説明

コネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具

【課題】回路基板と接続対象物の回路基板と平行な平面内における相対移動を許容しつつ、高い接触信頼性を得ることが可能で、かつ、コンタクトを確実に保護できるコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具を提供する。
【解決手段】プラグコネクタ15が、回路基板CBの表面に実装する実装部17と、一対の接触部19と、一対の該接触部どうしの間隔より広幅の抜止部20と、を有するプラグコンタクト15を備え、リセプタクルコネクタ25が、二つの接触部に対して接触する二対の接触片31、二つの弾性接続部29、及び、連結部35、を有するリセプタクルコンタクト27と、リセプタクルコンタクト及びプラグコンタクトの周囲を囲む囲堯壁41、42、及び、囲堯壁の端部を塞ぐ閉塞部43と、を有し、リセプタクルコンタクトを支持するリセプタクルインシュレータ39と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板どうしを相対移動可能として接続するコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
直管型のLED照明器具は一般的に、直線的に延びる円筒状のガラスや樹脂(ポリカーボネート等)によって構成した透光管と、該透光管の内部に同一平面上に位置しかつ透光管の長手方向に並ぶように配設した、一方の面(下面)側にLEDが固定された平板状をなす多数の回路基板と、隣り合う回路基板どうしを接続する複数のコネクタと、を具備している。
各回路基板を透光管に対して取り付けたときに、隣り合う回路基板どうしが設計位置から上記長手方向にずれたり、或いは透光管の幅方向(長手方向に対して直交する方向)に位置ずれすることがある。さらに回路基板の反りや取り付け時のばらつきにより、隣り合う回路基板どうしが回路基板の厚み方向にずれることがある。そのため上記コネクタには、これらの位置ずれを吸収する機能が要求される。
【0003】
特許文献1はこのような位置ずれ吸収機能を有するコネクタを開示している。
このコネクタは各回路基板の一方の面に固定した複数のリセプタクルコネクタ(基板用コネクタ)と、隣り合う回路基板に固定された2つのリセプタクル同士を接続する複数のプラグコネクタ(連結用コネクタ)と、を有している。
リセプタクルコネクタは、一方の面側(回路基板と反対側)に開口部を有するリセプタクルインシュレータ(ハウジング)と、リセプタクルインシュレータの内部に上記開口部と対向する状態で収納され、回路基板の回路と電気的に接続する複数のリセプタクルコンタクト(端子)と、を備えている。各リセプタクルコンタクトは、互いに離間した状態で対向する一対の弾性片を有している。
プラグコネクタは、プラグインシュレータ(ハウジング)と、プラグインシュレータの内部に支持した、複数のプラグコンタクト(連結端子)と、プラグインシュレータの表面を覆う絶縁板と、を備えている。プラグインシュレータは、一対の支持部材と、一対の支持部材を接続する弾性変形可能な接合部と、を具備している。各支持部材には、支持部材をその厚み方向に貫通する複数の支持孔が形成してある。各プラグコンタクトは、直線的な角柱形状の連結部と、連結部の両端部から連結部に対して直交する方向に突出する一対の脚部と、を具備している。各プラグコンタクトは、一対の脚部を一方の支持部材の支持孔と他方の支持部材の支持孔に一方側から挿入し、各脚部の先端部を対応する支持孔から回路基板側に突出させてある。各脚部は対応する支持孔に対して自身の軸線回りに微小角度範囲内で回転可能であり、脚部が回転すると連結部が支持部材に対して相対回転する。
絶縁板は、脚部の先端と反対側から各支持部材に被せてあり、各脚部が対応する支持孔から抜け出すのを規制している。
【0004】
プラグコネクタの一対の支持部材を隣り合う2つの回路基板に固定した各リセプタクルコネクタにそれぞれ近づけて、各プラグコンタクトの脚部をリセプタクルインシュレータの上記開口部に挿入すると、各脚部が対応するリセプタクルコンタクトの一対の弾性片の間に進入し、該一対の弾性片によって弾性的に挟持される。その結果、隣り合う2つの回路基板どうしがプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトを介して互いに電気的に導通する。従って、特許文献1のコネクタを上記のようなLED照明器具に適用すれば、各回路基板に電流が流れて各LEDが発光する。
さらに、隣り合う回路基板どうしが設計位置に対してLED照明器具の長手方向にずれた場合は、各プラグコンタクトの少なくとも一方の脚部が対応するリセプタクルコンタクト(一対の弾性片)に対して長手方向にスライドし、さらに接合部が弾性変形して一対の支持部材どうしの距離を変化させることにより、当該位置ずれを吸収する。
また隣り合う回路基板どうしが設計位置に対して透光管の幅方向にずれた場合は、各プラグコンタクトの少なくとも一方の脚部が対応する支持孔に対して相対回転し(連結部が支持部材に対して相対回転し)、さらに接合部が弾性変形して一対の支持部材どうしを該幅方向に相対スライドさせることにより、当該位置ずれを吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−33953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコネクタでは、隣り合う回路基板どうしが設計位置に対して透光管の幅方向にずれることにより、各プラグコンタクトの脚部が対応する支持孔に対して相対回転すると、脚部と支持孔の接触部から連結部までの距離が離れているため特に脚部と連結部の接合部に捻り力(回転モーメント)が生じ、この捻り力が両端の接合部から連結部に伝わる。
しかし連結部(及び脚部)は実質的に弾性変形不能な構造であるため、プラグコンタクトに長期間に渡って捻り力が掛かり続けると、脚部や連結部が変形したり破損するおそれがある。そのためプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトの接触信頼性が低下し易い。
【0007】
また特許文献1では、リセプタクルコネクタの各支持部材の表面を絶縁板で覆っているものの、一対の支持部材間の隙間においてプラグコンタクト(連結部)が露出してしまうので、嵌合作業時にプラグコンタクトが変形したり、プラグコンタクトに作業者の皮脂(手)が付着して腐食するおそれがある。さらに粉塵や金属片等の異物が付着し易く、導通時にスパークの原因になる虞もある。
【0008】
本発明の目的は、回路基板どうしの3次元的な相対移動を許容しつつ、高い接触信頼性を得ることが可能で、かつ、コンタクトを確実に保護できるコネクタ、及び、該コネクタを利用したLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタは、一平面上に位置する複数の回路基板の表面にそれぞれ固定するプラグコネクタと、隣り合う二つの上記回路基板に固定した二つの上記プラグコネクタと接続するリセプタクルコネクタと、を備えるコネクタにおいて、上記プラグコネクタが、上記回路基板の表面に実装する実装部と、該実装部を挟んで上記回路基板と反対側に位置し、かつ、上記回路基板と平行な平面で切断した断面形状が互いに反対側に向かって突出する凸曲線からなる一対の接触部と、該接触部を挟んで上記回路基板と反対側に位置し、かつ、一対の該接触部どうしの間隔より広幅の抜止部と、を有するプラグコンタクトを備え、上記リセプタクルコネクタが、互いに平行をなしながら直線的に延び、かつ外側から対をなす二つの上記接触部に対して接触する二対の接触片、対をなす該接触片どうしを接続し、対をなす該接触片の対向方向に弾性変形可能な二つの弾性接続部、及び、二つの該弾性接続部どうしを接続する連結部、を有するリセプタクルコンタクトと、上記リセプタクルコンタクト、及び、上記接触片と接続した上記プラグコンタクトの周囲を囲み、上記回路基板との対向面が開口する囲堯壁、及び、該囲堯壁の上記回路基板と反対側の端部を塞ぐ閉塞部と、を有し、かつ上記リセプタクルコンタクトを支持するリセプタクルインシュレータと、を備えることを特徴としている。
【0010】
上記プラグコンタクトが、上記抜止部を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ、該抜止部から該接触部と反対側に向かうにつれて互いに近づく二つの傾斜面を備えてもよい。
【0011】
上記プラグコンタクトが、互いに分離しかつ共に上記接触部を備える第一パーツ及び第二パーツと、該第一パーツと第二パーツを接続するパーツ接続部と、を備えてもよい。
【0012】
上記プラグコンタクトが、上記実装部と上記接触部の間に位置する部分に、該実装部と上記回路基板の間に施したはんだが上記接触部側に這い上がるのを防止するはんだ上がり防止部を形成してもよい。
【0013】
上記実装部の上記回路基板との対向面にはんだ逃げ用凹部を形成してもよい。
【0014】
上記囲堯壁の上記回路基板との対向端面に、該回路基板と非平行な傾斜端面を形成してもよい。
【0015】
上記囲堯壁の上記回路基板との対向端面に、隣接する二つの上記回路基板の隣接端部と該回路基板の厚み方向に対向する逃げ用凹部を形成してもよい。
【0016】
さらに本発明のLED照明器具は、上記コネクタ及び上記回路基板を複数具備し、上記回路基板にLEDを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、隣り合う回路基板どうしの間にリセプタクルコネクタの長手方向(一方の接触片対と他方の接触片対の離間方向)の位置ずれが生じた場合は、リセプタクルコンタクトの対をなす接触片がプラグコンタクトの対をなす接触部に対して当該長手方向に相対移動することにより、この位置ずれを吸収する。
また、隣り合う回路基板どうしの間にリセプタクルコネクタの幅方向(対をなす接触片の離間方向)の位置ずれが生じた場合は、プラグコンタクトの一対の接触部が対応する一対の接触片に対して相対回転することにより、この位置ずれを吸収する。
さらに隣り合う回路基板どうしの間に回路基板の厚み方向の位置ずれが生じた場合は、プラグコンタクト(接触部)が接触片に対して該厚み方向に相対移動することにより、この位置ずれを吸収する。
従って、隣り合う回路基板どうしがリセプタクルコネクタの長手方向、リセプタクルコネクタの幅方向、及び、回路基板の厚み方向のいずれの方向に位置ずれした場合、並びに、これらの各方向に複合的に位置ずれした場合においても、回路基板どうしを確実に導通させることが可能である。
【0018】
さらに隣り合う回路基板どうしの間にリセプタクルコネクタの幅方向の位置ずれが生じた場合は、プラグコンタクトの一対の接触部が対応する一対の接触片に対して相対回転するため、プラグコンタクトと接触しているリセプタクルコンタクトの接触片には力が掛かる。しかし接触片に掛かった力は弾性接続部が弾性変形することにより吸収されるため、リセプタクルコンタクトに回転モーメントが発生することがないので、この力は連結部には殆ど及ばない。そのため接触片に長期間に渡って力が掛かり続けたとしても、連結部が変形したり破損するおそれは殆どないので、連結部の変形や破損に起因して接触信頼性が低下するおそれは殆どない。
【0019】
また、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトが、(プラグインシュレータの)収納空間(囲堯壁と閉塞部によって囲まれた空間)に収納されるので、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトはその周囲全体が回路基板とプラグインシュレータによって保護される。よって、プラグコンタクトとリセプタクルコネクタの接続作業時だけでなく接続後においても、プラグコンタクトとリセプタクルコンタクトが破損するのを防止できる。さらに、接続後は電気的に導通する部分を覆う構造となるので、極めて良好な絶縁性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態のコネクタ及び直管型のLED照明器具を、一方のプラグインシュレータを回路基板から分離した状態で示す下方から見た斜視図である。
【図2】プラグコンタクトの下方から見た斜視図である。
【図3】プラグコンタクトの平面図である。
【図4】プラグコンタクトの正面図である。
【図5】プラグコンタクトの側面図である。
【図6】リセプタクルコネクタの上方から見た分解斜視図である。
【図7】リセプタクルコネクタの下方から見た分解斜視図である。
【図8】リセプタクルコネクタの上方から見た斜視図である。
【図9】リセプタクルコネクタの底面図である。
【図10】リセプタクルコネクタの側面図である。
【図11】図9のXI−XI矢線に沿う断面図である。
【図12】図10のXII−XII矢線に沿う断面図である。
【図13】図10のXIII−XIII矢線に沿う断面図である。
【図14】接続状態にあるリセプタクルコンタクトと2つのプラグコンタクトの上方から見た斜視図である。
【図15】隣り合う回路基板どうしが左右方向に位置ずれしたときのリセプタクルインシュレータを省略して示すコネクタ及び回路基板の底面図である。
【図16】隣り合う回路基板どうしが前後方向に位置ずれしたときのリセプタクルインシュレータを省略して示すコネクタ及び回路基板の底面図である。
【図17】隣り合う回路基板どうしが上下方向に位置ずれしたときのコネクタ及び回路基板の側面図である。
【図18】リセプタクルインシュレータを省略して示す図17と同様の側面図である。
【図19】第一の変形例のプラグコンタクトの平面図である。
【図20】第二の変形例のプラグコンタクトの下方から見た斜視図である。
【図21】同じくプラグコンタクトの側面図である。
【図22】同じくプラグコンタクトの平面図である。
【図23】第三の変形例のプラグコンタクトの平面図である。
【図24】第四の変形例のプラグコンタクトの平面図である。
【図25】第五の変形例のプラグコンタクトの下方から見た斜視図である。
【図26】同じくプラグコンタクトの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図18を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印方向を基準としている。
図1に示すLED照明器具100は、前後方向に直線的に延びる円筒状の透光管101と、前後方向に延びる一平面(水平面)上に並ぶようにして透光管101内に配設した多数の回路基板CBと、各回路基板CBの下面に形成した回路形成面に固定されたLEDユニット102と、隣り合う回路基板CBの対向縁部どうしを接続する多数のコネクタ10と、を具備している。LEDユニット102は、基板と、該基板と一体化したLED103と、を具備しており、該基板が各回路基板CBの下面に形成された回路(図示略)に接続(はんだ付け)されている。
【0022】
各コネクタ10は、隣り合う回路基板CBにそれぞれ固定される一対のプラグコンタクト15(プラグコネクタ)と、一対のプラグコンタクト15同士を接続するリセプタクルコネクタ25と、を具備している。
まずはプラグコンタクト15の詳しい構造について図2〜図5を参照しながら説明する。
プラグコンタクト15は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板を図示形状となるようにスタンピング成形したものである。プラグコンタクト15の表面にはニッケルめっきで下地を形成した後に錫めっきや金めっきを施している。なお、めっき処理した金属母材をスタンピング成形してプラグコンタクト15を構成してもよい。
プラグコンタクト15は、互いに左右対称をなす第一パーツ16A及び第一パーツ16Bと、第一パーツ16Aと第一パーツ16Bを接続するパーツ接続部22と、を具備している。第一パーツ16A及び第一パーツ16Bは、略水平な実装部17と、実装部17の内側端部から下方に向かって延びるはんだ上がり防止部18と、はんだ上がり防止部18の下端から下方に延びる接触部19と、接触部19の下端から下方に延びる抜止部20と、抜止部20の下端に接続する誘い込み面21(傾斜面)と、を有している。接触部19はいずれの上下位置においても曲率が一定の断面円弧形状である。はんだ上がり防止部18は実装部17から接触部19の間にかけての部位であり、その表面に形成された上記表層めっき(錫めっきや金めっき)を剥がすことにより、または選択的に表層めっき形成することにより上記ニッケルめっきを露出させた低濡れ性領域18Aとなっている。特に接触部19にはんだが上がらないようにすることが肝要であるため、少なくともはんだ上がり防止部18の外面に低濡れ性領域18Aを形成する必要がある。抜止部20の断面形状は、はんだ上がり防止部18及び接触部19より大径の円弧形状である。抜止部20の上部は下方に向かうにつれて徐々に拡径する傾斜部20Aであり、傾斜部20Aを除く部分はいずれの上下位置においても曲率が一定の一定径部20Bとなっている。パーツ接続部22の左右両端部は上方に向けて曲折してあり、パーツ接続部22の左右両端部は第一パーツ16Aの誘い込み面21と第一パーツ16Bの誘い込み面21にそれぞれ接続している。パーツ接続部22の下面には水平当接面23が形成してある。
【0023】
プラグコンタクト15は透光管101の外部において予め回路基板CBに実装する。
プラグコンタクト15を回路基板CBの回路形成面に実装するには、回路基板CBの回路形成面を上に向け、回路基板CBの上方に位置する吸引手段(図示略)によって(図2〜図5の状態とは上下を逆さにした)プラグコンタクト15の水平当接面23を吸着し、該吸引手段を移動させることによりプラグコンタクト15の一対の実装部17を回路基板CBの回路形成面に載せた後に、吸引手段をプラグコンタクト15の上方に退避させる。そして表面実装技術(SMT:Surface Mounting Technology)を利用して、プラグコンタクト15の一対の実装部17を回路形成面の回路にはんだ付け(固定)する。このとき該回路形成面と実装部17の間に施したはんだA(はんだフィレット。図4参照)の一部が実装部17から接触部19側に流れることがあるが、実装部17と接触部19の間にははんだ上がり防止部18(低濡れ性領域18A)が形成してあるので、はんだAが接触部19にまで到達することはない。
【0024】
続いてリセプタクルコネクタ25の詳しい構造について主に図6〜図10を参照しながら説明する。
リセプタクルコネクタ25は、リセプタクルコンタクト27とリセプタクルインシュレータ39と絶縁カバー60と、を具備している。
リセプタクルコンタクト27は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板を図示形状となるようにスタンピング成形したものであり、その表面にはニッケルめっきで下地を形成した後に錫めっきや金めっきを施している。なお、めっき処理した金属母材をスタンピング成形してリセプタクルコンタクト27を構成してもよい。
図示するようにリセプタクルコンタクト27は前後方向に直線的に延びる前後対称かつ左右対称な部材である。
リセプタクルコンタクト27の前部と後部には嵌合接続部28が形成してある。前後の嵌合接続部28は、断面U字形をなす前後一対の弾性接続部29と、対をなす前後の弾性接続部29の左右両端どうしを接続する左右一対の接触片31と、外側の弾性接続部29(前側の嵌合接続部28は前側の弾性接続部29、後側の弾性接続部29は後側の弾性接続部29)から上方に向かって突出する端部係止片34と、を有している。図示するように前後方向に直線的に延びる接触片31の断面形状は略「く」の字であり、対をなす左右の接触片31の対向部には左右方向に延びる接触突条32が形成してあり、接触突条32より上側の部分は傾斜案内部33を構成している。リセプタクルコンタクト27の長手方向の中央部は、前側の嵌合接続部28(の後方の弾性接続部29)と後側の嵌合接続部28(の前方の弾性接続部29)を連結する中間連結部35(連結部)となっている。中間連結部35は平板状の当接部36と、当接部36の左右両側縁部から上方に向かって突出する左右一対の中央係止片37と、を有している。中間連結部35の中央部(中央係止片37を形成した部分)の断面形状は弾性接続部29と同じ形状である。またリセプタクルコンタクト27が自由状態にあるとき、対をなす左右の接触片31の接触突条32どうしの左右間隔は、プラグコンタクト15のパーツ接続部22の左右長より長く、かつ、プラグコンタクト15の左右の抜止部20(傾斜部20A、一定径部20B)どうしの左右間隔、及び、左右の接触部19の左右間隔より短い。
【0025】
リセプタクルインシュレータ39は絶縁性の合成樹脂料を射出成形した一体成形物である。図示するようにリセプタクルインシュレータ39の内部は中空であり、リセプタクルインシュレータ39の上面全体が開口している。そしてリセプタクルインシュレータ39の内部空間全体が収納空間40となっている。
リセプタクルインシュレータ39は、前後方向に延びる左右一対の側壁41(囲堯壁)と、左右の側壁41の前後両端どうしを接続する前後一対の端部壁42(囲堯壁)と、側壁41及び端部壁42の下縁部によって囲まれた部分を閉塞する閉塞部43と、を備えている。
左右の側壁41の上端面の前後方向の中央部には逃げ用凹部45が凹設してある。さらに左右の側壁41の上端面の左右両側部は、上下方向に対して直交する水平面である水平面46と、水平面46より端部壁42側に位置する部分を構成する外側傾斜端面47(傾斜端面)と、水平面46より逃げ用凹部45側に位置する部分を構成する内側傾斜端面48(傾斜端面)と、を備えている。外側傾斜端面47は水平面46から端部壁42側に向かうにつれて下方に向かう傾斜面であり、内側傾斜端面48は水平面46から逃げ用凹部45側に向かうにつれて下方に向かう傾斜面である。
前後の端部壁42の内面の上部には端部係止爪50が突設してある。端部係止爪50の下面は水平面であり、端部係止爪50の上部には案内傾斜面51が形成してある。
左右の側壁41の内面の中央部の上端部には前後一対の中間連結部用係止爪53が突設してある。中間連結部用係止爪53の下面は水平面であり、中間連結部用係止爪53の上部には案内傾斜面54が形成してある。また左右の側壁41の内面の中央近傍部の上端部には前後一対の仕切壁55が突設してある。各仕切壁55の上端部と側壁41とに跨る部分にはカバー用係止爪56が突設してある。カバー用係止爪56の下面は水平面であり、カバー用係止爪56の上部には案内傾斜面57が形成してある。
絶縁カバー60は絶縁性の樹脂材料によって構成した板状の一体成形物である。絶縁カバー60の前後両端部には前方と後方に向かってそれぞれ延びる一対の係合片61が突設してあり、絶縁カバー60の左右両縁部の中央部には干渉防止用凹部62が凹設してある。
【0026】
リセプタクルコンタクト27、リセプタクルインシュレータ39、及び、絶縁カバー60を一体化してリセプタクルコネクタ25を組み立てるには、図6、図7に示すようにリセプタクルコンタクト27をリセプタクルインシュレータ39の直上に位置させた後に、リセプタクルコンタクト27全体を下方に移動させて収納空間40に挿入し、左側の嵌合接続部28を左側の端部壁42と仕切壁55の間に位置させ、右側の嵌合接続部28を右側の端部壁42と仕切壁55の間に位置させ、かつ、中間連結部35を各仕切壁55の間に位置させる。すると当接部36の下面、及び、各弾性接続部29の下面が収納空間40の底面(閉塞部43の上面)に面接触するので、リセプタクルコンタクト27のリセプタクルインシュレータ39に対する下方への相対移動が規制される。また前後の端部係止片34が、前後の端部係止爪50の案内傾斜面51に接触しながら内側(前側の端部係止片34は後側、後側の端部係止片34は前側)に弾性変形することにより端部係止爪50を下方に乗り越え、前後の端部係止片34の上端面が対応する端部係止爪50の下面より低い位置まで移動したときに、前後の端部係止片34が自身の弾性力によって自由状態に復帰し、端部係止片34の上端面が対応する端部係止爪50の下面と係合する(図11参照)。さらに左右の中央係止片37が、左右の中間連結部用係止爪53の案内傾斜面54に当接しながら側壁41を外側(左側の側壁41は左側、右側の側壁41は右側)に押し広げる(弾性変形させる)ことにより対応する中間連結部用係止爪53を下方に乗り越え、左右の中央係止片37の上端面が対応する中間連結部用係止爪53の下面より低い位置まで移動したときに、左右の側壁41が自身の弾性力によって自由状態に復帰し、中央係止片37の上端面が対応する中間連結部用係止爪53の下面と係合する(図11参照)。従って、リセプタクルコンタクト27のリセプタクルインシュレータ39に対する上方への相対移動が規制される。さらに前側の端部係止片34と前側の端部壁42の内面のクリアランス、及び、後側の端部係止片34と後側の端部壁42の内面のクリアランスは微小距離となるので(図11参照)、リセプタクルコンタクト27のリセプタクルインシュレータ39に対する前後方向の相対移動も実質的に規制される。その一方で、図12、図13に示すように、各弾性接続部29の左右両側部と各接触片31は左右の側壁41の内面から内側に離間するので、各弾性接続部29の左右両側部及び各接触片31は左右方向に弾性変形可能な状態となる。そのためリセプタクルコンタクト27はリセプタクルインシュレータ39によって内部応力が発生しない無負荷状態で支持される。
【0027】
次いで、図6、図7に示すようにリセプタクルインシュレータ39の直上に位置させた絶縁カバー60を下方に移動させて、左右の干渉防止用凹部62内に左右の中間連結部用係止爪53を位置させながら、絶縁カバー60全体を左右の側壁41と各仕切壁55によって囲まれた空間に挿入する。すると前後の係合片61が前後のカバー用係止爪56の案内傾斜面57に当接しながら弾性変形することにより対応する2つの仕切壁55をそれぞれ下方に乗り越え、前後の係合片61の上端面が対応するカバー用係止爪56の下面より低い位置まで移動したときに、前後の係合片61が自身の弾性力によって自由状態に復帰してカバー用係止爪56の下面の直下に位置する(図11参照)。このようにして絶縁カバー60をリセプタクルインシュレータ39に装着すると絶縁カバー60の左右両縁部が左右の中央係止片37の直上に位置するが、絶縁カバー60の左右両縁部の下面と左右の中央係止片37の上端面の間、又は(及び)、前後の係合片61の上面と各カバー用係止爪56の下面の間に微小クリアランスが形成される。そのため絶縁カバー60のリセプタクルインシュレータ39に対する上下への相対移動は実質的に規制される。また絶縁カバー60の上面は仕切壁55の上面から上方へ突出しない。
以上の要領によってリセプタクルコンタクト27、リセプタクルインシュレータ39、及び、絶縁カバー60を一体化することによりリセプタクルコネクタ25を組み立てることが出来る。
【0028】
続いて、コネクタ10(プラグコンタクト15、リセプタクルコネクタ25)を用いて各回路基板CBを互いに接続する要領について説明する。
まずは、前後方向に延びる薄板状をなし、かつ、表面に多数の雌ねじ孔が形成された固定板(図示略)の表面を上側に向けた上で、表面にLEDユニット102及びプラグコンタクト15が実装(固定)された多数の回路基板CBの裏面(LEDユニット102及びプラグコンタクト15と反対側の面)を下方に向けて、前後方向に並べた各回路基板CBの裏面を上記固定板の表面に載せる。なお、前端に位置する回路基板CBには後端部にのみ2つのプラグコンタクト15が固定してあり、後端に位置する回路基板CBには前端部にのみ2つのプラグコンタクト15が固定してあるが、その他の回路基板CBは前後両端部に計4つ(前端部と後端部に2つずつ)のプラグコンタクト15が固定してある。
続いて、回路基板CBに形成した貫通孔(図示略)に止めネジを挿入して、各止めネジのネジ溝を上記固定板の対応する雌ねじ孔に螺合して、各回路基板CBを固定板に固定する。
次いで、隣り合う回路基板CBの互いに対向する端部にそれぞれ固定された前後方向に対向する2つのプラグコンタクト15の直上に図示状態とは上下を逆さにしたリセプタクルコネクタ25を位置させ、リセプタクルコネクタ25を下方(回路基板CB側)に移動させる。すると図1、及び、図10〜図14に示すように、収納空間40の前部が前側のプラグコンタクト15に被さり、収納空間40の後部が後側のプラグコンタクト15に被さる。左右に対向する二つの傾斜案内部33の先端(接続作業時においては下端)どうしの左右間隔がパーツ接続部22の左右長より大きいので、このときパーツ接続部22が左右に対向する二つの傾斜案内部33の間に円滑に進入する。そして前側に位置する一対(左右)の接触片31及び後側に位置する一対(左右)の接触片31の接触突条32が、対応するプラグコンタクト15の左右の誘い込み面21にそれぞれ接触することにより、左側の接触片31及び各弾性接続部29の左側部が左側に僅かに弾性変形し、右側の接触片31及び各弾性接続部29の右側部が右側に僅かに弾性変形する。そして左右の接触突条32が抜止部20(傾斜部20A、一定径部20B)を下方に乗り越えると、左右の接触片31の弾性変形量が小さくなって各接触突条32が左右の接触部19に接触する。そして各接触突条32が接触部19に接触したときに、プラグコンタクト15とリセプタクルコネクタ25の接続作業を行っている作業者はクリック感を体感できる。
このようにしてリセプタクルコネクタ25を前後のプラグコンタクト15に接続すると、図10〜図13に示すようにプラグコンタクト15の大部分(実装部17の回路基板CB側の端部を除く部分)がリセプタクルインシュレータ39の収納空間40に完全に収納され、プラグコンタクト15及びリセプタクルコンタクト27の周囲全体が回路基板CBとリセプタクルインシュレータ39によって保護される。また側壁41及び端部壁42と回路基板CBの間に微小クリアランスが形成され、側面視において水平面46が回路基板CBと平行になる。さらに逃げ用凹部45が隣り合う回路基板CBの対向端部と、回路基板CBの厚み方向に対向する。
さらに対をなす前後の弾性接続部29の前後間隔がプラグコンタクト15の前後長より長いので、リセプタクルコンタクト27(リセプタクルコネクタ25)はプラグコンタクト15に対して前後方向にスライド自在となる。またプラグコンタクト15の左右の接触部19の断面形状が円弧形状であるため、プラグコンタクト15の接触部19を左右から挟持する一対(左右)の接触片31は当該プラグコンタクト15に対して(プラグコンタクト15の上下方向に延びる中心軸回りに)相対回転可能である。さらに図13に示すように、接触片31の先端(図13では上端)と実装部17の間には上下方向の隙間が存在し、かつ、傾斜部20Aと一定径部20Bの境界線(稜線)と接触片31の内面(の接触突条32より弾性接続部29側に位置する部分)との間にも上下方向の隙間が出来るので、リセプタクルコンタクト27(リセプタクルコネクタ25)はプラグコンタクト15に対して当該隙間の合計分だけ上下方向にスライド自在である。
さらに図13に示すように、対をなす左右の接触片31の接触突条32の左右間隔よりプラグコンタクト15の左右の抜止部20(傾斜部20A、一定径部20B)どうしの左右間隔の方が大きいので、リセプタクルコネクタ25を回路基板CBから離れる方向に意図的に移動させない限り、プラグコンタクト15とリセプタクルコンタクト27の接続状態が解除されることはない。
【0029】
このようにしてリセプタクルコネクタ25を2つのプラグコンタクト15に跨る状態で接続すると、リセプタクルコンタクト27の各接触片31(接触突条32)が前後のプラグコンタクト15と接触するので、隣り合う回路基板CBどうしが2つのプラグコンタクト15と一つのリセプタクルコンタクト27を介して互いに電気的に導通可能な状態となる。従って、一体化した上記固定板、複数の回路基板CB、及び、コネクタ10(プラグコンタクト15、リセプタクルコネクタ25)を上下逆さにした上で(図1に示す状態にした上で)透光管101の内部に挿入して、両端の回路基板CBの間に電流を流せば、各回路基板CBに設けたLED103が発光し、透光101から下方に向かって照射される。
【0030】
また上記固定板の各雌ねじ孔や回路基板CBの貫通孔の形成位置が設計位置から左右方向や前後方向にずれていたり、或いは固定板の表面が平坦でない場合は、図16〜図18に示すように隣り合う回路基板CBどうしが互いに左右方向や前後方向や上下方向に位置ずれを起こす。
しかし隣り合う回路基板CBどうしが左右方向に位置ずれを起こした場合は、図15に示すように各接触片31がプラグコンタクト15に対して(プラグコンタクト15の上下方向に延びる中心軸回りに)相対回転することにより、この左右方向の位置ずれを吸収する。
さらにこの場合は、プラグコンタクト15が回路基板CBに固定されると共に殆ど弾性変形せず(姿勢が変わらず)、接触片31が弾性変形しながらプラグコンタクト15に対して回転するので、リセプタクルコンタクト27(及びプラグコンタクト15)にはプラグコンタクト15と接触片31の接触部位を中心とする捻り力(回転モーメント)が殆ど生じない。またプラグコンタクト15との摺動によってリセプタクルコンタクト27に生じる微小な応力が、接触片31が弾性変形することにより効率よく分散・吸収される。しかもリセプタクルコンタクト27はリセプタクルインシュレータ39に対して自由度を持って係合しているため、左右への位置ずれに伴って生じる内部応力の発生を低減でき、また摩擦等で生じる微小な応力を効率よく分散できる。そのため隣り合う回路基板CBどうしが左右に位置ずれを起こした状態で上記固定板に固定され続けたとしても、中間連結部35が変形したり破損するおそれは殆どない。そのため中間連結部35の変形や破損に起因してプラグコンタクト15とリセプタクルコンタクト27の間の接触信頼性が低下するおそれは殆どなく、隣り合う回路基板CB同士を確実に導通させることが可能である。
なお、プラグコンタクト15とリセプタクルコンタクト27(リセプタクルコネクタ25)によって吸収可能な左右方向の位置ずれ量は、プラグインシュレータ30の収納空間40とプラグコンタクト15とのクリアランス量を変更することによって調整可能である。
【0031】
また、隣り合う回路基板CBどうしが前後方向に位置ずれを起こした場合は、図16に示すようにリセプタクルコンタクト27(リセプタクルコネクタ25)がプラグコンタクト15に対して前後方向にスライドすることにより当該位置ずれを吸収するので、この場合も隣り合う回路基板CB同士を確実に導通させることが可能である。
さらに隣り合う回路基板CBどうしが上下方向に位置ずれを起こした場合は、図17、図18に示すようにリセプタクルコンタクト27(リセプタクルコネクタ25)がプラグコンタクト15に対して上下方向にスライドすることにより(接触突条32の接触部19に対する接触位置が上下に変化することにより)、当該位置ずれを吸収する。さらにリセプタクルコンタクト27はリセプタクルインシュレータ39に対して自由度を持って係合しているため、上下への位置ずれに伴って生じる内部応力の発生も低減でき、また上下への位置ずれに起因する摩擦等で生じる微小な応力を効率よく分散できる。そのため隣り合う回路基板CBどうしが上下に位置ずれを起こした状態で上記固定板に固定され続けたとしても、中間連結部35が変形したり破損するおそれは殆どない。従って、この場合も隣り合う回路基板CB同士を確実に導通させることが可能である。
また、このときリセプタクルインシュレータ39が各回路基板CBに対して側面視で傾斜するため、隣接する回路基板CBに対して下方に移動した回路基板CB(図中の前側の回路基板CB)の端部に対して側壁41の上端面が接近するが、図18に示すように回路基板CBの当該端部は逃げ用凹部45内に位置するため、回路基板CBの当該端部が側壁41と干渉することはない。さらに側壁41の各外側傾斜端面47と各内側傾斜端面48は、隣接する回路基板CBが同一平面上に位置するときは側面視において各回路基板CBに対して傾斜しているが、隣り合う回路基板CBどうしが上下方向に位置ずれを起こすと、図18に示すように前方の内側傾斜端面48と後方の外側傾斜端面47が回路基板CBと略平行になりながら前後の回路基板CBにそれぞれ接近する。そのため隣り合う2枚の回路基板CBの下面が前方の内側傾斜端面48と後方の外側傾斜端面47に接触することはない。
さらに隣り合う回路基板CBどうしが左右方向、前後方向、及び、上下方向の各方向に複合的に位置ずれした場合も、上記と同様の効果を発揮する。
また、第一パーツ16Aと第二パーツ16Bの間にスリットを形成することにより、プラグコンタクト15を機能的に不必要な部位が(殆ど)ない構造にしたので、プラグコンタクト15の軽量化を図ることが可能である。
【0032】
またプラグコンタクト15及びリセプタクルコンタクト27がリセプタクルインシュレータ39(収納空間40)に収納され、プラグコンタクト15及びリセプタクルコンタクト27の周囲全体が回路基板CBとリセプタクルインシュレータ39によって保護される。そのためプラグコンタクト15とリセプタクルコンタクト27の嵌合作業時だけでなく嵌合後においてもリセプタクルコンタクト27とプラグコンタクト15が破損するのを防止できる。またリセプタクルインシュレータ39の閉塞部43には、リセプタクルインシュレータ39の成形時に金型を抜くための4つの孔が形成されるが(図1、図6、図9等を参照)、これらの孔は小さく、かつ、LED照明器具100を組み立てたときにはリセプタクルインシュレータ39の下面に位置するので、これらの孔から皮脂や異物がリセプタクルインシュレータ39の内部に侵入してリセプタクルコンタクト27やプラグコンタクト15に付着するおそれは小さく、接触不良やスパーク等の発生を抑止できる。
さらに、嵌合後は電気的に導通する部分(リセプタクルコンタクト27とプラグコンタクト15、回路基板CBの実装部)をリセプタクルインシュレータ39及び回路基板CBによって覆い、しかも絶縁カバー60によってリセプタクルコンタクト27の中間連結部35と回路基板CBの間を絶縁しているので、極めて良好な絶縁性能を発揮できる。
また、リセプタクルコンタクト27の上下寸法をプラグコンタクト15より小さく(薄く)することができる構造なので、コネクタ10の低背化が可能となる。
【0033】
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば図19〜図26に示す各変形例の態様で実施することが可能である。
図19に示す第一の変形例のプラグコンタクト15’は実装部17’の形状がプラグコンタクト15の実装部17とは異なる。即ち、実装部17’は実装部17に相当する部分から水平方向に突出する延長部17Aを備えており、延長部17Aの上面(回路基板CBとの実装面)には延長部17Bが凹設してある。
この延長部17Aを回路基板CBに対してはんだ付けすることによりプラグコンタクト15’を回路基板CBに実装する場合も、はんだの一部が延長部17A(実装部17’)を伝って接触部19側に移動しようとする。しかし実装部17’は実装部17より長いので、はんだが実装部17’の基端部まで移動するおそれは小さい。さらに実装部17’の基端部へ移動しようとするはんだの一部ははんだ逃げ用凹部17Bへ向かうので、接触部19側に向かうはんだの量を少なくすることが可能である。そのため、はんだ上がり防止部18(低濡れ性領域18A)を形成しない場合であっても、はんだが接触部19側に這い上がるのを効果的に防止できる。
【0034】
図20〜図22に示す第二の変形例のプラグコンタクト65は、導電性を有する金属線材(例えば、リン青銅、ベリリウム銅、チタン銅などの銅合金や、コルソン系銅合金の線材)を圧縮加工した後に、表面にニッケルめっきで下地を形成した後に、ニッケルめっきの表面を錫めっきや金めっきで覆ったものである。プラグコンタクト65は上下方向に延びる中心軸を中心とする回転対称形状の中実構造(内部に中空部が存在しない構造)であり、実装部66、はんだ上がり防止部67、接触用円柱部68、抜止部69、テーパ面70、及び、端部71を備えている。実装部66は円板形状である。接触用円柱部68は上記中心軸を中心とする円柱形状であり、実装部66より小径である。接触用円柱部68の左右両側部がそれぞれ接触部68Aを構成している。実装部66と接触用円柱部68の端部を接続する環状のはんだ上がり防止部67は接触用円柱部68より僅かに大径であり、その表面は上記めっき(錫めっきや金めっき)を剥がすことにより上記ニッケルめっきを露出させた低濡れ性領域67Aとなっている。抜止部69の上部は下方に向かうにつれて徐々に拡径する傾斜部69Aであり、傾斜部69Aを除く部分はいずれの上下位置においても曲率が一定の一定径部69Bとなっている。テーパ面70は下方に向かうにつれて徐々に縮径する形状であり、テーパ面70の左右両側部がそれぞれ誘い込み面70A(傾斜面)を構成している。端部71の下端面は水平面からなる水平当接面72となっている。
プラグコンタクト65は実装部66を回路基板CBに対してはんだ付けすることにより回路基板CBに実装できる。このときはんだの一部が接触用円柱部68側に這い上がろうとするが、はんだの這い上がりははんだ上がり防止部67によって防止される。
またリセプタクルコンタクト27が自由状態にあるとき、対をなす左右の接触片31の接触突条32どうしの左右間隔は、プラグコンタクト65の端部71の直径より長く、かつ、プラグコンタクト65の接触用円柱部68の直径、及び、抜止部69(傾斜部69A、一定径部69B)の直径より短い。さらに接触用円柱部68(接触部68A)の上下長は接触部19とほぼ同一である。従ってプラグコンタクト65とリセプタクルコネクタ25を備える本変形例のコネクタは上記実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに圧縮加工によりプラグコンタクト65を成形しているので、スタンピング成形による成形物であるプラグコンタクト15、15’に比べて生産コストを低く抑えることが可能である。
【0035】
図23に示す第三の変形例のプラグコンタクト65’の基本構造及び製造要領はプラグコンタクト65と同じであり、実装部66に一対の延長部17Aを突設したものである。そのため、プラグコンタクト65’とリセプタクルコネクタ25を備える本変形例のコネクタは第一、第二の変形例と同様の作用効果を発揮できる。
図24に示す第四の変形例のプラグコンタクト65’’の基本構造及び製造要領はプラグコンタクト65と同じであり、実装部66の上面に円形のはんだ逃げ用凹部73が凹設してある。そのため、このプラグコンタクト65’’とリセプタクルコネクタ25を備える本変形例のコネクタも第一、第二の変形例と同様の作用効果を発揮できる。
【0036】
図25、図26に示す第五の変形例のプラグコンタクト75の基本構造及び製造要領はプラグコンタクト65と同じであり、圧縮加工により成形したものである。ただし、テーパ面76(左右両側部がそれぞれ誘い込み面76A(傾斜面)を構成している)の上下寸法がテーパ面70に比べて大きい点がプラグコンタクト65とは異なる。このプラグコンタクト75とリセプタクルコネクタ25を備える本変形例のコネクタが第二の変形例と同様の作用効果を発揮できる。
なお図示は省略してあるが、プラグコンタクト75に対して、第三の変形例や第四の変形例と同様の変形を施して実施してもよい。
【0037】
さらに左右の接触部19、68Aは図示の断面形状である必要はなく、回路基板CBと平行な平面で切断した断面形状が互いに反対側に向かって突出する凸曲線をなす形状であれば、別の断面形状であってもよい。
また、接触片31は全体が略「く」の字の断面形状となっているが、接触片31の一部のみ(例えば、長手方向の中央部のみ)を断面略「く」の字形状とし(当該部分にのみ接触突条32を形成し)、その他の部位の断面形状を別の形状(断面略「く」の字形状より弾性変形し易い形状)にしてもよい。
またリセプタクルコネクタ25を、絶縁カバー60を具備しない態様で実施してもよい。
さらにリセプタクルインシュレータ39の材料の反射率を最適化したり、リセプタクルインシュレータ39の表面に光吸収防止のコーティングを施しても良い。このようにすれば、コネクタによる光の吸収を防止できる。
【0038】
また、本実施形態及び各変形例ではコネクタ10をLED照明器具100に適用したが、LED照明器具100とは異なる電子機器や電気機器に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
10 コネクタ
15 15’ プラグコンタクト(プラグコネクタ)
16A 第一パーツ
16B 第二パーツ
17 17’ 実装部
17A 延長部
17B はんだ逃げ用凹部
18 はんだ上がり防止部
18A 低濡れ性領域
19 接触部
20 抜止部
20A 傾斜部
20B 一定径部
21 誘い込み面(傾斜面)
22 パーツ接続部
23 水平当接面
25 リセプタクルコネクタ
27 リセプタクルコンタクト
28 嵌合接続部
29 弾性接続部
31 接触片
32 接触突条
33 傾斜案内部
34 端部係止片
35 中間連結部(連結部)
36 当接部
37 中央係止片
39 リセプタクルインシュレータ
40 収納空間
41 側壁(囲堯壁)
42 端部壁(囲堯壁)
43 閉塞部
45 逃げ用凹部
46 水平面
47 外側傾斜端面(傾斜端面)
48 内側傾斜端面(傾斜端面)
50 端部係止爪
51 案内傾斜面
53 中間連結部用係止爪
54 案内傾斜面
55 仕切壁
56 カバー用係止爪
57 案内傾斜面
60 絶縁カバー
61 係合片
62 干渉防止用凹部
65 65’ 65’’ プラグコンタクト(プラグコネクタ)
66 実装部
67 はんだ上がり防止部
67A 低濡れ性領域
68 接触用円柱部
68A 接触部
69 抜止部
69A 傾斜部
69B 一定径部
70 テーパ面
70A 誘い込み面(傾斜面)
71 端部
72 水平当接面
73 はんだ逃げ用凹部
75 プラグコンタクト(プラグコネクタ)
76 テーパ面
76A 誘い込み面(傾斜面)
100 LED照明器具
101 透光管
102 LEDユニット
103 LED(半導体発光素子)
CB 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一平面上に位置する複数の回路基板の表面にそれぞれ固定するプラグコネクタと、隣り合う二つの上記回路基板に固定した二つの上記プラグコネクタと接続するリセプタクルコネクタと、
を備えるコネクタにおいて、
上記プラグコネクタが、
上記回路基板の表面に実装する実装部と、
該実装部を挟んで上記回路基板と反対側に位置し、かつ、上記回路基板と平行な平面で切断した断面形状が互いに反対側に向かって突出する凸曲線からなる一対の接触部と、
該接触部を挟んで上記回路基板と反対側に位置し、かつ、一対の該接触部どうしの間隔より広幅の抜止部と、
を有するプラグコンタクトを備え、
上記リセプタクルコネクタが、
互いに平行をなしながら直線的に延び、かつ外側から対をなす二つの上記接触部に対して接触する二対の接触片、対をなす該接触片どうしを接続し、対をなす該接触片の対向方向に弾性変形可能な二つの弾性接続部、及び、二つの該弾性接続部どうしを接続する連結部、を有するリセプタクルコンタクトと、
上記リセプタクルコンタクト、及び、上記接触片と接続した上記プラグコンタクトの周囲を囲み、上記回路基板との対向面が開口する囲堯壁、及び、該囲堯壁の上記回路基板と反対側の端部を塞ぐ閉塞部と、を有し、かつ上記リセプタクルコンタクトを支持するリセプタクルインシュレータと、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記プラグコンタクトが、
上記抜止部を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ、該抜止部から該接触部と反対側に向かうにつれて互いに近づく二つの傾斜面を備えるコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2記載のコネクタにおいて、
上記プラグコンタクトが、
互いに分離しかつ共に上記接触部を備える第一パーツ及び第二パーツと、
該第一パーツと第二パーツを接続するパーツ接続部と、
を備えるコネクタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記プラグコンタクトが、
上記実装部と上記接触部の間に位置する部分に、該実装部と上記回路基板の間に施したはんだが上記接触部側に這い上がるのを防止するはんだ上がり防止部を形成したコネクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記実装部の上記回路基板との対向面にはんだ逃げ用凹部を形成したコネクタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記囲堯壁の上記回路基板との対向端面に、該回路基板と非平行な傾斜端面を形成したコネクタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のコネクタにおいて、
上記囲堯壁の上記回路基板との対向端面に、隣接する二つの上記回路基板の隣接端部と該回路基板の厚み方向に対向する逃げ用凹部を形成したコネクタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の上記コネクタ及び上記回路基板を複数具備し、
上記回路基板にLEDを設けたことを特徴とするLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−114933(P2013−114933A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260737(P2011−260737)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000128407)京セラコネクタプロダクツ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】