説明

コアシェルセラミック微粒子及び製造方法

【課題】コアシェルセラミック微粒子が提供される。
【解決手段】コアシェルセラミック微粒子10は、複数の一次微粒子16及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体12と、コア微粒子構造体12を少なくとも部分的に囲繞するシェルとを含んでなる。一次微粒子16の各々は、複数の二次微粒子20及び複数の二次細孔を含み、シェルは複数の三次微粒子24及び複数の三次細孔23を含む。コアシェルセラミック微粒子10の製造方法が提供される。この方法は、複数の一次微粒子16及び複数の一次細孔18を含むコア微粒子構造体12であって、各一次微粒子が複数の二次微粒子20及び複数の二次細孔を含むコア微粒子構造体12を用意する段階と、コア微粒子構造体12上に複数の三次微粒子24及び複数の三次細孔23を含むシェルを設ける段階とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはコアシェルセラミック微粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は高温で構造的及び機械的に安定なコアシェルセラミック微粒子に関する。本発明はまた、コアシェルセラミック微粒子の製造方法及びそれから製造される物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質固体は、固体表面だけでなく材料の全体にわたって原子、イオン及び分子と相互作用する能力を有するので、科学的及び技術的に興味深いものである。多孔質構造体の増加した表面積は、イオン交換、吸着、感知及び触媒特性のような表面現象を伴う用途に対して明確な利点を与える。したがって、多孔質構造体は濾過、分離、触媒、検出及びセンサー用途で広く使用されてきた。多孔質構造体では、最終用途及び作業環境に応じて各種の有機及び無機材料が探求されてきた。特に高温及び高圧を伴う用途に関して短い応答時間、高い選択性及び長期安定性を示し得る材料に対する需要が増加している。セラミック材料は、熱的及び化学的安定性、良好な耐浸食性並びに高圧安定性という利点を有している。したがって、これらの用途の多くでセラミック多孔質構造体が広く使用されてきた。しかし、多孔質セラミック構造体を含む装置は、例えばガス分離アセンブリ又はセンサーアセンブリ中に存在し得る温度サイクルへの暴露に際してのゆがみ又は変形によって劣化することがある。高温作業に適した多孔質セラミック構造体の効率を向上させるための努力が続けられている。多大の努力にもかかわらず、大きい表面積及び良好な構造安定性を有する多孔質セラミック構造体に対するニーズが依然として存在する。
【特許文献1】米国特許第6479146号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0082237号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0077221号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0170178号明細書
【特許文献5】欧州特許第0972563号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/118702号パンフレット
【非特許文献1】H.Chen et al.;“A facile grafting method to synthesize novel monodispersive core−shell structure of spherical mesoporous silica@nanocrystalline zirconia”;Microporous and Mesoporous Materials 76(2004)209−213.
【非特許文献2】H.Y.Tian et al.;“Core−shell structure of nanoscaled Ba0.5Sr0.5TiO3 self−wrapped by MgO derived from a direct solution synthesis at room temperature”;INSTITUTE OF PHYSICS PUBLISHING;Nanotechnology 16(2005)47−52.
【非特許文献3】Yu et al.;“Fabrication of Bimodal Porous Silicate with Silicalite−1 Core/Mesoporous Shell Structures and Synthesis of Nonspherical Carbon and Silica Nanocases with Hollow Core/Mesoporous Shell Structures”;Silica Core−Shell Nanostructures;J.Phys.Chem.B,Vol.109,No.15,2005;p.p.7040−7045.
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、階層的多孔質構造並びに高温での機械的及び構造的安定性を有するコアシェルセラミック微粒子を提供することで上記その他のニーズに応える。
【0004】
したがって、本発明の一態様はコアシェルセラミック微粒子を提供することである。かかるコアシェルセラミック微粒子は、複数の一次微粒子及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体と、コア微粒子構造体を少なくとも部分的に囲繞するシェルとを含んでなる。一次微粒子の各々は複数の二次微粒子及び複数の二次細孔を含み、シェルは複数の三次微粒子及び複数の三次細孔を含む。
【0005】
本発明の第二の態様は、コアシェルセラミック微粒子の製造方法を提供する。かかる方法は、複数の一次微粒子及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体であって、各一次微粒子が複数の二次微粒子及び複数の二次細孔を含むコア微粒子構造体を用意する段階と、コア微粒子構造体上に複数の三次微粒子及び複数の三次細孔を含むシェルを設ける段階とを含んでなる。
【0006】
別の態様では、本発明の実施形態は物品を提供する。かかる物品は複数のコアシェルセラミック微粒子を含んでなる。コアシェルセラミック微粒子は、複数の一次微粒子及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体と、コア微粒子構造体を少なくとも部分的に囲繞するシェルとを含んでなる。一次微粒子の各々は複数の二次微粒子及び複数の二次細孔を含み、シェルは複数の三次微粒子及び複数の三次細孔を含む。
【0007】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明とともに添付の図面を参照することによって理解を深めることができよう。図面全体を通じて、同じ符号は類似の構成部分を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明では、図面中の複数の図のすべてにわたり、同じ参照符号は類似の又は対応する構成部分を表している。また、「上部」、「下部」、「外方」、「内方」、「第一」、「第二」などの用語は便宜上の言葉であって、限定的な用語と解すべきでないことはもちろんである。さらに、本発明の特定の態様がある群の複数の構成要素の1以上又はこれらの組合せを含むか或いはそれからなるといわれる場合には、かかる態様がその群の構成要素のいずれかを単独で又はその群のいずれか他の構成要素と共に含むか或いはそれからなるものでもよいことはもちろんである。
【0009】
本発明を理解する目的のため、本明細書で使用する「マイクロ多孔質」という用語は2nm以下の細孔径を有する構造体を意味し、「メソ多孔質」という用語は2〜50nmの細孔径を有する構造体を意味し、「マクロ多孔質」という用語は50nm以上の細孔径を有する構造体を意味する。本明細書で使用する「細孔」とは、固体物質で占拠されていない、多孔質構造体中の空隙として理解すべきである。例えば、一次細孔は一次微粒子間の何もない領域であり、二次細孔は二次微粒子間の何もない領域であり、三次細孔は三次微粒子間の何もない領域である。したがって、細孔径及び細孔形状は一般に微粒子の粒径及び充填状態で決定される。くびれた粒子の場合、細孔サイズ及び形状は微粒子の粒径及び充填状態に加えてくびれの向き及び形状に依存する。
【0010】
図面全般について述べれば、図は本発明の一実施形態を説明する目的のためのものであり、本発明をそれに限定するものでないことは言うまでもない。
【0011】
本発明の一実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子の略図を図1に示す。図1のコアシェルセラミック微粒子は、シェル14で少なくとも部分的に囲繞されたコア微粒子構造体12を含む。コア微粒子構造体12は、複数の一次微粒子16及び複数の一次細孔18を含む。一次微粒子の各々は、複数の二次微粒子20及び複数の二次細孔22を含む。シェル14は、複数の三次微粒子24及び複数の三次細孔23を含む。幾つかの実施形態では、下記に一層詳しく記載するように、複数の一次微粒子のメジアン細孔径は、複数の二次細孔及び複数の三次微粒子の少なくとも一方のメジアン細孔径とは異なる。かくして、本発明の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子は、多モードの多孔度をもった階層的多孔質構造を有しており、これが多孔質構造体の表面積に大きく寄与する。
【0012】
幾つかの実施形態では、シェルの三次微粒子はコア微粒子構造体の内部にも存在している。一実施形態では、三次微粒子及び三次細孔が1以上の一次微粒子を実質的に囲繞して、コア微粒子構造体の内部に小さいコアシェル構造体を形成している。粒子の表面積の約75%超が覆われた場合、微粒子は「実質的に囲繞」といわれる。幾つかの実施形態では、三次微粒子及び三次細孔は多くの一次微粒子を実質的に囲繞し得る。若干の他の実施形態では、三次微粒子及び三次細孔は実質的にすべての一次微粒子を実質的に囲繞している。本明細書で使用する「実質的にすべての微粒子」とは、微粒子の総数の約75%以上を意味する。かかるコアシェルセラミック微粒子の略図を図2に示す。
【0013】
幾つかの実施形態では、三次微粒子は一次微粒子の内部に存在している。一実施形態では、三次微粒子及び三次細孔が1以上の二次微粒子を実質的に囲繞して、一次微粒子の内部にさらに小さいコアシェル構造体を形成し得る。幾つかの実施形態では、三次微粒子及び三次細孔は一部の二次微粒子を実質的に囲繞し得る。他の実施形態では、三次微粒子及び三次細孔は実質的にすべての二次微粒子を実質的に囲繞し得る。かかるコアシェルセラミック微粒子の略図を図2に示す。
【0014】
細孔サイズ及び細孔サイズ分布の正確な制御は、多孔質セラミック構造体の性能を画定するパラメーターの1つである。一次、二次及び三次細孔の細孔サイズは、セラミック構造体の最終用途に基づいて選択される。本発明の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子は、マクロスケール、メソスケール又はマイクロスケール上に多モードの多孔度をもった階層的多孔質構造を有している。微粒子全体に関する一次、二次及び三次細孔サイズは、メジアン一次、二次又は三次細孔サイズのような統計的尺度で特徴づけることができる。幾つかの実施形態では、一次、二次又は三次細孔の各々は多モード(例えば、二モード)の細孔構造を有し得るが、これは特定クラスの細孔が母集団に2以上の異なる細孔サイズを有することを意味する。かかる実施形態では、これらの細孔は階層的多孔質構造に関連していることもあれば、関連していないこともある。
【0015】
一般に、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径と異なり、メジアン二次細孔径はメジアン三次細孔径とは異なる。幾つかの実施形態では、メジアン一次細孔径は、複数の二次細孔のメジアン二次細孔径及び/又は複数の三次細孔のメジアン三次細孔径より大きい。一実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より約2倍以上大きい。他の実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より10倍以上大きい。幾つかの実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より大きいが、メジアン三次細孔径より小さい。一実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より2倍以上大きく、メジアン三次細孔径はメジアン二次細孔径より2倍以上大きい。一実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より2倍以上大きく、メジアン三次細孔径はメジアン二次細孔径より10倍以上大きい。しかし、幾つかの実施形態では、メジアン一次細孔径はメジアン二次細孔径より大きく、メジアン二次細孔径はメジアン三次細孔径より大きい。微粒子の正確な多孔度及び細孔径は、以下の実施形態でさらに詳しく記載されるように、特定の用途のために要求される多孔質構造に依存する。
【0016】
幾つかの実施形態では、複数の一次、二次及び三次細孔は有利には開放多孔質構造を有するが、これは大部分の細孔が表面に開いていることを意味する。開放細孔は多孔質構造内の出入り可能な細孔部分を表すが、これはこれらの細孔及び通路が互いに連結又は結合されて材料全体を通じて液体又は気体を移動させるための完全な流路を生じることを意味する。しかし、複数の細孔の小部分は閉鎖多孔質構造を有していてもよい。多モードの多孔度を有する開放状態の明確に画成された階層的多孔質構造は、活性表面積及び検体の拡散を増加させて多孔質構造体の性能を向上させる。
【0017】
コア微粒子構造体を構成する一次微粒子及び二次微粒子のサイズ、充填密度及びくびれは、コア微粒子構造体の細孔サイズ及び多孔度を決定する。三次微粒子がコア中に存在する実施形態では、これらはコア構造体の多孔度を画定するのに寄与する。同様に、シェル構造を構成する三次微粒子のサイズ、充填密度及びくびれは、シェルの細孔サイズ及び多孔度を決定する。一実施形態では、一次微粒子は約100nm〜約1ミクロンの範囲内のメジアン粒径を有する。別の実施形態では、一次微粒子は約300〜約700nmの範囲内のメジアン粒径を有する。一実施形態では、二次微粒子は約2〜約50nmの範囲内のメジアン粒径を有する。別の実施形態では、二次微粒子は約5〜約30nmの範囲内のメジアン粒径を有する。一実施形態では、三次微粒子は約5〜約300nmの範囲内のメジアン粒径を有する。別の実施形態では、三次微粒子は約10〜約100nmの範囲内のメジアン粒径を有する。複数の微粒子の各々は実質的に球状の形状を有していてもよい。別法として、小板、繊維、棒、楕円体などのような他の形態も可能である。
【0018】
幾つかの実施形態では、コア微粒子構造体は約20〜約70%の範囲内の多孔度を有している。他の実施形態では、コア微粒子構造体は約30〜約50%の範囲内の多孔度を有している。幾つかの実施形態では、シェルは約20〜約70%の範囲内の多孔度を有している。他の実施形態では、シェルは約30〜約50%の範囲内の多孔度を有している。構造体の実際の多孔度は、最終用途の要求条件(例えば、所要の流量及び表面積)を満たすように最適化される。多孔度構造体の構造的健全性を保持しながら達成可能な多孔度は、構成材料及びコアシェル微粒子を製造するために選択される方法に依存する。
【0019】
幾つかの実施形態では、コア微粒子構造体は約1〜約150μmの範囲内の最大寸法を有している。他の実施形態では、コア微粒子構造体は約5〜約50μmの範囲内の寸法を有している。シェルは約5nm以上の厚さを有している。幾つかの実施形態では、シェルは約5〜約500nmの厚さを有している。シェルは単一の層を有していてもよいし、同一又は異種の材料からなる複数の層を有していてもよい。
【0020】
コアの材料(以下、コア材料という)及びシェルの材料(以下、シェル材料という)は、最終用途に基づいて選択される。シェル及びコアの材料は、これらが装置の動作温度で機械的及び構造的に安定であると共に、必要な構造的健全性を与えるように選択される。コアは、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物又はカルコゲン化物を始めとするセラミック材料からなる。幾つかの実施形態では、コア微粒子構造体は2種以上のセラミックからなる。幾つかの実施形態では、コア微粒子構造体はセラミック複合材からなる。好適なセラミックの例には、特に限定されないが、ジルコニア、安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、チタニア、セリア、ドープトセリア、サマリアドープトセリア、ガドリニアドープトセリア、シリカ、イットリア、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化マグネシウムがある。幾つかの実施形態では、コアは酸化鉄含有微粒子、光磁気材料又は強誘電性材料のような磁性材料からなる。例示的な実施形態では、酸化物はイットリア安定化ジルコニアからなる。構造材料としては、イットリア安定化ジルコニアは室温から約2500℃まで相変化を示さず、高温動作のために魅力的である。安定化ジルコニア及びチタニアは水溶液中で安定であり、そのために液体分離用の好適な材料である。ジルコニア及びドープトセリアは高温で高いイオン伝導率を有しており、そのためにセンサー及び燃料電池用のイオン伝導性電極に適したコア材料である。
【0021】
同様に、シェルは任意のセラミック材料(例えば、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物又はカルコゲン化物)からなるものでもよい。通例、シェル材料はある種の環境条件に対して敏感な1以上の物理的性質(例えば、導電率、イオン伝導率、熱膨張など)を有しており、したがってコアシェル微粒子はセンサー材料として使用できる。例えば、フェライトは酸素分圧に対して敏感な導電率を有しており、酸素センサー材料として使用できる。好適なシェル材料の例には、特に限定されないが、フェライト、銅酸塩(cuprates)、ルテニウム酸塩(ruthenates)、クロム酸塩(chromates)、コバルト酸塩(cobaltates)、ニッケル酸塩(nickelates)、リン酸塩、チタン酸塩(titanates)、マンガン酸塩(manganates)及びケイ酸塩がある。例示的な実施形態では、シェルはランタンフェライトからなる。これらのシェル材料は、その感知特性を最適化するために導入されたある種のドーパントを含んでいてもよい。かかるドーパントの例には、特に限定されないが、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類元素、遷移金属元素又はこれらの組合せがある。半導体酸化物ガスセンサーの場合、例示的なシェル材料には、二酸化スズ、チタニア、チタン酸バリウム、酸化タングステン又はスズ酸バリウムがある。電気化学的ガスセンサーの場合、例示的なシェル材料には、ペロブスカイト型酸化物(例えば、フェライト、コバルト酸塩、マンガン酸塩、ルテニウム酸塩、クロム酸塩及びニッケル酸塩)がある。
【0022】
幾つかの実施形態では、シェル材料は触媒材料からなる。例えば、触媒材料を使用することで、流体分離と触媒反応とを組み合わせて効率の高い流体混合物分離を達成することが可能である。触媒反応は、1種以上の反応生成物の濃度を低下させ、したがって転化効率を高めるために使用できる。触媒材料はまた、マイクロリアクター、ゲッター、電極又はセンサー用途のために含めることもできる。好適な触媒材料の若干の例には、特に限定されないが、遷移金属及びその酸化物、酸化銅、セリア、チタニア、ペロブスカイト、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化タングステン、酸化スズ、アルミナ又はこれらの組合せがある。当業者であれば、所望の反応及び所定の作業環境に基づいて触媒材料を選択する方法には精通しているであろう。特異な感知特性を達成するため、シェルは同一又は異種の材料を含む複数の層からなるものでもよい。
【0023】
一実施形態では、コアシェルセラミック微粒子は熱的に安定である。即ち、約1000℃まで分解又は融解を受けない。セラミック複合材はまた、約1000℃まで構造的にも安定である。即ち、セラミックコアもセラミックシェルも、この温度以下では結晶構造又は結晶形態の実質的な変化を受けない。
【0024】
一実施形態では、本発明の実施形態に係る複数のコアシェルセラミック微粒子を含んでなる物品が提供される。微粒子の候補材料及び固有サイズは前記に説明した。本発明のコアシェルセラミック微粒子は、特に限定されないが、フラット、半球、ドーム、コーン及び他の複雑な形状のような近似ネット造形品に形成できる。かかるコンパクト構造体は多孔質セラミック膜として使用できる。近似ネット造形品を得るためには、圧縮成形及び焼結、粒子の官能化を伴うか又は伴わない自己集合、或いはスリップキャスティング、ゲルキャスティング又は他の近似ネット造形品形成技術を始めとする公知技術のいずかを使用できる。別法として、コアシェルセラミック微粒子は基体の表面上に設けられたコーティングの形態を有していてもよい。コーティングを得るためには、プラズマ溶射、浸し塗り、電気泳動塗装などを始めとする当技術分野で公知の任意の被覆技術を使用できる。本発明の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子は構造的健全性を保持しており、加工のために必要となることがある高温に暴露された場合に焼結粒子によく見られる結晶粒成長現象を受けにくい。理論によって制約されることは望まないが、コア微粒子を囲繞するシェル材料は高温プロセスに暴露された場合にコア及びシェル構造体の両方の望ましくない結晶粒成長を防止すると考えられる。
【0025】
本発明の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子は、膜構造体を製造するために使用できる。セラミック膜構造体の多くは、特定の用途のために必要な所望の機能性を達成するため、異なる多孔度、細孔構造及び機能性を有する複数のセラミック層を含む。例えば、非対称膜は細孔サイズ及び多孔度の異なる複数の層を有している。成層構造体中に触媒層を挿入することができ、及び/又は一部の層を触媒材料で被覆することができる。コアシェル微粒子の製造は、適切なコア及びシェル構造の組合せを選択することで、単一の微粒子中で様々な機能性を達成することを容易にする。かかる実施形態では、シェル材料は触媒からなり得る。多層シェル構造を有するコアシェル粒子は、複数の機能性を可能にする。例えば、シェルは、一酸化炭素、炭化水素、アンモニア、硫化水素及び二酸化硫黄のような還元ガスを検出できるセンサー材料である酸化クロムチタンの層と、オゾン、二酸化窒素及び塩素のような酸化ガスを検出できる酸化タングステンの層とを含むことで、二重センサーを得ることができる。
【0026】
本発明のコアシェルセラミック微粒子は、多数の用途で有用であり得る。幾つかの実施形態では、コアシェルセラミック微粒子は分離アセンブリの一部である。コアシェルセラミック微粒子は上述のような多孔質セラミック膜構造体の形態に製造でき、かかる膜を空気分離アセンブリに使用できる。本発明の幾つかの実施形態におけるセラミック膜は、低品質天然ガスの精製、空気分離、NO分離、酸素分離、或いはプロセスガス又は供給原料からの水素回収のために適した分子ふるい分けを行うことができる。一実施形態では、本発明のセラミック膜構造体は、窒素、アルゴン、二酸化炭素又はメタンからの水素分離のために使用できる。別の実施形態では、本発明のセラミック膜構造体は空気流から揮発性有機成分を分離するために使用できる。幾つかの実施形態では、セラミック構造体は高温ガス分離ユニットの一部である。かかる用途のためには、セラミック構造体の1以上の層上に適当な金属被膜又は複合材被膜が適用できる。別法として、セラミック構造体と共に金属層又は複合材層を使用することもできる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る簡単なガス分離ユニット40の略図を示している。ユニット40は、膜分離ユニット46に連結された圧縮機42、凝集フィルター43及び予熱器ユニット44を備える。加圧下の空気はまず凝集フィルター43を通過し、次いで予熱器ユニット44を通過してから、膜分離ユニット46に到達する。凝集フィルターは、供給物から油滴、水滴又は個体微粒子を除去するために使用できる。膜分離ユニットは、空気混合物から所望成分を除去するように構成された本発明の膜構造体の1以上を備える。所望成分は出口47を通過し、残った廃浸透ガスは出口48から出る。膜分離ユニットは、追加のヒーター又は追加のフィルターを備えていてもよい。
【0028】
膜構造体は、例えば、有機成分を含む流体から水を分離するための液−液分離アセンブリとして使用できる。かかる用途のためには、膜構造体は必要ならば他の多孔質又は非孔質分離層と併用できる。一実施形態では、適当な厚さの非孔質架橋ポリビニルアルコール層からなる分離層が膜構造体と共に使用される。各層の細孔構造及び厚さは、要求条件に応じて調整できる。幾つかの実施形態では、膜構造体は、汚れを防止するため細孔内壁上に塗布された反応体成分を含む、分離アセンブリの膜構造体であり得る。
【0029】
一実施形態では、コアシェルセラミック微粒子からなる膜構造体は濾過アセンブリの一部である。層の細孔寸法を調節することで、本発明の膜構造体は、約10μm未満の寸法をもった固体粒子を濾別するためのマイクロ濾過、又は最小約50nmまでの寸法をもった粒子(例えば、巨大分子及び細菌)を濾別するための限外濾過用として使用できる。層の細孔寸法を非常に小さいサイズに選択することで、これらの膜構造体を、さらに小さい単位(例えば、糖、モノマー、アモノ酸又は溶存イオン)を逆浸透で濾別するための超濾過用として使用することも可能である。一実施形態では、膜構造体は生体分離又は反応アセンブリの一部である。膜層の細孔サイズ及び厚さは、分離すべき種のサイズに応じて選択される。したがって、一実施形態では、膜構造体は食品用途、医薬品用途及び工業的用途で使用可能なフィルターである。別の実施形態では、膜構造体はタンパク質精製ユニットの一部である。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態に係る簡単なフィルターユニット50の略図である。ユニット50は、分離すべき物質を含む液体媒質を貯蔵するために使用する供給材料タンク52を備える。供給材料53の循環は、ライン56及び58を通して供給材料53を膜フィルターアセンブリ60に輸送するポンプ54で制御される。膜フィルターアセンブリ60は、供給材料から特定成分を濾別するように構成された本発明の膜構造体の1以上を備える。所望成分の「濾液」57は出口59を通過し、保持液(リテンテート)62は除去するか又は供給材料タンク52に戻すことができる。
【0031】
多孔質膜構造体を含む多くの用途(例えば、濾過又は分離用途)での一般的な問題は、流量(「パーミアンス」という)が膜構造体の細孔サイズに強く依存することである。迅速な物質移動は、細孔サイズを増大させることで達成される。しかし、細孔サイズを増大させると、膜の選択性又は反応性が低下する。したがって、一般には、物質移動と選択性との間でトレードオフを行わなければならない。物質移動を増加させる方法の1つは、本発明の実施形態に係る階層的多孔質構造を利用することである。かかる構造では、粒子表面からの大きいフィーダー細孔が、吸着に利用できる大きい表面積をもつ小さな細孔径のネットワークに開いているか、或いはその逆になっている。
【0032】
一実施形態では、コアシェルセラミック微粒子はセンサーアセンブリの一部である。かかる実施形態では、可逆的変化を行い得る材料でコア及び/又はシェル層を構成するか、或いは上述のような官能基をセラミック構造体に導入することでコア及び/又はシェル層を官能化すればよい。可逆的変化の例には、特に限定されないが、イオン化、酸化、還元、水素結合、金属錯体化、異性化及び共有結合のような化学反応がある。これらの変化は、化学種又は生物種を検出するため、或いは温度、pH、イオン強度、電位、光の強さ、又は光の波長の変化を検出するために利用できる。センサー用途のためにセラミック構造体を使用することは、それの表面/体積比が大きいので検出性能を高めると予想される。
【0033】
例示的な実施形態では、コアシェルセラミック微粒子は高温ガスセンサーを製造するために使用される。かかる実施形態では、シェル/コア構造体は、ガス状の化合物又は化合物混合物に暴露されるとその物理的性質の1以上(例えば、質量、導電率又はキャパシタンス)を変化させると共に、その変化を直接又は間接に測定及び定量できる材料を含んでいてもよい。ガス感知材料のホストは当技術分野で公知であり、要求情報及び作業環境に応じて任意適宜の材料を選択できる。材料を選択する際に基準として使用する公知パラメーターには、とりわけ、短い応答時間、良好な応答信号、容易な製造可能性、安い価格、高い選択性及び長期安定性がある。例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化タングステン、酸化マンガン及び他の遷移金属酸化物のような半導体酸化物は、高温ガス感知用途のために適している。ガス感知機構は、これらの酸化物の表面上への酸素の化学吸着、次いで酸素と標的ガス分子との反応中における電荷移動を含んでいて、これがセンサーの表面上の抵抗を変化させる。本発明の実施形態に係るコアシェル構造体の大きい表面積は、ガス感知用途に対して明確な利点を与える。コア及びシェル構造体の構造的及び機械的安定性は、追加の利益をもたらす。
【0034】
一実施形態では、物品はゲッターアセンブリの一部である。ゲッターは、半導体加工での空気浄化、真空システム、光学用途及び宇宙用途で広く使用されている。物理ゲッターは、混合物から水蒸気、微粒子又は夾雑物を物理的に吸収して保持する。他方、化学ゲッターは化学反応を介して混合物から特定の化合物を除去する。各種のセラミック材料が特定のガス分子に対して親和性を有することが知られており、したがって特定のガス分子のゲッターとして使用できる。例えば、HSに対して有効な吸着剤には、特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化鉄、亜鉄酸亜鉛、ランタンフェライト及び銅酸ランタンがある。COに対して有効な吸着剤には、特に限定されないが、炭酸カルシウム、ケイ酸リチウム及びジルコン酸リチウムがある。
【0035】
本発明の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子は、固体燃料電池のカソード又はアノードを作製するために使用できる。燃料電池(例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC))は、イオン伝導層を介して燃料と酸化体とを電気化学的に化合させることで電気を発生するエネルギー変換装置である。例示的なプレーナー型燃料電池70は、図5に示すように、インターコネクト部分72と、電解質78で隔てられた1対の電極(カソード74及びアノード76)とを備える。
【0036】
インターコネクト部分72は、隣接した電池繰返し単位80のカソード74に緊密に接触した複数の空気流路84及びアノード76に緊密に接触した複数の燃料流路86を画成し、或いはその逆の構成も可能である。動作に際しては、燃料の流れ88が燃料流路86に供給され、空気(通例は加熱空気)の流れ90が空気流路84に供給される。
【0037】
図6は燃料電池の一部を示す図であって、燃料電池の動作を図解している。図6に示すように、燃料の流れ88(例えば、天然ガス)はアノード76に供給されて酸化反応を受ける。燃料はアノードで、電解質を横切ってアノードに輸送される酸素イオン(O2−)と反応する。酸素イオン(O2−)は脱イオンされて外部電気回路94に電子を放出する。空気の流れ90はカソード74に供給され、外部電気回路94から電子を受け取って還元反応を受ける。電解質78はアノード76とカソード78との間でイオンを伝導する。電子の流れは直流電気を発生し、このプロセスは若干の廃ガス及び熱を生じる。
【0038】
アノード層76の主目的は、燃料電池に導入される燃料の電気化学的酸化のための反応部位を提供することである。さらに、アノード材料は燃料還元環境中で安定であり、十分な電子伝導率、表面積、及び燃料電池動作条件下での燃料ガス反応に対する触媒活性を有し、反応部位へのガス輸送を可能にするのに十分な多孔度を有する必要がある。電解質層の主目的は、アノード層76とカソード層74との間でイオンを伝導することである。電解質は一方の電極で生じたイオンを他方の電極に運ぶことで、電子の流れに由来する電荷をバランスさせて燃料電池中の電気回路を完結させる。さらに、電解質は燃料電池中で燃料を酸化体から隔離する。したがって、電解質は還元環境及び酸化環境の両方で安定であり、反応ガスに対して不透過性を有し、かつ動作条件下で十分な伝導性を有していなければならない。通例、電解質78は実質的に電子絶縁性である。カソード層74は電解質78上に設けられる。カソード層74の主目的は、酸化体の電気化学的還元のための反応部位を提供することである。したがって、カソード層74は酸化環境で安定であると共に、十分な電子及びイオン伝導性、十分な表面積、燃料電池動作条件下で酸化体ガス反応に対する触媒活性、並びに反応部位へのガス輸送を可能にするのに十分な多孔度を有していなければならない。
【0039】
上述の通り、固体燃料電池のカソード/アノード用材料を選択する際に一般に使用する基準は、触媒活性、イオン伝導率、熱膨張率、電子伝導率及び安定性である。単一の材料で上記性質のすべてを達成するのは困難である。したがって、コアシェルセラミック微粒子の合成は2種以上の材料を組み合わせることを容易にし、それによって上記基準の多くを満たす可能性がある。例えば、YSZコア及びシェルとしてランタンフェライトストロンチウムを含むコアシェルセラミック微粒子は魅力的な組合せである。コアシェル微粒子の大きい表面積及び高度に相互連結された三次元多孔性は、燃料電池の触媒活性を高める。かかる実施形態では、シェル材料は所望の反応に適した触媒であり得る。一次微粒子及び/又は二次微粒子を囲繞することを含め、多孔質コアシェル構造体の全体にわたる触媒シェル材料の均一な分散は、触媒活性を大幅に高める。かかる実施形態では、コア及びシェルは適当な多孔質構造体からなるものでよい。例えば、シェルは外面に開いたメソ多孔質構造体からなるものでもよく、コアはマクロ多孔質構造体からなるものでもよい。かくして、構造体に対して燃料及び生成物を容易に拡散させるための通行自由のネットワークが活性触媒の周囲に提供される。一実施形態では、燃料電池はメタノール燃料電池である。メタノール燃料電池は水素の製造に使用できる。
【0040】
本発明の別の態様は、コアシェルセラミック微粒子の製造方法を提供することである。図7は、本発明の一実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子の製造方法110のフローチャートを示している。かかる方法は、複数の一次微粒子及び複数の一次細孔を含むコアを用意する段階112と、コア上に複数の三次微粒子及び複数の三次細孔を含むシェルを設ける段階114とを含んでなる。
【0041】
通例、制御された階層的多孔度を有する多孔質構造体の製造は、マイクロエマルジョン法又はゾルゲル合成法のような多くの複雑な化学的方法を必要とする。一方、本発明の実施形態に係る方法はコアシェル微粒子を製造するための非常に簡単で融通のきく方法を提供する。特定の多孔度及び細孔構造を得るためにある種の界面活性剤又はフラックスが使用できるが、その詳細は以下に記載する。細孔サイズ及び多孔度は、ナノサイズ微粒子の粒径、粒度分布及び焼結条件を調節することで調整できる。
【0042】
幾つかの実施形態では、多孔質コア微粒子構造体を安定化するため、所定のフラックス物質中でコア微粒子を適宜加熱する。フラックス用として好適な物質には、特に限定されないが、フッ化物、ホウ化物、硝酸塩、塩化物、酸化物、ヨウ化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩及びこれらの組合せがある。例示的な実施形態では、フラックスは四ホウ化リチウム及びフッ化リチウムからなる。別の例示的な実施形態では、フラックスは四ホウ化リチウム及び硝酸ナトリウムからなる。これらのフラックスは、その低い融点、したがって比較的低い温度でコア多孔質構造体を結合して捕捉する能力に基づいて検討される。この方法はさらに、フラックス中においてコア微粒子構造体を約600〜約1200℃の範囲内の温度で加熱することを含んでいてもよい。通例、フラックスがコア微粒子構造体を均一に被覆して構造体を安定化するまで、コア微粒子を約0.5〜約3時間加熱する。
【0043】
幾つかの実施形態では、コア微粒子及び界面活性剤を含む分散液が、化学的に安定な保護被膜を得るのに十分な温度で十分な時間にわたり加熱される。かかる保護被膜は、加工中に微粒子を反応媒質から保護し得る。多数の商業的に入手可能な界面活性剤のいずれもが、本発明の実施形態で使用するのに適している。界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の界面活性剤からなる。この場合、非イオン界面活性剤は極性界面活性剤、無極性界面活性剤及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0044】
シェルは、インサイチュ又はエクスサイチュで用意し、コア微粒子構造体上/中に設けることができる。シェル材料が被覆プロセス中に生成される場合、このプロセスはインサイチュといわれる。インサイチュプロセス(方法120)を図解するフローチャートを図8に示す。シェル材料が独立のプロセスで生成され、次いで本発明の方法でコア微粒子構造体上に設ける場合、このプロセスはエクスサイチュといわれる。図9は微粒子組成物を製造するためのエクスサイチュプロセス(方法130)を示している。
【0045】
微粒子のサイズ及び形状は、組成物の実施形態に明記した粒径範囲及び形態を含めて様々に変化し得る。使用する微粒子は、当技術分野で公知の任意の合成方法で製造できる。一般に、微粒子は液体媒質中に分散した状態で用意される。任意適宜の液体媒質が使用できる。幾つかの実施形態では、液体媒質は水からなる。若干の他の実施形態では、液体媒質は有機溶媒である。幾つかの実施形態では、シェル材料の量は約2〜約30重量%の範囲内にあり、特定の実施形態では、この量は約2〜約25重量%の範囲内にある。
【0046】
シェル材料がインサイチュで(一般に段階122で)用意される場合、シェル構造を得るために必要な反応体が供給される。一般に、シェル材料の成分の前駆体を媒質中に仕込むことで溶液、ゲル、懸濁液、コロイド又は分散液が形成される。前駆体の非限定的な例には、硝酸塩、塩化物、アルコキシド、酢酸塩及び酸化物がある。媒質は、流動及び十分な混合を容易にするため、低い粘度を有するのが好ましい。段階124では、適当な媒質中でコア微粒子構造体の分散液が用意される。段階126では、コア微粒子構造体の分散液及びシェル材料前駆体を含む溶液を混合することで、ヒア上にシェル微粒子が配置される。プロセスがインサイチュである場合、簡単な熱処理を施すか、塩基性成分を添加して上記混合物のpHを高めるか、或いは混合物に燃料を添加することにより、段階128でシェル材料の中間組成物が沈殿する。任意適宜の塩基が使用できる。好適な塩基性成分の非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸アンモニウム及び水酸化アンモニウムがある。燃料を使用する実施形態では、燃焼合成で使用される任意の燃料(例えば、グリシン)が使用できる。シェル材料の中間組成物は、段階129で反応温度に加熱することによって所望のシェル材料相に転化される。加熱温度は、微粒子の組成に応じて変化し得る。例えば、ある種の酸化物微粒子組成物では、リン酸塩微粒子組成物に比べ、所望の相を形成するために高い温度が必要となることがある。当業者であれば、適当な温度及び加熱時間を選択することには精通しているであろう。
【0047】
方法がインサイチュである場合、シェル材料のナノ粒子は様々な方法で製造できる。本明細書中に開示されるシェル材料のような無機材料のナノ粒子は、多数の方法で製造できる。1つの製造方法は、無機材料の前駆体の溶液の火炎噴霧熱分解である。かかる方法は、例えば、米国特許第5958361号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。この方法では、所望の金属及び他のヘテロ原子を(微粒子の最終化学組成を得るための)適当な比率で含む有機金属化合物を(その有機金属化合物が可溶である)可燃性溶媒中に溶解して溶液を調製する。次に、溶液を過剰酸素の存在下で火炎噴霧熱分解反応器内にエーロゾル化する。揮発性溶媒は燃焼し、前駆体は分解して最終微粒子の正確な化学組成で無機蒸気を生成する。無機蒸気は急激な温度勾配中で急速に凝縮してナノメートルサイズの微粒子を形成する。この技術の変法は、B.Baranwal et al.;“Flame Spray Pyrolysis of Precursors as a Route to Nano−mullite Powder:Powder Characterization and Sintering Behavior”,J.Am.Ceram.Soc.,Vol.84,No.5,pp.951−61(2001)中に見出される。
【0048】
無機材料のナノメートルサイズ粒子を製造するための別の方法は、ゾルゲル法に基づいている。この方法の代表的な記載は、R.Subramanian et al.,“Synthesis of Nanocrystalline Yttria by Sol−Gel Method”,Materials Letters,Vol.48,pp.342−346(May 2001)に開示されている。ナノ結晶性無機材料は、所望元素のすべてを含む可溶性前駆体混合物から水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム)で沈殿させることで製造される。例示的な実施形態では、この方法で約20〜40nmの範囲内の粒径が製造される。
【0049】
無機材料のナノメートルサイズ粒子を製造するための別の方法は、コロイド法に基づいている。この方法の代表的な記載及びその変法の1つは、R.Ramesh et al.,“Optical Properties of Ce3+ in Self−Assembled Strontium Chloro(hydroxy)apatite Nanocrystals”,J.Phys.Chem.B,Vol.104,pp.8351−8360(2000)、T.S.Ahmadi et al.,“Low−Temperature Synthesis of Pure and Mn−Doped Willemite Particulate(ZnSiO:Mn) in Aqueous Medium”,Materials Research Bulletin,Vol.35,pp.1869−1879(2000)、及びC.Feldmann et al.,“Preparation of Sub−Micrometer LnPO4 Particles (Ln=La,Ce)”,J.of Materials Science,Vol.37,pp.3251−3254(2002)に開示されている。反応体を含む混合物を高速及び高温で撹拌し、次いで急速に冷却することで、ナノメートルサイズのコロイド粒子が生成される。得られる粒径は撹拌速度及び冷却速度に逆比例して変化すると予想される。約10nm乃至数千ナノメートルの粒径を得ることができる。
【0050】
プロセスがエクスサイチュである場合、シェル材料は乾式又は湿式の化学的手段でコア微粒子構造体上に設けられる。シェル材料は機械的又は化学的手段で設けることができる。機械的手段とは、溶媒の使用又は不使用下での任意の機械的摩砕方法を意味する。幾つかの実施形態では、コア微粒子構造体及びシェル材料を機械的に摩砕することで、コア微粒子構造体をシェル材料で被覆する。こうして得られたコアシェル微粒子を高温で加熱することで安定なコアシェル構造体が得られる。
【0051】
エクスサイチュの化学プロセス130を図9にフローチャートとして示す。エクスサイチュプロセスでは、段階132で液体媒質中でシェル材料の分散液を調製し、段階134で液体媒質中でコア微粒子構造体の別の分散液を調製する。幾つかの実施形態では、液体媒質は水からなる。本発明の例示的な実施形態では、コア微粒子構造体上にシェル材料を設けることは、段階136でコア微粒子構造体の分散液及びシェル材料の分散液を界面活性剤と混合し、その混合物を撹拌することを含む。エクスサイチュプロセスでは、段階138で約100nm未満の平均一次微結晶サイズを有するシェル材料の複数のナノ粒子がコア微粒子構造体上に沈殿する。必要ならば、段階140での加熱によって余分の有機物質が除去される。加熱温度は、存在する有機残留物に応じて変化し得る。通例、加熱温度は約100〜約1000℃の範囲内にある。一実施形態では、加熱温度は200〜約800℃であり、別の実施形態では、加熱温度は約400〜約600℃の範囲内にある。コア微粒子構造体の安定化のためにフラックスを使用する実施形態では、フラックス処理後、当技術分野で公知の任意の方法でフラックスを除去できる。例えば、水に溶解可能なフラックスは繰返し水洗することで除去される。
【0052】
本発明の実施形態は、当技術分野で従来知られていたものとは基本的に異なる。コアシェルセラミック微粒子に関する報告は従前存在していた。例えば、メソ多孔質シリカ/アルミナをシェル材料で被覆することが知られている。開示されたコアシェル微粒子のほとんどは、本明細書中に開示されるような階層的多孔質構造で特徴づけられていない。その上、これらのコアシェル微粒子のほとんどは光源用途に適さない。その上、コアシェルセラミック微粒子は、逆ミセルマイクロエマルジョン技術で得られるか、或いは犠牲テンプレートを用いるコロイドテンプレーティング及びそれに続く犠牲テンプレートの選択的除去で得られるのが通例である。本発明の実施形態は、制御された細孔サイズ及び多孔度を有するコアシェルセラミック微粒子を得るための一段と簡単で融通のきく方法を提供する。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は本発明によって提供される特徴及び利点を例示するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0054】
実施例1:イットリア安定化ジルコニア−ランタンフェライトコアシェル微粒子を製造するためのインサイチュ湿式法
TOSOH社(日本)からTZ−8Yの名称で入手したイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の所望量を取り、1000℃で2時間熱処理することでそれに構造的健全性及び機械的強度を付与した。微粒子の構造的健全性は、これらの粉末の少量を水性媒質或いは非水性媒質(エタノール又はイソプロパノール)中に取り、5分間超音波処理し、次いで粒子の沈降状態を調べることで確認される。粉末が溶媒中にあまり分散せず底に沈降するならば、この粉末は良好な機械的強度及び構造的健全性を有すると見なされる。これらの分散した粉末及び沈降した粉末を光学顕微鏡で観察して、砕けた粒子の有無を検査した。95%を超える球形ボールを含む粉末は、被覆用として良好であると見なされる。三角フラスコ内において、化学量論的量の硝酸ランタン及び硝酸鉄を1:1のモル比で脱イオン水中に溶解した。上記の溶液に、熱処理したイットリア安定化ジルコニア粉末(YSZ)を4:1の重量比で添加して十分に混合した。有機燃料(グリシン(CHNHCOOH))を2:1の硝酸塩:燃料比で上記溶液に添加して溶解した。上述のようにして形成した混合物を、排煙フード内においてテーブルトップ加熱マントル上で加熱状態に保った。グリシン(燃焼用燃料)は、加熱に際し、YSZ微粒子上及び微粒子中へのLaFeO粉末の析出を容易にする。三角フラスコの内容物をめのう乳棒/乳鉢に移して十分に混合した。これらの試料を600〜1000℃の温度で約2〜6時間か焼し、X線粉末回折(XRD)、走査電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分析(EDS)、透過電子顕微鏡(TEM)及び表面積分析器(BET)による特性決定で被膜の被覆状態、相サイズ及び表面積を分析した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターンを、ランタンフェライト及びYSZのXRDパターンと比較した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターン(図示せず)はランタンフェライト及びYSZの両方に対応するピークを示し、コアシェル微粒子中にこれら両成分が存在することを表している。シェル微粒子によるコア微粒子の均一な被覆は、顕微鏡検査及び元素分析によって確認した。コアシェル粒子の様々な部分で記録したエネルギー分散型X線パターン(図示せず)によれば、粒子の縁端で記録したパターンは主としてランタン及び鉄に対応するピークを示し、粒子の内部で記録したパターンはイットリウム及びジルコニウムのピークを示し、中央部で記録したパターンは上記成分のすべてに対応するピークを示していて、YSZ粒子上にランタンフェライトの被膜が形成されたことが確認された。
【0055】
実施例2:イットリア安定化ジルコニア−ランタンフェライトコアシェル微粒子を製造するためのエクスサイチュ湿式法
4.5gの高純度イットリア安定化ジルコニアを5〜10mlの脱イオン水中に分散し、30ミリリットルのPPボトルに移した。上記の分散液に、0.5gのナノ結晶性LaFeOを添加し、磁気撹拌機を用いて十分に混合した。次に、ボトルをラックミル上に約24時間配置し、約110℃のオーブン内でスラリーを約2時間乾燥し、次いでマッフル炉内において粉末に約800℃で約2時間の熱処理を施した。次に、こうして得られたコアシェル粉末をXRD、SEM、EDS、TEM及びBET表面積分析のような各種の分析技術に付した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターンを、ランタンフェライト及びYSZのXRDパターンと比較した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターン(図示せず)はランタンフェライト及びYSZの両方に対応するピークを示し、コアシェル微粒子中にこれら両成分が存在することを表している。シェル微粒子によるコア微粒子の均一な被覆は、顕微鏡検査及び元素分析によって確認した。コアシェル粒子の様々な部分で記録したエネルギー分散型X線パターン(図示せず)によれば、粒子の縁端で記録したパターンは主としてランタン及び鉄に対応するピークを示し、粒子の内部で記録したパターンはイットリウム及びジルコニウムのピークを示し、中央部で記録したパターンは上記成分のすべてに対応するピークを示していて、YSZ粒子上にランタンフェライトの被膜が形成されたことが確認された。
【0056】
実施例3:イットリア安定化ジルコニア−ランタンフェライトコアシェル微粒子を製造するためのエクスサイチュ乾式法
4.5gの高純度イットリア安定化ジルコニア(コア材料)を容量30mlのPP(ポリプロピレン)ボトルに取った。上記の粉末に、0.5gのナノ結晶性LaFeOを添加し、振盪によって十分に混合した。次に、ボトルをラックミル上に約24時間配置し、次いでマッフル炉内において粉末に約800℃で約2時間の熱処理を施した。次に、こうして得られたコアシェル粉末をXRD、SEM、EDS、TEM及びBETのような各種の分析技術に付した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターンを、ランタンフェライト及びYSZのXRDパターンと比較した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターン(図示せず)はランタンフェライト及びYSZの両方に対応するピークを示し、コアシェル微粒子中にこれら両成分が存在することを表している。シェル微粒子によるコア微粒子の均一な被覆は、顕微鏡検査及び元素分析によって確認した。コアシェル粒子の様々な部分で記録したエネルギー分散型X線パターン(図示せず)によれば、粒子の縁端で記録したパターンは主としてランタン及び鉄に対応するピークを示し、粒子の内部で記録したパターンはイットリウム及びジルコニウムのピークを示し、中央部で記録したパターンは上記成分のすべてに対応するピークを示していて、YSZ粒子上にランタンフェライトの被膜が形成されたことが確認された。
【0057】
実施例4:フラットパネルディスプレイ用いてイットリア安定化ジルコニア−ランタンフェライトコアシェル微粒子を製造するためのエクスサイチュ乾式法
4.9gのYSZ粉末、0.075gのLi及び0.025gのNaNOを10ミリリットルの脱イオン水中に溶解した。この場合、フラックス材料は溶解/分散し、YSZ粒子は分散した。フラックスがYSZ粒子を均一に被覆するように、ラックミル上に約24時間保って混合物を完全に均質化した。混合物をオーブン内で乾燥し、フラックス被覆YSZ粒子に600〜700℃で約1〜2時間の温和な熱処理を施すことでフラックスを融解して被覆を完結させた。容量30ミリリットルのPPボトル内において、4.5gのフラックス被覆YSZ粉末粒子を0.5gのナノ結晶性LaFeOと混合し、振盪によって十分に混合した。次に、ボトルをラックミル上に約24時間配置し、次いでマッフル炉内において粉末に約800℃で約2時間の熱処理を施した。次に、こうして得られたコアシェル粉末をXRD、SEM、EDS、TEM及びBETのような各種の分析技術に付した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターンを、ランタンフェライト及びYSZのXRDパターンと比較した。ランタンフェライト被覆YSZ粒子のX線回折パターン(図示せず)はランタンフェライト及びYSZの両方に対応するピークを示し、コアシェル微粒子中にこれら両成分が存在することを表している。シェル微粒子によるコア微粒子の均一な被覆は、顕微鏡検査及び元素分析によって確認した。コアシェル粒子の様々な部分で記録したエネルギー分散型X線パターン(図示せず)によれば、粒子の縁端で記録したパターンは主としてランタン及び鉄に対応するピークを示し、粒子の内部で記録したパターンはイットリウム及びジルコニウムのピークを示し、中央部で記録したパターンは上記成分のすべてに対応するピークを示していて、YSZ粒子上にランタンフェライトの被膜が形成されたことが確認された。
【0058】
以上、本発明の若干の特徴のみを本明細書中に例示し説明してきたが、当業者には多くの修正及び変更が想記されるであろう。したがって、特許請求の範囲は本発明の真の技術思想の範囲内に含まれるこのような修正及び変更のすべてを包含するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子の略図である。
【図2】本発明の別の実施形態に係るコアシェルセラミック微粒子の略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、本発明のコアシェルセラミック微粒子を組み込んだガス分離アセンブリの略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、本発明のコアシェルセラミック微粒子を組み込んだフィルターの略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る、本発明のコアシェルセラミック微粒子を組み込んだ燃料電池の略図である。
【図6】例示的な燃料電池アセンブリの拡大部分の図であって、燃料電池の動作を示している。
【図7】本発明の一実施形態に係る、コアシェルセラミック微粒子の製造方法のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る、インサイチュプロセスによるコアシェルセラミック微粒子の製造方法のフローチャートである。
【図9】本発明の別の実施形態に係る、エクスサイチュプロセスによるコアシェルセラミック微粒子の製造方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
10 コアシェルセラミック微粒子
12 コア微粒子構造体
16 一次微粒子
18 一次細孔
20 二次微粒子
22 二次細孔
23 三次細孔
24 三次微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の一次微粒子(16)及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体(12)と、
コア微粒子構造体(12)を少なくとも部分的に囲繞するシェルと
を含んでなるコアシェルセラミック微粒子(10)であって、
一次微粒子(16)の各々が複数の二次微粒子(20)及び複数の二次細孔(22)を含み、
シェルが複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)を含む、コアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項2】
コアシェル微粒子構造体がさらに、コア微粒子構造体(12)の内部に配置された複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)を含む、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項3】
コア微粒子構造体(12)の内部に配置された複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)が1以上の一次微粒子(16)を実質的に囲繞している、請求項2記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項4】
コア微粒子構造体(12)の内部に配置された複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)が1以上の二次微粒子(20)を実質的に囲繞している、請求項2記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項5】
複数の一次細孔(18)がメジアン一次細孔径を有し、複数の二次細孔(22)がメジアン二次細孔径を有し、複数の三次細孔(23)がメジアン三次細孔径を有していて、メジアン一次細孔径は複数の二次細孔(22)及び複数の三次細孔(23)からなる群から選択される1以上のメジアン細孔径とは異なる、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項6】
コア微粒子構造体(12)が約1〜約150μmの範囲内の最大寸法を有する、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項7】
複数の一次細孔(18)が約50〜約500nmの範囲内のメジアン細孔径を有する、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項8】
複数の三次細孔(23)が約5〜約500nmの範囲内のメジアン細孔径を有する、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項9】
コア微粒子構造体(12)が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、カルコゲン化物及びこれらの組合せからなる群から選択される材料からなる、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項10】
シェルが約5nm以上の厚さを有する、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項11】
シェルが、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、カルコゲン化物及びこれらの組合せからなる群から選択される材料からなる、請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)。
【請求項12】
請求項1記載のコアシェルセラミック微粒子(10)を含んでなる物品であって、膜、センサー、電極及びゲッターからなる群から選択されるいずれかからなる物品。
【請求項13】
複数のコアシェルセラミック微粒子(10)を含んでなる物品であって、コアシェルセラミック微粒子(10)が
複数の一次微粒子(16)及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体(12)と、
コア微粒子構造体(12)を少なくとも部分的に囲繞するシェルと
を含んでなり、
一次微粒子(16)の各々が複数の二次微粒子(20)及び複数の二次細孔(22)を含み、
シェルが複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)を含む、物品。
【請求項14】
複数の一次微粒子(16)及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体(12)であって、各一次微粒子が複数の二次微粒子(20)及び複数の二次細孔を含むコア微粒子構造体(12)を用意する段階と、
コア微粒子構造体(12)上に複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)を含むシェルを設ける段階と
を含んでなる方法。
【請求項15】
コア微粒子構造体(12)上にシェルを設ける段階が、
コア微粒子構造体(12)と、溶媒中のシェル材料の分散液とを混合して被覆コア微粒子構造体(12)を得、
被覆コア微粒子構造体(12)を熱処理してコアシェルセラミック微粒子(10)を得ることを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
コア微粒子構造体(12)上にシェルを設ける段階が、
コア微粒子構造体(12)とシェル材料の前駆体溶液とを混合し、
前駆体溶液からコア微粒子構造体(12)上にシェル材料を沈殿させてコアシェルセラミック微粒子(10)を得ることを含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−320847(P2007−320847A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141333(P2007−141333)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】