説明

ゲーム装置

【課題】ゲームの臨場感を高めることができるゲーム装置を提供すること。
【解決手段】カメラ110によってプレーヤ200が撮影され、カメラ110から出力される輪郭線データに基づいて動き判定部154によってプレーヤ200の動きの大きさと方向が判定されると、操作内容判定部156は、この判定された動きの大きさと方向に応じて移動量が可変設定された操作指示の内容を判定する。操作実行部160は、この判定された操作指示内容に応じて操作対象物を移動させる処理を行う。画像生成部152は、移動後の操作対象物が含まれるゲーム画像を作成し、このゲーム画像がディスプレイ装置190の画面に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤによって行われる操作に対応して所定のゲーム演算を行うゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム装置は、プレーヤが各種の指示を入力するための操作部を有している。例えば、この操作部には、ジョイハンド、ジョイスティック、ライトハープ等の各種の操作方法に対応したものがあり、プレーヤがこれらの操作部を操作して、画面上に表示された所定の操作対象物に対して移動等を指示する各種の操作を行うと、この操作部からゲーム装置本体に向けてプレーヤの操作に対応した信号が送られる。この信号を受け取ったゲーム装置本体は、この信号の内容に応じた所定のゲーム演算を行って、画面上に表示する操作対象物の座標を変化させる等の処理を行う。
【非特許文献1】「電子情報通信学会技術研究報告 Vol.98 No.677 PRMU98−242〜254〔パターン認識・メディア理解〕(ユーザ位置によらないジェスチャ認識手法の提案と仮想空間インタフェースへの応用)」社団法人電子情報通信学会 1999年3月18日 第98巻 第677号 p.1〜8
【非特許文献2】「映像情報メディア学会技術報告 Vol.21 No.33 ヒューマンインフォメーション ネットワーク映像メディア(アクションインタフェースによるゲーム制作)」社団法人映像情報メディア学会 1997年6月3日 第21巻 第33号 p.99〜104
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来のゲーム装置に備わった操作部は、その設置位置や操作方法が予め決まっているため、体の小さな子供等が操作する場合に適切な操作を行うことが困難な場合があった。例えば、大人のプレーヤにあわせて設置位置や形状等が設定された操作部は子供のプレーヤには操作しにくい。反対に、子供のプレーヤにあわせて設置位置や形状等が設定された操作部は大人のプレーヤには操作しにくい。
【0004】
また、一般にはゲーム装置本体の筐体に備わった操作部を動かして所定の指示を行うことになるため、同時にゲームに参加できる人数があらかじめ決まっており、多くのプレーヤが同時にゲームに参加することができなかった。
【0005】
また、従来のゲーム装置に備わった操作部をプレーヤが操作する場合に、その操作の正確さが問題になるため、プレーヤ本人のみがゲームを楽しむことはできるが、そのゲーム装置の周囲にいる人にはゲームの楽しさ等が伝わらず、ゲームをしているプレーヤを見ている周囲の人も同時に楽しむことができるゲーム装置が望まれている。
【0006】
また、操作部を正確に操作した場合に限りゲームの点数等を取得できるものとすると、その操作部に慣れていない、あるいはそのゲームを行った回数が少ない初心者は、ほとんど点数等が得られないことになり、面白みに欠けることになる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、誰もが簡単に操作を行うことができ、正確に操作を行わない場合であってもゲームを楽しむことができるゲーム装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ゲームに参加することができるプレーヤの人数に制約が少ないゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のゲーム装置は、動き検出手段によって検出されたプレーヤの動きに応じて、操作内容判定手段によって操作対象物に対する操作指示の内容を判定し、操作実行手段によってこの判定結果に応じて操作対象物に対する所定の操作を実行する。本発明によれば、プレーヤの動きを検出して操作対象物に対する所定の操作が実行されるため、プレーヤは体を動かすだけでゲーム装置に対する所定の操作指示を行うことができ、誰もが楽しむことができるゲーム内容を容易に実現することができる。
【0010】
また、上述した動き検出手段は、プレーヤを撮影する撮影手段と、撮影された画像に基づいてプレーヤの動きを検出する画像判定手段とを有することが望ましい。カメラ等の撮影手段によってプレーヤを撮影し、この撮影した画像に基づいてプレーヤの動きを検出しているため、プレーヤが直接手足等によって触れることによって操作指示を行う特定の操作部が不要になる。したがって、プレーヤの体の大きさ等に関係なく操作指示を行うことができ、誰でもがゲーム内容を楽しむことができるゲーム装置を実現することができる。
【0011】
また、画像生成手段によって操作対象物が画面の一部に表示されたゲーム画像を生成するとともに、上述した操作実行手段によって行われる所定の操作に、ゲーム画像内の操作対象物を操作指示の内容に応じて画面内で移動させる処理を含ませることが望ましい。プレーヤが動くことによって画面内の操作対象物を移動させる体感型のゲームを実現することができる。
【0012】
また、上述した操作内容判定手段は、動き検出手段によって検出されたプレーヤの動きの大きさおよび方向の少なくとも一方に応じて、操作対象物の移動量および移動方向の少なくとも一方を可変に設定することが望ましい。プレーヤの動きの内容に応じて操作対象物の移動方向や移動量が変化するため、操作対象物を速く移動させる場合や急に移動方向を変える場合等にプレーヤの動きが激しくなる。このため、周囲の観客に対するデモンストレーションの効果が大きく、このゲーム内容に対する観客の期待度を高めることができる。
【0013】
また、上述した操作内容判定手段は、画面内での操作対象物の表示位置に応じて、操作対象物の移動量および移動方向の少なくとも一方を可変に設定することが望ましい。画面上の表示位置によって操作対象物の移動量等が変化するため、プレーヤの希望する位置に操作対象物を誘導しようとしたときに、必要に応じてプレーヤ自身が動きを加減する等の工夫が必要になってゲーム内容が複雑になるため、ゲーム内容の面白みを増すことができる。
【0014】
また、操作対象物の移動量を最大とする動きの正解パターンを正解パターン格納手段に格納しておいて、操作内容判定手段によって、この正解パターンと実際に動き検出手段によって検出されたプレーヤの一連の動きとを比較してその類似度の程度に応じて、操作対象物に対する操作指示の内容を判定するようにしてもよい。プレーヤが自分自身の動きを正確に把握することは容易ではないため、正解パターンとの類似度に基づいて操作指示の内容を判定するようにすると、操作指示を行う際の不確実性が増すことになる。このため、プレーヤは、試行錯誤しながら体を動かして、最適な動きを見つけることになり、操作レバー等を単純に操作する従来の操作方法にはなかった新しい操作方法を実現することができる。
【0015】
また、撮影した画像に基づいてプレーヤの動きを画像判定手段によって検出する場合に、撮影された画像に含まれるプレーヤの身体の複数の部位に着目するようにしてもよい。例えば、プレーヤの腕と足の動きを検出するようにすれば、腕だけを動かして操作指示を行うプレーヤよりも腕と足を同時に動かして操作指示を行うプレーヤの方がゲーム展開を有利に進めることができることになる。このように、プレーヤの身体の複数の部位に着目して操作指示の内容を設定することにより、操作指示が多様化するとともに、ゲームに参加するプレーヤのみならずプレーヤを見ている周囲の観客を楽しませることができるゲームを実現することができる。
【0016】
また、上述した撮影手段によって、複数の前記プレーヤが含まれる領域を撮影するとともに、画像判定手段によって、画像に含まれる複数のプレーヤに着目してプレーヤの動きを検出するようにしてもよい。接触型の従来の操作部を有するゲーム装置では、操作部に備わった操作レバー等の数に対応して同時にゲームに参加できるプレーヤの数が決まっているが、本発明では、プレーヤを撮影してその動きを検出することによって操作指示の内容が判定されるため、参加するプレーヤの数に合わせてあらかじめ操作レバー等を備える必要がない。このため、ゲームに参加するプレーヤの数の制約を少なくすることができる。
【0017】
また、上述した操作実行手段は、あらかじめ設定された仮想的な第1の力と、実際の操作指示の内容に応じて設定される仮想的な第2の力を操作対象物に対して作用させることにより、操作対象物の移動量および移動方向の少なくとも一方を可変に設定することが望ましい。操作対象物に、プレーヤの動きに対応して設定される仮想的な第2の力以外に、あらかじめ設定された仮想的な第1の力を作用させて、その移動量および移動方向を設定する場合には、操作対象物の動きが複雑で予想しにくいものとなるため、必ずしもプレーヤが考えた通りに操作対象物が移動しないことになり、ゲームの難易度が高くなるとともに、意外性を加味することによってゲーム内容の面白味を増すことができる。
【0018】
また、上述した撮影手段を人工網膜チップを用いて実現することが望ましい。一般に、人工網膜チップは、撮影する部分とエッジ検出等の各種の画像処理を行う部分とが1チップ内に納められているため、構成の簡略化とともに処理の高速化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態のゲーム装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態のゲーム装置の構成を示す図である。同図に示すゲーム装置100は、カメラ110、コイン投入部120、スタートボタン130、ゲーム演算部150、RAM158、ROM180、ディスプレイ装置190を含んで構成されている。例えば、このゲーム装置100は、プレーヤによる操作指示に応じて、ディスプレイ装置190に表示された操作対象物としての玉を複数のボックスのいずれかに入れるゲーム(玉入れゲーム)演算を行うものである。
【0021】
カメラ110は、人工網膜チップを含んだ人工網膜カメラであり、プレーヤ200を撮影する。このカメラ110は、撮影部111、エッジ検出部112を含んで構成されている。撮影部111は、格子状に配置された複数の受光素子によって形成されており、光を感じた受光素子から所定の時間間隔で電気信号(画像信号)を出力する。エッジ検出部112は、撮影部111から出力される画像信号に基づいてプレーヤ200の輪郭線を抽出し、その輪郭線データを、後述するゲーム演算部150内の動き判定部154に出力する。これらの撮影部111とエッジ検出部112の全体、あるいはこれらにさらにゲーム演算部150内の動き判定部154を加えた全体は、単体の人工網膜チップを用いて実現される。
【0022】
コイン投入部120は、プレーヤ200がコインを投入する部分である。また、スタートボタン130は、プレーヤ200がゲーム演算の開始を指示するためのものである。
【0023】
ゲーム演算部150は、プレーヤ200によって、コイン投入部120にコインが投入され、さらにスタートボタン130が押下されると、ROM180からゲームプログラムを読み出して実行することにより、上述した玉入れゲームを行うために所定のゲーム演算を開始する。
【0024】
また、ゲーム演算部150は、画像生成部152、動き判定部154、操作内容判定部156、操作実行部160を含んで構成されている。
【0025】
画像生成部152は、移動体としての玉を含んだゲーム画像を生成してディスプレイ装置190に表示する。図2は、画像生成部152によって生成されるゲーム画像の一例を示す図である。同図に示すように、画像生成部152によって生成されてディスプレイ装置190に表示されるゲーム画像には、プレーヤ200が移動方向および移動量を指示する操作対象物としての玉301と、難易度に応じて異なる得点が設定されて玉301の移動目的となる複数のボックス302〜305と、玉301の進行を妨害する複数の障害物306〜311の各画像が含まれている。
【0026】
動き判定部154は、カメラ110内のエッジ検出部112から一定時間間隔で出力される輪郭線データと、RAM158に格納されているプレーヤの特定部位の形状データとに基づいて、プレーヤ200の身体の特定の部位の動きを検出する。例えば、RAM158に腕の形状データが格納されているものとすると、エッジ検出部112から出力される輪郭線データに基づいて、撮影されたプレーヤ200の輪郭の中の腕に相当する部位の動きが判定される。なお、カメラ110の撮影範囲を狭くしてプレーヤ200の腕近傍のみを撮影することにより、RAM158に格納されたプレーヤの特定部位の形状データと比較することなく、プレーヤ200の腕の動きを検出するようにしてもよい。
【0027】
図3は、プレーヤの動きに関する検出結果の一例を示す図である。図に示す矢印は、プレーヤ200の腕の動きをベクトルで示したものであり、腕に対応する輪郭線がどのように動いたかを示すものである。各ベクトルは、腕の輪郭線を時系列的に辿っていったときの軌跡に対応しており、その大きさおよび方向がプレーヤ200の腕の動きの大きさおよび方向に一致する。例えば、これらのベクトルの大きさと方向が、プレーヤ動きデータとして動き判定部154から操作内容判定部156に向けて出力される。なお、プレーヤ200からカメラ110までの距離やプレーヤ200の体格あるいはプレーヤ200が大人か子供か等の諸条件によって、カメラ110によって撮影されるプレーヤ200の輪郭線の大きさが変わってくるため、動き判定部154は、輪郭の大きさを同じ大きさに調整する正規化処理を行って、これらの諸条件による差が生じないようにすることが望ましい。例えば、この正規化処理は、プレーヤ200の腕の長さが一定となるような乗数を設定して、各ベクトルの大きさにこの乗数を掛け合わせることにより行われる。
【0028】
操作内容判定部156は、動き判定部154から出力されるプレーヤ動きデータに基づいて、プレーヤ200によってなされた操作指示の内容を判定する。例えば、プレーヤ200が腕を動かすことによって、この動きの向きと大きさに対応して玉301を移動させる移動指示がなされるものとすると、操作内容判定部156は、動き判定部154から出力されるプレーヤ動きデータに基づいて、プレーヤ200によってこの移動指示が行われていること、およびこの移動指示によって玉301を移動させる方向および移動量を指示内容として判定する。
【0029】
あるいは、プレーヤの動きのパターンが複数種類に分類され、それぞれの分類に対応したプレーヤの動きに対応して複数の操作指示を選択的に行うことが可能である場合には、操作内容判定部156は、動き判定部154から出力されるプレーヤ動きデータに基づいて、プレーヤ200の動きのパターンがどの分類に属するかを調べてどのような操作指示がなされたかを判定するとともに、プレーヤ動きデータによって示される動きの方向と大きさに応じて、各操作指示の詳細な内容を設定する。なお、プレーヤ200の動きのパターンがどの分類に属するかを調べるためには、各分類の動きパターンが比較対象として予め用意されている必要があり、例えばRAM158にはこれらの動きパターンが格納されている。
【0030】
また、プレーヤ200の動きのパターンが所定の正解パターンに一致あるいは近い場合に玉301の移動量が最大となって、正解パターンとの類似度が低くなるにつれてこの移動量が小さくなるようにしてもよい。この場合には、予めRAM158に正解パターンを格納しておくとともに、操作内容判定部156によって、動き判定部154によって判定されたプレーヤ200の一連の動きと、RAM158に格納されている正解パターンとを比較し、これらの類似の程度に応じて、玉301に対する操作指示の内容を設定すればよい。
【0031】
操作実行部160は、ゲーム画像内の玉301を移動させる処理を行うものであり、作用力設定部162、仮想力設定部164および移動処理部166を含んで構成されている。仮想力設定部164は、玉301に予め加わっている仮想的な第1の力を設定する。例えば、画面上の所定位置に玉301が表示されているときに、重力に相当する仮想的な力が玉301に常に作用しているものとする。また、作用力設定部162は、操作内容判定部156によって判定されたプレーヤ200による操作指示の内容に応じた仮想的な第2の力を設定する。移動処理部166は、仮想力設定部164によって設定された仮想的な第1の力と、作用力設定部162によって設定された仮想的な第2の力とを合成し、この合成力を玉301に作用させることにより、玉301を移動させる処理を行う。
【0032】
図4は、玉301に作用する力とこれらの合成力とを示す図である。同図に示すように、玉301には、仮想力設定部164によって設定された仮想的な第1の力Aと、作用力設定部162によってプレーヤ200の操作指示内容に応じて設定された仮想的な第2の力Bとが別々に作用するため、移動処理部166は、これら2つの力A、Bを合成した力Cが玉301に作用するものとして、玉301の移動方向および移動量を設定し、ゲーム画面の更新間隔に対応する時間だけ玉301を移動させる処理を行う。例えば、玉301の移動方向は、合成力の作用する向きに一致するように設定され、玉301の移動量は、合成力の大きさに比例する所定の値が設定される。
【0033】
画像生成部152は、玉301を移動させた後の新たなゲーム画像を生成して、ディスプレイ装置190の画面上に表示する。
【0034】
上述したゲーム演算部150内の各構成部の動作は、主に、プレーヤ200の動きに応じて操作指示の内容を判定し、この判定結果に基づいて玉301を移動させるための動作であり、これ以外にもゲーム演算部150は、玉入ゲームの実施するための各種のゲーム演算を行っている。例えば、ゲーム演算部150は、ゲーム画面内の玉301を移動させた結果、いずれかのボックス302〜305に入ったか否かを判定しており、玉301がいずれかのボックス302〜305に入るごとに、対応する得点を加算する処理を行う。また、ゲーム演算部150は、ゲーム開始からの経過時間を測定しており、ゲーム開始から所定時間経過してゲームオーバーになった場合には、画像生成部152によって得点画面を生成してディスプレイ装置190に表示する。
【0035】
上述したカメラ110が撮影手段に、動き判定部154が画像判定手段に、カメラ110および動き判定部154が動き検出手段に、操作内容判定部156が操作内容判定手段に、操作実行部160が操作実行手段に、画像生成部152が画像生成手段に、RAM158が正解パターン格納手段に、それぞれ対応する。
【0036】
次に、本実施形態のゲーム装置の動作を説明する。図5は、ゲーム装置100の動作手順を示す流れ図である。ゲーム演算部150は、プレーヤ200によってコイン投入部120にコインが投入されたか否かを判定し(ステップ100)、コインが投入されると、次に、プレーヤ200によってスタートボタン130が押下されたか否かを判定する(ステップ101)。スタートボタン130が押下された場合には、ゲーム演算部150は、ROM180からゲームプログラムを読み出して実行して、玉入れゲームを実施するために所定のゲーム演算を開始する(ステップ102)。
【0037】
ゲーム演算が開始されると、画像生成部152は、操作対象物である玉301が所定位置に配置されているとともに、底辺近傍に4つのボックス302〜305が配置されたゲーム画像を生成し、このゲーム画像をディスプレイ装置190の画面上に表示する(ステップ103)。
【0038】
また、このようなゲームの初期画面の表示処理が終了した後、あるいはこの表示処理と並行して、カメラ110によるプレーヤ200の撮影が行われる(ステップ104)。動き判定部154は、カメラ110から所定の時間間隔で入力される輪郭線データに基づいて、プレーヤ200の動きに対応するプレーヤ動きデータを生成して、操作内容判定部156に出力する(ステップ105)。
【0039】
操作内容判定部156は、動き判定部154から出力されるプレーヤ動きデータに基づいて、プレーヤ200の特定の部位の動きに対応した操作指示の内容を判定する(ステップ106)。また、操作実行部160内の作用力設定部162は、この判定された操作指示の内容に応じて玉301に作用させる第2の力Bを設定する(ステップ107)。
【0040】
次に、操作実行部160内の移動処理部166は、作用力設定部162によって設定された第2の力Bと、仮想力設定部164によって予め設定された第1の力Aとを合成した力を玉301に仮想的に作用させて、玉301を所定方向に移動させる演算処理を行う(ステップ108)。移動後の玉301の位置が計算されると、画像生成部152は、移動後の玉301を含むゲーム画像を生成し、ディスプレイ装置190の画面に表示する(ステップ109)。
【0041】
また、ゲーム演算部150は、移動後の玉301がいずれかのボックス302〜305に入ったか否かを判定しており(ステップ110)、入った場合には、それぞれのボックス302〜305に対応した得点をその時点の合計得点に加算する処理を行う(ステップ111)。得点の加算処理終了後、あるいは移動後の玉301がいずれのボックス302〜305にも入っていない場合には、次にゲーム演算部150は、ゲームオーバーになったか否かを判定する(ステップ112)。例えば、ゲーム演算を開始してから所定時間経過したときにゲームオーバーであると判断される。ゲームオーバーになると、画像生成部152によって得点表示画面が作成され、ディスプレイ装置190に表示される(ステップ113)。このようにして一連のゲーム演算が終了する。また、ゲーム演算を開始してから所定時間が経過する前であってゲームオーバーでないと判断されると、上述したステップ104以降の処理が繰り返される。
【0042】
このように、本実施形態のゲーム装置100は、プレーヤ200を撮影してその動きを検出することにより操作指示の内容を判定しており、この判定した内容に基づいて操作対象物である玉301を移動させている。したがって、プレーヤ200は、従来のように、ジョイハンドやジョイスティック等を手などで直接操作する必要がなく、手足等を動かすだけで所定の操作指示を行うことができるため、プレーヤ200が大人であるか子供であるか、体の大きさはどの程度であるか等によらず、誰もが簡単に操作指示を行うことができる。また、プレーヤ200は、体を動かすだけで所定の操作指示を行うことができるため、操作レバー等を正確に操作する場合のように難しい操作手順を覚える必要がない。
【0043】
また、操作対象物である玉301に予め所定の力を作用させておいて、操作指示の内容に応じた力をこれに加えて作用させることにより、玉301の移動方向や移動量をプレーヤ200によって操作指示がなされた移動方向や移動量と異ならせることができ、玉301の移動操作を難しくしてゲーム内容の面白みを増すことが可能となる。
【0044】
さらに、カメラ110は人工網膜チップを有しているため、撮影部111とエッジ検出部112、あるいはこれらに加えてゲーム演算部150内の動き判定部154を含む全体を1チップによって実現することができ、カメラ110の小型化および撮像からエッジ検出あるいは動き判定までの処理の高速化を図ることができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、画面上の操作対象物としての玉301には、仮想力設定部164によって予め設定された一定の仮想的な力が作用するものとして説明したが、このような力を作用させずに操作指示の内容に応じた力のみを作用させるようにしてもよい。この場合には、プレーヤ200が手足等を動かす向きと大きさのみによって玉301の移動方向と移動量が決まるため、ゲーム内容をより簡単にすることができ、複数の難易度を有するゲーム内容を容易に実現することができる。
【0046】
あるいは、仮想力設定部164によって設定される玉301に作用する力を、玉301の表示位置等に応じて変化させるようにしてもよい。例えば、図6に示すように、表示画面の中心位置からの距離に応じて3つの領域A、B、Cに分割する。仮想力設定部164は、玉301に作用させる仮想的な力として、玉301が領域Cに含まれる場合には一定値Fを設定し、玉301が領域Bに含まれる場合にはそれより小さな値2F/3を設定し、玉301が領域Aに含まれる場合にはさらに小さな値F/3を設定する。このように、玉301の表示位置が画面中心部から遠ざかるほど、仮想力設定部164によって設定される仮想的な力を大きくすることにより、玉301が画面の端に近づくにしたがってプレーヤ200による操作が難しくなるため、画面の両端近傍に配置された高得点のボックス301、304に玉301を入れることが難しくなって、さらにゲーム内容の難易度の増すことができ、ゲームの面白みを増すことができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、プレーヤ200が腕を動かすことにより、画面上に表示されている玉301に対する操作指示を行う場合を説明したが、プレーヤ200の身体の複数の部位、例えば、図7に斜線を付して示すように、プレーヤ200の腕の動きと足の動きの両方を検出して、操作対象物に対する操作指示を行うようにしてもよい。このように、プレーヤ200の身体の複数の部位の動きを検出して操作指示の内容を判定しているため、ゲームの進行を有利に進めようとするプレーヤ200は、全身を使って大きな動きをする必要があり、周囲でプレーヤ200を見ている人々にゲーム中であることを知らせる宣伝効果がある。
【0048】
また、上述した実施形態では、一人のプレーヤ200の動きを検出するようにしたが、図8に斜線を付して示したように、カメラ110の撮像範囲を広げて、二人以上(図8では例えば二人)のプレーヤ200を撮像し、それぞれのプレーヤ200の動きを並行して検出することにより、操作対象物に対する操作指示を行うようにしてもよい。このとき、例えば二人のプレーヤ200の中で、動きが大きかった一方のプレーヤ200による操作指示のみを有効とする場合や、二人のプレーヤ200のそれぞれの動きに基づいて、作用力設定部162において個別に作用力を設定し、これらの作用力を合成して操作対象物に作用させる場合が考えられる。このように、各プレーヤ200の動きと操作指示とをどのように対応させるかは、何通りかの組み合わせが考えられるため、複数人のプレーヤ200が同時に動く場合の操作指示のバリエーションを容易に増やすことができる。また、カメラ110の撮像範囲に含まれればよいため、操作指示を行うプレーヤ200の人数を予め限定する必要がなくなり、ゲームに参加することができるプレーヤ200の人数に制約が少ないゲーム装置を実現することができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、人工網膜チップを用いてカメラ110を構成するようにしたが、CCD等その他の撮像素子を用いてカメラ110を構成するようにしてもよい。また、複数のカメラ110を異なる位置に設置し、プレーヤ200を複数方向から撮影するようにしてもよい。プレーヤ200を複数方向から撮影することにより、プレーヤ200の動きをより正確に検出することが可能となる。
【0050】
また、上述した実施形態では、プレーヤ200の腕の動きを検出する際に、その方向と大きさをベクトルで示したが、実際に腕を一方向に動かした後に元の位置に戻すことになるため、必ず反対方向の腕の動きが検出されることになる。このように互いに反対方向を向いた腕の動きが検出されたときに、いずれか一方の動きのみをプレーヤ200の操作指示に対応させる必要がある。例えば、図9に示すように、プレーヤ200の腕の動きの軌跡が所定の閉曲線を描いたときに、操作対象物の移動方向を示す際に、プレーヤの腕の動きを一旦停止させるようにする。この停止位置Pに至るまでの半分の軌跡を抽出して、プレーヤ200の動きに対応したベクトルQを抽出すればよい。
【0051】
(発明の効果)
上述したように、本発明によれば、検出されたプレーヤの動きに応じて操作対象物に対する操作指示の内容が判定され、この判定結果に応じて操作対象物に対する所定の操作を実行しており、プレーヤは特定の操作部を操作する必要がなく、体を動かすだけで所定の操作指示を行うことができるため、プレーヤが大人であるか子供であるかなどに関係なく誰でもが楽しむことができるゲーム内容を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態のゲーム装置の構成を示す図である。
【図2】ゲーム画像の一例を示す図である。
【図3】プレーヤの動きに関する検出結果の一例を示す図である。
【図4】操作対象物としての玉に作用する力とこれらの合成力とを示す図である。
【図5】本実施形態のゲーム装置の動作手順を示す流れ図である。
【図6】画面を複数の領域に分割した一例を示す図である。
【図7】撮影範囲に含まれるプレーヤの身体の複数の部位を検出対象に設定した例を示す図である。
【図8】撮影範囲に含まれる複数のプレーヤを検出対象に設定した例を示す図である。
【図9】プレーヤの腕の腕の動きに対応した軌跡を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 ゲーム装置
110 カメラ
111 撮影部
112 エッジ検出部
150 ゲーム演算部
152 画像生成部
154 動き判定部
156 操作内容判定部
158 RAM
160 操作実行部
162 作用力設定部
164 仮想力設定部
166 移動処理部
190 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤを撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された前記プレーヤの画像に基づいて前記プレーヤの動きを検出する画像判定手段とを有し、プレーヤの動きの大きさおよび方向を検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段によって検出されたプレーヤの動きの大きさおよび方向に応じて、操作対象物に対する操作指示の内容を判定する操作内容判定手段と、
前記操作内容判定手段によって判定された操作指示の内容に応じて、前記操作対象物に対する所定の操作を実行する操作実行手段と、
前記操作対象物が画面の一部に表示されたゲーム画像を生成する画像生成手段と、
を備え、前記操作実行手段によって行われる前記所定の操作には、前記操作指示の内容に応じて、前記ゲーム画像に含まれる前記操作対象物を前記画面内で移動させる処理が含まれており、前記操作内容判定手段は、前記動き検出手段によって検出された前記プレーヤの動きの大きさおよび方向に応じて、前記操作対象物の移動量を可変に設定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記操作対象物が表示された画面には、前記プレーヤに対応する画像が含まれないことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記操作対象物の移動量は、前記撮影手段の撮影範囲内における前記プレーヤの位置に関係なく、前記動き検出手段によって検出された前記プレーヤの動きの大きさおよび方向に応じて設定されることを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記操作対象物が表示された画面はその内容が所定間隔で更新され、この更新間隔に対応して前記操作対象物が移動する移動量は、前記操作対象物に作用する力の大きさに比例する値が設定されることを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1〜4のずれかにおいて、
前記操作内容判定手段は、前記操作対象物の前記画面内での表示位置に応じて、前記操作対象物の移動量および移動方向の少なくとも一方を可変に設定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記画像判定手段は、前記撮影手段によって撮影された前記画像に含まれる前記プレーヤの身体の複数の部位のそれぞれについて動きの大きさおよび方向を検出することを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記操作実行手段は、あらかじめ設定された仮想的な第1の力と、前記操作指示の内容に応じて設定される仮想的な第2の力を前記操作対象物に対して作用させることにより、前記操作対象物の移動量および移動方向の少なくとも一方を可変に設定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記撮影手段は、人工網膜チップを有することを特徴とするゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−93468(P2008−93468A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339569(P2007−339569)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【分割の表示】特願平11−186902の分割
【原出願日】平成11年6月30日(1999.6.30)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】