説明

ゲーム機の施錠装置

【課題】軽くスムーズに解錠操作を行なうことができるゲーム機の施錠装置を提供する。
【解決手段】第1係合凸部11を有するカム部材10がシリンダ錠7の錠軸7aの先端に、連結杆4と係合可能に取り付けられる。シリンダ錠7の解錠操作によりカム部材10を回動させ連結杆4を摺動させて解錠する施錠装置である。カム部材10の第1係合凸部11を含む全体が、絞り加工により、カム部材10の平面部13を曲面付きの側壁部14により包囲する絞り形状として形成される。第1係合凸部11が連結杆4に係合して解錠動作する際、第1係合凸部11の側壁部14の曲面が連結杆4に接触するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機等のゲーム機の前面枠(前扉)を、本体枠(筐体)に対し施錠するゲーム機の施錠装置に関し、特に、シリンダ錠の錠軸に固定したカム部材の回動に応じて、鉤部材を回動または摺動させて解錠する施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゲーム機の施錠装置として、基枠体の内側に連結杆が摺動可能に配設され、基枠体の支持板の上部と下部に鉤部材が、連結杆に連結されて傾動可能に枢支され、基枠体の取付板の中間部に、シリンダ錠がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差し込むように固定され、錠軸の先端に連結杆と係合するカム板が取り付けられた構成の施錠装置が、下記特許文献1などで知られている。
【0003】
この種の施錠装置では、ゲーム機の本体枠側に、鉤部材が係止される受け金具が取り付けられ、前面枠を閉じた際、鉤部材の傾斜面が受け金具に当たり、その閉鎖力によって鉤部材が一旦解錠側に傾動し、鉤部材の凹部が受け金具の係止部に係合したとき、ばね力により鉤部材が施錠姿勢に戻り、施錠状態となる。また、解錠する場合、シリンダ錠に挿入したキーを回すと、カム板が同方向に回動し、その係合凸部が連結杆の係合部に係合してこれを摺動させ、これにより、鉤部材が傾動し、受け金具との係合が外れ、解錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−2585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の施錠装置に使用される、シリンダ錠の錠軸に固定されたカム板は、通常、厚さ約1.5mm程度の鋼板をカムレバー形状に打ち抜いて平板状に形成される。カム板の平面形状は、通常、2つの係合凸部を側方に突き出した形状であり、シリンダ錠に挿入したキーを回してカム板を回動させたとき、そのうちの1つの係合凸部が連結杆、施錠杆、係止解除部材などに係合してそれを動かし、これに応じて、鉤部材を回動または摺動させて解錠する。
【0006】
カム板は、通常、鋼板を厚さ方向に打ち抜き加工され、その状態で部品として使用されるため、カム板の端面は切断面となっており、カム板の回動時、その切断面が、同様に鋼板を打ち抜きプレス加工された連結杆、施錠杆、係止解除部材などの切断面に係合して、これらの部材を摺動させ或いは回動させる。
【0007】
このため、シリンダ錠に挿入したキーを回して解錠操作した際、カム板のエッジ部分と連結杆、施錠杆、係止解除部材などの被係合部(通常、切断面により形成される)が係合する際、切断面の狭い範囲に荷重が集中する。このため、解錠作動時の摩擦抵抗が増大し、シリンダ錠のキーを回した際、粗い切断面と切断面の摺動によって、解錠操作時に必要とされる荷重が増大する他、使用者にはゴリゴリした違和感が生じやすく、軽くスムーズな解錠操作が阻害される虞があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、軽くスムーズに解錠操作を行なうことができるゲーム機の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1のゲーム機の施錠装置は、横断面を略L字状とした取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の内側に、連結杆が摺動可能に配設され、該支持板の上部と下部に鉤部材が傾動可能に枢支され、該連結杆が上下の該鉤部材に連結され、取付板の一部にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体の内側に挿入して取り付けられ、係合凸部を有するカム部材が該錠軸の先端に該連結杆と係合可能に取り付けられ、該シリンダ錠の解錠操作により該カム部材を回動させ該連結杆を摺動させて解錠するゲーム機の施錠装置において、
該カム部材の該係合凸部を含む全体が、絞り加工により、該カム部材の平面部を曲面付きの側壁部により包囲する絞り形状として形成され、該係合凸部が該連結杆に係合して解錠動作する際、該係合凸部の側壁部の曲面が該連結杆に接触するように構成したことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、シリンダ錠に挿入したキーを回して解錠操作した際、カム部材の係合凸部が連結杆に係合する際、係合凸部の側壁部の曲面が連結杆に接触し、連結杆を摺動させて解錠動作するため、カム部材にかかる荷重が曲面に分散され、カム部材の係合凸部と連結杆の摩擦抵抗は小さく、使用者は軽くスムーズに解錠操作をすることができる。また、絞り加工されるカム部材は、従来の鋼板打ち抜きのカム部材より大幅に薄い鋼板を加工して製造できるため、施錠装置の軽量化を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項2のゲーム機の施錠装置は、横断面を略L字状とした取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の内側に、上部と下部に鉤部を突設した縦長の施錠杆が摺動可能に配設され、取付板の一部にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体の内側に挿入して取り付けられ、係合凸部を有するカム部材が該錠軸の先端に該施錠杆と係合可能に取り付けられ、該シリンダ錠の解錠操作により該カム部材を回動させ該施錠杆を摺動させて解錠するゲーム機の施錠装置において、
該カム部材の該係合凸部を含む全体が、絞り加工により、該カム部材の平面部を曲面付きの側壁部により包囲する絞り形状として形成され、該係合凸部が該連結杆に係合して解錠動作する際、該係合凸部の側壁部の曲面が該施錠杆に接触するように構成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、シリンダ錠に挿入したキーを回して解錠操作した際、カム部材の係合凸部が施錠杆に係合する際、係合凸部の側壁部の曲面が施錠杆に接触し、施錠杆を摺動させて解錠動作するため、カム部材にかかる荷重が曲面に分散され、カム部材の係合凸部と施錠杆の摩擦抵抗は小さく、使用者は軽くスムーズに解錠操作をすることができる。また、絞り加工されるカム部材は、従来の鋼板打ち抜きのカム部材より大幅に薄い鋼板を加工して製造できるため、施錠装置の軽量化を図ることができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、上記請求項1または2のゲーム機の施錠装置において、上記カム部材の略中央に、上記シリンダ錠の錠軸に嵌合する嵌合孔が形成され、該嵌合孔は両側に平坦部を設けた略小判形に形成され、該小判形の嵌合孔の両側の平坦部には、該嵌合孔の縁部を表面側または裏面側に折り曲げて折り曲げ部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、シリンダ錠の錠軸の先端に、カム部材を取り付ける際、該カム部材の嵌合孔を該錠軸の先端の両側に切欠部を設けた部分に嵌合させ、その状態で固定ねじを錠軸の先端のねじ孔にねじ込み固定する際、錠軸先端の切欠部に両側の折り曲げ部をガタツキなく嵌め込み、且つ折り曲げ部を固定ねじの頭部で確実に押さえ、カム部材を錠軸の先端部に強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゲーム機の施錠装置によれば、軽くスムーズに解錠操作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す施錠装置の右側面図である。
【図2】同施錠装置の拡大部分背面図である。
【図3】同装置のシリンダ錠とカム部材近傍の部分拡大斜視図である。
【図4】カム部材の表面の拡大斜視図(a)、その裏面の拡大斜視図(b)である。
【図5】図2のV-V拡大部分断面図である。
【図6】他の実施形態のカム部材における表面側の拡大斜視図(a)、その裏面側の拡大斜視図(b)である。
【図7】同カム部材における図5に対応した拡大部分断面図である。
【図8】他の実施形態の施錠装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はゲーム機用施錠装置の右側面図を示し、図2はその部分拡大背面図を、図3その部分拡大斜視図を示している。施錠装置の基本フレームを形成する基枠体1は、金属板をプレス加工して略チャンネル材状に縦長に形成され、基枠体1には、図5に示す如く、横断面を略L字状に曲折された取付板2と支持板3が設けられる。取付板2の中間部には図2のように幅を広くした幅広部がシリンダ錠7を取り付けるために設けられる。その取付板2の幅広部にシリンダ錠7の取付用の開口孔が設けられ、そこにシリンダ錠7がその錠軸7aを基枠体1の内側に挿入するように取り付けられている。
【0018】
図2に示すように、背面視で取付板2の右側の縁部に支持板3が背面側に直角に曲折して設けられ、この支持板3の上部と下部近傍に幅広部が形成され、その幅広部分に、図1に示す如く、フック状に形成された鉤部材5、6が枢軸5a、6aにより回動可能に軸支される。基枠体1を鉛直状態とした状態の支持板3に対し、上下の鉤部材5,6は、各々略水平横方向に突出した状態で停止し、且つその状態から下側に回動(傾動)可能に、枢軸5a,6aによって枢支されている。
【0019】
さらに、基枠体1の支持板3の内側に沿って帯状の連結杆4が摺動可能に配設される。連結杆4はその上端部が上側の鉤部材5の末端部に連結軸5bを介して連結され、連結杆4の下端部は下側の鉤部材6の末端部に連結軸6bを介して連結される。これにより、連結杆4が上方に摺動することにより、上部と下部の鉤部材5、6は、共に下側の解錠位置に傾動するようになっている。
【0020】
図2に示す如く、取付板2の幅広部に取り付けられるシリンダ錠7近傍の支持板3は背面視右側に膨出する形状となっており、連結杆4についても、シリンダ錠7近傍部分は、支持板3に沿って右側に膨出し、シリンダ錠7の錠軸7aのカム部材10の側部を連結杆4が通るようになっている。
【0021】
図1のように、連結杆4の中間部にガイド孔4bが長手方向(上下方向)にそって形成され、そのガイド孔4bにガイドピン4cが挿通されて支持板3に固定され、連結杆4はガイドピン4cにより長手方向に所定の範囲で摺動可能にガイドされる。また、連結杆4におけるカム部材10の近傍には、図3に示すように、カム部材10の第1係合凸部11に係合可能な係合部4aが形成されている。さらに、図1のように、連結杆4と基枠体1との間に、コイルばね21が連結杆4を下側に引くように付勢して掛け渡され、連結杆4は通常時、コイルばね21により下方つまり施錠側に付勢され、図1に示すような施錠状態となっている。
【0022】
取付板2の中間部には、シリンダ錠7を取り付けるための幅広部が形成され、その幅広部に円形の開口孔が穿設され、その開口孔にシリンダ錠7が基枠体1の背面側から挿入され、そのフランジ7bを取付板2の内側に当てねじ止めされる。つまり、シリンダ錠7はその錠軸7aを基枠体1の内側に挿入した状態で、取付板2上に取り付けられる。錠軸7a先端にはカム部材10を固定するために、両側に切欠部が平行に形成され、また、錠軸7aの先端軸方向には、図5に示すように、ねじ孔7cが形成される。これにより、カム部材10の略小判形の嵌合孔16を錠軸7aの先端に嵌め込んだ際、回り止め状態でガタツキなく嵌合でき、固定ねじ19をねじ孔7cにねじ込んだとき、カム部材10の嵌合孔16の縁部を締め付け固定できるようになっている。
【0023】
カム部材10は、図4に示すように、略円形の本体部の側方に、第1係合凸部11と第2係合凸部12を突出させた形状に、鋼板の絞り加工によって形成される。すなわち、カム部材10は、例えば厚さ約0.4mm程度の比較的薄い鋼板を使用して、その第1係合凸部11及び第2係合凸部12を含む全体が、絞り加工により側壁を付して形成され、カム部材10の平面部13が、曲面付きの側壁部14により包囲するような絞り形状となっている。
【0024】
具体的には、図4(a)に示す如く、カム部材10は、平面部13の上面を表面13aとし、図4(b)に示すように、平面部13の下面を裏面13bとして、裏側に凹状空間が形成されるように、平面部13の表面13aの周縁部を下側に絞り込んで絞り加工される。これにより、カム部材10の第1係合凸部11及び第2係合凸部12を含む平面部13の側壁部14が平面部13を包囲するように曲面で形成される。
【0025】
さらに、図4に示すように、カム部材10の平面部13の略中央に、略小判形の嵌合孔16が形成される。嵌合孔16両側の平坦部は、嵌合孔16の縁部を下側(裏面13b側)に、相互に平行に折り曲げて形成され、これにより、カム部材10をシリンダ錠7の錠軸7aの先端の切欠部(円柱の上部両側を平行に切り欠いた部分)に、カム部材10を所定の角度位置で、ガタツキなく正確に嵌合されるようになっている。
【0026】
したがって、シリンダ錠7の錠軸7aの先端に、カム部材10を固定する場合、カム部材10の小判形の嵌合孔16をシリンダ錠7の錠軸7aの先端に嵌め込み、図5のように、固定ねじ19(皿ねじ)を錠軸7aのねじ孔7cにねじ込めば、固定ねじ19の頭部下面が折り曲げ部15を押さえ、カム部材10を錠軸7aに対し所定の角度位置で容易に固定することができる。また、カム部材10の嵌合孔16における平行な折り曲げ部15が、錠軸7aの切欠部に嵌合することにより、カム部材10の回り止めとなる。
【0027】
シリンダ錠7の錠軸7aの先端に固定されたカム部材10は、図3に示すように、その第1係合凸部11を、連結杆4の係合部4a側に臨ませて位置し、図3の反時計方向に錠軸7aつまりカム部材10が回動されたとき、カム部材10の第1係合凸部11が連結杆4の係合部4aに係合し、連結杆4を上側に上昇させる構造となっている。
【0028】
さらに、図2,3に示すように、支持板3と連結杆4との間に、スイッチ作動杆8が摺動可能に配設される。このスイッチ作動杆8は、シリンダ錠7によりその錠軸7aに固定されたカム部材10を左に(図2の時計方向)回したとき、カム部材10の第2係合凸部12に係合して下側に摺動し、図示しない作動スイッチをオンオフ操作する構造となっている。図1に示すように、スイッチ作動杆8と基枠体1との間にコイルばね22が掛けられ、コイルばね22のばね力によってスイッチ作動杆8は上側に付勢されている。
【0029】
シリンダ錠7は長尺のシリンダ部を有すると共に、基部にフランジ7bを設けて形成され、そのシリンダ部を基枠体1の内側から取付板2の幅広部に設けた開口孔に挿入し、フランジ7bを取付板2の内側に当接され、2本の固定ねじ18によりその錠軸7aの先端を基枠体1の内側に突出した状態で固定される。そして、上記のカム部材10が錠軸7aの先端に固定される。
【0030】
上述のように、カム部材10には第1係合凸部11、第2係合凸部12が設けられ、連結杆4における第1係合凸部11の対応箇所には、第1係合凸部11と係合可能な係合部4aが設けられ、図2,3のようにスイッチ作動杆8にも第2係合凸部12と係合可能な係合部8aが設けられる。カム部材10の第1係合凸部11はシリンダ錠7のキーを右に回した時、連結杆4と係合して連結杆4を上方に移動させ、カム部材10の第2係合凸部12はキーを左に回した時、スイッチ作動杆8と係合してこれを下方に摺動させる。
【0031】
このように構成された施錠装置は、ゲーム機例えばスロットマシンの前扉の内側に、基枠体1の取付板2を縦に固定して装着され、ゲーム機のキャビネットの内側壁の対応位置に、受け金具が鉤部材5,6に係止可能に取り付けられる。
【0032】
前扉をキャビネットに対し閉じた状態(施錠状態)で、所定のキーをシリンダ錠7に挿入し、それを右に回すと、錠軸7a及びカム部材10が図2の反時計方向に回動し、このとき、カム部材10の第1係合凸部11が連結杆4の係合部4aに係合し、連結杆4をコイルばね21の付勢力に抗して上方に移動させ、これにより、上下の鉤部材5、6が下側に傾動し、受け金具との係合を解除して解錠状態となる。
【0033】
このとき、カム部材10の第1係合凸部11が連結杆4の係合部4aに係合する際、第1係合凸部11の側壁部14の曲面が連結杆4の係合部4aに接触し、連結杆4を押し上げるように上昇させて解錠動作するが、カム部材10にかかる荷重が曲面に分散され、カム部材10の第1係合凸部11と連結杆4の係合部4a間の摩擦抵抗は小さくなるので、使用者は軽くスムーズに解錠操作をすることができる。
【0034】
一方、前扉を施錠する際、開放された前扉を閉じると、まず上下の鉤部材5,6の傾斜部が、キャビネット側の対応位置の受け金具に接触し、これにより鉤部材5,6がコイルばね21の付勢力に抗して図1の下側に傾動し、鉤部材5,6の係止凹部が受け金具の係合位置に達したとき、鉤部材5,6がコイルばね21の付勢力により水平位置に復帰して受け金具に対し係止され、施錠状態となる。
【0035】
一方、ゲーム機のリセットなどを行う場合、シリンダ錠7に挿入したキーを左に回し、錠軸7aに固定されたカム部材10を図2の時計方向に回動させる。このとき、カム部材10の第2係合凸部12がスイッチ作動杆8の係合部8aに係合してこれを下側に摺動させ、図示しない作動スイッチを動作させ、リセット信号を発生させる。このときも、上記と同様、カム部材10の第2係合凸部12が係合部8aに係合する際、第2係合凸部12の側壁部14の曲面が係合部8aに接触し、スイッチ作動杆8を下降摺動させるが、カム部材10にかかる荷重が曲面に分散され、カム部材10の第2係合凸部12と係合部8a間の摩擦抵抗は小さく、使用者は軽くスムーズに操作をすることができる。
【0036】
図6は、他の実施形態のカム部材10Aを示している。このカム部材10Aは、図4のカム部材10と同様に、平面部13の上面を表面13aとし、図6(a)の如く、平面部13の下面を裏面13bとして、裏側に凹状空間が形成されるように、平面部13の表面13aの周縁部を下側に絞り込んで絞り加工される。また、カム部材10Aの第1係合凸部11及び第2係合凸部12を含む平面部13の側壁部14が平面部13を包囲するように曲面で形成される。
【0037】
カム部材10Aの平面部13の略中央に、略小判形の嵌合孔16が形成されるが、この嵌合孔16両側の平坦部は、嵌合孔16の縁部を、上記とは反対側つまり上側(表面13a側)に折り曲げ、相互に平行な折り曲げ部15Aとして形成される。
【0038】
これにより、カム部材10Aをシリンダ錠7の錠軸7aの先端の切欠部(円柱の上部両側を平行に切り欠いた部分)に嵌め込み、固定ねじ19をねじ孔7cにねじ込んで固定した場合、図7に示すように、固定ねじ19の頭部下側が両側の折り曲げ部15Aの上側を押さえ、強固に固定される。また、カム部材10Aの嵌合孔16における平行な折り曲げ部15Aが、錠軸7aの切欠部に嵌合することにより、カム部材10Aの回り止めとなる。
【0039】
このように、図6、7に示すカム部材10Aであっても、上記と同様に、カム部材10の嵌合孔16の両側の折り曲げ部15Aがシリンダ錠7の錠軸7aの先端の切欠部に嵌め込まれ、錠軸7aに対し所定の角度位置で、ガタツキなく正確に嵌合固定することができる。
【0040】
図8は他の実施形態の施錠装置を示し、この施錠装置は、上記鉤部材5,6に代えて、鉤部24A,24B付きの施錠杆24を基枠体1の支持板3の内側に沿って摺動可能に配して構成される。なお、上記実施形態と同様な部分は図8において、上記と同じ図符号を付してその説明は省略する。
【0041】
施錠杆24には、その上部と下部に、下側に係止凹部を有した鉤部24A,24Bが背面に向けて突設される。図8に示すように、施錠杆24には、複数のガイド孔が長手方向に沿って形成され、そのガイド孔にガイドピン24bが挿入され、その先端が支持板3に固定され、これにより、施錠杆24は、基枠体1の支持板3の内側において、所定の範囲で上下方向に摺動可能となっている。
【0042】
さらに、図8のように、施錠杆24と基枠体1間には、上記と同様に、コイルばね21が掛け渡され、コイルばね21によって施錠杆24は下側(施錠側)に付勢される。また、施錠杆24におけるシリンダ錠7及びカム部材10の近傍には、係合部24aが設けられ、シリンダ錠7に挿入したキーを右に回してカム部材10の第1係合凸部11を上側に回動させたとき、第1係合凸部11がその係合部24aに係合し、これによって施錠杆24を上昇させ、解錠動作するようになっている。
【0043】
この施錠装置は、上記と同様、ゲーム機の前扉の内側に縦に取り付けられ、キャビネットの対応位置に、受け金具が施錠杆24の鉤部24A,24Bと係止可能に取り付けられる。前扉をキャビネットに対し閉じた施錠状態で、所定のキーをシリンダ錠7に挿入し、それを右に回すと、錠軸7a及びカム部材10が同方向に回動し、このとき、カム部材10の第1係合凸部11が施錠杆24の係合部24aに係合し、施錠杆24をコイルばね21の付勢力に抗して上方に移動させ、これにより、上下の鉤部24A,24Bが上側に摺動し、受け金具との係合を解除して解錠状態となる。
【0044】
この解錠時、カム部材10の第1係合凸部11が施錠杆24の係合部24aに係合する際、第1係合凸部11の側壁部14の曲面が施錠杆24の係合部24aに接触し、施錠杆24を摺動させて解錠動作するが、カム部材10にかかる荷重がその側壁部14の曲面に分散され、カム部材10の第1係合凸部11と施錠杆24の係合部24a間の摩擦抵抗は小さく、使用者は軽くスムーズに解錠操作をすることができる。
【0045】
なお、図8に実施形態の施錠装置においても、図4のカム部材10に代えて、図6のカム部材10Aをシリンダ錠7の錠軸7aの先端に固定して使用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 基枠体
2 取付板
3 支持板
4 連結杆
5 鉤部材
6 鉤部材
7 シリンダ錠
7a 錠軸
7b フランジ
7c ねじ孔
10 カム部材
11 第1係合凸部
12 第2係合凸部
13 平面部
13a 表面
13b 裏面
14 側壁部
15 折り曲げ部
16 嵌合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面を略L字状とした取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の内側に、連結杆が摺動可能に配設され、該支持板の上部と下部に鉤部材が傾動可能に枢支され、該連結杆が上下の該鉤部材に連結され、該取付板の一部にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体の内側に挿入して取り付けられ、係合凸部を有するカム部材が該錠軸の先端に該連結杆と係合可能に取り付けられ、該シリンダ錠の解錠操作により該カム部材を回動させ該連結杆を摺動させて解錠するゲーム機の施錠装置において、
該カム部材の該係合凸部を含む全体が、絞り加工により、該カム部材の平面部を曲面付きの側壁部により包囲する絞り形状として形成され、該係合凸部が該連結杆に係合して解錠動作する際、該係合凸部の側壁部の曲面が該連結杆に接触するように構成したことを特徴とするゲーム機の施錠装置。
【請求項2】
横断面を略L字状とした取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の内側に、鉤部を上部と下部に突設した縦長の施錠杆が摺動可能に配設され、該取付板の一部にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体の内側に挿入して取り付けられ、係合凸部を有するカム部材が該錠軸の先端に該施錠杆と係合可能に取り付けられ、該シリンダ錠の解錠操作により該カム部材を回動させ該施錠杆を摺動させて解錠するゲーム機の施錠装置において、
該カム部材の該係合凸部を含む全体が、絞り加工により、該カム部材の平面部を曲面付きの側壁部により包囲する絞り形状として形成され、該係合凸部が該連結杆に係合して解錠動作する際、該係合凸部の側壁部の曲面が該施錠杆に接触するように構成したことを特徴とするゲーム機の施錠装置。
【請求項3】
前記カム部材の略中央に、前記シリンダ錠の錠軸に嵌合する嵌合孔が形成され、該嵌合孔は両側に平坦部を設けた略小判形に形成され、該小判形の嵌合孔の両側の平坦部には、該嵌合孔の縁部を表面側または裏面側に折り曲げて折り曲げ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のゲーム機の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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