説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラム

【課題】人が耳を澄ませて特定の方向から発せられる音に集中して聞こうとする状況をユーザに感じさせる。
【解決手段】距離算出部58は、仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する。決定部60は、前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出部58が算出した距離Lに基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する。変更部62は、前記聴取位置49と前記聴取位置49に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定部60により用いられる前記関係データを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム装置においては、ゲームの効果音等に対して種々のサウンドエフェクトが行われている。例えば、仮想ゲーム空間に配置された発音源オブジェクトから発せられる音を出力するゲーム装置が知られている。特許文献1には、発音源オブジェクトと聴取位置との距離に応じて音の再生及び停止を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実世界では、人が耳を澄ませて、特定の方向から発せられる音に集中して聞こうとする場合がある。このような場合、人の耳には、特定の方向から発せられる音が比較的はっきりと聞こえるようになる。この点、従来のゲーム装置では、人が耳を澄ませて特定の方向から発せられる音に集中して聞こうとする状況をユーザに感じさせることができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、人が耳を澄ませて特定の方向から発せられる音に集中して聞こうとする状況をユーザに感じさせることが可能なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出手段と、前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出手段が算出した距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定手段と、前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るゲーム装置の制御方法は、仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出ステップと、前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出ステップにおいて算出された距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定ステップと、前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定ステップにおいて用いられる前記関係データを変更する変更ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出手段、前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出手段が算出した距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定手段、前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更する変更手段、として機能させる。このコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末等である。また、プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてもよい。
【0009】
本発明によれば、人が耳を澄ませて特定の方向から発せられる音に集中して聞こうとする状況をユーザに感じさせることが可能となる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記関係データは、前記聴取位置と前記発音源との距離の増加に応じて前記音量が減少及び/又は前記音質が劣化するように設定され、前記変更手段は、前記発音源が前記領域に含まれる場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を小さくするように変更する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラにより撮影される当該仮想ゲーム空間の様子をゲーム画像として表示する表示手段を更に備え、前記領域は、前記仮想カメラに対応する視界の一部であり、前記変更手段は、前記領域に前記発音源が含まれるか否か及び前記視界に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記関係データは、前記聴取位置と前記発音源との距離の増加に応じて前記音量が減少及び/又は前記音質が劣化するように設定され、前記変更手段は、前記発音源が前記領域に含まれる場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記視界に含まれ、かつ、前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を小さくするように変更し、かつ、前記発音源が前記視界に含まれない場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記視界に含まれ、かつ、前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を大きくするように変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記発音源が発する音に対応する字幕を表示させる表示制御手段と、前記領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて前記字幕の一部の文字の表示を制限する制限手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラにより撮影される当該仮想ゲーム空間の様子をゲーム画像として表示する表示手段を更に備え、前記聴取位置は前記仮想カメラの位置に基づいて設定されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記仮想ゲーム空間にはプレイヤの操作対象であるキャラクタオブジェクトが配置され、前記聴取位置は前記キャラクタオブジェクトの位置に基づいて設定されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置の構成を示す図である。
【図2】仮想3次元空間の一部を示す図である。
【図3】Xw−Zw平面における各領域を説明するための図である。
【図4】音量減少率αと距離Lとの関係を表す図である。
【図5】音質劣化率βと距離Lとの関係を表す図である。
【図6】ゲーム装置において実現される機能群を示す機能ブロック図である。
【図7A】表示部に表示されるゲーム画面の一例である。
【図7B】制限部によって字幕の一部の表示が制限された場合の一例である。
【図7C】制限部によって字幕の一部の表示が制限された場合の一例である。
【図8】ゲーム装置において実行される処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。本発明の実施形態に係るゲーム装置は、例えば、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。本実施形態では、本発明に係るゲーム装置を家庭用ゲーム機によって実現する場合について説明する。
【0018】
[1.ゲーム装置のハードウェア構成]
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置10の構成を示す図である。図1に示すように、ゲーム装置10においては、家庭用ゲーム機11に情報記憶媒体である光ディスク25及びメモリカード28が装着される。
【0019】
また、ゲーム装置10には、表示部18及び音声出力部22が接続される。例えば、表示部18には家庭用テレビ受像機が用いられ、音声出力部22には、その内蔵スピーカが用いられる。
【0020】
家庭用ゲーム機11は、バス12、マイクロプロセッサ14、画像処理部16、音声処理部20、光ディスク再生部24、主記憶26、入出力処理部30及びコントローラ32を含んで構成される公知のコンピュータゲームシステムである。コントローラ32以外の構成要素は、筐体内に収容される。
【0021】
バス12は、アドレス及びデータを、家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26及び入出力処理部30は、バス12によって相互データ通信可能に接続される。
【0022】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステム、光ディスク25から読み出されるプログラムや、メモリカード28から読み出されるデータに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する。
【0023】
主記憶26は、例えば、RAMを含んで構成される。主記憶26は、光ディスク25から読み出されたプログラムやメモリカード28から読み出されたデータが、必要に応じて書き込まれる。主記憶26は、マイクロプロセッサ14の作業用メモリとしても用いられる。
【0024】
画像処理部16は、VRAMを含んで構成される。画像処理部16は、マイクロプロセッサ14から送られる画像データに基づいて、VRAM上にゲーム画面を描画する。画像処理部16は、この内容をビデオ信号に変換して、所定のタイミングで表示部18に出力する。
【0025】
入出力処理部30は、マイクロプロセッサ14が音声処理部20、光ディスク再生部24、メモリカード28及びコントローラ32にアクセスするためのインタフェースである。入出力処理部30には、音声処理部20、光ディスク再生部24、メモリカード28及びコントローラ32が接続される。
【0026】
音声処理部20は、サウンドバッファを含んで構成される。音声処理部20は、光ディスク25から読み出されてサウンドバッファに記憶されたゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージ等の各種音データを音声出力部22から出力する。
【0027】
音声処理部20のサウンドバッファに記憶される各種音データは、光ディスク25等に記憶されている。光ディスク25には、ゲーム装置10が実行するゲームにおいて発せられる音に関する音データと、基準音量を示すデータと、が関連付けられて記憶されている。所定の再生タイミングが到来すると、音データとともに基準音量を示すデータが光ディスク25から読みだされて音声処理部20に入力される。
【0028】
光ディスク再生部24は、マイクロプロセッサ14からの指示に従って光ディスク25に記録されたプログラムや音データを読み取る。なお、ここではプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するために光ディスク25を用いることとするが、CD−ROMやROMカード等、他のあらゆる情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、インターネット等のデータ通信網を介して遠隔地から、プログラムを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。
【0029】
メモリカード28は、不揮発性メモリ(例えばEEPROM等)を含んで構成される。家庭用ゲーム機11は、メモリカード28を装着するための複数のメモリカードスロットを備えており、複数のメモリカード28を同時に装着可能となっている。メモリカード28は、このメモリカードスロットに対して脱着可能に構成され、例えば、セーブデータなどの各種ゲームデータを記憶させるために用いられる。
【0030】
コントローラ32は、プレイヤが各種ゲーム操作の入力をするためのものである。入出力処理部30は、一定周期毎(例えば1/60秒毎)にコントローラ32の各部の状態をスキャンする。このスキャン結果を表す操作信号は、バス12を介してマイクロプロセッサ14に入力される。
【0031】
マイクロプロセッサ14は、コントローラ32からの操作信号に基づいてプレイヤのゲーム操作を判定する。家庭用ゲーム機11は、複数のコントローラ32を接続可能に構成されている。つまり、家庭用ゲーム機11は、各コントローラ32から入力される操作信号に基づいて、マイクロプロセッサ14がゲーム制御を行うようになっている。
【0032】
[2.ゲーム装置における仮想3次元空間]
ゲーム装置10では、仮想3次元空間(仮想的なゲーム空間)が主記憶26に構築される。図2は、主記憶26に構築される仮想3次元空間の一部(仮想3次元空間40)を示す図である。
【0033】
図2に示すように、仮想3次元空間40には、互いに直交するXw軸、Yw軸、及びZw軸が設定される。仮想3次元空間40内の位置は、これらの座標軸の3次元座標、即ちワールド座標値(ワールド座標系の座標値)により特定される。
【0034】
仮想3次元空間40には、地面や床面等を表すフィールドオブジェクト42が配置される。フィールドオブジェクト42は、例えば、Xw−Zw平面に平行に配置される。フィールドオブジェクト42上には、例えば、プレイヤの操作対象であるキャラクタオブジェクト44が配置される。キャラクタオブジェクト44は、プレイヤの操作に従って、仮想3次元空間40内を移動したり、向き(正面方向)を変えたりする。
【0035】
フィールドオブジェクト42には、発音源オブジェクト46a,46b,46c(この3つを総じて発音源オブジェクト46という。)が配置される。発音源オブジェクト46a,46b,46cが配置される仮想3次元空間40の位置を特定する座標は、後述する仮想空間データ記憶部50に記憶されている。発音源オブジェクト46a,46b,46cに対応する座標を、それぞれ位置座標47a,47b,47c(上記と同様に、総じて位置座標47という)とする。
【0036】
発音源オブジェクト46は、例えば、プレイヤの操作対象とはならないキャラクタオブジェクト(敵キャラクタ等)である。発音源オブジェクト46は、例えば、光ディスク25に記憶されたプログラムに記述されたアルゴリズムに従って仮想3次元空間40を移動する。
【0037】
発音源オブジェクト46は、プログラムに従って決定される所定タイミングにて、予め定められた話し声や鳴き声等の音を発する。先述のように、この音に関する音データは、光ディスク25に記憶されており、所定のタイミングで基準音量を示すデータとともに読みだされ、音声処理部20のサウンドバッファに記憶される。
【0038】
より具体的には、光ディスク25は、仮想ゲーム空間に配置される発音源オブジェクト46を識別するための情報と、この発音源オブジェクト46から発せられる音の音声データと、音の基準音量データと、を関連付けて記憶する。なお、基準音量データは、複数の発音源オブジェクト46に共通のものを用いてもよい。
【0039】
発音源オブジェクト46から発せられる音は、例えば、発音源オブジェクト46の位置座標47と聴取位置49との距離Lと、基準音量データと、に基づいて、音量が決定される。
【0040】
また、本実施形態においては、聴取位置49を中心とした所定半径の球に含まれる発音源オブジェクト46から発せられる音が音声出力部22から出力される。なお、音声出力部22からの出力対象となる発音源オブジェクト46は、他の任意の方法によって特定可能とする。また、キャラクタオブジェクト44が停止している場合には、歩行している場合よりも、この球の半径が大きくなるようにしてもよい。
【0041】
また、仮想3次元空間40には仮想カメラ48(視点)が設定される。この仮想カメラ48から仮想3次元空間40が撮影された様子を表すゲーム画面が生成され、表示部18に表示される。ゲーム画面には、仮想カメラ48の視野(視錘台)に含まれるオブジェクトが表示される。
【0042】
仮想カメラ48には、聴取位置49が設定される。聴取位置49は、仮想3次元空間40において、プレイヤが音声を聞き取る際の基準位置を示すものである。聴取位置49は、任意の位置であればよく、例えば、キャラクタオブジェクト44の位置に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0043】
図3に示すように、仮想カメラ48の視野は、仮想カメラ48が配置される位置座標(即ち、聴取位置49)、仮想カメラ48の視線方向V(指向方向)、仮想カメラ48の視野角θ、及びゲーム画面のアスペクト比A等によって決定される。これらの値は、主記憶26に記憶され、ゲームの状況に応じて適宜変更される。
【0044】
本実施形態では、仮想カメラ48の位置座標は、キャラクタオブジェクト44の背後の所定位置に固定され、キャラクタオブジェクト44の移動に従って移動する。仮想カメラ48の視線方向Vは、キャラクタオブジェクト44とともに従動する。例えば、キャラクタオブジェクト44が、Xw−Zw平面の右回りに回転した場合、仮想カメラ48の視線方向Vも、右回りに回転する。
【0045】
なお、仮想カメラ48が配置される位置は、これに限られない。例えば、仮想3次元空間40の所定の位置に固定されてもよいし、キャラクタオブジェクト44の目の位置等に配置されるようにしてもよい。仮想カメラ48の視線方向Vも、同様に上記の例に限られず、キャラクタオブジェクト44に従動しなくともよい。
【0046】
ゲーム装置10においては、聴取位置49と、発音源オブジェクト46a,46b,46cのそれぞれの位置座標47a,47b,47cと、の距離L1,L2,L3が算出される。
【0047】
ゲーム装置10では、発音源オブジェクト46a,46b,46cから発せられるそれぞれの音の音質と音量は、距離L1,L2,L3と、関係データと、に基づいて決定される。関係データとは、発音源オブジェクト46から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は発音源オブジェクト46から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、発音源オブジェクト46からの距離Lと、の関係を表すデータである。関係データの詳細については後述する。
【0048】
本実施形態においては、仮想3次元空間40は、集中領域E1、視野内領域E2、及び視野外領域E3の3つの領域に分類される。
【0049】
図3は、Xw−Zw平面における各領域を説明するための図である。集中領域E1は、聴取位置49に基づいて決定される領域である。図3に示すように、例えば、集中領域E1は、仮想カメラ48に対応する視野内の領域である。仮想カメラ48に対応する視野は、聴取位置49から視線方向Vに対して伸びる直線lを基準として、Xw−Zw平面の右回りと左回りに、それぞれθ×A/2の角度だけ回転させた領域である。
【0050】
集中領域E1は、この視野内の領域のうち、直線lから所定距離d1以内の領域(図3の斜線領域)である。即ち、図3の例では、集中領域E1は、ゲーム画面の中央付近の領域となる。本実施形態においては、集中領域E1に含まれる発音源オブジェクト46から発せられる音は、音量の減少や音質の劣化の程度が、他の領域よりも小さくなる。
【0051】
視野内領域E2は、仮想カメラ48の視界のうち、集中領域E1ではない領域である。図3に示すように、例えば、視野内領域E2は、仮想カメラ48の視野から、集中領域E1を除いた領域(図3の網かけ領域)である。
【0052】
視野外領域E3とは、仮想カメラ48の視界以外の領域である。図3に示すように、例えば、視野外領域E3は、仮想3次元空間40の領域から、仮想カメラ48に対応する視野を除いた領域(図3の白抜き領域)である。
【0053】
[3.関係データ]
ゲーム装置10では、仮想3次元空間40における発音源オブジェクト46の位置座標47と聴取位置49との距離Lに対応する音量減少率α及び音質劣化率βを関係データから取得する。音量減少率αとは、各発音源オブジェクト46から発せられる音の音量の減少に関する情報である。音質劣化率βとは、各発音源オブジェクト46から発せられる音質の劣化に関する情報である。
【0054】
図4は、音量減少率αと距離Lとの関係を表す図である。図4に示すように、光ディスク25に、音量減少率αと距離Lとの関係を示す音量減少率曲線データDCを各領域毎に記憶している。各領域とは、集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3である。なお、音量減少率曲線データDCは、図示しないROM等に記憶されていてもよい。
【0055】
以降では、集中領域E1に対応するデータを音量減少率曲線データDC1という。視野内領域E2に対応するデータを音量減少率曲線データDC2という。視野外領域E3に対応するデータを音量減少率曲線データDC3という。
【0056】
図4に示すように、距離Lが大きくなればなるほど、音量減少率αは1に近づくように設定されている。一方、距離Lが小さくなればなるほど、音量減少率αは0に近づくように設定されている。
【0057】
また、距離Lが同一の場合、集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3の順番で音量減少率αが大きくなるように設定されている。つまり、音量減少率曲線データDC1<音量減少率曲線データDC2<音量減少率曲線データDC3の関係となる。
【0058】
発音源オブジェクト46が集中領域E1に含まれる場合は、視野内領域E2に含まれる場合よりも、距離Lの増加に応じた音量の減少の程度が小さい。一方、発音源オブジェクト46が視野外領域E3に含まれる場合は、視野内領域E2に含まれる場合よりも、距離Lの増加に応じた音量の減少の程度が大きい。
【0059】
発音源オブジェクト46から発せられる音が音声出力部22から出力される際には、この音の音量が決定される。具体的には、発音源オブジェクト46が含まれる領域に応じて、音量の決定の際に使用される音量減少率曲線データDCが変更される。この音量減少率曲線データDCと、距離Lと、に基づいて音量減少率αが特定されて、音量が決定される。
【0060】
ゲーム装置10は、特定された音量減少率αに基づいて発音源オブジェクト46から発せられる音の音量を減少させる。例えば、発音源オブジェクト46の音データに対応する基準音量から音量減少率αの大きさに応じた値を減算させて再生音量とする。他にも、再生音量は、基準音量に(1−α)を乗じることによって得られる音量になる。
【0061】
なお、関係データと距離Lとに基づいて音量が減少するように決定されればよく、音量の決定方法はこれに限られない。例えば、音量減少率αと距離Lとを所定の数式に代入することにより音量が決定されるようにしてもよい。
【0062】
図5は、音質劣化率βと距離Lとの関係を表す図である。図5に示すように、光ディスク25に、音質劣化率βと距離Lとの関係を示す音質劣化率曲線データDGを、各領域(集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3)毎に記憶している。なお、音質劣化率曲線データDGは、図示しないROM等に記憶されていてもよい。
【0063】
以降では、集中領域E1に対応するデータを音質劣化率曲線データDG1という。視野内領域E2に対応するデータを音質劣化率曲線データDG2という。視野外領域E3に対応するデータを音質劣化率曲線データDG3という。
【0064】
図5に示すように、音質劣化率曲線データDGは、距離Lが大きくなればなるほど、音質劣化率βは1に近づくように設定されている。一方、距離Lが小さくなればなるほど、音質劣化率βは0に近づくように設定されている。
【0065】
また、距離Lが同一の場合、集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3の順番で音質劣化率βが大きくなるように設定されている。つまり、音質劣化率曲線データDG1<音質劣化率曲線データDG2<音質劣化率曲線データDG3の関係となる。
【0066】
つまり、発音源オブジェクト46が集中領域E1に含まれる場合は、視野内領域E2に含まれる場合よりも、距離Lの増加に応じた音質の劣化の程度が小さい。一方、発音源オブジェクト46が視野外領域E3に含まれる場合は、視野内領域E2に含まれる場合よりも、距離Lの増加に応じた音質の劣化の程度が大きい。
【0067】
発音源オブジェクト46から発せられる音が音声出力部22から出力される際には、この音の音質が決定される。具体的には、発音源オブジェクト46が含まれる領域に応じて、音質の決定の際に用いられる音質劣化率曲線データDGが変更される。この音質劣化率曲線データDGと、距離Lと、に基づいて音質劣化率βが特定されて音質が決定される。
【0068】
ゲーム装置10は、特定された音質劣化率βに基づいて発音源オブジェクト46から発せられる音の音質を劣化させる。例えば、この発音源オブジェクト46に対応する音データと光ディスク25等に記憶されたノイズのサンプルデータとを、(1−β):βの割合で混合する等である。
【0069】
なお、関係データと距離Lとに基づいて音質が劣化するように決定されればよく、音質の決定方法はこれに限られない。例えば、音質劣化率βに基づいて音データに対応する波形を減衰させるようにしてもよい。
【0070】
音声出力部22は、上記のように決定された音量と音質に基づいて、発音源オブジェクト46の音データを出力する。このように音量と音質を決定することにより、例えば、ゲーム空間において10m離れている所から聞こえる音であっても、発音源オブジェクト46が集中領域E1にあれば、5m離れている所から聞こえるようになる。一方、発音源オブジェクト46が視野外領域E3にあれば、例えば、15m離れている所から聞こえるようになる。
【0071】
[4.ゲーム装置で実現される機能]
図6は、ゲーム装置10において実現される機能群を示す機能ブロック図である。図6に示すように、ゲーム装置10では、仮想空間データ記憶部50、関係データ記憶部52、距離算出部58、決定部60、変更部62、表示制御部64、制限部66が実現される。これらの機能は、マイクロプロセッサ14が光ディスク25から読み出されたプログラムに従って動作することにより、実現される。
【0072】
[4−1.仮想空間データ記憶部]
仮想空間データ記憶部50は、主記憶26及び光ディスク25を主として実現される。仮想空間データ記憶部50は、図2に示す仮想3次元空間40に関する各種データを記憶する。
【0073】
図2に示す仮想3次元空間40は、仮想空間データ記憶部50に記憶されたデータに基づいて主記憶26に構築される。例えば、キャラクタオブジェクト44や発音源オブジェクト46等の各オブジェクトの位置座標、聴取位置49の位置座標、仮想カメラ48の位置座標、仮想カメラ48の視線方向V、仮想カメラ48の視野角θ、及びゲーム画面のアスペクト比A等が、仮想空間データ記憶部50に記憶される。
【0074】
[4−2.関係データ記憶部]
関係データ記憶部52は、主記憶26及び光ディスク25を主として実現される。関係データ記憶部52は、関係データを記憶する。関係データは、例えば、音量減少率曲線データ及び音質劣化率曲線データを含んで構成される。関係データ記憶部52は、音量減少率曲線データ記憶部54と音質劣化率曲線データ記憶部56とを含む。
【0075】
[音量減少率曲線データ記憶部]
音量減少率曲線データ記憶部54は、各発音源オブジェクト46から発せられる音の音量の減少に関する情報と、聴取位置49と各発音源オブジェクト46との距離Lと、の関係を記憶する。音量減少率曲線データ記憶部54は、例えば、図4に示す音量減少率曲線データDCを記憶する。
【0076】
[音質劣化率曲線データ記憶部]
音質劣化率曲線データ記憶部56は、各発音源オブジェクト46から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、聴取位置49と各発音源オブジェクト46との距離Lと、の関係を記憶する。音質劣化率曲線データ記憶部56は、例えば、図5に示す音質劣化率曲線データDGを記憶する。
【0077】
[4−3.距離算出部]
距離算出部58は、マイクロプロセッサ14を主として実現される。距離算出部58は、聴取位置49と各発音源オブジェクト46との距離Lを算出する。例えば、聴取位置49の位置座標と、各発音源オブジェクト46の位置座標47と、を仮想空間データ記憶部50から読み出し、これらに基づいて距離Lを算出する。
【0078】
[4−4.決定部]
決定部60は、マイクロプロセッサ14を主として実現される。決定部60は、関係データ記憶部52に記憶された関係データと、距離算出部58が算出した距離Lと、に基づいて各発音源オブジェクト46から発せられる音の音量及び音質を決定する。
【0079】
[4−5.変更部]
変更部62は、マイクロプロセッサ14を主として実現される。変更部62は、聴取位置49と聴取位置49に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に発音源オブジェクト46が含まれるか否かに基づいて、決定部60により用いられる関係データを変更する。
【0080】
例えば、聴取位置49は、仮想カメラ48の位置に基づいて設定される位置であり、聴取位置49に対応する指向方向は、仮想カメラ48の視線方向Vに基づいて設定される方向である。本実施形態の場合、聴取位置49は、仮想カメラ48の位置であり、聴取位置49に対応する指向方向は、仮想カメラ48の視線方向Vである。
【0081】
なお、聴取位置49は、プレイヤが操作するキャラクタオブジェクト44の位置に基づいて設定されるようにしてもよい。また、聴取位置49に対応する指向方向は、プレイヤが操作するキャラクタオブジェクト44の代表方向(例えば、正面方向又は視線方向等)に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0082】
例えば、聴取位置49をプレイヤが操作するキャラクタオブジェクト44の位置とし、聴取位置49に対応する指向方向を、プレイヤが操作するキャラクタオブジェクト44の正面方向としてもよい。なお、キャラクタオブジェクト44の正面方向とは、キャラクタオブジェクト44の胴体部の正面方向であってもよいし、頭部の正面方向であってもよい。なお、指向方向は、プレイヤが指示できるようにしてもよい。即ち、指向方向は、プレイヤの方向指示操作に基づいて取得するようにしてもよい。
【0083】
本実施形態の場合、変更部62は、聴取位置49と聴取位置49に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に発音源オブジェクト46が含まれるか否かと、仮想カメラ48の視界に発音源オブジェクト46が含まれるか否かと、に基づいて決定部60により用いられる関係データを変更する。即ち、各領域(集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3)に発音源オブジェクト46が含まれるか否かに基づいて、決定部60により用いられる関係データを変更する。発音源オブジェクト46が含まれる領域は、仮想空間データ記憶部50に記憶された各発音源オブジェクト46の位置座標47に基づいて判断される。
【0084】
[4−6.表示制御部]
表示制御部64は、マイクロプロセッサ14を主として実現される。表示制御部64は、発音源オブジェクト46が発する音に対応する字幕を表示部18に表示させる。
【0085】
図7Aは、表示部18に表示されるゲーム画面の一例である。図7Aに示すように、表示制御部64は、発音源オブジェクト46が発する音に対応する字幕を表示部18に表示させる。
【0086】
表示制御部64により表示される字幕は、光ディスク25に記憶された音データに基づいて表示される。例えば、音データと字幕のテキストデータとが対応付けられて光ディスク25に記憶されており、音データとともにテキストデータが光ディスク25から読み出される。音データの再生タイミングに合わせてテキストデータの内容が表示部18の所定位置に表示される。
【0087】
[4−7.制限部]
制限部66は、マイクロプロセッサ14を主として実現される。制限部66は、各領域に発音源オブジェクト46が含まれるか否かに基づいて字幕の一部の文字の表示を制限する。
【0088】
図7Bは、制限部66によって字幕の一部の文字の表示が制限された場合の一例である。図7Bに示すように、図7Aに示す字幕の表示が制限され、表示される文字数が減少する。例えば、発音源オブジェクト46が集中領域E1にある場合には、この音量と音質に基づいて図7Aのように字幕が表示される。一方、発音源オブジェクト46が、視野内領域E2に含まれる場合には、この音量と音質に基づいて図7Bのように字幕が表示される。
【0089】
図7Cは、制限部66によって字幕の一部の文字の表示が制限された場合の別の一例である。図7Cに示すように、字幕の表示が、図7Bよりも制限され、表示される文字数が更に減少する。例えば、発音源オブジェクト46が、視野外領域E3に含まれる場合には、この音量と音質に基づいて図7Cのような字幕の表示がなされる。
【0090】
なお、字幕表示の制限方法は、これに限られない。例えば、表示を制限すべき文字を薄くさせたり、この文字をぼやかして表示させるようにしてもよい。
【0091】
[5.ゲーム装置にて実行される処理]
図8は、ゲーム装置10において実行される処理の一例を示すフロー図である。図8の処理は、マイクロプロセッサ14が、光ディスク25から読み出されたプログラムに従って動作することにより実行される。図8の処理は、例えば、各発音源オブジェクト46から音が発せられるタイミングが訪れる際に実行される。
【0092】
なお、図8の処理が実行されるタイミングはこれに限られない。例えば、コントローラ32から、キャラクタオブジェクト44が集中して音を聞く旨を示す所定の指示が入力された場合において、発音源オブジェクト46から音が発せられるタイミングが訪れた際にのみ実行されるようにしてもよい。
【0093】
まず、図8に示すように、マイクロプロセッサ14は、仮想空間データ記憶部50に記憶された聴取位置49に基づいて集中領域E1を決定する(S101)。図3を例に挙げて説明したように、例えば、集中領域E1は、聴取位置49の位置座標、仮想カメラ48の視線方向V、視野角θ、及びアスペクト比Aに基づいて算出される。算出された集中領域E1を特定する情報は、主記憶26に記憶される。
【0094】
なお、集中領域E1は、聴取位置49に基づいて所定の方法によって算出されるようにすればよく、集中領域E1の算出方法は、これに限られない。他にも、聴取位置49を仮想カメラ48の位置座標とする場合には、集中領域E1が仮想カメラ48の位置座標に基づいて算出されるようにしてもよい。
【0095】
マイクロプロセッサ14は、発音源オブジェクト46が集中領域E1にあるか否かを判断する(S102)。具体的には、発音源オブジェクト46の位置座標47が、集中領域E1に含まれるか否かによって判断される。この発音源オブジェクト46とは、仮想3次元空間40に配置された発音源オブジェクト46のうち、本処理によって音が発せられる対象となるものである。
【0096】
発音源オブジェクト46が集中領域E1にある場合(S102;Y)、マイクロプロセッサ14(変更部62)は、発音源オブジェクト46が集中領域E1にある場合の関係データを取得する(S103)。例えば、音量減少率曲線データDC1及び音質劣化率曲線データDG1が取得され、主記憶26に記憶される。
【0097】
一方、発音源オブジェクト46が集中領域E1にない場合(S102;N)、マイクロプロセッサ14は、発音源オブジェクト46が視野内領域E2にあるか否かを判断する(S104)。
【0098】
S104においては、S102と同様に、発音源オブジェクト46の位置座標47が、視野内領域E2に含まれるか否かによって判断される。視野内領域E2は、表示部18にゲーム画面が表示される際に、適宜、仮想空間データ記憶部50に記憶された各値に基づいて算出され、主記憶26に記憶されている。
【0099】
発音源オブジェクト46が視野内領域E2にある場合(S104;Y)、マイクロプロセッサ14(変更部62)は、発音源オブジェクト46が視野内領域E2にある場合の関係データを取得する(S105)。例えば、音量減少率曲線データDC2及び音質劣化率曲線データDG2が取得され、主記憶26に記憶される。
【0100】
一方、発音源オブジェクト46が視野内領域E2にない場合(S104;N)、マイクロプロセッサ14(変更部62)は、発音源オブジェクト46が視野外領域E3にある場合の関係データを取得する(S106)。例えば、音量減少率曲線データDC3及び音質劣化率曲線データDG3が取得され、主記憶26に記憶される。
【0101】
次いで、マイクロプロセッサ14(距離算出部58)は、聴取位置49と発音源オブジェクト46との距離Lを算出する(S107)。マイクロプロセッサ14(決定部60)は、発音源オブジェクト46から発せられる音の音量及び音質を決定する(S108)。
【0102】
S108においては、まず、S107で算出された距離Lと、S103,S105,S106の何れかにおいて取得された関係データと、に基づいて、発音源オブジェクト46から発せられる音の及び音量減少率α及び音質劣化率βが特定される。この音量減少率α及び音質劣化率βに基づいて、発音源オブジェクト46から発せられる音の音量及び音質が決定される。
【0103】
マイクロプロセッサ14は、S108において決定された音量及び音質に基づいて発音源オブジェクト46に対応する音を音声出力部22から出力させる(S109)。
【0104】
マイクロプロセッサ14(制限部66)は、S108において決定された音量及び音質に基づいて、表示を制限する文字を決定する(S110)。
【0105】
S110においては、発音源オブジェクト46が配置されている領域に基づいた任意の決定がなされればよい。例えば、まず、音質劣化率βに基づいて表示が制限される文字数が決定される。具体的には、字幕の文字数のうち「(1−β)*100」パーセントの文字数が制限されるように決定される。この文字数分、字幕を所定の文字(図7のようなハイフン等)に置き換える等である。
【0106】
他にも、S110においては、音量減少率αに基づいて同様に決定されるようにしてもよいし、音量減少率α及び音質劣化率βの両者に基づいて決定されるようにしてもよい。なお、表示が置き換えられる文字は、乱数に基づいてランダムに決定されてもよいし、予め定められた順番や数式に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0107】
マイクロプロセッサ14(表示制御部64)は、S110における決定結果に基づいて、字幕を表示部18に表示させる(S111)。表示の制限を受けない場合には、図7Aに示す字幕が表示され、表示の制限を受ける場合には、図7Bや図7Cに示す字幕が表示される。
【0108】
[6.本実施形態のまとめ]
以上説明した本実施形態に係るゲーム装置10は、聴取位置49と発音源オブジェクト46との距離Lを算出し、関係データと距離Lとに基づいて発音源オブジェクト46から発せられる音の音量と音質を決定する。この決定の際に使用される関係データは、聴取位置49に基づいて決定される所定領域に発音源オブジェクト46が含まれるか否かに基づいて変更される。
【0109】
本実施形態におけるゲーム装置10によれば、発音源オブジェクト46が聴取位置49に対して特定の方向(各領域)に配置されている場合、プレイヤに音をはっきりと聞き取らせることができる。つまり、発音源オブジェクト46が配置される領域に応じて音量と音質とを変更することができる。
【0110】
また、関係データは、距離Lの増加に応じて音量が減少するように設定される。同様に、関係データは、距離Lの増加に応じて音質が劣化するように設定される。集中領域E1に発音源オブジェクト46が含まれる場合、この距離Lの増加に応じた音量減少や音質劣化の具合を、視野内領域E2の場合よりも小さくすることにより、集中領域E1から発せられる音をプレイヤに聞きとらせやすくすることができる。
【0111】
また、本発明によれば、発音源オブジェクト46が配置される領域に応じて、音量及び音質を決定する際に用いられる関係データを変更するので、この領域に応じた音声出力処理を行うことが可能になる。つまり、視野外領域E3に発音源オブジェクト46が含まれる場合には、視野内領域E2に発音源オブジェクト46が含まれる場合に比べて、音量を減少させ、音質を劣化させることができる。
【0112】
また、発音源オブジェクト46が配置された領域に基づいて字幕の表示制限を行うことができる。プレイヤが視界を変更すると、集中領域E1も変更されるため、字幕の表示制限の程度も視界の変更に合わせて変更することができる。
【0113】
また、聴取位置49がキャラクタオブジェクト44に基づいて設定されることにより、プレイヤの操作対象を基準とした集中領域E1を作成することができる。一方、聴取位置49が仮想カメラ48に基づいて設定される場合には、ゲーム画面の視点を基準とした集中領域E1を作成することができる。
【0114】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では家庭用ゲーム機を例に挙げて説明したが、ゲームセンター等に設置されるアーケード型ゲーム機であってもよい。
【0115】
また、本実施形態においては、聴取位置49に基づいて決定される所定領域の一例として集中領域E1を説明したが、所定領域は、これに限られない。例えば、キャラクタオブジェクト44が、聞き耳を立てている場合には、キャラクタオブジェクト44の右側の領域を、所定領域としてもよい。他の視野内領域E2及び視野外領域E3に対応する領域も、同様に本実施形態の例に限られない。
【0116】
また、関係データの一例を図4と図5に挙げて説明したが、関係データは、発音源オブジェクト46から発せられる音の音質の劣化に関する情報や発音源オブジェクト46から発せられる音の音量の減少に関する情報と、距離Lと、の関係を表すものであればよく、関係データのデータ形式は、これに限られない。例えば、関係データは、これらの関係が対応付けられたデータテーブルであってもよいし、距離Lを代入すると音質の劣化や音量の減少の程度が算出される数式等であってもよい。
【0117】
また、本実施形態においては、集中領域E1、視野内領域E2、視野外領域E3毎に音量減少率曲線データDC及び音質劣化率曲線データDGが記憶されているようにしたが、音質や音量を決定する際に用いられる関係データの変更方法は、他の方法であってもよい。
【0118】
例えば、視野内領域E2に対応する音量減少率曲線データDCのみ光ディスク25に記憶されており、集中領域E1と視野外領域E3に対応する音量減少率曲線データDCが、この視野内領域E2に対応する音量減少率曲線データDCを変更することによって取得(生成)されるようにしてもよい。
【0119】
例えば、発音源オブジェクト46が集中領域E1に含まれる場合には、距離Lによって特定される音量減少率αを20%減少させるように変更してもよい。一方、発音源オブジェクト46が視野外領域E3に含まれる場合には、距離Lによって特定される音量減少率αを20%増加させるように変更するようにしてもよい。音質劣化率βについても同様である。
【0120】
また、各領域毎に音量の減少及び音質の劣化の程度を異ならしめるようにしたが、予めプレイヤが選択した発音源オブジェクト46から発せられる音に関する上記程度を、他の発音源オブジェクト46から発せられる音とは異ならしめるようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態においては、音量及び音質の両方が、図8に示す処理で決定されるようにしたが、音量又は音質の何れか一方のみが、同様の処理によって決定されるようにしてもよい。例えば、音質のみを決定する場合には、関係データには音質劣化率曲線データDGのみが含まれ、図8に示す処理では、音質のみが決定される。音量のみを決定する場合も同様である。
【0122】
[変形例]
なお、本発明の実施形態は上記に限られない。例えば、発音源オブジェクト46から発せられる音のうち、予め記憶された特定のキーワードに関する音については、上記実施形態のような音量の減少及び音質の劣化をさせないようにしてもよい。
【0123】
例えば、音データが再生される際には、図8と同様の処理が実行されるが、特定のキーワードについては、S108において、音量の減少及び音質の劣化をさせないように制御される。具体的には、このキーワードが再生される間のみ、基準音量で再生したり、ノイズデータを混合させずに再生する。これらの制御は、他の任意の方法であってよい。
【0124】
以上の変形例によれば、発音源オブジェクト46が配置される領域に基づいて、音量の減少及び音質の劣化をさせても、プレイヤが、ゲーム進行上重要なキーワードを聞き逃すことを防止することができる。
【0125】
なお、図8のS110における字幕表示についても同様に、特定のキーワードを優先的に表示させる制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0126】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 画像処理部、18 表示部、20 音声処理部、22 音声出力部、24 光ディスク再生部、25 光ディスク、26 主記憶、28 メモリカード、30 入出力処理部、32 コントローラ、40 仮想3次元空間、42 フィールドオブジェクト、44 キャラクタオブジェクト、46,46a,46b,46c 発音源オブジェクト、47a,47b,47c 位置座標、48 仮想カメラ、49 聴取位置、50 仮想空間データ記憶部、52 関係データ記憶部、54 音量減少率曲線データ記憶部、56 音質劣化率曲線データ記憶部、58 距離算出部、60 決定部、62 変更部、64 表示制御部、66 制限部、E1 集中領域、E2 視野内領域、E3 視野外領域、DC,DC1,DC2,DC3 音量減少データ、DG,DG1,DG2,DG3 音質劣化率曲線データ、L 距離、V 視線方向、θ 視野角、A アスペクト比。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出手段と、
前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出手段が算出した距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定手段と、
前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更する変更手段と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記関係データは、前記聴取位置と前記発音源との距離の増加に応じて前記音量が減少及び/又は前記音質が劣化するように設定され、
前記変更手段は、前記発音源が前記領域に含まれる場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を小さくするように変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラにより撮影される当該仮想ゲーム空間の様子をゲーム画像として表示する表示手段を更に備え、
前記領域は、前記仮想カメラに対応する視界の一部であり、
前記変更手段は、前記領域に前記発音源が含まれるか否か及び前記視界に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記関係データは、前記聴取位置と前記発音源との距離の増加に応じて前記音量が減少及び/又は前記音質が劣化するように設定され、
前記変更手段は、前記発音源が前記領域に含まれる場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記視界に含まれ、かつ、前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を小さくするように変更し、かつ、前記発音源が前記視界に含まれない場合に用いられる前記関係データを、前記発音源が前記視界に含まれ、かつ、前記領域に含まれない場合に用いられる前記関係データに比べて、前記距離の増加に応じた前記音量の減少及び/又は前記音質の劣化の程度を大きくするように変更することを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記発音源が発する音に対応する字幕を表示させる表示制御手段と、
前記領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて前記字幕の一部の文字の表示を制限する制限手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記仮想ゲーム空間に配置される仮想カメラにより撮影される当該仮想ゲーム空間の様子をゲーム画像として表示する表示手段を更に備え、
前記聴取位置は前記仮想カメラの位置に基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記仮想ゲーム空間にはプレイヤの操作対象であるキャラクタオブジェクトが配置され、
前記聴取位置は前記キャラクタオブジェクトの位置に基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出ステップと、
前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出ステップにおいて算出された距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定ステップと、
前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定ステップにおいて用いられる前記関係データを変更する変更ステップと、
を含むことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
仮想ゲーム空間に設定される聴取位置と当該仮想ゲーム空間に配置される発音源との距離を算出する距離算出手段、
前記発音源から発せられる音の音量の減少に関する情報及び/又は前記発音源から発せられる音の音質の劣化に関する情報と、前記聴取位置と前記発音源との距離と、の関係を表す関係データ及び前記距離算出手段が算出した距離に基づいて前記音量及び/又は前記音質を決定する決定手段、
前記聴取位置と前記聴取位置に対応する指向方向とに基づいて決定される領域に前記発音源が含まれるか否かに基づいて、前記決定手段により用いられる前記関係データを変更する変更手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92302(P2011−92302A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247100(P2009−247100)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】