説明

コネクタおよび電子機器

【課題】光伝送機能を有し、かつ既存の電気伝送機能のみの電子機器(コネクタ)とも装着可能なコネクタおよび電子機器を提供する。
【解決手段】電気伝送部11と、前記電気伝送部11と隣り合う光伝送部21と、前記電気伝送部11と前記光伝送部21との間に設けられた仕切り部10Uとを備えたコネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電気伝送と共に光伝送が可能なコネクタおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、機器間の信号伝送は、例えば、USB(Universal Serial Bus,登録商標)やHDMI(Higl-Definition Multimedia Interface,登録商標)等を用い、電気信号によりなされてきた。しかしながら、近年のMPU(Micro Processing Unit)の高機能化に伴い、データの授受量が著しく増大し、電気伝送では、その容量および速度の面で十分に対応できなくなってきている。
【0003】
そこで、電気伝送に代えて、あるいは電気伝送と共に光伝送を行う技術が開発されている。例えば、特許文献1では、USB規格のハウジングの中に、光伝送部が設けられたコネクタが開示されている。即ち、既存の電気コネクタのハウジングの中に光伝送用の部品を混載させて、コネクタの仕様が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3160707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、USBやHDMIなどの既存の電気コネクタのハウジングの内部には、光伝送用の部品を搭載するための十分な空間はないため、電気伝送用の端子を減らし、あるいはその配置を変更するなどして、光伝送部を設けなければならない。このため、光伝送部を追加したコネクタを、既存の電気伝送機能のみの電子機器(被コネクト機器)に装着すると、コネクタ側の光伝送用の部品が電子機器側の電気伝送用の端子に接触して干渉し、互換性が保持されないという問題が生じる。所謂、下位互換性の問題である。
【0006】
このように光伝送機能を追加したコネクタが下位互換性を有さない場合、このコネクタに加え、既存の電気伝送機能のみのコネクタをも使用者に準備させることになる。即ち、使用者にコスト、サイズの面で大きな負担を強いることになるため、結局は機器自体に採用されず、普及が困難となる。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、電気伝送機能と共に光伝送機能を有し、かつ、既存の電気伝送機能のみの電子機器にも装着可能なコネクタを提供することにある。
【0008】
本技術の第2の目的は、電気伝送機能と共に光伝送機能を有し、かつ、既存の電気伝送機能のみのコネクタも装着可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術のコネクタは、電気伝送部および光伝送部と、電気伝送部と光伝送部との間に設けられた仕切り部とを備えたものである。
【0010】
本技術の電子機器は、装着されるコネクタと逆タイプのコネクタ部を有し、コネクタ部は、電気伝送部および光伝送部と、電気伝送部と光伝送部との間に設けられた仕切り部とを備えたものである。
【0011】
本技術のコネクタでは、電気伝送部と光伝送部とが仕切り部により分離されているので、既存の電子伝送機能のみを有する電子機器に装着する際に、光伝送部は電気伝送用の端子に接触せず、干渉する虞がない。具体的には、電気伝送ハウジングの内側に電気伝送部が、外側に光伝送部が設けられており、電気伝送ハウジングの一部が仕切り部として機能する。本技術の電子機器も、同様に、電気伝送用の端子に干渉することなく、電子伝送機能のみを有する既存のコネクタを装着することができる。
【発明の効果】
【0012】
本技術のコネクタによれば、電気伝送部と光伝送部とを仕切り部により分離するようにしたので、既存の電気伝送機能のみの電子機器との装着の際にも、光伝送部による阻害を防ぐことができる。よって、既存の電気伝送機能のみの電子機器にも装着することができる。即ち、下位互換性の維持が可能となる。本技術の電子機器も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の一実施の形態に係るコネクタの要部構成を表す斜視図である。
【図2】(A)は図1に示したコネクタの上面図、(B)は側面図である。
【図3】図1に示したコネクタの正面図である。
【図4】図1に示したコネクタが装着される電子機器の構成を表す斜視図である。
【図5】図4に示した電子機器に装着する際の、図1に示したコネクタの動作を表す側面図である。
【図6】図5に示した動作の機構を説明するための図である。
【図7】図6に示した第1ばね部材の構成を表す上面図である。
【図8】図6に示した第2ばね部材の構成を表す上面図である。
【図9】図1に示したコネクタを図4に示した電子機器に装着する際のレンズの状態について説明するための図である。
【図10】比較例に係るコネクタの要部構成を表す斜視図である。
【図11】図4に示した電子機器のコネクタ部の変形例(既存のコネクタ部)を表す斜視図である。
【図12】変形例に係るコネクタの要部構成を表す斜視図である。
【図13】図12に示したコネクタの、電子機器への装着時の構成を表す斜視図である。
【図14】図11に示した保護カバーの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
電気伝送ハウジング(第1ハウジング)の内側に電気伝送部、外側に光伝送部を設けた例
2.変形例
光伝送部のレンズを保護するための保護カバーを有する例
【0015】
〔実施の形態〕
図1は本開示の一実施の形態に係るコネクタ(コネクタ1)の主要部の構成を表したものである。図2(A)はコネクタ1全体の上面(Z軸方向)、図2(B)は側面(X軸方向)、図3は正面(Y軸方向)の構成を表している。
【0016】
コネクタ1は例えばHDMI規格のコネクタである。このコネクタ1は、支持体30に、電気伝送ハウジング10(第1ハウジング)および光伝送ハウジング20(第2ハウジング)を備えている。電気伝送ハウジング10の内側には電気伝送部11が収められている。電気伝送ハウジング10の外側には、電気伝送部11(第1ハウジング10)と隣り合う位置に光伝送部21が配置されている。コネクタ1は、所謂オス型コネクタであり、メス型コネクタ部を有する電子機器(被コネクト機器、例えば後述の図4 電子機器2)に装着されて、電気伝送および光伝送を行うことができるようになっている。
【0017】
電気伝送ハウジング10は支持体30の端面(前面)から突出している。この電気伝送ハウジング10は、上面10Uと、上面10Uと対向する下面10Dと、上面10Uと下面10とを連結する2つの側面10Sとからなり、正面に開口を有してメス型コネクタ部に嵌合されるようになっている。電気伝送ハウジング10は、例えばステンレス等の金属により構成されている。
【0018】
電気伝送ハウジング10の内側に設けられた電気伝送部11は、例えばポリイミド等からなる絶縁性の基板に、電気伝送ハウジング10の延在方向(Y軸方向)に延びる複数の電気配線が設けられたものであり、電気配線の配置は、HDMI(登録商標)規格となっている。
【0019】
光伝送部21は、電気伝送ハウジング10の上面10U(仕切り部)を間にして、電気伝送部11の上部に設けられている。詳細は後述するが、本実施の形態では、この光伝送部21が、電気伝送ハウジング10の外側に設けられていることにより、電気伝送機能のみを有する既存の電子機器にも装着可能であり、互換性が保たれる。
【0020】
光伝送部21は、例えば真鍮からなる略直方体状のスライダ22と、スライダ22の前端面に設けられた凸部23(位置規制部)および複数のレンズ24と、スライダ22の前後方向(Y軸方向)に延在する光伝送体(図示せず)とを有している。即ち、コネクタ1では、スライダ22の前後方向に沿って光伝送経路が設けられ、その一端にレンズ24が配置されている。
【0021】
スライダ22は前後方向に移動可能であり、電子機器への未装着時には支持体30の前面よりも突出し、電子機器への装着時には光伝送経路が光伝送ハウジング20(支持体30)に収容されるようになっている。このように光伝送部21を光伝送ハウジング20に対して可動とすることにより、製造時の部品の配置にある程度のばらつきが生じた場合にも、電子機器への装着時にレンズ24(光伝送経路)の位置合わせを精確に行うことができる。スライダ22の前端面は、中央部が両端に比べて後退し(へこみ)、この後退した領域にレンズ24が配置されている(後述の図9)。光伝送部21の奥部には、光伝送部21がスライドすることによりたわんだ光伝送体を格納して保持できる空間が設けられていることが好ましい。これにより、光伝送体に過剰な応力がかかることが抑えられる。
【0022】
凸部23は、電子機器への装着時に位置合わせを行うためのものであり、スライダ22の前端面の両端に2つ設けられている。この凸部23が、電子機器側の光伝送部に設けられた凹部(図4 凹部223)に挿入されて、精確な位置に固定されるようになっている。コネクタ1のレンズ24と電子機器のレンズ(図4 レンズ224)との配置のずれを50μm以下に抑えることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。凸部23は、略円錐状あるいは円錐台状であり、スライダ22から離れるにつれて円断面の直径が小さくなるテーパ形状を有している。凹部への挿入を容易にするためである。凸部23は、例えば、スライダ22の前端面より1mm程度突出している。
【0023】
レンズ24は、コリメートレンズであり、光伝送体からの射出光を平行光化し、あるいは電子機器からの入射光(平行光)を光伝送体の端部に集光するためのものである。レンズ24は、スライダ22の前端面に沿って(X軸方向)例えば、250μmピッチで複数配置されている。電子機器への装着時には、この複数のレンズ24の各々が電子機器側のレンズ(レンズ224)と対向するようになっている。光伝送体は、レンズ24の焦点に対応して設けられ、レンズ24に光学的に結合している。この光伝送体により、レンズ24からの入射光が伝播され、あるいは伝播してきた光がレンズ24を介して電子機器側のレンズに射出される。この光伝送体は、例えば光ファイバ等であり、石英、硝材、フッ素系ポリマーあるいはアクリル系ポリマー等により構成されている。
【0024】
レンズ24(光伝送経路の一端)は、電子機器への未装着時には支持体30の前面よりも突出しており、支持体30の前端面と電気伝送ハウジング10の前端面との間(第1の位置)に配置されている。電子機器への装着時には、光伝送部21のスライド機構により支持体30に設けられた光伝送ハウジング20の内部(第2の位置)までレンズ24は後退する。
【0025】
光伝送ハウジング20は、電気伝送ハウジング10の上部に設けられ、その前面および上面(後述の上面20U)は支持体30の前面および上面と同一面上にある。即ち、光伝送ハウジング20は、支持体30に埋め込まれるように設けられている。光伝送ハウジング20は、電気伝送ハウジング10と同様にその前面に開口を有し、この開口から光伝送部21が収容されるようになっている。光伝送ハウジング20は、上面20Uおよび2つの側面20Sからなり、下面は、電気伝送ハウジング10の上面10Uにより構成されている。光伝送ハウジング20も、電気伝送ハウジング10と同様に例えばステンレス等の金属からなる。
【0026】
図4(A)は、コネクタ1が装着される電子機器2の外観を表している。電子機器2はノート型パーソナルコンピュータであり、例えば、本体200,文字等の入力操作のためのキーボード200Kおよび画像を表示する表示部200Dを有しており、本体200にコネクタ1とは逆タイプのコネクタ部200C(メス型コネクタ部)が設けられている。図4(B)に示したように、このコネクタ部200Cは、コネクタ1とほぼ同様の構成であり、電気伝送ハウジング210に電気伝送部211、光伝送ハウジング220に光伝送部221がそれぞれ収容されている。即ち、電子機器2は、光伝送機能を有するコネクタ1を装着可能であり、かつ、既存の電気伝送機能のみを有するコネクタも装着することができる。このコネクタ部200Cは、電気伝送ハウジング210がコネクタ1の電気伝送ハウジング10(電気伝送部21)を収容可能な凹状である点および光伝送部221には凸部23に代えて、凹部223(位置規制部)が設けられている点でコネクタ1と異なっている。凹部223は、深さ方向において直径が変化しないものであってもよく、あるいは凸部23に対応したテーパ状であってもよい。
【0027】
図5は、電子機器2への装着前後のコネクタ1の変化を表している。図5(A)は装着前、図5(B)は装着後である。上述のように光伝送部21は可動であり、電子機器2への装着時には後退して光伝送経路が光伝送ハウジング20(支持体30)の内部に収容される。
【0028】
図6、図7および図8は、この動作の機構を表すものである。図6(A)に示したように、スライダ22にスライド溝25a、上面10Uにスライド壁25bがそれぞれ設けられ、このスライド溝25a、スライド壁25bに沿ってスライダ22が移動する。電気伝送ハウジング10の上面10Uに一体的に設けられた第1ばね部材26および第2ばね部材27は、スライダ22を第2の位置から第1の位置(前方向)に付勢し、第1の位置で停止させるものである。
【0029】
図7に表したように、電子機器2との装着状態(図7(B))からコネクタ1を抜き出すと、スライダ22は第1ばね部材26の弾性力により前方向に押し出される(図7(A))。その後、第2ばね部材27の端部(図6(B) 傾斜面27S)が、スライダ22に当接することにより、付勢されたスライダ22が第1の位置で係止される(図8(A))。この係止状態は、電子機器2との装着により解除されるようになっている(図8(B))。
【0030】
図6(B)は、図6(A)の側面の構成を表したものである。第2ばね部材27は、第1ばね部材26よりもスライド溝25aの下側に設けられ、その端面(傾斜面27S)は、上面10Uの法線に対して角度θの傾斜を有している。θは、例えば30〜70度程度であり、好ましくは45度である。スライド溝25a(スライダ22)の第2ばね部材27との当接面(傾斜面25S)は、これに沿うよう傾斜している。このように第2ばね部材27に傾斜面27Sを設けることにより、スライダ22が電気伝送ハウジング10(上面10U)に押し当てられて密着し、第1の位置での停止状態が安定する。詳細には、スライダ22が持つクリアランス分のガタツキがなくなった状態で、第1の位置に停止される。電気伝送ハウジング10、光伝送ハウジング20、第1ばね部材26および第2ばね部材27は、板金の一体成型により製造し、例えばジグ等により支持体30に固定する。このような一体成型を用いることにより、不具合が生じた場合に交換が容易となる。金属による変形を防ぐため、電気伝送ハウジング10、光伝送ハウジング20、第1ばね部材26および第2ばね部材27をセラミック材料により形成するようにしてもよい。
【0031】
このコネクタ1では、電気伝送ハウジング10を電子機器2の電気伝送ハウジング210へ嵌合させると、コネクタ1の電気伝送部21が電子機器2の電気伝送部221に接続し、電気伝送がなされ、加えて以下のように光伝送がなされる。電気伝送ハウジング10と電気伝送ハウジング210とが接続されると、図9(A)に示したように、光伝送部21と光伝送部221とが近づき、光伝送経路は光伝送ハウジング20に収容される(図5(B))。続いて、図9(B)に示したように、凸部23が凹部223に挿入されて、複数のレンズ24各々とレンズ224との精確な位置合わせが行われ、固定される。このとき、スライダ22,222のレンズ24,224が配置された領域は両端よりも後退しているため、レンズ24とレンズ224とは接触せず、スライダ22,222が当接することにより密閉される。この状態で、電子機器2(レンズ224)から光(平行光)が出射されると、この光は密閉空間を伝播し、レンズ24で光伝送体の端部に集光される。更に光伝送体内を伝わり、その先に接続された相手方の電子機器に入力される。この相手方の電子機器から、電子機器2へ光信号が入力される場合も同様である。ここでは、光伝送部21が、電気伝送部21が設けられた電気伝送ハウジング10の外側に設けられているので、光伝送部を持たない、既存の電気伝送機能のみの電子機器(被コネクト機器)にも装着することができる。以下、これについて比較例を用いつつ説明する。
【0032】
図10は、比較例に係るコネクタ(コネクタ100)の構成を表している。このコネクタ100では、光伝送部21が電気伝送部11と共に電気伝送ハウジング10の内側に設けられているので、電気伝送部211のみを有する電子機器2A(図11)には装着することができず、別のコネクタを準備する必要がある。既存のUSBやHDMIの規定のハウジングの内部には、光伝送用の部品を搭載するための十分な空間がなく、コネクタ100では、電気伝送部211の電気配線の配置が既存のものと異なっている。このため、コネクタ100を電子機器2Aに装着すると、光伝送部21の部品が電気伝送部211の電気配線に接触し、干渉してしまう。
【0033】
これに対し、本実施の形態のコネクタ1では、光伝送部21が、電気伝送ハウジング10の外側に設けられているので、電気伝送ハウジング10の電気伝送部21の電気配線の配置を変更する必要がなく、また、電子機器2Aへの装着時にも光伝送部21の部品が電気伝送部211の電気配線に干渉する虞がない。即ち、下位互換性が保証される。
【0034】
以上、本実施の形態では、光伝送部21を電気伝送ハウジング10の外側に設けるようにしたので、既存の電気伝送機能のみの電子機器2Aとの装着の際にも、光伝送部21による阻害を防ぐことができる。よって、コネクタ1は、電気伝送機能と共に光伝送機能を有し、かつ、既存の電気伝送機能のみの電子機器2Aとも装着することができる。即ち、コネクタ1では、下位互換性が保証される。
【0035】
また、光伝送部21を第1の位置と第2の位置との間で可動にすることにより、製造時に部品の配置にある程度のばらつきが生じた場合にも、電子機器への装着時にレンズ24(光伝送経路)の位置合わせを精確に行うことができる。
【0036】
更に、電気伝送ハウジング10および光伝送ハウジング20と、光伝送部21を移動させるための第1ばね部材26および第2ばね部材27とを一体成型により形成することで、低コストとなり、かつ、不具合が生じた場合の交換も容易となる。
【0037】
以下、本技術の変形例について説明するが、上記実施の形態と共通の構成要素については同一符号を付してその説明は省略する。
【0038】
〔変形例〕
図12および図13は、変形例にかかるコネクタ(コネクタ1A)の構成を表したものである。図12は、電子機器へ未装着の状態、図13は装着状態をそれぞれ表している。このコネクタ1Aは、光伝送部21にレンズ24を保護するための保護カバー28を有している点で、上記実施の形態のコネクタ1と異なるものである。保護カバー28には、弾性材料を用いることができ、例えば、厚み0.1mmのばね鋼により構成されている。
【0039】
保護カバー28は、スライダ22の上面と光伝送ハウジング20の上面20Uとの間に設けられ、スライダ22の上面から前端面の中央部(レンズ24)を覆っている。電子機器への未装着時(図12)には、この保護カバー28がスライダ22に接してレンズ24を保護する。保護カバー28は、その一部にスライダ22の上面から上方向に傾斜して離間した傾斜部28Dを有しており、電子機器への装着時(図13)にはこの傾斜部28Dにより保護カバー28が変位するようになっている。
【0040】
また、保護カバー28には開口28Mが設けられており、この開口28Mが電子機器への装着時にはレンズ24との対向位置に(図13)、未装着時には、この位置よりも例えば0.5mm程度上方に(図12)配置されるようになっている。これにより、電子機器との装着時に、保護カバー28が光の伝播を阻害することを防ぐことができる。
【0041】
図14(A)および図14(C)は、電子機器への未装着時の光伝送部21と保護カバー28との側面図および正面図、図14(B)および図14(D)は、電子機器への装着時の光伝送部21と保護カバー28との側面図および正面図である。保護カバー28は、スライダ22のスライド動作に連動するようになっており、スライダ22が後方向(第1の位置から第2の位置)に移動すると傾斜部28D(図14(A))が上面20U(支持体30の内壁面)に接触して押し下げられ、スライダ22に密着する(図14(B))。このとき、レンズ24の上方にあった開口28M(図14(C))も、傾斜部28Dの下降に伴い、レンズ24との対向位置まで下方向に移動する(図14(D))。スライダ22が前方向(第2の位置から第1の位置)に移動すると、保護カバー28の傾斜部28Dは、スライダ22から上方向に離間する。
【0042】
本変形例では、保護カバー28を設けることにより、電子機器への未装着時には光伝送ハウジング20から露出されるレンズ24を破損や汚れから保護し、また、傾斜部28Dおよび開口28Mを設けることにより、電子機器への装着時には保護カバー28による光の伝播の阻害を容易に防止することができる。
【0043】
更に、上記のように一枚のばね鋼に開口28Mを設けて、レンズ24の保護と露出とを行うことにより、低コスト化でき、かつ、複数の部品を組み合わせる場合に比べて不具合の発生頻度を抑えることが可能となる。
【0044】
保護カバー28は、例えば、ばねにテフロン(登録商標)シート等を連結して、上記のように動作させるようにしてもよい。
【0045】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、コネクタ1,1AがHDMI規格である場合を例示したが、支持体30に光伝送部21を形成するためのスペースを有するものであれば、その他の規格であってもよい。また、上記実施の形態等では、光伝送部21を電気伝送ハウジング10の上側に設けた場合について示したが、他の位置に配置するようにしてもよい。
【0046】
更に、上記実施の形態等では、コネクタ1と電子機器2とを装着する場合について説明したが、電子機器内のデバイス同士をコネクタ1により接続するようにしてもよい。また、電子機器2は、ノート型パーソナルコンピュータ以外の電子機器であってもよい。加えて、コネクタ1は、ケーブルのない、例えばUSB(登録商標)メモリ等であってもよい。
【0047】
また、更に、例えば、上記実施の形態において説明した各部の材料および厚み、または形成方法および形成条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の形成方法および形成条件としてもよい。
【0048】
なお、本技術は、以下のような構成も可能である。
(1)電気伝送部および光伝送部と、前記電気伝送部と前記光伝送部との間に設けられた仕切り部とを備えたコネクタ。
(2)前記電気伝送部は第1ハウジングの内側、前記光伝送部は前記第1ハウジングの外側にそれぞれ設けられ、前記仕切り部は前記第1ハウジングの一部により構成されている前記(1)記載のコネクタ。
(3)前記光伝送部は光伝送経路の一端にレンズを有すると共に、前記光伝送部がスライド可能な第2ハウジングを有し、前記レンズは前記第2ハウジングの前面よりも突出した第1の位置に配置され、被コネクト機器への装着時に前記第2ハウジングの内部の第2の位置まで後退する前記(2)記載のコネクタ。
(4)前記光伝送部を第2の位置から第1の位置方向へ付勢する第1ばね部材と、第1の位置で停止させる第2ばね部材とを有する前記(3)記載のコネクタ。
(5)前記第2ばね部材の前記電気伝送部との当接面は前記仕切り部の法線に対して傾斜を有し、
前記電気伝送部の前記第2ばね部材との当接面が前記傾斜に沿うことにより、前記電気伝送部は、前記仕切り部に密着する前記(4)記載のコネクタ。
(6)前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、前記第1ばね部材および前記第2ばね部材は一体化されている前記(4)または(5)に記載のコネクタ。
(7)前記レンズは前記光伝送部の前端面に設けられ、前記光伝送部の上面から前端面を覆う保護カバーを有し、前記保護カバーは、前記光伝送部が第1の位置に配置されている時に、上方向に前記光伝送部から離間した傾斜部を有すると共に前記レンズとの対向位置よりも上部に開口を有し、前記レンズを保護する前記(3)乃至(6)のうちいずれか1つに記載のコネクタ。
(8)前記保護カバーは、前記光伝送部が第2の位置に後退する際に前記傾斜部が前記第2ハウジングの内壁面に当接して下降し、前記開口が前記レンズに対向する前記(7)記載のコネクタ。
(9)前記光伝送部は被コネクト機器への装着時の位置決めを行う、位置規制部を有する前記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載のコネクタ。
(10)前記位置規制部は、テーパ状の凸部である前記(9)記載のコネクタ。
(11)装着されるコネクタと逆タイプのコネクタ部を有し、前記コネクタ部は、電気伝送部および光伝送部と、前記電気伝送部と前記光伝送部との間に設けられた仕切り部とを備えた電子機器。
【符号の説明】
【0049】
1,1A・・・コネクタ、2・・・電子機器、10,210・・・電気伝送ハウジング、11,211・・・電気伝送部、20,220・・・光伝送ハウジング、21,221・・・光伝送部、22,222・・・基体、23・・・凸部、223・・・凹部、24,224・・・レンズ、25a・・・スライド溝、25b・・・スライド壁、26・・・第1ばね部材、27・・・第2ばね部材、28・・・保護カバー、28M・・・開口、28R・・・余剰部、30,230・・・支持体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝送部および光伝送部と、
前記電気伝送部と前記光伝送部との間に設けられた仕切り部と
を備えたコネクタ。
【請求項2】
前記電気伝送部は第1ハウジングの内側、前記光伝送部は前記第1ハウジングの外側にそれぞれ設けられ、
前記仕切り部は前記第1ハウジングの一部により構成されている
請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記光伝送部は光伝送経路の一端にレンズを有すると共に、前記光伝送部がスライド可能な第2ハウジングを有し、
前記レンズは前記第2ハウジングの前面よりも突出した第1の位置に配置され、被コネクト機器への装着時に前記第2ハウジングの内部の第2の位置まで後退する
請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記光伝送部を第2の位置から第1の位置方向へ付勢する第1ばね部材と、第1の位置で停止させる第2ばね部材とを有する
請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2ばね部材の前記電気伝送部との当接面は前記仕切り部の法線に対して傾斜を有し、
前記電気伝送部の前記第2ばね部材との当接面が前記傾斜に沿うことにより、
前記電気伝送部は、前記仕切り部に密着する
請求項4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、前記第1ばね部材および前記第2ばね部材は一体化されている
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記レンズは前記光伝送部の前端面に設けられ、
前記光伝送部の上面から前端面を覆う保護カバーを有し、
前記保護カバーは、前記光伝送部が第1の位置に配置されている時に、上方向に前記光伝送部から離間した傾斜部を有すると共に前記レンズとの対向位置よりも上部に開口を有し、前記レンズを保護する
請求項3記載のコネクタ。
【請求項8】
前記保護カバーは、前記光伝送部が第2の位置に後退する際に前記傾斜部が前記第2ハウジングの内壁面に当接して下降し、前記開口が前記レンズに対向する
請求項7記載のコネクタ。
【請求項9】
前記光伝送部は被コネクト機器への装着時の位置決めを行う、位置規制部を有する
請求項1記載のコネクタ。
【請求項10】
前記位置規制部は、テーパ状の凸部である
請求項9記載のコネクタ。
【請求項11】
装着されるコネクタと逆タイプのコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、
電気伝送部および光伝送部と、
前記電気伝送部と前記光伝送部との間に設けられた仕切り部とを備えた
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−98063(P2013−98063A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240830(P2011−240830)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】