説明

ゲーム機及びゲームプログラム

【課題】プレイヤを待たせることがなく、また面白さを向上したゲームを生成することができるゲーム機及びゲームプログラムを提供する。
【解決手段】記憶部に、ステージ2のプレイに必要なデータであるオブジェクトのデータを生成するためのマップ生成プログラム、データを記憶させ、制御部に、ステージ1のプレイ進行中に、記憶部のデータに基づいて、オブジェクトのデータをプレイ可能な状態まで生成させ、プレイ可能な状態まで生成したプレイデータを継続して編集させ、ステージ1がクリアされた場合に、ステージ2のプレイに利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームを自動生成するゲーム機及びゲームプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲーム機には、ゲームを自動生成するものがあり(例えば、特許文献1)、その中には、プレイの待ち時間や前ステージのプレイ進行中に、ゲームを自動生成するものがあった。
しかし、このタイプのゲーム機は、プレイ開始までの時間にゲームを生成するので、プレイヤを待たせることがあった。一方、プレイヤを待たせないようにすれば、ゲームの生成時間が十分に得られず、その時間内で生成可能な程度の面白みに欠けるゲームしか生成することができなかった。
【特許文献1】特開2001−96067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、プレイヤを待たせることがなく、また面白さを向上したゲームを生成することができるゲーム機及びゲームプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0005】
請求項1の発明は、ゲームのプレイに必要なデータであるプレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を生成するためのデータである生成データを記憶する記憶手段(20,320)と、前記記憶手段の前記生成データに基づいて、前記プレイデータをそのプレイ前にプレイ可能な状態まで生成し、プレイ可能な状態まで生成した前記プレイデータを、プレイ開始まで編集する制御手段(30,330)と、を備えるゲーム機である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲーム機において、前記制御手段(30,330)は、プレイ可能な状態まで生成した後編集中の前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を、所定の条件を満足した場合に、ゲームに利用すること、を特徴とするゲーム機である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲーム機において、前記制御手段(30,330)は、ゲーム画面を表示する表示手段(40,340)に出力する画像データに関する前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を生成すること、を特徴とするゲーム機である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2)は、ゲームの仮想空間に登場するオブジェクトに関するデータであり、前記制御手段(40)は、前記オブジェクトに関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、より精細なオブジェクトのデータに編集すること、を特徴とするゲーム機である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、前記ゲームは、複数のマス目を順次埋めてプレイを進行するパズルゲームであり、前記プレイデータは、前記パズルゲームの問題に関するデータであり、前記制御手段は、前記パズルゲームの問題に関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記マス目の配置に関するデータを編集すること、を特徴とするゲーム機である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、前記ゲームは、マス目にコマを順次配置し及び/又はマス目のコマを順次移動する将棋ゲームであり、前記プレイデータ(Q1〜Q4)は、前記将棋ゲームの問題に関するデータであり、前記制御手段(330)は、前記将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記将棋ゲームのコマの配置及び/又は移動に関するデータを編集すること、を特徴とするゲーム機である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲーム機において、前記記憶手段(20,320)は、前記ゲームについて所定の項目を評価する評価基準に関するデータを有し、前記制御手段(30,330)は、前記記憶手段の前記評価基準に関するデータに基づいて、生成した前記ゲームの前記所定の項目を評価し、評価結果に応じて前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を更新すること、を特徴とするゲーム機である。
【0007】
請求項8の発明は、コンピュータ(10,310)を、ゲームのプレイに必要なデータであるプレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を生成するためのデータである生成データを記憶する記憶手段(20,320)と、前記記憶手段の前記生成データに基づいて、前記プレイデータをそのプレイ前にプレイ可能な状態まで生成し、プレイ可能な状態まで生成した前記プレイデータを、プレイ開始まで継続して編集する制御手段(30,330)と、して機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0008】
請求項9の発明は、請求項8に記載のゲームプログラムにおいて、前記制御手段(30,330)を、編集中の前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を、所定の条件を満足した場合に、ゲームに利用するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載のゲームプログラムにおいて、前記制御手段(30,330)を、ゲーム画面を表示する表示手段(40,340)に出力する画像データに関する前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2,Q1〜Q4)を生成するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項11の発明は、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記プレイデータ(m1,m2,r1,t1,t2)は、ゲームの仮想空間に登場するオブジェクトに関するデータであり、前記制御手段(40)を、前記オブジェクトに関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、より精細なオブジェクトのデータに編集するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項12の発明は、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記ゲームは、複数のマス目を順次埋めてプレイを進行するパズルゲームであり、前記プレイデータは、前記パズルゲームの問題に関するデータであり、前記制御手段を、前記パズルゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記マス目の配置に関するデータを編集するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項13の発明は、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記ゲームは、マス目にコマを順次配置し及び/又はマス目のコマを順次移動する将棋ゲームであり、前記プレイデータ(Q1〜Q4)は、前記将棋ゲームの問題に関するデータであり、前記制御手段(330)を、前記将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記将棋ゲームのコマの配置及び/又は移動に関するデータを編集するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項14の発明は、請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記記憶手段(20,320)を、前記ゲームについて所定の項目を評価する評価基準に関するデータを有するように機能させ、前記制御手段(30,330)を、前記記憶手段の前記評価基準に関するデータに基づいて、生成した前記ゲームの前記所定の項目を評価し、評価結果に応じて前記プレイデータを更新するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、プレイ可能な状態なプレイデータつまり必要最低限のデータを有するプレイデータを生成すればプレイを開始することができるので、短時間でプレイデータを生成でき、プレイヤを待たせることがない。一方、プレイ開始までの時間が十分にある場合には、プレイデータを継続して編集することにより、より精細なプレイデータを生成し、面白さを向上したゲームを生成することができる。また、プレイデータをプレイ開始まで編集するので、CPU(中央処理装置)等の能力を十分に利用することができる。
【0010】
(2)本発明は、編集中のプレイデータを、所定の条件を満足したと判断した場合にゲームに利用するので、一度、プレイデータをプレイ可能な状態まで生成すれば、その後の編集過程のプレイデータをプレイに利用することができる。
【0011】
(3)本発明は、表示手段に出力する画像データに関するプレイデータを生成するので、プレイ開始までの時間に応じた画像データを生成することができる。
【0012】
(4)本発明は、ゲームの仮想空間のオブジェクトに関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、より精細な状態に編集するので、プレイ開始までの時間が短い場合には、簡単な形状のオブジェクトでプレイをすることができ、一方、プレイ開始までの時間が長い場合には、オブジェクトをより精細に編集してプレイをすることができる。
【0013】
(5)本発明は、パズルゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成した後、マス目の配置に関するデータを編集するので、プレイ開始までの時間に応じて、パズルゲームをより複雑にする等、ゲーム内容を変更することができる。
【0014】
(6)本発明は、将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成した後、将棋ゲームのコマの配置及び/又は移動に関するデータを編集するので、プレイ開始までの時間に応じて、将棋ゲームの手数を増やしたりする等、ゲーム内容を変更することができる。
【0015】
(7)本発明は、生成したゲームの所定の項目を評価し、評価結果に応じてプレイデータを更新するので、例えばより評価の高いゲームにゲームを更新する等して、ゲーム内容の質を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、プレイヤを待たせることがなく、また面白さを向上したゲームを生成することができるゲーム機及びゲームプログラムを提供するという目的を、オブジェクトのデータをプレイ可能な状態まで生成し、その後にプレイ可能な状態まで生成したプレイデータを編集し、前ステージがクリアされた場合に、そのステージのプレイにプレイデータを利用することによって実現した。
【実施例1】
【0017】
以下、図面等を参照して、本発明を適用したゲームシステムの実施例1をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、実施例1のゲームシステム1のブロック図である。
図2(a)は、実施例1のマップデータの生成過程を説明する図である。
図2(b)は、従来例のマップデータの生成過程を説明する図である。
ゲームシステム1は、プレイヤがゲームの仮想空間でキャラクタc1(図2参照)を操作して仮想の敵と戦うロールプレイングゲームを行うものである。
図1に示すように、ゲームシステム1は、ゲーム機10と、ゲーム機10からの出力に応じてゲーム画面及びゲーム音声を出力するモニタ40(表示手段)及びスピーカ50とを備えている。
【0018】
ゲーム機10は、記憶部20(記憶手段)と、制御部30(制御手段)とを備えている。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、ゲーム機10は、記憶部20と、制御部30等を備えており、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0019】
記憶部20は、ゲーム機10の動作に必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部20は、ゲームプログラム記憶部21と、マップ作成データ記憶部22とを備えている。
ゲームプログラム記憶部21は、ゲームの進行に必要なメインプログラムであるゲームプログラムを記憶する記憶領域である。
マップ作成データ記憶部22は、マップ生成に必要なマップ生成プログラム、データ等から構成される生成データを記憶する記憶領域である。これらのプログラム、データは、図2(a)に示すように、ゲームの仮想空間に山m1,m2、川r1、木t1,t2等のプレイに必要なオブジェクトのデータ(プレイデータ)を生成、配置するためのものである。マップ生成に必要なデータは、例えば、山m1,m2の高さ、位置等を不規則に決定するための演算式に関するデータ等である。
【0020】
制御部30は、図1に示すように、ゲーム機10を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU(中央処理装置)等から構成される。制御部30は、記憶部20に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本実施例に係る各種機能を実現している。制御部30は、ゲーム進行制御部31と、マップ生成制御部32と、必要に応じてこれら各制御部の間でデータを伝達するためのバスラインとを備えている。
ゲーム進行制御部31は、ゲームプログラムによって動作され、ゲームの進行を統括的に制御するための制御部である。
【0021】
マップ生成制御部32は、マップ生成プログラムによって動作され、ゲームの仮想空間に山m1,m2、川r1、木t1,t2等(図2参照)のオブジェクトを配置して、ゲームの仮想空間のマップデータを生成するための制御部である。つまり、マップ生成制御部32は、記憶部20の生成データに基づいてオブジェクトの画像データを生成する。マップ生成制御部32は、そのステージの前ステージのプレイ進行中に、CPUの能力の一部を利用して、オブジェクトに関するデータをプレイ可能な状態まで生成する(マップ生成の処理の詳細は、後述する。)。生成されたオブジェクトに関するデータは、プレイが開始されると、ゲーム進行制御部31によってモニタ40に出力される。
【0022】
次に、マップ生成制御部32によるマップ生成の進行について説明する。
図2(a)に示すように、マップ生成制御部32は、工程♯(以下、単に♯という)1において、仮想空間のマップデータM1上にオブジェクトのデータ生成を開始する。本実施例では、マップ生成制御部32が、オブジェクトとして山m1,m2、川r1、木t1,t2のデータを自動生成する例を説明する。
マップ生成制御部32は、オブジェクトのデータ、つまり、山、川、木の数、形状、位置等を、記憶部20のデータに基づいて演算処理を行って不規則に設定する。このように、マップ生成制御部32は、予め決められた定められたオブジェクトをマップ上に配置するのではないので、プレイ毎にオブジェクトの形状、位置等を変更することができる。これにより、プレイヤは、何度もプレイをしてもゲームに飽きることがない。
【0023】
♯2において、マップ生成制御部32は、簡単な形状の山m1,m2、川r1のデータを自動生成する。マップ生成制御部32は、ここまでのマップ生成によってマップデータM2が完成すると、最低限必要なオブジェクトの設定が終了したこと確認して#3に進む。
なお、マップ生成制御部32は、#3の処理に進むと同時に、最低限必要なオブジェクトの設定が終了したことをゲーム進行制御部31に伝達する。そして、後述するようにゲーム進行制御部31は、次のステージ(ステージ2)のプレイが可能であると確認し、プレイ中のステージ(ステージ1)がクリアされた場合(所定の条件を満足した場合)に、キャラクタc1を配置してプレイを開始する。
また、山m1,m2、川r1は、単なる背景ではなく、仮想空間内で認識可能な物体として配置されている。つまり、プレイヤは、キャラクタc1を操作して、山m1,m2を登らせたり、川r1を渡らせたりしながら、プレイを進行する。
【0024】
♯3において、マップ生成制御部32は、新たに木t1のデータを自動生成する。木t1は、実際のプレイには関係しないデータであり、ゲーム空間をよりリアルに演出するためのオブジェクトである。また、マップ生成制御部32は、山m1,m2、川r1の形状の自動生成を継続して行い、山m1,m2、川r1の形状等をより精細に編集して、ゲーム空間をよりリアルに演出する。マップ生成制御部32は、山m1,m2をリアルに見せるために、例えば山m1,m2の表面に起伏や陰影等を付加するが、起伏の位置、深さ等は不規則な計算により設定される。この山m1,m2の起伏や陰影等も、木t1と同様に、実際のプレイには関係しないデータである。そして、マップ生成制御部32は、マップデータM3が完成すると、#4に進む。
♯4において、マップ生成制御部32は、♯3と同様に、さらに木t2のデータを自動生成し、山m1,m2、川r1の形状の自動生成を継続して行い、ゲーム空間をよりリアルに演出可能なマップデータM4を完成させる。
【0025】
なお、マップ生成制御部32は、オブジェクトの自動生成による編集を、♯4で終了することなく、プレイ開始まで継続して行う。オブジェクトは、自動生成が継続されることにより、より精細に生成される。
【0026】
一方、図2(b)に示すように、従来のゲームシステムは、♯11〜♯12の処理において、山m11,m12を精細な形状まで生成し(マップデータM12)、♯13までの処理において、川r11を精細な形状まで生成し(マップデータM13)、♯14までの処理において、木t11,t2を精細な形状まで生成する(マップデータM14)。従来のゲームシステムは、この♯14までの処理が終了することにより、マップデータがプレイ可能な状態とされ、キャラクタc11の配置が可能となる。つまり、従来のゲームシステムは、マップデータM14を生成しなければプレイを開始できない。
【0027】
図3は、実施例1のゲームシステム1によるプレイの進行を説明する図である。
最初に、ゲーム進行制御部31がステージ1のプレイを開始すると(♯21)、マップ生成制御部32は、ステージ2のマップ生成を開始する(♯22)。マップ生成制御部32は、破線内で示すように、前述した♯1〜♯4の処理を行ってマップ生成を行う。
なお、ステージ1のマップデータは、プレイ前に予め定められているデータである。
【0028】
プレイヤがステージ1をクリアすることにより所定の条件が満足されると(♯23)、ゲーム進行制御部31は、その段階で生成されているマップデータM2を利用して、つまりマップデータM2上にキャラクタc1を配置してステージ2のプレイを開始する(♯24)。
また、プレイヤがステージ1をクリアするために♯23の場合よりも時間を要した場合(♯25)、ゲーム進行制御部31は、その段階で生成されているマップデータM3を利用してプレイを開始する(♯26)。
同様に、ゲーム進行制御部31は、♯25の場合よりも時間を要した場合(♯27)、マップデータM4を利用してプレイを開始する(♯28)。
【0029】
なお、ステージ2以降においても、マップ生成制御部32は、前述した処理と同様な処理を行って、次ステージのマップ生成の処理を順次行う。そして、プレイ中のステージがクリアされると、ゲーム進行制御部31は、その段階で生成されている次ステージのマップデータを利用して、次ステージのプレイを開始する。
【0030】
以上の処理により、ゲームシステム1は、技量が高いプレイヤのようにステージ1をクリアするまでの時間が短い場合(つまりステージ2のプレイ開始までの時間が短い場合)には、♯2の処理が終了し、必要最低限のデータを有するオブジェクトのデータを生成すればプレイを開始することができる。一方、ゲームシステム1は、技量が低いプレイヤがプレイする場合のようにテージ1をクリアするまでの時間が長い場合(つまりステージ2のプレイ開始までの時間が長い場合)には、オブジェクトのデータを継続して編集することができるので、より精密なオブジェクトのデータを生成することができる。この場合、ゲームシステム1は、従来よりもリアルなオブジェクトの画像をモニタ40に出力し、面白さを向上したゲームを提供することができる。また、マップデータをプレイ開始まで継続して編集するので、CPUの能力を有効に利用することができる。
【0031】
これに対して、従来のゲームシステムは、プレイ開始時間等として許容可能な範囲、つまり平均的な技量を有するプレイヤがステージ1をクリアできる時間内で生成可能なレベルのオブジェクトしか用いることができなかった。従って、従来のゲームシステムは、技量の高いプレイヤがプレイする場合、ステージ1をクリアするまでの時間が短いためマップ生成が終了するまでプレイが中断されてしまい、プレイヤを待たすことがあった。一方、技量が低いプレイヤがプレイする場合、ステージ1をクリアするまでの時間が長いためステージ1のプレイ中にマップ生成が終了してしまい、その後CPUの能力を十分に生かしきれなかった。
【0032】
以上説明したように、本実施例のゲームシステム1は、一度、そのステージ(ステージ2)のマップデータをプレイ可能な状態まで生成すれば、前ステージ(ステージ1)をクリアすることにより、その後の編集過程に関わらず利用することができる。これにより、そのステージ開始までの時間に応じたマップ生成を行うことができる。
また、ゲームシステム1は、従来よりも精密なマップデータを生成できるので、面白さを向上したゲームを提供することができ、さらに、CPUの能力を有効に利用することができる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明を適用したゲームシステムの実施例2について説明する。
実施例2のゲームシステムは、マップ生成をステージとステージとの間に行うものである。
なお、以下の説明及び図面において、前述した実施例1と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図4は、実施例2のゲームシステムによるプレイの進行を説明する図である。
図4に示すように、実施例2のゲームシステムは、ステージ1が終了すると(♯220)、ゲーム進行制御部(図1に示すゲーム進行制御部31参照)は、ステージ2の説明を開始する(♯221)。この説明は、例えば、ロールプレイングゲームにおけるストーリの説明や、ステージ2におけるプレイヤへの指令等である。また、マップ生成制御部(図1に示すマップ生成制御部32参照)は、ステージ2の説明開始と同時にステージ2のマップ生成を開始する(♯222)。マップ生成制御部は、実施例1で説明した♯1〜♯4(図2(a)参照)と同様な処理を行ってマップ生成を行う。
【0034】
ゲームの内容は、プレイ毎に変更されるものではなく、ステージ2の説明も、プレイ毎に変更されるものではないので、過去にプレイをしたことがあるプレイヤは、この説明の内容を既に理解している。そこで、実施例2のゲームシステムは、これらのプレイヤのために、ステージ1終了後スキップボタン(図示せず)が操作された場合(所定の条件を満足した場合)(♯223)、この説明を途中で中止してステージ2のプレイを開始する(♯224)。このとき、ゲーム進行制御部は、その段階で生成されているマップデータM2を利用してプレイを開始する。
スキップボタンの操作までの時間は、ステージ2の説明の理解度に応じて、プレイヤによって異なる。スキップボタンを操作までの時間が、♯223の場合よりも要した場合(♯225)、ゲーム進行制御部は、その段階で生成されているマップデータM3を利用してプレイを開始する(♯226)。同様に、ゲーム進行制御部は、♯225の場合よりも時間を要した場合(♯227)、マップデータM4を利用してプレイを開始する(♯228)。
【0035】
なお、ステージ2の説明が終了した場合、ゲーム進行制御部は、ステージ2を開始することなく、最初からステージ2の説明を行う。プレイヤは、ステージ2の説明を理解できるまで繰り返すことができ、理解できたときにスキップボタンを操作すればよい。この場合にも、ゲーム進行制御部は、マップデータの自動生成を継続して行い、より精細なオブジェクトの生成を行う。
【0036】
以上説明したように、本実施例のゲームシステムは、ステージ前に行われるステージの説明の間に、ステージのプレイ開始までの時間に応じたマップ生成を行うことができる。
【実施例3】
【0037】
次に、本発明を適用したゲームシステムの実施例3について説明する。
実施例3のゲームシステム300は、詰め将棋(将棋ゲーム)の問題を自動生成するものである。
図5は、実施例3のゲームシステム300のブロック図である。
ゲームシステム300は、ゲーム機310と、モニタ340及びスピーカ350とを備えている。
ゲーム機310は、記憶部320(記憶手段)と、制御部330(制御手段)とを備えており、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0038】
記憶部320は、ゲームプログラム記憶部321と、問題作成データ記憶部322とを備えている。
問題作成データ記憶部322は、詰め将棋の問題生成に必要な問題作成プログラム、データ等を記憶する記憶領域である。問題作成プログラムは、後述するように0手の状態の詰め将棋を、1手ずつ手数を増やして詰め将棋の問題を生成する。問題生成に必要なデータは、例えば各駒(コマ)の動かし方、将棋のルール等に関するデータである。
【0039】
制御部330は、記憶部320に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本実施例に係る各種機能を実現している。制御部330は、ゲーム進行制御部331と、問題作成制御部332とを備えている。
問題作成制御部332は、問題作成プログラムによって動作され、詰め将棋の問題を作成するための制御部である。
【0040】
図6は、実施例3のゲームシステム300によるプレイの進行を説明する図である。
最初に、ゲームシステム300の問題作成の進行について説明する。
図6の破線内に示すように、本実施例のゲームシステム300は、問題作成制御部332が、0手の状態のデータ(Q1)、つまり、詰め将棋が積んだ状態から問題の作成を開始する(♯301)。そして、盤面上(マス目)に駒を不規則に配置した後、駒を移動して、1手詰みの詰め将棋の問題のデータを生成し、将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認する。そして、その状態から1手ずつ駒を移動等して、3手詰めの詰め将棋の問題のデータ(Q2)を生成し(♯302)、その後、順次5手詰めの詰め将棋の問題のデータ(Q3)を生成し(♯303)、7手詰めの詰め将棋の問題のデータ(Q4)を生成する(♯304)。
【0041】
次に、本実施例のゲームシステムによるプレイの進行について説明する。
図6に示すように、最初に、ゲーム進行制御部がステージ1の詰め将棋を開始すると(♯321)、問題作成制御部332は、ステージ2の詰め将棋の問題作成を開始する(♯322)。問題作成制御部332は、前述した♯301〜♯304の処理を行って詰め将棋の問題のデータ生成を行う。
プレイヤがステージ1の詰め将棋の問題を詰ましてステージ1をクリアすると(所定の条件を満足した場合)(♯323)、ゲーム進行制御部331は、その段階で生成されている詰め将棋の問題のデータ(Q2)を利用して、ステージ2のプレイを開始する(♯324)。
また、プレイヤがステージ1をクリアするために♯323の場合よりも時間を要した場合(♯325)、ゲーム進行制御部331は、その段階で生成されている詰め将棋の問題のデータ(Q3)を利用してプレイを開始する(♯326)。
同様に、ゲーム進行制御部331は、♯325の場合よりも時間を要した場合(♯327)、詰め将棋の問題のデータ(Q4)を利用してプレイを開始する(♯328)。
【0042】
以上説明したように、本実施例のゲームシステム300は、詰め将棋の問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、詰め将棋のコマの配置や移動に関するデータを編集する。これにより、プレイ開始までの時間に応じて、将棋ゲームの手数を増やし、より難しい詰め将棋の問題に更新することができる。
【0043】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例3において、問題作成制御部は、詰め将棋の問題に関するデータを生成する例を示したが、これに限定されない。例えば、問題作成制御部は、複数のマス目を順次埋めてプレイを進行するパズルゲーム(例えばナンバープレイス等)等に関するデータを生成してもよい。この場合にも、問題作成制御部は、パズルゲーム等の問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、マス目の配置に関するデータを編集することにより、プレイ開始までの時間に応じて、パズルゲームをより複雑にする等、ゲーム内容を変更することができる。
【0044】
(2)各実施例において、ゲーム進行制御部は、マップ生成制御部又は問題作成制御部が自動生成したデータをそのままプレイに利用する例を示したが、これに限定されない。例えば、マップ生成制御部又は問題作成制御部は、編集前のゲーム内容と編集後のゲーム内容とを比較して、編集後のゲーム内容の方が評価の高い場合に、マップデータ、問題に関するデータを更新してもよい。この場合、記憶部が、ゲームについて所定の項目を評価する評価基準(例えば、将棋ゲームであれば、成り等の過程を有するか否か等)に関するデータを有し、制御部が、そのデータに基づいて、生成したゲームの所定の項目を評価し、評価結果に応じてゲームに関するデータを更新すればよい。これにより、ゲームシステムは、より評価が高く、質が高いゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1のゲームシステムのブロック図である。
【図2】実施例1及び従来例のマップデータの生成過程を説明する図である。
【図3】実施例1のゲームシステムによるプレイの進行を説明する図である。
【図4】実施例2のゲームシステムによるプレイの進行を説明する図である。
【図5】実施例3のゲームシステムのブロック図である。
【図6】実施例3のゲームシステムによるプレイの進行を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
1,300 ゲームシステム
10,310 ゲーム機
20,320 記憶部
21,321 ゲームプログラム記憶部
22 マップ作成データ記憶部
30,330 制御部
31,331 ゲーム進行制御部
32 マップ生成制御部
40,340 モニタ
322 問題作成データ記憶部
332 問題作成制御部
c1 キャラクタ
M1〜M4 マップデータ
m1,m2 山
Q1〜Q4 詰め将棋の問題のデータ
r1 川
t1,t2 木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームのプレイに必要なデータであるプレイデータを生成するためのデータである生成データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の前記生成データに基づいて、前記プレイデータをそのプレイ前にプレイ可能な状態まで生成し、プレイ可能な状態まで生成した前記プレイデータを、プレイ開始まで編集する制御手段と、
を備えるゲーム機。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム機において、
前記制御手段は、編集中の前記プレイデータを、所定の条件を満足した場合に、ゲームに利用すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲーム機において、
前記制御手段は、ゲーム画面を表示する表示手段に出力する画像データに関する前記プレイデータを生成すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、
前記プレイデータは、ゲームの仮想空間に登場するオブジェクトに関するデータであり、
前記制御手段は、前記オブジェクトに関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、より精細なオブジェクトのデータに編集すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、
前記ゲームは、複数のマス目を順次埋めてプレイを進行するパズルゲームであり、
前記プレイデータは、前記パズルゲームの問題に関するデータであり、
前記制御手段は、前記パズルゲームの問題に関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記マス目の配置に関するデータを編集すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲーム機において、
前記ゲームは、マス目にコマを順次配置し及び/又はマス目のコマを順次移動する将棋ゲームであり、
前記プレイデータは、前記将棋ゲームの問題に関するデータであり、
前記制御手段は、前記将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記将棋ゲームのコマの配置及び/又は移動に関するデータを編集すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲーム機において、
前記記憶手段は、前記ゲームについて所定の項目を評価する評価基準に関するデータを有し、
前記制御手段は、前記記憶手段の前記評価基準に関するデータに基づいて、生成した前記ゲームの前記所定の項目を評価し、評価結果に応じて前記プレイデータを更新すること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項8】
コンピュータを、
ゲームのプレイに必要なデータであるプレイデータを生成するためのデータである生成データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の前記生成データに基づいて、前記プレイデータをそのプレイ前にプレイ可能な状態まで生成し、プレイ可能な状態まで生成した前記プレイデータを、プレイ開始まで編集する制御手段と、
して機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のゲームプログラムにおいて、
前記制御手段を、編集中の前記プレイデータを、所定の条件を満足した場合に、ゲームに利用するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のゲームプログラムにおいて、
前記制御手段を、ゲーム画面を表示する表示手段に出力する画像データに関する前記プレイデータを生成するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記プレイデータは、ゲームの仮想空間に登場するオブジェクトに関するデータであり、
前記制御手段を、前記オブジェクトに関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、より精細なオブジェクトのデータに編集するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項12】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記ゲームは、複数のマス目を順次埋めてプレイを進行するパズルゲームであり、
前記プレイデータは、前記パズルゲームの問題に関するデータであり、
前記制御手段を、前記パズルゲームの問題に関するデータを、プレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記マス目の配置に関するデータを編集するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項13】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記ゲームは、マス目にコマを順次配置し及び/又はマス目のコマを順次移動する将棋ゲームであり、
前記プレイデータは、前記将棋ゲームの問題に関するデータであり、
前記制御手段を、前記将棋ゲームの問題に関するデータをプレイ可能な状態まで生成したことを確認した後、前記将棋ゲームのコマの配置及び/又は移動に関するデータを編集するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項14】
請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記記憶手段を、前記ゲームについて所定の項目を評価する評価基準に関するデータを有するように機能させ、
前記制御手段を、前記記憶手段の前記評価基準に関するデータに基づいて、生成した前記ゲームの前記所定の項目を評価し、評価結果に応じて前記プレイデータを更新するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−253445(P2008−253445A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97339(P2007−97339)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】