説明

ケーブルの接続構造

【課題】車両に設けられた機器を操作する操作レバーと機器に設けられた被操作部とをケーブルを介して接続する作業の作業性を向上させることができ、部品点数を少なくすることができ、構造を簡素化でき、作業コストを低廉化できるケーブルの接続構造を提供する。
【解決手段】 操作レバー2と機器1に設けられた被操作部Pとがケーブル7を介して接続し、ケーブル7の両分割端部7A1,7B1同士が接続部材20を介して接続し、接続部材20は、接続部材本体21と、接続部材本体21に対してスライド移動するスライダー22とを備え、ケーブル7の両分割端部7A1,7B1の係合部Rが被係合部25に各別に係合し、接続部材本体21に取り付け部23が設けられ、被係合部25に係合解除防止部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とがケーブルを介して接続し、
前記ケーブルは長手方向に分割されるとともに、両分割端部同士が接続部材を介して接続し、
前記接続部材は、接続部材本体と、前記接続部材本体に対してスライド移動するスライダーとを備え、
前記ケーブルの両分割端部に係合部がそれぞれ設けられ、
前記スライダーに一対の被係合部が設けられ、
前記ケーブルの両分割端部の係合部が前記スライダーの一対の被係合部に各別に係合しているケーブルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とをケーブルを介して接続する手段として、前記操作レバーが組み付けられたコントロールユニットと前記機器を車体にそれぞれ組み付けた後、操作レバーと前記機器の被操作部をケーブルを介して接続する手段がある。
しかしながら、この手段では、前記ケーブルの接続作業を行う作業スペースが狭かったり、機器の一部分が接続作業の邪魔になったりして作業を行いにくいことがある。
そこで、特許文献1に開示されているように、
(1) ケーブルを長手方向に2分割しておき、
(2) 一方の分割ケーブルの一端部(分割端部とは反対側の端部)を前記コントロールユニットの操作レバーに接続するとともに、他方の分割ケーブルの一端部(分割端部とは反対側の端部)を前記機器の被操作部に接続し、
(3) コントロールユニットと機器を車体にそれぞれ組み付け、
(4) 両分割ケーブルの分割端部(他端部)の係合リング(係合部に相当)を接続部材のスライダーの一対の係合凸部(被係合部に相当)に作業スペースが広い場所で各別に係合させ、
(5) 前記係合リングが係合凸部から抜け出さないように、係合リングと係合凸部を覆う蓋材を接続部材に取り付ける手段が採用されている。
従来、前記接続部材は他部品に位置を拘束されない自由に位置変更できる状態にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−295124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、前記接続部材は他部品に位置を拘束されない自由な状態にあったために、前記(4)の工程では、作業者が一方の手で接続部材を保持し、他方の手で分割ケーブルの分割端部の係合リングを操作して、この係合リングを接続部材の係合凸部に係合させており、接続部材の保持に手間がかかって作業効率を上げることが困難であった。
また、他部品に位置を拘束されない自由な状態にある接続部材が他部品と干渉しても接続部材の損傷・接触音の発生を回避できるように、接続部材を緩衝材で覆わなければならなかった。
このように、接続部材を緩衝材で覆っていたことや、前記(5)の工程で係合リングと係合凸部を覆う蓋材を接続部材に取り付けていうたことで、部品点数が増加して構造が複雑化するとともに、作業工数が増加して作業コストが高くなっていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とをケーブルを介して接続する作業の作業性を向上させることができ、部品点数を少なくすることができ、構造を簡素化でき、作業コストを低廉化できるケーブルの接続構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とがケーブルを介して接続し、
前記ケーブルは長手方向に分割されるとともに、両分割端部同士が接続部材を介して接続し、
前記接続部材は、接続部材本体と、前記接続部材本体に対してスライド移動するスライダーとを備え、
前記ケーブルの両分割端部に係合部がそれぞれ設けられ、
前記スライダーに一対の被係合部が設けられ、
前記ケーブルの両分割端部の係合部が前記スライダーの一対の被係合部に各別に係合しているケーブルの接続構造であって、
前記接続部材本体に前記機器に対する取り付け部が設けられ、
前記係合部と被係合部の少なくとも一方に係合解除防止部が設けられている点にある。(請求項1)
【0006】
この構成によれば、前記接続部材本体に前記機器に対する取り付け部が設けられているから、接続部材本体を機器に取り付けて接続部材を位置固定してから係合部を被係合部に係合させることができる。
これにより、作業者が接続部材を保持しなくても済んで、係合部と被係合部の係合作業を簡単に行うことができ、接続作業の作業性を向上させることができる。
さらに、上記のように接続部材を位置固定することで、接続部材が周辺の他部品と干渉しなくなって接続部材を緩衝材で覆う必要がなくなる。
そして、前記係合部と被係合部の少なくとも一方に係合解除防止部が設けられているから、係合部と被係合部の係合解除防止のための蓋部材で係合部と被係合部を覆う必要がなくなる。
従って、部品点数を少なくすることができ、構造を簡素化でき、作業工数を減らすことができて作業コストを低廉化できる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記被係合部は前記スライダーに突設された係合凸部で構成され、
前記係合部は前記係合凸部に外嵌する係合リングで構成され、
前記係合解除防止部は、前記係合リングの前記係合凸部からの抜け出しを阻止する突起を前記係合凸部の外周面に突設して構成され、前記係合リングが前記係合凸部に前記突起を乗り越えて外嵌するよう構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
前記被係合部は前記スライダーに突設された係合凸部で構成され、前記係合部は前記係合凸部に外嵌する係合リングで構成されているから、係合作業を簡単に行うことができる。
そして、前記係合解除防止部は、前記係合リングの前記係合凸部からの抜け出しを阻止する突起を前記係合凸部の外周面に突設して構成され、前記係合リングが前記係合凸部に前記突起を乗り越えて外嵌するよう構成されているから、係合解除防止部の構造を簡素化することができ、係合リングを係合凸部に係合するだけで、係合リングの係合凸部からの抜け出しを阻止する状態に簡単に設定することができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記突起は、前記係合凸部の基端部側ほど前記係合凸部の径方向外方側に位置する傾斜面を備えた三角片状に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
前記係合リングが前記係合凸部に外嵌する場合に、前記傾斜面が係合リングの内周面を案内する案内面として機能し、係合リングが前記突起を乗り越えやすくすることができ、しかも、係合解除されにくくすることができる。また、突起の形状を簡素化することができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記操作レバーと前記機器の被操作部と前記ケーブルとが複数個ずつ設けられるとともに前記接続部材が1個設けられ、
前記複数のケーブルに対応して前記接続部材に前記被係合部が複数対設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0012】
前記操作レバーと前記機器の被操作部と前記ケーブルとが複数個ずつ設けられた場合であっても、接続部材は1個設けられているだけであるから、接続作業位置を接続部材及びその周りに集中することができ、作業位置の集中化により作業性を向上させることができる。(請求項4)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とをケーブルを介して接続する作業の作業性を向上させることができ、部品点数を少なくすることができ、構造を簡素化でき、作業コストを低廉化できるケーブルの接続構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ケーブルの接続構造の斜視図
【図2】接続部材とその周りの構造の拡大斜視図
【図3】接続ピンとインナーケーブルの接続構造を示す斜視図
【図4】(a)は接続部材とケーブルの接続構造の平面図、(b)は接続部材とケーブルの接続構造の正面図
【図5】接続部材とケーブルの接続構造の側面図
【図6】接続部材とケーブルの接続構造の斜視図
【図7】(a)はスライダーの平面図、(b)はスライダーの側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3に示すように、車両に設けられたHVAC1(機器に相当)を操作する操作レバー2と、HVAC1の送風部3の後壁4に設けられた接続ピンP(被操作部に相当)とをケーブル7を介して接続してある。
【0016】
このケーブルの接続構造において、前記操作レバー2はインストルメントパネルのコントロールユニット6に組み付けられ、HVAC1はフロアパネルとダッシュパネルに支持されてインストルメントパネルの車両前方側に位置している。
【0017】
HVAC1は空気調整機(Heating Ventilating Air−Conditioning)であり、空気取り入れ部5と空気調整部11と前記送風部3を備えている。空気調整部11で温度調整された空気はインストルメントパネルの複数の送風口等から車室内に吹き出される。
【0018】
前記接続ピンPは送風部3の後壁4の上端部に配置されている。前記後壁4の接続ピンPの側方(左右外方側)には、温度調整された空気を乗員の足元に送る断面長方形状のフットダクト35が連通接続している。フットダクト35は前記後壁4の上端部から後方(車両後方側)に突出するとともに、突出した後端部から後ろ斜め下方に延び、開口35Kが後ろ斜め下方に向かって開口している。
【0019】
前記操作レバー2とHVAC1の接続ピンPとケーブル7とは2個ずつ設けられている。1個の操作レバー2と1個の接続ピンPは前記空気の温度を調節するレバーとピンであり、他の1個の操作レバー2と他の1個の接続ピンPは前記空気の吹き出し位置を切り換えるレバーとピンである。
【0020】
[ケーブル7の構造]
図1に示すように、ケーブル7は、管状のアウターケーブル8と、アウターケーブル8に挿通されたワイヤー状のインナーケーブル9とから成り、図2,図4(a),図4(b)〜図6に示すように、HVAC1側の第1分割ケーブル7Aと操作レバー2側の第2分割ケーブル7Bとに長手方向に2分割されている。符号8Aは第1分割ケーブル7Aのアウターケーブル、9Aは第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル、符号8B(図2参照)は第2分割ケーブル7Bのアウターケーブルである。
【0021】
例えば、前記コントロールユニット6を備えたインストルメントパネルとHVAC1をダッシュパネル等に取り付け、分割されていない1本のケーブル7で操作レバー2とHVAC1を接続しようとすると、前記フットダクト35が接続作業の邪魔になって作業性が低下する。そこで、上記のようにケーブル7を長手方向に2分割して後述の手段で接続作業を行っている。
【0022】
第1分割ケーブル7Aと第2分割ケーブル7Bの両分割端部7A1,7B1同士はジョイント20(接続部材に相当)を介して接続している。第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル9Aの分割端部9A1と、第2分割ケーブル7Bのインナーケーブルの分割端部9B1とには、ジョイント20の後述の係合凸部25(被係合部に相当)に外嵌する円形リング状の係合リングR(係合部に相当)がそれぞれ設けられている。
【0023】
[ジョイント20の構造]
図2,図4(a),図4(b)〜図6に示すように、前記ジョイント20は、長方形板状のジョイント本体21(接続部材本体に相当)と、ジョイント本体21に対してジョイント本体21の長手方向にスライド移動する複数のスライダー22とを備えている。複数のスライダー22はジョイント本体21の幅方向に並んでいる。このジョイント20は1個だけ設けられている。そして、ジョイント本体21の長手方向一端部の側部に、この側部からジョイント本体21の裏側に延びる取り付け片23(機器に対する取り付け部に相当)が設けられ、取り付け片23に複数のスクリュー挿通孔23Hが形成されている。このスクリュー挿通孔23Hに挿通されたスクリューでジョイント20がフットダクト35の下方の後壁4に、上下方向に沿う姿勢に設定されて取り付けられている。
【0024】
ジョイント本体21には、ジョイント本体21の長手方向に沿う複数のスライドレール24が形成され、両スライドレール24にスライダー22の幅方向両端部が各別にスライド移動自在に嵌合している。
【0025】
また、スライダー22の表側の面(ジョイント本体21とは反対側の面)に、ジョイント本体21の長手方向で間隔を空けて位置する一対の断面円形の係合凸部25が突設されている。
【0026】
そして、ジョイント本体21の長手方向一端部に、複数の第1分割ケーブル7Aのアウターケーブル8Aを各別に保持する複数の第1ケーブル保持部26が立設され、ジョイント本体21の長手方向他端部に、複数の第2分割ケーブル7Bのアウターケーブル8Bを各別に保持する複数の第2ケーブル保持部27が立設されている。複数の第1ケーブル保持部26同士はジョイント本体21の幅方向に並び、複数の第2ケーブル保持部27同士はジョイント本体21の幅方向に並んでいる。
【0027】
前記第1ケーブル保持部26は第1分割ケーブル7Aのアウターケーブル8Aを挟持する一対の挟持壁28を設けて構成されている。また、前記第2ケーブル保持部27は、第2分割ケーブル7Bのアウターケーブル8Bを弾性挟持する一対の挟持部を備えたばね板30を、ジョイント本体21に突設した複数の支持壁27Aにそれぞれ係合させて構成されている。ばね板30にはアウターケーブル8の抜け止め用の返し部30Kが形成されている。
【0028】
そして、第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル9Aの分割端部9A1に設けられた係合リングRと、第2分割ケーブル7Bのインナーケーブルの分割端部9B1に設けられた係合リングRとが、スライダー22の一対の係合凸部25に各別に外嵌係合することで、ケーブル7の両分割端部7A1,7B1同士がジョイント20を介して接続している。
【0029】
図7(a),図7(b)に示すように、前記係合凸部25の上端部の外周面に、係合リングRの係合凸部25からの抜け出しを防止する突起31(係合解除防止部に相当)が突設され、係合リングRが弾性変形しながら前記突起31を乗り越えて係合凸部25に外嵌するよう構成されている。
【0030】
前記突起31は、前記係合凸部25の基端部側ほど前記係合凸部25の径方向外方側に位置する傾斜面31M(係合面である)を備えた三角片状に形成されている。
これにより、前記係合リングRが係合凸部25に外嵌する場合に、前記傾斜面31Mが係合リングRの内周面を案内する案内面として機能し、係合リングRが前記突起31を乗り越えやすくすることができ、しかも、係合解除されにくくすることができる。また、突起31の形状を簡素化することができる。
【0031】
[ケーブル7の接続構造の組み付け手順]
ケーブル7の接続構造の組み付け手順は次の通りである。
(1) 図3に示すように、第1分割ケーブル7Aのアウターケーブル8Aの一端部を、HVAC1の後壁4に立設したブラケット47に保持させ、第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル9Aの一端部に設けた係合リングRを前記接続ピンPに係合させる。接続ピンPには係合リングRの抜け出しを防止する突起32が形成されている。
(2) 図4(a),図4(b)〜図6に示すように、第1分割ケーブル7Aのアウターケーブル8Aの分割端部8A1を、ジョイント20の第1ケーブル保持部26に保持させるとともに、第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル9Aの分割端部9A1に設けられた係合リングRをジョイント20の一方の係合凸部25に係合させる。係合リングRは弾性変形しながら前記突起31を乗り越えて係合凸部25に外嵌する。
(3) HVAC1のフットダクト35の下方に位置する後壁4にジョイント20を上下方向に沿う姿勢にして重ね合わせ、ジョイント20の取り付け片23をHVAC1の後壁4にスクリューで締め付け固定する。ジョイント20は長手方向一端部側(第1ケーブル保持部26側)が上に位置し、長手方向他端部側(第2ケーブル保持部27側)が下に位置する。
(4) HVAC1をダッシュパネルに取り付ける。
(5) 操作レバー2を備えるコントロールユニット6が取り付けられたインストルメントパネルをダッシュパネルに取り付け、前記操作レバー2に第2分割ケーブル7Bのインナーケーブル9Bの一端部を接続するとともに、インストルメントパネルにコントロールユニット6を組み付ける。
(6) 図2に示すように、第2分割ケーブル7Bのアウターケーブル8Bの分割端部8B1をジョイント20の第2ケーブル保持部27に保持させるとともに、第2分割ケーブル7Bのインナーケーブルの分割端部9B1に設けられた係合リングRをジョイント20の他方の係合凸部25に係合させる。係合リングRは弾性変形しながら前記突起31を乗り越えて係合凸部25に外嵌する。
【0032】
上記の構成により、操作レバー2を操作すると、それに伴って、第2分割ケーブル7Bのインナーケーブル・スライダー22・第1分割ケーブル7Aのインナーケーブル9Aが押し引きされて、HVAC1の接続ピンPが操作される。これにより、前記空気の温度が調節され、あるいは、HVAC1からの空気の吹き出し位置が切り換えられる。
【0033】
上記のケーブルの接続構造によれば、ジョイント本体21にHVAC1に対する取り付け片23が設けられているから、ジョイント本体21をHVAC1に取り付けてジョイント20を位置固定してから係合リングRを係合凸部25に係合させることができる。
これにより、作業者がジョイント20を保持しなくても済んで、係合リングRと係合凸部25の係合作業を片手でも簡単に行うことができ、接続作業の作業性を向上させることができる。
さらに、上記のようにジョイント20を位置固定することで、ジョイント20が周辺の他部品と干渉しなくなって、ジョイント20を緩衝材で覆う必要がなくなる。
そして、係合凸部25に前記突起31が設けられているから、係合リングRと係合凸部25を係合解除防止のための蓋部材で覆う必要がなくなる。
従って、部品点数を少なくすることができ、構造を簡素化でき、作業工数を減らすことができて作業コストを低廉化できる。
【0034】
また、前記スライダー22に突設された係合凸部25で前記被係合部が構成され、前記係合凸部25に外嵌する係合リングRで前記係合部が構成されているから、係合作業を簡単に行うことができる。
そして、前記係合リングRの係合凸部25からの抜け出しを阻止する突起31を前記係合凸部25の外周面に突設して前記係合解除防止部が構成され、前記係合リングRが前記係合凸部25に前記突起31を乗り越えて外嵌するよう構成されているから、係合解除防止部の構造を簡素化することができる。さらに、係合リングRを係合凸部25に係合するだけで、係合リングRの係合凸部25からの抜け出しを阻止する状態に簡単に設定することができる。
【0035】
操作レバー2とHVAC1の接続ピンPと前記ケーブル7とは2個ずつ設けられているのに対し、ジョイント20は1個だけ設けられているから、接続作業位置をジョイント20及びその周りに集中することができ、作業位置の集中化により作業性を向上させることができる。
【0036】
[別実施形態]
(1) 前記ジョイント20はスクリュー締め以外の手段で前記HVAC1に取り付けられていてもよい。例えば、スクリュー等の取り付け部材を用いることなく、HVAC1の後壁4にジョイント20を係止固定すれば、部品点数をさらに削減することができる。
(2) 前記機器はHVAC1に限られず、HVAC1以外の機器であってもよい。
(3) 前記被係合部は係合凸部以外の構造に構成されていてもよく、前記係合部は係合リング以外の構造に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 機器
2 操作レバー
7 ケーブル
7A1,7B1 分割端部(ケーブルの分割端部)
20 接続部材(ジョイント)
21 接続部材本体(ジョイント本体)
22 スライダー
23 取り付け部(取り付け片)
25 被係合部(係合凸部)
31 係合解除防止部(突起)
31M 傾斜面
P 被操作部(接続ピン)
R 係合部(係合リング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた機器を操作する操作レバーと、前記機器に設けられた被操作部とがケーブルを介して接続し、
前記ケーブルは長手方向に分割されるとともに、両分割端部同士が接続部材を介して接続し、
前記接続部材は、接続部材本体と、前記接続部材本体に対してスライド移動するスライダーとを備え、
前記ケーブルの両分割端部に係合部がそれぞれ設けられ、
前記スライダーに一対の被係合部が設けられ、
前記ケーブルの両分割端部の係合部が前記スライダーの一対の被係合部に各別に係合しているケーブルの接続構造であって、
前記接続部材本体に前記機器に対する取り付け部が設けられ、
前記係合部と被係合部の少なくとも一方に係合解除防止部が設けられているケーブルの接続構造。
【請求項2】
前記被係合部は前記スライダーに突設された係合凸部で構成され、
前記係合部は前記係合凸部に外嵌する係合リングで構成され、
前記係合解除防止部は、前記係合リングの前記係合凸部からの抜け出しを阻止する突起を前記係合凸部の外周面に突設して構成され、前記係合リングが前記係合凸部に前記突起を乗り越えて外嵌する請求項1記載のケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記突起は、前記係合凸部の基端部側ほど前記係合凸部の径方向外方側に位置する傾斜面を備えた三角片状に形成されている請求項2記載のケーブルの接続構造。
【請求項4】
前記操作レバーと前記機器の被操作部と前記ケーブルとが複数個ずつ設けられるとともに前記接続部材が1個設けられ、
前記複数のケーブルに対応して前記接続部材に前記被係合部が複数対設けられている請求項1〜3のいずれか一つに記載のケーブルの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−56538(P2012−56538A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204541(P2010−204541)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】