説明

ゲームシステム、ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラム

【課題】複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイするゲームにおいて、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように促して、プレイヤー同士の連帯感を高める。
【解決手段】ゲームシステムにおいて、記憶部301は各プレイヤーに対応付けられる進行状態を記憶する。受付部302は各プレイヤーから指示入力を受け付ける。更新部303は、各プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、各プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する。提示部304は各プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する。取得部305は、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを、第1のプレイヤーの進行状態と第2のプレイヤーの進行状態の類似度から取得する。チャット処理部306は計算された明瞭度パラメータを用いて第1のプレイヤーと第2のプレイヤーのチャットを行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイするゲームにおいて、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように促して、プレイヤー同士の連帯感を高めるのに好適なゲームシステム、ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介して互いにコンピュータを接続して同じゲームに参加できる、ネットワークゲーム(オンラインゲーム)が広く普及している。例えば、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)では、数百から数千人規模のプレイヤーが同時に参加でき、広大な仮想空間において、個々に冒険等を楽しむことができる。
【0003】
このMMORPGでは、プレイヤーが自分のキャラクター(自キャラクター)を操作して、敵を倒したり、謎を解いたりしながら、お金(ゲーム内通貨)やアイテムを入手しつつ、自キャラクターを成長(育成)させることができる。また、MMORPGの大きな特徴として、他のプレイヤー(キャラクター)と出会って一緒に冒険したり、会話を楽しんだりすることもできる。
【0004】
なお、このような技術分野においては、他のゲーム端末におけるプレイ状況を簡易に参考表示して、ネットワーク対戦を演出するネットワークゲームシステムの技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
他方、音声や文字などによって、リアルタイムで会話を楽しんだり情報を交換したりできる、いわゆるチャットと呼ばれる仕組みが広く使われている。ネットワークゲームでは、複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイできることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−223084号公報(第5−12頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のMMORPGなどでは、参加するプレイヤーの数が多ければ多いほど、各プレイヤーは、どのプレイヤーと気が合いそうか、どのプレイヤーとの会話が盛り上がりそうか、といったことを把握しづらくなる傾向にあった。そして、チャットの相手がどのようなゲーム状況であるのかは、実際に相手とチャットを始めてからでしか分からないことが多く、結果として、他のプレイヤーとのチャットが億劫になってしまったり、ゲーム全体としての連帯感が阻害されてしまうことがあった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するものであり、複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイするゲームにおいて、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように促して、プレイヤー同士の連帯感を高めるために好適なゲームシステム、ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0010】
本発明の第1の観点に係るゲームシステムは、複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲームシステムであって、記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部を備える。
記憶部には、複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられるゲームの進行状態が記憶される。
受付部は、複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける。
更新部は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する。
提示部は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する。
取得部は、複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する。
チャット処理部は、取得された明瞭度パラメータを用いることにより、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせる。
【0011】
本発明のゲームシステムで行われるゲームは、典型的には、ネットワークで接続されたゲーム装置を用いて複数のプレイヤーが同時に参加してプレイできる、仮想空間内におけるネットワークゲームであり、1人のプレイヤーが1つのゲーム装置を用いてプレイする。ゲーム内容は任意であり、本発明によって限定されない。例えば、ゲーム内容は、複数のプレイヤーがチームを組み、共通の敵と一緒に戦う対戦型戦闘ゲーム、複数のプレイヤーがキャラクターに指示を与えながら協力して所定のミッションを達成することを目的とするロールプレーイングゲーム、などである。
【0012】
プレイヤーは、音声や文字を用いたチャットによって互いにコミュニケーションを取りながらゲームをプレイすることができる。ここで、チャットとは、プレイヤー同士が直接会って会話をするかのように、プレイヤーの一方が情報を発してから他方にその情報が提示されるまでの時間差がないように、リアルタイムで情報をやりとりできる仕組みである。例えば、プレイヤーからキーボード等で文字が入力され、相手のモニターに表示されることによって、文字によるチャットが行われる。また、例えば、プレイヤーが発した音声がマイクロフォンで集音され、相手のスピーカーから音声が出力されることによって、音声によるチャットが行われる。プレイヤー同士は、音声チャットもしくは文字チャットを行って互いに意見を交換したり指示を与えたりしながら、ゲームをプレイする。
【0013】
プレイヤーは、ゲーム中、様々な指示(一般に「コマンド」ともいう。)を入力する。例えば、2つ以上のチームに分かれてプレイヤー同士が戦うゲームでは、同じチームに属する者同士がチャットで連絡を取り合ってコマンドを入力する。例えば、自分が司令官になりきって他のプレイヤーに対して自分の意のままに動かすコマンドを入力し、司令官になった気分を味わう。入力されたコマンドに従ってゲームが進み、ゲームの進行状態がゲームシステムによって逐次記憶され、更新される。
【0014】
ゲームの進行状態は、プレイヤー毎に記憶される。ゲームの進行状態は、例えば、プレイヤーが獲得した点数、経験値、アイテム、プレイヤーのゲームシステムへのログイン日時、ゲーム中にプレイヤーにより選ばれたシナリオや選択肢を示す情報、あるいは、プレイヤーにより選ばれたシナリオや選択肢の履歴など、様々である。また、プレイヤーごとに指示対象となるキャラクターが対応付けられるゲームでは、ゲームの進行状態は、例えば、キャラクターが獲得した点数、経験値、アイテム、キャラクターの仮想空間内の位置、キャラクターがゲーム中に選んだシナリオや選択肢を示す情報、あるいは、キャラクターにより選ばれたシナリオや選択肢の履歴、などでもよい。
【0015】
プレイヤー同士がチャットを行うときには、プレイヤーに対応付けて記憶されるゲームの進行状態が参照される。そして、チャットを行うそれぞれのプレイヤーのゲームの進行状態の類似度が計算され、この類似度によってチャットの環境が変化する。例えば、類似度が高い者同士の音声チャットには雑音が少なく、類似度が低い者同士の音声チャットには雑音が多く入る。また例えば、類似度が高い者同士の文字チャットでは入力された文字列が相手に正しく伝わり、類似度が低い者同士の文字チャットでは入力された文字列に伏せ字が入ったり一部又は全部が他の文字列に入れ替えられたりする。
【0016】
例えば、よりクリアな音声が相手から伝われば、その相手は自分と同程度の点数や経験値等を有するプレイヤーであることが容易に推測される。また例えば、相手から正しく伝わってきた文字列に伏せ字や文字化け等が多く入っていれば、その相手は自分とは異なった選択肢を選んでゲームをプレイしていることが容易に推測される。
【0017】
また、一般に、チャットを行う際、プレイヤーは、より明瞭にメッセージをやりとりできる相手を選ぶものである。本発明では、経験値、ログイン日時、選択肢の選択結果などのゲーム状況が類似したプレイヤー同士が、チャットがよりしやすくなる。従って、本発明によれば、ゲーム状況が類似したプレイヤー同士のチャットが促進される。そして、似た境遇同士でチャットをする機会が増え、プレイヤー同士の連帯感が増す。
【0018】
第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとのチャットは音声チャットによりなされてもよい。
そして、チャット処理部は、明瞭度パラメータに対応付けられる強度もしくは頻度の雑音を、当該音声チャットの音声に混合してもよい。
【0019】
本発明では、例えば、獲得した点数や経験値などが類似している者同士のチャットでは雑音が少ないが、これらの類似度が低下するにつれて雑音が多く入るようになる。また例えば、同じ選択肢を選んだ者同士のチャットには雑音が入らないが、違う選択肢を選んだ者同士のチャットには雑音が入る。あるいは、同じ選択肢を選んだ者同士はチャットができるが、違う選択肢を選んだ者同士はチャットができない。従って、本発明によれば、より明瞭にメッセージをやりとりできる者同士、つまりゲーム状況が類似している者同士のチャットが促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まる。
【0020】
ゲームには複数のキャラクターが登場し、進行状態には当該複数のキャラクターのそれぞれの属性状態が含まれていてもよい。
そして、進行状態の類似度は、複数のキャラクターのそれぞれについての、第1の進行状態における当該キャラクターの属性状態と、第2の進行状態における当該キャラクターの属性状態と、の類似度に基づいて、定められてもよい。
【0021】
すなわち、1人のプレイヤーには1つのキャラクターが対応付けられており、プレイヤーのゲームの進行状態には、自らのキャラクターの属性状態を示す情報が含まれていてもよい。属性状態とは、例えば、キャラクターが獲得した点数、経験値、キャラクターの仮想空間内における位置(座標)、キャラクターが選んだ選択肢を示す情報、などである。本発明によれば、より明瞭にメッセージをやりとりできる者同士、つまりゲーム状況が類似している者同士のチャットが促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まる。例えば、各プレイヤーが所定の複数のキャラクターの中から好きなものを自キャラクターとして選んでプレイできるゲームにおいて、違うキャラクターを選んだ者同士のチャットには雑音が多く入り、同じキャラクターを選んだ者同士のチャットには雑音が少ない、といったようにすると、お互いの嗜好が似ている者同士のチャットが促進される。そして、気の合う者同士の仲間意識が増し、連帯感が高まる。
【0022】
進行状態にはゲームの進行の履歴が含まれていてもよい。
そして、進行状態の類似度は、ゲームの進行の履歴の類似度に基づいて定められてもよい。
【0023】
ゲーム内には、所定の複数のシナリオの中から1つを選ぶといった明示的な選択肢が存在しないこともある。そこで、プレイヤーの属性状態もしくはキャラクターの属性状態が時間の経過とともにどのように変遷していったのかを参考にして、チャットの環境を変化させるのである。本発明によっても、ゲーム状況が類似している者同士のチャットが促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まる。
【0024】
本発明のその他の観点に係るゲーム装置は、複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲーム装置であって、記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部を備える。
記憶部には、当該複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられるゲームの進行状態が記憶される。
受付部は、ゲーム装置のプレイヤー(以下「自プレイヤー」という。)から指示入力を受け付ける。
更新部は、当該自プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該自プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する。
提示部は、当該自プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する。
取得部は、当該自プレイヤーと、当該複数のプレイヤーのうち当該自プレイヤー以外の他のプレイヤー(以下「他プレイヤー」という。)と、の間のチャットの明瞭度パラメータを、当該自プレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該他プレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する。
チャット処理部は、取得された明瞭度パラメータを用いることにより、当該自プレイヤーと当該他プレイヤーとの間でチャットを行わせる。
【0025】
本発明では、1人のプレイヤーにつき1つのゲーム装置が割り当てられ、各ゲーム装置はネットワークを介して接続される。そして、個々のゲーム装置が、記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部として機能する。本発明によっても、ゲーム状況が類似している者同士のチャットが促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まるという効果が得られる。
【0026】
更新部は、当該他プレイヤーに対応付けられ、ゲーム装置とネットワークを介して接続される他のゲーム装置から、当該他プレイヤーに対応付けられるゲームの進行状態を取得し、当該他プレイヤーに対応付けて記憶部に記憶される進行状態を更新してもよい。
【0027】
本発明によれば、ゲーム装置に保持される他プレイヤーのゲームの進行状態が逐次更新されるので、自プレイヤーの進行状態と他プレイヤーの進行状態との類似度をより正確に計算することができる。
【0028】
本発明のその他の観点に係るゲーム処理方法は、記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部を有し、複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲームシステムにて実行されるゲーム処理方法であって、受付ステップ、更新ステップ、提示ステップ、取得ステップ、チャット処理ステップを備える。
記憶部には、複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられるゲームの進行状態が記憶される。
受付ステップでは、受付部が、複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける。
更新ステップでは、更新部が、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する。
提示ステップでは、提示部が、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する。
取得ステップでは、取得部が、複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する。
チャット処理ステップでは、チャット処理部が、取得された明瞭度パラメータを用いることにより、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせる。
【0029】
本発明によれば、ゲーム状況が類似している者同士の通話が促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まる。
【0030】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するコンピュータを、記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部として機能させる。
記憶部には、複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられるゲームの進行状態が記憶される。
受付部は、複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける。
更新部は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する。
提示部は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する。
取得部は、複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する。
チャット処理部は、取得された明瞭度パラメータを用いることにより、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせる。
【0031】
本発明によれば、コンピュータを上述のように動作するゲーム装置として機能させることができる。
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイするゲームにおいて、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように促して、プレイヤー同士の連帯感を高めるために好適なゲームシステム、ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】ゲームシステムの構成を説明するための図である。
【図3】ゲーム装置の機能的な構成を説明するための図である。
【図4】(a)と(b)はゲームの進行状態を示す情報の構成例である。
【図5】ゲームの進行状態を示す情報の構成例である。
【図6】ゲームの進行状態の差異の大きさと、明瞭度パラメータと、の関係を示す図である。
【図7】ゲーム処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ゲームシステムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明のゲームシステムの機能を果たす典型的な情報処理装置100の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0035】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)ドライブ107と、画像処理部108と、音声処理部109と、NIC(Network Interface Card)110と、を備える。
【0036】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ107に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のゲーム装置が実現される。
【0037】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0038】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出して、CPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0039】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0040】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、プレイヤーがダンスゲームやサッカーゲームなどのゲームの実行の際に行う操作入力を受け付ける。インターフェース104には、複数のコントローラ105が接続されていてもよい。
【0041】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲームのプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワークを用いたゲームのチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。プレイヤーは、コントローラ105を介して操作入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0042】
ここで、チャットとは、プレイヤー同士が直接会って会話をするかのように、プレイヤーの一方が情報を発してから他方にその情報が提示されるまでの時間差がないように、リアルタイムで情報をやりとりできる仕組みである。例えば、プレイヤーからキーボード等で文字が入力され、相手のモニターに表示されることによって、文字によるチャット(文字チャット)が行われる。また、例えば、プレイヤーが発した音声がマイクロフォンで集音され、相手のスピーカーから音声が出力されることによって、音声によるチャット(音声チャット)が行われる。
【0043】
DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ107は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0044】
画像処理部108は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部108が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部108が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部108に接続されるモニター(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0045】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0046】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0047】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0048】
また、ゲームの画像などの情報をDVD−ROMに用意しておき、これをフレームメモリに展開することによって、ゲームの様子などを画面に表示することができるようになる。
【0049】
音声処理部109は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカー(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカーから出力させる。
【0050】
音声処理部109では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカーに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0051】
NIC 110は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0052】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0053】
次に、本実施形態のゲームシステム200の構成と、上記の情報処理装置100によって実現されるゲーム装置210の機能的な構成について、説明する。図2に示すように、本実施形態のゲームシステム200には、N個(Nは2以上の整数)のゲーム装置210(図2では、210A,210B,210C,210N等と記載)が含まれる。
【0054】
各ゲーム装置210は、通信ネットワーク260を介して互いに接続される。通信ネットワーク260は、典型的にはインターネットであるが、専用回線、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などでもよい。
【0055】
ゲームシステム200は、複数のプレイヤーが相互に通話可能な、仮想空間内におけるネットワークゲーム(オンラインゲーム)を提供する。例えば、複数のプレイヤーが共同して共通の敵と戦うシミュレーションゲームにおいて、各プレイヤーは、音声や文字等を用いて相互に連絡を取り合いながらゲームを進めることができる。プレイヤー同士が音声や文字入力を用いてコミュニケーションをとることができるシステムを、一般にはチャットという。プレイヤーは、他のプレイヤーとチャットをしながらゲームを進めることができる。ただし、ゲーム内容は本発明によって限定されない。
【0056】
1つのゲーム装置210には、1人のプレイヤー250が対応付けられる。プレイヤー250Aがゲーム装置210Aを操作し、プレイヤー250Bがゲーム装置210Bを操作し、プレイヤー250Cがゲーム装置210Cを操作し、プレイヤー250Nがゲーム装置210Nを操作する。ゲーム装置210Aのプレイヤー250Aは、通信ネットワーク260で繋がった他のゲーム装置210B,210C,210Nのプレイヤー250B,250C,250Nと、互いに遠隔地にいながら一緒にゲームを楽しむことができる。
【0057】
図3は、ゲーム装置210の機能的な構成を示す図である。ゲーム装置210は、記憶部301、受付部302、更新部303、提示部304、取得部305、チャット処理306を備える。本実施形態におけるゲーム装置210A,210B,210C,210Nのハードウェア構成、及び、機能的な構成は、同等である。
【0058】
記憶部301は、各プレイヤー250(図2では250A,250B,250C,250Nと記載)に対応付けられるゲームの進行状態を示す情報を記憶する。RAM 103が、記憶部301として機能する。
【0059】
ゲームの進行状態は、例えば図4(a)に示すように、プレイヤーに関連付けられる属性パラメータが示す値である。属性パラメータは、具体的には、プレイヤーがゲームで獲得した経験値、プレイヤーがゲームシステム200に最も直近にログインした時刻や日付、ゲーム内でプレイヤーが選んだ選択肢の種類(選択結果)、などを示すパラメータである。第1のプレイヤー、第2のプレイヤー、第3のプレイヤー、第Nのプレイヤーのそれぞれについて、経験値、最終ログイン日時、選択結果等を表す属性パラメータが記憶される。
【0060】
なお、ログインとは、予め決められたプレイヤー名と予め決められたパスワードを用いて、正式なプレイヤーとしてゲームシステム200から認証を受け、ゲームに参加することが許可されることを指す。認証は、ネットワーク260内に予め設置された認証サーバ(図示せず)によって行われるのが一般的であるが、ゲーム装置210A〜210Nのうちのいずれか1つが認証サーバの機能を兼ねていてもよい。認証サーバ、もしくは、認証サーバとしての機能を兼務するゲーム装置210は、プレイヤーと対応付けてパスワードを予め記憶する認証データベース(図示せず)を備え、ゲーム装置210A〜210Nからのプレイヤーの認証要求を受け付け、認証結果を通知する構成を有する。
【0061】
また、ゲームの進行状態は、図4(b)に示すように、プレイヤーの指示対象であるプレイヤーキャラクターオブジェクト(以下単に「キャラクター」という。)に関連付けられる属性パラメータが示す値であってもよい。属性パラメータは、具体的には、キャラクターがゲームで獲得した経験値、キャラクターが配置される仮想空間内における位置(座標)、ゲーム内においてキャラクターが選んだ選択肢の種類(選択結果)、などを示すパラメータである。第1のプレイヤーの指示対象である第1のキャラクター、第2のプレイヤーの指示対象である第2のキャラクター、第3のプレイヤーの指示対象である第3のキャラクター、第Nのプレイヤーの指示対象である第Nのキャラクター、のそれぞれについて、経験値、位置、選択結果等を表す属性パラメータが記憶される。
【0062】
ゲームの進行状態は、図5に示すように、ゲームの進行の履歴を示す情報が含まれていてもよい。例えば、仮想世界の中を移動しながらミッションを達成することを目的とするロールプレイングゲームにおいて、1つめの分かれ道(分岐P)、2つめの分かれ道(分岐Q)等における各キャラクター(もしくはキャラクターに対応するプレイヤー)による選択結果の履歴が、ゲームの進行状態としてRAM 103に記憶されていく。
【0063】
また、ゲームには、所定の複数のシナリオの中から1つを選ぶといった明示的な選択肢が存在しないこともある。そこで、CPU 101は、プレイヤーの属性状態もしくはキャラクターの属性状態が時間の経過とともにどのように変遷していったのかをRAM 103に記憶し、随時読み出せるようにすることで、プレイヤーやキャラクターの特性を推測できるようにする。
【0064】
図4(a),(b),図5に示した属性パラメータは、あくまでも例示であり、任意の情報をプレイヤーもしくはキャラクターと対応付けて定義することができる。属性パラメータは、後述の更新部303によって随時更新される。
【0065】
受付部302は、プレイヤー250のそれぞれから指示入力を受け付ける。例えば、プレイヤーは、コントローラ105を用いて、自分に対応付けられるキャラクター(自キャラクター)への指示を入力する。CPU 101は、プレイヤーから指示入力を受け付け、受け付けた指示入力に応じてゲームを進行する。CPU 101とコントローラ105が協働して、受付部302として機能する。
【0066】
更新部303は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、プレイヤーもしくはキャラクターと対応付けて記憶部301に記憶された進行状態を更新する。CPU 101とRAM 103が協働して、更新部303として機能する。
【0067】
例えば図4(a)に示すようにゲームの進行状態が記憶される場合において、プレイヤーが他のプレイヤーとの対戦で勝つと、CPU 101は、対戦前の経験値に、対戦によって得られた点数を加算し、対戦前の経験値を、対戦後の経験値で更新する。また、プレイヤーがゲームシステム200にログインすると、CPU 101は、最終ログイン日時を、今回のログイン日時で更新する。また、プレイヤーが、ゲームで選択するシナリオを変更すると、CPU 101は、変更前のシナリオの選択結果を、変更後のシナリオの選択結果で更新する。
【0068】
例えば図4(b)に示すようにゲームの進行状態が記憶される場合において、自キャラクターが他キャラクターとの戦闘で勝つと、CPU 101は、戦闘前の経験値に、戦闘によって得られた経験値を加算し、戦闘前の経験値を、戦闘後の経験値で更新する。また、キャラクターが仮想空間内を移動すると、CPU 101は、移動前のキャラクターの位置を、移動後のキャラクターの位置で更新する。また、キャラクターもしくはプレイヤーが、ゲームで選択するシナリオを変更すると、CPU 101は、変更前のシナリオの選択結果を、変更後のシナリオの選択結果で更新する。
【0069】
例えば図5に示すようにゲームの進行状態が記憶される場合において、分岐に差し掛かったとき所定の複数の選択肢の中からいずれかの選択肢をキャラクター(もしくはプレイヤー)が選ぶと、CPU 101は、選ばれた選択肢を示す情報をRAM 103に記憶する。例えば、第1のキャラクターが分岐Pで「○○の村」へ進み、次の分岐Qで「△△の港」へ進んだ、というゲームの進行状態の履歴が記憶される。この進行状態の履歴を参照すれば、第1のキャラクターが今まで経てきた道のりをおおよそ推測することができる。
【0070】
各ゲーム装置210には、N人分のプレイヤーの進行状態が記憶され、これらの進行状態は随時更新される。例えば、ゲーム装置210AのCPU 101は、ゲーム装置210AのRAM 103に記憶される、第1のプレイヤーに対応付けられる第1の進行状態を更新すると、更新された第1の進行状態を示す情報、もしくは、第1の進行状態の更新前後の差分を示す情報を、他のゲーム装置210B〜210Nに送信する。ゲーム装置210BのCPU 101は、受信した第1の進行状態を示す情報、もしくは、受信した第1の進行状態の差分を示す情報を用いて、ゲーム装置210BのRAM 103に記憶される第1の進行状態を更新する。このようにして、ゲーム装置210Aに記憶される第1の進行状態と、ゲーム装置210Bに記憶される第1の進行状態との同期が取られる。ゲーム装置210C〜210Nについても同様である。また、第2の進行状態、第3の進行状態、第Nの進行状態等についても同様に同期が取られる。
【0071】
なお、ゲームの進行状態の同期を取るタイミングは、いずれかのプレイヤーの進行状態が更新されたときでもよいし、更新されたか否かに関係なく所定の定期的なタイミングであってもよい。
【0072】
提示部304は、複数のプレイヤーのそれぞれについて、プレイヤーと対応付けて記憶部301に記憶される進行状態を表す情報をプレイヤーに提示する。例えば、CPU 101は、進行状態に対応付けられる画像をモニターに表示したり、進行状態に対応付けられる音声をスピーカーから出力したりすることにより、進行状態をプレイヤーに提示する。CPU 101と画像処理部108(及び/又は音声処理部109)が協働して、提示部304として機能する。
【0073】
取得部305は、複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを、第1のプレイヤーについて記憶部301に記憶される第1の進行状態と、第2のプレイヤーについて記憶部301に記憶される第2の進行状態と、の類似度から、取得する。CPU 101が取得部305として機能する。
【0074】
明瞭度パラメータは、自分が発したメッセージの内容をどの程度明瞭に相手に伝えるか、あるいは、自分に向けられたメッセージがどの程度明瞭に相手から伝わるか、を示す尺度である。例えば音声チャットでは、明瞭度パラメータが大きいほど、雑音が少なく、音声がよりクリアに聞こえる。例えば文字チャットでは、明瞭度パラメータが大きいほど、文字表記がより正確に(入力された通りに)モニターに表示される。
【0075】
ゲーム装置210AのCPU 101は、第1の進行状態と第2の進行状態との類似度に基づいて、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。ゲーム装置210AのCPU 101は、第1の進行状態と第3の進行状態との類似度に基づいて、第1のプレイヤーと第3のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。同様にして、ゲーム装置210AのCPU 101は、第1のプレイヤーと、他の第2〜第Nのプレイヤーのそれぞれと、の間のチャットにおける各明瞭度パラメータを計算する。
【0076】
ゲーム装置210BのCPU 101は、第1の進行状態と第2の進行状態との類似度に基づいて、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。ゲーム装置210BのCPU 101は、第2の進行状態と第3の進行状態との類似度に基づいて、第2のプレイヤーと第3のプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。同様にして、ゲーム装置210BのCPU 101は、第2のプレイヤーと、他の第1及び第3〜第Nのプレイヤーのそれぞれと、の間のチャットにおける各明瞭度パラメータを計算する。
【0077】
ゲーム装置210NのCPU 101は、第1の進行状態と第Nの進行状態との類似度に基づいて、第1のプレイヤーと第Nのプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。ゲーム装置210NのCPU 101は、第2の進行状態と第Nの進行状態との類似度に基づいて、第2のプレイヤーと第Nのプレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算する。同様にして、ゲーム装置210NのCPU 101は、第Nのプレイヤーと、他の第1〜第(N−1)のプレイヤーのそれぞれと、の間のチャットにおける各明瞭度パラメータを計算する。
【0078】
音声チャットでは、明瞭度パラメータが示す値が大きいほど、相手の音声がクリアに聞こえる。文字チャットでは、明瞭度パラメータが示す値が大きいほど、相手が入力した文字が正しく表示される。本実施形態における明瞭度パラメータは、所定の最小値BMINから所定の最大値BMAXまでの間で、可変である。ただし、最小値BMIN及び/又は最大値BMAXを設けなくてもよい。
【0079】
明瞭度パラメータの計算手法には、様々なバリエーションがある。
例えば、CPU 101は、図6に示すように、第1のプレイヤーに対応付けられる第1のキャラクターの経験値(第1の進行状態)と、第2のプレイヤーに対応付けられる第2のキャラクターの経験値(第2の進行状態)と、の差異(横軸の“進行状態の差異の大きさ”)が小さいほど、つまり互いの経験値が近いほど、縦軸に示した明瞭度パラメータを大きくしてもよい。キャラクターの経験値が近いほどプレイヤー同士のチャットに混入するノイズが少なくなり、キャラクターの経験値が離れているほどプレイヤー同士のチャットに混入するノイズが多くなる。
【0080】
CPU 101は、第1のキャラクターの仮想空間における位置(第1の進行状態)と、第2のキャラクターの仮想空間における位置(第2の進行状態)と、の差異が小さいほど、つまり互いの距離が近いほど、明瞭度パラメータを大きくしてもよい。キャラクター同士が近いほどプレイヤー同士のチャットに混入するノイズが少なくなり、キャラクター同士が遠いほどプレイヤー同士のチャットに混入するノイズが多くなる。
【0081】
CPU 101は、キャラクターに与えられるゲームクリア条件(ミッション)が異なる複数のシナリオのうち、選ばれたシナリオが同じキャラクター同士が「類似している」と判別して明瞭度パラメータを「1」にセットし、選ばれたシナリオが異なるキャラクター同士が「類似していない」と判別して明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。キャラクターが選んだシナリオが同じであれば、チャット環境はクリアになる。キャラクターが選んだシナリオが異なれば、チャットにノイズが混入して、相手の音声が聞こえづらくなるか、もしくは、相手の音声が聞こえなくなる。
【0082】
CPU 101は、プレイヤーに提示されるミッションが異なる複数のシナリオのうち、選ばれたシナリオが同じプレイヤー同士が「類似している」と判別して明瞭度パラメータを「1」にセットし、選ばれたシナリオが異なるプレイヤー同士が「類似していない」と判別して明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。プレイヤーによって選ばれたシナリオが同じであれば、チャット環境はクリアになる。プレイヤーによって選ばれたシナリオが異なれば、チャットにノイズが混入して、相手の音声が聞こえづらくなるか、もしくは、相手の音声が聞こえなくなる。
【0083】
CPU 101は、ある分岐点においてキャラクターが選択可能な複数の選択肢のうち、選ばれた選択肢が同じキャラクター同士が「類似している」と判別して明瞭度パラメータを「1」にセットし、選ばれた選択肢が異なるキャラクター同士が「類似していない」と判別して明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。キャラクターによって選ばれた選択肢が同じであれば、チャット環境はクリアになる。キャラクターによって選ばれた選択肢が異なれば、チャットにノイズが混入して、相手の音声が聞こえづらくなるか、もしくは、相手の音声が聞こえなくなる。
【0084】
CPU 101は、ある分岐点においてプレイヤーが選択可能な複数の選択肢のうち、選ばれた選択肢が同じプレイヤー同士が「類似している」と判別して明瞭度パラメータを「1」にセットし、選ばれた選択肢が異なるプレイヤー同士が「類似していない」と判別して明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。プレイヤーが選んだ選択肢が同じであれば、チャット環境ははクリアになる。プレイヤーが選んだ選択肢が異なれば、チャットにノイズが混入して、相手の音声が聞こえづらくなるか、もしくは、相手の音声が聞こえなくなる。
【0085】
チャット処理部306は、取得部306によって取得された通話の明瞭度パラメータを用いて、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせる。チャットは、音声によるもの(音声チャット)であってもよいし、文字によるもの(文字チャット)であってもよい。CPU 101とNIC 110と音声処理部109(及び/又は画像処理部108)が協働して、チャット処理部306として機能させる。
【0086】
より詳細には、音声チャットにおいて、ゲーム装置210AのCPU 101は、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットを開始する際、取得された第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータの大きさに応じて、チャット時に混入させる雑音の大きさ(強度)を変化させる。そして、CPU 101は、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットでやりとりされる音声に、設定された大きさの雑音を混入して、チャット処理を行う。ゲーム装置210B,210C,210Nについても同様である。
【0087】
すなわち、第1のプレイヤーに対応する第1の進行状態と、第2のプレイヤーに対応する第2の進行状態と、の間の類似度が小さいほど、混入される雑音が大きくなり、お互いの音声が聞き取りづらくなる。また、この類似度が大きいほど、混入される雑音が小さくなり、お互いの音声を聞き取りやすくなる。従って、第2のプレイヤーと通話する第1のプレイヤーは、チャット時の音声の聞き取りやすさから、相手のゲームの進行状態が自分のゲームの進行状態にどの程度似ているのかを推測することができる。相手の音声の聞き取りやすさによって、自分と相手の進行状態がどの程度似ているのか(異なるのか)の見当が付けやすくなる。
【0088】
例えば、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときの会話の聞き取りやすさが、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときの会話の聞き取りやすさよりも優れていれば、第1のプレイヤーは、第3のプレイヤーよりも第2のプレイヤーのほうが自分と近い経験値を獲得している、と推測することができる。
また、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときの会話の聞き取りやすさが、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときの会話の聞き取りやすさよりも優れていれば、第1のプレイヤーは、第3のプレイヤーよりも第2のプレイヤーのほうが自分と近い位置にキャラクターがいる、と推測することができる。
また、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときの会話に雑音が混入しており、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときの会話に雑音が混入していなければ、第1のプレイヤーは、第2のプレイヤーとは異なるシナリオや選択肢を選び、第3のプレイヤーと同じシナリオや選択肢を選んだ、と推測することができる。
このように、プレイヤーは、音声チャットを利用可能なゲームにおいて、混入する雑音の大きさから、他人が自分とどれだけ類似した環境でゲームをプレイしているのかを容易に推測できる。
【0089】
CPU 101は、雑音の大きさの代わりに、もしくは、雑音の大きさに加えて、雑音を混入する頻度を調整するようにしてもよい。すなわち、音声チャットにおいて、ゲーム装置210AのCPU 101は、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットを開始する際、取得された第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータの大きさに応じて、通話時に混入させる雑音の頻度を設定する。そして、CPU 101は、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとのチャットでやりとりされる音声に、設定された頻度で雑音を混入して、チャット処理を行う。ゲーム装置210B,210C,210Nについても同様である。
【0090】
第1のプレイヤーに対応する第1の進行状態と、第2のプレイヤーに対応する第2の進行状態と、の間の類似度が小さいほど、雑音がより頻繁に混入される。また、この類似度が大きいほど、雑音が混入される頻度が小さくなる。従って、第2のプレイヤーとチャットをする第1のプレイヤーは、チャット時の音声の聞き取りやすさから、相手のゲームの進行状態が自分のゲームの進行状態にどの程度似ているのかを推定することができる。プレイヤーは、音声チャットを利用可能なゲームにおいて、混入する雑音の頻度から、他人が自分とどれだけ類似した環境でゲームをプレイしているのかを容易に推測できる。
【0091】
文字チャットの場合にも、会話を表す文字列の見やすさから、お互いのゲーム環境の類似さを推測することができる。すなわち、第1のプレイヤーに対応する第1の進行状態と、第2のプレイヤーに対応する第2の進行状態と、の間の類似度が小さいほど、伏せ字や文字化けの箇所が多くなったり頻度が大きくなったりして、お互いのメッセージが読み取りづらくなる。また、この類似度が大きいほど、伏せ字や文字化けの箇所が少なくなったり頻度が小さくなったりして、お互いのメッセージが読み取りやすくなる。従って、第2のプレイヤーとチャットをする第1のプレイヤーは、相手のメッセージの読み取りやすさから、相手のゲームの進行状態が自分のゲームの進行状態にどの程度似ているのかを推測できる。
【0092】
例えば、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときの文字の読み取りやすさが、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときの文字の読み取りやすさよりも優れていれば、第1のプレイヤーは、第3のプレイヤーよりも第2のプレイヤーのほうが自分と近い経験値を獲得している、と推測することができる。
また、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときの文字の読み取りやすさが、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときの文字の読み取りやすさよりも優れていれば、第1のプレイヤーは、第3のプレイヤーよりも第2のプレイヤーのほうが自分と近い位置にキャラクターがいる、と推測することができる。
また、第1のプレイヤーが第2のプレイヤーとチャットをするときに伏せ字や文字化けが混入しており、第1のプレイヤーが第3のプレイヤーとチャットをするときに伏せ字や文字化けが混入していなければ、第1のプレイヤーは、第2のプレイヤーとは異なるシナリオや選択肢を選び、第3のプレイヤーと同じシナリオや選択肢を選んだ、と推測することができる。
このように、プレイヤーは、文字チャットを利用可能なゲームにおいて、混入する伏せ字や文字化け等の量や頻度から、他人が自分とどれだけ類似した環境でゲームをプレイしているのかを容易に推測できる。
【0093】
ところで、一般に、チャットを行うとき、プレイヤーは、明瞭に話が通じる相手を選ぼうとするものである。本実施形態では、チャットをしようとするプレイヤー同士でゲームの展開が異なると、雑音が入ったり文字が正しく表示されなかったりする。一方、チャットをしようとするプレイヤー同士でゲームの展開が共通していれば、チャットの音声や表示が明瞭になる。従って、本実施形態によれば、各プレイヤーは、自ずと、同じゲームの展開を経験した相手とチャットをするようになる。
【0094】
例えば、複数の選択肢(あるいはコマンド)の中からいずれかをプレイヤーに選ばせることにより、その後の展開が分岐されるゲームにおいて、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーが明瞭にチャットができるのであれば、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーは共に同じ場面で同じ選択をしていたことになり、お互い同じようなゲーム展開を経験してきたことになる。
【0095】
ここで、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーが選んだ選択肢が、共に、「自分を含む全プレイヤーに対して与えるコマンド」、すなわち、「自分を司令官に見立てて部下に対して与えるコマンド」であったとする。すると、第1のプレイヤーからは“第2のプレイヤーは自分の命令に従って行動した”と見ることができ、第2のプレイヤーからは“第1のプレイヤーは自分の命令に従って行動した”と見ることができる。選択肢(コマンド)を選んだ後のゲームは、第1のプレイヤーからも第2のプレイヤーからも、自分が与えた指示の通りに展開する。このため、両プレイヤーとも、自分が全プレイヤーに対して命令を与えているかのような気分を味わうことができる。
【0096】
更に、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーがチャットを行ったとしても、「誰が司令官であるか」を直接語るものを除き、チャットの中で語られるゲームの展開には矛盾が生じない。従って、本実施形態によれば、チャットを行える相手を、自分と同じ(もしくは類似する)ゲーム展開を選んだプレイヤーに限定することによって、チャットをしている相手があたかも自分の命令に従う部下であるかのように、プレイヤーに感じさせることも可能になるのである。各プレイヤーは、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように自然と促されることになり、プレイヤー同士の仲間意識や連帯感が高まるという効果が得られる。
【0097】
次に、本実施形態のゲームシステム200を構成するゲーム装置210の上記各部が行うゲーム処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。本実施形態にて行われるゲームは、自キャラクターが指揮官となり、他キャラクターに命令を与え、ゲームシステム200によって制御されるキャラクター(NPC;Non Player Character)と共同して戦うネットワークゲームである。本来は1人の指揮官が部下に命令を与えるゲーム設定なのであるが、プレイヤーは大抵自らが司令官になりたがるものである。そこで、本実施形態では、プレイヤーのそれぞれが自ら司令官になりきってプレイでき、且つ、全体としてなるべく矛盾が生じないようにしている。
【0098】
まず、各ゲーム装置210のCPU 101は、各プレイヤーから指示入力を受け付ける(ステップS701)。指示入力の内容は、例えば、指揮官である自キャラクターからすべての他キャラクターに対する命令や、ゲームに予め用意される複数の選択肢や複数のシナリオの中からいずれか1つを選ぶ指示、などである。
【0099】
CPU 101は、ステップS701で受け付けた指示入力に基づいて、RAM 103に記憶された各プレイヤーのゲームの進行状態を更新し、ゲームを進める(ステップS702)。
【0100】
CPU 101は、ステップS702で更新した各プレイヤーのゲームの進行状態を読み出して取得し(ステップS703)、各プレイヤー間のチャットにおける明瞭度パラメータを計算し、計算結果をRAM 103に一時記憶する(ステップS704)。例えば、第1のプレイヤー250Aが操作するゲーム装置210AのCPU 101は、第1のプレイヤー250Aと、他のプレイヤー250B,250C,250Nと、の間のチャットにおける明瞭度パラメータをそれぞれ計算し、計算結果をRAM 103に一時記憶する。第2のプレイヤー250Bが操作するゲーム装置210BのCPU 101は、第2のプレイヤー250Bと、他のプレイヤー250A,250C,250Nと、の間のチャットにおける明瞭度パラメータをそれぞれ計算する。ゲーム装置210C,210Nについても同様である。
【0101】
なお、図7に示すゲーム処理からステップS703〜S704の処理を分離し、垂直同期割り込み(VSYNC)などの定期的なタイミングで実行される独立した割り込み関数を定義して繰り返し実行するようにしてもよい。
【0102】
次に、CPU 101は、自身のゲーム装置210に対応するプレイヤー(以下「自プレイヤー」という。)へのチャットを開始する旨の要求が、他のゲーム装置210に対応するプレイヤー(以下「他プレイヤー」という。)からあったか否かを判別する(ステップS705)。
【0103】
例えば、CPU 101は、自プレイヤーから他プレイヤーへのチャットを開始する旨の要求を受け付けると、要求があった他プレイヤーに対応するゲーム装置210を、IP(Internet Protocol)アドレス等を手がかりにサーチし、通信が可能か否かを判別する。通信が可能であると判別された場合、CPU 101は、要求があった他プレイヤーに対応するゲーム装置210に、チャットを開始する旨の要求があったことを通知する。第1のプレイヤー250Aが操作するゲーム装置210AのCPU 101は、第1のプレイヤー250Aに対して他のプレイヤー250B,250C,250Nに対応するゲーム装置210B,250C,250Nからチャットを開始する旨の要求が通知されたか否かを判別する。ゲーム装置210B,210C,210Nについても同様である。
【0104】
他プレイヤーからのチャットを開始する旨の要求がないと判別した場合(ステップS705;NO)、CPU 101は、ステップS708の処理に移る。一方、他プレイヤーからのチャットを開始する旨の要求があったと判別した場合(ステップS705;YES)、CPU 101は、自プレイヤーと、要求があった他プレイヤーと、の間のチャットにおける、ステップS704で一時記憶された明瞭度パラメータを、RAM 103から取得する(ステップS706)。
【0105】
なお、ステップS703〜S704の処理を、ステップS706で行うように構成してもよい。すなわち、図7に示すように明瞭度パラメータを予め計算しておくのではなく、自プレイヤーへのチャットを開始する旨の要求があったときに、要求のあった他プレイヤーと自プレイヤーとの間のチャットにおける明瞭度パラメータを逐次計算するようにしてもよい。
【0106】
そして、CPU 101は、ステップS706で取得した明瞭度パラメータを用いて、自プレイヤーと、要求があった他プレイヤーと、の間で、音声もしくは文字によるメッセージの送受信を行う(ステップS707)。つまり、CPU 101は、自身のゲーム装置210と、要求があった他プレイヤーが使用するゲーム装置210と、の間でプレイヤー同士がチャットが行えるようにする。
【0107】
例えば音声チャットの場合には、CPU 101は、マイクロフォンから取得した音声をA/D(Analog/Digital)コンバータによりデジタル化し、チャットを行う相手のプレイヤーが使用するゲーム装置210へ生成した音声データを送信する。また、CPU 101は、チャットを行う相手が使用するゲーム装置210から受信した音声データをD/A(Digital/Analog)コンバータによりアナログ化し、音声をスピーカーから出力する。このとき、CPU 101は、計算された明瞭度パラメータに基づき雑音の大きさや頻度を制御する。出力される音声には、チャットをする者同士の類似度に応じて雑音が混入する。
【0108】
例えば文字チャットの場合には、CPU 101は、コントローラ105から取得したテキストデータをチャットを行う相手が使用するゲーム装置210へ送信する。また、CPU 101は、チャットを行う相手が使用するゲーム装置210から受信したテキストデータが表す文字をモニターへ表示する。このとき、CPU 101は、計算された明瞭度パラメータに基づき伏せ字や文字化けの多さや頻度を制御する。出力される文字列には、チャットをする者同士の類似度に応じて伏せ字や文字化けが混入する。
【0109】
なお、CPU 101は、メッセージの送受信の際、音声データ及び/又はテキストデータを、所定のアルゴリズムにより暗号化して送受信することが望ましい。
【0110】
CPU 101は、ゲームを終了するか否かを判別する(ステップS708)。ゲームを終了すると判別した場合(ステップS708;YES)、ゲームを終了し、ゲームを終了しないと判別した場合(ステップS708;NO)、ステップS701〜S708の処理を繰り返す。
【0111】
本実施形態によれば、プレイヤーは、音声や文字等のやりとりがどの程度明瞭に相手から伝わるかによって、もしくは、音声や文字等のやりとりに雑音等が混ざるか否かによって、自分と他のプレイヤーのゲームの進行状況の類似さを推測することができる。
【0112】
また、一般に、プレイヤーは、より雑音等が少なく明瞭にチャットができる相手を選ぼうとするものである。本実施形態によれば、ゲーム状況が類似したプレイヤー同士がチャットをし易く、逆にゲーム状況が類似していないプレイヤー同士がチャットをしづらく制御される。この結果、自然とゲーム状況が類似しているプレイヤー同士がチャットをするように促される。従って、似た境遇同士の会話が促進され、プレイヤー同士の連帯感が高まる。また、本実施形態のゲームシステムで行われるゲームでは、本来、指揮官が1人しかいないはずであるものの、各プレイヤーが司令官となって他のプレイヤーに行動命令を出ている気分を味わうことができ、しかもゲーム全体として矛盾が生じないように工夫されている。
【0113】
次に、明瞭度パラメータの大小によってチャットの明瞭さが変わる様子を、図4(a),(b),図5を用いて具体的に説明する。
【0114】
プレイヤーの属性状態が図4(a)に示すように定義されている場合:
CPU 101は、プレイヤー同士の経験値の差が小さいほど、明瞭度パラメータを大きくしてもよい。この例では、第1のプレイヤーとの経験値の差は、第3のプレイヤー<第Nのプレイヤー<第2のプレイヤー、の順に大きくなる。従って、第1のプレイヤーが他のプレイヤーとチャットをするときには、第3のプレイヤー<第Nのプレイヤー<第2のプレイヤー、の順に、だんだんと雑音が大きくなったり伏せ字が多くなったりする。第1のプレイヤーにとって、最もチャットをしやすい第3のプレイヤー、つまり自分と経験値が最も近く、ゲームの実力の程が同じくらいの人とのチャットがより促進される。
【0115】
CPU 101は、最終ログイン日時が近いほど、明瞭度パラメータを大きくしてもよい。この例では、第1のプレイヤーの最終ログイン日時との時間差は、第2のプレイヤー<第3のプレイヤー<第Nのプレイヤー、の順に大きくなる。従って、第1のプレイヤーが他のプレイヤーとチャットをするときには、第2のプレイヤー<第3のプレイヤー<第Nのプレイヤー、の順に、だんだんと雑音が大きくなったり伏せ字が多くなったりする。第1のプレイヤーにとって、最もチャットをしやすい第2のプレイヤー、つまり自分と最終ログイン日時が近く、同じ時間帯にゲームを始めた人とのチャットがより促進される。
【0116】
CPU 101は、プレイヤーが選んだシナリオの選択結果が同じであれば明瞭度パラメータを「1」にセットし、プレイヤーが選んだシナリオの選択結果が異なれば明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。この例では、第1のプレイヤーと第Nのプレイヤーが同じシナリオを選んでいるので、第1のプレイヤーと第Nのプレイヤーとのチャットには雑音や伏せ字が入らない。また、第2のプレイヤーと第3のプレイヤーが同じシナリオを選んでいるので、第2のプレイヤーと第3のプレイヤーとのチャットには雑音や伏せ字が入らない。一方、第1のプレイヤーと第3のプレイヤーなど他の組み合わせのチャットには雑音や伏せ字が入る。第1のプレイヤーにとって、最もチャットをしやすい第Nのプレイヤー、つまり自分と同じシナリオを選んだ、嗜好が似ている人とのチャットがより促進される。
【0117】
プレイヤーの属性状態が図4(b)に示すように定義されている場合:
CPU 101は、キャラクター同士の経験値の差が小さいほど、明瞭度パラメータを大きくしてもよい。この例では、第1のキャラクターとの経験値の差は、第3のキャラクター<第Nのキャラクター<第2のキャラクター、の順に大きくなる。従って、第1のプレイヤーが他のプレイヤーとチャットをするときには、第3のプレイヤー<第Nのプレイヤー<第2のプレイヤー、の順に、だんだんと雑音が大きくなったり伏せ字が多くなったりする。第1のプレイヤーにとって、最もチャットをしやすい第3のプレイヤー、つまり同程度の強さのキャラクターを所有している人とのチャットがより促進される。
【0118】
CPU 101は、キャラクター同士が近いほど、明瞭度パラメータを大きくしてもよい。位置の差は、3次元的な距離でもよいし、X座標のみの差、Y座標のみの差、Z座標のみの差、XY平面に射影したときの位置の差、XZ平面に射影したときの位置の差、YZ平面に射影したときの位置の差、などでもよい。各プレイヤーは、所有するキャラクターが近い人とのチャットが促進される。
【0119】
CPU 101は、キャラクターが選んだシナリオの選択結果が同じであれば明瞭度パラメータを「1」にセットし、キャラクターが選んだシナリオの選択結果が異なれば明瞭度パラメータを「0」にセットしてもよい。この例では、第1のキャラクターと第Nのキャラクターが同じシナリオを選んでいるので、第1のプレイヤーと第Nのプレイヤーとのチャットには雑音や伏せ字が入らない。また、第2のプレイヤーと第3のプレイヤーが同じシナリオを選んでいるので、第2のプレイヤーと第3のプレイヤーとのチャットには雑音や伏せ字が入らない。一方、第1のプレイヤーと第3のプレイヤーなど他の組み合わせのチャットには雑音や伏せ字が入る。第1のプレイヤーにとって、最もチャットをしやすい第2のプレイヤーと第Nのプレイヤー、つまり同じシナリオを選び同じようなゲーム展開が予想される人とのチャットが促進される。
【0120】
プレイヤーの属性状態が図5に示すように定義されている場合:
ゲームでは、分岐P、分岐Q、分岐R、分岐S、の順に訪れるものとする。ゲーム開始から分岐Pに至るまで、すべてのプレイヤー同士は自由にチャットができる。ゲームが分岐Pに至ったとき、第1,第2,第3のプレイヤーが「○○の村」へ行くことを選択し、第Nのプレイヤーが「××の町」へ行くことを選択したとすると、第1,第2,第3のプレイヤーは互いに自由にチャットができるが、第1,第2,第3のプレイヤーは第Nのプレイヤーとチャットができないか、もしくは、雑音や伏せ字等が混入してチャットがやりづらい状態となる。
【0121】
さらにゲームが分岐Qに至ったとき、第1,第2のプレイヤーが「△△の港」へ行くことを選択し、第3,第Nのプレイヤーが「××の町」へ行く(残る)ことを選択したとすると、第1,第2のプレイヤーは互いにチャットができるものの、第3のプレイヤーとはチャットができなくなる。また、第3のプレイヤーは第1,第2のプレイヤーとチャットができなくなるものの、第Nのプレイヤーとはチャットができるようになる。各プレイヤーは、同じ選択肢を選んだ人とのチャットが促進される。また、分岐ごとに、チャットがしやすい相手が変化し、チャットがしやすい相手は自分と同じ選択肢を選んだ、自分と嗜好が似ている人であるので、連帯感が高まる。
【0122】
以上のように、ゲームの進行状態に応じて互いのチャットの環境が変化するので、プレイヤーは、他のプレイヤーとの進行状態の違いを直感的に把握することができる。チャット環境が明瞭であれば、進行状態が類似していると推測でき、チャット環境が不明瞭であれば、進行状態が類似していないと推測できる。更に、ゲームの進行状態が似ているプレイヤー同士や、同じような境遇にあるプレイヤー同士、同じようなゲーム展開を経験してきたプレイヤー同士のチャットが促進されることになり、プレイヤー同士の連帯感が高まる効果が得られる。
【0123】
例えば、ロールプレイングゲームにおいて、同じ町を訪れている者同士のみがチャットができるようにしたり、異なった町にいた者同士が合流するとチャットができるようにしたりすることによって、プレイヤーにとってよりリアリティを感じさせるゲームを提供できるようになる。
【0124】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0125】
上記の実施形態では、プレイヤー同士がチャットを行いながらゲームをプレイする場面を想定しているが、チャットの代わりにプレイヤー同士が音声電話や映像付きの電話(テレビ電話)で通話しながらゲームをプレイするときにも応用できる。すなわち、ゲーム装置210は、チャット処理部306の代わりに、他のゲーム装置210との間で音声電話もしくはテレビ電話により通話を行う通話部を備えていてもよい。
【0126】
詳細には、CPU 101は、ゲームをプレイしながら自プレイヤーと他プレイヤーとの間で通話するとき、自プレイヤーと他プレイヤーとの間の明瞭度パラメータを計算する。そして、CPU 101は、計算された明瞭度パラメータが大きいほど、言い換えれば自プレイヤーの進行状態と他プレイヤーの進行状態との差異が小さい(似ている)ほど、相手の音声を聞き取りやすくしたり相手の映像を見やすくしたりしてもよい。あるいは、CPU 101は、計算された明瞭度パラメータが小さいほど、言い換えれば自プレイヤーの進行状態と他プレイヤーの進行状態との差異が大きいほど、相手の音声を聞き取りづらくしたり相手の映像を見づらくしたりしてもよい。
【0127】
上記の実施形態では、複数のゲーム装置210が通信ネットワーク260で繋がれ、各プレイヤーがネットワークゲームをプレイし、プレイヤー同士がチャットを行うケースを例にとって説明した。しかし、図8に示すように、1つのゲーム装置210を用いて複数のプレイヤーがゲームをプレイする場合にも本発明を適用することができる。この場合、ゲームシステム200は、1つのゲーム装置210と、各プレイヤーに割り当てられるコントローラ105とモニターとスピーカーと、から構成される。そして、1つのゲーム装置210が、上述の記憶部301、受付部302、更新部303、提示部304、取得部305、チャット処理部306として機能する。
【0128】
上記のゲームシステム200の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0129】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0130】
以上説明したように、本発明によれば、複数のプレイヤーがチャットをしながらプレイするゲームにおいて、同じゲーム状況のプレイヤー同士がチャットをするように促して、プレイヤー同士の連帯感を高めるために好適なゲームシステム、ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0131】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 DVD−ROMドライブ
108 画像処理部
109 音声処理部
110 NIC
200 ゲームシステム
210,210A,210B,210C,210N ゲーム装置
250,250A,250B,250C,250N プレイヤー
260 通信ネットワーク
301 記憶部
302 受付部
303 更新部
304 提示部
305 取得部
306 チャット処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲームシステムであって、
前記複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられる前記ゲームの進行状態が記憶される記憶部と、
前記複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける受付部と、
前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する更新部と、
前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する提示部と、
前記複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する取得部と、
前記取得された明瞭度パラメータを用いることにより、前記第1のプレイヤーと前記第2プレイヤーとの間でチャットを行わせるチャット処理部と、
を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームシステムであって、
前記第1のプレイヤーと前記第2のプレイヤーとのチャットは音声チャットによりなされ、前記チャット処理部は、前記明瞭度パラメータに対応付けられる強度もしくは頻度の雑音を、当該音声チャットの音声に混合する、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲームシステムであって、
前記ゲームには複数のキャラクターが登場し、前記進行状態には当該複数のキャラクターのそれぞれの属性状態が含まれ、
前記進行状態の類似度は、前記複数のキャラクターのそれぞれについての、前記第1の進行状態における当該キャラクターの属性状態と、前記第2の進行状態における当該キャラクターの属性状態と、の類似度に基づいて、定められる、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のゲームシステムであって、
前記進行状態には前記ゲームの進行の履歴が含まれ、
前記進行状態の類似度は、前記ゲームの進行の履歴の類似度に基づいて定められる、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項5】
複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲーム装置であって、
当該複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられる前記ゲームの進行状態が記憶される記憶部と、
前記ゲーム装置のプレイヤー(以下「自プレイヤー」という。)から指示入力を受け付ける受付部と、
当該自プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該自プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する更新部と、
当該自プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する提示部と、
当該自プレイヤーと、当該複数のプレイヤーのうち当該自プレイヤー以外の他のプレイヤー(以下「他プレイヤー」という。)と、の間のチャットの明瞭度パラメータを、当該自プレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該他プレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する取得部と、
前記取得された明瞭度パラメータを用いることにより、当該自プレイヤーと当該他プレイヤーとの間でチャットを行わせるチャット処理部と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項5に記載のゲーム装置であって、
前記更新部は、当該他プレイヤーに対応付けられ、前記ゲーム装置とネットワークを介して接続される他のゲーム装置から、当該他プレイヤーに対応付けられる前記ゲームの進行状態を取得し、当該他プレイヤーに対応付けて前記記憶部に記憶される進行状態を更新する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
記憶部、受付部、更新部、提示部、取得部、チャット処理部を有し、複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するゲームシステムにて実行されるゲーム処理方法であって、
前記記憶部には、前記複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられる前記ゲームの進行状態が記憶され、
前記受付部が、前記複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける受付ステップと、
前記更新部が、前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する更新ステップと、
前記提示部が、前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する提示ステップと、
前記取得部が、前記複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する取得ステップと、
前記チャット処理部が、前記取得された明瞭度パラメータを用いることにより、前記第1のプレイヤーと前記第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせるチャット処理ステップと、
を備えることを特徴とするゲーム処理方法。
【請求項8】
複数のプレイヤーがプレイ中に相互にチャット可能なゲームを提供するコンピュータを、
前記複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けられる前記ゲームの進行状態が記憶される記憶部、
前記複数のプレイヤーのそれぞれから指示入力を受け付ける受付部、
前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーから受け付けられた指示入力に基づき、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を更新する更新部、
前記複数のプレイヤーのそれぞれについて、当該プレイヤーと対応付けて記憶される進行状態を表す情報を提示する提示部、
前記複数のプレイヤーのうち、第1のプレイヤーと第2のプレイヤーとの間のチャットの明瞭度パラメータを、当該第1のプレイヤーについて記憶される第1の進行状態と、当該第2のプレイヤーについて記憶される第2の進行状態と、の類似度から取得する取得部、
前記取得された明瞭度パラメータを用いることにより、前記第1のプレイヤーと前記第2のプレイヤーとの間でチャットを行わせるチャット処理部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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