説明

コイン精米機

【課題】 投入ホッパに投入する玄米や、籾等の投入量が僅かで少量であるときは、センサによる玄米や籾の投入状態を正確に検出できないことがあり、精度の高い運転制御を維持し難い。
【解決手段】 コイン精米機において、前記玄米を投入する投入ホッパ2の底部に供給口3を介してのぞむラセン樋4を設け、この投入ホッパ2の供給口3近傍位置で、前記ラセン樋4による搬送方向の前側上部の位置には、玄米の有無を検出するフロントセンサ5を設け、後側上部の位置には玄米の有無を検出するリヤセンサ6を設けて運転制御を行うコイン精米機の運転制御装置の構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コインメックに料金を投入し、投入ホッパに玄米を投入して、精米白度を選択することによって、所定時間の自動精米運転を行って白米を取出すことのできるコイン精米機の運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
玄米を投入する投入ホッパにラセン樋を設けて、このラセン樋の搬送ラセンを駆動したり、この投入ホッパ底部の供給口を開閉する玄米有無センサを、この投入ホッパ内部に設置する等の技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007ー229538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投入ホッパに投入する玄米や、籾等の投入量が僅かで少量であるときは、センサによる玄米や籾の投入状態を正確に検出できないことがあり、精度の高い運転制御を維持し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、コインメック(1)に料金を投入し、投入ホッパ(2)に穀物を投入して、精白度を選択することによって、所定時間の自動精米運転を行って白米を取出すコイン精米機において、前記穀物を投入する投入ホッパ(2)の底部に供給口(3)を設け、投入ホッパ(2)の供給口(3)近傍位置で、投入ホッパ(2)の前側と後側の側壁には、穀物の有無を検出する穀物有無検出センサ(5,6)をそれぞれ設けて運転制御を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、投入ホッパ(2)の供給口(3)近傍位置で、投入ホッパ(2)の左右側壁には、籾・玄米を判別する判別センサ(39,41)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米機とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、判別センサ(39,41)及び穀物有無検出センサ(5,6)は静電容量センサであることを特徴とする請求項2記載のコイン精米機とする。
請求項4記載の発明は、投入ホッパ(2)の供給口(3)の下方には投入ホッパ(2)の後側から前側に向かって搬送する搬送ラセン(7)を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載のコイン精米機とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、前後の穀物有無検出センサ(5,6)のいずれもが穀物を検出しないときは、搬送ラセン(7)を一定時間逆回転又は正回転させて、投入ホッパ(2)の供給口(3)部に穀物を盛上げることにより前後いずれかの穀物有無検出センサ(5,6)の検出領域に位置させて精米運転を開始可能にすることを特徴とする請求項4記載のコイン精米機とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、搬送ラセン(7)を逆回転又は正回転しても前後いずれの穀物有無検出センサ(5,6)が穀物を検出しないときは、通常の運転を開始して精米装置に至る行程の玄米タンク(9)における玄米センサ(10)の穀物検出によって料金を課金することを特徴とする請求項5に記載のコイン精米機とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、投入ホッパ2に投入した穀物投入量が少ない場合でも、この投入ホッパ2の供給口3近傍には、穀物有無検出センサ5,6が前後に配置されているため、利用者による穀物投入位置が前側又は後側に偏位していても、前後何れかのセンサ5、6によって穀物の投入を的確に検出することができ、正確で円滑な精米運転を行わせることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、穀物有無検出センサ5,6と離れた場所に判別センサ39,41を設けることで、互いの検出を邪魔をし難く、センサの検出精度を良好にすることが出来る。
【0012】
請求項3記載の発明は、穀物有無検出センサ5,6及び判別センサ39,41を静電容量式のセンサとするが、互いのセンサを離れた位置に設けることが出来、センサ同士が検出しあうことを防止することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、搬送ラセン7の搬送方向側に穀物有無検出センサ5,6を設けることで、搬送ラセンで搬送する穀物を確実に検出することができる。
請求項5に記載の発明は、穀物有無検出センサ5,6による穀物の検出ができないときは、搬送ラセン7を一定時間逆回転又は正回転駆動させる。ラセン樋4内の穀物があるときは、この穀物を前後いずれかの穀物有無検出センサ5,6の検出領域へ盛り上らせることによって、穀物検出を確認させるもので、正確な検出を行わせることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記搬送ラセン7を逆転駆動しても穀物を検出しないときは、通常の運転を開始し、精米装置8に至るまでの穀物搬送行程の途中に設ける玄米タンク9の玄米センサ10が玄米を検出することにより課金処理して、所定時間の精米運転を行い、この玄米センサ10が玄米の搬送を検出しないときは直ちに精米運転を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コイン精米機の平面配置図
【図2】精米工程を示すブロック図
【図3】操作盤の正面図
【図4】投入ホッパ部の側面図
【図5】精米制御部のブロック図
【図6】フローチャート
【図7】別実施例の投入ホッパの側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に基づいて、コイン精米機は、建屋式のハウス11内に仕切壁12を設けて、操作室13と機械室14とに仕切り、この仕切壁12には、精米操作を行うための操作盤27や、玄米又は籾等を投入するための投入ホッパ2の投入口15、精米された白米を取出すための白米ホッパ21の白米取出口16等を設ける。又、前記機械室12には、投入ホッパ2の投入口15から投入される玄米等を受ける底部の供給口3の下方に設けるラセン樋4で供給される第一昇降機26と、第一昇穀機26を介して上部の穀物タンク17へ搬送させながら、この穀物タンク17から供給される籾米を受けて籾摺する籾摺装置18と、前記穀物タンク17から切替弁19の切替えによって流下させる玄米又は籾摺装置で籾摺りされた玄米を受ける第二昇穀機20と、玄米タンク9から供給される玄米を受けて精米する精米装置8と、更には、前記精米装置8で分離された糠をサイクロン22や、オーガ23等で搬送して糠袋24に収容する糠処理装置25等を配置する。
【0017】
又、前記第二昇穀機20と籾摺装置18との間には、図示はしないが石抜や、わら屑等を選別する選別装置を配置することができる。前記籾摺装置18を設ける形態では、前記切替弁19の切替えによって、穀物タンク17に搬送される籾は、籾摺装置18へ供給して籾摺作用を行わせ、この籾摺装置18で籾摺された玄米を玄米取出口28から第二昇降機20へ供給すると共に、籾殻を排塵機29で機外へ排出させる。
【0018】
穀物タンク17に搬送される玄米は、切替弁19の切替によって籾摺装置18を迂回して第二昇穀機20を経て玄米タンク21へ搬送供給される。これら投入ホッパ2から穀物タンク17への供給、及び穀物タンク17から玄米タンク9への供給は、予め設定している一定量毎に間歇的に供給されて精米される形態である。
【0019】
前記操作盤27には、精米料金を投入するコインメック1や、精米白度合を選択指定する精白度選択ボタン30を配置している。又、この操作盤27の裏側に設けるコントロールボックスのコントローラ32は、この入力側に、前記コインメック1の料金センサや、投入ホッパ2の穀物有無検出センサであるフロントセンサ5及びリヤセンサ6、籾と玄米とを判別する判別センサ39,41、又、玄米タンク9の玄米センサ10の検出情報を入力する構成とし、出力側には、正逆回転駆動可能のラセンモータM1や、籾摺装置18を駆動する籾摺モータM2、精米装置8を駆動する精米モータM3、各第一昇穀機26、20を駆動する昇穀モータM4、M5等を配置して精米制御する構成である。
【0020】
ここにおいて、この精米運転制御装置は、コインメック1に料金を投入し、投入ホッパ2に籾又は玄米を投入して、精白度を選択することによって、所定時間の自動精米運転を行って白米を取出すコイン精米機において、前記籾又は玄米を投入する投入ホッパ2の底部に供給口3を介してのぞむラセン樋4を設け、この投入ホッパ2の供給口3近傍位置、すなわち投入ホッパ2の傾斜面の下部で、前記ラセン樋4による搬送方向の前側上部の位置には、玄米の有無を検出するフロントセンサ5を設け、後側上部の位置には玄米の有無を検出するリヤセンサ6を設けて運転制御を行う構成とする。また、投入ホッパ2の左右傾斜面の下部でラセン樋4による搬送方向の左右両側には籾と玄米とを判別する判別センサ39,41を設けている。
【0021】
コイン精米機を運転するときは、コインメック1に精米料金を投入し(ステップS1)、袋詰等で持込玄米(籾)を投入ホッパ2へ投入することによって(S2)、この玄米(籾)が投入ホッパ2内へ投入されたことをフロントセンサ5、又はリヤセンサ6等で検出して(S4)、ラセン樋4の搬送ラセン7を回転駆動して精米装置8側へ搬送供給する。いずれのセンサ5、6においても玄米(籾)の投入されたことを検出しないときは、搬送ラセン7による繰出搬送は行われないか、又は、直ちには行われない。
【0022】
このようなフロントセンサ5、及びリヤセンサ6は、投入ホッパ2の玄米投入位置を、ラセン樋4による搬送方向に対して前側上部と、後側上部とに、検出位置を異にして配置しているため、少量玄米の投入状態、乃至姿勢等によって、供給口3の前側上部に投入されるとフロントセンサ5によって検出され、又は後側上部に供給されるとリヤセンサ6によって検出される。このような前後何れかのセンサ5、6による検出によって、搬送螺旋7を正方向へ回転させて供給口3から繰り込まれる玄米(籾)を精米装置8側へ搬送する。
【0023】
又、前記フロントセンサ5、及びリヤセンサ6のいずれもが玄米(籾)を検出しないときは、前記ラセン樋4の搬送ラセン7を一定時間逆回転させて、この投入ホッパ2の供給口3部に玄米を盛上げることによりこれらフロントセンサ5、又はリヤセンサ6の検出領域に位置させて精米運転を開始可能にする。
【0024】
前記のようにフロントセンサ5、又はリヤセンサ6によって投入ホッパ2に玄米(籾)が投入されたことを検出することによって(S4)、搬送ラセン7を駆動して玄米(籾)を精米装置8側へ供給搬送する。このときフロントセンサ5、及びリヤセンサ6のいずれにおいても玄米(籾)の検出が行われないときは、この搬送ラセン7を一定時間逆回転させて(S5)、ラセン樋4内の玄米(籾)を逆送りする。この玄米(籾)の逆送りによって供給口3下に沈下していた玄米(籾)は供給口3上に押し上げられて後側上部のリヤセンサ6、又はフロントセンサ5の検出領域内に盛り上り、これらリヤセンサ6、又はフロントセンサ5によって検出される(S6)。この玄米(籾)有りの検出によって、ラセンモーM1を正回転して搬送ラセン7正回転させて供給口3から繰り出される玄米を精米装置8側へ搬送して精米運転させる(S7)。
【0025】
更には、前記搬送ラセン7を逆回転しても各センサ5、6が玄米(籾)を検出しないときは、通常の運転を開始して精米装置8に至る行程の玄米タンク9における玄米センサ10の玄米検出によって課金処理を開始する。
【0026】
前記のように、搬送ラセン7を逆転駆動してみても、いずれのセンサ5、6も玄米(籾)を検出しないときは(S6)、通常の運転を開始して玄米を精米装置8に至る行程の玄米タンク9に搬送供給し、この玄米タンク9の玄米センサ10で検出すると(S9)、そのまま精米装置8において精米運転を継続し(S10)、課金処理して運転料金の引落処理を行う。
【0027】
玄米センサ10による検出が行われないとき(S9)、あるいは投入料金分の運転時間を経過すると(S11)精米運転を終了する(S12)。
次に投入ホッパ部の構成について図4と図1に基づいてさらに詳述する。
【0028】
前記精米しようとする玄米や籾等を投入する投入口15部には袋載台33を設けて、投入ホッパ2への玄米投入を行い易くしている。この投入ホッパ2の上縁部には金網34を設けて大きい異物の投入や、直接手を差込むことがでない形態としている(なお、図1においては金網34は省略している)。この投入ホッパ2の底部に開口する供給口3は、手前側の袋載台33下方位置から奥側のラセンモータM1側へ向けて狭幅で長く形成されて、この供給口3の下側に沿って搬送ラセン7を有するラセン樋4が水平状に設けられ、このラセン樋4の奥端に排出口35を形成して、第一昇穀機26の下端部にのぞませて、玄米の搬送供給を行わせることができる。又、このラセン樋4は供給口3の手前側端よりも長く延出させたバックスペース36を形成して、玄米の搬送収容量を大きく維持する形態としている。
【0029】
前記フロントセンサ5、リヤセンサ6は、この供給口3の前後方向位置における投入玄米(又は籾)の有、無を検出するもので、この投入ホッパ2の奥側壁面37のフロントセンサ5を設け、手前側壁面38にリヤセンサ6を設ける。しかも、これらの各センサ5,6は下端の供給口3縁部上適宜の位置、すなわち搬送ラセン7の搬送始端側と搬送終端側にそれぞれ設けることで、投入ホッパ2への玄米(籾)の投入量が少なく、投入ホッパ2の供給口3が玄米(籾)で埋まらない状態でも、いずれかのセンサ5,6に接触しやすくすることで、できるだけ少量の玄米をも検出できるように低位置に配置している。
【0030】
又、これらフロントセンサ5とリヤセンサ6との間の左右の側壁面40には、籾と玄米を判別する判別センサ39と41を設け、この判別センサ39が投入籾であることを検出すると籾摺装置18を駆動して籾摺を行って籾を玄米にしてから精米装置8へ供給し、玄米であることを検出すると投入玄米を精米装置8へ搬送供給して精米を行うよう運転制御する。
【0031】
この場合、判別センサ39が玄米の投入であることを検出することによって、搬送ラセン7を一定の時間毎間歇的に駆動させて、精米作用を間歇運転するように制御し、又、籾の投入であることを検出することによって、搬送ラセン7を連続回転させて、籾摺、及び精米作用を連続運転するように制御することも可能である。また、判別センサは左右いずれか一方でも良い。
【0032】
フロントセンサ5とリヤセンサ6からなる穀物有無検出センサ5,6と判別センサ39,41はいずれも静電容量式のセンサで、検出面が投入ホッパ2の壁面から突出する構成であり、穀物が検出面に近づくと静電容量が変化し、その静電容量で穀物の有無、又は籾・玄米の判別を行なうものである。
【0033】
穀物有無検出センサ5,6と判別センサ39,41を投入ホッパ2の前後左右の各側壁面の下部にそれぞれ設けることで、センサ同士が検出しあう不具合を防止し、また、投入穀物が少量の場合でも穀物の有無及び穀物の判別を確実に行なえるものである。
【0034】
次に、主として図7に基づいて、前記投入ホッパ2の投入玄米の流れをよくするために、この手間側壁面38等にソレノイドによる叩圧器41を設けて、投入ホッパ2を叩くものである。この叩圧器41の叩圧面にはゴム材、乃至樹脂材等の緩衝材を介在させて、投入ホッパ2の側面側を叩くことによって叩き騒音を小さくする。叩圧衝撃によって付着玄米等を反発放擲するため、揺動振動等による篩落し作用よりも効果的であり、短時間に処理することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 コインメック
2 投入ホッパ
3 供給口
4 ラセン樋
5 フロントセンサ
6 リヤセンサ
7 搬送ラセン
8 精米装置
9 玄米タンク
10 玄米センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインメックに料金を投入し、投入ホッパに穀物を投入して、精白度を選択することによって、所定時間の自動精米運転を行って白米を取出すコイン精米機において、前記穀物を投入する投入ホッパの底部に供給口を設け、投入ホッパの供給口近傍位置で、投入ホッパの前側と後側の側壁には、穀物の有無を検出する穀物有無検出センサをそれぞれ設けて運転制御を行うことを特徴とするコイン精米機。
【請求項2】
投入ホッパの供給口近傍位置で、投入ホッパの左右側壁には、籾・玄米を判別する判別センサを設けたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米機。
【請求項3】
判別センサ及び穀物有無検出センサは静電容量センサであることを特徴とする請求項2記載のコイン精米機。
【請求項4】
投入ホッパの供給口の下方には投入ホッパの後側から前側に向かって搬送する搬送ラセンを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載のコイン精米機。
【請求項5】
穀物有無検出センサのいずれもが穀物を検出しないときは、搬送ラセンを一定時間逆回転又は正回転させて、投入ホッパの供給口部に穀物を盛上げることにより穀物有無検出センサの検出領域に位置させて精米運転を開始可能にすることを特徴とする請求項4記載のコイン精米機。
【請求項6】
搬送ラセンを逆回転又は正回転しても穀物有無検出センサが穀物を検出しないときは、通常の運転を開始して精米装置に至る行程の玄米タンクにおける玄米センサの穀物検出によって料金を課金することを特徴とする請求項5に記載のコイン精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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