説明

コネクタおよび信号変換装置

【課題】既に固定された接続端子に対して、該接続端子を取り外すことなく、簡易な構成で容易かつ確実に信号を取り出すことができるコネクタおよび信号変換装置を提供すること。
【解決手段】固定板1a上に取り出される取り出し配線を接続し、固定板1a上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子に対して着脱自在に電気接続するコネクタ1であって、前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に固定板1a側が開口して前記取り出し配線が取り出される切込部53を有したキャップ55と、前記側面部から前記接続端子に対して圧接してキャップ55と前記接続端子とを固定する導電性のねじ51と、キャップ55に接続された信号線L1と、を備え、キャップ55は、少なくともねじ51と信号線L1との間を導電性部材によって形成し、前記接続端子と信号線L1とを電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既に固定接続された接続端子に対して着脱可能に電気的に接続することができるコネクタおよび信号変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサ等によって検出された検出信号を制御装置側に送る場合、一度、検出信号を制御装置側に合致した信号に変換する信号変換装置を介して送られる。ここで、制御側装置に送られる信号をモニタしようとする場合、上述した信号変換装置を介して信号を取り出すことが行われる。このモニタを行う場合、信号変換装置の端子に対してクリップで電気接続するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2532000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既に固定接続された端子から、この端子を外すことなく、クリップで信号を取り出す場合、挟み込みによる固定であるため、外的な力の付加によって回転し、電気的接続が不安定となり、切断してしまう場合があるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、既に固定された接続端子に対して、該接続端子を取り外すことなく、簡易な構成で容易かつ確実に信号を取り出すことができるコネクタおよび信号変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるコネクタは、固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子に対して着脱自在に電気接続するコネクタであって、前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に前記固定板側が開口して前記取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップと、前記側面部から前記接続端子に対して圧接して前記キャップと前記接続端子とを固定する導電性の固定部と、前記キャップに接続された信号線と、を備え、前記キャップは、少なくとも前記固定部と前記信号線との間を導電性部材によって形成し、前記接続端子と前記信号線とを電気的に接続することを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記固定部は、前記側面部を介して前記接続端子を圧接するねじであることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記固定部は、前記側面部の内側が開口した穴と、前記穴の底部側に固定接続された伸張ばねと、前記伸張ぱねの他端に接続され、前記穴に挿脱可能な突起部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるコネクタは、固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子に対して着脱自在に電気接続するコネクタであって、前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に前記固定板側が開口して前記取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップと、前記キャップに接続された信号線と、を備え、前記キャップの基部に磁石を設けるとともに、該磁石の前記接続端子側に該接続端子に電気的に接続し、かつ前記信号線に電気的に接続する導電部が形成され、前記磁石によって前記キャップが前記接続端子側に押圧され、前記導電部を介して前記接続端子と前記信号線とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記側面部の開放端の開口径は、前記キャップの基部側の開口径に比して小さいことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるコネクタは、上記の発明において、前記切欠部の位置を示すマーカを設けたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる信号変換装置は、固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子を有し、入力された第1の信号を信号変換し、該信号変換した第2の信号を前記接続端子および前記取り出し配線を介して出力する第1信号変換部と、上述した発明のいずれか一つに記載のコネクタが接続された信号線から入力された前記第2の信号を信号変換し、該信号変換された第3の信号として出力する第2信号変換部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、接続端子の突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に固定板側が開口して取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップが、該切欠部を介して接続端子に深く装着され、導電性の固定部が、前記側面部から前記接続端子に対して圧接して前記キャップと前記接続端子とを固定するようにし、あるいは前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に前記固定板側が開口して前記取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップが、前記キャップの基部に磁石を設けるとともに、該磁石の前記接続端子側に該接続端子に電気的に接続し、かつ前記信号線に電気的に接続する導電部が形成され、前記磁石によって前記キャップが前記接続端子側に押圧され、前記導電部を介して前記接続端子と前記信号線とが電気的に接続されるようにしているので、既に固定された接続端子を取り外すことなく、簡易な構成で容易かつ確実に信号を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかる信号変換装置を含むシステムの概要構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図2は、コネクタの正面図である。
【図3】図3は、コネクタの平面図である。
【図4】図4は、図3の方向Aからみた斜視図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態1の変形例にかかるコネクタの構成を示す正面図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態2にかかるコネクタの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるコネクタおよび信号変換装置について説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる信号変換装置を含むシステムの概要構成を示すブロック図である。このシステムでは、まず、既存構成として、信号変換装置1が、検出器10とコントローラ20との間に設けられる。検出器10は、各種制御対象に設けられ、端子部11の端子T11,T12にそれぞれ接続される信号線L11,L12を介して検出された信号が信号変換装置1の第1信号変換器2に送られる。
【0017】
第1信号変換器2は、検出器10側の端子T31,T32とコントローラ20のアナログ入力装置21側の端子T1,T2を有する。第1信号変換器2は、端子T31,T32から入力された信号を、コントローラ20側に適した信号に変換してそれぞれ端子T1,T2から出力する。信号変換された信号は、端子T1,T2からそれぞれ信号線L21,L22を介してそれぞれ端子T21,T22に出力される。
【0018】
信号変換装置1は、さらに第2信号変換器3を有し、端子T1,T2にそれぞれ接続されるコネクタC1,C2を介してモニタする信号を、それぞれ信号線L1,L2を介して取得し、外部の維持管理装置30に適する信号に変換し、信号線L3を介してこの維持管理装置30側に出力する。
【0019】
この実施の形態1では、端子T1,T2が既に信号線L21,L22に固定接続された状態で、端子T1,T2を取り外すことなく、コネクタC1,C2を端子T1,T2にそれぞれ着脱自在に接続することができる。なお、維持管理装置30は、コントローラ20側のソフトウェアを介して信号を取り出すことができるが、この場合、このソフトウェアを改良する必要があり、この場合、コントローラ20を一時停止させ、結果的にシステムを一時的に停止することになる。この実施の形態1では、新たな維持管理装置30を増設する場合であっても、既存のシステムの停止を伴うことなく行うことができる。
【0020】
ここで、図2〜図4を参照して、具体的なコネクタC1,C2の構成について説明する。なお、コネクタC1,C2は同一構造であるので、コネクタC1の構成について説明する。図2は、コネクタC1の正面図である。また、図3は、コネクタC1の平面図である。さらに、図4は、図3の方向Aからみた斜視図である。図2〜図4において、信号線L21を接続するリング状の圧着端子40は、ボルト状で導電性の端子T1に電気的に接続されつつ、第1信号変換器2の筐体である固定板2a表面に固定される。ここで、端子T1は、信号変換装置1の内部で信号変換された信号を伝送する図示しない信号線に電気的に接続されている。したがって、この状態で、信号変換された信号は、端子1、圧着端子40、信号線L21を介してコントローラ20側に伝送される。
【0021】
コネクタC1は、一端が開口し、側面が略円筒状のカバー部50を有したキャップ55を有し、一部が、信号線L1に接続される。このキャップ55の開口幅は、端子T1の頭部である突起部41の幅と略同一である。ここで、カバー部50には、信号線L21を引き出すための切込部53が形成される。また、カバー部50の一部には、ねじ51が螺合するねじ溝が形成されたねじ穴52を有し、キャップ55が端子T1の突起部41側から覆われたときに、ねじ51を回転させてねじ51の先端部を圧着端子40に圧接できるようにしている。また、キャップ55は、少なくとも、キャップ55の信号線L11からねじ穴52までの領域E1を導電部材で形成している。ここで、ねじ51が圧着端子40に圧接した状態で、圧着端子40、ねじ51、領域E1、信号線L1は、電気的に接続される。もちろん、ねじ51は、導電部材で形成されている。また、ねじ51で圧着端子40を圧接するため、カバー部50は、ある程度の剛性を有することが好ましい。
【0022】
コネクタC1を端子T1に固定する場合、まず、キャップ55の上面で切込部53に対応する位置に設けられたマーカ54を目印にし、信号線L21の位置にマーカ54を合わせつつ、キャップ55の開口側から端子51を覆う。この場合、切込部54を有することによって、信号線L21によってキャップ55の装着が妨げられることなく、キャップ55の内面底部が突起部41の上部に当接する。このキャップ55が深く装着された状態で、ねじ51を回転させてねじ51の先端を圧着端子40に圧接する。これによって、端子T1を外すことなく、端子T1から信号線L1に信号を引き出すことができる。また、キャップ55のカバー部50が端子T1を深く覆うことができるため、キャップ55が外れ難く、安定した接続状態を維持することができる。
【0023】
なお、ねじ51とねじ穴52との構成に替えて、図5に示した穴60、ばね61、および接続部62による構成としてもよい。穴60は、圧着端子40の位置に対応し、圧着端子40に開口を有する柱状の穴60である。この穴60には、一端が穴60の底部に固定接続された伸張ばねであるばね61が挿入され、他端に先端が球状の接続部62が固定接続される。この接続部62は、穴60内に挿脱可能である。キャップ55が端子T1に接続される場合、突起部41の幅広部で接続部62は一端押圧されるが、この幅広部を越えるとばね61の伸張によって接続部62が圧着端子40を圧接することになる。この場合、ねじ51の回転動作などが不要となり、コネクタC1の装着操作が一層容易になる。
【0024】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、ねじ51などの機械的な圧接によって端子T1との電気的接続を行うものであったが、この実施の形態2では、磁気力によって端子T1に圧接して電気的接続を行おうとするものである。
【0025】
図6は、この発明の実施の形態2にかかるコネクタの構成を示す正面図である。図6に示すように、コネクタC1に対応するコネクタC21は、キャップ55に対応キャップ75の基部に磁石72が埋め込まれ、この磁石72の内側には、キャップ75の底部が露出し、導電部材によって形成された領域E2が形成される。この領域E2は、信号線L1に電気的に接続される。一方、キャップ75のカバー部70の先端部71の開口は、カバー部70の基部側開口に比して狭く形成され、キャップ75が端子T1に嵌合できるようになっている。
【0026】
コネクタC21を端子T1に接続する場合、実施の形態1と同様に、まず、キャップ75の上面で切込部53に対応する位置に設けられたマーカ54を目印にし、信号線L21の位置にマーカ54を合わせつつ、キャップ75の開口側から端子51を覆う。この場合、切込部54を有することによって、信号線L21によってキャップ75の装着が妨げられることなく、キャップ75の内面底部が突起部41の上部に当接する。これと同時に、磁石72は、端子T1の突起部41と磁気的に結合し、導電部材の領域E2を突起部41に密着し、電気的接続を確実にする。
【0027】
また、キャップ75が端子T1に装着されると、キャップ75が端子T1に深く装着された嵌合状態を形成することから、キャップ75が、磁石72の密着力に加えて外れ難くなり、安定した接続状態を維持することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 信号変換装置
2 第1信号変換器
2a 固定板
3 第2信号変換器
10 検出器
11 端子部
20 コントローラ
21 アナログ入力装置
30 維持管理装置
40 圧着端子
41 突起部
50,70 カバー部
51 ねじ
52 ねじ穴
53 切込部
54 マーカ
55,75 キャップ
60 穴
61 ばね
62 接続部
71 先端部
72 磁石
C1,C2,C11,C21 コネクタ
T1,T2,T11,T12,T21,T22,T31,T32 端子
L1,L2,L3,L11,L12,L21,L22 信号線
E1,E2 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子に対して着脱自在に電気接続するコネクタであって、
前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に前記固定板側が開口して前記取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップと、
前記側面部から前記接続端子に対して圧接して前記キャップと前記接続端子とを固定する導電性の固定部と、
前記キャップに接続された信号線と、
を備え、前記キャップは、少なくとも前記固定部と前記信号線との間を導電性部材によって形成し、前記接続端子と前記信号線とを電気的に接続することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記固定部は、前記側面部を介して前記接続端子を圧接するねじであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記固定部は、
前記側面部の内側が開口した穴と、
前記穴の底部側に固定接続された伸張ばねと、
前記伸張ぱねの他端に接続され、前記穴に挿脱可能な突起部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子に対して着脱自在に電気接続するコネクタであって、
前記突出部を覆うとともに、少なくとも側面部に前記固定板側が開口して前記取り出し配線が取り出される切欠部を有したキャップと、
前記キャップに接続された信号線と、
を備え、前記キャップの基部に磁石を設けるとともに、該磁石の前記接続端子側に該接続端子に電気的に接続し、かつ前記信号線に電気的に接続する導電部が形成され、前記磁石によって前記キャップが前記接続端子側に押圧され、前記導電部を介して前記接続端子と前記信号線とが電気的に接続されることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
前記側面部の開放端の開口径は、前記キャップの基部側の開口径に比して小さいことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記切欠部の位置を示すマーカを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のコネクタ。
【請求項7】
固定板上に取り出される取り出し配線を接続し、該固定板上に突起部を形成して固着される導電性の接続端子を有し、入力された第1の信号を信号変換し、該信号変換した第2の信号を前記接続端子および前記取り出し配線を介して出力する第1信号変換部と、
請求項1〜6のいずれか一つに記載のコネクタが接続された信号線から入力された前記第2の信号を信号変換し、該信号変換された第3の信号として出力する第2信号変換部と、
を備えたことを特徴とする信号変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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