説明

ケーブル繰り出し装置,繰り出し方法,ケーブル巻回装置及び巻回方法

【課題】コイルの搭載数を増やすことができるケーブル繰り出し方法及び繰り出し装置を提供する。
【解決手段】コイル3は、外側ケーブルaを環状をなすよう巻回してなる外側コイルAと、該外側コイルAの内側にて内側ケーブルbを環状をなすよう巻回してなる内側コイルBとを有し、上記外側ケーブルaは、上方に繰り出され、上記内側ケーブルbは、上記外側ケーブルaの旋回軌跡x内でかつ外側,内側コイルの下方を通るように繰り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル,通信ケーブル又は可撓性を有する送水管等のケーブルを巻回してなるコイルからケーブルを連続して繰り出すようにしたケーブル繰り出し装置,繰り出し方法、上記ケーブルをコイルに巻回するケーブル巻回装置及び巻回方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電力線,通信線等のケーブルを海底に布設する場合には、目標とする布設距離に応じた長さのケーブルを巻回してなるコイルをケーブル布設作業用自航船に搭載し、該自航船により海上の布設現場にて上記コイルからケーブルを繰り出しながら海中に沈め、海底に設定された目標布設ラインに沿って布設するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような布設工事では、複数本のケーブルを同時に連続して繰り出して布設する場合がある。この場合、複数のコイルを自航船に並列に搭載し、各コイルからそれぞれケーブルを互いに絡み合わないように繰り出すのが一般的である。
【特許文献1】特開2004−166433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のように、自航船に複数のコイルを並列に搭載する場合には、繰り出し時のケーブル同士の絡みは防止できるものの、必要なコイル搭載面積が大きくなり、結果的に搭載可能のコイル数が限られるという問題がある。このためケーブルの布設本数の如何によっては、コイル搭載基地と布設現場とを往復する必要があり、作業効率が低いとともに、工費が高騰するという問題が生じる。
【0005】
また、工場で生産されたケーブルをコイル状に巻回しながら上述の自航船に搭載する場合にも上述の問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、コイルの搭載数を増やすことができるケーブル繰り出し装置,繰り出し方法及び巻回装置,巻回方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ケーブルを巻回してなるコイルからケーブルをケーブル布設方向に連続して繰り出すようにしたケーブル繰り出し装置において、上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、上記外側ケーブルを上方に繰り出す外側繰り出し機構と、上記内側ケーブルを上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して外方に繰り出す内側繰り出し機構とを備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記外側繰り出し機構は、上記外側コイルの略中心部上方に大略円錐状の旋回軌跡をなすよう旋回可能に配置され、上記外側ケーブルを旋回中心部から上方に案内する外側旋回アーム部と、該案内された外側ケーブルを上記布設方向に搬送する外側ケーブル搬送部とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1において、上記内側繰り出し機構は、上記内側コイルの略中心部に大略m字状の旋回軌跡をなすよう旋回可能に配置され、上記内側ケーブルを上方に立ち上げた後、旋回中心部の下部に案内する内側旋回アーム部と、該案内された内側ケーブルを上記内側旋回アーム部の中心部の下部から上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して上記外側ケーブルの旋回軌跡の外方に送り出す送り出し部と、該送り出された内側ケーブルを上記布設方向に搬送する内側ケーブル搬送部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、ケーブルを巻回してなるコイルからケーブルをケーブル布設方向に連続して繰り出すようにしたケーブル繰り出し方法において、上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、上記外側ケーブルは、上方に繰り出され、上記内側ケーブルは、上記内側コイル及び外側コイルの下方を通って外方に繰り出されることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4において、上記外側ケーブルは、大略円錐状の旋回軌跡をなすよう上方に繰り出され、上記内側ケーブルは、上記外側ケーブルの旋回軌跡内にて上方に繰り出された後、上記内側コイルの中心部から該内側コイル及び外側コイルの下方を通り、さらに上記旋回軌跡の外方を通って上方に繰り出されることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、ケーブルを連続的に巻回してコイルとするケーブル巻回装置において、上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、上記外側ケーブルを上記外側コイル及び内側コイルの上方から下方に案内しつつ巻回して外側コイルとする外側巻回機構と、上記内側ケーブルを上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して内方に案内しつつ巻回して内側コイルとする内側巻回機構とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、ケーブルを連続的に巻回してコイルとするケーブル巻回方法において、上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、上記外側ケーブルは、上記外側コイル及び内側コイルの上方から下方に案内されつつ巻回されて外側コイルとなり、上記内側ケーブルは、上記内側コイル及び外側コイルの下方を通って内方に案内されつつ巻回されて内側コイルとなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,4の発明に係るケーブル繰り出し装置及び方法によれば、外側コイルの内側に内側コイルを配置し、外側ケーブルを上方に繰り出するとともに、内側ケーブルを内側コイル及び外側コイルの下方を通して外方に繰り出すようにしたので、外側ケーブルと内側ケーブルとが絡み合うことなく、外側,内側ケーブルを同時に連続して繰り出すことができる。これにより、例えば海上を航行するケーブル布設船舶や陸上を走行するケーブル布設車両のコイル搭載数を増やすことができ、複数種のケーブルを同時に布設することが可能となり、作業効率を向上できるとともに、工費を低減できる。
【0015】
請求項2,3,5の発明では、上記外側ケーブルは、大略円錐状の旋回軌跡をなすよう上方に繰り出され、上記内側ケーブルは、上記外側ケーブルの旋回軌跡内にて上方に繰り出された後、上記内側コイルの中心部から該内側コイル及び外側コイルの下方を通り、さらに上記旋回軌跡の外方を通って上方に繰り出されるので、外側ケーブルと内側ケーブルとの絡みをより確実に防止できる。
【0016】
請求項6,7の発明によれば、外側ケーブルを外側コイル及び内側コイルの上方から下方に案内しつつ巻回して外側コイルとするとともに、内側ケーブルを内側コイル及び外側コイルの下方を通して内方に案内しつつ巻回して内側コイルとしたので、外側ケーブルと内側ケーブルとが絡み合うことなく、外側,内側ケーブルを同時に連続して巻回することができる。これにより、例えば海上を航行するケーブル布設船舶や陸上を走行するケーブル布設車両へのコイル搭載数を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1ないし図4は、本発明の第1実施形態によるケーブル繰り出し装置及びケーブル繰り出し方法を説明するための図であり、図1は、ケーブル繰り出し装置を備えた自航船の側面図、図2は自航船の平面図、図3,図4はそれぞれケーブル繰り出し装置の側面図である。
【0019】
図において、1はケーブル布設作業用自航船を示している。この自航船1は、船体1aのデッキ1bの船首側に配置された操舵棟2と、該デッキ1bの中央部に搭載された2つのコイルユニット3,3と、船尾側に配置された2つの通信用コイル4,4及び1つの通信用コイル5と、上記デッキ1bの上方に架設されたケーブル繰り出し装置9とを備えている。
【0020】
また上記自航船1は、潮の流れや横波に対する船体位置を安定化させるための船体姿勢安定化装置を備えている。この船体姿勢安定化装置は、上記船体1aの船底1cに配置された4基のスラスタ6と、複数の人工衛星7からの測位情報に基づいて、上記自航船1が海上に設定された布設作業ライン上を常時航行するように上記各スラスタ6の推力及び推力の方向を制御するコントローラ(不図示)とを備えている。
【0021】
そして布設作業ライン上にてケーブル繰り出し装置9により、各コイルユニット3,3からそれぞれケーブルa,bを解きながら船尾に向けて連続して繰り出し、該繰り出された各ケーブルa,bを海中に沈め、海底に設定された目標ケーブル布設ラインに沿って布設することとなる。具体的には、海底にはケーブル埋設機(不図示)が沈められており、該ケーブル埋設機を操舵棟2に備えられた運転制御装置により駆動制御することにより各ケーブルa,bをケーブル布設目標ラインに沿って埋設するようになっている。ここで、上記通信用コイル4及び通信用コイル5についても上記ケーブルa,bと共に繰り出すことにより海底に布設される。
【0022】
上記各コイルユニット3,3は、外側ケーブルaを環状をなすよう巻回してなる外側コイルAと、該外側コイルAの内側に略同軸をなすよう配置され、内側ケーブルbを環状をなすよう巻回してなる内側コイルBとを有する。
【0023】
上記船体1aのデッキ1bには、コイル載置台8が立設されている。該コイル載置台8は、外側コイルAが収容された環状の外側収容部8aと、内側コイルBが収容された環状の内側収容部8bと、該内側,外側収容部8b.8aを支持する脚部8cとを有する。
【0024】
上記ケーブル繰り出し装置9は、各外側コイルA及び内側コイルBからそれぞれ外側ケーブルa,内側ケーブルbを同一方向に連続して繰り出す各繰り出し部10,10と、該繰り出された4本のケーブルa,bをそれぞれパイプライン11a,11a,11b,11bにより個別に船尾に向けて搬送案内する搬送案内部11と、該搬送案内部11の下流側に配置され、各ケーブルa,bを所定の搬送速度でもって個別に移送する各搬送駆動部12と、該搬送駆動部12により移送された各ケーブルa,bをそれぞれ離間させた状態で船尾から海中に送り出す送り出し部13とを備えている。ここで、10′は、通信用コイル4,通信用コイル5を船尾に向けて繰り出す繰り出し部であり、12′は、通信用コイル4及び通信用コイル5を移送する搬送駆動部である。
【0025】
上記外側ケーブルaを搬送する各パイプライン11a,11aは船幅方向一側に平行に配置され、内側ケーブルbを搬送する各パイプライン11b,11bは船幅方向他側に平行に配置されている。各パイプライン11a,11bは、デッキ1b上に架設された架設台14により支持されている。
【0026】
上記各繰り出し部10は、上記外側ケーブルaを上方に大略円錐状の旋回軌跡xをなすよう繰り出す外側繰り出し機構15と、上記内側ケーブルbを上記外側ケーブルaの旋回軌跡x内で、大略m字状の旋回軌跡yをなすように、かつ内側コイルB及び外側コイルAの下方を通して外方に繰り出す内側繰り出し機構16とを備えている。
【0027】
上記外側繰り出し機構15は、上記外側コイルAの中心部上方に大略円錐状の旋回軌跡をなすように旋回可能に配置され、上記外側ケーブルaを旋回中心部から上方に案内する外側旋回アーム部19を備えている。この外側旋回アーム部19は、外側旋回アーム本体19aと、該外側旋回アーム本体19aに固定され、軸受部材17を介して上記架設台14により回転自在に支持された旋回ブラケット18と、該旋回ブラケット18の旋回中心部に連通接続された上記パイプライン(外側ケーブル搬送部)11aとを有する。
【0028】
上記外側旋回アーム本体19aは、鋼材を概ね筒状をなすように組み合わせたものであり、旋回中心部から斜め下方に傾斜させて配置されている。該外側旋回アーム本体19aは、外側コイルAの外周部に沿って旋回しつつ外側ケーブルaを上方に取り出し、旋回ブラケット18の旋回中心部に形成された連通孔18aからパイプライン11aに送り出すようになっている。
【0029】
上記内側繰り出し機構16は、上記内側コイルBの略中心部に大略m字状の旋回軌跡をなすように旋回可能に配置され、上記内側ケーブルbを上方に立ち上げた後、旋回中心部の下部に案内する内側旋回アーム部21と、該案内された内側ケーブルbを上記内側旋回アーム部21の中心部の下部から上記内側コイルB及び外側コイルAの下方を通して上記外側ケーブルaの旋回軌跡xの外方に送り出す送り出し部22とを備えている。
【0030】
上記内側旋回アーム部21は、上記デッキ1bの内側コイルBの中心部に立設された支持柱部20と、該支持柱部20により上記旋回軌跡xの内側にて上記外側旋回アーム本体19aと同じ方向に旋回自在に支持された内側旋回アーム本体21bとを有する。上記送り出し部22は、上記内側旋回アーム本体21bに対向するように配置され、上記支持柱部20内を通って上記内側コイルB及び外側コイルAの下方から上記旋回軌跡xの外側に延びるよう配置された送り出しパイプ22bと、該送り出しパイプ22b内にて上記内側ケーブルbを外方に駆動する駆動機構30とを備えている。
【0031】
上記支持柱部20は、内側コイルBの上面より上方に突出する高さを有し、該支持柱部20の上面には軸受部材23を介して円筒状の旋回部材26が回転自在に支持されている。該旋回部材26に上述の内側旋回アーム本体21bが固定されており、支持柱部20の旋回中心C回りに旋回可能となっている。
【0032】
上記内側旋回アーム本体21bは、パイプ材を下向き略半円形状をなすよう成形したものであり、該内側旋回アーム本体21b本体の旋回中心線Cは、外側旋回アーム本体19aの旋回中心線C′と略一致している。
【0033】
上記内側旋回アーム本体21内及び送り出しパイプ22b内には、内側ケーブルbを繰り出し方向に案内する多数のローラ21a,22aが所定間隔をあけて配置されている。
【0034】
上記送り出しパイプ22bは、パイプ材を大略U字形状をなすように成形したものであり、該送り出しパイプ22bの上流端部は、上記内側旋回アーム本体21bの下流端部に連続するよう支持柱部20内に配置されている。また上記送り出しパイプ22bは、内側旋回アーム本体21bへの対向部から支持柱部20内を下方に延び、該支持柱部20の下部に形成された挿通孔20aからコイル載置台8の下方を通るよう配置され、外側コイルAの外側を上方に延びている。
【0035】
上記内側旋回アーム部21は、内側コイルBの外周部に沿って旋回しつつ内側ケーブルbを旋回軌跡x内にて上方に立ち上げた後、下方に湾曲して送り出しパイプ22b内に繰り出すようになっている。
【0036】
本実施形態によれば、外側コイルA内に内側コイルBを略同軸をなすよう配置し、外側コイルAから外側ケーブルaを上方に略円錐状の旋回軌跡xをなすよう取り出し、上記内側コイルBから内側ケーブルbを外側ケーブルaの旋回軌跡x内で、かつ内側ケーブルB及び外側ケーブルAの下方を通るように外方に繰り出すようにしたので、外側ケーブルaと内側ケーブルbとが絡み合うのを防止でき、該外側,内側ケーブルa,bを同じ方向に同時に連続して繰り出すことができる。これにより、ケーブル布設作業自航船1の搭載可能のケーブル数を増やすことができ、本実施形態の場合4本のケーブルを同時に布設することが可能となり、作業効率を向上でき、工期の短縮,工費の削減を実現できる。
【0037】
本実施形態では、内側ケーブルbを上方に一旦取り出した後、内側コイルBの中心部を通って旋回軌跡xの下方から外側に取り出すようにしたので、内側ケーブルbを、捩じれたり,絡んだりすることなくスムーズにパイプライン11bに送り出すことができる。
【0038】
本実施形態のケーブル繰り出し装置5によれば、外側ケーブルaを上方に大略円錐状の旋回軌跡xをなすように取り出す外側繰り出し機構15と、内側ケーブルbを外側ケーブルaの旋回軌跡xの内側で、かつ内側,外側コイルB,Aの下方を通るように外側に取り出す内側繰り出し機構16とを備えたので、外側ケーブルaと内側ケーブルbとを絡み合うことなく同じ方向に同時に連続して繰り出す複数同時繰り出しを実現できる。
【0039】
本実施形態では、外側繰り出し機構15を、外側コイルAの略中心部上方に旋回自在に配置された外側旋回アーム本体19aと、該外側旋回アーム本体19aから繰り出された外側ケーブルaを搬送するパイプライン11aとを備えたものとしたので、従来から一般的に採用されている繰り出し部材をそのまま利用でき、コストの上昇を抑制できる。
【0040】
本実施形態では、内側繰り出し機構16を、内側コイルB内に立設された支持柱部20と、該支持柱部20により回転自在に支持された内側旋回アーム本体21bと、該旋回アーム本体21bに続いて支持柱部20内を通って旋回軌跡xの下方から外側に延びる送り出しパイプ22bと、該送り出し部22から繰り出された内側ケーブルbを搬送するパイプライン11bとを備えたものとしたので、内側ケーブルbを捩じれたり,絡んだりすることなくスムーズに取り出すことができる。
なお、上記第1実施形態では、ケーブル繰り出し装置9をケーブル布設作業用自航船1に配置した場合を例に説明したが、本発明のケーブル取り出し装置は、タグボートで海上の布設現場に牽引されるケーブル布設作業用台船にも適用でき、さらには陸上を走行するケーブル布設車両にも適用でき、この場合にも上記実施形態と略同様の効果が得られる。
【0041】
また上記第1実施形態では、外側,内側コイルA,Bから外側,内側ケーブルa,bを同時に繰り出す場合を説明したが、本発明の技術思想は、外側,内側ケーブルa,bを外側,内側コイルA,Bに巻回するケーブル巻回装置及びケーブル巻回方法にも適用可能である。このようにしたのが、請求項6,7の発明であり、その第2実施形態を図4を参照しつつ説明する。
【0042】
本第2実施形態に係るケーブル巻回装置,巻回方法は、上記第1実施形態におけるケーブル繰り出し装置9において、ケーブルを逆向きに移送することにより実現できる。
【0043】
本第2実施形態におけるコイルは、外側ケーブルaを環状をなすよう巻回してなる外側コイルAと、内側ケーブルbを該外側コイルAの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルBとを有する。
【0044】
そしてケーブル巻回装置9′は、上記外側ケーブルaを上記外側コイルA及び内側コイルBの上方から下方に案内しつつ巻回して外側コイルAとする外側巻回機構15′と、上記内側ケーブルbを上記内側コイルB及び外側コイルAの下方を通して内方に案内しつつ巻回して内側コイルBとする内側巻回機構16′とを備えている。なお、本実施形態におけるケーブル巻回装置9′,外側巻回機構15′,内側巻回機構16′は、それぞれ上記第1実施形態におけるケーブル繰り出し装置9,外側繰り出し機構15,内側繰り出し機構16に対応している。
【0045】
本第2実施形態では、上記外側ケーブルaは、上記外側コイルA及び内側コイルBの上方から下方に案内されつつ巻回されて外側コイルAとなり、上記内側ケーブルbは、上記内側コイルB及び外側コイルAの下方を通って内方に案内されつつ巻回されて内側コイルBとなる。
【0046】
本第2実施形態では、外側ケーブルaを上方から下方に案内しつつ巻回して外側コイルAとするとともに、内側ケーブルbを内側コイル及び外側コイルの下方を通して内方に案内しつつ巻回して内側コイルBとしたので、外側ケーブルaと内側ケーブルbとが絡み合うことなく、外側,内側ケーブルa,bを同時に連続して巻回することができる。これにより、例えば海上を航行するケーブル布設船舶や陸上を走行するケーブル布設車両に搭載可能のケーブル数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態によるケーブル繰り出し装置が搭載されたケーブル布設作業用自航船の側面図である。
【図2】上記自航船の平面図である。
【図3】上記ケーブル繰り出し装置の側面図である。
【図4】上記ケーブル繰り出し装置の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
9 ケーブル繰り出し装置
11a パイプライン(外側ケーブル搬送部)
11b パイプライン(内側ケーブル搬送部)
15 外側繰り出し機構
16 内側繰り出し機構
19 外側旋回アーム部
20 支持柱部
21 内側旋回アーム部
22 送り出し部
A 外側コイル
B 内側コイル
a 外側ケーブル
b 内側ケーブル
x 外側ケーブルの旋回軌跡
y 内側ケーブルの旋回軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを巻回してなるコイルからケーブルをケーブル布設方向に連続して繰り出すようにしたケーブル繰り出し装置において、
上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、
上記外側ケーブルを上方に繰り出す外側繰り出し機構と、上記内側ケーブルを上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して外方に繰り出す内側繰り出し機構とを備えたことを特徴とするケーブル繰り出し装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記外側繰り出し機構は、上記外側コイルの略中心部上方に大略円錐状の旋回軌跡をなすよう旋回可能に配置され、上記外側ケーブルを旋回中心部から上方に案内する外側旋回アーム部と、
該案内された外側ケーブルを上記布設方向に搬送する外側ケーブル搬送部とを有することを特徴とするケーブル繰り出し装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記内側繰り出し機構は、上記内側コイルの略中心部に大略m字状の旋回軌跡をなすよう旋回可能に配置され、上記内側ケーブルを上方に立ち上げた後、旋回中心部の下部に案内する内側旋回アーム部と、
該案内された内側ケーブルを上記内側旋回アーム部の中心部の下部から上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して上記外側ケーブルの旋回軌跡の外方に送り出す送り出し部と、
該送り出された内側ケーブルを上記布設方向に搬送する内側ケーブル搬送部とを備えていることを特徴とするケーブル繰り出し装置。
【請求項4】
ケーブルを巻回してなるコイルからケーブルをケーブル布設方向に連続して繰り出すようにしたケーブル繰り出し方法において、
上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、
上記外側ケーブルは、上方に繰り出され、上記内側ケーブルは、上記内側コイル及び外側コイルの下方を通って外方に繰り出されることを特徴とするケーブル繰り出し方法。
【請求項5】
請求項4において、
上記外側ケーブルは、大略円錐状の旋回軌跡をなすよう上方に繰り出され、
上記内側ケーブルは、上記外側ケーブルの旋回軌跡内にて上方に繰り出された後、上記内側コイルの中心部から該内側コイル及び外側コイルの下方を通り、さらに上記旋回軌跡の外方を通って上方に繰り出されることを特徴とするケーブル繰り出し方法。
【請求項6】
ケーブルを連続的に巻回してコイルとするケーブル巻回装置において、
上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、
上記外側ケーブルを上記外側コイル及び内側コイルの上方から下方に案内しつつ巻回して外側コイルとする外側巻回機構と、上記内側ケーブルを上記内側コイル及び外側コイルの下方を通して内方に案内しつつ巻回して内側コイルとする内側巻回機構とを備えたことを特徴とするケーブル巻回装置。
【請求項7】
ケーブルを連続的に巻回してコイルとするケーブル巻回方法において、
上記コイルは、外側ケーブルを環状をなすよう巻回してなる外側コイルと、内側ケーブルを該外側コイルの内側にて環状をなすよう巻回してなる内側コイルとを有し、
上記外側ケーブルは、上記外側コイル及び内側コイルの上方から下方に案内されつつ巻回されて外側コイルとなり、上記内側ケーブルは、上記内側コイル及び外側コイルの下方を通って内方に案内されつつ巻回されて内側コイルとなることを特徴とするケーブル巻回方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−136256(P2008−136256A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300079(P2006−300079)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(504274996)一本松物流株式会社 (5)
【Fターム(参考)】