ベース2の開口部に装着される深い箱状のケース3とにより構成されており、固定ベース2とケース3の両側面及び上下両面は段差のない状態(以下、面一という)とされている。
【0004】
固定ベース2は、背板2aの背面中央に形成されている凹部2a’が固定部材例えば図示しないDINレールに嵌合されて係止爪2a”により係止可能とされている。両側板2bの下部(一側)の開口端には切欠部2cが形成され、当該切欠部2cの下側の開口端が上方に向けて略半円状に張り出して係合用の突部2dが形成されている。そして、これらの切欠部2cと突部2dにより固定ベース2側の下側(一側)の係合部2Aが形成されている。また、上側(他側)の上板2eの先端部には係止爪(スナップフィット爪)2gが形成されている。
【0005】
ケース3は、両側板3bの下部(一側)の開口端に固定ベース2の切欠部2cと係合する係合突部3cが形成され、かつその下端部が下方に向けて切り欠かれて固定ベース2の係合用の突部2dと係合する係合用の切欠部3dが形成されている。そして、これらの突部3cと切欠部3dによりケース側の下側(一側)の係合部3Aが形成されている。また、上側(他側)の上板3eの先端部には固定ベース2の係止爪2gと着脱可能な係合孔3gが形成されている。
【0006】
固定ベース2にケース3を装着する場合、固定ベース2の両側板2b下部の突部2dにケース3の両側板3bの下部の切欠部3dを係合し、ここを支点としてケース3を固定ベース2に向けて矢印CCで示す半時計方向に回動し、固定ベース2の上板2eの係止爪2gにケース3の上板3eの係合孔3gを係合して固定ベース2にケース3を固定する。そして、ケース3の突部3dは、固定ベース2の切欠部2dに係合して側面が面一となる。
【0007】
固定ベース2からケース3を取り外す場合には、図示しない片方の手でケース3の下面を支持し、もう片方の手の例えば人差し指の指先で固定ベース2の係止爪2gの付け根部近傍に設けられている押圧部2hを押して点線で示すように係止爪2gとケース3の係合孔3gとの係合を解除する。次いで、固定ベース2の突部2dとケース3の切欠部3dを支点として図7に示すようにケース3を矢印Cで示す手前方向(時計方向)に回動させて引き出す。次いで、固定ベース2の突部2dからケース3の切欠部3dを外して固定ベース2からケース3を取り外す。このようにして、ケース3の着脱が可能とされている。
【0008】
或いは、図8に示すように固定ベース2の上板2eに係合孔2iを形成し、ケース3の上板3eの対応する先端部に係止爪(スナップフィット爪)3iを形成した構造のものもある。固定ベース2にケース3を装着した状態においては、ケース3の係止爪3iが固定ベース2の係合穴2iに係合している。
【0009】
固定ベース2からケース3を取り外す場合には、図示しない片方の手でケース3の下面を支え、もう片方の手の例えば人差し指の指先でケース3の係止爪3iの付け根部に設けられた押圧部3hを押して係止爪3iを下げてケース2の係合穴2iとの係合を解除させる。次いで、図9に示すように固定ベース2の突部2dとケース3の切欠部3dとを支点としてケース3を矢印Cで示す手前方向に回動させて引き出す。次いで、固定ベース2の突部2dからケース3の切欠部3dを外して固定ベース2からケース3を取り外す。
【0010】
また、固定ベースにハウジング(ケース)を取り付ける構造として、ハウジングの背面上部と固定ベースの前面上部とを合わせた後、ハウジングを下方から回転させるように押し込むことで、ハウジングを固定ベースに固定するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−222007号公報(3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記図6に示したケース3と固定ベース2の着脱構造においては、ケース3を取り外す際に片方の手でケース3を支え、もう片方の手で固定ベース2の押圧部2hを押しながらケース3の取り外しを行うため、取り外し操作に両手が必要となり、作業性が悪いという問題があった。特に、複数のハウジングが複数並設され、かつ隣り合う側面の間に作業者が指先を入れることができないような構成においては、外方に露出している面(図6に示す上下両側及び前面)を押さえることしかできない。このため、固定ベース2とケース3の着脱にはどうしても両手で操作する必要がある。
【0012】
また、上記図8に示したケース3と固定ベース2の着脱構造においては、ケース3の上板3eの先端部に係止爪3iを形成するために、余分なスペースが必要となる。また、ケース3の方が固定ベース2よりも大きい(深い)成形品であるために金型の型抜き勾配(テーパ)が必要であり、かつ上板3eの先端部に係止爪3iを形成するために上板3eの肉厚が厚くなり、これに伴いケース3の内部空間が狭くなり当該ケース3内に実装できる制御基板の面積が小さくなるという問題がある。
【0013】
また、特許文献1に記載されているモジュール型コントローラにおいては、固定ベースとハウジング(ケース)との着脱構造については何ら開示されていない。
【0014】
本発明の目的は、固定ベースに対してケースを片手で着脱操作することができかつケース内部の体積を大きくすることが可能な固定ベースとケースの着脱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係るケースと固定ベースの着脱構造は、
固定部材に固定される固定ベースと、該固定ベースに着脱可能なケースからなり、前記ケースの一側に形成された係合部が前記固定ベースの一側に対応して形成された係合部に着脱可能に係合され、前記ケースの他側に形成された係合孔が前記固定ベースの他側に形成された係止爪に着脱可能に係合するように形成されたケースと固定ベースの着脱構造において、
前記ケースの係合孔内に前記係合孔と前記係止爪との係合を解除する係合解除手段を設けたことを特徴としている。
【0016】
固定部材に固定されている固定ベースの一側に形成された係合部にケースの一側に形成された係合部を係合し、固定ベースの他側に形成された係止爪にケースの他側に形成された係合孔を係合する。これにより、固定ベースにケースを取り付ける。固定ベースからケースを外す場合には、ケースの係合孔内に設けられた係合解除手段により固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除する。そして、ケースの他側を固定ベースの他側から外した後、ケースの一側の係止部と固定ベースの一側の係止部との係合を解除して固定ベースからケースを取り外す。
【0017】
また、本発明の請求項2に係るケースと固定ベースの着脱構造は、請求項1に記載のケースと固定ベースの着脱構造において、
前記係止爪は、前記固定ベースの他側に形成された湾曲可能な舌片状の支持部の先端に外方に突出しかつ前記支持部よりも幅狭に形成されており、
前記係合解除手段は、
前記係合孔内に設けられその基端部が当該係合孔の前記係止爪の先端と対向する側の端面に連設された湾曲可能な舌片状の支持部と、
前記支持部の先端に前記係止爪の両側及び先端を囲むように形成された切欠部と、
前記切欠部の周縁部が前記係合孔の外周面から外方に突出するように形成された押圧部からなり、
前記押圧部を押すことにより前記係止爪の両側の支持部の板面を押して前記係止爪と前記係合孔との係合を解除することを特徴としている。
【0018】
ケースの係合解除手段の押圧部を押すと舌片状の支持部が内方に湾曲して先端の切欠部の両側の内側面が固定ベースの舌片状の支持部の係止爪の両側の板面を押す。これに伴い固定ベースの舌片状の支持部が内方にして湾曲して先端の係止部がケースの嵌合孔から外れる。切欠部は、係止爪の両側及び先端を囲むように形成されている、即ち係止爪の後端側が開口していることにより、切欠部の両側が支持部の係止爪の両側の板面を押した状態で当該係止爪から抜け出すことができる。これにより、固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除することができる。
【0019】
また、本発明の請求項3に係るケースと固定ベースの着脱構造は、請求項1に記載のケースと固定ベースの着脱構造において、
前記係止爪は、前記固定ベースの他側に形成された湾曲可能な舌片状の支持部の先端に外方に突出して形成されかつ外側面の略中央に先端に向かって開口する凹部が設けられており、
前記係合解除手段は、
前記係合孔内に設けられその基端部が当該係合孔の前記係止爪の先端と対向する側の端面に連設して形成された湾曲可能な舌片状の支持部と、
前記支持部の先端内側面に前記係止爪の凹部と係合するように形成された凸部と、
前記支持部の前記凸部と対応する外側面が前記係合孔の外周面から外方に突出するように形成された押圧部からなり、
前記押圧部により前記凸部を介して前記係止爪を押して前記係合孔との係合を解除することを特徴としている。
【0020】
ケースの係合解除手段の押圧部を押すと舌片状の支持部が内方に湾曲して係止爪の凹部に係合している凸部が固定ベースの係止爪を押す。これに伴い固定ベースの舌片状の支持部が内方にして湾曲して係止部がケースの嵌合孔から外れる。係止爪の凹部は先端に向かって開口していることにより、ケースの凸部が係止爪の凹部を押した状態で当該凹部から抜け出すことができる。これにより、固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、固定ベースに装着するケースの着脱を片方の手で行うことが可能となり、取り扱いが容易となり作業性の向上が図られる。また、係止爪の形成に必要な余分なスペースがなく、ケース内部の体積を大きくとることが可能となり、ケース内に実装する基板の面積を大きくすることが可能となる。また、構造も簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態に係るケースと固定ベースの着脱構造を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るケースと固定ベースの着脱構造を適用したモジュール型コントローラのハウジングの斜視図を示す。ハウジング11は、図示のように縦長薄型の直方体形状の箱体をなし、浅い箱状の固定ベース12と深い箱状のケース13とにより構成されている。そして、固定ベース12とケース13の両側面及び上下面は面一とされている。そして、固定ベース12とケース13の両側板12bと13b、上板12eと13e、下板12fと13fは面一とされている。尚、図1において固定ベース12、ケース13の下部を一側、上部を他側としている。
【0023】
固定ベース12は、背板12aの背面の中央に形成されている凹部12a’が固定部材例えば図示しないDINレールに嵌合されて図3に示す係止爪12a”により係止可能とされており、両側板12bの下部(一側)の開口端に切欠部12cが形成され、かつ当該切欠部12cの下側の開口端が上方に向けて略半円形状に張り出して係合用の突部12dが形成されている。この切欠部12cと突部12dとにより固定ベース12の下側(一側)の係合部12Aが形成されている。
【0024】
固定ベース12の上板(他側の端板)12eの先端部中央位置には係止爪(スナップフィット爪)12gが形成されている。また、ケース13は、上板(他側の端板)13eの先端部に固定ベース12の係止爪12gと対応して係合孔13gが形成されており、かつ当該係合孔13g内に係止爪12gとの係合を解除するための係合解除手段15が一体に形成されている。
【0025】
固定ベース12の係止爪12gは、図2に示すように上板12eの開口端面の略中央位置に点線で示すように前方に突出して形成された支持部12hの前端部上面に形成されている。支持部12hの幅は、上板12eの幅の略1/3程度とされており、係止爪12gの幅は、支持部12hの幅よりも僅かに狭く両側に支持部12hの上面と面一な平板部12h’が形成されている。また、係止爪12gは、後端面が支持部12hの板面から垂直に立ち上がり、両側部12g’が上端面から前端に向けてテーパ状に下方に傾斜している。また、両側部12g’の間の凹部12g”が先端方向に開口する凹部とされている。
【0026】
支持部12hは、図2及び図3に示すように基端部が開口端面から僅かに内側に位置し、かつケース13の上板13eの板厚分だけ凹んで形成され、両側に開口端面から背板12aの近傍までスリット12iが形成されている。これにより、支持部12hが舌片状をなす形状とされて内方に湾曲可能とされている。また、係止爪12gの高さは、ケース13の上板13eの板厚と同じ或いは僅かに低く形成されている。
【0027】
ケース13は、図1に示すように左右両側板13bの下端部の開口端に固定ベース12の切欠部12cと係合する係合突部13cが形成され、かつその下端部が下方に向けて切り欠かれて固定ベース12の係合用の突部12dと係合する係合用の切欠部13dが形成されている。この係合突部13cと切欠部13dとによりケース13の下側(一側)の係合部13Aが形成されている。そして、上板13eの先端部近傍に固定ベース12の係止爪12gと係合可能な係合孔13gが形成されている。
【0028】
ケース13の係合孔13gは、固定ベース12の支持部12hの幅よりも僅かに幅広で上板13eに沿って長い長穴とされ、内部に固定ベース12の支持部12hと略同じ幅の舌片状の支持部13hが設けられている。支持部13hは、図2及び図3に示すように上板13eよりも僅かに薄い板厚とされ、基端部が嵌合孔13gの前記係止爪12gの先端と対向する後端面13g’に連設され、前端部が係合孔13gの前端面13g”と僅かな間隔を存して対向している。これにより、支持部13hは、内方(内側)に湾曲し易くされている。そして、支持部13hの前端部に係合孔13gの前端面13g”と対向して開口する略角形C字状の切欠部13iと、この切欠部13iの左右両側及び後側の三方を囲むように略角形C字状をなし、かつ上板13eの上面から上方に僅かに突出する押圧部13jが形成されている。即ち、押圧部13jは、係合孔13gの外周面から外方に突出している。
【0029】
切欠部13iは、係止爪12gの両側部及び先端が僅かな隙間を存して入り込むことが可能な大きさとされており、固定ベース12の係止爪12gの後端面が係合孔13gの前端面13g”に係合可能とされている。そして、支持部13hと切欠部13iと押圧部13jにより、係止爪12gと係合孔13gとの係合を解除するための係合解除手段15が形成されている。
【0030】
ケース13の上板13eの固定ベース12の支持部12hと対応する先端部13kは、開口端面から支持部12hの付け根部分に当接する位置まで突出して形成されている。これにより、固定ベース12の上板12eの開口端面とケース13の上板13eの開口端面が隙間なく当接可能とされ、かつ固定ベース12の上板12eとケース13の上板13eとが面一となる。
【0031】
固定ベース12の係止爪12g及びケース13の係止部13gをこのような形状とすることにより、余分なスペースが不要となる。また、ケース13の金型の型抜き勾配を小さくすることができ、これに伴いケース13の上板13eの板厚を薄くすることができ、この結果、ケース13の内部の体積を大きくすることが可能となる。
【0032】
これらの固定ベース12及びケース13は、例えばポリカーボネート等の合成樹脂部材により一体に形成されている。従って、固定ベース12の舌片状をなす支持部12h及びケース13の舌片状をなす支持部13hは、何れも弾性を有して湾曲可能とされる。そして、ケース13内に図示しない制御基板が実装される。このようにして、ハウジング11が形成されている。そして、制御盤にはこのハウジング11が僅かな隙間を存して複数並設される。
【0033】
固定ベース12にケース13を装着する場合、作業者が図4に示すようにケース13の上部を図示しない片方の手例えば右手で掴み、固定ベース12の左右両側板12bの下部の突起部12cにケース13の左右両側板13bの下部の切欠部13cを嵌め込みながら突起12dに切欠部13dを係合する。次に、この係合部を支点としてケース13を固定ベース12に向けて矢印CCで示す半時計方向に回動させて、固定ベース12の上板12eの係止爪12gのテーパをなす上面(外面)にケース13の上板13eを押し付ける。
【0034】
これに伴い支持部12hが湾曲して係止爪12gの上面が上板13eの内側面(下面)を摺動しながら係合孔13gに入り込む。そして、固定ベース12の支持部12hが元の状態に復帰して係止爪12gの後端面が係合孔13gの前端面13g”に係止される。これにより、固定ベース12にケース13が固定される。
【0035】
固定ベース12からケース13を取り外す場合には、作業者が図3に示すケース13の上板13eの板面から突出している押圧部13jに図示しない片方の手例えば右手の人差し指の指先を当てて押す。これに伴いケース13の支持部13hが内方(内側)に湾曲して図2に示す切欠部13iの内側面(下面)の両側部が固定ベース12の支持部12hの係止爪12gの両側の平板部12h’を内方(内側)に押し付ける。これにより支持部12hが湾曲して係止爪12gがケース13の係合孔13gとの係合が解除される。
【0036】
次いで、前記右手の人差し指と親指とによりケース13の上板13eと下板13fの手前側(前部)を挟持して、固定ベース12の左右両側板12bの突部12dとケース13の左右両側板13cの切欠部13dとの係合部を支点として図4に矢印Cで示す手前側(時計方向)に回動させる。このとき、押圧部13jが上板13eの板面から突出していることで指先が引っ掛かり、ケース13を容易に回動することが可能となる。また、ケース13の切欠部13iは、係合孔13gの前端面13g”と対向する前端部が開口していることにより、係止爪12gの後端面に干渉することなく当該係止爪12gから抜け出す。
【0037】
次いで、ケース12を手前側斜め上方に持ち上げながら固定ケース12の下部の突部12dとケース13の下部の切欠部13dとの係合を解除する。これにより、固定ベース12からケース13を片方の手で容易に取り外すことが可能となる。特に、ハウジング11が僅かな隙間を存して複数並設した場合に露出している部分、即ち上板12eと13eに係止爪12gと係合孔13g及び係合解除手段15が設けられていることにより、固定ベース12とケース13との着脱を容易に行うことが可能となる。
【0038】
図5は、本発明に係るケースと固定ベースの着脱機構の第2の実施形態の要部拡大図を示す。尚、図2と同一又は相当する部材には同一又は相当する符号を付して説明を省略する。図5において、ケース13の支持部13hの先端部内側面(下面)略中央位置に図2に示す係止爪12gの前方に開口する凹部12g”と係合する凸部13mを形成し、支持部13hの当該凸部13mと対応する外側面(上面)に板面から外方(上方)突出する押圧部13nを形成したものである。この場合、係止爪12gは、支持部12hと同じ幅に設定することができる。そして、支持部13hと下面の凸部13mと押圧部13nとにより係合解除手段15’が形成されている。
【0039】
固定ベース12からケース13を取り外す場合には、前述と同様に作業者が図示しない片方の手例えば右手の人差し指の指先をケース13の押圧部13nに当てて押す。これに伴いケース13の支持部13hが内方(内側)に湾曲して固定ベース12の係止爪12gの凹部12g”を押す。これにより、係止爪12gが押し下げられてケース13の係合孔13gとの係合が解除される。これにより、固定ベース12の係止爪12gとケース13の係合孔13gとの係合を解除することができる。
【0040】
次いで、前記右手の人差し指と親指とによりケース13の上板13eと下板13f(図4参照)の手前側(前部)を挟持して、固定ベース12の左右両側板12bの突部12dとケース13の左右両側板13cの切欠部13dとの係合部を支点として手前側に回動させる。係止爪12gの凹部12g”は先端に向かって開口していることにより、ケース13の凸部13mが係止爪12gの凹部12g”を押した状態で当該凹部12g”から抜け出すことができる。このとき、凸部13mが上板13eの板面から突出していることで指先が引っ掛かり、ケース13を容易に回動することが可能となる。
【0041】
次いで、ケース12を手前側斜め上方に持ち上げながら固定ケース12の下部の突部12dとケース13の下部の切欠部13dとの係合を外す。これにより、固定ベース12からケース13を片方の手で容易に取り外すことが可能となる。
【0042】
以上説明したように本発明によれば、固定ベースからケースを外す場合には、ケースの係合孔内に設けられた係合解除手段により固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除する。そして、ケースの他側を固定ベースの他側から外した後、ケースの一側の係止部と固定ベースの一側の係止部との係合を解除して固定ベースからケースを取り外す。これにより、操作者は、固定ベースとケースとの着脱を片方の手で操作することができ、作業性の向上が図られる。
【0043】
特に、複数のハウジングが並設され、かつ隣り合う側面の間に作業者が指先を入れることができないような構成においても、外方に露出している一側の面と他側の面(第1の実施の形態の図1ではケース13の上下両面)を片方の手の指先で挟持することができるために固定ベースとケースの着脱を片方の手で操作することができる。
【0044】
また、係止爪を支持部よりも幅狭に形成し、係合解除手段の支持部の先端に係止爪の両側及び先端を囲むように切欠部を形成し、かつ切欠部の周縁部を係合孔の外周面から外方に突出させて押圧部を形成する。そして、押圧部を押すことにより、係止爪がケースの係合孔から外れ、かつ切欠部が係止爪から抜け出すことができる。これにより、固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除することができ、固定ベースとケースの着脱を片方の手で操作することができる。
【0045】
また、係止爪の略中央に先端に向かって開口する凹部を設け、係合解除手段の支持部の先端内側面に係止爪の凹部と係合する凸部を形成し、該凸部と対応する外側面を係合孔の外周面から外方に突出させて押圧部を形成する。そして、押圧部を押すことにより凸部が係止爪を押し、これに伴い固定ベースの支持部が内方にして湾曲して係止部がケースの嵌合孔から外れる。係止爪の凹部は先端に向かって開口していることにより、ケースの凸部が係止爪の凹部を押した状態で当該凹部から抜け出すことができる。これにより、固定ベースの係止爪とケースの係合孔との係合を解除することができ、固定ベースとケースの着脱を片方の手で操作することができる。
【0046】
なお、以上において重力の方向に関係する「上」および「下」という用語を用いたのは、説明を簡潔にするためである。ケースおよび固定ベースの重力方向に対する設置姿勢によって、本発明の本質が損なわれるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るケースと固定ベースの着脱構造の第1の実施形態を適用したモジュール型コントローラのハウジングの斜視図である。
【図2】図1に示したケースと固定ベースとの係合部の拡大斜視図である。
【図3】図1に示したハウジングの一部切欠側面図である。
【図4】図3に示したハウジングの固定ベースからケースを取り外す場合の説明図である。
【図5】本発明に係るケースと固定ベースの着脱構造の第2の実施形態に係るケースと固定ベースとの係合部の拡大斜視図である。
【図6】従来のケースと固定ベースの着脱構造の一例を適用したハウジングの一部切欠側面図である。
【図7】図6に示した固定ベースからケースを取り外す場合の説明図である。
【図8】従来のケースと固定ベースの着脱構造の他の例を適用したハウジングの一部切欠側面図である。
【図9】図8に示した固定ベースからケースを取り外す場合の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ハウジング
2 固定ベース
2A 係合部
2a 背板
2a’ 凹部
2a” 係止爪
2b 側板
2c 切欠部
2d 突部
2e 上板
2g 係止爪
2h 押圧部
2i 係合孔
3 ケース
3A 係合部
3b 側板
3c 係合突部
3d 切欠部
3e 上板
3g 係合孔
3h 押圧部
3i 係止爪
11 ハウジング
12 固定ベース
12A 係合部
12a 背板
12a’ 凹部
12a” 係止爪
12b 側板
12c 切欠部
12d 突部
12e 上板
12f 下板
12g 係止爪
12g’ 側部
12g” 凹部
12h 支持部
12h’ 平板部
12i スリット
13 ケース
13A 係合部
13b 側板
13c 係合突部
13d 切欠部
13e 上板
13f 下板
13g 係合孔
13g’ 後端面
13g” 前端面
13h 支持部
13i 切欠部
13j 押圧部
13k 先端部
13m 凸部
13n 押圧部
15,15’ 係合解除手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に固定される固定ベースと、該固定ベースに着脱可能なケースからなり、前記ケースの一側に形成された係合部が前記固定ベースの一側に対応して形成された係合部に着脱可能に係合され、前記ケースの他側に形成された係合孔が前記固定ベースの他側に形成された係止爪に着脱可能に係合するように形成されたケースと固定ベースの着脱構造において、
前記ケースの係合孔内に前記係合孔と前記係止爪との係合を解除する係合解除手段を設けたことを特徴とするケースと固定ベースの着脱構造。
【請求項2】
前記係止爪は、前記固定ベースの他側に形成された湾曲可能な舌片状の支持部の先端に外方に突出しかつ前記支持部よりも幅狭に形成されており、
前記係合解除手段は、
前記係合孔内に設けられその基端部が当該係合孔の前記係止爪の先端と対向する側の端面に連設された湾曲可能な舌片状の支持部と、
前記支持部の先端に前記係止爪の両側及び先端を囲むように形成された切欠部と、
前記切欠部の周縁部が前記係合孔の外周面から外方に突出するように形成された押圧部からなり、
前記押圧部を押すことにより前記係止爪の両側の支持部の板面を押して前記係止爪と前記係合孔との係合を解除することを特徴とする、請求項1に記載のケースと固定ベースの着脱構造。
【請求項3】
前記係止爪は、前記固定ベースの他側に形成された湾曲可能な舌片状の支持部の先端に外方に突出して形成されかつ外側面の略中央に先端に向かって開口する凹部が設けられており、
前記係合解除手段は、
前記係合孔内に設けられその基端部が当該係合孔の前記係止爪の先端と対向する側の端面に連設して形成された湾曲可能な舌片状の支持部と、
前記支持部の先端内側面に前記係止爪の凹部と係合するように形成された凸部と、
前記支持部の前記凸部と対応する外側面が前記係合孔の外周面から外方に突出するように形成された押圧部からなり、
前記押圧部により前記凸部を介して前記係止爪を押して前記係合孔との係合を解除することを特徴とする、請求項1に記載のケースと固定ベースの着脱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−253051(P2009−253051A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99709(P2008−99709)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】