説明

ケーブル及びケーブル管理システム

【課題】 容易にケーブルの位置情報を確認することができるケーブル及びそのケーブルを管理するケーブル管理システムを実現する。
【解決手段】 ICタグを有するケーブルに関するものである。ICタグをケーブルの長さ方向に複数配置し、ICタグにはケーブルのIDコードと、ICタグの位置に応じた位置情報を持たせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関する情報の記録手段を備えたケーブル及びそのケーブルを管理するケーブル管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
距離が離れた装置間にケーブルを接続する場合には、それぞれの接続先に合わせリールなどに巻かれた長尺のケーブルから必要な長さに切断し、ケーブル長や接続先等の情報をケーブルにマーキングし、装置へのケーブル接続時はそのマークを確認しながら行っている。
【0003】
図4は従来のケーブルの構成例を示した図である。
図4で、ケーブル1a、1b、1cの端に文字、記号、色等でマーキング2a、2b、2cをすることによりケーブルを敷設する際にケーブルの取り違いが起こらないようにしている。
【0004】
絶縁体や保護被覆などの表面あるいはそれらの内部にケーブルに関する情報を記録した記録手段を配置することにより、非接触で外部からケーブルに関する情報を端末のみならず中間部位でも確認することができるケーブルを示したものとして、例えば特許文献1に記載されたものがあった。
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来例では次の問題点があった。
リールなどに巻かれた長尺のケーブルから何本ものケーブルを切り出して用いる場合には、必要なケーブルの長さを測るのが容易ではない。また、切り終えたケーブルを管理し、その中から必要なケーブルを選別するには、ケーブルに付されたマーキングをひとつひとつ確認しなければならないという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、容易にケーブルの位置情報を確認することができるケーブル及びそのケーブルを管理するケーブル管理システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を達成するために、本発明は次のとおりの構成になっている。
(1)ICタグを有するケーブルにおいて、
前記ICタグは、ケーブルの長さ方向に複数配置され、ケーブルのIDコードと、ICタグの位置に応じた位置情報を有することを特徴とするケーブル。
【0008】
(2)前記ICタグは、等間隔に配置されていることを特徴とする(1)記載のケーブル。
【0009】
(3)(1)又は(2)記載のケーブルを管理するケーブル管理システムにおいて、
前記ケーブルを切断する際に、切断部付近のICタグから前記IDコードと前記位置情報を読み取るケーブルカッターと、
該ケーブルカッターの情報を保持するデータベースと、
を有することを特徴とするケーブル管理システム。
【0010】
(4)(1)又は(2)記載のケーブルを管理するケーブル管理システムにおいて、
前記ICタグを読み、前記データベースを参照してケーブル情報を表示する表示装置を有することを特徴とする(3)記載のケーブル管理システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば次のような効果がある。
ICタグの位置情報から容易に適切なケーブルの切断位置を決定することができる。
また、ICタグのIDコード及び位置情報によりケーブルを管理することができ、必要なケーブルを容易に選別をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係るケーブルの一実施例を示す構成図である。
図1で、ケーブル1にはICタグ10が等間隔に配置されている。各ICタグ10には、IDコードと位置情報が記録されている。IDコードは、製造番号等のようにリール等に巻かれた長尺のケーブルごとに割り付けられた番号である。位置情報は、ICタグの位置に応じた長さ情報である。
【0013】
この図では、ICタグ10は1mの等間隔でケーブル1に配置されており、例えばICタグ10−1には、IDコードとして“CBL1“、位置情報として“1m“が記録されており、ICタグ10−200には、IDコードとして“CBL1“、位置情報として“200m“が記録されている。ICタグ10の配置は、ケーブル1の表面であっても、内部であってもよい。
その他、ICタグ10には、製造者、製造年月日、ケーブル品名、規格等のケ−ブル情報も記録しておくことができる。
【0014】
長さが1000mのケーブルがある。ケーブル1の両端のICタグ10−1、10−1000の位置情報は“1m”、“1000m”となっている。
ICタグ10−200の位置情報は“200m“を示しており、ICタグ10−201の位置情報は”201m“を示している。この場合、ICタグ10−200と10−201の間の所定のCUT位置20aを切断するとケーブル長が200mとなるようにICタグの位置を配置している。
同様に、ICタグ10−400の位置情報は“400m”を示しており、ICタグ10−401の位置情報は“401”を示している。この場合、ICタグ10−400と10−401の間の所定のCUT位置20bを切断するとケーブル長が400mとなるようにICタグの位置を配置している。
【0015】
図2は本発明に係るケーブル管理システムの実施例を示した図である。
図2で、ケーブルカッター30は、ICタグの情報の読取器も兼ねており、ケーブル1をCUT位置20aで切断する際に、切断部の両側のICタグ10−200と10−201からIDコードと位置情報を読み取る。
この図で、ケーブルカッター30は手動のものを示しているが、自動のものであってもよい。
ケーブルカッター30で読み取った情報は、データベース40に送信され、保管される。
【0016】
データベース40に保管されたデータを利用することにより、切断されたケーブルの長さを知ることができる。
例えば、図1のケーブル1において、切断位置20aで切断した場合、ケーブルカッター30はICタグ10−200から“CBL1−200m”、ICタグ10−201から“CBL1−201m”というIDコードと位置情報を読み取り、これらの情報をデータベース40に保管する。次に、切断位置20bで切断した場合、ケーブルカッター30はICタグ10−400から“CBL1−400m”、ICタグ10−401から“CBL1−401m”というIDコードと位置情報を読み取り、これらの情報をデータベース40に保管する。
【0017】
データベース40に保管されたデータを利用して関連付けを行うことにより、“CBL1−1m”と“CBL1−200m”、“CBL1−201m“と“CBL1−400m“、”CBL1−401m“と”CBL1−1000m“がそれぞれ同一ケーブルの両端であり、それぞれのケーブル長が200m、200m、600mであることを認識することができる。
【0018】
また、同一のケーブル1から切り出した同じケーブル長200mのケーブルであっても、ICタグの位置情報が一方のケーブルは“1m”と“200m”、他方のケーブルは“201m”と“400m”であるので、切り出した一本一本のケーブルごとに別の識別符号が付されていることになり、ケーブルを選別することができる。
よって、ケーブルの両端に改めてマーキングすることなくケーブルの識別をすることができる。
【0019】
図3は本発明に係るケーブル管理システムの他の実施例を示した図である。
図3で、表示装置50は、ケーブル11の端にあるICタグ10−400の情報“CBL1−400m”を読み取る。データベース40に保管されている情報を参照することにより、ケーブル11の他端のICタグ10−201の情報が“CBL−201m“であり、ケーブル長が200mであることが分かるので、必要なケーブルの選別を容易にすることができる。
逆に、表示装置50でICタグ10−201の情報を読み取った場合も同様に、データベース40に保管されている情報を参照することにより、ケーブルの他端のICタグ10−400の情報が関連付けられるので、ケーブル長が200mであることが分かり、ケーブルを選別することができる。
【0020】
また、データベース40の情報を利用すると、“CBL1−201m”と“CBL1−400m”が同一ケーブルの両端で、ケーブル長が200mであることが分かるので、表示装置50でケーブルの両端以外のICタグの情報(例えば、“CBL−305m”)を読み取った場合でも、それが“CBL1−201m”と“CBL1−400m”の間にあるので、そのケーブル長は200mであることが分かる。
【0021】
表示装置50は、データベース40の内容をあらかじめ取り込んだものでもよく、データベース40との間でデータをその都度やりとりするものでもよい。
また、ケーブル切断後にICタグにケーブル長、接続先等の情報を書き込むようにすれば、ケーブル敷設時等に表示装置50でICタグの情報を読み取るだけで必要なケーブルの選別を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るケーブルの一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係るケーブル管理システムの実施例を示した図である。
【図3】本発明に係るケーブル管理システムの他の実施例を示した図である。
【図4】従来のケーブルの構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1、11 ケーブル
10、10−1、10−200、10−201、10−400、10−401、10−1000 ICタグ
30 ケーブルカッター
40 データベース
50 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグを有するケーブルにおいて、
前記ICタグは、ケーブルの長さ方向に複数配置され、ケーブルのIDコードと、ICタグの位置に応じた位置情報を有することを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記ICタグは、等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のケーブルを管理するケーブル管理システムにおいて、
前記ケーブルを切断する際に、切断部付近のICタグから前記IDコードと前記位置情報を読み取るケーブルカッターと、
該ケーブルカッターの情報を保持するデータベースと、
を有することを特徴とするケーブル管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載のケーブルを管理するケーブル管理システムにおいて、
前記ICタグを読み、前記データベースを参照してケーブル情報を表示する表示装置を有することを特徴とする請求項3記載のケーブル管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−127896(P2006−127896A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314188(P2004−314188)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】