説明

ケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法

【課題】ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法を提供する。
【解決手段】ケーブル用収納箱11は、8の字巻きしたケーブル15を収納するものであって、外側面12aから外方へ突出された取り出し口18の突出部分が、余分に引き出された余長ケーブル15Bを巻き付け可能な余長保持部20とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に室内に布設されるLANケーブル、インドア用光ケーブルなどの比較的細径のケーブルの収納に、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱が用いられている。このケーブル用収納箱は、ケーブルを絡めずに引き出しやすい、いわゆる8の字巻きしたケーブルの状態で収納するもので、一つの面に形成された穴からケーブルが引き出されて布設されるようになっている。このケーブル用収納箱は、使用後つまりケーブルがなくなった後に廃棄が容易となるようにダンボールを主体として形成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3986067号公報
【特許文献2】特開2001−63784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ケーブル用収納箱においては、室内にケーブルを布設し終わった後、ケーブルを箱から余分に引き出した余長(例えば、5〜10m程度)が残ることがある。ケーブル用収納箱においては、この余長を箱の中に押し込んでしまうと、箱の中でケーブルが絡まってしまい、次に引き出そうとしてもスムーズに引き出せなかったり、ケーブルにキンク(折れ曲がり)が発生したりして、ケーブルが光ケーブルである場合は断線に至るなどのトラブルの原因となる。このため、布設作業後は箱の近傍でケーブルを切断し、余長は廃棄することとしている。しかしながら、このように余長を廃棄すると、資源の無駄になり、ネットワーク構築コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明のケーブル用収納箱は、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
前記ケーブルが引き出される筒状の取り出し口が、外側面の少なくとも一つから外方へ突出され、
前記取り出し口の前記外側面からの突出部分が、余分に引き出された余長ケーブルを巻き付け可能な余長保持部とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るケーブル用収納箱において、前記余長保持部は、突出方向へ向かって広がっていることが好ましい。
【0008】
本発明に係るケーブル用収納箱において、前記余長保持部は、突出方向の端部に鍔部が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明に係るケーブル用収納箱において、前記余長保持部は、突出方向に沿ってスリットが形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る余長保持方法は、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを、上記の何れかのケーブル用収納箱に設けられた前記余長保持部に巻き付けて保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のケーブル用収納箱によれば、その外側面の少なくとも一つから外方へ突出された取り出し口の突出部分からなる余長保持部に、余分に引き出された余長ケーブルを巻き付けるだけで余長ケーブルを保持し、余長保持部における余長ケーブルの保持状態を維持することができる。よって、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブルを保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブルの取り出し作業も余長ケーブルを余長保持部から外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブルを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブルの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0012】
本発明の余長保持方法によれば、ケーブル用収納箱から外方へ突出された取り出し口の突出部分からなる余長保持部に、余分に引き出された余長ケーブルを巻き付けるだけで余長ケーブルを保持し、余長保持部における余長ケーブルの保持状態を維持することができる。よって、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブルをケーブル用収納箱に保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブルの取り出し作業も余長ケーブルを余長保持部から外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブルを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブルの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るケーブル用収納箱の一実施形態の側断面図である。
【図2】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持前の斜視図である。
【図3】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【図4】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の側面図である。
【図5】(a)はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の側面図、(b)は余長保持部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1から図3を参照して説明する。
図1はケーブル用収納箱の側断面図、図2はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持前の斜視図、図3はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図、図4はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の側面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、ケーブル用収納箱11は外形が直方体形状とされている。このケーブル用収納箱11は、外形を形成する直方体形状の箱本体12と、箱本体12内に設けられた板状の支持部材13とを有している。これら箱本体12及び支持部材13はダンボールで形成されている。箱本体12内には、主に室内に布設されるLANケーブル、インドア用光ケーブルなどの比較的細径のケーブル15が、いわゆる8の字巻きした円環状の8の字束ケーブル15Aの状態で収納されている。
【0016】
箱本体12の一つの外側面12aには、引き出し穴17が形成されており、この引き出し穴17には、プラスチック材料などで形成されたテーパ筒状の取り出し口18が嵌合されている。この取り出し口18は、箱本体12内において8の字束ケーブル15Aを半径方向に貫通しており、円環状の8の字束ケーブル15Aの内周側からケーブル15が取り出し口18の内側を通って箱本体12の外側に引き出されるようになっている。なお、支持部材13は、箱本体12の引き出し穴17が形成された外側面12aに近接して設けられており、取り出し口18を支持する。
【0017】
第1実施形態においては、箱本体12の外側面の少なくとも一つである外側面12aの引き出し穴17に設けられたテーパ筒状の取り出し口18が外方へ突出されている。そして、この取り出し口18の外側面12aからの突出部分が、余長保持部20とされている。この余長保持部20は、その突出方向へ向かって次第に広がる形状とされている。
【0018】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを、図3及び図4に示すように、余長保持部20の外周に巻き付ける。このようにすると、余長ケーブル15Bがケーブル用収納箱11の外側面12aに保持される。
なお、箱本体12の外側面12aには、X字状あるいは十字状のスリット23が形成されており、ケーブル用収納箱11に余長保持部20で保持された余長ケーブル15Bの端部がこのスリット23に差し込まれて係止される。なお、余長ケーブル15Bの端部は、ケーブル収納箱11の外面に接着テープによって貼り付けても良い。
【0019】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、余長保持部20に巻き付けた余長ケーブル15Bを解くことにより、保持を解除すれば良い。
【0020】
以上に述べた第1実施形態によれば、ケーブル用収納箱11の外側面の少なくとも一つである外側面12aから外方へ突出された取り出し口18の突出部分からなる余長保持部20に、余分に引き出された余長ケーブル15Bを巻き付けるだけで余長ケーブル15Bを保持し、余長保持部20における余長ケーブル15Bの保持状態を維持することができる。よって、余長ケーブル15Bの長短に拘わらずケーブル15の絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブル15Bを保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブル15Bの取り出し作業も余長保持部20に巻き付けた余長ケーブル15Bを解けば良いため容易となる。したがって、余長ケーブル15Bを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブル15Bの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0021】
また、余長保持部20が突出方向へ向かって広がっているので、巻き付けた余長ケーブル15Bが余長保持部20に良好に係止される。これにより、巻き付けた余長ケーブル15Bの余長保持部20からの脱落を防止し、保持状態を良好に維持することができる。
【0022】
また、ケーブル15を収納する箱本体12に対して別体の取り出し口18の外方への突出部分を余長保持部20としているため、余長保持部20が劣化して十分な強度を保てなくなってしまった場合に、余長保持部20を構成する取り出し口18を交換することができる。
【0023】
また、段ボールで形成された箱本体12に対して、余長保持部20を構成する取り出し口18が強度の高いプラスチック材料などから形成されているので、余長保持部20の強度低下を防止することができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図5(a)はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の側面図、図5(b)は余長保持部の正面図である。
【0025】
第2実施形態においては、図5(a),(b)に示すように、外側面12aから外方へ突出された取り出し口18の突出部分がテーパ筒状でなく、同一径の円筒状に形成されている。そして、この外側面12aから外方へ突出された取り出し口18の突出部分が余長保持部31とされている。
また、余長保持部31は、その突出方向の端部に、外周側へ突出する鍔部32が周方向にわたって形成されている。さらに、この余長保持部31は、突出方向に沿ってスリット33が形成されている。
【0026】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを余長保持部31のスリット33へ通して余長保持部31の外周側へ引き出す。次いで、余長保持部31の外周側へ引き出した余長ケーブル15Bを、鍔部32よりも外側面12a側における余長保持部31の外周に巻き付ける。このようにすると、余長ケーブル15Bがケーブル用収納箱11の外側面12aに保持される。
なお、余長ケーブル15Bの端部は、外側面12aに形成されたX字状あるいは十字状のスリット23に差し込むことにより係止させる。なお、余長ケーブル15Bの端部は、ケーブル収納箱11の外面に接着テープによって貼り付けても良い。
【0027】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、余長保持部31に巻き付けた余長ケーブル15Bを解くことにより、保持を解除すれば良い。
【0028】
以上に述べた第2実施形態によれば、ケーブル用収納箱11の外側面の少なくとも一つである外側面12aから外方へ突出された取り出し口18の突出部分からなる余長保持部31に、余分に引き出された余長ケーブル15Bを巻き付けるだけで余長ケーブル15Bを保持し、余長保持部31における余長ケーブル15Bの保持状態を維持することができる。よって、余長ケーブル15Bの長短に拘わらずケーブル15の絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブル15Bを保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブル15Bの取り出し作業も余長保持部31に巻き付けた余長ケーブル15Bを解けば良いため容易となる。したがって、余長ケーブル15Bを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブル15Bの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0029】
また、余長保持部31の突出方向の端部に、外周側へ突出する鍔部32が形成されているので、巻き付けた余長ケーブル15Bが余長保持部31に良好に係止される。これにより、巻き付けた余長ケーブル15Bの余長保持部31からの脱落を防止し、保持状態を良好に維持することができる。
【0030】
しかも、余長保持部31に、その突出方向に沿ってスリット33が形成されているので、このスリット33に余長ケーブル15Bを通して余長保持部31の外周へ巻き付けることができる。これにより、余長ケーブル15Bを、余長保持部31の突出方向の端部へ回り込ませることなく余長保持部31へ余長ケーブル15Bを巻き付けて保持させることができ、巻き付け作業の容易化することができる。
【0031】
また、ケーブル15を収納する箱本体12に対して別体の取り出し口18の外方への突出部分を余長保持部31としているため、余長保持部31が劣化して十分な強度を保てなくなってしまった場合に、余長保持部31を構成する取り出し口18を交換することができる。
【0032】
また、段ボールで形成された箱本体12に対して、余長保持部31を構成する取り出し口18が強度の高いプラスチック材料などから形成されているので、余長保持部31の強度低下を防止することができる。
【0033】
なお、第1実施形態に係る余長保持部20においても、その突出方向に沿ってスリットを形成しても良く、この場合も、スリットに余長ケーブル15Bを通して余長保持部20の外周へ巻き付けることができる。これにより、余長ケーブル15Bを、余長保持部20の突出方向の端部へ回り込ませることなく余長保持部20へ余長ケーブル15Bを巻き付けて保持させることができ、巻き付け作業の容易化することができる。
【符号の説明】
【0034】
11:ケーブル用収納箱、12a:外側面、15:ケーブル、15A:8の字束ケーブル、15B:余長ケーブル、18:取り出し口、20,31:余長保持部、32:鍔部、33:スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
前記ケーブルが引き出される筒状の取り出し口が、外側面の少なくとも一つから外方へ突出され、
前記取り出し口の前記外側面からの突出部分が、余分に引き出された余長ケーブルを巻き付け可能な余長保持部とされていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長保持部は、突出方向へ向かって広がっていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長保持部は、突出方向の端部に鍔部が形成されていることを特徴とするケーブル収納箱。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のケーブル用収納箱であって、
前記余長保持部は、突出方向に沿ってスリットが形成されていることを特徴とするケーブル収納箱。
【請求項5】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを、請求項1から4の何れか一項に記載のケーブル用収納箱に設けられた前記余長保持部に巻き付けて保持することを特徴とする余長保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168102(P2010−168102A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14470(P2009−14470)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】