説明

コアモジュール、コイル装置及びコアモジュールの製造方法

【課題】加工性の優れたコアモジュールを提供する。
【解決手段】コイル装置用のリング型コアモジュールは、それぞれ磁性体で形成された、一対のU型コア断片と、複数のI型コア断片を有し、リング型コアモジュールは、一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、対向するU字端部間に、複数のI型コア断片が配置され、一対の直線コイル内部に前記複数のI型コア断片が挿通される構成であり、一対のU型コア断片及び複数のI型コア断片は、それぞれインサート成形により絶縁被覆が形成されており、各コア断片間に非磁性体のギャップ部材を介して貼り合わされて、リング型に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアとボビンとを一体成形したコアモジュール、及びコアモジュールを備えたコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のコイル装置(例えばリアクトル)においては、コイルを巻いたボビンをコアに被せた構造が一般に採用されている。また、特許文献1には、分割コアを構成する複数のコアブロックとセラミックスペーサを一体に樹脂モールドしたコア体にコイルを直接巻き付けた構成のリアクトルが開示されている。すなわち、特許文献1に開示されるコア体は、コアとボビンを一体成形したものである。
【0003】
特許文献1のコア体のように、コアとボビンを一体成形することにより、コイル装置を組み立てる際の部品点数が削減されるため、組み立て作業の効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−26952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコア体は、例えば射出成形(インサート成形)により量産することができる。しかしながら、金型内に多数の部材を正確に配置する作業に長時間を要するため、その分、射出成形のコストが割高となる。また、コア全体を一括成型するためには大型の金型が必要になり、金型の作製コストも膨大なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るコイル装置用のリング型コアモジュールは、それぞれ磁性体で形成された、一対のU型コア断片と、複数のI型コア断片を有する。リング型コアモジュールは、一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、対向するU字端部間に、複数のI型コア断片が配置され、一対の直線コイル内部に複数のI型コア断片が挿通される構成である。一対のU型コア断片及び複数のI型コア断片は、それぞれインサート成形により絶縁被覆が形成されており、各コア断片間に非磁性体のギャップ部材を介して貼り合わされて、リング型に形成される。
【0007】
上記構成のリング型コアモジュールを構成する各コアユニットは、複数のコア断片を含んでいないためインサート成形のセットアップが容易であり、効率良く低コストに製造することができる。また、各コアユニットは、コア断片を1つのみ有する、小型のユニットであるため、各コアモジュールを小型の金型で成形することができ、金型の製造コストも抑えることができる。
【0008】
絶縁被覆は、U型及びI型コア断片のギャップ部材と対向するギャップ面には形成されていなくてもよい。
【0009】
ギャップ面に直接ギャップ部材を貼り付けることにより、ギャップの厚さを正確に形成することができる。
【0010】
U型及びI型コア断片は、それぞれ2つのギャップ面を有し、2つのギャップ面の周囲の絶縁被覆には、それぞれ他のコア断片と接合するための接合構造が形成され、2つのギャップ面の一方の周囲には第1の接合構造が形成され、他方の周囲には第1の接合構造と接合可能な形状の第2の接合構造が形成されていてもよい。
【0011】
U型コア断片とI型コア断片に、それぞれ共通の接合構造を形成する構成により、接合構造の設計や金型の製作が容易になる。
【0012】
第1の接合構造は、絶縁被覆の外周部がギャップ面と垂直な方向に突出し、ギャップ面を挟んで対向する一対の突出部を有し、第2の接合構造は、絶縁被覆の外周部に形成された、一対の突出部のそれぞれを収容する一対の凹部を有し、第1及び第2の接合構造を突き合わせると、一対の凹部は一対の突出部により挟み込まれ、第1及び第2の接合構造が突出部の対向方向について位置決めされるように構成されていてもよい。
【0013】
上記構成により、各コア断片の接合面を突き合わせて差し込むだけで、精密な位置合わせ作業を行わずに、コア断片間の正確な位置決めが可能になる。
【0014】
第1及び第2の接合構造は、ギャップ面と垂直な方向に突出し、板状のギャップ部材を側面から挟持する複数のギャップ部材支持部をそれぞれ有し、複数のギャップ部材支持部は上下又は左右で非対称に配置されていてもよい。
【0015】
上記構成により、第1及び第2の接合構造に同一形状のギャップ部材支持部を同一の配置で設けても、各接合構造のギャップ部材支持部は互いに重なり合うことがない。そのため、ギャップ部材支持部をギャップ部材と同程度まで厚く形成することができ、ギャップ部材をより確実に支持することが可能になる。
【0016】
複数のギャップ部材支持部は、ギャップ面の中心に対して点対称に、かつ上下及び左右で非対称に配置されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、ギャップ部材は、各接合構造において点対称に配置されたギャップ部材支持部の対により、重心を挟んで両側から挟持されるため、より安定に支持される。
【0018】
複数のギャップ部材支持部の形状及び配置は、第1及び第2の接合構造において同一であってもよい。
【0019】
ギャップ部材支持部の形状及び配置を、各接合構造で共通化することにより、接合構造の設計や金型の製作が容易になる。
【0020】
複数のI型コア断片は同一形状を有していてもよい。また、一対のU型コア断片は同一形状を有していてもよい。
【0021】
U型コア断片の絶縁被覆には、U字の底部から対向方向に延びる板状のセンサ固定部材が更に形成され、センサ固定部材は、一対の直線コイル間に配置され、該一対の直線コイルと一対のU型コア断片のセンサ固定部材との間に棒状のセンサヘッドを収容可能な空間を形成してもよい。
【0022】
リング型コアモジュールの構成部材(絶縁被覆が形成されたコア断片)の種類が減るため、構成部材の効率的な製造が可能となり、在庫も減らすことができる。また、連結するI形コア断片の数を変えるだけで、様々な大きさのコアモジュールを作製することができる。
【0023】
また、本発明の別の実施形態に係るコイル装置用のリング型コアモジュールは、それぞれ磁性体で形成された、一対のU型コア断片を有し、リング型コアモジュールは、一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、一対の直線コイル内部にU型コア断片のU字端部が対向して挿通される構成であり、一対のU型コア断片は、それぞれインサート成形により絶縁被覆が形成されており、各コア断片間に非磁性体のギャップ部材を介して貼り合わされて、リング型に形成されている。
【0024】
本発明の実施形態に係るコイル装置は、上記のコアモジュールと、一対のコイルを備えている。
【0025】
また、本発明の実施形態に係るコアモジュールの製造方法は、インサート成形により、磁性体から形成された一対のU型コア断片及び複数のI型コア断片のそれぞれに絶縁被覆を形成するステップと、絶縁被覆を形成するステップの後に、非磁性体のギャップ部材を介して一対のU型コア断片と複数のI型コア断片を貼り合わせて、リング型に形成するステップとを含む。
【0026】
また、本発明の実施形態に係る一対のU型コア断片を有するコイル装置用のリング型コアモジュールの製造方法は、インサート成形により、磁性体から形成された前記一対のU型コア断片のそれぞれに絶縁被覆を形成するステップと、絶縁被覆を形成するステップの後に、非磁性体のギャップ部材を介して一対のU型コア断片を貼り合わせて、リング型に形成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0027】
コアとボビンを一体成形した、低コストで製造可能なコアモジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るリアクトルの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリアクトルの分解図である。
【図3】本発明の実施形態に係るリアクトルの平面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】図3におけるB−B断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るリアクトル本体の分解図である。
【図7】本発明の実施形態に係るU型コアユニットの正面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るI型コアユニットの正面図である。
【図9】図3におけるC−C断面図である。
【図10】コアの分解図(平面図)である。(a)本実施形態のコア20a、(b)別の実施形態のコア20’
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係るリアクトル1について、図面を参照しながら説明する。図1、図2及び図3は、それぞれリアクトル1の斜視図、分解図及び平面図である。また、図4及び図5は、それぞれ図3のA−A断面図及びB−B断面図である。なお、以下の説明において、図1における左下側から右上側に向かう方向を幅方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を奥行方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。また、Z軸正方向を上側、Z軸負方向を下側と呼ぶ。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどのような方向に向けて配置してもよい。
【0030】
図1及び図2に示されるように、リアクトル1は、コイル10とコア20から構成されるリアクトル本体1a、放熱ケース50、リアクトル本体1a(直接的にはコア20)を放熱ケース50に固定する一対のコア固定具30、サーミスタ40、及び端子台60を備えている。本実施形態のリアクトル1には、リアクトル本体1aが放熱ケース50と直接接触しない状態で放熱ケース50内に取り付けられる、フローティング構造が採用されている。すなわち、リアクトル1のX軸方向両端に取り付けられたコア固定具30は、放熱ケース50と直接接触せずに浮いた状態で放熱ケース50内に収容されたリアクトル1を支持する。なお、コア固定具30は、ステンレス鋼板から形成された金具であり、リアクトル本体1aが発生する振動(特に騒音の原因となる高周波成分の振動)を緩和し、ケースに伝わり難くする形状に成形されている。従って、この支持構造により、リアクトル本体1aで発生した振動は、減衰されずに直接放熱ケース50に伝わることはなく、コア固定具30により緩和されるため、リアクトル1から外部へ伝わる騒音や振動は大幅に軽減される。また、外部から放熱ケース50が受ける衝撃もコア固定具30により緩和されるため、リアクトル1は優れた耐衝撃性を備えている。また、放熱ケース50にリアクトル本体1aが固定された後、放熱ケース50内の隙間には比較的に柔らかく熱伝導性の良好な樹脂である充填材(付図示)が充填される。これにより、リアクトル本体1aから放熱ケース50への振動伝搬を防ぎつつ、必要な放熱性能が確保される。また、作動中のリアクトル本体1aの温度はサーミスタ40によって検出される。
【0031】
図6は、リアクトル本体1aの分解図である。コア20は、2つのU型コアユニット220と4つのI型コアユニット240とを、ギャップ部材20gを介して貼り合わせて略O字形に形成したリングコアである。図7はU型コアユニット220の正面図であり、図8はI型コアユニット240の正面図(背面図を兼ねる)である。なお、U型コアユニット220及びI型コアユニット240は、後述するように、それぞれ磁性体で形成された分割コア断片を絶縁樹脂により被覆したものである。また、各コアユニットの被覆には、コイルを位置決めして支持するための各種構造が形成されている。すなわち、各コアユニットの被覆はボビンの機能を有しており、コア20は磁性体から形成されるコア本体と絶縁樹脂製のボビンが一体成形されたものである。
【0032】
ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体の板である。本実施形態のギャップ部材20gは、アルミナから形成されているが、他の種類のセラミックスや樹脂から形成されてもよい。
【0033】
U型コアユニット220は、1つのU字状に形成された圧粉磁心であるU型コア断片20uを、射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものである。なお、U型コア断片20uは、磁路が通過しない側面のみが樹脂で被覆され、ギャップ部材20gと対向するギャップ面20a、20bは樹脂で被覆されずに露出している。なお、本実施形態では、U型コアユニット220の被覆樹脂として、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)が使用されているが、絶縁性を有する他の種類の樹脂を使用してもよい。また、U型コア断片20uには、ケイ素鋼板やフェライトを使用してもよい。
【0034】
U型コアユニット220のU字の各端部には、I型コアユニット240と接合するための接合構造が、露出したギャップ面20a、20bを囲む被覆樹脂部に形成されている。また、ギャップ面20aの周辺と、ギャップ面20bの周辺では、接合構造は異なる形状に形成されている。図7において右側に配置されたギャップ面20aを囲む被覆の外周部には、X軸方向に突出した板状の突出部224a、b、c、dが形成されている。また、図7におけるギャップ面20aの左端上部と突出部224dの間には、X軸方向へ突出したギャップ部材支持部226が形成されている。また、ギャップ面20aの右端下部と突出部224bの間にも、X軸方向に突出したギャップ部材支持部226が形成されている。更に、ギャップ面20aの右上端部及び左下端部の付近には、それぞれ略L字状のギャップ部材支持部227が、X軸方向に突出している。ギャップ部材支持部226及び227のX軸方向の寸法(ギャップ面20aから突出する高さ)は、ギャップ部材20gの厚さよりも若干薄く設定されている。ギャップ部材20gは、ギャップ部材支持部226及び227によって囲まれる空間に配置され、ギャップ部材支持部226及び227によって側面から挟持され、位置決めされる。なお、以下の説明において、このようにギャップ面を囲む被覆樹脂に突出部224a、b、c、d及びギャップ部材支持部226、227が形成されたコアユニットの端面形状を「凸型コア端面形状」と呼ぶ。
【0035】
一方、図7において左側に配置されたギャップ面20bを囲む被覆の外周部には、突出部224a、b、c、dにそれぞれ対応した形状を有する凹部225a、b、c、dが形成されている。また、ギャップ面20bの左端上部と凹部225bの間にはX軸方向に突出したギャップ部材支持部226が形成され、右端下部と凹部225dの間にもX軸方向に突出したギャップ部材支持部226が形成されている。更に、ギャップ面20bの右上端部及び左下端部の付近には、それぞれ略L字状のギャップ部材支持部227が、X軸方向に突出している。なお、以下の説明において、このようにギャップ面20bを囲む被覆樹脂に凹部225a、b、c、d及びギャップ部材支持部226、227が形成されたコアユニットの端面形状を「凹型コア端面形状」と呼ぶ。突出部224a、b、c、d、凹部225a、b、c、d及びギャップ部材支持部226、227の詳細な機能については後述する。
【0036】
図2に示されるように、U型コアユニット220のX軸方向外側面220m(接合構造を有しない側面)には、コア固定具30を取り付けるための雌ねじを有する1対のブラケット221が形成されている。また、図6及び図7に示されるように、U型コアユニット220の下面及びY軸方向と垂直な両側面からは、それぞれ板状のフランジ部222及び223が略垂直に突出して形成されている。フランジ部222の下端には、各ギャップ面20a、20bの中心の略直下より、X軸方向内側(コイル10が配置される側)へ突出する2つのコイル支持部222aがそれぞれ形成されている。また、U型コアユニット220のX軸方向内側面220nのY軸方向中央部からは、ZX平面と平行に広がる平板状のセンサ支持部228が略垂直に突出して形成されている。更に、U型コアユニット220の上面からは、後述するサーミスタ40のリード44を巻き付けるためのセンサリード巻き付け部229が突出して形成されている。センサリード巻き付け部229の上部には、リード44を差し込むためのY軸方向に延びるスリット229sが形成されている。またスリット229sの入り口には、リード44をスリット229sから外れ難くする狭窄部229nが形成されている。フランジ部222、コイル支持部222a及びセンサリード巻き付け部229の詳細な機能については後述する。
【0037】
I型コアユニット240は、1つの直方体状に形成された圧粉磁心であるI型コア断片20iを、インサート成形により樹脂で被覆したものである。I型コア断片20iも、磁路が通過しない周面のみが樹脂で被覆され、ギャップ部材20gと面するギャップ面20c、20dは樹脂で被覆されずに露出している。I型コアユニット240の被覆部は、U型コアユニット220の被覆部と同じ樹脂で形成されている。
【0038】
ギャップ面20c及び20dは、それぞれI型コアユニット240のX軸方向の各端面に形成されている。図6及び図8に示されるように、I型コアユニット240の一方のギャップ面20cの周囲の被覆は、上述したU型コアユニット220のギャップ面20aの周囲と同じ凸型コア端面形状に形成されている。具体的には、ギャップ面20cを囲む被覆の外周部は、X軸方向に突出して、板状の突出部244a、b、c、dを形成している。また、図8におけるギャップ面20cの左端上部と突出部244dの間には、X軸方向に突出したギャップ部材支持部246が形成されている。また、ギャップ面20cの右端下部と突出部244bの間にも、X軸方向に突出したギャップ部材支持部246が形成されている。更に、ギャップ面20cの右上端部及び左下端部の付近には、それぞれ略L字状のギャップ部材支持部247が、X軸方向に突出している。
【0039】
また、I型コアユニット240の上面には、Y軸方向中央に、コイル10の自重による撓みを防ぐため2つのコイル支持突起248が形成されている。
【0040】
一方、I型コアユニット240の他方のギャップ面20d周辺の樹脂被覆は、上述したU型コアユニット220のギャップ面20bの周囲と同じ凹型コア端面形状に形成されている。具体的には、ギャップ面20dを囲む被覆の外周面には、突出部244a、b、c、dにそれぞれ対応した形状を有する凹部245a、b、c、dが形成されている。また、ギャップ面20dの左端上部と凹部245bの間にはX軸方向に突出したギャップ部材支持部226が形成され、右端下部と凹部245dの間にはX軸方向に突出したギャップ部材支持部226が形成されている。更に、ギャップ面20dの右上端部及び左下端部の付近には、それぞれ略L字状のギャップ部材支持部227が、X軸方向に突出している。
【0041】
なお、本実施形態においては、I型コアユニット240の突出部244a〜dの形状及びギャップ面20cに対する配置は、U型コアユニット220の突出部224a〜dの形状及びギャップ面20aに対する配置と同じである。同様に、I型コアユニット240の凹部245a〜dの形状及びギャップ面20dに対する配置は、U型コアユニット220の凹部225a〜dの形状及びギャップ面20b対する配置と同じである。また、ギャップ部材支持部226及び227の形状及びギャップ面に対する配置は、U型コアユニット220のギャップ面20a、20b及びI型コアユニット240のギャップ面20c、20dにおいて共通である。
【0042】
U型コアユニット220のギャップ面20a及びI型コアユニット240のギャップ面20cの周囲に形成された凸型コア端面形状と、U型コアユニット220のギャップ面20b及びI型コアユニット240のギャップ面20dの周囲に形成された凹型コア端面形状は、ギャップ面同士及び介在するギャップ部材20gのYZ面方向の位置決めをしつつ、各ギャップ面の間でギャップ部材20gが隙間に挟み込まれるように構成されている。例えば、ギャップ部材20gを介してU型コアユニット220のギャップ面20aとI型コアユニット240のギャップ面20dとを突き合わせると、ギャップ面20aの周囲に形成された突出部224a、b、c、dは、ギャップ面20dの周囲に形成された凹部245a、b、c、dにそれぞれ収容される。これにより、ギャップ面20aとギャップ面20dとのY方向及びZ方向の位置決めがなされる。
【0043】
また、ギャップ部材支持部226と246、227と247は、それぞれ同じ形状を有し、各接合面における配置も同じである。また、各接合面における各ギャップ部材支持部の配置は、図7及び図8において左右非対称になっている。例えば、図7の右側の接合面において、対称面C(互いに面対称の関係にある突出部224bと224dの対称面)に対する各ギャップ部材支持部226、227の対称な位置226’、227’には、ギャップ部材支持部は形成されていない。この構成により、凸型コア端面形状と凹型コア端面形状とを突き合わせたときに、各端面形状のギャップ部材支持部間の干渉が生じることがない。すなわち、U型コアユニット220のギャップ面20aにI型コアユニット240のギャップ面20dを突き合わせたときに、ギャップ面20dの周囲に形成されたギャップ部材支持部226、227は、ギャップ面20aの周囲のギャップ部材支持部226、227が配置されていない空間に収容され、ギャップ面20a及びギャップ面20dの周囲のギャップ部材支持部226、227は互いに重ならない。このため、各ギャップ部材支持部226、227を、ギャップ部材20gと同程度まで厚く形成することができる。コア20の組み立て時に、例えばU型コアユニット220(又はI型コアユニット240)のギャップ部材支持部226と227の間にギャップ部材20gを挟持させるため、ギャップ部材支持部226、227を厚く形成した方がギャップ部材20gの挟持が確実になり、組み立て作業が容易になる。また、ギャップ部材支持部226、227はギャップ部材20gよりも若干薄く形成されているため、ギャップ部材20gのギャップ面20a及び20dとの密着を阻害することがない。更に、ギャップ部材20gの周縁部は、各ギャップ部材支持部226及び227によりY軸方向及びZ軸方向の両側から挟持されるため、ギャップ部材20gはギャップ面20a及び20dに対してY軸方向及びZ軸方向の位置決めがなされる。
【0044】
また、図7に示されるように、ギャップ面20aの周囲には、一対のギャップ部材支持部226及び227が、ギャップ面20aの中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれ形成されている。この配置により、ギャップ部材20gは、ギャップ部材支持部226及び227により、重心を挟んで両側から安定に保持される。更に、ギャップ面20aの周囲に形成されたギャップ部材支持部226及び227は、図7に示される対称面C(互いに面対称の関係にある突出部224aと224cの対称面)に対しても非対称に配置されている。この構成により、中心点Cに対して点対称の位置に一対のギャップ部材支持部を配置しても、凸型コア端面形状と凹型コア端面形状とを突き合わせたときに、各端面形状のギャップ部材支持部間の干渉が生じることがない。
【0045】
コイル10は、平角エナメル線から形成された2つの直線コイル部10a、10bを平行に配置して、巻き始め(図6における左下端)同士を連結させた構造を有している。各直線コイル部10a、10bの中空部には、2個のI型コアユニット240が連結して形成されるコア20の2つの直線部のそれぞれが収容される。
【0046】
放熱ケース50には、コア固定具30を取り付けるためのねじ穴52fを有する台座52と、端子台60を取り付けるためのねじ穴54が形成されている。また、放熱ケース50の内側底面には、内側底面側に突出したコイル支持部222aとの接触を防止するために、コイル支持部222aと対向する位置に凹部56が形成されている。
【0047】
次に、リアクトル本体1aの組み立ての手順を説明する。まず、一方のU型コアユニット220のギャップ面20a及び20bに接着剤を塗布して、それぞれにギャップ部材20gを載せる。具体的には、各ギャップ部材支持部226及び227で囲まれた空間に各ギャップ部材20gを差し込む。次に、ギャップ面20aに載せたギャップ部材20gの露出面に接着剤を塗布し、これに1つ目のI型コアユニット240のギャップ面20dを重ねる。また、ギャップ面20bに載せたギャップ部材20gの露出面にも接着剤を塗布し、これに2つ目のI型コアユニット240のギャップ面20cを重ねる。
【0048】
次に、1つ目のI型コアユニット240のギャップ面20c及び2つ目のI型コアユニット240のギャップ面20dに接着剤を塗布して、それぞれにギャップ部材20gを載せる。そして、ギャップ面20cに載せたギャップ部材20gの露出面に接着剤を塗布し、これに3つ目のI型コアユニット240のギャップ面20dを重ねる。また、ギャップ面20dに載せたギャップ部材20gの露出面に接着剤を塗布し、これに4つ目のI型コアユニット240のギャップ面20cを重ねる。更に、3つ目のI型コアユニット240のギャップ面20c及び4つ目のI型コアユニット240のギャップ面20dに接着剤を塗布して、それぞれにギャップ部材20gを載せる。
【0049】
この段階で、コア20は、U型コアユニット220のギャップ面20a及び20bの上に2つずつI型コアユニット240を積み重ねて形成された2つの平行な直線部を有する、X軸方向に細長いU字形に形成されている。次に、コア20の2つの直線部を、コイル10の2つの直線コイル部10a、10bの中空部に差し込む。そして、3つ目のI型コアユニット240のギャップ面20c及び4つ目のI型コアユニット240のギャップ面20dにそれぞれ載せたギャップ部材20gの露出面に接着剤を塗布し、これらに2番目のU型コアユニット220のギャップ面20b及び20aをそれぞれ重ね、組み立てられたコア20にX軸方向両側から所定の圧縮荷重(接着荷重)を加えた状態で接着剤を硬化させる。接着荷重は、接着層厚が所定範囲内となるように適宜設定される。
【0050】
このようにして組み立てられたリアクトル本体1aにおいて、コイル10はX軸方向両端で2つのU型コアユニット220のフランジ部222及び223により挟まれ、コア20に対してX軸方向で位置決めされる(図2)。
【0051】
また、コイル10の各直線コイル部10a、10bの下端は、X軸方向両端の下面において、フランジ部222の下端から延びるコイル支持部222aにより下方から支持され、コイル支持部222aと当接する下面において、コア20に対して(延いてはコア20が固定される放熱ケース50の内側底面に対して)Z軸方向に位置決めされている。この構成により、リアクトル1の放熱性能が飛躍的に向上している。この効果について、次に詳細に説明する。
【0052】
図5に示されるように、本発明の実施形態に係るリアクトル1は、リアクトル本体1aが放熱ケース50と接触しないように支持されたフローティング構造を有している。作動時にコア20で発生した熱の大部分は、コイル10と放熱ケース50との隙間に充填される充填剤を介して放熱ケース50に伝達され、外部へ放熱される。充填剤には比較的に熱伝導性の良い樹脂が使用されているが、充填剤で充填された隙間は放熱経路の中では最も熱の伝達速度が遅い箇所であり、充填剤層の厚さがリアクトル1の放熱性能を決定付ける。従って、リアクトル1の放熱性能を向上させるためには、コイル10と放熱ケース50との隙間の寸法を出来るだけ小さく設定する必要がある。コイル10と放熱ケース50との隙間Gの設定値は、リアクトル1を構成する各部材の寸法精度、組み立て精度、充填剤の流動性、及び作動中の振動や外部から受ける衝撃によるコア20の変位量等のパラメータによって決定される。これらのパラメータのうち、加工精度の低い曲げ加工によって形成されるコイル10の寸法精度が、コイル10と放熱ケース50との隙間Gの設定値を大きくする主要因となる。
【0053】
本実施形態のように、コイル10が放熱ケース50から浮いたフローティング構造において、コイル10に起因する隙間Gの誤差を最小化するためには、ケース50の内側底面に対するコイル10の下面の位置決め誤差を最小化することが必要になる。また、コイル10の幅寸法(図5における高さ方向の寸法)には大きなバラツキがあるため、例えばコイル10を上部で支持する(すなわちコイル10の上部を基準にコイル10を位置決めする)よりも、コイル10を下部で支持する(すなわちコイル20の下部を基準に位置決めする)方が、放熱ケース50の内側底面に対してコイル10の下面を高い精度で位置決めすることができる。従って、本実施形態のようにコイル10の下面をコイル支持部222aにより下方から支持する構成により、コイル10は下面において放熱ケース50に対して位置決めされるため、放熱ケース50の内側底面に対するコイル10の下面の位置決め精度が高くなり、隙間Gの値を小さく設定することが可能になる。本実施形態の構成は、例えば、コア20の上面にコイル支持突起248のようなコイル10の上部内周面を下方から支持する座面を設け、この座面のみでコイル10を支持して位置決めする構成と比べて、放熱ケース50に対するコイル10の下面のZ軸方向における位置決め誤差(標準偏差)を約50%低減する。
【0054】
なお、本実施形態のコイル支持突起248は、コイル10の撓みによる位置決め精度の低下を防止するための補助的な構成であり、例えば衝撃等により大きな撓みがコイルに発生した場合に、コイル10の上部内周面を下方から支持して、コイルと放熱ケース50との接触を防止する。コイル10の撓みが大きくない場合は、コイル10はコイル支持突起248には支持されず、コイル支持部222aのみに支持される。
【0055】
次に、サーミスタ40の固定構造を説明する。図9は、図3におけるC−C断面図である。リアクトル1のY軸方向の略中央には、各U型コアユニット220からX軸方向内側に対向して突出するセンサ支持部228が配置されている。センサ支持部228は、ZX平面と平行に広がる平板状の樹脂部であり、コイル10の2つの直線コイル部10aと10bの隙間にそれぞれ配置される。センサ支持部228は、U型コアユニット220の本体部からX軸方向に突出した長方形状の支持板228aと、支持板228aのX軸方向先端における上下端部からそれぞれX軸方向へ更に突出する突出部228b及び壁部228cを有している。また、一対のセンサ支持部228は図9において左右対称に形成されており、突出部228b及び壁部228cはX軸方向に対向して形成されている。一対の支持板228a、突出部228b及び壁部228cによって囲まれた配置空間S内にサーミスタ40のセンサヘッドが配置される。
【0056】
図9に示されるように、サーミスタ40は、サーミスタ素子(不図示)を金属管で収容したシース部(センサヘッド)42と、シース部42の一端(基端部42b)から延びる一対のリード44を備えている。リード44は、シース部42の重量を支持できる程度の剛性を有しており、根元(シース部42の基端部42b付近)でJ字状に折り返されている。サーミスタ40のシース部42は、2つのU型コアユニット220のセンサ支持部228で囲まれた配置空間S内に配置される。また、リード44は、突出部228b間を通って配置空間の外部へ引き出されて、U型コアユニット220の上面に形成されたセンサリード巻き付け部229に絡げられ、更にリアクトル1の外部へ引き出されて、図示しない温度計測器に接続される。
【0057】
サーミスタ40は、リアクトル本体1aが組み立てられた後に、リアクトル本体1aに装着される。サーミスタ40は、予めリード44を根元でJ字状に折り曲げた状態にして装着される。装着作業は一定の剛性を有するリード44を操作することで行われる。まず、リード44を押し込み、シース部42を基端部42b側から突出部228b間を通して配置空間S内に導入する。次に、シース部42の先端を一方(図9中左側)の支持板228aの端面に沿って上方へ移動させ、シース部42の先端部42aを突出部228bに当接させる。更に、張力を加えながらリード44を引っ張ると、シース部42の先端部42aを軸にシース部42が回転し、リード44のU字状屈曲部44aが他方(図9中右側)の支持板228aの端面に当接する。U字状屈曲部44aが他方の支持板228aと当接することにより、シース部42の回転が阻止され、静止する。この状態でリード44を緩まないようにセンサリード巻き付け部229に巻き付けると、シース部42は図9で示される配置空間S内の所定の位置に固定される。
【0058】
一対の突出部228bの先端間の間隔(開口幅W1)は、シース部42及びJ字状に折り返したリード44が通過できる広さを有している。具体的には、開口幅W1は、リード44がシース部42に沿って折り返された部分における、シース部42とリード44の外側側面間の幅Fよりも広く形成されている。これにより、シース部42及び折り返したリード44を、突出部228b間を通して配置空間S内に導入することを可能にしている。更に、開口幅W1は、シース部42の先端42aからリード44のU字状屈曲部44aまでの長さLよりも狭くなっている。これにより、一度配置空間S内に入ったシース部42は、配置空間Sから外へ容易に抜け出ることができない。
【0059】
また、一対の壁部228cは、それぞれX軸方向に長く延び、先端間の間隔(隙間幅W2)は、シース部42が通過できない程度に狭くなっている。具体的には、隙間幅W2は、シース部42と折り返したリード44との全体の幅Fよりも狭く形成されている。これにより、サーミスタ40が放熱ケース50と接触して導通することが防止される。
【0060】
また、配置空間Sにおける突出部228bの先端から対角までの距離(対角深さD)は、シース部42の先端42aからリード44のU字状屈曲部44aまでの長さLよりも長くなっている。これにより、シース部42及びリード44のシース部42に沿って折り返された部分を配置空間Sに収容することを可能にしている。
【0061】
また、一対の支持板228aの間隔(配置空間幅W3)は、シース部42の先端42aからリード44のU字状屈曲部44aまでの長さLよりも短くなっている。シース部42の先端42aが、共に隅部を構成する一方の支持板228a及び突出部228bの端面に、当接した状態でリード44が引っ張られると、シース部42の先端42aを軸として配置空間S内でシース部42が回転する。しかし、配置空間幅W3が長さLよりも短い場合は、他方の支持板228aにリード44のU字状屈曲部44aが当接し、更なる回転が阻止され、サーミスタ40は配置空間S内に固定される。
【0062】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0063】
上記の実施形態のコア20は、図10(b)に示すように、一対のU型コアユニット220の間に複数のI型コアユニット240を配置した構成となっている。しかしながら、別の実施形態では、図10(a)に示すように、一対のU型コアユニット220’のみでリングコアを構成してもよい。なお、U型コアユニット220は、例えば寸法のみが上記実施形態のU型コアユニット220と異なる。この場合、一対のU型コアユニット220’の端面同士を1対のギャップ部材20gを介して突き合わせて接着固定することで、リングコア20’が形成される。U型コアユニット220’が有する磁性体のU型コア断片20u’は、上記実施形態におけるU型コア断片20uの両端がX軸方向に延長して直線部を形成している。U型コアユニット220’の直線部(U型コア断片20u’の直線部が被覆された部分)は、コイル10の直線コイル部10a、10b内にそれぞれ配置される。
【0064】
また、上記に説明した実施形態は、本発明をリアクトルに適用した例であるが、別の種類のコイル装置(例えばトランス)にも本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1 リアクトル
10 コイル
12、14 リード部
20 コア
20g ギャップ部材
220 U型コアユニット
20u U型コア断片
221 ブラケット
222 フランジ部(コイル位置決め部)
222a コイル支持部
223 フランジ部(コイル位置決め部)
224a〜d 突出部
225a〜d 凹部
226 ギャップ部材支持部
227 ギャップ部材支持部
228 センサ支持部
228a 支持板
228b 突出部
228c 壁部
240 I型コアユニット
20i I型コア断片
244a〜d 突出部
245a〜d 凹部
246 ギャップ部材支持部
247 ギャップ部材支持部
30 コア固定具
44 リード
44a U字状屈曲部
50 ケース
52 台座
52f ねじ穴
54 ねじ穴
60 端子台
62、64 バスバー
72 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル装置用のリング型コアモジュールであって、
それぞれ磁性体で形成された、一対のU型コア断片と、複数のI型コア断片を有し、
前記リング型コアモジュールは、前記一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、対向するU字端部間に、前記複数のI型コア断片が配置され、一対の直線コイル内部に前記複数のI型コア断片が挿通される構成であり、
前記一対のU型コア断片及び複数のI型コア断片は、それぞれインサート成形により絶縁被覆が形成されており、各コア断片間に非磁性体のギャップ部材を介して貼り合わされて、リング型に形成されたことを特徴とするコアモジュール。
【請求項2】
前記絶縁被覆は、前記U型及びI型コア断片の前記ギャップ部材と対向するギャップ面には形成されていないことを特徴とする、請求項1に記載のコアモジュール。
【請求項3】
前記U型及びI型コア断片は、それぞれ2つのギャップ面を有し、
前記2つのギャップ面の周囲の絶縁被覆には、それぞれ他のコア断片と接合するための接合構造が形成され、
前記2つのギャップ面の一方の周囲には第1の接合構造が形成され、他方の周囲には前記第1の接合構造と接合可能な形状の第2の接合構造が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のコアモジュール。
【請求項4】
前記第1の接合構造は、前記絶縁被覆の外周部が前記ギャップ面と垂直な方向に突出し、前記ギャップ面を挟んで対向する一対の突出部を有し、
前記第2の接合構造は、前記絶縁被覆の外周部に形成された、前記一対の突出部のそれぞれを収容する一対の凹部を有し、
前記第1及び第2の接合構造を突き合わせると、前記一対の凹部は前記一対の突出部により挟み込まれ、前記第1及び第2の接合構造が前記突出部の対向方向について位置決めされることを特徴とする、請求項3に記載のコアモジュール。
【請求項5】
前記第1及び第2の接合構造は、前記ギャップ面と垂直な方向に突出し、板状の前記ギャップ部材を側面から挟持する複数のギャップ部材支持部をそれぞれ有し、
前記複数のギャップ部材支持部は上下又は左右で非対称に配置されることを特徴とする、請求項3又は請求項4のいずれか一項に記載のコアモジュール。
【請求項6】
前記複数のギャップ部材支持部は、前記ギャップ面の中心点に対して点対称に、かつ上下及び左右で非対称に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のコアモジュール。
【請求項7】
前記複数のギャップ部材支持部の形状及び配置は、前記第1及び第2の接合構造において同一であることを特徴とする、請求項6に記載のコアモジュール。
【請求項8】
前記複数のI型コア断片は同一形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコアモジュール。
【請求項9】
前記一対のU型コア断片は同一形状を有していることを特徴とする請求項8に記載のコアモジュール。
【請求項10】
前記U型コア断片の絶縁被覆には、U字の底部から対向方向に延びる板状のセンサ固定部材が更に形成され、
前記センサ固定部材は、前記一対の直線コイル間に配置され、該一対の直線コイルと前記一対のU型コア断片のセンサ固定部材との間に棒状のセンサヘッドを収容可能な空間を形成することを特徴とする、請求項9に記載のコアモジュール。
【請求項11】
コイル装置用のリング型コアモジュールであって、
それぞれ磁性体で形成された、一対のU型コア断片を有し、
前記リング型コアモジュールは、前記一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、一対の直線コイル内部に前記U型コア断片のU字端部が対向して挿通される構成であり、
前記一対のU型コア断片は、それぞれインサート成形により絶縁被覆が形成されており、各コア断片間に非磁性体のギャップ部材を介して貼り合わされて、リング型に形成されたことを特徴とするコアモジュール。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のコアモジュールと、前記一対のコイルを備えたコイル装置。
【請求項13】
一対のU型コア断片と複数のI型コア断片とを有する、コイル装置用のリング型コアモジュールを製造する方法であって、
前記リング型コアモジュールは、前記一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、対向するU字端部間に、前記複数のI型コア断片が配置され、一対の直線コイル内部に前記複数のI型コア断片が挿通される構成であり、
インサート成形により、磁性体から形成された前記一対のU型コア断片及び前記複数のI型コア断片のそれぞれに絶縁被覆を形成するステップと、
前記絶縁被覆を形成するステップの後に、非磁性体のギャップ部材を介して前記一対のU型コア断片と前記複数のI型コア断片を貼り合わせて、リング型に形成するステップと
を含むことを特徴とするコアモジュールの製造方法。
【請求項14】
一対のU型コア断片を有するコイル装置用のリング型コアモジュールを製造する方法であって、
前記リング型コアモジュールは、前記一対のU型コア断片を対向配置させた状態で、一対の直線コイル内部に前記U型コア断片のU字端部が対向して挿通される構成であり、
インサート成形により、磁性体から形成された前記一対のU型コア断片のそれぞれに絶縁被覆を形成するステップと、
前記絶縁被覆を形成するステップの後に、非磁性体のギャップ部材を介して前記一対のU型コア断片を貼り合わせて、リング型に形成するステップと、を含むことを特徴とするコアモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191140(P2012−191140A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55712(P2011−55712)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)