説明

ゲームプログラム及びゲーム装置

【課題】任意のオブジェクトに対して色情報に制限されることなく、特殊効果を付与することの出来る、ゲームプログラム及びゲーム装置の提供。
【解決手段】所定のオブジェクト30の画像に対して特殊効果処理を行うように要求する手順、当該オブジェクト30を、3次元仮想空間から他のオブジェクト32と分離した形で、独立的にレンダリングするように指令する手順、特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして、第1投影画像PC1を取得する手順、特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクト32をレンダリングして、第2投影画像PC2を取得する手順、第1投影画像PC1に対して特殊効果処理を施して、処理済み投影画像PC12を生成する手順、処理済み投影画像PC12と第2投影画像PC2を合成して、合成画像PC3を生成取得し、モニタ9に表示する手順からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャラクタなどの3次元オブジェクトに対して、リアルタイムでブラー処理や透明化処理などの特殊効果を付与することの出来る、ゲームプログラム及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゲームプログラムにおいては、1フレームのゲーム画面について、透明度を示すアルファ値が所定値以下の部分の画像を抜き出し、当該抜き出された画像に対してブラー処理を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−216964号公報(第3頁〜第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法では、抜き出す画像を構成するピクセルのアルファ値などの色情報から、ブラー処理などの特殊効果を付与する画像を抜き出す必要があり、特定のキャラクタなどを2次元画像から抜き出して、当該キャラクタに対してブラー処理などの特殊効果を付与するためには、当該キャラクタのアルファ値(R、G、B等の他の色情報でも良い)を所定の値に設定して、当該設定されたアルファ値を目安にして対応するキャラクタの画像をゲーム画像から抜き出す必要がある。
【0005】
これでは、ゲーム画像内でのキャラクタ画像の表現に、例えばアルファ値の設定制限が生じ、自由な表現が出来なくなる不都合が生じる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、ゲーム画像を構成する任意のオブジェクトに対して、アルファ値、R、G、B値などの色情報に制限されることなく、特殊効果を付与することの出来る、ゲームプログラム及びゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、コンピュータ(16)に、
メモリ(3)内に生成された3次元仮想空間内に、複数のオブジェクト(30,32)を配置するオブジェクト配置手順、
該3次元仮想空間に設定された視点位置(VP)を基準にして視点座標系(33)を設定し、前記オブジェクトをレンダリングして前記オブジェクトの投影画像(PC)を生成取得する投影画像生成手順、
前記複数のオブジェクトのうち、1個以上のオブジェクト(30)の画像に対して特殊効果処理を行うように要求する、特殊効果処理要求手順、及び、
前記特殊効果処理の要求されたオブジェクト(30)を、前記3次元仮想空間から他のオブジェクト(32)と分離した形で、独立的にレンダリングするように前記投影画像生成手順に対して指令する、分離レンダリング指令手順、
を実行させるためのプログラムであり、
更に、前記投影画像生成手順は、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして、第1投影画像(PC1)を取得してメモリ(3)に格納する第1投影画像取得手順、及び、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクト(32)をレンダリングして、第2投影画像(PC2)を取得してメモリ(5)に格納する第2投影画像取得手順、を有し、
更に、前記ゲームプログラムは、コンピュータに、
前記第1投影画像(PC1)に対して、前記要求された特殊効果処理を施して、処理済み投影画像(PC12)を生成する、特殊効果処理実行手順、
前記処理済み投影画像(PC12)と前記第2投影画像(PC2)を合成して、合成画像(PC3)を生成取得する合成画像生成手順、及び、
前記合成画像を前記モニタ(9)に表示する表示手順、
を実行させるためのプログラムであることを特徴として構成される。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記特殊効果処理要求手順により特殊効果処理が要求されるオブジェクトは、前記3次元仮想空間内を高速で移動するように設定された、高速移動オブジェクト(30)であることを特徴として構成される。
【0009】
請求項3の発明は、メモリ内に生成された3次元仮想空間内に、複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段、
該3次元仮想空間に設定された視点位置を基準にして視点座標系を設定し、前記オブジェクトをレンダリングして前記オブジェクトの投影画像を生成取得する投影画像生成手段、
前記複数のオブジェクトのうち、1個以上のオブジェクトの画像に対して特殊効果処理を行うように要求する、特殊効果処理要求手段、及び、
前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトを、前記3次元仮想空間から他のオブジェクトと分離した形で、独立的にレンダリングするように前記投影画像生成手段に対して指令する、分離レンダリング指令手段、
を有し、
更に、前記投影画像生成手段は、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして、第1投影画像を取得してメモリに格納する第1投影画像取得手段、及び、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクトをレンダリングして、第2投影画像を取得してメモリに格納する第2投影画像取得手段、を有し、
更に、前記第1投影画像に対して、前記要求された特殊効果処理を施して、処理済み投影画像を生成する、特殊効果処理実行手段、
前記処理済み投影画像と前記第2投影画像を合成して、合成画像を生成取得する合成画像生成手段、及び、
前記合成画像を前記モニタに表示する表示手段、
を有するゲーム装置として構成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び3の発明によれば、特殊効果処理の要求されたオブジェクトは、3次元仮想空間から他のオブジェクトと分離した形で、独立的にレンダリングするように指令され、この指令に基づき、3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして第1投影画像が取得生成され、更に、3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクトは、別にレンダリングして、第2投影画像が生成される。
【0011】
これにより、特殊効果処理を実行すべき画像を、オブジェクトの形で3次元仮想空間から抽出して第1投影画像として、3次元仮想空間に配置されたオブジェクトから直接、得ることが出来る。従って、アルファ値、R、G、B値などの色情報に基づいて、特殊効果処理を行う対象となる画像を、2次元画像から得る必要が無くなり、ゲーム画像内でのキャラクタ画像の表現に、色情報の制限などを付す必要が無くなり、自由な表現が可能となる。
【0012】
また、特殊効果処理は、第1投影画像に対してのみ実行されるので、第2投影画像には、特殊効果処理を行うべき対象となるオブジェクトの画像が生成されていないので、処理済み投影画像と第2投影画像の合成を、第2投影画像に投影された、特殊効果処理を行うべき対象となるオブジェクトの未処理画像に影響されることなく行うことが出来る。これにより、特殊効果処理を行った処理済み投影画像を、正確に合成画像に反映させることが出来、高品位の画像処理が可能なゲームプログラムの提供が可能となる。
【0013】
請求項1及び3の発明によれば、3次元仮想空間内を高速で移動するように設定された、高速移動オブジェクトについて、本発明を適用することにより、ブラー処理等の特殊効果処理を、各フレーム毎、即ち、モニタ9に表示される各1コマ毎の画面について行い、前後のコマを構成する画像を、当該画像の特殊効果処理に際して利用することを無くすことが出来る。従って、前後のコマで、特殊効果処理を施すべきオブジェクトに大きな位置の変動が生じたとしても、そうした位置の変動に特殊効果処理(特に、相前後するコマを重ねることにより実行されるブラー処理)が影響されるようなことをなくすことが出来、高品位のゲームプログラム(GPR)の提供が可能となる。
【0014】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1は、本発明が適用されるゲーム機の制御ブロック図、図2(a)は、3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの一例を示す図、(b)は、(a)の3次元仮想空間内のキャラクタのオブジェクトのみを選択的にレンダリングした図、(c)は、(a)の3次元仮想空間内の背景オブジェクトのみを選択的にレンダリングした図、図3(a)は、キャラクタの画像に対して特殊効果としてのブラー処理を施した状態の一例示す図、(b)は、ブラー処理が施されたキャラクタの画像と、背景オブジェクトの画像を合成した画像の一例を示す図、図4は、図2(a)のフィールド上の各オブジェクトを通常の方法でレンダリングした際の画像の一例を示す図、図5は、特定オブジェクトに対する特殊効果付与のフローチャートの一例である。
【0017】
ゲーム装置20は、図1に示すように、記録媒体としてのROMディスク15に記録された、アドベンチャーゲームなどのゲーム用プログラムに従って、所定のゲームを実行するものである。ゲーム装置20は、マイクロプロセッサを主体として構成されたCPU1と、そのCPU1に対する主記憶装置としての、ROM(リードオンリーメモリ)2およびRAM(ランダムアクセスメモリ)3と、画像処理装置4およびサウンド処理装置6と、それらの装置に対するバッファ5、7と、ROMディスク読取装置8とを有している。ROM2には、ゲーム機の全体の動作制御に必要なプログラムとしてのオペレーティングシステムが書き込まれる。RAM3には記憶媒体としてのROMティスク15から読み取ったゲーム用のプログラムやデータが必要に応じて書き込まれる。画像処理装置4はCPU1から画像データを受け取ってフレームバッファ5上にゲーム画面を描画するとともに、その描画された画像のデータを所定のビデオ再生信号に変換して所定のタイミングでモニタ9に出力する。サウンド処理装置6は、ROMディスク15から読み出されてサウンドバッファ7に記録された音声、楽音等のデータや音源データ等を再生してスピーカ10から出力させる。ROMディスク読取装置8は、CPU1からの指示に従ってROMディスク15上に記録されたプログラムやデータを読み取り、その読み取った内容に対応した信号を出力する。ROMディスク15にはゲームの実行に必要なプログラムやデータが記録されている。モニタ9には家庭用のテレビ受像機が、スピーカ10にはそのテレビ受像機の内蔵スピーカが一般に使用される。
【0018】
さらに、CPU1にはバス14を介して通信制御デバイス11が接続され、そのデバイス11には入力装置としてのコントローラ12及び補助記憶装置13が適宜な接続ポートを介してそれぞれ着脱自在に接続される。コントローラ12は入力装置として機能するものであり、そこにはプレーヤによる操作を受け付ける操作キーなどの操作部材が設けられる。通信制御デバイス11は一定周期(例えば1/60秒)でコントローラ12の操作状態を走査し、その走査結果に対応した信号をCPU1に出力する。CPU1はその信号に基づいてコントローラ12の操作状態を判別する。コントローラ12及び補助記憶装置13は通信制御デバイス11に対して複数並列に接続可能である。
【0019】
以上の構成において、モニタ9、スピーカ10、コントローラ12、ROMディスク15及び補助記憶装置13を除く他の構成要素は所定のハウジング内に一体的に収容されてゲーム機本体16を構成する。このゲーム機本体16がコンピュータとして機能する。
【0020】
ROMディスク15上には、アクションゲーム、ロールプレイングゲームやアドベンチャーゲームなどの、所定のシナリオに従ってゲームが進行するゲームプログラムGPRが格納されている。
【0021】
ゲーム装置20においては、所定の初期化操作(例えば電源の投入操作)が行われるとCPU1がまずROM2のプログラムに従って所定の初期化処理を実行する。初期化が終わるとCPU1はROMディスク15上に格納された、ゲームプログラムGPRの読み込みを開始し、そのプログラムに従ってゲーム処理を開始する。プレーヤが入力装置であるコントローラ12に対して所定のゲーム開始操作を行うと、CPU1はその指示に基づいたゲームプログラムGPRの手順に従ってゲームの実行に必要な種々の処理を開始する。
【0022】
以後、ゲーム装置20は、読み込んだゲームプログラムGPRに従って、所定の処理を行って、モニタ9上に表示される画像を表示制御して、所定のシナリオを進行制御して行く。
【0023】
以上の構成のゲーム装置20では、ROMディスク15に記録されたプログラムをRAM3にロードしてCPU1で実行することにより、様々なジャンルのゲームをディスプレイ9の画面上でプレイすることが出来る。
【0024】
なお、本発明に係るゲームプログラムを機能させるコンピュータとして、例えば家庭用ゲーム機としてのゲーム機1を一例として説明したが、該ゲーム機1は、いわゆる携帯型ゲーム機であってもよく、更に、ゲーム専用の装置でなく、一般的な音楽や映像の記録媒体の再生なども可能な装置であってもよく、これに限らず、コンピュータとして、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話機など、つまりゲームプログラムを機能させることのできるものであれば何れのものでもよい。
【0025】
なお、ゲームプログラムGPRを構成する各種のプログラム及び各種のデータは、ゲームプログラムGPRのプログラム機能によって読み出し自在に有している限り、その格納態様は任意であり、本実施の形態のように、ゲームプログラムGPRのプログラムと共にROMディスク15中に格納するほかに、ゲーム機1とは独立したサーバーなどの外部のメモリ手段に格納しておき、ゲームプログラムGPR中に設けられた読み出しプログラムによって、インターネットなどの通信媒介手段を介してRAM3などのメモリにダウンロードするように構成してもよい。
【0026】
ゲームプログラムGPRによるゲームは、図2に示すように、ゲームプログラムGPRのフィールド生成プログラムFPPにより、CPU1がRAM3内に生成する、3次元仮想空間31内に設定されたフィールドFLD上を、プレーヤが、コントローラ12を介して操作自在なキャラクタ30を移動させながら、敵を倒して、所定のミッションを遂行してゆく、所謂アクションゲームとして設定されている。なお、キャラクタ30は、3次元ポリゴンから構成された3次元ポリゴンモデルから構成されている。
【0027】
これらのフィールドFLD及びキャラクタ30は、ゲームプログラムGPRのシナリオ展開プログラムSDPが、CPU1を介して進行制御するゲームのシナリオ展開に応じて、フィールド生成プログラムFPP及びキャラクタ生成プログラムCPPに生成を指令し、それらフィールド生成プログラムFPP及びキャラクタ生成プログラムCPPが、ゲームプログラムGPRのデータファイルに格納された各種のデータに基づいて、CPU1を介してRAM3内の3次元仮想空間31内に適宜生成配置したものである。
【0028】
なお、図1に示した、ゲームプログラムGPRには、該ゲームプログラムGPRを構成する、本発明に関連するソフトウエア要素のみを記述しており、ゲームプログラムGPRには、図1に記載された以外に、当該ゲームプログラムGPRを用いてゲームを実行する上で必要な多様なプログラム及びデータが格納されている。
【0029】
3次元仮想空間31のフィールドFLD上には、ゲームプログラムGPRの背景処理プログラムBTPによりCPU1が、図2に示すように、樹木、岩、地面などをポリゴンを用いてモデリングし、背景オブジェクト32として生成し、配置している。
【0030】
なお、コントローラ12を介して操作可能な、操作キャラクタをはじめとしたキャラクタ30の数、背景オブジェクト32を構成する個々の樹木、岩などのモデルの数及びその構成態様、更にはその3次元仮想空間31内での配置位置などは全く任意であり、種々変形させることができる。
【0031】
こうして、3次元仮想空間31のフィールドFLD上に、キャラクタ30及び背景オブジェクト32が配置されたところで、ゲームプログラムGPRのシナリオ展開プログラムSDPに基づいて、CPU1を介して所定のシナリオがゲーム中で進行制御され、ゲームが進行してゆく。
【0032】
3次元仮想空間31内のキャラクタ30や背景オブジェクト32の映像は、シナリオ展開プログラムSDPがCPU1を介して制御する、シナリオ展開に応じて、画像生成プログラムPIPに対して、3次元仮想空間31内の適宜な座標位置に設定された視点VPを基準に、モニタ9に表示すべき画像を生成するように指令することにより、後述するように生成される。これを受けて、画像生成プログラムPIPは、図2に示すように、3次元仮想空間31内の視点VP位置を基準にして、視点座標系33を設定し、視点VP位置からZ軸方向に所定距離L1だけ離れた位置に、投影面35を設定する。
【0033】
画像生成プログラムPIPは、視点座標系33のZ軸方向において、視点VPから距離L2の位置に前方クリッピング面36を、距離L3の位置に後方クリッピング面37を設定し、前方クリッピング面36と後方クリッピング面37の間の適宜な距離L1に、前述の投影面35を設定する。そして、前方クリッピング面36と後方クリッピング面37の間に挟まれた空間領域をビューボリューム38として、当該ビューボリューム38に含まれる3次元仮想空間31内に存在するオブジェクトについて、投影面35上に投影して、画像PCを生成する。
【0034】
画像生成プログラムPIPは、CPU1及び画像処理装置4を介して、3次元仮想空間31の前述のビューボリューム38内に位置する、全てのキャラクタ30のオブジェクト及び背景オブジェクト32を投影面35上に公知のZバッファ法などを用いてレンダリングして、フレームバッファ5に、図4に示すように、モニタ9に表示すべき1フレーム分の画像PCとして生成する。
【0035】
通常、画像生成プログラムPIPにより、フレームバッファ5に生成される画像CPは、フィールドFLD上の視点VPからビューボリューム38に内に存在する全てのキャラクタ30及び背景オブジェクト32について、Zバッファ法により取得された映像である。
【0036】
一方、シナリオ展開上、3次元仮想空間31内の、1個以上の適宜なオブジェクト、例えばキャラクタ30のオブジェクトの画像(3次元仮想空間31内に配置された、どのようなオブジェクトの画像でも良い)に対して、ブラー処理や透明化処理などの特殊効果を他の3次元仮想空間31内のオブジェクトとは区別する形で、選択的に与えて、モニタ9に表示する必要が生じる場合がある。こうした場合、シナリオ展開プログラムSDPは、CPU1を介して、ゲームプログラムGPRを構成する特殊効果処理プログラムSEFに対して、シナリオ中で特殊効果を与えるように指示されているオブジェクトに対する特殊効果処理の実行を要求する(図5のステップS1)。
【0037】
これを受けて、特殊効果処理プログラムSEFは、CPU1を介して画像生成プログラムPIPに対して、視点VPからの、3次元仮想空間31のビューボリューム38内におけるレンダリングを、シナリオ展開プログラムSDPから要求された特殊効果処理を施すべきオブジェクトと、当該オブジェクト以外のオブジェクトに分離した形で、独立的にレンダリングするように指令する(図5のステップS2)。
【0038】
フィールドFLD上のオブジェクト(通常は、1個以上のポリゴンからなるポリゴンモデル)は、キャラクタ30のオブジェクトや背景となる樹木や岩石、地面などのそれぞれの背景オブジェクト(ポリゴンモデル)毎に、区別された形でキャラクタ制御プログラムCCPや背景処理プログラムBTPにより管理されている。従って、画像生成プログラムPIPによる、3次元仮想空間31に配置されたオブジェクトについて、特殊効果処理をほどこすオブジェクトを、それ以外のオブジェクトと分離した形で投影面35にレンダリングする処理は、特殊効果処理の要求されらオブジェクト(ポリゴンモデル)に対して、当該オブジェクトを他のオブジェクトから区別するための特別な処理を行わなくても、各オブジェクトを構成するデータを参照することにより、容易に行うことが出来る。
【0039】
こうして、画像生成プログラムPIPにより、3次元仮想空間31のビューボリューム38に配置された複数のオブジェクトについて、CPU1及び画像処理装置4により、特殊効果処理をほどこすように指令されたオブジェクトと、それ以外のオブジェクトが分離された形で投影面35にレンダリングされると、それらレンダリングされた投影画像PCは、図2(b)に示すように、特殊効果処理を施すように指令されたオブジェクト、本実施例の場合、キャラクタ30についてのオブジェクトの投影画像PC1と、図2(c)に示すように、ビューボリューム37から特殊効果処理を施すように指令されたオブジェクトを除外した残りのオブジェクトをレンダリングした投影画像PC2から構成される。それら得られた投影画像PC1及びPC2を、画像生成プログラムPIPは、CPU1及び画像処理装置4を介して、投影画像PC1については、RAM2内の適宜な領域に、投影画像PC2については、フレームバッファ5(RAM3内の適宜な領域に格納しても良い)内にそれぞれ格納する(図5のステップS3)。
【0040】
特殊効果処理プログラムSEFは、RAM2内に格納された、特殊効果処理の要求されたオブジェクトについての投影画像PC1に対して、CPU1を介してシナリオ展開プログラムSDPにより指定されたブラー処理、透明化処理などの特殊効果処理を実行するが、投影画像PC1は、特殊効果処理が要求されたオブジェクトのみを3次元仮想空間31からレンダリングした画像なので、3次元仮想空間31に配置された他のオブジェクトの投影画像PC2に対して何らの影響も与えること無く、図3(a)に示すように、所定の特殊効果処理を投影画像PC2に対し効果的に実行することが出来る(図5のステップS4)。
【0041】
こうして、RAM2内に格納された、特殊効果処理の要求されらオブジェクトであるキャラクタ30の投影画像PC1に対する、ブラー処理、透明化処理などの特殊効果処理が、特殊効果処理プログラムSEFによりCPU1を介して実行され、処理済みの投影画像PC12を得たところで、特殊効果処理プログラムSEFは、当該得られた投影画像PC12を、フレームバッファ5内に、投影画像PC1とは別個に格納された投影画像PC2と合成し、図3(b)に示す合成画像PC3を得る(図6のステップS5)。
【0042】
この画像PC3は、特殊効果処理の要求されたオブジェクトを除外したオブジェクトについて、画像生成プログラムPIPによりレンダリングされた投影画像PC2と、特殊効果処理済みの投影画像P12を合成したものなので、投影画像P12の合成に際して、投影画像PC2に残留したキャラクタ30の、特殊効果処理が行われていない画像(本実施例の場合には、存在しないが、従来の技術を用いた場合には、特殊効果処理が要求されたオブジェクトの画像が、特殊効果処理が施されないままレンダリングされて、画像PC2として残る場合がある)が合成後の合成画像PC3に悪影響を与え、せっかくの特殊効果処理が減殺されるよう事態の発生を、未然に防止することが出来る。
【0043】
こうして、フレームバッファ5内で、画像P2と特殊効果処理済みの画像PC12が、合成されて合成画像PC3が生成されたところで、画像生成プログラムPIPにより、CPU1及び画像処理装置4を介してモニタ9に、当該合成画像PC3が表示される(図6のステップS6)。
【0044】
なお、本発明で説明した技術は、特殊効果処理を施す3次元仮想空間内のオブジェクトが、動きの早いキャラクタ30や、乗り物のモデルのような、3次元仮想空間31内を高速で移動するように設定された高速移動オブジェクトであるような場合に、ブラー処理等の特殊効果処理を、各フレーム毎、即ち、モニタ9に表示される各1コマ毎の画面について行い、前後のコマを構成する画像を、当該画像の特殊効果処理に際して利用することがない。従って、前後のコマで、特殊効果処理を施すべきオブジェクトに大きな位置の変動が生じたとしても、そうした位置の変動に特殊効果処理(特に、相前後するコマを重ねることにより実行されるブラー処理)が影響されるようなことをなくすことが出来、高品位のゲームプログラムGPRの提供が可能となる。
【0045】
以上の実施形態においては、CPU1がゲーム制御装置を構成し、そのCPU1と特定のソフトウエアとの組み合わせによってゲーム制御装置の各種の手段を構成したが、それらの手段の少なくとも一部は論理回路に置換してもよい。また、本発明は家庭用ゲームシステムに限らず、種々の規模のゲームシステムとして構成してよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、コンピュータを利用した電子ゲーム機器及びコンピュータに実行させる娯楽用ゲームプログラムとして利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明が適用されるゲーム機の制御ブロック図。
【図2】図2(a)は、3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの一例を示す図、(b)は、(a)の3次元仮想空間内のキャラクタのオブジェクトのみを選択的にレンダリングした図、(c)は、(a)の3次元仮想空間内の背景オブジェクトのみを選択的にレンダリングした図。
【図3】図3(a)は、キャラクタの画像に対する特殊効果としてのブラー処理を施した状態の一例示す図、(b)は、ブラー処理が施されたキャラクタの画像と、背景オブジェクトの画像を合成した画像の一例を示す図。
【図4】図4は、図2(a)のフィールド上の各オブジェクトを通常の方法でレンダリングした際の画像の一例を示す図。
【図5】図5は、特定オブジェクトに対する特殊効果付与のフローチャートの一例である。
【符号の説明】
【0048】
3……メモリ(RAM)
5……メモリ(フレームバッファ)
9……モニタ
12……コントローラ
16……コンピュータ(ゲーム機本体)
20……ゲーム装置
30……オブジェクト(キャラクタ)
32……背景オブジェクト
33……視点座標系
VP……視点
PC1……第1投影画像
PC12……処理済み投影画像
PC2……第2投影画像
PC3……合成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
メモリ内に生成された3次元仮想空間内に、複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手順、
該3次元仮想空間に設定された視点位置を基準にして視点座標系を設定し、前記オブジェクトをレンダリングして前記オブジェクトの投影画像を生成取得する投影画像生成手順、
前記複数のオブジェクトのうち、1個以上のオブジェクトの画像に対して特殊効果処理を行うように要求する、特殊効果処理要求手順、及び、
前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトを、前記3次元仮想空間から他のオブジェクトと分離した形で、独立的にレンダリングするように前記投影画像生成手順に対して指令する、分離レンダリング指令手順、
を実行させるためのプログラムであり、
更に、前記投影画像生成手順は、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして、第1投影画像を取得してメモリに格納する第1投影画像取得手順、及び、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクトをレンダリングして、第2投影画像を取得してメモリに格納する第2投影画像取得手順、を有し、
更に、前記ゲームプログラムは、コンピュータに、
前記第1投影画像に対して、前記要求された特殊効果処理を施して、処理済み投影画像を生成する、特殊効果処理実行手順、
前記処理済み投影画像と前記第2投影画像を合成して、合成画像を生成取得する合成画像生成手順、及び、
前記合成画像を前記モニタに表示する表示手順、
を実行させるためのプログラムであることを特徴とする、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記特殊効果処理要求手順により特殊効果処理が要求されるオブジェクトは、前記3次元仮想空間内を高速で移動するように設定された、高速移動オブジェクトであることを特徴とする、請求項1記載のゲームプログラム。
【請求項3】
モリ内に生成された3次元仮想空間内に、複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段、
該3次元仮想空間に設定された視点位置を基準にして視点座標系を設定し、前記オブジェクトをレンダリングして前記オブジェクトの投影画像を生成取得する投影画像生成手段、
前記複数のオブジェクトのうち、1個以上のオブジェクトの画像に対して特殊効果処理を行うように要求する、特殊効果処理要求手段、及び、
前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトを、前記3次元仮想空間から他のオブジェクトと分離した形で、独立的にレンダリングするように前記投影画像生成手段に対して指令する、分離レンダリング指令手段、
を有し、
更に、前記投影画像生成手段は、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクトのみを分離した形でレンダリングして、第1投影画像を取得してメモリに格納する第1投影画像取得手段、及び、
前記3次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの内、前記特殊効果処理の要求されたオブジェクト以外のオブジェクトをレンダリングして、第2投影画像を取得してメモリに格納する第2投影画像取得手段、を有し、
更に、前記第1投影画像に対して、前記要求された特殊効果処理を施して、処理済み投影画像を生成する、特殊効果処理実行手段、
前記処理済み投影画像と前記第2投影画像を合成して、合成画像を生成取得する合成画像生成手段、及び、
前記合成画像を前記モニタに表示する表示手段、
を有するゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−68079(P2006−68079A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251892(P2004−251892)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000105637)コナミ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】