説明

ケーソン刃口の貫入補助装置及び該貫入補助装置を使用したケーソン工法

【課題】比較的簡単な構成で効率良く硬質地盤を軟質地盤に改質でき、従来死角となっていたケーソン刃口周辺の地盤の改質が可能なケーソン刃口の貫入補助装置等を提供する。
【解決手段】先端にケーソン刃口2が形成されたケーソン躯体3を沈設させ、ケーソン躯体3内部の泥土Rを掘削、排出し、ケーソン躯体3の上方に躯体4を継ぎ足して行き、所定深さのケーソン立坑5を構築するケーソン工法において使用され、実質的に貫入補助作業を行うコアヘッド20と、コアヘッド20を保持してガイドレール21上を走行する走行ベース22と、ガイドレール21と一体のガイドフレーム24と、走行ベース22を駆動する走行駆動モータ25と、ガイドフレーム24に対して等間隔に複数個配置され、ケーソン躯体3の内壁面23にガイドフレーム24を固定するフレーム固定手段26と、ガイドフレーム24を吊持するフレーム吊持手段44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に内刃状をしたケーソン刃口が形成されたケーソン躯体を地中ないし海底に所定ストロークずつ沈設させ、該ケーソン躯体内部の泥土を掘削しながら外部に排出すると共に、更にケーソン躯体の上方に躯体を継ぎ足して行くことによって所定深さのケーソン立坑を構築するケーソン工法において使用されるケーソン刃口の貫入補助装置及び該貫入補助装置を使用したケーソン工法に関するものである。
【0002】
尚、本明細書において使用する「ケーソン刃口の貫入補助装置」には、ケーソン刃口下方の硬質泥土地盤や岩盤を弛めることによってケーソン刃口の貫入を容易にする地盤改質を目的とする装置、ケーソン躯体の内壁面に付着した泥土を除去することによってケーソン刃口の貫入を容易にするケーソン刃口の保全管理を目的とする装置及びケーソン刃口の貫入を容易にする目的を異にするその他の種々の装置が含まれる。
【背景技術】
【0003】
例えば、地中や海底に橋脚を建設する場合や、シールド工事における発進ないし到達用の立坑を掘削する場合には、従来から「ケーソン」と呼ばれる先端に内刃状の刃口が形成された構造躯体が使用され、この「ケーソン」を使用した「圧入ケーソン工法」や「オープンケーソン工法」が行われていた。ここで、「圧入ケーソン工法」は、掘削部位外方において予め打ち込んでおいた「アースアンカー」と呼ばれる棒状の支持部材に油圧ジャッキを支持させ、油圧ジャッキを油圧駆動することによって上記「ケーソン」を地中ないし海底に所定ストローク圧入沈設させる。「オープンケーソン工法」は、積極的には油圧ジャッキを使わないで、ケーソン躯体の自重やその他の躯体や鋼材等の載荷重により、ケーソン自体を地盤に押し込んでいく。
【0004】
そして、下記非特許文献1に示すような「自動水中掘削機」等を使用してケーソンの下方の地盤を掘削し、掘削した泥土をバケット状の「油圧グラブ」を使用して外部に排出していた。また、「圧入ケーソン工法」では、所定ストローク圧入沈設されたケーソン上にプレキャストされた躯体やセグメント等を載置して上述のケーソンの圧入、泥土の掘削及び排出、前記躯体の増設を繰り返すことによって最終的に所定深さのケーソン立坑を構築するようにしていた。
【0005】
しかし、このような「ケーソン工法」は、硬質粘土層や岩盤等の硬質地盤では、刃口に粘土が付着したり、強固な岩盤によって進行が妨げられるからケーソンの沈設が困難になる場合が多く、その結果作業効率が低下して工期が延びるという問題が発生していた。尚、このような硬質地盤に到達した場合には、従来は「突き矢」と呼ばれる突き棒を地盤に突き刺して孔を穿け、上記硬質地盤を弛めて掘削し易くする地盤改質が行われていた。
【0006】
しかしながらケーソンの内壁面における延長線上の内部の地盤は、上記突き矢によって弛めることが可能であるが、ケーソンの内壁面における延長線上の外部に位置する内刃状に傾斜した刃口周辺の地盤の改質は、上記突き矢では不可能であった。また、ケーソン立坑が深くなればなるほど突き矢を使用して行う地盤改質作業は困難になり、強固な岩盤が現れて作業効率が低下するし、ケーソンの内壁面を突き矢で引っ掻いて傷付けることもあった。また、下記の非特許文献1に開示されている工法は、「自動化オープンケーソン工法」と呼ばれ、遠隔操縦によって自動水中掘削機を操作する大掛かりな工法であり、使用する機械設備が多岐に及び複雑であることから、高額な設備費を必要としていた。
【0007】
【非特許文献1】中野、高木「自動化オープンケーソン工法(SOCS)の開発」基礎工 Vol.22,No.3 1994.3p43-49 (株)総合土木研究所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような背景技術及び背景技術が抱える問題点の存在を踏まえてなされたものであって、従来死角となっていたケーソン躯体の内壁面における延長線上の外部に位置するケーソン刃口周辺の地盤の改質を可能にし、しかも効率良く、均一に地盤の改質を行え、ケーソン内壁面に付着した泥土等を取り除くことのできる構造が簡単で安価なケーソン刃口の貫入補助装置及び該貫入補助装置を使用したケーソン工法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、先端に内刃状をしたケーソン刃口が形成されたケーソン躯体を地中ないし海底に所定ストロークずつ沈設させ、該ケーソン躯体内部の泥土を掘削しながら外部に排出すると共に、更にケーソン躯体の上方に躯体を継ぎ足して行くことによって所定深さのケーソン立坑を構築するケーソン工法において使用されるケーソン刃口の貫入補助装置であって、前記ケーソン刃口の貫入補助装置は、実質的に貫入補助作業を行うコアヘッドと、コアヘッドを保持した状態でガイドレール上を走行する走行ベースと、ケーソン躯体の内壁面に沿うように配設されるガイドレールと一体のガイドフレームと、走行ベースを駆動する走行駆動モータと、ガイドフレームに対して等間隔に複数個配置され、ケーソン躯体の内壁面に向けて突出し外方に突っ張るようにしてガイドフレームをケーソン躯体に固定するフレーム固定手段と、ガイドフレームを吊持してガイドフレームの上げ下げ、吊持位置ないし吊持姿勢の調整等を行うフレーム吊持手段とを備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、比較的簡単な構成によって掘削地盤の改質やケーソン躯体の内壁面に付着した泥土の除去等のケーソン刃口の貫入補助作業が行えるようになるから、地盤の掘削やケーソン躯体の圧入が容易になり、効率的に行えるようになる。また、構造が簡単であるから使用する機械設備も少なくて済み、設備費の大幅な削減を図ることができる。更に、実質的な貫入補助作業を行うコアヘッドがガイドレールに案内されてケーソン躯体の内壁面に沿って移動できるから、上記貫入補助作業がムラ無く均一に行われるようになる。
【0011】
本発明の第2の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第1の態様において、前記コアヘッドは、直接貫入補助作業を行う作業ビットと、作業ビットを回転駆動する回転駆動モータと、回転駆動モータを保持するスライドホルダと、走行ベースに対して接続され、前記スライドホルダをポール長手方向に沿ってスライドし得る状態で保持する支持ポールとを備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、直接貫入補助作業を行う作業ビットは、回転駆動モータの駆動を受けて軸回りに回転でき、支持ポールに保持されるスライドホルダをスライドさせることによって作業ビットの到達長さを可変して作業範囲を調整することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第2の態様において、前記作業ビットは先端に超硬チップが植設された円管状をしたドリルビットであり、地盤の掘削に先立ってケーソン刃口下方の地盤のボーリングを行い、地盤を弛めることによって地盤の掘削及び以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする地盤の改質を目的とする貫入補助作業に使用されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、コアヘッドをコアドリルとして使用でき、そのままでは掘削が困難な硬質地盤にボーリングによって孔を穿けることによって掘削が容易な軟質地盤に改質することが可能となる。従って、地盤の掘削と泥土の排出とを併せて行うことのできる比較的簡単な構成のグラブバケット等が使用できるようになり、設備費の削減を図ることができる。また、ケーソン躯体を貫入する場合の貫入抵抗が小さくなるから、以降のケーソン刃口の貫入も円滑に行われるようになるし、ドリルビットの移動軌跡が定まっているからケーソン躯体の内壁面をドリルビットによって傷付けることもない。
【0015】
本発明の第4の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第2の態様において、前記作業ビットは先端にワイヤーブラシが取り付けられた棒状をしたブラシビットであり、掘削及び排出完了後のケーソン躯体の内壁面に付着した泥土の除去を行うことによって以降のケーソン刃口の貫入を行い易くするケーソン刃口の保全管理を目的とする貫入補助作業に使用されることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、コアヘッドをケーソン躯体の内壁面やケーソン刃口をクリーニングする泥土の掻き取り装置ないし洗浄装置として使用できるようになり、以降に行うケーソン刃口の貫入が円滑になって作業効率が向上する。
【0017】
本発明の第5の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第2〜第4のいずれか1つの態様において、前記走行ベースと支持ポールの接続部には支持ポールの取付角度を調整する取付角度調整アタッチメントが設けられており、該取付角度調整アタッチメントによって支持ポールの取付角度を適宜調整することによって作業ビットの作業範囲をケーソン躯体の内壁面の延長線外方に位置するケーソン刃口の先端付近まで到達するように設定したことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第5の態様によれば、従来死角とされていたケーソン躯体の内壁面の延長線外方に位置するケーソン刃口の先端付近まで作業範囲を拡大することができる。また作業ビットの作用角度を適宜調整することができるからケーソン刃口の貫入補助作業を効率良く均一に行うことが可能となる。
【0019】
本発明の第6の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第1〜第5のいずれか1つの態様において、前記走行ベースには、前記ガイドレールに形成されているフランジ状のガイドリブと係合するガイドローラと、前記ガイドレールに設けられているラックと噛み合うピニオンギヤと、該ピニオンギヤを回転駆動する走行駆動モータとが設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第6の態様によれば、ガイドローラのころがり接触により走行ベースの移動が円滑になる。また走行駆動モータの駆動力を伝達する駆動伝達手段として構造が比較的簡単なラック、ピニオン機構を採用したことにより、泥土等が付着し、泥水抵抗を受ける環境下でも安定した円滑な走行ベースの移動が確保できる。
【0021】
本発明の第7の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第1〜第6のいずれか1つの態様において、前記ガイドフレームは、円筒形状をしたケーソン躯体の内径より幾分小さな外径を有する円環状の部材であり、当該ガイドフレームの内周側には同じく円環状をした一回り小さなガイドレールが設けられており、一方ガイドフレームの外周側には油圧ジャッキによって構成されるフレーム固定手段が等間隔に配置されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、走行ベースが円筒形状のケーソン躯体の内壁面に沿って水平円軌道上を走行できるようになるから、均一で安定したケーソン刃口の貫入補助作業が実行できるようになる。また、等間隔に配置した油圧ジャッキを使用することによってガイドフレームはケーソン躯体の中心に位置し、水平姿勢を保ってケーソン躯体の内壁面に固定されるようになる。
【0023】
本発明の第8の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置は、第1〜第7のいずれか1つの態様において、前記フレーム吊持手段はガイドフレームに取り付けられる複数個の吊り金具と、下端が当該吊り金具に接続され、上方に延びている吊りワイヤと、吊りワイヤの上端を保持して吊りワイヤを上方に巻き取り、あるいは下方に繰り出すウインチとを備えていることを特徴とするものである。
本発明の第8の態様によれば、比較的簡単な構造によってフレーム吊持手段を構成でき、複数個の吊り金具を備えることによってガイドフレームの水平姿勢を保つことができる。
【0024】
本発明の第9の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法は、先端に内刃状をしたケーソン刃口が形成されたケーソン躯体を地中ないし海底に所定ストロークずつ沈設させるケーソン躯体貫入工程と、ケーソン躯体内部の泥土を掘削しながら外部に排出する泥土掘削排出工程と、ケーソン躯体の上方に躯体を継ぎ足して行く躯体増設工程とを備え、これらの工程を繰り返し実行することによって所定深さのケーソン立坑を構築するようにしたケーソン工法であって、前記ケーソン躯体貫入工程と、泥土掘削排出工程との間には、地盤の掘削に先立ってケーソン刃口下方の地盤のボーリングを行い、地盤を弛めることによって地盤の掘削及び以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする地盤改質工程が設けられていることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第9の態様によれば、泥土掘削排除工程で行う地盤の掘削に先立って硬質地盤を軟質地盤に改質するケーソン刃口の貫入補助作業が実行されるから、泥土掘削排除工程における泥土の掘削、排除作業が効率的に円滑に行われるようになる。また、それ以降に行うケーソン刃口の貫入作業も容易になる。
【0026】
本発明の第10の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法は、第9の態様において、前記泥土掘削排出工程と躯体増設工程との間には、掘削及び排出完了後のケーソン躯体の内壁面に付着した泥土の除去を行うことによって以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする付着泥土除去工程が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第10の態様によれば、ケーソン躯体の内壁面に付着する泥土が除去されるからケーソン躯体の貫入が容易になりケーソン刃口の沈設が円滑に行われるようになる。
【0027】
本発明の第11の態様に係るケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法は、第9または第10の態様において、前記地盤改質工程では、第3または第5〜第8のいずれか1つの態様のドリルビットを備えたケーソン刃口の貫入補助装置が使用され、一方、前記付着泥土除去工程では、第4または第5〜第8のいずれか1つの態様のブラシビットを備えたケーソン刃口の貫入補助装置が使用されることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第11の態様によれば、硬質地盤の軟質地盤への改質を効率良くムラ無く均一に行えるようになる。また、ケーソン躯体の内壁面に付着した泥土が効率良く均一に除去されるようになるからケーソン刃口の沈設時の貫入抵抗が小さくなってケーソン刃口の貫入も円滑に行われるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来死角になって掘削できなかったケーソン躯体の内壁面における延長線上の外部に位置するケーソン刃口周辺の地盤に対してもボーリングが行えるようになるから、地盤を広い範囲に亘って改質できるようになる。また、作業ビットの作用方向が規制されているから従来使用していた突き矢のようにケーソン躯体の内壁面を傷付けることがなく、効率良く、均一に地盤の改質を行うことができる。
【0030】
また、地盤の改質を行うことで地盤の掘削作業が容易になるからグラブバケット等の比較的簡単な構造の掘削手段が使用でき、機械設備の数を減らし、設備費の削減を図ることができる。また、地盤の改質に加えてケーソン躯体の内壁面に付着した泥土等を掻き取ることも可能であり、ケーソン躯体に掛かる貫入抵抗を小さくしてケーソン刃口の貫入を更に円滑に行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本願発明に係るケーソン刃口の貫入補助装置及び該貫入補助装置を使用したケーソン工法について下記の実施例を例にとって説明する。以下の実施例では「圧入ケーソン工法」に本発明を適用した場合について説明する。最初に本願発明の説明に先立って圧入ケーソン工法の概要と、圧入ケーソン工法を実行する場合に必要となる機械設備について簡単に触れておく。図1は本発明のケーソン刃口の貫入補助装置すなわち圧入補助装置を使用した圧入ケーソン工法の実行に必要な機械設備の概要を示す斜視図である。
【0032】
圧入ケーソン工法は、先端に内刃状に傾斜したケーソン刃口2が形成されたケーソン躯体3を地中ないし海底の地盤G中に所定ストロークずつ圧入沈設させ、更にケーソン躯体3内部の泥土Rを掘削しながらケーソン躯体3の外部(例えば地上)に排出すると共に、ケーソン躯体3の上方にプレキャストされたコンクリート躯体4を継ぎ足して行くことによって所定深さのケーソン立坑5を構築する方法である。尚、圧入ケーソン工法は、橋脚を建設するための立坑やシールド工事における発進ないし到達用の立坑等を構築する場合等に使用される。
【0033】
また、圧入ケーソン工法を実施する場合には、図1に示すような機械設備6が使用される。この機械設備6は、ケーソン立坑5を構築する部位の周囲の地面に据え付けられ、ケーソン立坑5を構築する部位の上方を跨ぐように設置される据付けタイプの大型クレーン7と、大型クレーン7によって吊持される圧入装置13、泥土Rの掘削排出手段であるグラブバケット14及び本発明の貫入補助装置(圧入補助装置)1とを備えている。
【0034】
図示の大型クレーン7は、地面上に敷設される2本の走行レール8と、2本の走行レール8上を走行する門型をした走行架台機枠9と、走行架台機枠9の上部において、走行レール8と直交する方向に架け渡されている水平移動レール10と、水平移動レール10上を往復移動する図示しない移動機枠上に設置される荷上装置としてのウインチ12と、ウインチ12によって上方に巻き取られ、あるいは下方に繰り出される吊りワイヤWと、吊りワイヤWの先端に取り付けられる吊り金具11とを備えることによって構成されている。尚、クレーンとしては地面に固定状態で据え付けられる固定式のクレーンや自由な方向に移動できるクローラタイプのクレーン等を使用することも勿論可能である。
【0035】
圧入装置13は、ケーソン立坑5を構築する部位の地中ないし海底に予め打設され、上方に立ち上げられている棒状の支持部材であるアースアンカー17との協働作用によってケーソン躯体3を地中ないし海底に圧入沈設させる装置である。図1に示す機械設備6では、アースアンカー17が8本設けられており、そのうち2本のアースアンカー17を使用して一組の圧入装置13が設けられている。圧入装置13は、ケーソン躯体3やケーソン躯体3上に積み重ねられるコンクリート躯体4の上面に載置され、これらを下方に向けて押し下げる作用をする梁状の鋼材によって形成されているウエイト15と、ウエイト15における左右の端部寄りの上面に設けられる2基のセンターホールジャッキ16と、センターホールジャッキ16の上方に設けられる2個のアンカーチャック18とを備えることによって構成されている。
【0036】
また、ウエイト15の左右の端部寄りと、センターホールジャッキ16の中心には上記アースアンカー17を受け入れる図示しない貫通穴が設けられており、アースアンカー17は、下方からウエイト15の貫通穴、センターホールジャッキ16の貫通穴を貫いた後、その上方において、アンカーチャック18によってチャックされた時に圧入装置13と接続状態となり、チャックが解除された時に圧入装置13と非接続状態となるように構成されている。また、グラブバケット14は、先端に地盤Gを掘削するための櫛歯状の爪部を供えた開閉自在に回動する一対のバケット要素によって構成されており、地盤Gの掘削、掘削した泥土Rの捕獲及び捕獲した泥土Rの排出ができるようになっている。
【0037】
[実施例]
次に、このような機械設備6の一部として使用される本発明のケーソン刃口の貫入補助装置1の構成とその作動態様と併せて本発明の圧入ケーソン工法について図示の実施例を例にとって説明する。図2はケーソン刃口の貫入補助装置を設置した状態のケーソン躯体の内部構造を示す側断面図、図3は図2中、A−A線で破断した状態を示す横断面図である。図4はケーソン刃口の貫入補助装置周辺を拡大して示す側断面図、図5はケーソン刃口の貫入補助装置の要部を拡大して示す側断面図である。図6はフレーム固定手段によってガイドフレームがケーソン躯体の内壁面に固定されている状態を示す側断面図、図7はドリルビットを備えたコアヘッドと走行ベースを示す斜視図である。図8はブラシビットを備えたコアヘッドと走行ベースを示す斜視図、図9は本発明に係る圧入ケーソン工法の前半の4つの工程を段階的に示す説明図である。また図10は本発明に係る圧入ケーソン工法の後半の4つの工程を段階的に示す説明図である。
【0038】
ケーソン刃口の貫入補助装置1は、実質的に貫入補助作業(圧入補助作業)を行うコアヘッド20と、コアヘッド20を保持した状態でガイドレール21上を走行する走行ベース22と、ケーソン躯体3の内壁面23に沿うように配設されるガイドレール21と一体のガイドフレーム24と、走行ベース22を駆動する走行駆動モータ25と、ガイドフレーム24に対して等間隔に複数個配置されるフレーム固定手段としての油圧ジャッキ26と、ガイドフレーム24を吊持するフレーム吊持手段としての上述のウインチ12、吊り金具11及び吊りワイヤW等を備えることによって構成されている。
【0039】
また、コアヘッド20は、直接貫入補助作業を行う作業ビットとしてのドリルビット27ないしブラシビット28と、ドリルビット27及びブラシビット28を回転駆動する回転駆動モータ29と、回転駆動モータ29を保持するスライドホルダ30と、走行ベース22に対して接続され、スライドホルダ30をポール長手方向に沿ってスライドし得る状態で保持する支持ポール31とを備えることによって構成されている。
【0040】
このうちドリルビット27は、図7に示すように、先端に図示しない超硬チップが植設された円管状をした部材である。そして、ドリルビット27は地盤Gの掘削に先立ってケーソン刃口2の下方における地盤Gのボーリングを行い、地盤Gを弛めることによって地盤Gの掘削及び以降のケーソン刃口2の圧入を行い易くする地盤Gの改質を目的とする貫入補助作業に使用される。また、ブラシビット28は、図8に示すように先端にワイヤーブラシBが取り付けられた棒状をした部材である。そして、ブラシビット28は、掘削及び排出完了後のケーソン躯体3の内壁面23に付着した泥土Rの除去を行うことによって以降のケーソン刃口2の圧入を行い易くするケーソン刃口2の保全管理を目的とする貫入補助作業に使用される。
【0041】
回転駆動モータ29は、油圧駆動モータを一例として使用している。また、スライドホルダ30は、上記回転駆動モータ29の基部を固定状態で保持するホルダ部32と、上記支持ポール31に外嵌めされているスライド部33とを備えている。そして、スライド部33の支持ポール31に対する取付位置を可変することによって、ドリルビット27ないしブラシビット28を軸方向に移動させて到達深さないし作業範囲を調整できるようになっている。
【0042】
支持ポール31は、丸棒状の部材で、走行ベース22上に設けられている取付角度調整アタッチメント34を介して走行ベース22と接続されている。取付角度調整アタッチメント34は、走行ベース22の上面に固定される固定ベース35と、回動軸36を介して所定の角度揺動自在に設けられる揺動ソケット37と、揺動ソケット37の取付角度を固定する図示しない角度固定手段とが設けられている。尚、揺動ソケット37の取付角度は、ドリルビット27ないしブラシビット28がケーソン躯体3先端のケーソン刃口2の傾斜に沿うように設定されている。したがって、上記スライドホルダ30の取付位置を適宜調整することで、ドリルビット27ないしブラシビット28の先端は、ケーソン躯体3の内壁面23における延長線Lの外方に位置するケーソン刃口2の先端付近まで到達できるようになっている。
【0043】
走行ベース22は、側面視三角形状をしたブロック状の部材であり、上面には上記取付角度調整アタッチメント34が設けられていると共に、ガイドレール21との対向面側にはガイドレール21に形成されているフランジ状のガイドリブ38と係合する一例として鼓状のガイドローラ39が上下に2個ずつ計4個設けられている。また、走行ベース22の内部には、走行駆動モータ25が内蔵されており、走行駆動モータ25の出力軸に取り付けられているピニオンギヤ40の一部がガイドレール21との対向面からガイドレール21側に向けて突出している。
【0044】
ガイドフレーム24は、円筒形状をしたケーソン躯体3の内径より幾分小さな外径を有する円環状の部材で、一例としてH型鋼等の構造材をリング状に湾曲させることによって形成されている。また、ガイドフレーム24の内周側には同じく円環状をした一回り小さなガイドレール21が設けられている。ガイドレール21は、ガイドフレーム24の内周面に固定される固定ベース41と、スペーサ42を介してその内周側上下に設けられるガイドリブ38と、固定ベース41の中間付近の高さ位置に設けられるリング状のラック43とを備えることによって構成されている。尚、ガイドリブ38は、係合するガイドローラ39の鼓形状に併せて先端が楔状に形成されている。またラック43は、上述のピニオンギヤ40と係合するように設けられている。
【0045】
また、ガイドフレーム24には外周側に位置するケーソン躯体3の内壁面23に向けて突出するように4個の油圧ジャッキ26が等間隔に配置されている。そして、これらの油圧ジャッキ26におけるピストンロッドの端部がケーソン躯体3の内壁面23に当接し、外方に突っ張ることによって、ガイドフレーム24はケーソン躯体3の内壁面23に固定されるようになっている。
【0046】
また、ガイドフレーム24の上面には、ガイドフレーム24を吊持してガイドフレーム24の上げ下げ、吊持位置ないし吊持姿勢の調整等を行うフレーム吊持手段44の一部である吊り金具11が複数個取り付けられている。尚、フレーム吊持手段44は、上述したガイドフレーム24に取り付けられている複数個の吊り金具11と、下端が吊り金具11に接続され、上方に延びている吊りワイヤWと、吊りワイヤWの上端を保持して吊りワイヤWを上方に巻き取りあるいは下方に繰り出すウインチ12とを備えることによって構成されている。
【0047】
次に、このようにして構成されるケーソン刃口の貫入補助装置1の作動態様と併せて本発明の圧入ケーソン工法について図9、10に基づいて説明する。本実施例の圧入ケーソン工法は(1)アースアンカー打設工程と、(2)ケーソン躯体設置工程と、(3)圧入装置設置工程と、(4)ケーソン躯体貫入(圧入)工程と、(5)地盤改質工程と、(6)泥土掘削排出工程と、(7)付着泥土除去工程と、(8)コンクリート躯体増設工程とを備えることによって構成されている。以下これらの各工程に分けて本発明の圧入ケーソン工法について具体的に説明する。
【0048】
(1)アースアンカー打設工程(図9(a)(b)参照)
最初にケーソン立坑5を構築する部位の周囲に8本のアースアンカー17を一辺の両端に2本ずつ配置されるように矩形状に並べて地中ないし海底の地盤G中に所定の深さ打設する。次に、大型クレーン7等の機械設備6をケーソン立坑5を構築する部位を跨ぐようにして設置し、足場を組み、必要な数のウインチ12を水平移動レール10に取り付ける。
【0049】
(2)ケーソン躯体設置工程(図9(b)参照)
次に、ケーソン躯体3の荷揚げ用のウインチ12から繰り出される吊りワイヤWの先端を吊り金具11を使用してケーソン躯体3に接続して吊り上げ、所定の位置にケーソン躯体3を設置する。
【0050】
(3)圧入装置設置工程(図9(c)参照)
次に、ウエイト15の荷揚げ用のウインチ12を使用して4つのウエイト15を吊り上げて、先に打設したアースアンカー17に貫通穴を通し、設置されたケーソン躯体3の上面にウエイト15を載置する。この状態ではアースアンカー17はウエイト15とセンターホールジャッキ16のそれぞれの貫通穴を貫通し、上方に突出した状態になっている。そして、センターホールジャッキ16の上方においてアンカーチャック18をチャック状態にし、アンカーチャック18をアースアンカー17に固定した状態とする。
【0051】
(4)ケーソン躯体貫入(圧入)工程(図9(d)参照)
このような状態でセンターホールジャッキ16に油圧を掛けてピストンロッドを伸張状態にすると、ピストンロッドがその上方においてアースアンカー17に固定されているアンカーチャック18の下面に当接し、アンカーチャック18から反力を受けるようになる。そして、アンカーチャック18からの反力によってセンターホールジャッキ16のシリンダーボディー及びその下方に位置するウエイト15が下方に押し下げられるようになって、ケーソン躯体3を所定ストローク地盤G中に圧入沈設させる。尚、ケーソン躯体3の下端には内刃状に傾斜したケーソン刃口2が設けられているから、地盤Gはケーソン刃口2によって押し広げられるため、ケーソン躯体3は滑らかに地盤G中に進入し圧入沈設が図られる。
【0052】
(5)地盤改質工程(図10(a)参照)
次に、本発明のケーソン刃口の貫入補助装置1を使用して掘削しようとする地盤Gの改質を行う。本工程では硬質粘土地盤や岩盤等、硬質の地盤Gのボーリングを行い、地盤Gを弛めて軟質の地盤Gとする地盤Gの改質を行うことで地盤Gの掘削及び以降のケーソン刃口2の貫入(圧入)を行い易くする。具体的にはフレーム吊持手段44を使用してガイドフレーム24を吊り上げ、ガイドフレーム24を筒状のケーソン躯体3の内部空間内に進入させる。そして、ケーソン刃口2より幾分上方の位置までガイドフレーム24を下降させ、ガイドフレーム24に対して設けられている油圧ジャッキ26のピストンロッドを伸張させてガイドフレーム24をケーソン躯体3の内壁面23に固定する。
【0053】
尚、支持ポール31の取付角度は、取付角度調整アタッチメント34によって予め所望の角度に調整されており、ドリルビット27の到達位置は、スライドホルダ30の取付位置を可変することで予め所望の到達位置になるよう調整されている。そして、走行駆動モータ25と回転駆動モータ29とを駆動することによって走行ベース22をガイドレール21に沿って走行させ、ドリルビット27を回転させながら突出させて地盤G中に位置を換えながら所定深さのボーリングを複数回行う。
【0054】
尚、ボーリングの対象となる地盤Gが岩盤等極めて硬質の場合にはボーリングに相応の時間を掛ける必要があり、走行ベース22は1日掛けて1周するというように極めてゆっくりとした速度で移動する。これに伴い、走行駆動モータ25には図示しない減速機等が組み込まれている。
【0055】
(6)泥土掘削排出工程(図10(b)参照)
ドリルビット27によるボーリングが終了したところで油圧ジャッキ26のピストンロッドを収縮状態にしてガイドフレーム24の固定状態を解除する。そして、フレーム吊持手段44におけるウインチ12によって吊りワイヤWを巻き上げガイドフレーム24を上方に退避させる。次に、グラブバケット14の荷揚げ用のウインチ12を作動させてグラブバケット14を吊り上げ、グラブバケット14を筒状のケーソン躯体3の内部空間内に進入させて下降させ、地盤Gの改質が完了した地盤Gに到達させる。
【0056】
そして、グラブバケット14を油圧駆動して拡開状態にし、続いて閉鎖状態にして先端の爪部によって地盤Gの上面を引っ掻きながら地盤Gを掘削し、掘削された泥土Rや破砕された岩屑等を捕獲する。そして、ウインチ12を駆動して吊りワイヤWを巻き取り、ケーソン躯体3の外部の例えば地上まで上記捕獲した泥土R等を搬送して排出する。
【0057】
(7)付着泥土除去工程(図10(c)参照)
次に、ケーソン刃口の貫入補助装置1におけるドリルビット27をブラシビット28に交換し、フレーム吊持手段44を使用してガイドフレーム24を再び吊り上げ、ガイドフレーム24を筒状のケーソン躯体3の内部空間内に進入させる。そして、ケーソンは口2より幾分上方の位置までガイドフレーム24を下降させ、ガイドフレーム24に対して設けられている油圧ジャッキ26のピストンロッドを伸張させてガイドフレーム24をケーソン躯体3の内壁面23に固定する。
【0058】
そして、走行駆動モータ25と回転駆動モータ29とを駆動することによって走行ベース22をガイドレール21に沿って走行させ、ブラシビット28を回転させてケーソン刃口2やケーソン躯体3の内壁面23に付着した泥土Rを掻き取って除去する。このように本工程では地盤Gの掘削及び掘削した泥土Rの排出が完了した後のケーソン躯体3の内壁面23等に付着した泥土Rの除去を行うことによって以降のケーソン刃口2の圧入を行い易くする。
【0059】
(8)コンクリート躯体増設工程(図10(d)参照)
ブラシビット28によるケーソン躯体3の内壁面23に付着した泥土Rの除去が終了したところで、ガイドフレーム24の固定状態を解除し、フレーム吊持手段44によって再び上方の退避位置までガイドフレーム24を移動させる。次に、ケーソン躯体3の荷揚げ用のウインチ12を使用して吊りワイヤWをコンクリート躯体4に付け替えてコンクリート躯体4を吊り上げる。そして、上述したケーソン躯体3と同様の手順で先に設置し、所定ストローク地盤G中に圧入沈設させたケーソン躯体3上に設置する。
【0060】
爾後は上述の(3)圧入装置設置工程、(4)ケーソン躯体圧入工程、(5)地盤改質工程、(6)泥土掘削排出工程及び(7)付着泥土除去工程を繰り返し実行することによってコンクリート躯体4を増設して行き、所定の深さのケーソン立坑5を構築する。
【0061】
[他の実施例]
本願発明に係るケーソン刃口の貫入補助装置1及び該貫入補助装置を使用したケーソン工法は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的な構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。例えば図11に示すように、コアヘッド20は、1つの走行ベース22に対して複数組設けることが可能である。このようにした場合には、作業ビットであるドリルビット27やブラシビット28の取付角度や到達位置ないし作業範囲をコアヘッド20ごとに異ならせることが可能である。
【0062】
また、本願発明に係るケーソン刃口の貫入補助装置1は、円筒形状のケーソン躯体3のみでなく、図12に示すような角筒形状のケーソン躯体3に対して適用することも可能である。但し、この場合にはガイドフレーム24の形状をケーソン躯体3の口径よりも幾分小さな外径寸法を有する矩形枠形状とし、このガイドフレーム24に対して例えば2つのスライドテーブルを直交させて二段に設けたXYテーブル50を設け、そのXYテーブル50上にコアヘッド20を取り付けるような構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本願発明は、橋脚の建設現場やシールド工事の施工現場等においてケーソン躯体を使用してケーソン立坑を構築する際、比較的簡単な構成によって効率良くケーソン工法を実行したい場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法の実行に必要な機械設備の概要を示す斜視図である。
【図2】ケーソン刃口の貫入補助装置を設置した状態のケーソン躯体の内部構造を示す側断面図である。
【図3】図2中、A−A線で破断した状態を示す横断面図である。
【図4】ケーソン刃口の貫入補助装置周辺を拡大して示す側断面図である。
【図5】ケーソン刃口の貫入補助装置の要部を拡大して示す側断面図である。
【図6】フレーム固定手段によってガイドフレームがケーソン躯体の内壁面に固定されている状態を示す側断面図である。
【図7】ドリルビットを備えたコアヘッドと走行ベースを示す斜視図である。
【図8】ブラシビットを備えたコアヘッドと走行ベースを示す斜視図である。
【図9】本発明に係る圧入ケーソン工法の前半の4つの工程を段階的に示す説明図である。
【図10】本発明に係る圧入ケーソン工法の後半の4つの工程を段階的に示す説明図である。
【図11】コアヘッドを2組備えたケーソン刃口の貫入補助装置の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】ケーソン刃口の貫入補助装置を角筒形状のケーソン躯体に適用した場合の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 (ケーソン刃口の)貫入補助装置、2 ケーソン刃口、3 ケーソン躯体、
4 コンクリート躯体、5 ケーソン立坑、6 機械設備、7 大型クレーン、
8 走行レール、9 走行架台機枠、10 水平移動レール、11 吊り金具、
12 ウインチ(荷上装置)、13 圧入装置、14 グラブバケット、15 ウエイト
16 センターホールジャッキ、17 アースアンカー、18 アンカーチャック、
20 コアヘッド、21 ガイドレール、22 走行ベース、23 内壁面、
24 ガイドフレーム、25 走行駆動モータ、
26 油圧ジャッキ(フレーム固定手段)、27 ドリルビット(作業ビット)、
28 ブラシビット(作業ビット)、29 回転駆動モータ、30 スライドホルダ、
31 支持ポール、32 ホルダ部、33 スライド部、
34 取付角度調整アタッチメント、35 固定ベース、36 回動軸、
37 揺動ソケット、38 ガイドリブ、39 ガイドローラ、40 ピニオンギヤ、
41 固定ベース、42 スペーサ、43 ラック、44 フレーム吊持手段、
50 XYテーブル、G 地盤、R 泥土、W 吊りワイヤ、L 延長線、
B ワイヤーブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に内刃状をしたケーソン刃口が形成されたケーソン躯体を地中ないし海底に所定ストロークずつ沈設させ、該ケーソン躯体内部の泥土を掘削しながら外部に排出すると共に、更にケーソン躯体の上方に躯体を継ぎ足して行くことによって所定深さのケーソン立坑を構築するケーソン工法において使用されるケーソン刃口の貫入補助装置であって、
前記ケーソン刃口の貫入補助装置は、実質的に貫入補助作業を行うコアヘッドと、コアヘッドを保持した状態でガイドレール上を走行する走行ベースと、ケーソン躯体の内壁面に沿うように配設されるガイドレールと一体のガイドフレームと、走行ベースを駆動する走行駆動モータと、ガイドフレームに対して等間隔に複数個配置され、ケーソン躯体の内壁面に向けて突出し外方に突っ張るようにしてガイドフレームをケーソン躯体に固定するフレーム固定手段と、ガイドフレームを吊持してガイドフレームの上げ下げ、吊持位置ないし吊持姿勢の調整等を行うフレーム吊持手段とを備えることによって構成されていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項2】
請求項1において、前記コアヘッドは、直接貫入補助作業を行う作業ビットと、作業ビットを回転駆動する回転駆動モータと、回転駆動モータを保持するスライドホルダと、走行ベースに対して接続され、前記スライドホルダをポール長手方向に沿ってスライドし得る状態で保持する支持ポールとを備えることによって構成されていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項3】
請求項2において、前記作業ビットは先端に超硬チップが植設された円管状をしたドリルビットであり、地盤の掘削に先立ってケーソン刃口下方の地盤のボーリングを行い、地盤を弛めることによって地盤の掘削及び以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする地盤の改質を目的とする貫入補助作業に使用されることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項4】
請求項2において、前記作業ビットは先端にワイヤーブラシが取り付けられた棒状をしたブラシビットであり、掘削及び排出完了後のケーソン躯体の内壁面に付着した泥土の除去を行うことによって以降のケーソン刃口の貫入を行い易くするケーソン刃口の保全管理を目的とする貫入補助作業に使用されることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、前記走行ベースと支持ポールの接続部には支持ポールの取付角度を調整する取付角度調整アタッチメントが設けられており、該取付角度調整アタッチメントによって支持ポールの取付角度を適宜調整することによって作業ビットの作業範囲をケーソン躯体の内壁面の延長線外方に位置するケーソン刃口の先端付近まで到達するように設定したことを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記走行ベースには、前記ガイドレールに形成されているフランジ状のガイドリブと係合するガイドローラと、前記ガイドレールに設けられているラックと噛み合うピニオンギヤと、該ピニオンギヤを回転駆動する走行駆動モータとが設けられていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、前記ガイドフレームは、円筒形状をしたケーソン躯体の内径より幾分小さな外径を有する円環状の部材であり、当該ガイドフレームの内周側には同じく円環状をした一回り小さなガイドレールが設けられており、一方ガイドフレームの外周側には油圧ジャッキによって構成されるフレーム固定手段が等間隔に配置されていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、前記フレーム吊持手段はガイドフレームに取り付けられる複数個の吊り金具と、下端が当該吊り金具に接続され、上方に延びている吊りワイヤと、吊りワイヤの上端を保持して吊りワイヤを上方に巻き取り、あるいは下方に繰り出すウインチとを備えていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置。
【請求項9】
先端に内刃状をしたケーソン刃口が形成されたケーソン躯体を地中ないし海底に所定ストロークずつ沈設させるケーソン躯体貫入工程と、ケーソン躯体内部の泥土を掘削しながら外部に排出する泥土掘削排出工程と、ケーソン躯体の上方に躯体を継ぎ足して行く躯体増設工程とを備え、これらの工程を繰り返し実行することによって所定深さのケーソン立坑を構築するようにしたケーソン工法であって、
前記ケーソン躯体貫入工程と、泥土掘削排出工程との間には、地盤の掘削に先立ってケーソン刃口下方の地盤のボーリングを行い、地盤を弛めることによって地盤の掘削及び以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする地盤改質工程が設けられていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法。
【請求項10】
請求項9において、前記泥土掘削排出工程と躯体増設工程との間には、掘削及び排出完了後のケーソン躯体の内壁面に付着した泥土の除去を行うことによって以降のケーソン刃口の貫入を行い易くする付着泥土除去工程が設けられていることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法。
【請求項11】
請求項9または10において、前記地盤改質工程では請求項3または請求項5〜8のいずれか1項に記載のドリルビットを備えたケーソン刃口の貫入補助装置が使用され、一方前記付着泥土除去工程では請求項4または請求項5〜8のいずれか1項に記載のブラシビットを備えたケーソン刃口の貫入補助装置が使用されることを特徴とするケーソン刃口の貫入補助装置を使用したケーソン工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−125000(P2006−125000A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312776(P2004−312776)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000148346)株式会社錢高組 (67)
【出願人】(594019149)株式会社ヤマハ化工東京 (5)
【出願人】(593110580)株式会社シブヤ (18)