説明

ケース

【課題】2つのシート部を折り重ねて封止した封止状態を解除するのに適した、開封性に優れた開封構造、及びこの開封構造を備えたケースを提供する。
【解決手段】第1シート部4に、第1の区分6と、第2の区分8と、第1の区分6と第2の区分8とを区切る境界線上においてミシン目状に配置された複数の開封用の切り込み20と、を設け、第1の折り目14を介して第1シート部4に連ねて設けられ且つ第1シート部4の裏面に折り重ねられて部分的に接着された第2シート部10に、前記第1の区分6と前記第2の区分8とを切り離しながら第2シート部10を折り曲げるための第2の折り目16を、前記開封用の切り込み20に沿って配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り重ねられた2つのシート部の封止状態を解除するための開封構造、及びこの開封構造を備えたケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、紙箱や封筒等に設けられる開封構造として、複数の切り込みをミシン目状に配置する構造が知られている。この種の開封構造では、切り込みを挟む両側部分を切り込みに沿って切り離すことで、開封を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−113835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、扁平な収容物、又は、隠蔽情報が記載された印刷面などを封入するために、2つのシート部を折り重ねて封止することがある。このような2つのシート部の封止状態を解除するためにも、上述のようにミシン目状の切り込みを有する開封構造が採用されることがある。例えば、封止された2つのシート部のうちの一方のシート部に、ミシン目状の切り込みからなる2列の切取線を平行に設ける構造が採用される場合があり、この場合、2列の切取線に挟まれた帯状の切り取り部を切り取ることで、容易に開封することができる。
【0005】
このように、従来、上記のような2つのシート部の封止状態を解除するために採用される開封構造は、紙箱等にも採用される一般的な開封構造のみであり、2つのシート部を折り重ねて封止するという特殊な封止状態に応じた特別な開封構造は知られていない。
【0006】
そこで、本発明は、2つのシート部を折り重ねて封止した封止状態を解除するのに適した、開封性に優れた開封構造、及びこの開封構造を備えたケースを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る開封構造は、
第1の区分と、第2の区分と、第1の区分と第2の区分とを区切る境界線上においてミシン目状に配置された複数の開封用の切り込みと、を有する第1シート部と、
第1の折り目を介して第1シート部に連ねて設けられ、且つ、第1シート部の裏面に折り重ねられて部分的に接着された第2シート部と、を備え、
第2シート部において、前記第1の区分と前記第2の区分とを切り離しながら第2シート部を折り曲げるための第2の折り目が、前記開封用の切り込みに沿って配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る開封構造を備えたケースは、上記の開封構造を備え、前記第1の区分と第2シート部との間に、扁平な収容物を収容するための収容部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1シート部の裏面に折り重ねられて部分的に接着された第2シート部に、第1シート部の開封用の切り込みに沿って第2の折り目が設けられているため、第1シート部の表面側から見て山折りとなるように第2シート部を第2の折り目に沿って折り曲げるだけで、第1シート部の第1の区分と第2の区分とが開封用の切り込みに沿って切り離されるため、極めて簡易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る開封構造を備えたケースを示す斜視図である。
【図2】図1に示すケースの製作に用いるシートを示す図である。
【図3】図2のシートの第1シート部を拡大して示す拡大図である。
【図4】ケースの製作手順を示す斜視図である。
【図5】第3シート部を閉じた状態のケースを示す斜視図である。
【図6】ケースの開封方法を示す斜視図である。
【図7】開封後のケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0012】
図1は、本実施形態に係る開封構造を備えたケース1を示す。
【0013】
ケース1は、帯状のシート2の折り曲げ及び接着により形成されている。シート2は、第1シート部4と第2シート部10と第3シート部12とを備えている。第2シート部10は、第1シート部4の裏面に折り重ねられて接着されており、第1シート部4と第2シート部10との間には後述の収容部48が形成されている。第3シート部12は、第1シート部4の表面に折り重ね可能であり、後述の開封用の切り込み20(20a,20b)を覆う蓋部として機能する。
【0014】
図2は、シート2の裏面を示している。
【0015】
図2に示すように、第1シート部4、第2シート部10及び第3シート部12は、折り目14,18を介して下から順に連ねて設けられている。第1〜第3のシート部4,10,12の各形状は例えば略矩形とされているが、本発明において、各シート部4,10,12の形状は特に限定されるものでない。
【0016】
第1シート部4は、下側に配置された第1の区分6と、上側に配置された第2の区分8とに区分されている。第1の区分6と第2の区分8の形状はいずれも矩形であり、第1の区分6は、第2の区分8に比べて上下方向に長く形成されている。
【0017】
第1の区分6と第2の区分8とを区切る境界線上には、ミシン目状に配置された複数の開封用の切り込み20(20a,20b)が設けられている。
【0018】
図3に示すように、開封用の切り込み20は、直線状の切り込み20aと曲線状の切り込み20bとを有する。曲線状の切り込み20bは、第1シート部4における左右方向中央部に設けられ、直線状の切り込み20aは、曲線状の切り込み20bの左右両側にそれぞれ複数設けられている。各直線状の切り込み20aは、左右方向に延びる仮想直線Lに沿って形成されている。
【0019】
曲線状の切り込み20bは、仮想直線L上の2点を結ぶ曲線に沿って延びる曲線部50と、曲線部50の左端から仮想直線Lに沿って左側へ延びる左側直線部52と、曲線部50の右端から仮想直線Lに沿って右側へ延びる右側直線部54と、を有する。曲線部50は、第2の区分8側から第1の区分6側に向かって膨出するような略円弧状に形成されている。かかる曲線部50の形状により、第1の区分6には曲線部50に沿った凹入部42が形成され、第2の区分8には曲線部50に沿った膨出部44が形成されている。
【0020】
第1の区分6には、第1の区分6と第2の区分8との切り離しを更に容易にするための複数の開封補助用の切り込み22が設けられている。各開封補助用の切り込み22は、開封用の直線状の切り込み22aの端部に連ねて形成されている。具体的に説明すると、曲線状の切り込み20bよりも左側の部分において、開封補助用の切り込み22は、開封用の切り込み20aの右端部から右下方へ延びるように直線状に形成されており、曲線状の切り込み20bよりも右側の部分において、開封補助用の切り込み22は、開封用の切り込み20aの左端部から左下方へ延びるように直線状に形成されている。
【0021】
第1の区分6の下縁部、左縁部および右縁部にはそれぞれ、第1の区分6と第2シート部10とを接着するためのシール部30,32,34が設けられている。これにより、図1に示す状態、すなわち、後述のようにシート2が折り曲げられ且つシール部30,32,34において第1の区分6と第2シート部10とが接着された状態において、第1の区分6と第2シート部10との間におけるシール部30,32,34で囲まれる部分に収容部48が形成される。収容部48は、扁平な収容物60を収容するためのものであり、例えば、薬剤入りの小袋等を収容部48に収容することが可能である。また、第1の区分6の上縁部は第2シート部10に接着されない。そのため、図7に示すように、開封後において、第1の区分6の上縁部と第2シート部10との間には、収容部48から収容物60を取り出すための取り出し口49が形成される。
【0022】
図3に戻って、第1の区分6の中央部には、収容部48に収容された収容物60を第1シート部4の表面側から視認可能にするための窓部26が設けられている。窓部26は、例えば略矩形に形成されているが、窓部26の形状及び大きさは、収容物60の通過を規制可能なものであればよく、これにより、収容部48における収容物60の収容状態を確実に維持することができる。
【0023】
第2の区分8の下縁部には、第2の区分8と第2シート部10とを接着するためのシール部36が、開封用の切り込み20に沿うようにして設けられている。第2の区分8の中央部には、第3シート部12を係止するための係止用の切り込み24が設けられている。係止用の切り込み24は例えば略半円状に形成されている。図5に示すように、係止用の切り込み24に、第1シート部4の表面に折り重ねられた第3シート部12の端部が差し込まれると、第3シート部12の端部が第1シート部4に係止され、第1シート部4の表面に第3シート部12が折り重ねられた状態、すなわち、開封用の切り込み20が第3シート部12により覆われた状態が維持される。
【0024】
図2に戻って、第2シート部10は、折り目14を介して第1シート部4の第2の区分8に連ねて設けられている。第2シート部10は、第1シート部4に比べて上下方向に僅かに長く形成されており(図1参照)、これにより、第1シート部4の裏面に第2シート部10を折り重ねた状態において第2シート部10と第3シート部12との間の折り目18が第1シート部4に干渉することが回避されている。
【0025】
第2シート部10の中央やや下側部分には、第1シート部4の第1の区分6と第2の区分8とを切り離しながら第2シート部10を折り曲げるための切り離し用の折り目16が設けられている。具体的に、切り離し用の折り目16は、第2シート部10の下端から切り離し用の折り目16までの距離が、第1シート部4の上端から開封用の直線状の切り込み20aまでの距離に等しくなるように配置されている。これにより、第2の折り目16は、第1シート部4の裏面に第2シート部10が折り重ねられた状態において直線状の切り込み20aと曲線状の切り込み20bの直線部52,54とに沿って配置される。
【0026】
切り離し用の折り目16には、この折り目16に沿った第2シート部10の折り曲げを容易にするための複数の切り込み40が間隔を空けて設けられており、各切り込み40は、切り離し用の折り目16に沿って形成されている。これにより、切り離し用の折り目16に沿った第2シート部10の折り曲げを容易に行うことができる。
【0027】
第3シート部12は、折り目18を介して第2シート部10に連ねて設けられている。第3シート部12の上下方向の幅は、第1シート部4の表面に折り重ねられた状態の第3シート部12の端部が第1シート部4の係止用切り込み24に差し込み可能な長さになっている。
【0028】
図4は、シート2を用いてケース1を製作する手順を示す。ケース1を製作する際は、先ず、第2シート部10の裏面に収容物60を載置する。続いて、折り目14に沿って谷折りとなるように第1シート部4を折り曲げ、上述のシール部30,32,34,36において第1シート部4と第2シート部10とが互いに接着されるように、第2シート部10の裏面に第1シート部4を折り重ねる。これにより、第1シート部4の第1の区分6と第2シート部10とは、収容部48と取り出し口19とを残すようにして接着され、第1シート部4の第2の区分8と第2シート部10とは切り離し用の折り目16に沿った部分において接着される。かかる手順により、第1シート部4の第1の区分6と第2シート部10との間に収容物60が封入され、ケース1が完成する(図1参照)。
【0029】
図1に示すケース1の完成状態において、折り目18に沿って谷折りとなるように第3シート部12を折り曲げ、第1シート部4の表面に第3シート部12を折り重ねると、開封用の切り込み20を第3シート部12により覆うことができる。さらに、図5に示すように、第3シート部12の端部を係止用の切り込み24に差し込むことで、第3シート部12により開封用の切り込み20が覆われた状態を維持することができる。よって、第3シート部12により開封用の切り込み20を確実に保護することができ、ケース1が誤って開封されてしまうことを防止することができる。
【0030】
図6は、ケース1の開封方法を示す。ケース1の開封は、第3シート部12を開いた状態で、切り離し用の折り目16に沿って第1シート部4の表面側から見て山折りとなるように第2シート部10を折り曲げることで行う。この折り曲げにより、第1シート部4には、第1の区分6と第2の区分8とを互いに引き離す方向の力が作用し、開封用の切り込み20に沿って第1の区分6と第2の区分8とが切り離される。
【0031】
このとき、開封用の直線状の切り込み20aの端部には開封補助用の切り込み22が連ねて設けられているため、第1の区分6と第2の区分8との切り離しを容易に行うことができる。また、切り離し用の折り目16に切り込み40が設けられていることにより、切り離し用の折り目16に沿った折り曲げが容易となっているため、第1の区分6と第2の区分8との切り離しが一層容易となっている。また、このとき、第1シート部4の第2の区分8の膨出部44が、第2シート部10の折り曲げ部分により押し込まれることによって、第2の区分8を第1の区分6から引き離す方向の力が増大されるため、第1の区分6と第2の区分8との切り離しがより一層容易となっている。さらに、第2の区分8と第2シート部10とは切り離し用の折り目16に沿った部分において接着されているため、第2シート部10の折り曲げに対して第2の区分8が確実に追従するため、確実な切り離しを行うことができる。
【0032】
図7は、ケース1が開封された後、第2シート部10が図6に示す折り曲げ状態から元の状態に戻され、収容部48から収容物60が取り出される状態を示す。開封後のケース1を図7に示す状態とすることで、第1シート部4と第2シート部10との切り離し部に形成された取り出し口49を通して、収容物60を取り出すことができる。このとき、第1シート部4の第1の区分6には凹入部42が形成されているため、この凹入部42を通して使用者の指を収容部48に差し入れやすくなっており、収容物60の取り出しが容易となっている。
【0033】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
例えば、上述の実施形態では、開封補助用の切り込み22を第1の区分6に設ける構成について説明したが、本発明は第2の区分8に開封補助用の切り込み22を設けることを妨げるものでない。
【符号の説明】
【0035】
1:ケース、2:シート、4:第1シート部、6:第1の区分、8:第2の区分、10:第2シート部、12:第3シート部、14:第1の折り目、16:第2の折り目、18:第3の折り目、20a:開封用の直線状の切り込み、20b:開封用の曲線状の切り込み、22:開封補助用の切り込み、24:第3シート部係止用の切り込み、26:窓部、30,32,34,36:シール部、40:第2の折り目の切り込み、60:収容物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の区分と、第2の区分と、第1の区分と第2の区分とを区切る境界線上においてミシン目状に配置された複数の開封用の切り込みと、を有する第1シート部と、
第1の折り目を介して第1シート部に連ねて設けられ、且つ、第1シート部の裏面に折り重ねられて部分的に接着された第2シート部と、を備え、
第2シート部において、前記第1の区分と前記第2の区分とを切り離しながら第2シート部を折り曲げるための第2の折り目が、前記開封用の切り込みに沿って配置されていることを特徴とする開封構造。
【請求項2】
前記第1の区分または前記第2の区分の少なくとも一方に、前記第1の区分と前記第2の区分との切り離しを容易にするための開封補助用の切り込みが設けられ、
該開封補助用の切り込みは、前記開封用の切り込みの端部に連ねて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開封構造。
【請求項3】
前記複数の開封用の切り込みは、所定の仮想直線に沿って延びる複数の直線状の切り込みと、前記仮想直線上の2点を結ぶ曲線に沿って延びる部分を有する曲線状の切り込みと、を含み、
前記第2の折り目は、前記複数の直線状の切り込みに沿って配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開封構造。
【請求項4】
前記第2の折り目に、該第2の折り目に沿った第2シート部の折り曲げを容易にするための切り込みが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の開封構造。
【請求項5】
前記第1の区分と第2シート部とは、少なくとも、前記第1の区分と第2シート部との間に扁平な収容物を収容するための収容部と、前記第1の区分と前記第2の区分とが切り離された状態で前記収容部から前記収容物を取り出すための取り出し口と、を残すようにして接着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の開封構造。
【請求項6】
前記第1の区分に、前記収容部に収容された前記収容物を第1シート部の表面側から視認可能にするための窓部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の開封構造。
【請求項7】
第3の折り目を介して第2シート部に連ねて設けられ、第1シート部の表面に折り重ねられることで前記開封用の切り込みを覆う第3シート部を備え、
第1シート部に、第1シート部の表面に第3シート部が折り重ねられた状態で第3シート部における前記第3の折り目とは反対側の端部を係止するための切り込みが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の開封構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の開封構造を備え、
前記第1の区分と第2シート部との間に、扁平な収容物を収容するための収容部を有することを特徴とする開封構造を備えたケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−126547(P2011−126547A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284084(P2009−284084)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【特許番号】特許第4693929号(P4693929)
【特許公報発行日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000156846)カンナル印刷株式会社 (7)
【Fターム(参考)】