説明

ケーブル類保護案内装置用スケーティング台車

【課題】スケートユニットの進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動に円滑に対応してフレキシビリティを向上させたケーブル類保護案内装置用スケートユニットを提供すること。
【解決手段】ケーブル類Cをケーブル固定端部G1とケーブル移動端部G5との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返されながら保護案内するケーブル類保護案内装置Gの屈曲内周側に相互連結されるスケートユニット110を複数配置してケーブル類保護案内装置Gのケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返された上方保護案内部分G4と下方保護案内部分G2との相互接触を回避しながら転動走行するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100において、スケートユニット110の進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段Jがスケートユニット110の相互間を連結していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、電子機器、産業用ロボット、運搬機械などに使用され、これら移動する機械、あるいは機械の移動部に給電、給液、給気等を行う電線ケーブル、光ファイバーケーブル、流体供給ホースなどの可撓性のケーブルやホース等(以下、単に「ケーブル類」と称する)を安全確実に保護案内するケーブル類保護案内装置に関し、さらに詳しくは、ケーブル類をケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部とケーブル移動端部との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返されながら保護案内するケーブル類保護案内装置の屈曲内周側に相互連結されるスケートユニットを複数配置して前記ケーブル類保護案内装置のケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返された上方保護案内部分と下方保護案内部分との相互接触を回避しながら転動走行するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械、土木機械、搬送装置等の移動体へケーブル類を接続すると、移動体の移動に伴ってケーブル類に無理なねじれや屈曲、引張力が生じてケーブル類を損傷させたり円滑な移動に支障が生じたりする虞れがあるため、これらのケーブル類を収納して保護案内するケーブル類保護案内装置が使用されている。
【0003】
このケーブル類保護案内装置Gは、例えば、図6に示すように、ケーブル類Cをケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部G1とケーブル移動端部G5との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返されながら保護案内することができるように構成され、ケーブル類Cの両側に配置される一対の側面板Gaとこの側面板Gaの屈曲外周側および屈曲内周側にそれぞれ横架される連結杆Gbとで構成されたリンク体が、ケーブル類Cを内挿した状態でケーブル長手方向に屈曲半径を一定以上に規制して多数連結されることにより、ケーブル類Cを保持するようになっている。
【0004】
ところが、上述したようなケーブル類保護案内装置Gは、ケーブル固定端部G1とケーブル移動端部G5との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分G3を介してケーブル長手方向に曲げ返されて長い移動ストロークで移動する場合、ケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返された上方保護案内部分G4とその下側の下方保護案内部分G2との屈曲内周面同士が接触摺動して、円滑な移動ストロークが阻害されたり、相互の接触摩耗により破損し易くなる事態が生じる。
そこで、このような事態を回避するため、図7に示すようなケーブル類保護案内装置Gの下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4との間に挟持されて、これらの直接接触を回避するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車400が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特表2005−515370号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車400は、図8に示すように、スケートユニット410を多数連結して使用され、さらに、このスケートユニット410は、ケーブル類保護案内装置Gの下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4によって上下方向から挟持される前後左右の計4個のローラ412と、これらのローラ412を枢設した左右一対のサイドフレーム413、413と、左右一対のサイドフレーム413、413を所定幅に維持すると共に、前後のスケートユニット410の連結を担う連結ブロック414と、この連結ブロック414に螺刻されたねじ穴に螺合する4本の固定ボルト415を有している。
【0006】
しかしながら、このようなケーブル類保護案内装置用スケーティング台車400は、前後に位置するスケートユニット410が相互に連結ブロック414で接続されて、その連結ブロック414に螺刻されたネジ穴に螺合する固定ボルト415によって完全に固定されているため、スケートユニット410の進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動に対応できずフレキシビリティに欠けるため、ケーブル類保護案内装置Gの上下方向と左右方向に曲がりがあると、図8に示すようなスケートユニット410に無理な力が生じ、変形や破損を生じ易くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、スケートユニットの進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動に円滑に対応してフレキシビリティを向上させたケーブル類保護案内装置用スケートユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本請求項1に係る発明は、ケーブル類をケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部とケーブル移動端部との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返されながら保護案内するケーブル類保護案内装置の屈曲内周側に相互連結されるスケートユニットを複数配置して前記ケーブル類保護案内装置のケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返された上方保護案内部分と下方保護案内部分との相互接触を回避しながら転動走行するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車において、前記スケートユニットの進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段が、前記スケートユニットの相互間を連結していることによって、上記の目的を達成するものである。
【0009】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと、該連結ブロックを軸支して前記左右一対のユニットフレーム間に設けた連結用横架軸とを備えていることによって、上記の目的を達成するものである。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと、該連結ブロックに固定して前記左右一対のユニットフレームに対して摺動自在に突設させた連結用片持ち軸とを備えていることによって、上記の目的を達成するものである。
【0011】
さらに、請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレームに対して横方向に移動可能な間隙を残して並列配置された一対の連結用サイドプレートと、該一対の連結用サイドプレートとユニットフレームの両方又はいずれかに遊嵌させた連結ピンとを備えていることによって、上記の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ケーブル類をケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部とケーブル移動端部との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返されながら保護案内するケーブル類保護案内装置の屈曲内周側に相互連結されるスケートユニットを複数配置して前記ケーブル類保護案内装置のケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返された上方保護案内部分と下方保護案内部分との相互接触を回避しながら転動走行するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車において、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、本請求項1に係る発明によれば、スケートユニットの進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段が、スケートユニットの相互間を連結していることにより、ケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間のケーブル類保護案内装置に多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みをスケートユニットとユニット連結手段との上下方向の相対屈曲によって吸収して上下方向にジグザグ状の連結形態を呈することができ、また、ケーブル類保護案内装置の曲げ返されたケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みをスケートユニットとユニット連結手段との左右方向の相対移動によって吸収して横ズレした連結形態を呈することができるため、連結されたスケートユニットの相互間でフレキシビリティを発揮してスケートユニット自体に生じがちな無理な変形や破損を大幅に抑制でき、ケーブル類保護案内装置の曲げ返されたケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間に介在するようなスケートユニットの設置状態であってもそのメンテナンス作業を大幅に軽減することができる。
【0014】
そして、請求項2に係るケーブル類保護案内装置用スケーティング台車によれば、請求項1記載の発明が奏する効果に加えて、ユニット連結手段がスケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと連結ブロックを軸支して左右一対のユニットフレーム間に設けた連結用横架軸とを備えていることにより、ケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間のケーブル類保護案内装置に多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレームと連結ブロックとの連結用横架軸を中心とした上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができ、また、ケーブル類保護案内装置の曲げ返されたケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレームと連結ブロックとの連結用横架軸に沿って移動可能な間隙の範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができる。
【0015】
また、請求項3に係るケーブル類保護案内装置用スケーティング台車によれば、請求項1記載の発明が奏する効果に加えて、ユニット連結手段がスケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと連結ブロックに固定して前記左右一対のユニットフレームに対して摺動自在に突設させた連結用片持ち軸とを備えていることにより、ケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間のケーブル類保護案内装置に多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレームと連結ブロックとの連結用片持ち軸を中心とした上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができ、また、ケーブル類保護案内装置の曲げ返されたケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、左右一対のユニットフレームに対して連結用片持ち軸に沿って移動可能な間隙の範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができる。
【0016】
さらに、請求項4に係るケーブル類保護案内装置用スケーティング台車によれば、請求項1記載の発明が奏する効果に加えて、ユニット連結手段がスケートユニットを構成する左右一対のユニットフレームに対して横方向に移動可能な間隙を残して並列配置された一対の連結用サイドプレートとこれら一対の連結用サイドプレートとユニットフレームの両方又はいずれかに遊嵌させた連結ピンとを備えていることにより、ケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間のケーブル類保護案内装置に多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレームと連結用サイドプレートとの連結ピンを中心とした上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができ、また、ケーブル類保護案内装置の曲げ返されたケーブル曲げ返し部分とケーブル移動端部との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレームと連結用サイドプレートとの連結ピンに沿って移動可能な間隙の範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニットの相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施例であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車を説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100について、以下に説明する。なお、図1は、本発明の実施例1であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車の使用態様図とその要部拡大図であり、図2は、図1に示すケーブル類保護案内装置用スケーティング台車とその要部拡大図であり、図3は、図2のI−I線で切断した断面図である。
【0019】
まず、本発明の実施例1であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100は、図6に示すように、工作機械、電子機器、産業用ロボット、運搬機械などの移動部に給電、給液、給気等を行う電線ケーブル、光ファイバーケーブル、流体供給ホースなどの可撓性のケーブルやホース等(以下、単に「ケーブル類」と称する)をケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部G1とケーブル移動端部G5との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返されながら安全確実に保護案内するための、ケーブル類Cの両側に配置される一対の側面板Gaとこの側面板Gaの屈曲外周側および屈曲内周側にそれぞれ横架される連結杆Gbとで構成されたリンク体がケーブル類Cを内挿した状態でケーブル長手方向に屈曲半径を一定以上に規制して多数連結されているケーブル類保護案内装置Gに適用するものである。
さらに、その使用態様を詳しく説明すると、本実施例1のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100は、図1に示すような左右一対で向かい合わせに配置されたケーブル類保護案内装置G,Gの屈曲内周側に相互連結されるスケートユニット110を複数配置して、これらの相互に連結されたスケートユニット110がケーブル類保護案内装置Gのケーブル曲げ返し部分G3を介して曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4との相互接触を回避しながら左右一対で配置されたケーブル類保護案内装置G,Gの横方向の往復動に応じて転動走行するものである。
【0020】
本実施例1のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100は、図1乃至図3に示すように、前述したスケートユニット110の進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段Jがスケートユニット110、110の相互間を連結している。
そして、前記ユニット連結手段Jは、図2に示すように、スケートユニット110を構成する左右一対のユニットフレーム111,111間で横方向に移動可能な間隙Xを残して配置された連結ブロック112とこの連結ブロック112を軸支して左右一対のユニットフレーム111,111間に設けた連結用横架軸113とを備えている。
【0021】
すなわち、図1乃至図3に示すように、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4によって挟持されて転動走行する複数のローラ114を軸支したユニットフレーム111とコの字状断面を有する鋼板製の連絡ブロック112とは、これらにそれぞれ穿孔された挿通孔に一本の連結用横架軸113を挿通させ、この連結用横架軸113の両端部にワッシャ115を介してねじ116で固定し、抜け止めしているとともに、前述した横方向に移動可能な間隙Xを左右一対のユニットフレーム111,111間に確保するようになっている。
【0022】
このようにして得られた本実施例1のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100は、ケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間のケーブル類保護案内装置Gに多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを、連結用横架軸113を中心とした左右一対のユニットフレーム111,111と連結ブロック112との上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニット110,110の相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮し、また、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレーム111,111と連結ブロック112との連結用横架軸113に沿って移動可能な間隙Xの範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニット110,110の相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮する。
【0023】
したがって、本実施例1のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100は、スケートユニット110自体に生じがちな無理な変形や破損を大幅に抑制でき、しかも、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間に介在するようなスケートユニット110の設置状態であってもメンテナンス作業を必要とするスケートユニット110を保守可能な位置に簡便に移動させることができるため、そのメンテナンス作業を大幅に軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0024】
次に、図4に示す本発明の実施例2であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車200について、以下に説明する。
まず、本発明の実施例2であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車200は、前述したケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100と同様に、左右一対で向かい合わせに配置されたケーブル類保護案内装置Gの屈曲内周側に複数のスケートユニット210を配置して、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間でケーブル類保護案内装置Gの曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4の相互接触を回避しながら左右一対で向かい合わせに配置されたケーブル類保護案内装置G,Gの横方向の往復動に応じて転動走行するものである。
【0025】
そこで、本実施例2のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車200は、図4に示すように、前述したスケートユニット210の進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段Jがスケートユニット210、210の相互間を連結している。
そして、前記ユニット連結手段Jは、図4に示すように、スケートユニット210を構成する左右一対のユニットフレーム211,211間で横方向に移動可能な間隙Xを残して配置された連結ブロック212とこの連結ブロック212に固定して左右一対のユニットフレーム211,211に対して摺動自在に突設させた連結用片持ち軸213とを備えている。
【0026】
すなわち、図4に示すように、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4によって挟持されて転動走行する複数のローラ214を軸支したユニットフレーム211と鋼板製の連絡ブロック212とは、段付きボルトからなる連結用片持ち軸213がユニットフレーム211を介して連絡ブロック212にねじ込まれて固定され、抜け止めしているとともに、前述した横方向に移動可能な間隙Xを左右一対のユニットフレーム211,211間に確保するようになっている。
そして、前記連結用片持ち軸213となる段付きボルトは、頭部213a、円筒部213b、ねじ部213cからなっている。左右一対のユニットフレーム211,211には、連結用片持ち軸213となる段付きボルトの円筒部213bが挿通する大きさの挿通孔が穿孔されている。さらに、前記円筒部213bの長さは、少なくとも、ユニットフレーム211の厚さよりも間隙X分だけ長くなっている。
【0027】
このようにして得られた本実施例2のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車200は、ケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間のケーブル類保護案内装置Gに多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを、連結用片持ち軸213を中心とした左右一対のユニットフレーム211,211と連結ブロック212との上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニット210,210の相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮し、また、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、左右一対のユニットフレーム211,211に対して連結用片持ち軸213に沿って移動可能な間隙の範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニット210,210の相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮する。
【0028】
したがって、本実施例2のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車200は、前述したケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100と同様に、スケートユニット210自体に生じがちな無理な変形や破損を大幅に抑制でき、しかも、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間に介在するようなスケートユニット210の設置状態であってもメンテナンス作業を必要とするスケートユニット110を保守可能な位置に簡便に移動させることができるため、そのメンテナンス作業を大幅に軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例3】
【0029】
図5に示す本発明の実施例3であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車300について、以下に説明する。
まず、本発明の実施例3であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車300は、前述したケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100、200と同様に、左右一対で配置されたケーブル類保護案内装置Gの屈曲内周側に複数のスケートユニット310を配置してケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間でケーブル類保護案内装置Gの曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4の相互接触を回避しながら左右一対で配置されたケーブル類保護案内装置G,Gの横方向の往復動に応じて転動走行するものである。
【0030】
そこで、本実施例3のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車300は、図5に示すように、前述したスケートユニット310の進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段Jがスケートユニット310,310の相互間を連結している。
そして、前記ユニット連結手段Jは、図5に示すように、スケートユニット310を構成する左右一対のユニットフレーム311,311に対して横方向に移動可能な間隙Xを残して並列配置された一対の連結用サイドプレート312,312と、この一対の連結用サイドプレート312,312とユニットフレーム311,311の両方又はいずれかに遊嵌させた連結ピン313とを備えている。
【0031】
すなわち、図5に示すように、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返された下方保護案内部分G2と上方保護案内部分G4によって挟持されて転動走行する複数のローラ314を軸支したユニットフレーム311と鋼板製の連絡用サイドプレート312とは、これらにそれぞれ穿孔された挿通孔の両方又はいずれかに遊嵌させた連結ピン313を挿通させ、この連結ピン313の両端部に割りピン315を差し込んで固定し、抜け止めしているとともに、前述した横方向に移動可能な間隙Xを左右一対のユニットフレーム311,311間に確保するようになっている。
【0032】
このようにして得られた本実施例3のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車300は、ケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間のケーブル類保護案内装置に多少の上下動による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレーム311,311と連結用サイドプレート312との連結ピン313を中心とした上下方向の相対屈曲によって吸収するため、連結されたスケートユニット310の相互間で上下方向にジグザグ状の連結形態を呈してフレキシビリティを発揮することができ、また、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間で多少の蛇行による曲がりがあったとしても、この曲がりによる曲げ歪みを左右一対のユニットフレーム311,311と連結用サイドプレート312との連結ピン313に沿って移動可能な間隙の範囲内における左右方向の相対移動によって吸収するため、連結されたスケートユニット310,310の相互間で左右方向に横ズレした連結形態を呈してフレキシビリティを発揮する。
【0033】
したがって、本実施例3のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車300は、前述したケーブル類保護案内装置用スケーティング台車100,200と同様に、スケートユニット310自体に生じがちな無理な変形や破損を大幅に抑制でき、しかも、ケーブル類保護案内装置Gの曲げ返されたケーブル曲げ返し部分G3とケーブル移動端部G5との間に介在するようなスケートユニット310の設置状態であってもメンテナンス作業を必要とするスケートユニット110を保守可能な位置に簡便に移動させることができるため、そのメンテナンス作業を大幅に軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車の使用態様図とその要部拡大図。
【図2】図1に示すケーブル類保護案内装置用スケーティング台車とその要部拡大図。
【図3】図2のI−I線で切断した断面図。
【図4】本発明の実施例2であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車とその要部拡大図。
【図5】本発明の実施例3であるケーブル類保護案内装置用スケーティング台車の平面図。
【図6】一般的なケーブル類保護案内装置の概要図。
【図7】従来のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車の使用態様図とその要部拡大図。
【図8】従来のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車の平面図。
【符号の説明】
【0035】
100、200、300 ・・・ ケーブル類保護案内装置用スケーティング台車
110、210、310 ・・・ スケートユニット
111、211、311 ・・・ ユニットフレーム
112、212 ・・・ 連絡ブロック
312 ・・・ 連結用サイドプレート
113 ・・・ 連結用横架軸
213 ・・・ 連結用片持ち軸
213a ・・・ 頭部
213b ・・・ 円筒部
213c ・・・ ねじ部
313 ・・・ 連結ピン
114、214、314 ・・・ ローラ
115 ・・・ ワッシャ
315 ・・・ 割ピン
116 ・・・ ねじ
J ・・・ ユニット連結手段
400 ・・・ ケーブル類保護案内装置用スケーティング台車
410 ・・・ スケートユニット
412 ・・・ ローラ
413 ・・・ サイドフレーム
414 ・・・ 連結ブロック
415 ・・・ 固定ボルト
G ・・・ ケーブル類保護案内装置
Ga ・・・ 側面板
Gb ・・・ 連結杆
G1 ・・・ ケーブル固定端部
G2 ・・・ 下方保護案内部分
G3 ・・・ ケーブル曲げ返し部分
G4 ・・・ 上方保護案内部分
G5 ・・・ ケーブル移動端部
C ・・・ ケーブル類
X ・・・ 間隙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル類をケーブル長手方向に沿って収納してケーブル固定端部とケーブル移動端部との間で順次形成されるケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返されながら保護案内するケーブル類保護案内装置の屈曲内周側に相互連結されるスケートユニットを複数配置して前記ケーブル類保護案内装置のケーブル曲げ返し部分を介して曲げ返された上方保護案内部分と下方保護案内部分との相互接触を回避しながら転動走行するケーブル類保護案内装置用スケーティング台車において、
前記スケートユニットの進行方向に対する上下方向の相互屈曲と左右方向の相対移動を許容するユニット連結手段が、前記スケートユニットの相互間を連結していることを特徴とするケーブル類保護案内装置用スケーティング台車。
【請求項2】
前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと、該連結ブロックを軸支して前記左右一対のユニットフレーム間に設けた連結用横架軸とを備えていることを特徴とする請求項1記載のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車。
【請求項3】
前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレーム間で横方向に移動可能な間隙を残して配置された連結ブロックと、該連結ブロックに固定して前記左右一対のユニットフレームに対して摺動自在に突設させた連結用片持ち軸とを備えていることを特徴とする請求項1記載のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車。
【請求項4】
前記ユニット連結手段が、前記スケートユニットを構成する左右一対のユニットフレームに対して横方向に移動可能な間隙を残して並列配置された一対の連結用サイドプレートと、該一対の連結用サイドプレートとユニットフレームの両方又はいずれかに遊嵌させた連結ピンとを備えていることを特徴とする請求項1記載のケーブル類保護案内装置用スケーティング台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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