説明

ゲーム装置及びゲーム制御プログラム

【課題】キャラクタ操作を簡易に行え、またキャラクタ自体に接触しなくてもそのキャラクタ動作を含むゲーム進行が可能になる接触入力式のゲーム装置およびゲーム制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像表示部に対して指示手段103を接触させた接触位置104の位置座標を認識する接触位置認識手段と、位置座標に最も短い距離に位置するキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、接触位置104にキャラクタに応じて設定された移動体捕捉領域105を表示する移動体捕捉領域表示手段と、選択されたキャラクタを接触位置104に向かって移動させ、且つ、移動体が到達領域106に到達するまでにキャラクタが移動体捕捉領域105に到達した場合にキャラクタによる移動体の捕捉を確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームの進行を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、接触式のゲーム装置で実行される野球ゲームにおいて、守備キャラクタに対して捕球操作を行わせるものが知られている。特許文献1の開示のものは、タッチパネル式のゲーム装置において、プレーヤが打撃されたボールの飛球方向を予測して、その飛球方向にいる守備キャラクタを選択してタッチペンで接触し、その守備キャラクタを接触した状態のまま飛球方向に移動させることで、ボールの捕球動作を行わせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−273572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タッチパネル式のゲーム装置は画面自体が小さいために、選手キャラクタのように、画面に比してさらに小さい物体へのタッチペンによる接触には集中力を要し、気軽にゲームを楽しみたいようなプレーヤには向いていないという課題があった。また、最近、市場拡大の顕著なスマートフォン等の端末装置上で実行される野球ゲームの場合、人間が直接、指で接触操作するため、タッチペンほどの精細な操作は不要あるいは不可能である反面、例えば選手キャラクタに接触して移動させようとしても、その指自体で操作対象物である選手キャラクタが隠されてしまい、興が削がれるといった課題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、キャラクタ操作を簡易に行え、またキャラクタ自体に指で接触しなくても、そのキャラクタ動作を含むゲーム進行が可能となる接触入力式のゲーム装置およびゲーム制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明によるゲーム装置は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームを実行可能なゲーム装置であって、前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、前記複数のキャラクタのうち、前記位置座標に最も短い距離に位置するキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、前記接触位置に、前記キャラクタの能力が高いほど面積を大きく設定する移動体捕捉領域を表示する移動体捕捉領域表示手段と、前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明によるゲームプログラムは、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームをコンピュータに実行させるゲーム制御プログラムであって、
前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、前記複数のキャラクタのうち、前記位置座標に最も短い距離に位置するキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、前記接触位置に、前記キャラクタの能力が高いほど面積を大きく設定する移動体捕捉領域を表示する移動体捕捉領域表示手段と、前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラムである。
【0008】
この構成によれば、プレーヤが画像表示部に対して自分の予測した移動体の到達点に接触すると、その接触点に最も近いキャラクタが自動的に選択され、その選択されたキャラクタの能力に対応した大きさの移動体捕捉領域が接触点上に表示される。これと同時に、キャラクタは接触点に向かって移動を開始し、移動体が到達領域に達するまでに(例えば、野球ゲームの場合、ボールが地面に落下するまでに)キャラクタが移動体捕捉領域にまで到達できれば、キャラクタは確実に移動体を捕捉できる。逆に、移動体捕捉領域にまで達しない場合には、移動体の捕捉はできない。
【0009】
具体例として、本構成を野球ゲームに適用した場合で説明すると、プレーヤが画像表示部に表示されるフライ球等の落下地点を予測して、そのポイントに指で接触すると、複数の野手キャラクタの中からそのポイントに最も近い距離にいる野手キャラクタが捕球のためのキャラクタとして選択される。そして、その選択された野手キャラクタの能力に対応した大きさの円(移動体捕捉領域)が上記ポイントの上に表示される。これと同時に、野手キャラクタは上記ポイントに向かって走り出し、ボールが落下するまでに上記円(移動体捕捉領域)に達すればボールの捕球が保証されるが、間に合わない場合には捕球は失敗となる。従って、当初のプレーヤのボール落下点の予測が大幅にずれていれば、野手キャラクタが走っても、円(移動体捕捉領域)には到達し得ないので、そもそも捕球はできないことになるので、落下点を正確に予測しようというゲーム上の面白さが生じる。ここで、移動体認識手段がボールの落下点の算出や、ボールの落下時間(プレーヤがモニタに接触した時点を起点としてボールが地面(到達領域)に落下するまでの時間)の算出を行う。
【0010】
上記のように、本構成によれば、捕球に際して、プレーヤは野手キャラクタに直接接触することなく、ボールの落下地点を予測し、そこに接触するだけで適切な野手キャラクタを選択し、且つ捕球動作をさせることができるので、従来の接触式のゲーム装置のようにキャラクタへのピンポイント的な接触は不要となり、操作性に優れている。また、指等でキャラクタそのものを覆ってしまうこともないので視認性も良い。さらに、キャラクタ自体に接触、または指示して移動させるという操作も不要なので、ゲーム初心者にとっても操作性に優れた馴染みやすい仕様を実現できる。即ち、本構成においては、下記2条件を満足すれば野手キャラクタは確実にボールを捕球できる。
1.上記円内(移動体捕捉領域)にボールが落下すること。
2.野手キャラクタがボール落下までに、上記円(移動体捕捉領域)内に到達すること。
【0011】
つまり、上記2という条件はあるものの、プレーヤのボール落下地点の予測はピンポイントである必要はなく、上記円(移動体捕捉領域)の大きさまで許容されるので、操作性が比較的容易であり、ゲームに慣れていないプレーヤにとっても馴染みやすい。
【0012】
(2)前記移動体捕捉領域表示手段は、前記移動体の捕捉に関する前記キャラクタの能力が高いほど前記移動体捕捉領域を大きく表示することを特徴とすることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、移動体の捕捉に関するキャラクタの能力が高いほど移動体捕捉領域を大きく表示するので、高い能力のキャラクタである程、より確実に移動体を捕捉することが明示される。一方、キャラクタの能力が低ければ、移動体捕捉範囲は小さく表示される。このように、キャラクタの能力の高低によって移動体の捕捉の確実性が左右されるので、プレーヤにとっては、捕捉時の表示のバリエーションを楽しめると同時に、緊張感を持ちながら遊技を行うことになるので、高い興趣性を実現できる。
【0014】
(3)前記移動体捕捉領域は、前記指示手段を接触させた接触位置を中心とする円形状であり、且つその半径が前記キャラクタの全長の略2倍以内に制限されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、移動体捕捉領域は円形状であり、且つその半径がキャラクタの全長の略2倍以内に制限されている。このように、移動体捕捉領域の大きさを限定しているのは以下の2つの理由による。第1の理由は、移動体捕捉領域とは(1)にも示しているように、キャラクタがそこまで到達できれば、後は確実に移動体を捕捉できる領域であるので、この大きさを非常に大きくしてしまうと、プレーヤによる捕捉のための接触位置がどこであっても、キャラクタは容易に移動体捕捉領域に到達することができてしまい、ゲーム性が損なわれるためである。第2の理由は、キャラクタが移動体捕捉領域の外枠(外縁)にまで達すれば移動体捕捉領域に到達したとみなし、続いて移動体を捕捉する動作を行わせる必要があるが、仮に移動体捕捉領域が非常に大きい場合、例えば野球ゲームであれば、野手キャラクタが外枠の位置からボール落下地点までの長距離を移動するのは不自然になってしまうことが想定される。即ち、野手キャラクタが長距離を移動してボールをキャッチするには、あたかも空中を飛ぶように一気にジャンプしたり、あるいはワープしたかのような演出が必要となってしまう。そこで、予めこのような不自然な表示が必要とならないように、移動体捕捉領域の大きさに制限を加えている。シミュレーションの結果、移動体捕捉領域が円形状の場合、その半径が野手キャラクタの身長の略2倍以内であれば、無理のない自然なボールキャッチが可能であることが判明した。
【0016】
(4)前記移動体捕捉領域表示手段は、前記画像表示部に対する前記指示手段の接触時に、前記移動体捕捉領域の全面をその背景とは異なる色で着色して表示し、且つ、前記キャラクタの前記移動体捕捉領域への到達時に、前記移動体捕捉領域の外枠のみを表示することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、プレーヤが画像表示部に指で接触した時点では移動体捕捉領域の前面がその背景とは異なる色で着色表示されるので、一目でその場所を明確に認識できる。さらに、その後、キャラクタが移動してきて、移動体捕捉領域に到達した時点で外枠のみを表示するように表示の変更を行なう。これによって、移動してきたキャラクタが移動体捕捉領域の内部に侵入しても、そこにあった着色によってキャラクタが見難くなることがなく、キャラクタの移動体捕捉動作を見やすい状態で確認できるので、視認性に優れた演出を行える。
【0018】
(5)また、前記接触位置認識手段は、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに、前記指示手段による前記画像表示部への新たな接触が生じた場合、新たな接触による接触位置を位置座標として認識し直し、前記キャラクタ選択手段は、前記新たな接触位置に最も近いキャラクタを選択し、前記移動体捕捉領域表示手段は、表示している移動体捕捉領域を消去し、新たな接触位置に、前記キャラクタ選択手段によって選択されたキャラクタの能力に対応する移動体捕捉領域を改めて表示することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、移動体が到達領域に到達するまで(例えば、野球ゲームであれば、ボールが地面(到達領域)に落下するまで)の間であれば、移動体捕捉領域の設定のやり直しが可能となる。この場合、元の移動体捕捉領域は消去され、新たな移動体捕捉領域が表示される。これによって例えば、プレーヤが、一旦設定した移動体捕捉領域を見て、その領域の大きさが小さい、あるいはボール落下地点の予測がずれていた等の理由から移動体の捕捉が困難と判断した場合には、改めて、新たな移動体捕捉領域を設定することができる。但し、最初に移動体捕捉領域を設定した時点で、キャラクタは移動を開始するので、何度も新たな移動体捕捉領域を設定し直すと、同一キャラクタが捕捉のキャラクタとして選択された場合、同キャラクタは右往左往する結果、新たな移動体捕捉領域に到達できないというケースも生じ得る。従って、プレーヤとしては、移動体捕捉領域の設定し直しが可能という自由度がある反面、キャラクタの移動をも考慮に入れる必要があるので、簡易な構成でありながら深いゲーム性が実現される。
【0020】
(6)また、別の構成による本発明のゲーム装置は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームを実行可能なゲーム装置であって、前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、前記接触位置に、前記複数のキャラクタの前記移動体の捕捉に関する能力毎にその大きさが予め設定されている移動体捕捉領域を仮想的に配置した場合の、前記移動体捕捉領域の外枠とキャラクタとのキャラクタ移動距離をキャラクタ毎に算出し、その中でキャラクタ移動距離が最も短いキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
この(6)の構成は基本的に(1)と類似しているが、下記点が異なっている。即ち、(1)の構成では、移動体を捕捉する野手キャラクタは複数の野手キャラクタの中からプレーヤの接触位置に最も近い距離にいる野手キャラクタが捕球のためのキャラクタとして選択されるのに対して、本構成では上記距離の他に、野手キャラクタの移動体の捕捉に関する能力をも加味して、より厳密にキャラクタを選択する点が異なっている。即ち、各野手キャラクタの、移動体の捕捉に関する能力が異なる場合には、これに応じて移動体捕捉領域の大きさも異なるので、プレーヤの接触位置によっては、その位置に最も近い野手キャラクタよりも、より離れたところにいる高能力の野手キャラクタの方が捕球に適しているケースがある。言い換えれば、野手キャラクタの移動体捕捉領域までの移動距離を比較した場合、後者の方が、移動距離が短い場合がある。現実の野球においても、例えばセンター寄りの飛球を、走力の優れたレフトの選手が捕球する等のケースがあるが、本構成によれば、そのようなリアリティをゲーム上に反映することができる。また、プレーヤにとっても、必ずしも接触位置に近い野手キャラクタが捕球するのではないことから、意外感があり、ゲームとしての面白みを向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、キャラクタ操作を簡易に行え、またキャラクタ自体に接触しなくてもそのキャラクタ動作を含むゲーム進行が可能になる接触入力式のゲーム装置およびゲーム制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による携帯ゲーム機を示す図である。
【図2】前記携帯ゲーム機のハードウェア構成を示す図である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の一実施形態によるゲーム画面の流れを示す図である。
【図4】(a)及び(b)は図3に続くゲーム画面の流れを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における主要な機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態において想定される課題の解消手段の説明図である。
【図7】(a)及び(b)は本発明の他の実施形態におけるキャラクタ選択方法を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔ゲーム装置の構成〕
図1は、本発明に係るゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機1の外観図である。また、図2は、携帯ゲーム機1の一例としての制御ブロック図である。
【0025】
携帯ゲーム機1は、図1に示すように、主に、本体2と、液晶モニタ部3と、基本操作部4と、マイク5と、スピーカ6とを備えている。モニタ部3は、本体2に設けられており、液晶モニタ3aを有している。ここでは、たとえば、液晶モニタ3aが、静電接触入力式のモニタすなわちタッチパネル式のモニタになっている。この液晶モニタ3aでは、タッチパネルの表面全体に電界が形成されている。そして、この状態のタッチパネルの表面に、指示手段たとえば指や導電性を有するペン等を、接触させると、液晶表面の表面電荷が変化する。そして、この表面電荷の変化が捕捉され、タッチパネル上の指やペン等の位置が検出される。ここでは、投影型のタッチパネルが用いられており、このタッチパネルでは多点同時検出が可能である。
【0026】
基本操作部4は、ホームボタン4a、ボリュームポタン4b、およびスリープボタン4cを有している。ホームボタン4aは、本体2のタッチパネルの下部に設けられている。このホームボタン4aが押されると、ホーム画面が表示されたり、携帯ゲーム機1がスリープ状態から復帰したりする。ボリュームポタン4bは、本体2の側面上部に設けられている。このボリュームポタン4bの上部が押されると、音量が増加し、このボリュームポタン4bの下部が押されると、音量が減少する。スリープボタン4cは、本体2の上面に設けられている。このスリープボタン4cが押されると、携帯ゲーム機1がスリープ状態に移行する。
【0027】
マイク5は、音出力用のマイク5aと、音入力用のマイク5bとを有している。音出力用のマイク5aは、本体2のタッチパネルの上部に設けられている。ゲームを実行する時や、電話通信する時や、音楽を聞く時等には、この音出力用のマイク5aから音が出力される。音入力用のマイク5bは、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。電話通信する時や録音を行う時等には、この音入力用のマイク5bから音声が入力される。
【0028】
スピーカ6は、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。ゲームを実行する時や、音楽を聞く時や、録音を聞く時等には、このスピーカ6から音が出力される。なお、ゲーム機1には、イヤホンジャック等も設けられているが、これらについては説明を省略する。
【0029】
また、携帯ゲーム機1は、図2に示すように、主に、制御部すなわち制御装置10と、通信部16と、記憶装置17とを、内部に有している。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像処理回路14と、サウンド処理回路15と、を有している。これらは、バス16を介してそれぞれが接続されている。
【0030】
CPU11は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム機1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じてモニタ部3を制御して、液晶モニタ3aに所定の画像を表示する。また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。タッチパネルに指示手段たとえば指等を接触させたときに、接触信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶パネルに表示された対象物の位置において、タッチパネルに指示手段を接触させると、対象物の選択信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPUに認識される。
【0031】
サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成して、音出力用のマイク5aおよび/又はスピーカ6に出力する。また、音入力用のマイク5bから音が入力されたときに、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。
【0032】
通信部16は、ゲーム実行時にデータ通信するための通信機能や、携帯電話として通信するための通信機能等を有している。データ通信用の通信機能には、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が、含まれている。
【0033】
通信部16は、通信制御回路20と通信インターフェイス21とを有している。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、バス16を介してCPU11に接続されている。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を制御し発信する。また、電話による通話時には、通信制御回路20および通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1を電話回線に接続するための接続信号を制御し発信する。
【0034】
記憶装置17は、本体2に内蔵されており、バス16に接続される。たとえば、記憶装置17には、記憶媒体としてのハードディスクやフラッシュメモリドライブ等が用いられる。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェイス回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
【0035】
以上のような構成のゲーム機1では、記憶装置17に格納されたゲームプログラムがロードされ、ロードされたゲームプログラムがCPU11で実行されることにより、プレーヤは様々なジャンルのゲームをモニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム機1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
【0036】
本ゲームシステムにおいて実行されるゲームは、たとえば野球ゲームである。野球ゲームを実行するためのゲームプログラムは図示しない記憶装置に格納されており、野球ゲームが実行されるときには、このゲームプログラムがRAM13にロードされ実行される。このようにして実行される野球ゲームでは、タッチパネル式の液晶モニタ3a(以下、モニタ3aを呼ぶ)に、指示手段たとえば指を接触させることにより、各種の命令が指示される。
【0037】
〔本発明を適用した野球ゲームの捕球動作の説明〕
図3(a)及び(b)は、本発明を、野球ゲームにおける野手キャラクタの捕球動作に適用した場合の一実施形態による表示状態を示す図、図4(a)及び(b)は図3に続く表示状態を示す図、図5は本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図であり、図2における制御装置10の一部に対応する。本実施形態において、プレーヤは守備側のプレーを行うことが前提である。以下、図3乃至図5を参照して説明する。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、図示しない打者による打撃の結果、ライナーまたはフライの飛球となったボール100は、野手キャラクタ101および102の近傍に落下する状態となっている。次に、図3(b)に示すように、プレーヤはボール100の捕球のために、予想されるボール100の落下点について指103でモニタ3aに接触する。この接触に応じて、その接触点104の座標に基づき、接触点104の周辺に位置する野手キャラクタ101および102の中から、捕球に最も適切と考えられる野手キャラクタ101が選択される。なお、接触点104は指103が最初にモニタ3aに接触した1点である。図中、十字で表示しているが、実際には表示しなくてもよい。図5の機能ブロック図を参照すると、キャラクタ選択手段200は、複数の野手キャラクタのそれぞれの位置座標を認識するキャラクタ位置認識手段201のキャラクタ位置情報、およびタッチ入力検出回路14aを介して入力される、プレーヤの指が接触した接触点の位置座標を認識する接触位置認識手段202の接触位置情報とから、接触位置に最も距離の短い位置にいる野手キャラクタを捕球のための野手キャラクタを選択する。
【0039】
図3(b)に戻り、プレーヤが指103でモニタ3aに接触すると、モニタ3a上に前記接触点104を中心とする円形状の捕球領域(請求項1の移動体捕捉領域に対応)105が、捕球領域表示手段203によって表示される。なお、モニタ3aは当然ながら捕球以外の操作にも使用されるので、モニタ3aへの接触による捕球領域105の表示タイミングは、図示しない打者の打撃によってボールの飛球が開始して以降、野手キャラクタが捕球を完了するか、野手キャラクタが捕球することなくボールが地面106(到達領域に対応)に落下するまでの時間内に限定される。それ以外の時間帯では、モニタ3aは捕球処理以外の操作目的に使用される。
【0040】
捕球領域105は後述するが、野手キャラクタが移動を開始して、その領域内にまで到達すればボール100の捕球(の成功)が確定される領域である。野手キャラクタが到達するのは少なくとも捕球領域105の外枠(外縁)105´までであれば良く、その位置から野手キャラクタはそのまま移動、あるいはジャンプをして確実に捕球を行う。これらの移動、捕球動作は自動的に行われる。捕球領域105は野手キャラクタ毎に予め、その大きさが決められており、捕球に関する能力が高い野手キャラクタほど、その直径が大きく表示される。各野手キャラクタの捕球に関する能力は、キャラクタ能力記憶手段204に記憶されている。
【0041】
ここで、能力に関するデータは捕球に対する能力として新たに設定してもよいし、下記のような方法を取ることも可能である。即ち、既存の野球ゲームにおいては、ゲーム内で使用可能な全選手キャラクタについて予め、種々の能力が設定されている場合がある。例えばミート力、パワー、走力、肩力、守備力、エラー回避レベル等である。従って、同じ選手を本実施形態のゲームにおいても登場させる場合には、それらの既存のデータのうち、捕球に関連するデータである守備力をそのまま利用することが考えられる。守備力は走力に加え、飛球方向の見極め力やボールキャッチの能力等を総合的に加味した能力である。但し、その場合、以下のような不具合が生じるので、表示に当たっては、捕球領域表示手段203で捕球領域の大きさを調整する必要がある。例えば、守備力が最小値1〜最大値10までの10段階のレベルがある場合、10段階をそのまま均等に捕球領域105の半径に反映してしまうと、捕球領域105の大きさの最大、最小の振れ幅が大きくなり過ぎ、バランスがとれなくなる(最大値に相当する捕球領域を適切な大きさにすると、最小値に相当する捕球領域が小さくなり過ぎ、捕球領域の意味を成さず、逆に、最小値に相当する捕球領域を適切な大きさにすると、最大値に相当する捕球領域が大きくなり過ぎてしまう)。そこで、例えば下記式のように、固定された基準領域を設定しておき、これに前記レベル値に応じた領域分を追加するようにすればよい。
【0042】
rx(レベルxの捕球領域の半径)=r0+α×r0×Lx・・・式(1)
r0:基準領域の半径、α:係数、Lx:レベル数値(1〜10のいずれかの整数)
【0043】
上記式(1)において、一例としてr0=15mm、α=0.1とすることができる。この場合、捕球領域105の半径の最小値は15mm、最大値は30mmとなる。
【0044】
また、捕球領域105は、その全面が背景とは異なる着色が施されており、一見して、どこが捕球領域であるかがプレーヤにとってわかりやすく表示される。図5の機能ブロック図を参照すると、捕球領域表示手段203は、接触位置認識手段202によって認識されたプレーヤの接触位置である接触点104を中心とする円形状の捕球領域105をモニタ3aに表示する。ここで、この捕球領域105の大きさは、キャラクタ能力記憶手段204に予め記憶されている各野手キャラクタのデータの内、前記選択された野手キャラクタ101に対応する大きさ(円の直径)のデータに基づいて設定される。従って、プレーヤは、捕球する野手キャラクタ101に応じて捕球領域105の大きさが変わることから目新しさを感じるとともに、その野手キャラクタ101の捕球に対する能力が大きいのか小さいのかをも直感的に把握でき、且つ、捕球領域105の大きさによって捕球の成否も左右されることから、ゲームに対する強い興味が喚起される。
【0045】
図3(b)に戻り、捕球のために移動する野手キャラクタ101の選択および捕球領域105が確定された後、野手キャラクタ101は接触点104に向かって捕球のための移動を開始する。図4(a)は、野手キャラクタ101が最初にいた位置から接触点104の途中まで移動した状態を示す図である(プレーヤの指は画面から離されている)。さらに移動すると、図4(b)に示すように、野手キャラクタ101は捕球領域105の内部にまで到達するが、このようにボールが地面に落下するまでの間に、野手キャラクタ101が捕球領域105に到達した時点で捕球の成功が確定される。野手キャラクタ101が接触点104に到着していれば、野手キャラクタ101はその時点でボールの落下を待ち、その状態で捕球を完了する。また、ボールが地面に落下する寸前であっても、野手キャラクタ101が捕球領域105の外枠105´にまで到着していれば捕球領域105に到達したものとみなし、野手キャラクタ101はその位置からダイビングキャッチ等を行い、確実に捕球を成功させるように演出する。但し、野手キャラクタ101が捕球領域105に到着する前にボール100が地面に落下してしまえば、当然ながら捕球は失敗となる。また、そもそも、ボールの地面への落下地点が捕球領域105外であれば、野手キャラクタ101が捕球領域105に到達してもしなくても捕球は失敗となる。従って、本形態においては、ボールをピンポイントで捕球するような高い精度が要求される難易度の高い操作は回避しているものの、プレーヤによるボール100の落下地点の予測およびそのためのボールの飛翔経路の読みはゲーム上、重要な要素になる。
【0046】
また、図4(b)に示すように、野手キャラクタ101が捕球領域105に到達した時点で、捕球領域105は着色を消去し、外枠105´のみを表示する。このように表示を変更することで、移動してきた野手キャラクタ101が捕球領域105の外枠105´からさらに内部に侵入しても、元々そこにあった着色によって野手キャラクタ101の動作が見難くなることがなく、そのボール100に対する捕捉動作を見やすい状態で確認できる。
【0047】
図5の機能ブロック図を参照すると、キャラクタ捕球動作制御手段250は、プレーヤがモニタ3aに指を接触させて以降の野手キャラクタ101の動作の表示を行うもので、野手キャラクタを最初の位置から接触点104に向かって移動させる動作、及び後述の通り、所定の条件が満足された場合には、捕球領域105内での捕球動作を行わせる。捕球可否判断手段251はキャラクタ捕球動作制御手段250に含まれ、ボール落下点算出手段252、ボール落下時間算出手段253を備えており(ボール落下点算出手段252およびボール落下時間算出手段253は移動体認識手段に対応)、野手キャラクタ101が捕球に成功するか否かの判断を行うものである。なお、上記構成では、捕球可否判断手段251はキャラクタ捕球動作制御手段250に含まれるものとしているが、各々、独立した構成をとることも、もちろん可能である。ボール落下点算出手段252は、モニタ3a上のどの位置にボールが落下するかを算出するもので、打撃が行われた瞬間の、打撃の強さ、打撃方向、ボールのどこが叩かれたか等の情報に基づき決定されるボールの飛翔に関する所定の軌道方程式に基づいて、落下点を決定する。ボール落下時間算出手段253は、ボール落下点算出手段252で用いた軌道方程式に基づき、プレーヤがモニタ3aに接触した時点を起点としてボールが地面に落下するまでの間の時間(すなわち、野手キャラクタ101にとっての捕球のための制限時間)を算出する。捕球可否判断手段251は、下記2条件が満足された場合に、野手キャラクタ101がボール100を捕球する動作を行わせる。
【0048】
1.ボール落下点算出手段252によって算出されたボール落下点が、捕球領域表示手段203によって表示された捕球領域105内に包含される。
2.ボール落下時間算出手段253によって算出された時間内に、野手キャラクタ101が捕球領域105に到達する。
【0049】
上記2条件の少なくとも一方が満足されない場合には、野手キャラクタ101による捕球は失敗となり、失敗に関する所定の画像を表示した後、捕球に関するゲーム画面は終了する。2条件の両方ともが満足された場合には、捕球領域105内にて野手キャラクタ101がボール100を捕球するシーンを表示する。
【0050】
なお、上記図4(b)で説明した通り、野手キャラクタ101は、ボールが地面に落下するまでに捕球領域105の外枠105´にまで到着すれば捕球を成功させることができるが、その場合、仮に捕球領域105の大きさが非常に大きいと、ボールを捕球させるためには、野手キャラクタ101に空中を飛行しているかのようなダイビングキャッチをさせる、あるいは空間をワープさせるといった不自然な演出をする必要が生じてしまう。また、そもそも、捕球領域105の大きさを非常に大きくしてしまうと、野手キャラクタと捕球領域104との距離が短くなる結果、野手キャラクタは容易に捕球領域104に到達することができてしまい、捕球能力の高い選手であれば、プレーヤ操作に関係なくほぼ確実に捕球が成功することとなり、ゲーム性が損なわれるという問題がある。
【0051】
図6は上記の想定される課題を解消する方法を説明するための図である。即ち、捕球領域105の大きさに制限を加えることで、上記問題を回避している。出願人のシュミレーションの結果、捕球領域105が円形状の場合、その半径rが野手キャラクタの身長T1の略2倍以内であれば、無理のない自然なボールキャッチの演出が可能であることが判明した。
このように、本構成においては捕球に関する能力が最も高い野手キャラクタが選択された場合であっても、その捕球領域105の大きさは上記のように制限される。
【0052】
ところで、本実施形態においては、ボール100が地面に落下するまでであれば、捕球領域105の再設定は何度でも可能である。図5の機能ブロック図を参照して説明すると、プレーヤがモニタ3aに対して指で新たに接触した場合、接触位置認識手段202がその接触位置を接触点として認識し直す。キャラクタ選択手段200は、この新たな接触点に最も近い野手キャラクタを改めて選択する。捕球領域表示手段203は、現在表示している捕球領域105を消去し、新たな接触点上に、キャラクタ選択手段200によって選択された野手キャラクタの能力に対応する捕球領域を改めて表示する。
【0053】
この構成によってプレーヤは、一旦設定した捕球領域105を見て、その領域の大きさが小さい(即ち、野手キャラクタ101の能力が低い)、あるいはボール落下点の予測がずれていた等の理由から、このままでは捕球が困難と判断した場合には、改めて新たな捕球領域を設定することができる。但し、最初に捕球領域105を設定した時点から、野手キャラクタ101は移動を開始しているので、何度も新たな捕球領域を設定し直すと、同一の野手キャラクタが捕球の野手キャラクタとして選択された場合、同野手キャラクタは右往左往する結果、新たな捕球領域に到達できないというケースも生じ得る。また、当然ながら、新たな捕球領域を何度も設定している間に、ボールが地面に落下してしまう可能性もある。従って、プレーヤとしては、捕球領域の設定し直しが可能という自由度がある反面、野手キャラクタの移動をも考慮に入れる必要があるので、簡易な構成でありながら深いゲーム性が実現される。
【0054】
図7(a)及び(b)は、本発明を、野球ゲームにおける野手キャラクタの捕球動作に適用した場合の他の実施形態による表示状態を示す図である。ここでは、主に、図3及び図4で説明した実施形態と異なる点について説明する。図3及び図4との大きな相違点は捕球を行う野手キャラクタの選択方法であり、図3及び図4での選択方法は、プレーヤがモニタ3aの接触点に最も距離が近い野手キャラクタを選択したのに対して、図7での選択方法は、野手キャラクタの捕球に関する能力、例えば守備力をも考慮して選択する点にある。以下、図面を参照して説明する。
【0055】
まず、図示しない打者による打撃の結果、ライナーまたはフライの飛球となったボール100は、野手キャラクタ303および304の近傍に落下する状態において、図7(a)に示すように、プレーヤが指301でモニタ3aに接触すると接触点302が特定される。次に、この接触点302に対して捕球に向かう最適な野手キャラクタを選択する。ここでは、簡略化のために、選択対象として2体の野手キャラクタ303、304がいるものとする。図3及び図4で示した実施形態では、この時点で接触点302に最も近い距離にいる野手キャラクタ303が選択されるのであるが、本実施形態では、上記の距離だけでなく、野手キャラクタの捕球に関する能力、例えば守備力が考慮される。即ち、図7(a)に示すように、野手キャラクタ303及び304のそれぞれの能力に対応する仮想の捕球領域303´、304´を描き、各々の捕球領域の外枠から各野手キャラクタまでの距離を求める。なお、図7では説明上、仮想の捕球領域303´、304´(点線)を表示しているが、実際のゲーム画面上ではこれらの表示は行なわれない。ここで、野手キャラクタは各々、上記の各距離を移動して捕球領域に到達すれば確実に捕球ができることから、結局、この移動距離が短い野手キャラクタの方が捕球に最適であることになる。キャラクタ303の移動距離は、捕球領域303´から野手キャラクタ303までの距離L1であり、キャラクタ304の移動距離は、捕球領域304´から野手キャラクタ304までの距離L2であり、図7(a)からも明らかなように、L2<L1であるので、L2の距離を移動する野手キャラクタ304が、捕球のための野手キャラクタとして選択され、図7(b)のように、野手キャラクタ304が移動を開始する。以下、図3及び図4の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0056】
なお、本実施形態では野手キャラクタが2体の場合を取り上げたが、3体以上の捕球の候補がいる場合でも、上記と同様に、野手キャラクタと、その野手キャラクタが選択された場合の仮想の捕球領域の外枠までとの距離を比較して、その距離が最も短い野手キャラクタを捕球の野手キャラクタとして選択する。
【0057】
現実の野球においても、例えばセンター寄りの飛球を、走力やボールの飛球方向を見極める能力の優れたレフトの選手が捕球するといったケースがあるが、本実施形態によれば、そのようなリアリティをゲーム上に反映することができる。また、プレーヤにとっても、必ずしも接触位置に近い野手キャラクタが捕球するのではないことから、意外感があり、ゲームとしての面白みを向上させることができる。
【0058】
図8は、本発明の一実施形態によるゲーム装置における野球ゲームの捕球処理を示したフローチャートである。以下、捕球処理のステップについて説明するが、適宜、図3及び図4のゲーム画面、図5の機能ブロック図を参照する。ここでは、図示しない打者キャラクタによる打撃が行われ、飛球中のボールを野手キャラクタが捕球可能な状態が表示されていることを前提とする。
【0059】
まず、CPU11は、野手キャラクタ、ボール、野球場の背景画像等の現在の画像データをRAMから読み出してモニタ3aに表示させる(ステップS1)。この場合、モニタ3aには、例えば図3(a)に示すような画像が表示される。次に、キャラクタ位置認識手段201はフィールドにいる全野手キャラクタの位置を認識する(ステップ2)。次に、ボール落下点算出手段252が、ボール100がフィールド内のどこに落下するかを算出し(ステップ3)、ボール落下時間算出手段253が、プレーヤがボール100の捕捉動作のためにモニタ3aに接触した時点を起点としてボール100が地面に落下するまでの時間を算出する(ステップ4)。
【0060】
次に、タッチ入力検出回路14aによって、プレーヤによるモニタ3aへの接触があったか否かの判断が行われ(ステップ5)、その結果、接触があったと判断された場合には(ステップ5でYES)、接触位置認識手段202によってその接触点104の位置が認識される(ステップ9)。一方、接触が無いと判断された場合には(ステップ5でNO)、さらに捕球可否判断手段251によって、ボール100が地面に落下したかの判断が行われる(ステップ6)。この結果、ボール100がまだ地面に落下していないと判断された場合には(ステップ6でNO)、ステップ5の判断に戻り、プレーヤによる接触があるまでループを構成する。一方、ボール100が落下したと判断された場合は、プレーヤが捕球操作を行わなかったためにボール100が地面に落下したことを示すので、捕球が失敗したことを示す演出を行い(ステップ7)、捕球に関する処理を終了する(ステップ8)。
【0061】
ステップ9に戻り、接触点104の特定が行われると、続いてキャラクタ選択手段200によって、複数の野手キャラクタの中から捕球に適した野手キャラクタ101が選択される(ステップ10)。図3及び図4の例では、接触点104に最も近い距離の野手キャラクタが選択されている。なお、図7の例では、上記距離に、野手キャラクタの能力も加味した上で最適な野手キャラクタが選択される。野手キャラクタ101が選択されると、捕球領域表示手段203はキャラクタ能力記憶手段204から、この野手キャラクタ101に対応した捕球領域の大きさに関するデータを読み込み、前記接触点上に捕球領域105を表示する(ステップ11)。捕球領域105は、その全面がその背景とは異なる色で着色されており、一見してその領域がわかるように表示される。なお、後述するが、一旦、捕球領域105が表示されている状態において、プレーヤが再度、モニタ3aに接触し、改めて捕球領域を表示する場合には、現在、表示されている捕球領域を消去した上で表示する。捕球領域105が表示されると、キャラクタ捕球動作制御手段250は、野手キャラクタ101を接触点104に向かって走行させる等の移動動作を開始する(ステップ12)。
【0062】
次に、モニタ3aに対して再度、プレーヤの接触があったか否かを判断する(ステップ13)。これは、プレーヤが一旦、モニタ3aに接触して捕球領域も表示されたものの、ボールの飛球状態や野手キャラクタの位置、移動状態等を鑑み、野手キャラクタ101が捕球領域105まで到着できない、あるいはボール落下点が捕球領域105からかなりずれそうである等の判断を行ったときに、捕球領域105の再設定を可能にするためのものである。プレーヤが捕球領域105の変更を行いたいと考え、再度、モニタ3aに接触すると(ステップ13でYES)、ステップS1に飛び、それ以降の処理を改めて行う。一方、モニタ3aへの再接触がない場合には(ステップ13でNO)、捕球可否判断手段251によって、野手キャラクタ101が捕球領域105に到着したか否かの判断が行われる(ステップ14)。野手キャラクタ101が捕球領域105の少なくとも外枠105´にまで到着した場合には(ステップ14でYES)、捕球可否判断手段251によって、ボール100の落下点が捕球領域105内に包含されるか否かの判断が行われる(ステップ16)。
【0063】
一方、野手キャラクタ101がまだ捕球領域105にまで到達していない場合には(ステップ14でNO)、捕球可否判断手段251によって、ボール100が地面に落下したか否かの判断が行われ(ステップ15)、落下したとの判断がされた場合には(ステップ15のYES)、ステップ7に飛び、捕球が失敗した演出を行なう。ボール100がまだ落下していない場合には(ステップ15のYES)、ステップ12に飛び、野手キャラクタ101の移動動作を継続する。ステップ16でYES、即ち、ボール100の落下点が捕球領域105内に包含されると判断された場合には、その時点で野手キャラクタ101が捕球することが確定される。即ち、捕球可否判断手段251は、捕球領域105が野手キャラクタ101の到達できる距離にあり、且つ、ボール100の落下点も捕球領域105内に包含される(従って、プレーヤの落下点予測が概ね当たっている)という2つの条件を満足していることから、この後に行なわれる野手キャラクタ101の捕球の成功を確定する。次に、捕球領域表示手段203が捕球領域105の着色を消去するとともに、その領域の外枠105´のみを表示する(ステップ17)。その後、キャラクタ捕球動作制御手段250が、野手キャラクタ101によるボールキャッチの動作演出を行う(ステップ18)。このとき、仮に野手キャラクタ101が捕球領域105の外枠105´に到達した時点で、既にボール100が地面落下直前であったとしても、野手キャラクタ101はそこからジャンピングキャッチ等を行い、確実にボール100を捕球するよう演出する。ボール捕球後は、捕球領域表示手段203が捕球領域105の外枠105´も消去し、捕球演出を終了する(ステップ19)。
【0064】
なお、上記実施形態では、野球ゲームにおける捕球動作を取り上げて説明したが、これ以外に本発明は下記のようなゲーム演出にも適用可能である。即ち、サッカーゲームで、自陣のゴール(ボールの到達領域)を複数のディフェンスで守っているときに、相手チームからのシュートに対して、その方向を予測して捕球領域を設定し、ゴールキーパーも含めた中から適切なディフェンスを選択して、ゴール前でボールをカットしてゴールを守るような場合である。或いは、バレーボールゲームで、相手チームからのスパイクが打たれる際に、その方向を予想して捕球領域を設定し、適切なレシーバーを選択して、ボールがコート(ボールの到達領域)に決まるまでに打ち返すような場合である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより命令が指示されるゲームにおいて、利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 ボール(移動体)
101、102、303、304 野手キャラクタ(キャラクタ)
103、301 指(指示手段)
104 接触点(接触位置)
105、303´、304´ 捕球領域(移動体捕捉領域)
105´外枠(移動体補足領域105の外縁)
106 地面(到達領域)
200 キャラクタ選択手段
202 接触位置認識手段
203 捕球領域表示手段(移動体捕捉領域表示手段)
250 キャラクタ捕捉動作制御手段
251 捕球可否判断手段
252 ボール落下点算出手段(移動体認識手段)
253 ボール落下時間算出手段(移動体認識手段)
3a モニタ(画像表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームを実行可能なゲーム装置であって、
前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、
前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、
前記複数のキャラクタのうち、前記位置座標に最も短い距離に位置するキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、
前記接触位置に、前記各キャラクタに応じて設定された前記移動体捕捉領域を表示する移動体捕捉領域表示手段と、
前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。

【請求項2】
前記移動体捕捉領域表示手段は、前記移動体の捕捉に関する前記キャラクタの能力が高いほど前記移動体捕捉領域を大きく表示することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。

【請求項3】
前記移動体捕捉領域は、前記指示手段を接触させた接触位置を中心とする円形状であり、且つその半径が前記キャラクタの全長の略2倍以内に制限されていることを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。

【請求項4】
前記移動体捕捉領域表示手段は、前記画像表示部に対する前記指示手段の接触時に、前記移動体捕捉領域の全面をその背景とは異なる色で着色して表示し、且つ、前記キャラクタの前記移動体捕捉領域への到達時に、前記移動体捕捉領域の外枠のみを表示することを特徴とする請求項1乃至3のゲーム装置。

【請求項5】
前記接触位置認識手段は、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに、前記指示手段による前記画像表示部への新たな接触が生じた場合、新たな接触による接触位置を位置座標として認識し直し、
前記キャラクタ選択手段は、前記新たな接触位置に最も近いキャラクタを選択し、
前記移動体捕捉領域表示手段は、表示している移動体捕捉領域を消去し、新たな接触位置に、前記キャラクタ選択手段によって選択されたキャラクタの能力に対応する移動体捕捉領域を改めて表示することを特徴とする請求項1乃至4に記載のゲーム装置。

【請求項6】
接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームを実行可能なゲーム装置であって、
前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、
前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、
前記接触位置に、前記複数のキャラクタの前記移動体の捕捉に関する能力毎にその大きさが予め設定されている移動体捕捉領域を仮想的に配置した場合の、前記移動体捕捉領域の外枠とキャラクタとのキャラクタ移動距離をキャラクタ毎に算出し、その中でキャラクタ移動距離が最も短いキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、
前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。

【請求項7】
接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間を到達領域に向かって移動する移動体を、複数のキャラクタのうちの1体が捕捉するゲームをコンピュータに実行させるゲーム制御プログラムであって、
前記移動体の移動状態を認識する移動体認識手段と、
前記画像表示部に対して前記指示手段を接触させた接触位置の位置座標を認識する接触位置認識手段と、
前記複数のキャラクタのうち、前記位置座標に最も短い距離に位置するキャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、
前記接触位置に、前記各キャラクタに応じて設定された前記移動体捕捉領域を表示する移動体捕捉領域表示手段と、
前記キャラクタ選択手段で選択されたキャラクタを前記接触位置に向かって移動させ、且つ、前記移動体が前記到達領域に到達するまでに前記キャラクタが前記移動体捕捉領域に到達した場合に、前記キャラクタによる前記移動体の捕捉を確定して、前記キャラクタに前記移動体の捕捉動作を行わせるキャラクタ捕捉動作制御手段としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115325(P2012−115325A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265558(P2010−265558)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】