説明

ゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 停止操作を受けた後に所定の滑りコマ数の範囲でリール装置を停止させる現実の回胴式遊技機の動作より忠実に再現することが可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】 回転動作における時々刻々のリール画像を構成する図柄を決定するとともに、操作入力装置への停止操作に応答して停止図柄を決定するリール画像処理手段と、停止図柄の決定が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手段とを備えるゲーム装置において、リール画像処理手段における停止図柄の決定を過去図柄特定手段により特定される過去図柄に基づいて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機(「スロットマシン」とも呼ばれる)の動作をシミュレートするゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、より詳細には、上記回胴式遊技機における停止動作をより忠実に再現させることができるゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に回胴式遊技機は、円筒状のリールの外周面上に「7」、「BAR」、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」等の複数コマの図柄が所定の順序で配列された複数(多くの場合3)のリール装置と、リール装置の回転開始及び回転停止を指示するための操作部材(レバー及び停止ボタン)とを備えており、操作部材により各リール装置を停止させたときに表示窓内に表示されるリール装置上の図柄(通常各リール装置について3つの図柄が表示される)の組み合わせ(配列)により入賞役の成立の有無やその種類が告知されるようになっている。
【0003】
また、回胴式遊技機は、内部に入賞役の成立を許可するか否かの抽選を行う抽選手段を有しており、回転停止を指示する操作が入力されたとしても、リール装置は直ちに回転を停止させる訳ではなく、上記抽選の結果に応じた図柄が表示窓内に停止するように、回転停止を指示する操作の入力時点から所定の滑りコマ数の範囲(例えば0〜4)でリール装置の停止位置を調整する滑り制御が実行される。
【0004】
即ち、上記抽選の結果が、いずれかの入賞役の当選(入賞役の成立の許可)であった場合には、操作タイミングが多少早過ぎても、その入賞役を告知するための図柄が表示窓内に停止するように、また、入賞役が当選していない場合には、どのようなタイミングで停止操作を行っても入賞役の配列が並ばないように上記滑りコマ数の範囲でリール装置の停止位置が決定される。
【0005】
一方、上記のような現実の回胴式遊技機の動作をシミュレートするゲーム装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0006】
このゲーム装置では、液晶ディスプレイ等の表示装置上に、複数の図柄が配列された複数のリール画像が表示され、パッドやコントローラ等の操作入力装置への所定の回転操作に応答して、各リール画像上の図柄を変動させる回転動作が実行されるとともに、操作入力装置に対して所定の停止操作が入力された場合には、現実の回胴式遊技機と同様の抽選処理及び滑り制御に基づいて決定される停止図柄を停止表示させる停止動作が実行される。
【0007】
ところで、上記ゲーム装置では、CPUにおいて導出されたゲーム画像が表示装置上に表示されるまでに一定のタイムラグがあり、或いは操作入力装置に入力された操作がCPUにおいて処理されるまでに一定のタイムラグがあることに起因して、回胴式遊技機におけるリール装置の停止動作を忠実に再現することができない問題がある。
【0008】
図9は、上記ゲーム装置における例示的な画像処理の態様を概念的に示す説明図であり、個々のフレーム時間においてCPUが導出するリール画像([1])、GPUなどにより画像メモリに描画されるリール画像([2])及び表示装置に表示されるリール画像([3])がフレーム時間(例えば、1/60秒)毎のタイムチャートとして示されている。
【0009】
なお、上記ゲーム装置により表示されるリール画像には複数の図柄が含まれることが一般であり、1フレーム時間内に変動する図柄のコマ数はフレーム時間の長さや回胴式遊技機の機種などにより異なるが、図9では、簡単のため、1フレーム時間のうちに1コマの割合で変動する単一の図柄(「1」〜「8」の数字)がリール画像として表記されている。また、その図柄として表記された「1」〜「8」の数字は、同一の数字は同一の図柄であり、異なる数字は異なる図柄であることを示している。
【0010】
図示されるように、CPUは、各フレーム時間毎に回胴式遊技機におけるリール装置の動作をシミュレートすることによりリール画像として表示すべき図柄を導出するが、各フレーム時間においてCPUにより導出されたリール画像は、次のフレーム時間においてフレームバッファなどの画像メモリに例えばビットマップ形式などの形態で描画され、更に次のフレーム時間において表示装置に表示される。
【0011】
また、操作入力装置からの操作信号の処理は、必ずしも操作信号の入力後直ちに実行されるのではなく、操作信号が入力された次のフレーム時間に実行されることが一般的であり、従って、あるフレーム時間において停止信号の入力があった場合には、その次のフレーム時間において当該停止信号に基づく停止図柄の導出等の処理がなされる場合が多い。
【0012】
ところが、従来のゲーム装置では、上記のようなリール画像のCPUにおける導出から表示装置上における表示まで、或いは停止信号の入力から停止図柄の導出処理の実行までのタイムラグを考慮することなく、停止図柄の導出処理が実行されるフレーム時間においてCPUが導出した図柄に基づいて停止図柄の導出が行われるようになっていた。
【0013】
即ち、図示の例において、例えば、表示装置上において「1」の図柄が表示されているフレームカウンタ値がTであるフレーム時間に停止信号の入力が行われた(図中矢印A)とすると、停止図柄の導出は、その次のフレーム時間(フレームカウンタ値はT+1)にCPUにより導出される図柄(図示の例では「4」)を基点として、所定の滑りコマ数の範囲で図柄を変動させたときの図柄が停止図柄として導出される。
【0014】
従って、滑りコマ数の範囲が0〜4であるとすると、現実の回胴式遊技機において「1」の図柄が表示されているタイミングで停止操作を行えば、「1」〜「5」の図柄でリールが停止するのに対して、上記従来のゲーム装置では、同様の「1」の図柄が表示装置に表示されているタイミングで停止操作を行ったにも拘わらず、「4」の図柄を基点として0〜4コマの範囲で図柄変動させた「4」〜「8」の図柄が停止図柄として表示されることになるなど、表示装置上の図柄を基準として見た場合の停止動作における滑りコマ数が現実の回胴式遊技機よりも大きくなる結果を生じていた。
【0015】
そのため、ゲーム装置の操作者が、停止動作における滑りコマ数が現実の回胴式遊技機と異なって見えることによる違和感を感じたり、ゲーム装置を用いた停止操作の練習が、必ずしも現実の回胴式遊技機における停止操作の上達には繋がらないなどの不都合を生じていた。
【特許文献1】特開2002−165923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか一以上の目的を達成するものである。
【0017】
即ち本発明の目的は、現実の回胴式遊技機における停止動作をより忠実に再現することが可能なゲーム装置、ゲームプログラム及びこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、停止動作の際の滑りコマ数、即ち回転停止を指示する操作を行ってから実際に停止図柄が表示されるまでに変動する図柄のコマ数が、現実の回胴式遊技機における停止動作の場合と相違することによる違和感を解消できるゲーム装置、ゲームプログラム及びこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0019】
本発明の更に他の目的は、現実の回胴式遊技機における停止操作の有効な練習を行うことができるゲーム装置、ゲームプログラム及びこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記課題を解決したものであり、
ゲーム操作を入力するための操作入力装置と、
一又は複数の図柄により構成されるリール画像を表示するための表示装置とを備え、
前記リール画像を構成する図柄を所定の順序で変動させる回転動作と、前記図柄の変動を停止させ、一又は複数の停止図柄を前記リール画像として表示する停止動作とを実行するゲーム装置であって、
前記回転動作における時々刻々の前記リール画像を構成する図柄を導出するとともに、前記操作入力装置への所定の入力に応答して前記停止図柄を導出するリール画像処理手段と、
前記停止図柄の導出が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手段とを更に備え、
前記リール画像処理手段は、前記過去図柄に基づいて前記停止図柄の導出を行うことを特徴とするゲーム装置(請求項1)、表示装置上において、リール画像を構成する図柄を所定の順序で変動させる回転動作と、前記図柄の変動を停止させ、一又は複数の停止図柄を前記リール画像として表示する停止動作とを実行するゲームプログラムであって、
コンピュータに、
前記回転動作における時々刻々の前記リール画像を構成する図柄を導出するとともに、操作入力装置への所定の入力に応答して前記停止図柄を導出するリール画像処理手順と、
前記停止図柄の導出が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手順とを実行させ、
前記停止図柄は、前記リール画像処理手順において、前記過去図柄に基づいて導出されることを特徴とするゲームプログラム(請求項8)又はこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(請求項9)である。
【0021】
かかる発明によれば、停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された過去図柄に基づいて停止図柄の導出が行われるため、リール画像のCPUにおける導出から表示装置上における表示まで、或いは停止信号の入力から停止図柄の導出処理の実行までに生じるタイムラグを吸収することが可能であり、現実の回胴式遊技機における停止動作をより忠実に再現させることが可能となる。
【0022】
本発明におけるリール画像処理手段は、前記所定の順序に従って、前記過去図柄を基点として所定の上限回数の範囲で図柄を変動させたときの図柄を前記停止図柄として導出するよう構成すること(請求項2)が可能であり、これにより、停止操作が行われてから所定の滑りコマ数の範囲でリール装置を停止させる現実の回胴式遊技機と同様の停止動作を行うことが可能となる。
【0023】
本発明では、前記回転動作において前記リール画像処理手段が前記リール画像を構成する図柄を導出する毎に、導出された図柄を記録する過去図柄記録手段を更に備え、
前記過去図柄特定手段は、前記過去図柄記録手段に記録された図柄に基づいて前記過去図柄の特定を行うこと(請求項3)が好ましい。
【0024】
かかる発明では、例えば、停止操作が入力された時点における図柄に基づいて、計算によって過去図柄を導出する場合と比較して、停止図柄の導出をより高速に行うことが可能となる。
【0025】
本発明では、前記所定の順序に従って、前記過去図柄を基点として所定の上限回数の範囲で図柄を変動させたときの図柄を候補図柄として導出する候補図柄導出手段と、
前記候補図柄を、前記停止図柄導出時点及び/又は前記停止図柄導出時点と前記所定の時点の中間の時点における前記回転動作において導出された図柄と比較することにより前記候補図柄の適否を判定する判定手段を更に備え、
前記リール画像処理手段は、前記判定手段により適合の判定がなされた場合には、前記候補図柄を前記停止図柄として導出し、前記判定手段により不適合の判定がなされた場合には、前記停止図柄導出時点と前記所定の時点の中間の時点における前記回転動作において導出された図柄に基づいて前記停止図柄の導出を行うこと(請求項4)が好ましい。
【0026】
即ち、過去の時点における図柄である過去図柄に基づいて停止図柄を導出する場合には、その停止図柄導出時点において表示装置に表示されている図柄や、まだ表示装置に表示はされていないけれども表示することが確定している図柄よりも以前の段階で表示される図柄が停止図柄として特定される場合を生じうるが、これをそのまま停止図柄として採用した場合には、リールが逆回転したような不自然な停止動作が表示されるなどの不都合を生じる。
【0027】
このような不都合な表示は、停止図柄の導出における滑りコマ数を調整することによっても回避することは可能であるが、この場合には、規定の滑りコマ数の範囲(例えば、0〜4コマの範囲)を前提として作成された現実の回胴式遊技機における滑り制御テーブルを使用することができない。
【0028】
この点、本発明は滑りコマ数の調整を要しない構成であるため、現実の回胴式遊技機における滑り制御テーブルをそのまま流用しつつ、上記のような不都合な表示の回避が可能になるという優れた効果が達成される。
【0029】
本発明におけるリール画像処理手段を、回転動作においてはフレーム時間毎にリール画像を構成する図柄の導出を実行し、表示装置を、リール画像をフレーム時間毎に更新して表示するよう構成し、過去図柄として、リール画像処理手段が停止図柄の特定を行うフレーム時間よりも所定フレーム時間以前のフレーム時間における回転動作においてリール画像処理手段により特定される図柄を使用すること(請求項5)が可能であり、これにより、リール画像の導出や表示装置におけるリール画像の表示などの処理がフレーム単位で行われるゲーム装置を用いた現実の回胴式遊技機における停止動作の再現を適切に行うことができる。
【0030】
本発明は、所定の順序で配列された複数の図柄よりなる図柄列を記録する図柄列記録手段を更に備え、前記リール画像処理手段は、前記回転動作においては前記図柄列上を所定速度で移動する表示部位内の1又は連続する図柄を前記リール画像を構成する図柄として導出するとともに、前記操作入力装置からの前記所定の入力に応答して前記表示部位の停止位置を導出し、当該停止位置にある前記表示部位内の図柄を前記停止図柄として導出すること(請求項6)が好ましく、更には、前記過去図柄特定手段は、前記停止図柄の導出が行われるタイミングよりも以前の所定のタイミングにおける前記回転動作において導出される前記表示部位の位置を過去位置として特定し、前記リール画像処理手段は、前記過去位置に基づいて前記停止図柄の導出を行うこと(請求項7)が好ましく、これにより、複数種類の図柄を外周面上に有する円筒状(ドラム状)のリール装置を回転させ、筐体に設けられたリール窓から当該リール装置の外周面の一部を観察可能に構成した現実の回胴式遊技機におけるリール装置の動作の忠実な再現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
本発明は、ゲーム操作を入力するための操作入力装置と、ゲーム画像を表示するための表示装置とを備えた据え置き型や携帯型の家庭用ゲーム装置などの任意の形態のゲーム装置に適用されるものであるが、以下の実施形態では、外部記録媒体から読み取ったゲームプログラムに基づいてゲームを実施可能な据え置き型の家庭用のゲーム装置に適用した場合について説明する。
【0033】
図1は、本発明を適用したゲーム装置1の外観概略構成を示す図である。
【0034】
図示するように、このゲーム装置1は、大きく分けて、ゲーム装置本体10、操作入力装置20、表示装置30から構成される。
【0035】
ここで、ゲーム装置本体10は、本発明を適用したゲームプログラムを記録したDVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aを後述の第1の外部記録媒体ドライブ44がデータ読み取り可能な位置にセットするためのディスクホルダー部11と、ゲームの経過情報(セーブデータ)を記録するメモリーカードなどの第2の外部記録媒体45aを後述の第2の外部記録媒体ドライブ45がデータ読み取り/書き込み可能な位置にセットするための差込口12と、操作入力装置20のケーブルを後述の操作入力処理部48に接続するためのコントローラ端子13と、装置本体10の電源投入を行うためのPOWERボタン14と、前述のディスクホルダー部11を開閉するための開閉スイッチ15と、表示装置30と接続するためのAVケーブル16と、外部商用電源部に接続するための電源ケーブル17とを備えている。
【0036】
操作入力装置20は、操作者が各種ゲーム操作を行うためのSTARTボタン21、方向キー22、○ボタン23a、×ボタン23b、□ボタン23c、△ボタン23d、R1ボタン24a、R2ボタン24b、L1ボタン25a、L2ボタン25b等を備えている。
【0037】
表示装置30は、ゲーム装置本体10で生成されたゲーム画像を表示するためのブラウン管型や液晶型等の表示画面31と、ゲーム装置本体10で生成されたゲーム演出音声を外部に出力するための左右のスピーカ32a,32bとを備えている。
【0038】
図2は、図1に示したゲーム装置1の内部のハードウェア構成を示す説明図である。
【0039】
図2に示すように、このゲーム装置1は、その内部に、CPU41、ROM42、メインメモリ(RAM)43とを含む制御系CNTLと、第1、第2の外部記録媒体ドライブ44、45と、画像処理部46と、音声処理部47と、操作入力処理部48と、電源供給インタフェース部49とから構成される。
【0040】
ここで、CPU41は、ゲーム装置の制御動作の中枢となり、システムバスSBを介して他の構成要素部分と制御信号やデータ信号等の受け渡しを行ってゲーム装置全体を統括的に制御するとともに、ゲームプログラム並びに操作者が操作入力装置20を使って指示する内容に基づいてゲーム進行を制御する。また、CPU41は、フレーム時間毎にゲーム画像の描画に必要なデータやコマンドを生成し、これを画像処理部46に送信する。
【0041】
ROM42は、ゲーム装置の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かすための基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。
【0042】
RAM43は、メモリ上でゲームプログラムを実行するものであり、第1、第2の外部記録媒体44a、45aから読み出したデータを一時記録するとともに、作業中のデータを一時記録する揮発性メモリである。例えば、ゲーム実行処理時に第1の外部記録媒体44aから読み出したゲームプログラムや各種ゲームデータ(ゲーム画像情報、ゲーム演出音声情報、テキスト情報等)の一部若しくは全部をゲームプログラム記録領域43aに一時記録保持するとともに、第2の外部記録媒体45aから読み出したセーブデータ或いはゲーム進行中の作業データをゲーム進行データ記録領域43bに一時記録保持する。
【0043】
なお、図中鎖線で示される制御系CNTLには、図示省略のDMACが含まれており、このDMACが、システムバスSBに接続されている周辺機器を対象として割り込み制御やダイレクトメモリアクセス(DMA)転送制御を行うことにより、CPU41を介さずに各種周辺機器とRAM43間でシステムバスSBを介して直接データのやりとりを行うことができ、これにより、CPU41のオーバーヘッドを伴わずに、高速・大容量のデータ転送を実現している。
【0044】
第1の外部記録媒体ドライブ44は、DVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aに記録されたゲームプログラムや各種ゲームデータを読み取る。
【0045】
第2の外部記録媒体ドライブ45は、メモリーカードなどの第2の外部記録媒体45aに対するセーブデータの読み取り及び書き込みを行う。
【0046】
画像処理部46は、表示画面31で表示するゲーム画像を生成処理するものであって、本実施形態では、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)のゲーム画像を生成するために、画像デコーダ46aと、フレームバッファ(VRAM)46cを有するGPU46bと、ディスプレイコントローラ46d等の半導体デバイスを備えている。
【0047】
ここで、画像デコーダ46aは、第1の外部記録媒体44aから読み出され、RAM43に格納されたJPEG或いはMPEG方式等で圧縮符号化された静止画或いは動画等のゲーム画像のデータを復号してRAM43に記憶する処理を行う。
【0048】
GPU46bは、CPU41からのコマンドに応じて、3DCGのゲーム画像のデータを生成するための所定の画像生成アルゴリズムを実行し、ジオメトリ処理やレンダリング処理等を行って生成した1フレーム分のゲーム画像を例えばビットマップ形式でフレームバッファ46cに描画する。なお、このフレームバッファ46cへのゲーム画像の描画は、当該ゲーム画像のためのデータやコマンドがCPU41により生成されたフレーム時間の次のフレーム時間に実行される。画像デコーダ46aで復号された画像データは、背景画などとしてGPU46bによるゲーム画像の描画に利用される。
【0049】
ディスプレイコントローラ46dは、各フレーム時間にフレームバッファ46cに描画された画像データを、それぞれ次のフレーム時間に読み出し、該読み出した画像データに対応した輝度信号(明るさの情報)と色信号(色の情報)を含む映像信号を生成して表示装置30に出力する。
【0050】
音声処理部47は、表示装置30の左右のスピーカ32a,32bで出力する効果音やBGM等のゲーム音声を生成処理する半導体デバイスであって、具体的には、図示省略のサウンドバッファ及びSPU等を備え、SPUがサウンドバッファから読み出した音データを合成して音声信号を生成して表示装置30に出力する。
【0051】
操作入力処理部48は、操作者のゲーム操作を入力するための操作入力装置20が接続され、CPU41と操作入力装置20との間で種々の信号のやり取りを行うI/Oポートであり、例えば、操作入力装置20への所定の停止操作に対応した停止信号などをシステムバスSBを介してCPU41に送信する。
【0052】
電源供給インタフェース部49は、ACアダプタ機能を有し、外部商用電源からの電力をゲーム装置本体10の内部に供給するインタフェース部である。
【0053】
図3は、表示画面31に表示されるゲーム画面であり、図3(a)が、本発明に係るゲームプログラムが格納された外部記録媒体44aをディスクホルダー部11に挿入した状態でゲーム装置1の電源が投入された場合に最初に表示されるトップ画面50の一構成例を示す図であり、図3(b)が、トップ画面50の「ゲームスタート」の項目51が選択された場合に実行されるスロットゲーム(現実の回胴式遊技機の動作を再現させたシミュレーションゲーム)におけるゲーム画面60の一構成例を示す図である。
【0054】
図3(b)に示すように、このゲーム画面60には、複数の図柄が配列された複数のリール画像61a〜61cや液晶ディスプレイ画像63を有するスロットマシンSMの画像が画面中央に大きく表示されている。
【0055】
このスロットゲームの一般的なプレイの流れとしては、コイン投入に割り当てられた操作(例えば、R1ボタン24aの押下)により、ゲーム装置1がゲーム画面60上に表示しているスロットマシンSMのメダル投入をMAXに設定する。すなわち、操作者がメダル3枚を1度にBETしたことになる。その後、リールの回転開始に割り当てられた操作(例えば、方向キー22の下方向への操作)がなされると、ゲーム装置1が各リール画像61a〜61c上の図柄を変動させる回転動作を実行する。その後、それぞれのリール画像61a〜61cの回転停止に割り当てられた操作(例えば、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aの押下)がなされると、ゲーム装置1がそれぞれ対応するリール画像61a〜61cの図柄の変動を停止させる。このようにして、ベット→リール回転→各リール停止という一連の操作により1プレイの遊技が行われ、全てのリール画像61a〜61cが停止したときにリール画像61a〜61cとして表示されている図柄(停止図柄)により遊技結果(入賞役の成立、不成立)の告知がなされる。
【0056】
すなわち、操作者がタイミング良く、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aを押下して、所望の図柄(「ベル」や「カバン」等の小役図柄や、「BAR」などのRB図柄や、「7」などのBB図柄等)を揃えるスロットゲームを行うことができる。
【0057】
図4は、ゲーム装置1のCPU41の制御のもと、外部記録媒体44aに記録されている本発明を適用したゲームプログラムに基づいてRAM43上で展開実現される機能ブロックを概念的に示す説明図である。
【0058】
図4において、スロットゲーム実行部70は、操作入力装置20から受信する各種の操作信号に応答して、上記スロットゲームを実行するものであり、コイン処理部71と、遊技情報記録部72と、フラグ記録部73と、抽選実行部74と、抽選テーブル75と、演出処理部76と、停止位置決定部77a、過去位置記録部77b及び滑り制御テーブル77cを有するリール画像処理部77と、図柄列記録部78と、遊技結果判定部79と、特別遊技処理実行部80とを備えて構成される。
【0059】
ここで、スロットゲーム実行部70が操作入力装置20から「コイン投入」に割り当てられた操作信号を受信すると、その信号はコイン処理部71に送信され、コイン処理部71は、遊技情報記録部72に記録される獲得コイン数を投入されたコイン数だけ減算して更新するとともに、投入されたコイン数が所定の値(例えば3枚)に達している場合には、フラグ記録部73におけるスタートフラグをオンにセットする。
【0060】
抽選実行部74は、上記スタートフラグがオンにセットされている状態で、操作入力装置20から「リールの回転開始」に割り当てられた操作信号(回転信号)をスロットゲーム実行部70が受信したことを条件に所定範囲(例えば0〜65535)の乱数を発生させ、抽選テーブル75に規定される乱数の数値と入賞役との対応関係に従って抽選結果(当選の有無及び当選の場合の入賞役の種類)を決定するものである。本実施形態では、成立によりそれぞれ異なる態様の遊技効果(獲得メダル数の増加など)を生じさせる複数種類の入賞役が設定されている。
【0061】
そして、抽選実行部74により決定された抽選結果がいずれかの入賞役の当選である場合には、フラグ記録部73において当選した入賞役に対応する入賞役フラグがオンにセットされ、当選した入賞役に応じた演出画像やリールの停止操作順序についてのインストラクションなどをゲーム画面60の液晶ディスプレイ画像63において表示させるために、所定の信号が演出処理部76に送信される。
【0062】
リール画像処理部77は、図柄列記録部78に記録されるデータに基づいて、図3(b)に示すリール画像61a〜61cを画像処理部46に描画させるためのデータを生成するものである。具体的には、リール画像処理部77は、複数のポリゴンにより形成される3つの3次元円筒(リール)の各々の外周表面上に図柄列記録部78から読み込んだ複数種類の図柄のテクスチャ(図柄画像)を貼り付けることで図5(a)に示すようなリールオブジェクト91a〜91cを生成し、それらの軸92を中心とした所定角度αの範囲における表示部位93a〜93cを予め指定された所定の仮想視点から仮想的に撮影した画像としてリール画像61a〜61cを描画するためのデータを生成する。この実施形態において上記所定角度αは、各リールオブジェクト91a〜91cの外周表面上の3つの連続する図柄が上記各表示部位93a〜93cに収まる大きさに設定されている。
【0063】
ここで、図柄列記録部78には、リール画像61a〜61c上において表示される複数種類(「赤セブン」、「白セブン」、「BAR」、「チェリー」、「カバン」、「ベル」、「リプレイ」等)の図柄のテクスチャデータと、各リールオブジェクト91a〜91c上における上記各テクスチャの貼り付け位置(複数位置への貼り付けを含む)を規定するテーブル形式のデータが記録されており、上記により生成されるリールオブジェクト91a〜91cの外周表面上には、図5(b)に示すような図柄列94a〜94cが配列されることになる。
【0064】
リール画像処理部77により生成される3つのリールの外周表面上には背景色として適宜の色彩(例えば「白色」)を与えることが可能である。上記各テクスチャの貼り付けに際しては、当該テクスチャの透明度や拡縮比率等のパラメータを適宜の値に設定可能である。
【0065】
本実施形態の図柄列記録部78は、任意の個数の任意の図柄を任意の順序で配列した図柄列のデータを記録するものとすることが可能であるが、好ましくは、図柄列94a〜94cのような、現実の回胴式遊技機のリール装置に使用される図柄と同一又は類似の色彩や形状を有する図柄のテクスチャを現実の回胴式遊技機と同様の順序で配列した図柄列のデータを記録するものとすることができる。
【0066】
そして、スロットゲーム実行部70が操作入力装置20から回転信号を受信した場合には、リール画像処理部77は、リール画像61a〜61cの回転動作を実行し、その後の「左リールの回転停止」、「中リールの回転停止」又は「右リールの回転停止」のいずれかに割り当てられた操作信号(停止信号)に応答して対応するリール画像61a〜61cの停止動作を実行する。
【0067】
即ち、回転信号を受信したリール画像処理部77は、リールオブジェクト91a〜91cを所定方向に所定速度で回転させて表示部位93a〜93cの図柄列94a〜94c上での位置を移動させることで回転動作を実行し、他方、停止信号を受信したリール画像処理部77は、停止位置決定部77aにおいて決定される図柄列94a〜94c上の所定位置に表示部位93a〜93cが停止するようにリールオブジェクト91a〜91cの回転を停止させることで停止動作を実行する。上記回転動作及び停止動作において導出される時々刻々の表示部位93a〜93cの位置を示すデータ、又は当該位置にある表示部位93a〜93c内の図柄を特定するデータは画像処理部46に送信され、画像処理部46は受信したデータに基づいてゲーム画面60内におけるリール画像61a〜61cを描画する処理を実行する。
【0068】
ここで、本実施形態に係るゲーム装置1では、停止動作が全てのリールオブジェクト91a〜91cについて実行されると、ゲーム画面60上のリール画像61a〜61cのそれぞれに3つの図柄が停止図柄として表示され、合計9つの停止図柄の組み合わせにより遊技結果が告知されるようになっている。具体的には、停止図柄として「赤セブン」、「白セブン」、「BAR」、「カバン」、「チェリー」、「リプレイ」などの図柄が所定の有効ライン上に並んだ場合には、それぞれに対応する入賞役が成立したという遊技結果が告知され、それ以外の場合には、外れという遊技結果が告知される。
【0069】
図5(c)は、停止動作が実行されたリール画像61a〜61cの一態様を示す説明図であり、同図中の5本の仮想線62a〜62eは有効ラインを示しており、図示の例では、中段の有効ライン62b上に「ベル」の図柄が3つ並んでいる態様から、操作者は特定の入賞役(ベル役)が成立したことを理解することができる。
【0070】
また本実施形態のリール画像処理部77は、現実の回胴式遊技機における停止動作を忠実に再現するために、上記回転動作における表示部位93a〜93cの図柄列94a〜94c上における位置を過去3フレーム分に渡って記録する過去位置記録部77bと、現実の回胴式遊技機において使用されると同様のデータを規定した滑り制御テーブル77cとを備えており、停止位置決定部77aにおける上記停止位置の決定は、これら過去位置記録部77b及び制御テーブル77cに記録されるデータに基づいて行われる。
【0071】
遊技結果判定部79は、リール画像61a〜61cについての停止動作が完了したことを条件に動作し、停止表示された9つの停止図柄の配列に基づいていずれかの入賞役が成立したか否かを判断し、成立している場合には、遊技情報記録部72に記録される獲得コイン数を成立した入賞役に応じたコイン数だけ増分して更新する処理を行うとともに、成立した入賞役に応じた演出を液晶ディスプレイ画像63などを用いて実行するために、所定の信号を演出処理部76に送信するものである。成立した入賞役が「BB」(有効ライン上に「赤セブン」又は「白セブン」が並んだときに成立する入賞役)や「RB」(有効ライン上に「BAR」が並んだときに成立する入賞役)などの特別役である場合には、次回以降の所定回数の遊技処理において入賞役の種類や当選確率或いは入賞役の成立時に増分される獲得コイン数が変更された特別遊技処理を実行するために、所定の信号が特別遊技処理実行部80に送信される。
【0072】
リール画像処理部77、演出処理部76において処理された情報は画像処理部46に送信され、画像処理部46はこれらの情報を統合的に処理することで、図3(b)に例示される態様のゲーム画面60の生成及びその表示装置30上における表示を実行する。
【0073】
以下、フローチャートに基づいて、ゲーム装置1の処理動作を説明する。
【0074】
図6は、ゲーム装置1が本発明を適用したゲームプログラムに従って実行するスロットゲームの一連の処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
図6において、本発明のゲームプログラムを記録した外部記録媒体44aをディスクホルダー部11にセットした状態でゲーム装置1の電源が投入されると、CPU41が外部記録媒体44a上のゲームプログラムをRAM43に展開し、図3(a)のトップ画面50を表示画面31上に表示させてゲームを開始させる(ステップS1)。
【0076】
このトップ画面50において、方向キー22やSTARTボタン21等への操作により「ゲームスタート」の項目51が選択指定されると、スロットゲーム実行部70から送信されるリールオブジェクト91a〜91cや表示部位93a〜93cの位置などのデータに基づいて画像処理部46が図3(b)に示すゲーム画面60を生成し、これを表示装置30において表示させる(ステップS2)。
【0077】
その後、スロットゲーム実行部70は「コイン投入」に割り当てられた操作信号の待ち受けを行い(ステップS3)、当該信号の入力があった場合には、コイン処理部71が動作し、フラグ記録部73のスタートフラグをオンにセットするなどのコイン投入処理を実行する(ステップS4)。
【0078】
続いてスロットゲーム実行部70は、回転信号の待ち受けを行い(ステップS5)、当該信号の入力があった場合、抽選実行部74が動作して入賞役の抽選や入賞役の当選があった場合における入賞フラグの書き換えなどの抽選処理を実行する(ステップS6)。
【0079】
続くステップS7ではリール画像処理部77が動作し、上記回転動作及び停止動作を実現するための回転・停止処理を実行する。
【0080】
図7は、上記回転・停止処理(ステップS7)における処理の詳細を示すフローチャートである。
【0081】
回転・停止処理(ステップS7)が開始すると、まず、フレームカウンタ値の初期化(ステップS11)及び増分処理(ステップS12)が実行される。
【0082】
続くステップS13では、それぞれのリールオブジェクト91a〜91cを所定方向に所定角度回転させることにより図柄列94a〜94c上における表示部位93a〜93cの位置を更新する処理が実行される。
【0083】
ステップS13において導出される表示部位93a〜93cの位置、或いはその位置にある表示部位93a〜93c内の図柄など、リール画像61a〜61cの描画に必要なデータは、ステップS14において画像処理部46に送信される。当該データを受信した画像処理部46では、GPU46bが、各フレーム時間(例えば、フレームカウンタ値がT+1であるフレーム時間)に受信したデータに基づくゲーム画像をそれぞれの次のフレーム時間(フレームカウンタ値がT+2であるフレーム時間)に生成してフレームバッファ46cに描画する処理を実行し、ディスプレイコントローラ46dが、各フレーム時間(例えば、フレームカウンタ値がT+2であるフレーム時間)に描画されたフレームバッファ46cの画像をそれぞれの次のフレーム時間(フレームカウンタ値がT+3であるフレーム時間)に表示装置30に送信する処理を実行する。
【0084】
なお、表示部位93a〜93cのいずれかが、後述のステップS17において導出された停止位置に到達している場合には、当該表示部位93a〜93cについてのステップS13における表示部位93a〜93cの位置の更新は実行されない。従って、表示部位93a〜93cが停止位置に到達した以降は、当該停止位置にある表示部位93a〜93c内の図柄が停止図柄として継続的にゲーム画面60において表示されることになる。
【0085】
続くステップS15では、ステップS13において更新された各表示部位93a〜93cの位置が過去位置として過去位置記録部77bに記録される。なお、過去位置記録部77bには、過去3フレーム分の過去位置(即ち、フレームカウンタ値がT−2、T−1及びTのフレーム時間におけるステップS13での処理により更新された表示部位93a〜93cの位置)が記録可能とされており、それ以前の過去位置(フレームカウンタ値がT−3のフレーム時間におけるステップS13での処理により更新された表示部位93a〜93cの位置)は過去位置記録部77bから順次消去されていく。
【0086】
続くステップS16では、現フレーム時間(フレームカウンタ値はT+1)の1つ前のフレーム時間(フレームカウンタ値がTのフレーム時間)において検知された操作入力装置20からの操作信号が検査され、これが、「左リールの回転停止」、「中リールの回転停止」又は「右リールの回転停止」のいずれかに割り当てられた停止信号であるか否かの判断が実行される。
【0087】
そして、ステップS16における判断が「Yes」である場合には、停止位置決定部77aが動作し、受信した停止信号に対応するリール画像61a〜61cについての停止位置の導出処理(ステップS17)を実行し、「No」である場合には当該処理を実行することなく、処理をステップS18に移行させる。
【0088】
図9は、上記停止図柄の導出処理(ステップS17)における処理の詳細を示すフローチャートである。
【0089】
停止図柄の導出処理(ステップS17)が開始すると、過去位置記録部77bに記録された現フレーム時間よりも3フレーム前の過去位置(フレームカウンタ値がT−2のフレーム時間におけるステップS13で更新された表示部位93a〜93cの位置)及びフラグ記録部73における入賞役フラグの状況に基づいて、表示部位93a〜93cの第1候補位置が決定される(ステップS21)。
【0090】
即ち、いずれかの入賞役フラグがオンにセットされている場合には、上記3フレーム前の過去位置を基点として所定の上限の範囲(0〜4コマの範囲)で表示部位93a〜93cを図柄列94a〜94c上で移動させることで該当する入賞役を告知する図柄が有効ライン62a〜62e上に到達することを条件に、その位置が第1候補位置として決定される。
【0091】
一方、オンにセットされた入賞役フラグが存在しない場合、或いは、3フレーム時間前の過去位置から4コマの範囲で表示部位93a〜93cを移動させてもオンにセットされた入賞役フラグに対応する入賞役を告知する図柄が有効ライン62a〜62eに到達しない場合には、滑り制御テーブル77cが参照されて、3フレーム前の過去位置から4コマの範囲で、かつ、いずれの入賞役を告知する図柄も有効ライン62a〜62e上に並ばない位置が第1候補位置として決定される。
【0092】
続くステップS22では、ステップS21において決定された第1候補位置の適否判定が実行される。即ち、第1候補位置が、現フレーム時間よりも3フレーム時間前又は2フレーム時間前の過去位置(フレームカウンタがT−2又はT−1のフレーム時間におけるステップS13で更新された表示部位93a〜93cの位置)と一致する場合には、「不適合」の判定がなされ、それ以外の場合には「適合」の判定がなされる。
【0093】
そして、ステップS22における判定結果が「適合」である場合には、処理はステップS23に移行し、ステップS22において決定された第1候補位置が停止位置として導出される。
【0094】
一方、ステップS22における判定結果が「不適合」である場合には、処理はステップS24に移行して第2候補位置の決定が実行され、続くステップS25では第2候補位置の適否判定が実行される。
【0095】
第2候補位置の決定(ステップS24)における処理の内容は、3フレーム前の過去位置に代えて、2フレーム前の過去位置が使用される点を除いて第1候補位置の決定(ステップS21)と同様であり、第2候補位置の適否判定(ステップS25)における処理は、第2候補位置が、現フレーム時間よりも2フレーム時間前の過去位置と一致する場合にのみ「不適合」の判定がなされ、それ以外の場合には「適合」の判定がなされる点を除いて第1候補位置の適否判定(ステップS22)と同様である。
【0096】
ステップS25における判定結果が「適合」である場合には、処理はステップS26に移行し、ステップS24において決定された第2候補位置が停止位置として導出される。
【0097】
一方、ステップS25における判定結果が「不適合」である場合には、処理はステップS27に移行して停止位置の導出処理が実行される。
【0098】
ステップS27における停止位置の導出処理は、3フレーム前の過去位置に代えて、1フレーム前の過去位置が使用される点を除いてステップS21における第1候補位置の決定と同様の態様で行われる。
【0099】
ステップS23、26又は27において停止位置が導出されることによりステップS17は完了し、処理はステップS18に移行する。
【0100】
なお、本実施形態では、第1又は第2候補位置の導出(ステップS21、S24)を行った後に、当該第1又は第2候補位置の適否判定(ステップS22、S25)を行い、判定結果が「適合」である場合に当該第1又は第2候補位置を停止位置として特定する方式が採用されているが、このような方式は、ゲーム装置本体10において、一旦フレームバッファ46cに描画されたリール画像61a〜61cが必ず表示装置30に表示される仕様が採用されている場合に特に有益であり、この点を図9の例を用いて説明する。
【0101】
即ち、図9において、現フレーム時間のフレームカウンタ値がT+1とすれば、現フレーム時間においてフレームバッファ46cに描画される図柄(「3」)が必ず表示装置30に表示されるとするならば、その図柄(「3」)よりも以前に表示装置30に表示されることになる図柄(「1」や「2」の図柄)が停止図柄として特定された場合には、表示装置30上において、リールが逆回転したような不自然な停止動作が表示されることになる。
【0102】
一方、ステップS21、S24では、上記のように現フレーム時間よりも3フレーム時間前の過去位置の図柄(「1」)又は2フレーム時間前の過去位置の図柄(「2」)を基点として所定の範囲(0〜4コマ)で図柄を変動させたときの図柄の位置が第1、第2候補位置として決定されるが故に、第1又は第2候補位置をそのまま停止位置として特定した場合には、上記のような不自然な停止動作を表示させる図柄(「1」や「2」の図柄)の位置が停止位置として特定される場合を生じることになる。
【0103】
本実施形態では、第1、第2候補位置がこれら3又は2フレーム時間前の過去位置と一致した場合には、より新しい過去位置を用いて第2候補位置の決定(ステップS24)又は停止位置の特定(ステップS27)を行うことで、上記不都合を防止したものである。
【0104】
ステップS18では、リール画像61a〜61cについての停止動作が完了したか否か、即ち、全ての表示部位93a〜93cが、ステップS17において特定された停止位置に到達しているか否かの判断が実行され、完了している(「Yes」)場合には回転・停止処理(ステップS7)を完了させて処理をメインルーチンにおけるステップS8に移行させ、完了していない(「No」)場合には、次のフレーム時間における各表示部位93a〜93cの位置の導出を行うため、処理をステップS12に復帰させる。
【0105】
回転・停止処理(ステップS7)が完了し、処理がステップS8に移行すると、遊技結果判定部79が動作して、ステップS7において停止表示された停止図柄の配列に基づいて入賞役の成立・不成立を判定し、特別役又は一般役が成立している場合には、それぞれ特別遊技処理実行部80による特別遊技処理(ステップS9)又は遊技情報記録部72における獲得コイン数の更新処理(ステップS10)が実行され、入賞役の不成立の場合はこれらの処理を実行することなく、次回の遊技処理を実行するために処理はステップS3に戻される。
【0106】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0107】
例えば、上記した実施形態では、現実の回胴式遊技機におけるリール装置をより忠実に再現するために、リールオブジェクトなどにより構成される3次元モデルを用いた3DCG技術によりゲーム画像を生成する場合について例示したが、3DCG技術を使用しないアニメーション技術によりゲーム画像を生成することも可能である。
【0108】
また、上記実施形態では、現実の回胴式遊技機における停止動作をより忠実に再現するために、滑りコマ数の範囲を現実の回胴式遊技機と同様の0〜4とし、また、停止図柄の特定に現実の回胴式遊技機に使用されると同様の滑り制御テーブルを使用する場合について説明したが、滑りコマ数の範囲として0〜4とは異なる範囲を設定し、或いは滑り制御テーブルを用いない他の任意の方法により停止図柄の特定を行うことも可能である。
【0109】
また、上記実施形態では、CPUによるゲーム画像の導出処理から表示装置におけるゲーム画像の表示までに2フレーム時間のタイムラグがあり、操作信号の入力からその処理が行われるまでに1フレーム時間のタイムラグがある仕様のゲーム装置における例として、停止位置が3フレーム時間前〜1フレーム時間前の過去位置に基づいて特定される場合を説明したが、ゲーム装置に使用されるハードウェア等によって、停止位置の特定を他のタイミングの過去位置に基づいて特定するものとすることも可能である。
【0110】
また、上記実施形態では、停止位置の特定に現実の回胴式遊技機と同様の滑り制御テーブルを使用したこととの関係で、第1候補位置を決定した後に適否判定を行い、不適合である場合には第2候補位置を決定するなど、段階的な処理によって停止位置を導出する場合について説明したが、現実の回胴式遊技機と同様の滑り制御テーブルを使用しないのであれば、例えば、3フレーム前の過去位置を基点とするのであれば、滑りコマ数の範囲を2〜4として停止位置を導出するなど、滑りコマ数の範囲を調整することによってリールが逆回転するなどの不自然なゲーム画像の表示を防止することも可能であり、この場合には、1段階の処理で停止位置の導出を行うことが可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、処理時間の短縮などの目的のために、過去位置記録部に記録されたデータに基づいて過去位置を特定する場合について説明したが、停止位置の導出処理毎に、停止位置を特定するための基準として使用する過去位置を計算により求めるよう構成することも可能である。
【0112】
また、上記実施形態では、本発明を据え置き型のゲーム装置上で実現する場合について説明したが、本発明は可搬型のゲーム装置など他の形態のゲーム装置上で実現することも可能である。
【0113】
上記実施形態における表示画面の構成や図柄の態様等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにおいて上記実施形態と異なるゲーム装置、ゲームプログラム又はプログラムを記録した記録媒体を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観構成を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係るゲーム装置のシステム構成を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態に係るゲーム装置におけるゲーム画面の一構成例を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態に係るゲーム装置において実現される機能ブロックを示す説明図。
【図5】(a)はリール画像処理部により生成される3次元CGの形態を示す説明図、(b)は図柄列の例示的な態様を示す説明図、(c)は停止動作が実行されたリール画像の一態様を示す説明図。
【図6】スロットゲームにおける処理の流れを示す説明図。
【図7】回転・停止処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】停止図柄の導出処理の詳細を示すフローチャート。
【図9】ゲーム装置における例示的な画像処理の態様をタイムチャートで示す説明図。
【符号の説明】
【0115】
1・・・ゲーム装置、10・・・ゲーム装置本体、11・・・ディスクホルダー部、12・・・差込口、13・・・コントローラ端子、14・・・POWERボタン、15・・・開閉スイッチ、16・・・ケーブル、17・・・電源ケーブル、20・・・操作入力装置、21・・・STARTボタン、22・・・方向キー、23a〜23d・・・、24a、24b、25a、25b・・・操作ボタン、30・・・表示装置、31・・・表示画面、32a,32b・・・スピーカ、41・・・CPU、42・・・ROM、43・・・RAM、43a・・・ゲームプログラム記録領域、43b・・・ゲーム進行データ記録領域、44、45・・・外部記録媒体ドライブ、44a、45a・・・外部記録媒体、46・・・画像処理部、46a・・・画像デコーダ、46b・・・GPU、46c・・・フレームバッファ、46d・・・ディスプレイコントローラ、47・・・音声処理部、48・・・操作入力処理部、49・・・電源供給インタフェース部、50・・・トップ画面、60・・・ゲーム画面、61a〜61c・・・リール画像、62a〜61e有効ライン、62a・・・有効ライン、63・・・液晶ディスプレイ画像、70・・・スロットゲーム実行部、71・・・コイン処理部、72・・・遊技情報記録部、73・・・フラグ記録部、74・・・抽選実行部、75・・・抽選テーブル、76・・・演出処理部、77・・・リール画像処理部、77a・・・停止位置決定部、77b・・・過去位置記録部、77c・・・滑り制御テーブル、79・・・遊技結果判定部、80・・・特別遊技処理実行部、91a〜91c・・・リールオブジェクト、93a〜93c・・・表示部位、94a〜94c・・・図柄列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム操作を入力するための操作入力装置と、
一又は複数の図柄により構成されるリール画像を表示するための表示装置とを備え、
前記リール画像を構成する図柄を所定の順序で変動させる回転動作と、前記図柄の変動を停止させ、一又は複数の停止図柄を前記リール画像として表示する停止動作とを実行するゲーム装置であって、
前記回転動作における時々刻々の前記リール画像を構成する図柄を導出するとともに、前記操作入力装置への所定の入力に応答して前記停止図柄を導出するリール画像処理手段と、
前記停止図柄の導出が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手段とを更に備え、
前記リール画像処理手段は、前記過去図柄に基づいて前記停止図柄の導出を行うことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記リール画像処理手段は、前記所定の順序に従って、前記過去図柄を基点として所定の上限回数の範囲で前記図柄の変動を行ったときの図柄を前記停止図柄として導出することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記回転動作において前記リール画像処理手段が前記リール画像を構成する図柄を導出する毎に、導出された図柄を記録する過去図柄記録手段を更に備え、
前記過去図柄特定手段は、前記過去図柄記録手段に記録された図柄に基づいて前記過去図柄の特定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記所定の順序に従って、前記過去図柄を基点として所定の上限回数の範囲で前記図柄の変動を行ったときの図柄を候補図柄として導出する候補図柄導出手段と、
前記候補図柄を、前記停止図柄導出時点及び/又は前記停止図柄導出時点と前記所定の時点の中間の時点における前記回転動作において導出された図柄と比較することにより前記候補図柄の適否を判定する判定手段を更に備え、
前記リール画像処理手段は、前記判定手段により適合の判定がなされた場合には、前記候補図柄を前記停止図柄として導出し、前記判定手段により不適合の判定がなされた場合には、前記停止図柄導出時点と前記所定の時点の中間の時点における前記回転動作において導出された図柄に基づいて前記停止図柄の導出を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記リール画像処理手段は、前記回転動作においてはフレーム時間毎に前記リール画像を構成する図柄の導出を実行し、
前記表示装置は、前記リール画像をフレーム時間毎に更新して表示するよう構成されており、
前記過去図柄は、前記リール画像処理手段が前記停止図柄の特定を行うフレーム時間よりも所定フレーム時間以前のフレーム時間における前記回転動作において前記リール画像処理手段により特定される図柄であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
所定の順序で配列された複数の図柄よりなる図柄列を記録する図柄列記録手段を更に備え、
前記リール画像処理手段は、前記回転動作においては前記図柄列上を所定速度で移動する表示部位内の1又は連続する図柄を前記リール画像を構成する図柄として導出するとともに、前記操作入力装置からの前記所定の入力に応答して前記表示部位の停止位置を導出し、当該停止位置にある前記表示部位内の図柄を前記停止図柄として導出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記過去図柄特定手段は、前記停止図柄の導出が行われるタイミングよりも以前の所定のタイミングにおける前記回転動作において導出される前記表示部位の位置を過去位置として特定し、
前記リール画像処理手段は、前記過去位置に基づいて前記停止図柄の導出を行うことを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
表示装置上において、リール画像を構成する図柄を所定の順序で変動させる回転動作と、前記図柄の変動を停止させ、一又は複数の停止図柄を前記リール画像として表示する停止動作とを実行するゲームプログラムであって、
コンピュータに、
前記回転動作における時々刻々の前記リール画像を構成する図柄を導出するとともに、操作入力装置への所定の入力に応答して前記停止図柄を導出するリール画像処理手順と、
前記停止図柄の導出が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手順とを実行させ、
前記停止図柄は、前記リール画像処理手順において、前記過去図柄に基づいて導出されることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
表示装置上において、リール画像を構成する図柄を所定の順序で変動させる回転動作と、前記図柄の変動を停止させ、一又は複数の停止図柄を前記リール画像として表示する停止動作とを実行するゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、
前記回転動作における時々刻々の前記リール画像を構成する図柄を導出するとともに、操作入力装置への所定の入力に応答して前記停止図柄を導出するリール画像処理手順と、
前記停止図柄の導出が行われる時点である停止図柄導出時点よりも以前の所定の時点における前記回転動作において導出された図柄を過去図柄として特定する過去図柄特定手順とを実行させ、
前記停止図柄は、前記リール画像処理手順において、前記過去図柄に基づいて導出されることを特徴とするゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−132248(P2008−132248A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321747(P2006−321747)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】