説明

コネクタ、コネクタシステムおよびその使用

本発明は、流体導通部(20);接触装置(14);本質的に平面状の接触表面(16);接触表面(16)を貫通して、流体を導通させるように設計された流体導通開口(18);前記接触表面(16)および/または該接触表面と対面する前記流体導通部(20)の端部を、少なくも部分的に滅菌状態に覆うように設計された滅菌カバー(64);および結合方向(40)に沿って、相補型コネクタ(12)の相補型結合装置(34)と係合するように設計された、前記接触表面(16)と本質的に平行な結合装置(22)を含む。本発明はまた、コネクタ(10)の流体供給部を流体排出部に滅菌状態で接続するための、コネクタシステム、コネクタ(10)の使用および相補型コネクタ(12)にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、コネクタの流体供給部を相補型コネクタの流体排出部に流体密に接続するためのコネクタシステム、ならびにコネクタの流体供給部を相補型コネクタの流体排出部に滅菌接続するための、前記コネクタおよび前記相補型コネクタの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、血漿などの生体流体および/または生体液体を取り扱う目的で多数のコネクタが開発されている。この点において、コネクタを通過して流体を導く際に、流体の特性が変化しないことが重要である。特に、例えば、非滅菌周囲状況において使用される場合には、流体を環境の影響から保護することが必要となることが多い。コネクタを互いに接続した後に、通常、コネクタを通って導かれる流体が、いかなる環境影響にも晒されないこと、特に、流体が汚染されないことを保証することが必要である。言い換えると、コネクタ類が非滅菌周囲状況において取り扱われる場合でも、2つのコネクタ間で滅菌接続を可能にすることが必要とされることが多い。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的の一つは、簡単な手段で滅菌接続を可能にすることである。この目的は、請求項1に記載のコネクタ、請求項9に記載のコネクタシステム、および請求項10に記載のコネクタおよび相補型コネクタの使用によって達成される。好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【0004】
本発明の1つの特徴は、次のものを備えるコネクタを提案することである:
流体導通部;
本質的に平面状の接触表面と、流体を導通させるように設計された、接触表面を貫通する流体導通開口とを有する接触装置;
接触表面および/または接触表面と対面する流体導通開口の端部を、少なくとも部分的に滅菌状態で覆うように設計された滅菌カバー;および
結合方向が本質的に接触表面と平行である、結合装置に沿って相補型コネクタの相補型結合装置と係合するように設計された、結合装置。
【0005】
本発明の意味において「本質的に平面状」という表現は、接触表面が好ましくは平面状表面であることを表わす。しかし、幾何学的な意味では、接触表面は、理想的な平面状接触表面から逸脱することができる。特に、接触表面は、製造精度の文脈において、平面状接触表面である。したがって、本発明の意味において、「本質的に」という用語は、例えば、製造精度の文脈においてという用語と同義である。
【0006】
「滅菌(sterile)」の用語は、本発明においては、その従来的な意味、すなわち、例えば、無菌(germ-free)または実を結ばない(unfruitful)もしくは生殖力のない(infertile)ということを意味する。無菌とは、必ずしも、細菌および/または異物がまったく存在しないことを意味するものではなく、所定の、または事前指定可能な最大数の細菌および/または異物を含んでもよい。例えば、「滅菌」の用語は、一般的に是認された産業標準によって許容されるか、または要求されるレベルの、細菌の最大数を表わしてもよい。
【0007】
有利には、本発明によるコネクタと相補型コネクタとの間の接続は、片手を用いて行うことができる。このことが当てはまるのは、本発明によって、コネクタの結合装置の設計が、コネクタを相補型コネクタと結合するときに、接触装置の接触表面が、それぞれの場合に、好ましくは、本質的に互いに上下に配置され、接触表面は互いにずらすようにされている場合である。コネクタを相補型コネクタに接続させるために、接触表面相互の距離が変化してはならない。
【0008】
例えば、コネクタは、本質的に円筒形の流体導通部を有することができる。接触装置の本質的に平面状の接触表面は、いずれの場合も、接触表面が本質的に流体導通部の円筒軸に垂直になるように配置することができる。特に、流体導通部は、接触装置の流体導通開口中に排出される。これに関連して、接触装置は、流体導通部の一端に配設することができる。しかしながら、流体導通部は、流体導通開口を介して接触装置を貫通することもできる。
【0009】
コネクタの本質的に平板状の接触表面は、好ましくは、相補型コネクタの本質的に平面状の接触表面と、好ましくはその全表面にわたって接触する。特に、接触装置の接触表面は、それが相補型コネクタの接触装置の接触表面に接触して、次いで、結合方向に動かされて、コネクタの結合装置が、相補型コネクタの相補型結合装置と係合する。
【0010】
言い換えると、コネクタの接触表面と相補型コネクタの接触表面は、結合方向と垂直方向に互いに分離することができない、すなわち、それらはすでに少なくとも部分的に上下に重ねられており、次いで、コネクタまたは相補型コネクタが結合方向に動かされ、これと関連して、コネクタの結合装置が、相補型コネクタの相補型結合装置と係合する。これが当てはまるのは、特に、結合装置および接触装置を一体品とする場合、すなわち、接触表面が結合装置の表面である場合である。
【0011】
コネクタの流体導通部を通過する流体を外部環境影響から保護するために、接触表面および/または接触表面と対面する流体導通部の端部は、少なくとも部分的に滅菌カバーによって、滅菌状態で覆われる。例えば、流体導通部の端部だけを、滅菌状態で覆い、接触表面は滅菌状態で覆わないことも可能である。これは、例えば、流体導通部の壁厚が大きい場合に、当てはめることができる。
【0012】
接触表面は、好ましくは、少なくとも部分的に滅菌状態にして、滅菌カバーで覆われるが、これは、特に、流体導通部が接触装置を完全には通過しない場合に当てはまる。例えば、流体導通部は、プラスチック管として、この管は、流体導通開口中に排出されるように、接触表面に対向して位置する接触装置の表面に永久的に接続される。
【0013】
さらに、コネクタの流体導通開口と、相補型コネクタの流体導通開口は、コネクタの結合装置が相補型コネクタの相補型結合装置と本質的に完全に係合すると、本質的に互いに反対方向に位置する。この場合に接触表面は、例えば、流体導通部が、周辺環境から流体密かつ滅菌状態で分離されるように、配設される。
【0014】
コネクタは、好ましくは、それはコネクタを相補型コネクタにロックするように設計されたロック装置をさらに含む。
ロック装置は、例えば、結合方向および/または別の方向、例えば結合方向に垂直な方向、および/または流体の通過流方向に平行な方向に、コネクタを相補型コネクタにロックするようにすることができる。
【0015】
特に好ましいのは、接触装置および/または結合装置および/またはロック装置を一体品とすることである。
さらに好ましくは、結合装置が結合開口を有し、また結合開口を介して相補型コネクタの相補型結合装置を受け入れるように結合装置を設計し、さらにロック装置が、少なくとも部分的に結合開口を閉止するように設計する。
【0016】
言い換えると、相補型コネクタの相補型結合装置は、結合方向に沿ってコネクタの結合装置と係合させることができ、これと関係して、相補型結合装置は、コネクタの結合装置における結合開口を介して通過させることができる。コネクタの結合装置の結合開口は、例えば、結合装置において、丸形または長方形の開口とすることができる。しかしながら、結合開口は、結合装置のおける切込み(cut-out)凹部とすることもできる。ロック装置は、好ましくは、結合開口をロック装置によって閉止できるように、配設される。
【0017】
ロック装置は、好ましくは、結合方向に関して本質的に垂直方向に、変位が可能なように配設される。
例えば、ロック装置は、流体導通部に平行に変位可能に配設することもできる。
【0018】
結合装置を相補型結合装置と係合させるために、ロック装置は、好ましくは、結合方向と垂直方向に結合開口からある距離をおいて配置しなくてはならない。結合装置と相補型結合装置が、本質的に完全に係合した場合には、ロック装置は、結合方向に対して垂直に変位することが可能であり、この結果として、結合開口は、少なくとも部分的に閉止されて、結合装置は、相補型結合装置から解除できなくなる。
【0019】
言い換えると、ロック装置は、好ましくは、相補型コネクタが本質的に結合方向に関して固定できるように設計される。
本発明の意味において、「結合方向に固定できる」という表現は、例えば、通常操作力が存在するときに、結合方向においてコネクタに対する相補型コネクタの動きが完全に抑制されていることを表わすものと理解される。
【0020】
特に好ましくは、ロック装置はネジロック装置である。
このロック装置は、例えば、流体導通部に沿って変位が可能であり、同時に流体導通部に沿って回転可能に配設される。
さらに、結合装置は、好ましくは、コネクタおよび相補型コネクタが、本質的に結合方向に垂直な方向に関して固定できるように設計される。
【0021】
言い換えると、通常の操作力が存在するときに相補型結合装置に対する結合装置の動きが、結合方向に垂直の方向において本質的に完全に抑制されるように、結合装置および相補型結合装置は係合する。このことは、例えば、結合装置および相補型結合装置の表面および/または肩部が、互いに上下に配置され、かつ/または互いに係合し、これに関連して、肩部および/または表面が、コネクタおよび/または相補型コネクタの接触表面に本質的に平行に配設される。
【0022】
例えば、結合装置および相補型結合装置は、結合方向、すなわち接触表面に平行に配設された、レールシステムを有することができる。このレールは、互いに、係合可能であり、例えば、その結果として、結合方向に垂直な動きは本質的に不可能であるが、一方で、結合方向に平行な動きを行うことができる。
【0023】
さらに、結合装置は、好ましくは、コネクタおよび相補型コネクタが、結合方向に沿って、解除可能な方法で固定できるように設計される。
【0024】
言い換えると、結合状態において、すなわち結合装置と相補型結合装置が動いて完全に係合したときに、結合装置および相補型結合装置は、結合方向に事前設定可能な最大力までの力を加えられたときに、本質的に動くことができない。それでも操作力に対応する所定の最大力を超える場合には、結合装置は、結合方向と反対方向に相補型結合装置から解除すること、すなわちコネクタおよび相補型コネクタを互いに解除することができる。このことは、もちろん、コネクタおよび相補型コネクタが、ロック装置によってロックされていない場合にだけ可能である。
【0025】
コネクタは、好ましくは、流体密にコンテナに接続可能である。この場合のコネクタは、コンテナに直接的に接続可能である。言い換えると、コネクタの流体導通部は、好ましくは滅菌状態でコンテナに直接接続される。この場合のコネクタは、結合装置によって相補型コネクタに接続可能、すなわち、流体導通部における開口が、好ましくは滅菌状態で相補型コネクタの流体導通部に接続される。
【0026】
流体導通部におけるさらなる開口が、好ましくは滅菌状態でコネクタに接続される。コンテナとコネクタの間の接続は、ホースによって実現することもできる。コネクタは、解除可能にコンテナ上に配設することができ、例えば、さらに/またはそれに接続することができる。
【0027】
結果的に、流体はコンテナから、必要であればホースによって、コネクタおよび相補型コネクタを通過して、例えば、相補型コネクタに接続されたコンテナ中に移送することができる。しかしながら、相補型コンテナは、好ましくはホースまたはホースシステムによって、生物、例えば哺乳類、特に人間の血液循環系に接続することもできる。
【0028】
特に、コネクタおよび/または相補型コネクタを通過する流れの方向は、反対の方向にも行うことができ、すなわち、この順序で、例えばコンテナから開始して、相補型コネクタを通過し、コネクタを通過して、次いでコネクタに接続されたコンテナ中に入る。言い換えると、コネクタに接続されたコンテナを、コネクタからの流体流によって満たし、さらに/または空にすることができる。
【0029】
このコンテナは、好ましくは、バイオリアクタ、バッグまたはフィルタボディ、および特に好ましくは、フィルタカプセルである。さらに好ましいコネクタとコンテナとの接続は、滅菌状態にすることである。
本発明の別の特徴によれば、コネクタの流体供給部を相補型コネクタの流体排出部に流体密に接続するためのコネクタシステムであって、コネクタおよび相補型コネクタのそれぞれが本発明によって具現化される、コネクタシステムが提案される。
【0030】
本発明のさらに別の特徴は、コネクタの流体供給部を相補型コネクタの流体排出部に滅菌接続するための、コネクタと相補型コネクタの使用であって、
本発明によるコネクタおよび本発明による相補型コネクタを準備するステップ、
接続装置の接触表面同士が互いに流体密に接触するように、結合装置を相補型結合装置と結合方向に結合させるステップ、および
滅菌カバーを取り外すステップを含む、前記使用である。
【0031】
例えば、コネクタおよび相補型コネクタを結合方向に垂直の方向に引き寄せて、接触表面同士、すなわち、コネクタの接触装置の接触表面と、相補型コネクタの相補型接触装置の接触表面とを、互いに少なくとも部分的に接触させることができる。結合装置同士は、コネクタおよび相補型コネクタを結合方向に沿って変位させることによって係合させられ、このとき、接触表面は、好ましくは接触したままとなる。
【0032】
さらに、結合装置および相補型結合装置は、好ましくは、結合装置および相補型結合装置が係合されるとき、および/または本質的に完全に係合しているときに、接触表面同士が、所与の力で互いに押し合うか、または押し付けられるように、具現化される。特に好ましくは、接触表面同士が、本質的に完全に相互に接触する。特に、接触表面同士の間、および結果としてコネクタと相補型コネクタの間で流体密接触が成立する。
【0033】
これと関係して、2つの接触表面間にまだ存在する滅菌カバーを引き出すことができ、これと関連して、滅菌カバーは、好ましくは本質的に結合方向と平行に伸びる方向に取り外される。例えば、相補型結合装置が、結合手順に関連してコネクタの結合装置と共に、結合装置内の結合開口を通過させられる場合には、滅菌カバーは、好ましくは結合開口を介して取り外される。
【0034】
滅菌カバーを除去した後に、コネクタは、ロック装置および相補型ロック装置によって相補型コネクタにロックされる。コネクタを相補型コネクタにロックすると、結合装置および相補型結合装置が結合解除されるのが防止される。さらに、コネクタの相補型コネクタへの接続が安定化され、その結果として、この接続は非常に大きな力に耐えることができ、これに関連して、この接続は引き続いて流体密となり、流体は環境影響から保護されたままとなる。
本発明を、好ましい態様の添付の図面を参照して、例を挙げて以下に説明する。
【0035】
図1は、好ましいコネクタ10を具備するコネクタシステム、およびそれに対する相補型コネクタ12の好ましい態様を示す。コネクタ10は、接触表面16を有する接触装置14を含む。接触装置14は、さらに、流体導通開口18を含み、それに関連して、好ましい流体導通部としての管20が、流体導通開口18に排出する。
【0036】
図1には、結合装置22も示されている。図1に示すコネクタ10の好ましい態様においては、接触装置14、管20、および結合装置22は一体品として製造される。さらに、コネクタ10は、好ましいロック装置として、ナット24を含む。ナット24は、管20に対して変位可能に配設されている。特に、ナット24は、管20の軸方向26に沿って変位することができるように配設されている。さらに、ナット24は、管20の軸方向26のまわりで方向を変えるか、または回転させることができる。さらに、接触装置14の接触表面16は、軸方向26に本質的に垂直に配置される。
【0037】
また、相補型コネクタ12が、図1において模式的に表わされている。相補型コネクタ12は、好ましい流体導通部としての管28と、相補型接触装置30を含む。相補型接触装置30は、相補型接触表面32も有する。さらに、相補型コネクタ12の相補型結合装置34が図1に示されている。管28、相補型接触装置30、相補型接触表面32および相補型結合装置34は、好ましくは一体品として製造される。さらに、スレッド(thread)36が、図1に好ましいロック装置として表わされている。
【0038】
特に好ましくは、管28、相補型接触装置30、相補型接触表面32、相補型結合装置34およびスレッド36は、一体品として製造される。しかしながら、相補型コネクタ12の、管28、相補型接触装置30、相補型接触表面32、相補型結合装置34およびスレッド36を一体品に製造することは必須ではない。反対に、個々の構成要素部品は、また、互いに別個に製造することもでき、例えば、接着、ネジ止め、またはその他の方法で互いに接続することもできる。
【0039】
同じことがコネクタ10にも当てはまる。さらに、相補型コネクタ12の管28の軸方向38が、図1に表わされている。相補型接触表面32は、好ましくは、管28の軸方向38に本質的に垂直な角度で配設される。代替的に、相補型接触表面32は、管20の軸方向38に対して90°以外の角度で配置することもできる。同様に、コネクタ10の接触表面16も、管20の軸方向26に対して90°以外の角度で配置することもできる。
【0040】
例えば、相補型接触表面32と軸方向38の両方を、約45°の角度で配置することができる。コネクタ10の接触表面16および軸方向26は、約45°の角度で配置することもできる。コネクタ10および相補型コネクタ12が互いに接続されている場合には、管20、28は、例えば、本質的に約90°の角度で配置することができる。管20、28は、互いにオフセットされていながら、互いに平行に配置することもできる。
【0041】
結合方向40がさらに、図1に示されている。結合方向40は、好ましくは、軸方向26および軸方向38に対して本質的に垂直である。相補型コネクタ12は、例えば結合方向40に沿って、コネクタ10に向かって動かすことができ、これと関連して、相補型接触表面32および接触表面16が好ましくは、互いに接触する。結合装置22および相補型結合装置34が係合すると、接触表面16および相補型接触表面32は、本質的に互いに重なることになる。
【0042】
接触表面16および相補型接触表面32は、好ましくは、本質的に正係合で互いに重なり、これと関連して、管20、28は、同様に正係合で互いに隣接する。接触装置14および相補型接触装置30が本質的に完全に係合している場合には、相補型接触装置30上のフック42が、接触装置14にある開口44を通過し、これと関連して、各フック42上の突起46が、それぞれの場合に、各開口44上の肩部48の後ろに係合する。
【0043】
各フック42は、好ましくは、その原形回復の可能なアーム50上に配置される。相補型結合装置34が結合装置22と係合された場合には、その原形回復の可能なアーム50のそれぞれは、好ましくは、突起46が結合方向40で肩部48の背後に来るまで、結合方向40に垂直に撓む。原形を回復するというアーム50の能力のせいで、原形回復の可能なアーム50は、本質的にその元の位置に戻り、その結果として、突起46が肩部48の背後に係合する。
【0044】
相補型結合装置34は、相応して結合装置22に固定され、すなわち、結合方向40に反対の相補型結合装置34の動きは、通常の動作においては不可能である。通常動作状態よりも大きい力が、結合方向40に反して相補型コネクタ12にかけられる場合にのみ、相補型コネクタ12をコネクタ10から外すことができる。
【0045】
コネクタ10および相補型コネクタ12は、例えば、非常に小さい力でも、コネクタ10と相補型コネクタ12を互いに引き離すのに十分であるように、互いに結合することができる。コネクタ10および相補型コネクタ12は、例えば、ナット24とスレッド36によるロックを簡単にするために、互いに簡単に結合される。
【0046】
代替的に、例えば、1つのフック42と1つの開口44だけを設けて、これと関係して、このフック42と開口44を、相補型コネクタ12および/またはコネクタ10上で、本質的に結合方向40に沿って配置されるように、配設することもできる。さらに、コネクタ10および相補型コネクタ12を、その他の装置を用いて互いに固定することもできる。特に、コネクタ10および相補型コネクタ12を同じ構造的形状にすることができる。
【0047】
特に、相補型結合装置34は、結合装置22用の結合開口52を介して結合方向40に沿って、結合装置22と係合させられる。結合装置22および相補型結合装置34が互いに固定されるとすぐに、ナット24を管20の軸方向26に沿って動かして、ナット24をスレッド36上にねじ込むことができる。ネジ止め結合のせいで、結合装置22に対する結合方向40と反対方向には、相補型結合装置34を動かすことはできなくなる。
【0048】
この結果として、相補型コネクタ12に対してコネクタ10を軸方向26、38に沿って動かすことはできなくなり、その理由は、結合装置22と相補型結合装置34によるものと、ナット22がスレッド36上にネジ止め接続されることによるものの両方である。結合開口52はナット24の側壁54によって少なくとも部分的に閉止されるので、結合方向40に沿って、すなわち結合方向40およびその反対方向に、相補型コネクタ12に対してコネクタ10を動かすこともできない。
【0049】
ナット24とスレッド36の代わりに、コネクタ10と相補型コネクタ12を、スナップ・インファスナー(snap-in fastener)および/またはフック・アンド・アイファスナー(hook-and-eye fastener)、あるいは例えば、結合装置22を相補型結合装置34に固定するのに使用される種類の、その他の従来式のファスナーによってロックすることも可能であり、この結果として、結合方向40および/または軸方向26、38に沿ってのコネクタ10と相補型コネクタ12の相対的動きが防止される。
【0050】
図1に示すコネクタ10は、例えば、流体の通過流方向において、相補型コネクタ12の下流に位置している。したがって、相補型コネクタ12の流体導通開口56は、相補型コネクタ12の流体排出部に対応する。コネクタ10の流体導通開口18は、コネクタ10の流体供給部に対応する。代替的に、流体の通過流方向を変えることができ、かつ/またはコネクタ10を相補型コネクタ12と置き換えることもできる。
【0051】
図2は、相補型コネクタ12の上方からの図である。図2からわかるように、相補型接触表面32は、流体導通開口56を有し、これと関連して、相補型コネクタ12の管28が、流体導通開口56に排出する。やはり図2には、それぞれの末端がフック42となっている、原形を回復することのできる2つのアーム50と共に、相補型コネクタ12をコネクタ10にロックするために、コネクタ10のナット24と共にネジ止めすることができるスレッド36が示されている。
【0052】
図3は、相補型コネクタ12の概略側面図を示す。特に、図3は相補型コネクタ12の側面を示し、この側面上には、原形回復の可能なアーム50のフック42が配設されている。また図3には、相補型結合装置34の肩部58が示されている。肩部58は、好ましくは、相補型接触表面32の反対側に位置する。例えば、肩部58は、相補型接触表面32に平行に配設することができる。
【0053】
さらに、スレッド36が図3に示されている。図3からわかるように、スレッド36は、コネクタ10と相補型コネクタ12が、例えば、ナット24の1/4回転によって互いにロックできるように、設計される。スレッド36は、多数のらせん(windings)を有し、例えば、その結果として、1回転または2回転以上でナット24をスレッド36上にねじ込むことができるようにすることができる。さらに、図3は補強リング60を示し、この補強リングは、好ましくはスレッド36を備える単一部品として製造されて、相補型コネクタ12上に配設される。補強リング60は、例えば、スレッド36の強化と安定化の目的に役立つ。さらに、相補型コネクタ12はまた、例えば、補強リング60によって把持および保持することもできる。
【0054】
図4は、コネクタ10の接触表面18に平行に延びる面に沿った、コネクタ10の断面図である。接触表面16が、図4に示されている。さらに、図4は流体導通開口18および管20を示し、この管は、流体導通部18に排出する。さらに、接触表面16における切込み凹部62が図4に示されている。切込み凹部62は、例えば、シール手段(図示せず)、例えばOリングまたはシリコンシールを受け入れる目的を果たす。この種のシール手段は、例えば、それが接触表面16の上方に突出するようにして、具現化することができる。
【0055】
同様に、相補型コネクタ12の相補型接触表面32は、例えば、対応するシール手段のための対応する切込み凹部を有することができる(図2を参照)。コネクタ10と相補型コネクタ12が互いに結合されると、好ましくは、対応するシール手段が、流体密接触し、その結果として、流体は、流体導通開口18、56から、接触表面16および/または相補型接触表面32上へと横方向に漏出することはできない。これによって、コネクタ10および相補型コネクタ12を通過する流体が外部環境影響によって汚染されるのが防止され、例えば、汚染物が管20、28に浸入するのが防止される。
【0056】
さらに、図4に結合開口52が示されている。コネクタ10が、相補型コネクタ12に接続および/または固定される場合、すなわち結合装置22が相補型結合装置34と係合される場合に、相補型結合装置34は、結合開口52を通過することになる。さらに、相補型結合装置34と結合装置22を互いに結合する場合に、相補型結合装置34のフック42は開口44を通過することになり、これに関連して、それらが互いに結合されている状態では、その原形を回復することのできる、相補型結合装置34のアーム50の突起46が、肩部48の背後に係合する。
【0057】
結果的に、結合装置22および相補型結合装置34が完全に係合していない場合、すなわち、原形回復の可能なアーム50の突起46が肩部48の背後に係合していない場合には、相補型結合装置34、したがって相補型コネクタ12も、結合装置22および/またはコネクタ10から容易に離脱させることができる。一方、結合装置22および相補型結合装置34が完全に係合している場合には、相補型結合装置34が結合装置22に固定される。結果的に、相補型コネクタ12は、コネクタ10にも固定される。
【0058】
言い換えると、コネクタ10および相補型コネクタ12は、通常の作動力によっては、結合方向と反対に互いに動かすことはできない。しかしながら、コネクタ10が固定して保持された状態で、通常の動作力を超える力が結合方向40と反対にかかると、コネクタ10と相補型コネクタ12とを互いに離脱させることができ、これと関連して、相補型結合装置34は、結合装置22の結合開口52を再び通過する。相補型コネクタ12が固定して保持された状態で、そのような力がコネクタ10に作用する場合にも同じことがあてはまる。
【0059】
さらに、滅菌カバー64は、好ましくは、いずれの場合でも接触表面16上および相補型接触表面32上に配置される。滅菌カバー64は、例えばフィルムとすることができる。特に、接触表面16および流体導通開口18は、滅菌状態である。管20も滅菌状態である。
【0060】
図5は、管20の軸方向26を含む、結合方向40に垂直の面に沿った、コネクタ10の断面図を示す。図5には、切込み凹部62が示されており、この場合には、流体密シールのためのシール手段66が、相補型コネクタ12の対応するシール手段と共に配設されている。さらに、図5に結合開口52が示されている。図5からわかるように、結合開口52は、閉じた外周を示さない。逆に、結合開口52は、接触表面16の反対に位置する側の、2つの肩部68だけによって境界を定められている。相補型結合装置34が、結合開口52を介して結合装置22と結合方向40に係合されると、相補型結合装置34の肩部58と結合装置22の肩部68は、互いに接触することになる。
【0061】
特に、肩部68は、相補型結合装置34が好ましくは結合開口52に正確に嵌め込まれるように、接触表面16からある距離だけ離されている。結合装置22および相補型結合装置34が係合するや否や、相補型コネクタ12に対するコネクタ10の動きはすべて、肩部68、58の相互ロックによって制限または防止される。肩部58は、特に、切込み凹部62内および相補型コネクタ12における対応する切込み凹部内に配設されている弾性シール手段66のせいで、肩部68に対して押し付けることができる。
【0062】
これは、特に、弾性シール手段66が、管20の軸方向26において、接触表面16の上方に突出する場合に、あてはまる。例えば、接触表面16から肩部68の距離、および相補型結合装置34の寸法のせいで、シール手段66を軸方向26と反対に圧縮することが可能であり、その結果として、接触表面16と相補型接触表面32は、全表面にわたって互いに接触する。管20および管28は、好ましくは、シール手段66のせいで、外部に対して流体密にシールされる。接触表面16と相補型接触表面32との間が本質的に全体接触している場合には、例えば、シール手段を使用する必要がある。
【0063】
さらに、滅菌フォイルまたは同様の好ましい弾性材料を、例えば、接触表面16の面積の少なくとも一部に、好ましい滅菌カバー64として、貼り付けることができる。滅菌カバー64は、少なくとも流体導通開口18およびシール手段66の上に、特に配設される。同様に、対応する滅菌カバー64は、相補型コネクタ12の相補型接触表面32上にも配置される。動作状態において、コネクタは、結合装置22の反対側の、管20の一端に、例えばホース(ここでは図示せず)で接続されている。
【0064】
コネクタの内部は、環境影響に対して滅菌状態で保護されている。例えば、相補型コネクタ12にも同じことが当てはまる。コネクタ10と相補型コネクタ12が互いに結合されている場合には、コネクタ10の滅菌カバー64と相補型コネクタ12の滅菌カバー(図示せず)は、接触表面16と相補型接触表面32の間(および/または対応するシール手段66の間)に存在する。
【0065】
コネクタ10および相補型コネクタ12が、互いに完全に結合された状態にある場合、すなわち結合装置22が相補型結合装置34と完全に係合状態になっている場合には、滅菌カバー64は、例えば、結合開口52を介してコネクタ10からと相補型コネクタ12からの両方から、結合方向40と反対方向に、突出することになる。滅菌カバー64は、コネクタ10と相補型コネクタ12との間で、結合方向40と反対方向に引き出すことができる。
【0066】
滅菌カバー64が取り除かれるや否や、接触表面16および相補型接触表面32(および/または対応するシール手段)が接触し、これと関連して、接触が滅菌状態となる。結果的に、コネクタ10の管20は、相補型コネクタ12の管28に滅菌状態で接続され、これと関連して、特に2つの管20、28の周辺環境に対する、および/または環境影響に対する流体密閉止が生成され、この流体密閉止は滅菌状態となる。
【0067】
コネクタ10を相補型コネクタ12に結合する以前、最中、および以後には、流体導通開口18、56、および管20、28の内部表面は、このように滅菌状態であり、外部環境影響による汚染に対して保護されており、これと関連して、滅菌カバー64の外部領域および接触表面16、32のカバーなしの領域を滅菌状態にする必要はない。
【0068】
結合状態において、結合方向40と反対への離脱は、好ましくは、通常の動作力において、フック42と肩部48との係合によって防止される。同様にコネクタ10は、肩部58、68のせいで、軸方向26、38に沿って、またはその反対に相補型コネクタ12に対して動かすことはできない。完全に結合された状態において、コネクタ10および相補型コネクタ12は、結果的に管20、28の間で流体導通開口18、56を介して流体交換が可能なように接続される。
【0069】
しかしながら、外部環境影響による汚染、および/または周辺環境との流体交換は不可能である。コネクタ10と相補型コネクタ12との間の接続は、ナット24とスレッド36のせいで、さらに安定化し、これに関連して、結合方向40と反対方向への離脱は正常動作力を超える力の作用時を含めて、特に、ナット24の側壁54のせいで本質的に不可能である。
【0070】
本発明のコネクタ10および/または本発明の相補型コネクタ12は、上述の構成に限定されるものではない。反対に、コネクタ10および相補型コネクタ12は、好ましくは同一のものとすることができる。例えば、コネクタ10の結合装置22は、単一開口44のみを有することができる。フック42をその上に備えた原形回復の可能なアーム50を、相補型コネクタ12が有するように、例えば、第2の開口44の代わりに、設けることができる。対応する方法で、相補型コネクタ12は、原形回復の可能なアーム50と、その上に配置されたフック42の代わりに、突起46を備える開口44を有することができる。さらに、滅菌カバー64は、接触表面16の全体を覆うことができる。しかしながら、滅菌カバー64は、接触表面16の領域の一部だけを覆うこともできる。
【0071】
さらに、ナット24とスレッド36を、その他のロック装置で置き換えることもできる。例えば、好ましくは簡単な方法で片手で操作することのできるスナップ・インファスナーまたはクランプファスナーを、ネジ止めファスナーの代わりに設けることができる。例えば、ロック装置は、変位だけを可能にするのが適当である場合があり、これに関連して、ロック装置は、例えば、コネクタ10上に配置されて、相補型コネクタ12の相補型対応部分によってロックされるのではなく、結合開口56を少なくとも部分的に閉止する。
【0072】
さらに、スレッド36を、管28の軸方向38に沿って変位可能に配置すること、および/またはネジ24を、管20の軸方向26に沿って変位可能に配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】好ましいコネクタシステムの概略斜視図である。
【図2】好ましいコネクタの上方からの図である。
【図3】図2に示すコネクタの概略図である。
【図4】さらに別の好ましいコネクタの断面図である。
【図5】図4に示すコネクタのさらに別の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 コネクタ
12 相補型コネクタ
14 接触装置
16 接触表面
18 流体導通開口
20 管
22 結合装置
24 ナット
26 軸方向
28 管
30 相補型接触装置
32 相補型接触表面
34 相補型結合装置
36 スレッド
38 軸方向
40 結合方向
42 フック
44 開口
46 突起
48 肩部
50 原形回復の可能なアーム
52 結合開口
54 側壁
56 流体導通開口
58 肩部
60 補強リング
62 切込み凹部
64 滅菌カバー
66 シール手段
68 肩部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体導通部(20);
本質的に平面状の接触表面(16)と、流体を導通させるように設計された、接触表面(16)を貫通する流体導通開口(18)とを有する接触装置(14);
前記接触表面(16)および/または前記接触表面と対面する前記流体導通部(20)の端部を、少なくも部分的に滅菌状態で覆うように設計された滅菌カバー(64);および
前記接触表面(16)と本質的に平行な結合方向(40)に沿って、相補型コネクタ(12)の相補型結合装置(34)と係合するように設計された結合装置(22)を備える、コネクタ(10)。
【請求項2】
コネクタ(10)を相補型コネクタ(12)にロックするように設計された、ロック装置(24)を有する、請求項1に記載のコネクタ(10)。
【請求項3】
結合装置(22)が結合開口(52)を有するとともに、該結合装置(22)は、前記結合開口(52)を介して、相補型コネクタ(12)の相補型結合装置(34)を受け入れるようにさらに設計されており、
ロック装置(24)は、少なくとも部分的に前記結合開口(52)を閉止するように設計されている、請求項1または2に記載のコネクタ(10)。
【請求項4】
ロック装置(24)が、本質的に結合方向(40)と垂直にすべり変位ができるように配設されている、請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項5】
ロック装置(24)が、相補型コネクタ(12)を、本質的に結合方向(40)に関して固定できるように構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項6】
ロック装置(24)がネジロック装置である、請求項1〜5のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項7】
結合装置(22)が、コネクタ(10)と相補型コネクタ(12)を本質的に結合方向(40)と垂直の方向(26、38)に関して固定できるように、構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項8】
結合装置(22)が、コネクタ(10)と相補型コネクタ(12)とを、結合方向(40)に沿って開放可能に固定できるように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項9】
コネクタ(10)が、コンテナに流体密状態で接続可能である、請求項1〜8のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項10】
コネクタ(10)の流体供給部を、相補型コネクタ(12)の流体排出部に流体密に接続するためのコネクタシステムであって、前記コネクタ(10)および前記相補型コネクタ(12)が、それぞれ請求項1〜9のいずれかに従って構成されている、前記コネクタシステム。
【請求項11】
コネクタ(10)の流体供給部を、相補型コネクタ(12)の流体排出部に滅菌接続するための、前記コネクタ(10)および前記相補型コネクタ(12)の使用であって、
それぞれ請求項1〜8のいずれかに記載の、コネクタ(10)および相補型コネクタ(12)を準備するステップ;
接触装置(14、30)の接触表面(16、32)が互いに流体密に接触するように、結合装置(22)を相補型結合装置(34)と結合方向(40)に結合するステップ;および
滅菌カバー(64)を取り外すステップを含む、前記使用。
【請求項12】
ロック装置(24)および相補型ロック装置(36)によって、コネクタ(10)を相補型コネクタ(12)にロックするステップをさらに含む、請求項11に記載の、コネクタ(10)の流体供給部を相補型コネクタ(12)の流体排出部に滅菌接続するための、前記コネクタ(10)および前記相補型コネクタ(12)の使用。
【請求項13】
滅菌カバー(64)が、本質的に結合方向(40)と平行な方向に取り外される、請求項11または12に記載の、コネクタ(10)の流体供給部を相補型コネクタ(12)の流体排出部に滅菌接続するための、前記コネクタ(10)および前記相補型コネクタ(12)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−512461(P2009−512461A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509339(P2008−509339)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003958
【国際公開番号】WO2006/117138
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507266912)ザトーリウス ステディム ビオテーク ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】