説明

ケーブル

【課題】一対の導体間に内部絶縁体を設けることにより、一対の導体同士の接触を防ぎ、過電流が流れることによる電源回路等の損傷を防ぐこと。
【解決手段】ケーブル100は、移動体に搭載されている蓄電池に給電する際に使用される。第1の導体101は、プラス電極に接続する。第2の導体102は、マイナス電極に接続する。第3の絶縁体106は、第1の導体101と第2の導体102との間に配設され、第1の導体101と第2の導体102との接触を妨げる。第4の絶縁体107は、第1の導体101と第2の導体102と第3の絶縁体106とを被う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌等の移動体に給電する際に使用されるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等の蓄電池を動力源として走行する車輌では、搭載されている蓄電池を充電するために、車輌に搭載されている充電器と外部の商用電源または家庭用電源とが給電用のケーブルにより接続される(例えば、特許文献1)。給電用のケーブルには、プラス電極及びマイナス電極と各々接続する一対の導体が設けられている。一対の導体の各々は、絶縁体により被覆されて互いに接触しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−4674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の給電用のケーブルにおいては、充電時に車輌が移動することにより誤って給電用のケーブルを踏んだ際に、各導体を被覆している絶縁体が破損し、ケーブル内の一対の導体が互いに接触する可能性がある。この状態でケーブル内の一対の導体を電源に接続して給電を行った場合には、過電流が流れて電源回路等を破損するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、一対の導体間に内部絶縁体を設けることにより、一対の導体同士の接触を防ぐことができ、過電流が流れることによる電源回路等の損傷を防ぐことができるケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケーブルは、移動体に搭載されている蓄電池に給電する際に使用されるケーブルであって、プラス電極に接続する第1の導体と、マイナス電極に接続する第2の導体と、前記第1の導体と前記第2の導体との間に配設され、前記第1の導体と前記第2の導体との接触を妨げる内部絶縁体と、前記第1の導体と前記第2の導体と前記内部絶縁体とを被う外部絶縁体と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一対の導体間に内部絶縁体を設けることにより、一対の導体同士の接触を防ぐことができ、過電流が流れることによる電源回路等の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における充電システムの構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係るケーブルの断面図
【図3】本発明の実施の形態に係るケーブルに対してX方向に外力を加えた際のケーブルの断面図
【図4】本発明の実施の形態に係るケーブルに対してY方向に外力を加えた際のケーブルの断面図
【図5】本発明の実施の形態の変形例に係るケーブルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
<充電システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態における充電システム1の構成を示す図である。
【0011】
充電システム1は、家屋2、車輌3及びケーブル100を有する。
【0012】
家屋2は、分電盤21及びコンセント22を有する。家屋2は、車輌3の所有者の自宅等である。
【0013】
車輌3は、充電器31及び蓄電池32を有し、蓄電池32を動力源として走行する。車輌3は、例えば電気自動車等の乗用車である。なお、車輌3は、乗用車に限らず、乗用車以外の蓄電池を搭載するフォークリフトまたはクレーン車等であってもよい。
【0014】
ケーブル100は、蓄電池32を充電する際に、コンセント22と充電器31とを接続し、コンセント22から取得した電力を車輌3の充電器31に供給する。
【0015】
分電盤21は、図示しない家庭用電源または商用電源等の交流電源から取得した電力をコンセント22に供給する。
【0016】
コンセント22は、例えば家屋2の内壁に埋め込まれているとともに、分電盤21と接続されており、分電盤21から電力を供給される。
【0017】
充電器31は、蓄電池32を充電する際に、ケーブル100と接続し、ケーブル100を介してコンセント22から取得した電力を蓄電池32に供給する。
【0018】
蓄電池32は、充電器31により供給された電力を蓄える。
【0019】
<ケーブルの構成>
図2は、本発明の実施の形態に係るケーブル100の断面図である。図3は、ケーブル100に対してX方向に外力を加えた際のケーブル100の断面図である。図4は、ケーブル100に対してY方向に外力を加えた際のケーブル100の断面図である。
【0020】
ケーブル100は、第1の導体101、第2の導体102、第1の絶縁体103、第2の絶縁体104、アース線105、第3の絶縁体106(内部絶縁体)及び第4の絶縁体107(外部絶縁体)を有する。
【0021】
第1の導体101は、充電時において図示しない家庭用電源または商用電源等の交流電源のプラス電極と接続される。
【0022】
第2の導体102は、充電時において家庭用電源または商用電源の交流電源のマイナス電極と接続される。
【0023】
第1の絶縁体103は、第1の導体101を被覆して第1の導体101が他の導体と接触しないように第1の導体101を保護する。
【0024】
第2の絶縁体104は、第2の導体102を被覆して第2の導体102が他の導体と接触しないように第2の導体102を保護する。
【0025】
アース線105は、ケーブル100と同軸に設けられている。アース線105は、第1の導体101と第2の導体102との間に配設されている。アース線105は、第3の絶縁体106により被覆されている。
【0026】
第3の絶縁体106は、アース線105を被覆する。第3の絶縁体106は、ケーブル100と同軸に設けられている。第3の絶縁体106は、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104と接している。
【0027】
第3の絶縁体106は、ケーブル100の軸S1に直交する断面(以下、「直交断面」と記載する)において、第1の導体101の外周と第2の導体102の外周とに接するとともに、第1の導体101と第2の導体102との間において交わらない2本の仮想接線m1、m2を横切るように設けられている。第3の絶縁体106は、直交断面において、外周上の2点Q1、Q2を結ぶ最長直線l1の長さr1が、最長直線l1に対して直交する外周上の2点P1、P2を結ぶ直線l2の長さr2よりも長い扁平形状に形成されている。最長直線l1は、2本の仮想接線m1、m2と交わる。ここで、直交断面における扁平形状には、直交断面における楕円形または長方形が含まれる。本実施の形態において、直線l2が仮想接線m1、m2と交わらないように第3の絶縁体106を設けているが、本発明はこれに限らず、最長直線l1と直線l2の双方が仮想接線m1、m2と交わるように第3の絶縁体106を設けてもよい。
【0028】
第4の絶縁体107は、第1の導体101と、第2の導体102と、第1の絶縁体103と、第2の絶縁体104と、アース線105と、第3の絶縁体106とを被覆している。
【0029】
<ケーブルに対して外力を加えた際のケーブルの変形について>
ケーブル100が図3に示す向きで地面gに置かれている状況において、ケーブル100に対してX方向(第1の導体101が第2の導体102に近づく方向)に外力が加えられた際には、第1の導体101、第2の導体102、第1の絶縁体103、第2の絶縁体104、アース線105、第3の絶縁体106及び第4の絶縁体107が潰されて変形する。X方向から加えられる外力は、例えば車輌3の車輪により踏まれた際に車輪からケーブル100に対して加わる力である。
【0030】
しかしながら、ケーブル100には第1の導体101と第2の導体102との間に第3の絶縁体106が設けられているので、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104が損傷しても、第1の導体101と第2の導体102とが接触することを防ぐことができる。さらに、ケーブル100が変形した際の直交断面において、第3の絶縁体106は最長直線l1の長さr1が直線l2の長さr2よりも長い扁平形状に形成されているので、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104が損傷しても、第1の導体101と第2の導体102とが接触することを防ぐことができる。また、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104のみならず、第3の絶縁体106が損傷しても、第1の導体101及び第2の導体102はアース線105に接触するので、アース線105を介して電流をアースすることができる。
【0031】
また、ケーブル100が図4に示す向きで地面gに置かれている状況において、X方向に対して直交するY方向から外力が加えられた際には、第1の導体101、第2の導体102、第1の絶縁体103、第2の絶縁体104、アース線105、第3の絶縁体106及び第4の絶縁体107が潰されて変形する。Y方向から加えられる外力は、例えば車輌3の車輪により踏まれた際に車輪からケーブル100に対して加わる力である。
【0032】
しかしながら、ケーブル100には第1の導体101と第2の導体102との間に第3の絶縁体106が設けられているので、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104が損傷しても、第1の導体101と第2の導体102とが接触することを防ぐことができる。さらに、ケーブル100の変形した際の直交断面において、第1の導体101と第2の導体102とは、第3の絶縁体103により互いに離れる方向に押圧されるので、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104が損傷しても、第1の導体101と第2の導体102とが接触することを防ぐことができる。また、第1の絶縁体103及び第2の絶縁体104のみならず、第3の絶縁体106が損傷しても、第1の導体101及び第2の導体102はアース線105に接触するので、アース線105を介して電流をアースすることができる。
【0033】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、一対の導体間に導体同士の短絡を防ぐ内部絶縁体を設けることにより、一対の導体同士が接触することを防ぐことができるので、過電流が流れることによる電源回路等の損傷を防ぐことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、第1の導体と第2の導体との間にアース線を設けたので、一対の導体の各々を被覆する絶縁体が損傷しても、第1の導体及び第2の導体に流れる電流を、アース線を介してアースすることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、直交断面において、第1の導体の外周と第2の導体の外周とに接するとともに、第1の導体と第2の導体との間で交わらない2本の仮想接線を、横切るように第3の絶縁体を設けたので、ケーブルに対してX方向に外力が加えられた場合に、一対の導体同士が接触することを確実に防ぐことができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、直交断面において第3の絶縁体を扁平形状に形成したので、ケーブルの外径を小さくすることができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、ケーブルに対してY方向に外力が加えられた場合には、第3の絶縁体により第1の導体と第2の導体とが互いに離れる方向に押圧されるので、一対の導体同士が接触することを確実に防ぐことができる。
【0038】
<本実施の形態の変形例>
上記の実施の形態において、アース線を第3の絶縁体により被覆したが、本発明はこれに限らず、アース線を設けずに第3の絶縁体のみを設けてもよいし、アース線を第3の絶縁体で被覆せずに、剥き出しのアース線を設けてもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態において、給電用の導体及びアース線を設けたが、本発明はこれに限らず、給電用の導体及びアース線に加えて、制御信号線等を設けてもよい。
【0040】
また、上記の実施の形態において、交流電源と接続するケーブルにしたが、本発明はこれに限らず、直流電源と接続するケーブルであってもよい。
【0041】
また、上記の実施の形態において、第3の絶縁体は第1の絶縁体及び第2の絶縁体と接するようにしたが、本発明はこれに限らず、第3の絶縁体が第1の絶縁体及び第2の絶縁体と離れていてもよい。この際には、ケーブルに対してY方向から外力が加えられた場合に、第3の絶縁体により第1の導体と第2の導体とが互いに離れる方向に押圧されない場合もあり得る。
【0042】
また、上記の実施の形態において、アース線及び第3の絶縁体をケーブルと同軸に設けたが、本発明はこれに限らず、図5に示す構成を有していてもよい。
【0043】
図5は、本実施の形態の変形例に係るケーブル500の断面図である。なお、図5において、図2と同一構成である部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、アース線105及び第3の絶縁体106がケーブル500の軸S1から外れた位置に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車輌等の移動体に給電する際に使用されるケーブルに好適である。
【符号の説明】
【0046】
100 ケーブル
101 第1の導体
102 第2の導体
103 第1の絶縁体
104 第2の絶縁体
105 アース線
106 第3の絶縁体
107 第4の絶縁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されている蓄電池に給電する際に使用されるケーブルであって、
プラス電極に接続する第1の導体と、
マイナス電極に接続する第2の導体と、
前記第1の導体と前記第2の導体との間に配設され、前記第1の導体と前記第2の導体との接触を妨げる内部絶縁体と、
前記第1の導体と前記第2の導体と前記内部絶縁体とを被う外部絶縁体と、
を具備するケーブル。
【請求項2】
前記内部絶縁体は、
前記ケーブルの軸に直交する断面において、前記第1の導体の外周と前記第2の導体の外周とに接するとともに前記第1の導体と前記第2の導体との間で交わらない2本の仮想接線を横切るように設けられる、
請求項1記載のケーブル。
【請求項3】
前記内部絶縁体は、
外周上の2点を結ぶ前記2本の仮想接線と交わる最長直線の長さが、前記最長直線に対して直交する外周上の2点を結ぶ直線の長さよりも長い扁平形状に形成される、
請求項2記載のケーブル。
【請求項4】
前記内部絶縁体により被覆されるアース線をさらに具備する、
請求項1記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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