説明

コイルボビン構造、およびコイルボビンの製造方法

【課題】本発明はコイルボビン構造、およびコイルボビンの製造方法に関し、スピーカのボイスコイルボビン、デジタルカメラやカメラ搭載携帯電話のカメラレンズの被写体に対する焦点合わせを行うのに使用されるボイスコイル型の駆動コイルの捲き始め部、捲き終わり部と、外部入力を行う信号線の配線作業、接続作業を効率的に行う。
【解決手段】略筒状のボビン本体1の外周に斜めに位相を違えて対設されたリボン状の導電箔2A,2Bと、ボビン本体の外周に捲装される駆動コイル3と、を備え、駆動コイルの捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bが、前記導電箔に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイルボビン構造、およびコイルボビンの製造方法に関し、例えぱ音響再生機器としてのスピーカの振動板を駆動させるボイスコイルボビン、また、デジタルカメラやカメラ搭載携帯電話のカメラレンズにおいて被写体に対する焦点合わせを行うために、レンズの移動が行われるが、この時に、レンズの移動位置の位置合わせを行うのに最適に使用されるボイスコイル型の駆動コイルを捲回し、該駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部に外部入力を行う信号線の配線作業と、接続作業とを効率的に行おうとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音響再生機器、例えばスピーカに使用されるボイスコイルボビンは、外周に捲回されるボイスコイルに信号電流が流されると、ボイスコイルは、磁気回路の磁気ギャップ内に挿入されて磁気的作用を受けることにより発生される駆動力に追従してボイスコイルボビンの上端に取り付けられたコーン等の振動板を振動させるのに、能率向上のために、軽量であること、振動に伴う変形防止のために高比弾性率であること、不要な振動を低減するために高内部損失性であること等が要求される。そして、ボイスコイルボビンを形成するのに、これらの要求を満たすための材料には、例えば紙、合成樹脂フィルム、金属により略円筒形に形成されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ボイスコイルに信号電流を流すためには、例えばボイスコイルボビンに捲回されたボイスコイルの捲き線末端部、すなわち、捲き始め部と捲き終わり部とを引き出して延長して使用が行われることが知られているが、この方法は通電によりボイスコイルが振動すると、ボイスコイルの捲き線末端部は屈曲運動による機械的疲労により亀裂が発生したり、断線事故を起こすことがあった。
【0004】
ボイスコイルに信号電流を流すために、ボイスコイルの捲き線末端部を延長して使用を行う上記従来方法の欠点を解決する他の方法は、通常の電線よりも、屈曲性能に優れた錦糸線をボイスコイルの捲き線末端部、すなわち、ボイスコイルの捲き始め部と捲き終わり部とに配線し、半田付けする等して接続することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この時、ボイスコイルに信号電流を流すために、前記ボイスコイルに接続される外部入力電線とを半田付けして接続するのに先立って、ボイスコイルの捲き始めの端部と、捲き終わりの端部相互とを手作業により屈曲し、絡げ処理することにより接続するスピーカ用ボイスコイルが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−243659号公報
【特許文献2】特開2005−277615号公報
【特許文献3】特開平5−183993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されているように、紙、合成樹脂フィルムを用いて略円筒形に形成されたボイスコイルボビンに捲回されるボイスコイルに信号電流を流すのに、ボイスコイルの捲き線末端部、すなわち、捲き始め部と捲き終わり部とを引き出
して延長して使用する上記従来の方法は、前述のようにボイスコイルが振動すると、ボイスコイルの捲き線末端部は屈曲運動による機械的疲労により亀裂が発生したり、断線事故を起こすため、実用的でない。また、特許文献2に記載されたように、通常の電線よりも、屈曲性能に優れた錦糸線をボイスコイルの捲き線末端部、すなわち、ボイスコイルの捲き始め部と捲き終わり部とに配線し、半田付けされる等して接続する方法は、ボイスコイルボビンの外周に捲回されるボイスコイルの捲き始め部と捲き終わり部との配線方向、長さ、距離、配置が一致しなければボイスコイルの捲き始め部と捲き終わり部とに錦糸線を接続することはできないが、これにはボイスコイルボビンに対するボイスコイルの取付位置を精密に設定しなければならず、ボイスコイルの捲き始め部およびき捲き終わり部の配線作業に多くの手間と時間がかかっていた。そのため、外部入力用リード線としての錦糸線の配索位置をボイスコイルの捲き始め部および捲き終わり部に対して厳密に設定しなければならず、同様に錦糸線の配線作業と半田付け等の接続作業とは、多くの手間と時間がかかり、作業効率が悪いものであった。このようにボイスコイルの捲き始め部および巻き終わり部と錦糸線との接続状態を構造的に強固にするために、接続を行うのに先立ってボイスコイルの捲き始めの端部、および捲き終わりの端部相互と、錦糸線とを手作業により屈曲し、狭い空間スペースでの絡げ処理を行う必要があるので、接続作業には一層多くの手間と時間がかかり、作業効率が悪いものであった。しかも、絡げ処理が手作業により行われるので、配線品質にバラツキが発生し、品質低下の原因になり、信頼性にかけるものになっていた。そのため、外部入力用リード線としての錦糸線の配索位置をボイスコイルの捲き始め部および捲き終わり部に対して厳密に設定しなければならず、同様に錦糸線の配索作業と半田付け等の接続作業には多くの手間と時間がかかり、作業効率が悪いものであった。このようにボイスコイルの捲き始め部および捲き終わり部と外部入力リード線および外部出力リード線として錦糸線を用いて接続を行う場合には、上記引用文献3に記載されているように、ボイスコイルの捲き始め部および捲き終わり部と錦糸線との接続状態を構造的に強固にするために、接続を行うのに先立ってボイスコイルの捲き始めの端部、および捲き終わりの端部相互と、錦糸線とを手作業により屈曲し、狭い空間スペースでの絡げ処理を行う必要があるので、接続作業には一層多くの手間と時間がかかり、作業効率が悪いものであった。しかも、絡げ処理が手作業により行われるので、配線品質にバラツキが発生し、品質低下の原因になり、信頼性に欠けるものになっていた。
【0008】
昨今では、音響再生機器としての振動板を駆動するためのボイスコイルに限らず、例えば、デジタルカメラやカメラ搭載携帯電話のカメラレンズにおいて被写体に対する焦点合わせを行うために、レンズの移動位置の位置合わせを行うのに最適に使用されるボイスコイル型の駆動コイルでは、小口径のものが盛んに用いられ、用途が拡大化されて来ているが、狭い空間スペースにおいて駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部に外部入力を行う外部入力用リード線の配索作業と、接続作業とを効率的に行え、かつ配線品質が高信頼性があるものが臨まれている。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決し、リボン状の導電箔を中継端子としてボビン本体にスパイラル状に用いることに着目し、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、また、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が狭い設置スペースにおいて高効率に行えて作業性を向上できるのと、接続部における配線品質に高信頼性を有し、製作および組付けが容易であり、生産コストが安価なコイルボビン構造、およびコイルボビンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、
全体形状が略筒状に構成されるボビン本体と、前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に斜めに位置を違えて対設されているリボン状の導電箔と、前記ボビン本体の外周に捲装される駆動コイルと、を備え、
前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されている、
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ボビン本体が、紙または合成樹脂フィルムにより所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材を捲回して全体形
状が略筒状に構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて1対が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて偶数対が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に1本づつ合計1対が斜めに位相を違えて設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に偶数対が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項において、前記導電箔が、銅箔、銀箔、チタン箔、白金箔、タングステン箔、ステンレス箔の何れかよりなる金属箔であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項において、前記導電箔は、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されるとともに、前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線と外部出力用リード線とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項において、前記導電箔は、ボビン用材に接着剤により接着されるか、または金属箔部が接設されたテープ状の補強紙を前記ボビン用材に接着していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、
前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程とを、有する
ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、
前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、
前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、
前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項12に記載の発明は、
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、
前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、
前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、
前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、そして、
前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線と外部出力用リード線を電気的に接続する工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項10〜12の何れか1項において、前記ボビン本体が、
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表 面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する 工程と、
前記ボビン用材を捲回して外周または内周の何れか、或いは外周および内周の双方に 前記導電箔がスパイラル状に形成された長尺筒状のボビン構成管を構成する工程と、
前記ボビン構成管を軸長方向に所望長さに切断する工程と、
により前記導電箔が斜めに位相を違えて対設されて形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
また、本発明の請求項1に記載の発明によれば、全体形状が略筒状に構成されるボビン本体と、前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔と、前記ボビン本体の
外周に捲装される駆動コイルと、を備え、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されているので、駆動コイルが小口径であるような狭い
スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に対設されている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易且つ確実に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行えるため、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0024】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において前記ボビン本体が、紙または合成樹脂フィルムにより所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材を捲回して全体形状が略筒状に構成されているので、ボビン本体は軽量であり、高比弾性率により振動に伴う変形が防止され、高内部損失性により不要な振動は低減される。
【0025】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれぱ、請求項1または2において前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて1対が設けられているので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて1対が設けられている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易かつ確実に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔に向かって設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と、前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキが少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性は向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0026】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれぱ、請求項1または2において前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて偶数対が設けられているので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて偶数対が設けられている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易かつ確実に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、中継端子として前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0027】
また、本発明の請求項5によれば、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に1本づつ合計1対が斜めに位相を違えて設けられているので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周および内周に斜めに位相を違えて1本づつ合計1対が設けられている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業をボビン本体の外周および内周に1本づつ合計1対が斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かっ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0028】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれぱ、請求項1または2において、前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に偶数対が設けられているので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周および内周の何れかに斜めに位相を違えて偶数対が設けられている中継端子としてのリボン状の導電箔に向かって駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を斜めに位相を違えて偶数対が対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0029】
また、本発明の請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の何れか1項において、前記導電箔が、銅箔、銀箔、チタン箔、白金箔、タングステン箔、ステンレス箔の何れかよりなる金属箔であるので、ボビン本体に中継端子としての導電箔をスパイラル状に容易かつ確実に製作が行え、導電性は良好になる。また、製作コストは安価になる。
【0030】
また、本発明の請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7の何れか1項において、前記導電箔は、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されるとともに、前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線、および外部出力用リード線が電気的に接続されているので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易に行えるとともに、外部入力用リード線、および外部出力用リード線の配線作業を導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線、および外部出力用リード線の接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペ一スにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線、および外部出力用リード線の接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線、および外部出力用リード線の接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線、および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0031】
また、本発明の請求項9に記載の発明によれば、請求項1〜8の何れか1項において、前記導電箔は、ボビン用材に接着剤により接着されるか、または金属箔部が接設されたテープ状の補強紙を前記ボビン用材に接着しているので、略円筒状に形成されるボビン本体に中継端子としての導電箔を容易かつ確実に形成することができる。
【0032】
また、本発明の請求項10に記載の発明によれば、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程とを、有するので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に対設されている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易かつ確実に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0033】
また、本発明の請求項11に記載の発明によれば、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、を有するので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に対設されている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易かつ確実に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業をリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かっ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0034】
また、本発明の請求項12に記載の発明によれば、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、そして、前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線および外部出力用リード線を電気的に接続する工程と、を有するので、駆動コイルが小口径であるような狭い設置スペースにおいても、ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に対設されている中継端子としてのリボン状の導電箔に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業は、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに個別に容易に行えるとともに、外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業を斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔に設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに容易かつ確実に行える。そして、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、絡げ処理を要することなく、前記導電箔に半田付けすることにより、狭い設置スペースにおいて高効率に行え、作業性は向上される。このように、ボイスコイルの前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部および前記捲き終わり部と前記外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線の配線作業と、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0035】
また、本発明の請求項13に記載の発明によれば、請求項10〜12の何れか1項において、前記ボビン本体が、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して外周または内周の何れか、或いは外周および内周の双方に前記導電箔がスパイラル状に形成された長尺筒状のボビン構成管を構成する工程と、前記ボビン構成管を軸長方向に所望長さに切断する工程と、により前記導電箔が斜めに位相を違えて対設されて形成するので、長尺筒状のボビン構成管を軸長方向に所望長さに切断するだけの簡単な取り扱いにより、外周または内周の何れか、或いは外周および内周の双方に駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部、並びに外部入力用リード線および外部出力用リード線が配線されて、接続される中継端子としてのスパイラル状の導電箔を形成した略円筒状のボビン本体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明のボィスコィルボビン構造の実施形態1を示す斜視図である。
【図2】図2は同じくボビン本体の外周に捲装する駆動コイルを省いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は本実施形態1を構成するボビン本体に使用されるボビン用材を展開した状態を示す正面図である。
【図4】図4は本実施形態1を構成するボビン本体に使用される補強紙を展開した状態を示す正面図である。
【図5】図5は本実施形態1を構成するボビン構成管を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明のボイスコイルボビン構造の実施形態2を示す斜視図である。
【図7】図7は本発明のボイスコイルボビン構造の実施形態3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0038】
<実施形態1>
本実施形態1は、全体形状が略筒状に構成されるボビン本体1と、前記ボビン本体1の外周に斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔2A,2Bと、前記ボビン本体1の外周に捲装される駆動コイル3と、を備え、前記駆動コイル3の捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bが、前記導電箔2A,2Bに電気的に接続されている。図示する本実施形態1では、図1、および図2に示すように、前記ボビン本体1の外周に前記導電箔2A,2Bが対設されているが、これは代表的な例示であり、これに限られない。
【0039】
また、前記ボビン本体1が、紙または合成樹脂フィルムにより所望幅W、所望厚さtのテープ状のボビン用材4を右周り(時計方向)または左周り(反時計方向)に捲回して全体形状が略筒状に構成される。このように、ボビン本体1を紙または合成樹脂フィルムよりなるボビン用材4により形成するのは、出来上がったボビン本体1が軽量であり、高比弾性率により振動に伴う変形を防止し、高内部損失性により不要な振動を低減するためである。
【0040】
前記導電箔2A,2Bが、本実施形態1では図1、図2に示すように、前記ボビン本体1の外周に2本で1対が設けられることにより、前記導電箔2A,2Bは、中継端子として斜めに位相を違えて設けられている。本実施形態1では、図示のように、前記導電箔2A,2Bは平面視180度の位置に位相を違えて設置される。そして、この前記導電箔2A,2Bは、図3に示すように、前記ボビン用材4に接着剤により接着されるか、または、図4に示すように2本の金属箔部5が平行に接設されたテープ状の補強紙6を前記ボビン用材4に接着しても良い。この際、使用される前記接着剤は、公知のもので良く、その種類は限定されるものではない。なお、前記導電箔2A,2Bの捲回方向は右捲き(時計方向)であっても、左捲き(反時計方向)であってもよい。
【0041】
7Aは外部入力用リ一ド線であり、また、7Bは外部出力用リード線である。これらの外部入力用リード線7A、および、外部出力用リード線7Bは、中継端子としての前記導電箔2A,2Bに、駆動コイル3の前記捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bが電気的に接続されるとともに、この外部入力用リード線7A、および外部出力用リード線7Bと、駆動コイル3の前記捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bとは、前記導電箔2A,2Bに電気的に接続されている。この時、駆動コイル3の前記捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bと、外部入力用リード線7A、および外部出力用リード線7Bとを、電気的に接続するのには、例えば半田付け8,8することにより行われる。しかも、前記外部入力用リード線7A,7Bには、好適には構造堅牢な屈曲性能を有する錦糸線が使用される。
【0042】
前記導電箔2A,2Bが、銅箔、銀箔、チタン箔、白金箔、タングステン箔、ステンレス箔の何れかよりなる金属箔であり、ボビン本体1に中継端子としての導電箔2A,2Bをスパイラル状に斜めに位相を違えて容易かつ確実に製作が行えることにより、駆動コイル3の前記捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bと、外部入力用リード線7A、および外部出力用リード線7Bとを前記中継端子に電気的接続が容易かつ確実に行え、導電性は良好になる。また、ボビン本体1は軽量化がはかれ、荷重が増大して過大な負荷とはならない。前記導電箔2A,2Bの幅W1、厚みは、例えばボビン本体1の大きさ、例えばボビン本体1の内周径φに応じて自由に設定される。さらには、ボビン本体1の外周にスパイラル状に形成される前記導電箔2A,2Bのリード角は自由に設定される。
【0043】
本実施形態1のコイルボビン構造は以上の構成からなり、以下このコイルボビン構造の製造方法を工程順に作用とともに説明する。
【0044】
本実施形態1のコイルボビンを製造するのには、先ず、第1工程として、図3に示すように紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅W、所望厚さtのテープ状のボビン用材4の表面に2本のリボン状の導電箔2A,2Bを平行に接着する。この際、前記導電箔2A,2Bの幅W1、厚みは、例えばボビン本体1の大きさ、例えばボビン本体1の内周径φに応じて自由に設定される。そして、導電箔2A,2Bの接着は、接着剤により行われる。
【0045】
次いで、第2工程として、前記ボビン用材4を右回り(時計回り)または左周り(反時計回り)に捲回して全体形状が略筒状のボビン本体1を構成することにより前記ボビン本体1の外周に少なくともスパイラル状に斜めに位相を違えて前記導電箔2A,2Bを対設する。この導電箔2A,2Bは本実施形態1では2本で1対をなす。
【0046】
この際、前記ボビン本体1を製造するには、先ず、図5に示すような長尺筒状のボビン構成管9を構成してから、このボビン構成管9を軸長方向1に所望長さLに切断することにより形成される。このように、長尺筒状のボビン構成管9を構成してから、このボビン構成管9を軸長方向1に所望長さLに切断することにより、複数個のボビン本体1を形成することができるため、量産に適し、生産コストは安価になる。
【0047】
そして、このボビン構成管9を形成するには、前述の如く、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅W、所望厚さtのテープ状のボビン用材4の表面に、先ず、2本のリボン状の導電箔2A,2Bを平行に接着する(図3参照)。
【0048】
次いで、前記ボビン用材4を図には示さない芯棒にスパイラルに捲回することにより、外周に前記導電箔2A,2Bが二重のスパイラル状に形成された長尺筒状のボビン構成管9を構成する。この時、連続して捲回されるボビン用材4相互の重合部分は、接着剤により接着されることにより一体化がはかれる。
【0049】
その後、前記ボビン構成管9を軸長方向Iに所望長さLに切断することにより前記導電箔2A,2Bが斜めに位相を違えて対設された前記ボビン本体1を形成する。このように、ボビン構成管9を軸長方向Iに所望長さLに切断することにより、複数個のボビン本体1を形成することができるため、量産に適し、生産コストは安価になる。
【0050】
このようにして、紙または合成樹脂フィルムにより全体形状が略筒状に構成されるボビン本体1の外周に2本で1対の導電箔2A,2Bを少なくともリボン状に対設しているので、前記ボビン本体1の外周に捲装される駆動コイル3の捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bは、ボビン本体1の外周に捲装されている駆動コイル3が如何なる位置に設置されたとしても、ボビン本体1の外周に斜めに位相を違えて対設されている中継端子としての前記導電箔2A,2Bに設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに配線され、前記導電箔2A,2Bの所望位置に電気的に接続される。この時、電気的接続とは、例えば、半田付け8されることにより行われる。
【0051】
また、中継端子としての前記導電箔2A,2Bには、駆動コイル3に対して電流が入力される外部入力用リード線8Aと、電流を出力する外部出力用リード線8Bとが、設置方向、長さ、距離、配置に拘泥されずに配線され、前記導電箔2A,2Bの所望位置に電気的に接続される。この時、電気的接続とは、例えば、半田付け8′されることにより行われる。
【0052】
こうして、中継端子としての導電箔2A,2Bを介して駆動コイル3の捲き始め部3aと外部入力用リード線8Aとが電気的に接続されるとともに、駆動コイル3の捲き終わり部3bと外部出力用リード線8Bとが電気的に接続される。
【0053】
そして、前記捲き始め部3aおよび前記捲き終わり部3bと、前記外部入力用リード線8Aおよび外部入力用リード線8Bとの接続は、特許文献3に記載のスピーカ用ボイスコイルのように絡げ処理を要することなく、中継端子としての前記導電箔2A,2Bに前記捲き始め部3aおよび前記捲き終わり部3bと、前記外部入力用リード線8Aおよび外部入力用リード線8Bとを半田付け8,8′することにより、例えぱ、音響再生機器としてのスピーカの振動板を駆動するためのボイスコイルに限らず、デジタルカメラやカメラ搭載携帯電話のカメラレンズにおいて被写体に対する焦点合わせを行うために、レンズの移動位置の位置合わせを行うボイスコイル型の駆動コイルのように小口径であって、狭い設置スペースにおいて中継端子としての導電箔2A,2Bを介して駆動コイル3の捲き始め部3aと外部入力用リード線8Aとの配線、および接続が電気的に接続されるとともに、駆動コイル3の捲き終わり部3bと外部出力用リード線8Bとの配線、および接続が電気的に接続されて高効率に行え、作業性は向上される。
【0054】
このように、駆動コイル3の前記捲き始め部3aおよび前記捲き終わり部3bと前記外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bとの接続は、特許文献3に示す従来方法のような絡げ処理を行うことなく接続が行えるので、前記捲き始め部3aおよび前記捲き終わり部3bと前記外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bとの接続部における配線品質はバラツキは少なく高信頼性を有する。そして、駆動コイル3の捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bの配線作業、並びに外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bの配線作業と、前記捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bと外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bとの接続が高効率に行えて作業性を向上されるので、製作および組付けが容易に行え、生産コストが安価になる。
【0055】
<実施形態2>
図6に示すものは本発明のコイルボビン構造の実施形態2を示し、前記実施形態1ではボビン本体1の外周に中継端子としての2本で1対の前記導電箔2A,2Bが斜めに位相を違えて対設されているが、本実施形態2では、ボビン本体1の内周に2本で1対の導電箔2A,2Bが対設されているほかは前記実施形態1と同様の構成である。
【0056】
そして、本実施形態2では、駆動コイル3の捲き始め部3aと中継端子としての導電箔2Aとを電気的に接続するのには、ボビン本体1の内周に設けられている導電箔2Aに対応する個所に孔20を開設し、この孔20を通して導電箔2Aに駆動コイル1の捲き始め部3aを半田付け8することにより電気的に接続するとともに、駆動コイル1の捲き終わり部3bと導電箔2Bとを電気的に接続するのには、捲き終わり部3bをボビン本体1の上縁を介して外周から内周へと折り返すことにより駆動コイル3の捲き終わり部3bとボビン本体1の内周に設けられた導電箔2Bとを半田付け8して電気的に接続する。
【0057】
このように、本実施形態2では、ボビン本体1の外周に捲装された駆動コイル3の捲き始め部3aはボビン本体1の導電箔2Aに対応して開設された孔20を通して導電箔2Aに駆動コイル1の捲き始め部3aを電気的に接続するとともに、駆動コイル3の捲き終わり部3bはボビン本体1の上縁を介して外周から内周へと折り返すことにより捲き終わり部3bとボビン本体1の内周に設けられた導電箔2Bとは、電気的に接続されるので、ボビン本体1の内周に設けられた中継端子としての導電箔2A,2Bはボビン本体1により駆動コイル3が振動されても保護される。また、駆動コイル3の捲き始め部3a、および捲き終わり部3bに対する外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bの接続個所は、振動する駆動コイル3が捲装されたボビン本体1の内周に位相を違えて対設された中継端子としての導電箔2A,2Bに接続されるので、ボビン本体1に保護され、高強度を発揮されるという優れた作用・効果があるほかは前記実施形態1と同様の作用・効果を奏する点が異なる作用・効果である。
【0058】
<実施形態3>
図7に示すものは本発明の実施形態3を示し、本実施形態3では、ボビン本体1の外周に一方の導電箔2Aを設けるとともに、ボビン本体1の内周に他方の導電箔2Bを設けることにより、2本で1対の前記導電箔2A,2Bが対設されている構成のほかは前記実施形態1および実施形態2と同様の構成である。
【0059】
そして、本実施形態3では、駆動コイル3の捲き始め部3aと導電箔2Aとを電気的に接続するのには、導電箔2Aに駆動コイル3の捲き始め部3aを半田付けすることにより電気的に接続するとともに、また、駆動コイル3の捲き終わり部3bと導電箔2Bとを電気的に接続するのには、実施形態2と同様に捲き終わり部3bをボビン本体1の上縁を介して外周から内周へと折り返すことにより捲き終わり部3bと導電箔2Bとを半田付け8して電気的に接続するようにしたほかは前記実施形態1および実施形態2と同様の作用・効果を奏する。
【0060】
なお、前記実施形態1では、ボビン本体1の外周に、斜めに位相を違えて1対の導電箔2A,2Bが設けられ、また、実施形態2では、ボビン本体1の内周に斜めに位相を違えて1対の導電箔2A,2Bが設けられ、さらに実施形態3ではボビン本体1の外周および内周に1本づつ合計1対が斜めに位相を違えて設けられている場合を代表的に説明したが、本発明はこれに限ることなく、図には示さないが、例えばボビン本体1の外周または内周に前記導電箔2A,2Bが、斜めに位相を違えて偶数対が設けられることにより、中継端子として導電箔2A,2Bに駆動コイル3の捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bと、外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線7Bとを電気的に接続しても良いし、或いは前記導電箔2A,2Bが、ボビン本体1の外周および内周に斜めに位相を違えて偶数対が設けられることにより、中継端子として導電箔2A,2Bに駆動コイル3の捲き始め部3aおよび捲き終わり部3bと、外部入力用リード線7Aおよび外部出力用リード線とを電気的に接続してもよい。なお、図示する各実施形態では、略筒状のボビン本体1は、円筒状に形成されているが、これは代表的な例示であり、これに限ることなく、例えばボビン本体1が楕円筒状に形成され、この外周に捲回される駆動コイル3も楕円筒状に形成されたものでも、本発明の適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部の配線作業、並びに外部入力用
リード線および外部出力用リード線の配線作業と、また、前記捲き始め部および捲き終わり部と外部入力用リード線および外部出力用リード線との接続が狭い設置スペースにおいて高効率に行えて作業性を向上できるのと、接続部における配線品質に高信頼性を有し、製作および組付けが容易であり、生産コストが安価にするという用途、機能に適する。
【符号の説明】
【0062】
1 ボビン本体
2A 導電箔
2B 導電箔
3 駆動コイル
3a 捲き始め部
3b 捲き終わり部
4 ボビン用材
5 金属箔部
6 補強紙
7A 外部入力用リード線
7B 外部出力用リード線
8 半田付け
8′ 半田付け
L 長さ
W 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体形状が略筒状に構成されるボビン本体と、前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に斜めに位相を違えて対設されているリボン状の導電箔と、前記ボビン本体の外周に捲装される駆動コイルと、を備え、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されている、ことを特徴とするコイルボビン構造。
【請求項2】
前記ボビン本体が、紙または合成樹脂フィルムにより所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材を捲回して全体形状が略筒状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコイルボビン構造。
【請求項3】
前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて1対が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルボビン構造。
【請求項4】
前記導電箔が、前記ボビン本体の外周または内周の何れかに斜めに位相を違えて偶数対が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルボビン構造。
【請求項5】
前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に1本ずつ合計1対が斜めに位相を違えて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルボビン構造。
【請求項6】
前記導電箔が、前記ボビン本体の外周および内周に偶数対が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルボビン構造。
【請求項7】
前記導電箔が、銅箔、銀箔、チタン箔、白金箔、タングステン箔、ステンレス箔の何れかよりなる金属箔であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のコイルボビン構造。
【請求項8】
前記導電箔は、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部が、前記導電箔に電気的に接続されるとともに、前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線と外部出力用リード線とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のコイルボビン構造。
【請求項9】
前記導電箔は、ボビン用材に接着剤により接着されるか、または金属箔部が接設されたテープ状の補強紙を前記ボビン用材に接着していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のコイルボビン構造。
【請求項10】
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程とを、有することを特徴とするコイルボビンの製造方法。
【請求項11】
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、を有することを特徴とするコイルボビンの製造方法。
【請求項12】
紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して全体形状が略筒状のボビン本体を構成することにより前記ボビン本体の外周または内周の何れか、或いは前記ボビン本体の外周および内周の双方に前記導電箔を対設する工程と、前記ボビン本体の外周に駆動コイルを捲装する工程と、前記駆動コイルの捲き始め部および捲き終わり部を前記導電箔に電気的に接続する工程と、そして、前記導電箔を中継端子として外部入力用リード線と外部出力用リード線を電気的に接続する工程と、を有することを特徴とするコイルボビンの製造方法。
【請求項13】
前記ボビン本体が、紙または合成樹脂フィルムによりなる所望幅、所望厚さのテープ状のボビン用材の表面または裏面、或いは前記ボビン用材の表面および裏面にリボン状の導電箔を接着する工程と、前記ボビン用材を捲回して外周または内周の何れか、或いは外周および内周の双方に前記導電箔がスパイラル状に形成された長尺筒状のボビン構成管を構成する工程と、前記ボビン構成管を軸長方向に所望長さに切断する工程と、により前記導電箔が斜めに位相を違えて対設されて形成することを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載のコイルボビンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226176(P2010−226176A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68060(P2009−68060)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(598146850)後藤電子 株式会社 (24)
【Fターム(参考)】