説明

コネクタモデル検出装置,コネクタモデル検出方法およびコネクタモデル検出プログラム

【課題】1または複数の部品モデルを有する3次元モデルからコネクタモデルを検出するコネクタモデル検出装置を提供する。
【解決手段】コネクタモデル検出装置10において,3次元モデルデータ入力部11は,部品モデルのデータを入力する。特徴形状抽出部12は,入力された部品モデルから所定の特徴形状を抽出する。コネクタ判定部14は,部品モデルから抽出された特徴形状がコネクタ条件記憶部15に記憶された所定のコネクタ条件を満たす場合に,その部品モデルがコネクタモデルであると認識する。コネクタ情報取得部16は,認識されたコネクタモデルの識別情報や,コネクタピンの位置,方向などのコネクタ情報を取得する。検出結果出力部17は,3次元CADなどが備えるハーネス設定機能部30に,コネクタモデルの検出結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,3次元モデルからコネクタモデルを検出する技術に関するものであり,特に,コネクタモデルが有する特徴形状に関する条件判定によって,コネクタモデルを認識するコネクタモデル検出装置,コネクタモデル検出方法およびコネクタモデル検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスやケーブルハーネス(以下,ハーネスと呼ぶ)などが組み込まれた機械製品や装置の開発においては,ハーネスの配線経路を3次元的に設計することが行われている。
【0003】
図7は,ハーネスの3次元設計の例を示す図である。
【0004】
図7(A)に示すように,作業者は,例えば,機械系3次元CADを使用して製品の3次元モデル(以下,製品モデル300と呼ぶ)を作成した後,その製品モデル300上にハーネスの3次元モデル(以下,ハーネスモデル400と呼ぶ)を作成し,製品とハーネスの配置関係を確認しながらハーネスの配線経路を設計する。
【0005】
図7(B)に示すように,ハーネスモデル400の形状を生成するためには,作業者が,ハーネスの始点や終点,通過点の位置と接線方向,およびハーネスの長さや太さを設定する必要がある。ハーネスモデル400の始点と終点には,コネクタの3次元モデル(コネクタモデル500)が接続される。
【0006】
図8は,コネクタモデルの例を示す図である。
【0007】
コネクタは,多くの場合,円,長方形または台形などの外形形状の中に,同一形状のピンが規則正しく配置された形状をしている。また,コネクタには,ピンが付いたコネクタ(オス)と,ピンと接続されるソケットが付いたコネクタ(メス)とがあり,互いに接続可能な組み合わせが存在する。
【0008】
図8(A)〜図8(D)に示すように,コネクタ枠の形状やピンの形状,ピン数,ピンの配置などが異なる,多種多様のコネクタモデル500が存在する。
【0009】
ハーネスの始点/終点の位置と接線方向は,コネクタのピンの位置と方向に一致する。そのため,ハーネスモデル400の始点/終点の位置と接線方向を設定するためには,作業者が,製品モデル300を構成する部品モデル全体の中からコネクタモデル500を選択し,コネクタモデル500上のピンの位置と方向を設定することになる。
【0010】
具体的には,製品モデル300にハーネスモデル400を設定する作業者が,製品モデル300を3次元表示する画面上で,カーソル操作によりコネクタモデル500を選択する。作業者は,ピンの位置を,コネクタモデル500上に対してカーソルで指定するか,座標値で指定する。また,ピンの方向を,コネクタモデル500の表面の法線方向や座標系の回転で指定する。
【0011】
なお,コネクタを撮像したカメラ画像や距離画像から,コネクタの位置や方向を検出する術が知られている。
【特許文献1】特許第3361134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように,ハーネスモデル400設定時のコネクタモデル500の指定作業は,製品モデル300を画面上で回転させてコネクタモデル500を探すなど,作業者が手作業で行っていた。そのため,設定作業に時間がかかったり,作業者が設定を間違ったりすることがあった。
【0013】
本発明は,上記の課題を解決するため,1または複数の部品モデルを有する3次元モデルから,コネクタモデルを容易に検出することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1または複数の部品モデルを有する3次元モデルからコネクタモデルを検出するコネクタモデル検出装置は,抽出する特徴形状の指定情報を記憶する特徴形状指定情報記憶部と,検出したいコネクタモデルが有する特徴形状に関する条件を示すコネクタ条件を記憶するコネクタ条件記憶部と,部品モデルから特徴形状の指定情報により指定された特徴形状を抽出する特徴形状抽出部と,抽出された特徴形状がコネクタ条件を満たす場合に,部品モデルをコネクタモデルと認識するコネクタ判定部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
3次元の部品モデルからコネクタモデルが有する特徴形状を抽出し,コネクタモデルが有する特徴形状に関する条件でその部品モデルがコネクタモデルであるか否かを判定することにより,1または複数の部品モデルを有する3次元モデルから,コネクタモデルである部品モデルを容易に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
【0017】
図1は,本実施の形態によるコネクタモデル検出装置の構成例を示す図である。
【0018】
3次元のデジタルモデルであるコネクタモデルは,円,長方形または台形などの外形形状(以下,コネクタ枠と呼ぶ)の中に,同一形状のピン(以下,コネクタピンと呼ぶ)が規則正しく配置されているものが多い。
【0019】
コネクタモデル検出装置10は,このようなコネクタモデルの特徴を利用して,3次元のアセンブリモデルを構成する要素モデルである部品モデルから,コネクタモデルを検出する。さらに,コネクタモデル検出装置10は,そのコネクタモデルのコネクタピンの部位を自動的に検出し,そのコネクタピンの位置と方向とを求める。
【0020】
コネクタモデル検出装置10は,例えば,製品の3次元モデルにハーネスモデルの設定を行うハーネス設定機能部30を有する3次元CADやデジタルモックアップ等に備えられる。
【0021】
コネクタモデル検出装置10は,コンピュータが備えるCPU/メモリ等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって実現される。コネクタモデル検出装置10は,3次元モデルデータ入力部11,特徴形状抽出部12,特徴形状指定情報記憶部13,コネクタ判定部14,コネクタ条件記憶部15,コネクタ情報取得部16,検出結果出力部17,特徴形状指定情報/コネクタ条件登録部18,コネクタ対応情報記憶部19を備える。
【0022】
コネクタモデル検出装置10の入力データは,3次元モデルデータ記憶部20に格納された,アセンブリモデルを構成する1または複数の部品モデルの3次元デジタルモデルデータである。ここでは,部品モデルのデータ形式は,VRML(Virtual Reality Modeling Language )やSTL(Standard Triangulated Language)などの汎用ファーマットで使用されている,3角形ポリゴン形式であるものとする。
【0023】
3次元モデルデータ入力部11は,部品モデルの3角形ポリゴンデータを入力する。
【0024】
特徴形状抽出部12は,入力された部品モデルのポリゴンデータから,円柱面や角柱面などのコネクタモデルに含まれる所定の特徴形状を抽出する。
【0025】
特徴形状抽出部12によって抽出される特徴形状は,抽出される特徴形状の指定情報として設定され,特徴形状指定情報記憶部13に記憶される。コネクタに用いられている特徴形状は,多種多様である。円柱や四角柱などの典型的なコネクタモデルに用いられている特徴形状については,あらかじめライブラリ化して登録しておいてもよい。
【0026】
図2は,本実施の形態による特徴形状の抽出の例を説明する図である。
【0027】
3次元のポリゴンデータから特徴形状を抽出する技術としては,ポリゴンセグメンテーションなどの公知技術がある(例えば,参考文献1参照)。
【0028】
〔参考文献1〕
Marco Attene, Bianca Falcidieno and Michela Spagnuolo ,“Hierarchical mesh segmentation based on fitting primitives”,The Visual Computer 22(3): 181-193, 2006. ,http://www.ima.ge.cnr.it/ima/personal/attene/PersonalPage/attene.html
例えば,図2に示すように,特徴形状抽出部12は,ポリゴンセグメンテーションの技術を用いて,ポリゴンデータから特徴形状を抽出する。ここでは,抽出する特徴形状として円柱面が指定されており,ポリゴンデータから円柱面が抽出される。このとき,例えば,円柱面の中心軸や半径,高さ,位置,方向など,抽出された特徴形状の情報が得られる。
【0029】
なお,入力された部品データに特徴形状の情報が含まれている場合もある。このような場合には,特徴形状抽出部12は,入力された部品データから特徴形状の情報を抽出する。
【0030】
コネクタ判定部14は,抽出された複数の特徴形状が所定のコネクタ条件を満たすか否かを判別する。部品モデルから抽出された特徴形状が所定のコネクタ条件を満たす場合には,コネクタ判定部14は,その部品モデルをコネクタモデルと認識する。
【0031】
コネクタ条件は,あらかじめ設定され,コネクタ条件記憶部15に記憶される。コネクタ条件については,コネクタモデルの検出を行うたびにユーザが設定するようにしてもよいし,典型的なコネクタモデルについてあらかじめライブラリ化して登録しておいてもよい。
【0032】
図3は,本実施の形態によるコネクタ条件の例を示す図である。
【0033】
図3に示すコネクタ条件テーブル150は,コネクタの種類ごとに,コネクタモデルを一意に識別するコネクタID,コネクタ枠に関する条件を示す条件A,コネクタピンに関する条件を示す条件B,コネクタピンの数に関する条件を示す条件Cを有するコネクタ条件を持つ。
【0034】
条件Aには,検出するコネクタモデルのコネクタ枠の形状や大きさの条件が指定されている。条件Bには,検出するコネクタモデルのコネクタピンの形状や大きさの条件が指定されている。条件Cには,検出するコネクタモデルが有するコネクタピンのピン数の条件が指定されている。
【0035】
図4は,本実施の形態によるコネクタ判定の例を説明する図である。
【0036】
ここでは,図4に示すコネクタモデル200を例に,コネクタモデルの検出を説明する。
【0037】
図4に示すコネクタモデル200を抽出するためのコネクタ条件は,図3に示すコネクタ条件テーブル150において,コネクタAとして設定されたコネクタ条件である。すなわち,図4に示すコネクタモデル200は,円の直径がD1の円柱面であるコネクタ枠201を持つ(条件A)。コネクタ枠201の内部には,円の直径がD2の円柱面であるコネクタピン202が存在する(条件B)。コネクタ枠201の内部に存在するコネクタピン202の数は4つである(条件C)。
【0038】
コネクタ判定部14は,部品データから抽出された特徴形状の中に,円の直径がD1である円柱面S1が存在することを確認する(条件Aの判定)。円柱面S1の存在が確認されると,コネクタ判定部14は,円柱面S1の内部に,円の直径がD2である円柱面S2が存在することを確認する(条件Bの判定)。円柱面S2の存在が確認されると,コネクタ判定部14は,円柱面S1の内部に存在する円柱面S2の数が4つであることを確認する(条件Cの判定)。これらの3つの条件がクリアされると,コネクタ判定部14は,その部品データが,コネクタAのコネクタモデル200であると認証する。
【0039】
なお,本実施の形態では,コネクタ枠の形状と大きさ,コネクタピンの形状と大きさ,コネクタピンのピン数のコネクタ条件を用いてコネクタ判定を行っているが,さらに詳細なコネクタ条件を用いてコネクタ判定を行うようにしてもよい。
【0040】
例えば,コネクタは,切り欠きなどの,回転対称にならないようにするための特別な形状を持っている。図4に示すコネクタモデル200にも,突起状の切り欠き203が存在する。切り欠き203からの相対的なコネクタピン202の位置条件をコネクタ条件に含めれば,さらに詳細なコネクタ判定を行うことが可能となる。
【0041】
コネクタ情報取得部16は,認識されたコネクタモデルに関する情報を取得する。認識されたコネクタモデルに関する情報としては,例えば,認識されたコネクタモデルのコネクタIDや,コネクタピンの位置や方向の情報,各コネクタピンのピン番号の情報などがある。
【0042】
コネクタピンの位置や方向は,特徴形状として抽出されたコネクタピンの円柱の中心軸から得ることができる。なお,コネクタピンの方向とコネクタの方向とは,たいていの場合一致する。
【0043】
複数のコネクタピンを持つコネクタの各コネクタピンに,それぞれピン番号が付けられている場合がある。コネクタには,回転対象にならないように切り欠きなどが設けられており,対応する2つのコネクタを結合するときに互いのピン番号が合うような仕組みになっている。コネクタ情報取得部16は,認識されたコネクタモデルから抽出された切り欠きなどの特徴形状を目印とし,各コネクタピンのピン番号を得ることができる。
【0044】
検出結果出力部17は,コネクタモデルの検出結果として,認識されたコネクタのコネクタ情報を出力する。出力データとしては,例えば,検出されたコネクタモデルの識別情報や,部品モデルの座標系に対する位置ベクトルなどの位置情報,方向ベクトルなどの方向情報などが出力される。
【0045】
ハーネス設定機能部30は,3次元CADやデジタルモックアップ等において,ハーネスモデルの設定を行う機能を提供する手段である。ハーネス設定機能部30は,コネクタモデル検出装置10による検出結果として,検出されたコネクタモデルに関する位置や方向などのコネクタ情報を取得する。
【0046】
検出されたコネクタモデルの位置情報に基づいて,ハーネスモデルの設定を行うユーザに対して,製品の3次元モデル上でのコネクタモデルの位置を提示したり,コネクタピンの位置をハーネスモデルの始点/終点として設定するなどのサポートを行うことができる。また,コネクタピンの方向情報に基づいて,ハーネスモデルの接線方向の設定をサポートすることができる。また,コネクタ情報にピン番号の情報が含まれる場合には,ハーネスモデル側のコネクタモデルとの結合をサポートすることができる。
【0047】
このように,本実施の形態によるコネクタモデル検出装置10によって,コネクタモデルである部品モデルのコンピュータによる検出が容易に可能となる。その検出結果や検出されたコネクタモデルの情報をユーザに提示することにより,ユーザのハーネスモデル設定時におけるコネクタモデルを探す手間や,設定作業の手間を省くことができるようになる。
【0048】
上述の特徴形状指定情報や,コネクタ条件などを,回路設計データなどから取り込むことにより,容易に登録することもできる。
【0049】
特徴形状指定情報/コネクタ条件登録部18は,例えば,回路設計データを取り込み,回路設計データ中のコネクタ部位の設計データを変換して,そのコネクタに用いられた特徴形状や,コネクタ枠,コネクタピンなどに関する情報を取得し,特徴形状指定情報記憶部13やコネクタ条件記憶部15に登録する。
【0050】
このように,コネクタの設計データから自動的に特徴形状の指定情報やコネクタ条件を登録することにより,ユーザによる特徴形状指定情報設定やコネクタ条件設定の手間を省くことができる。
【0051】
コネクタ条件が同じもしくは類似するコネクタモデルが複数存在するケースが考えられる。このとき,同じコネクタ条件で,種類の異なるコネクタモデルが複数検出される可能性がある。このような場合,ハーネスモデルの設定時には,ハーネス設定機能部30が複数の類似するコネクタモデルの検出結果をユーザに提示し,その中から設定するハーネスモデルの始点/終点となるコネクタモデルを選択してもらう必要がある。このとき,検出された各コネクタモデルのコネクタ条件を満たしている度合いを数値化したものをユーザに提示することにより,ユーザのコネクタモデルの選択を支援することができる。
【0052】
検出されたコネクタモデルのコネクタ条件を満たしている度合い数値化する一例として,特徴形状の大きさや配置関係から,検出したいコネクタモデルと認識されたコネクタモデルとの一致度を算出する例を説明する。
【0053】
特徴形状抽出部12は,部品モデルから特徴形状を抽出する場合に,特徴形状として部品モデルから抽出される部位の形状と,その特徴形状との類似度を算出する。ポリゴンデータでは部品モデルの形状が三角形の集合で表現されているため,例えば円柱の抽出においても,完全に円柱形の部位が抽出されるのではなく,閾値などを用いて円柱形との類似度が高い部位が円柱として抽出される。
【0054】
コネクタ判定部14は,抽出された特徴形状を用いて部品モデルのコネクタ判定を行う場合に,閾値などを用いた近似判定を行う。例えば,コネクタ枠やコネクタピンの大きさの条件判定を行うような場合に,コネクタ条件で指定された大きさとが完全一致する特徴形状を抽出することは難しく,閾値などを用いてコネクタ条件で指定された大きさに近似する特徴形状が存在するか否かの判定を行う。このように,コネクタ判定部14は,コネクタ条件で指定された数値条件との近似度合いによって,部品モデルのコネクタ判定を行う。
【0055】
コネクタ情報取得部16は,特徴形状抽出部12において抽出された特徴形状の類似度を示す値や,コネクタ判定部14においてコネクタ条件で指定された数値条件との近似度を示す値を取得し,それらの数値を所定の計算式に当てはめて,検出したいコネクタモデルと認識されたコネクタモデルとの一致度を算出する。
【0056】
ハーネス設定機能部30は,検出結果として各コネクタモデルのコネクタ条件を満たしている度合いを数値化した情報を取得すると,それらの数値が高い順に検出されたコネクタモデルを表示するなどして,ユーザのコネクタモデル選択の支援を行う。
【0057】
このように,コネクタ条件が同じもしくは類似するコネクタモデルが複数存在するような場合でも,ユーザは検出されたコネクタモデルの数値情報を見てコネクタモデルを選択できるようになるため,ユーザの負担が軽減される。
【0058】
ハーネスモデルの設定において,ユーザが製品モデルに取り付けられているコネクタモデルに直接ハーネスモデルを設定する場合がある。また,ハーネスモデル側にもコネクタモデルがあり,ユーザが製品モデル側のコネクタモデルとハーネスモデル側のコネクタモデルとを結合することによりハーネスモデルを設定する場合がある。
【0059】
コネクタ対応情報記憶部19は,あらかじめ設定された,互いに結合可能なコネクタの組合せを示すコネクタ対応情報を記憶する。
【0060】
図5は,本実施の形態によるコネクタ対応情報の例を示す図である。
【0061】
図5に示すコネクタ対応テーブル190では,互いに結合可能なコネクタのコネクタID(a)とコネクタID(b)との組合せが指定されている。
【0062】
例えば,製品のアセンブリモデルからコネクタIDが“Con_001”のコネクタモデルが検出された場合に,そのコネクタモデルを始点/終点とするハーネスモデルの端に必要となるコネクタモデルは,図5に示すコネクタ対応テーブル190から,コネクタIDが“Con_101”のコネクタモデルとなる。
【0063】
コネクタ情報取得部16は,コネクタ対応情報に基づいて,認識されたコネクタモデルと結合可能なコネクタモデルの情報を取得する。
【0064】
ハーネス設定機能部30は,検出結果として検出されたコネクタモデルと結合可能なコネクタモデルの情報を取得すると,検出されたコネクタモデルと結合可能なコネクタモデルを,設定するハーネスモデルの一部として自動的に生成する。
【0065】
これにより,ユーザが設定するハーネスモデル側の端となるコネクタモデルを自分で探すという手間を省けるため,ユーザの負担が軽減される。
【0066】
図6は,本実施の形態のコネクタモデル検出装置によるコネクタモデル検出処理のフローチャートである。
【0067】
ここでは,製品のアセンブリモデルを構成する各部品モデルについて,それぞれコネクタモデルであるか否かの判定を行うことにより,コネクタモデルを検出する例の流れを説明する。なお,コネクタ条件は,図3のコネクタ条件テーブル150に示すような,コネクタ枠の形状と大きさの条件(条件A),コネクタピンの形状と大きさの条件(条件B),コネクタピンの数の条件(条件C)の3つの条件を有するコネクタ条件であるものとする。
【0068】
コネクタモデル検出装置10において,3次元モデルデータ入力部11は,部品モデルを入力する(ステップS10)。例えば,3次元モデルデータ入力部11が,製品のアセンブリモデルから部品モデルを1つ選択し,そのポリゴンデータを入力する。
【0069】
特徴形状抽出部12は,入力された部品モデルから,所定の特徴形状を抽出する(ステップS11)。例えば,特徴形状抽出部12は,入力された部品モデルのポリゴンデータから,ポリゴンセグメンテーションなどの技術を用いて,円柱,四角柱などの所定の特徴形状を抽出する。所定の特徴形状は,特徴形状の指定情報で指定された特徴形状である。検出したいコネクタモデルが有する特徴形状の指定情報が,特徴形状指定情報記憶部13にあらかじめ設定されている。
【0070】
コネクタ判定部14は,部品モデルから抽出された特徴形状を1つ選択する(ステップS12)。
【0071】
コネクタ判定部14は,条件Aの判定を行う(ステップS13)。例えば,図3のコネクタ条件テーブル150のコネクタAの判定の場合,コネクタ判定部14は,選択された特徴形状が,円の直径がD1の円柱面S1であるかを判定する。
【0072】
条件Aの判定がOKであれば(ステップS13のOK),コネクタ判定部14は,条件Bの判定を行う(ステップS14)。例えば,図3のコネクタ条件テーブル150のコネクタAの判定の場合,コネクタ判定部14は,選択された特徴形状が円の直径がD1の円柱面S1であれば,選択された特徴形状の内部に円の直径がD2である円柱面S2が存在するかを確認する。
【0073】
条件Bの判定がOKであれば(ステップS14のOK),コネクタ判定部14は,条件Cの判定を行う(ステップS15)。例えば,図3のコネクタ条件テーブル150のコネクタAの判定の場合,コネクタ判定部14は,選択された特徴形状の内部に円の直径がD2である円柱面S2が存在すれば,選択された特徴形状の内部に存在する円柱面S2の数が4つであるかを確認する。
【0074】
条件Cの判定がOKであれば(ステップS15のOK),コネクタ判定部14は,その部品モデルはコネクタモデルであると認識する(ステップS16)。例えば,図3のコネクタ条件テーブル150のコネクタAの判定の場合,コネクタ判定部14は,選択された特徴形状の内部に存在する円柱面S2の数が4つであれば,コネクタ判定中の部品モデルがコネクタAのコネクタモデルであると認識する。
【0075】
コネクタ情報取得部16は,認識されたコネクタモデルに関するコネクタ情報を取得する(ステップS17)。例えば,コネクタ情報取得部16は,認識されたコネクタモデルの識別情報や,コネクタピンの位置情報,方向情報などのコネクタ情報を取得する。
【0076】
条件A〜条件Cのいずれかの判定においてNGであるときに(ステップS13のNG,ステップS14のNG,ステップS15のNG),コネクタ判定部14は,他に未処理の特徴形状があれば(ステップS18のNO),ステップS12に戻って次の特徴形状を選択する。抽出されたすべての特徴形状について,処理が終了していれば(ステップS18のYES),コネクタ判定部14は,その部品モデルはコネクタ条件に該当するコネクタモデルではないと判断する(ステップS19)。
【0077】
図6に示すようなコネクタモデル検出処理を,製品のアセンブリモデルを構成する各部品モデルについて実行すれば,製品のアセンブリモデルにおけるコネクタモデルの検出結果が得られる。
【0078】
なお,図6に示すコネクタモデル検出処理では,1種類のコネクタのコネクタ条件でコネクタモデルの検出を行っているが,複数種類のコネクタモデルのコネクタ条件でコネクタモデルの検出を行うようにしてもよい。
【0079】
例えば,図6に示すコネクタモデル検出処理において,コネクタモデル検出装置10が,コネクタ条件テーブル150に設定されたすべてのコネクタの種類(コネクタA,コネクタB,... )について,ステップS13〜ステップS15の条件判定を行えば,複数種類のコネクタモデルを検出することができる。
【0080】
コネクタ条件テーブル150に設定された複数種のコネクタのコネクタ条件からユーザに1つを指定させて処理を行えば,コネクタモデル検出装置10は,ユーザに指定された特定のコネクタモデルの検出を行うことができる。
【0081】
以上説明したコネクタモデル検出装置10による処理は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0082】
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態によるコネクタモデル検出装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態による特徴形状の抽出の例を説明する図である。
【図3】本実施の形態によるコネクタ条件の例を示す図である。
【図4】本実施の形態によるコネクタ判定の例を説明する図である。
【図5】本実施の形態によるコネクタ対応情報の例を示す図である。
【図6】本実施の形態のコネクタモデル検出装置によるコネクタモデル検出処理のフローチャートである。
【図7】ハーネスの3次元設計の例を示す図である。
【図8】コネクタモデルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 コネクタモデル検出装置
11 3次元モデルデータ入力部
12 特徴形状抽出部
13 特徴形状指定情報記憶部
14 コネクタ判定部
15 コネクタ条件記憶部
16 コネクタ情報取得部
17 検出結果出力部
18 特徴形状指定情報/コネクタ条件登録部
19 コネクタ対応情報記憶部
20 3次元モデルデータ記憶部
30 ハーネス設定機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の部品モデルを有する3次元モデルから,コネクタモデルを検出するコネクタモデル検出装置であって,
抽出する特徴形状の指定情報を記憶する特徴形状指定情報記憶部と,
検出したいコネクタモデルが有する特徴形状に関する条件を示すコネクタ条件を記憶するコネクタ条件記憶部と,
前記部品モデルから前記特徴形状の指定情報により指定された特徴形状を抽出する特徴形状抽出部と,
前記抽出された特徴形状が前記コネクタ条件を満たす場合に,前記部品モデルをコネクタモデルと認識するコネクタ判定部とを備える
ことを特徴とするコネクタモデル検出装置。
【請求項2】
前記抽出された特徴形状の位置および方向の情報に基づいて,前記認識されたコネクタモデルが有するコネクタピンの位置および方向の情報を取得するコネクタ情報取得部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタモデル検出装置。
【請求項3】
互いに結合可能なコネクタの組合せを示すコネクタ対応情報を記憶するコネクタ対応情報記憶部を備え,
前記コネクタ情報取得部は,前記コネクタ対応情報に基づいて,前記認識されたコネクタモデルに対応するコネクタモデルの情報を取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタモデル検出装置。
【請求項4】
抽出する特徴形状の指定情報と,検出したいコネクタモデルが有する特徴形状に関する条件を示すコネクタ条件とを記憶する記憶部を備えたコンピュータによって,1または複数の部品モデルを有する3次元モデルから,コネクタモデルを検出するコネクタモデル検出方法であって,
前記コンピュータが,
前記部品モデルから前記記憶部に記憶された特徴形状の指定情報により指定された特徴形状を抽出する過程と,
前記抽出された特徴形状が前記記憶部に記憶されたコネクタ条件を満たす場合に,前記部品モデルをコネクタモデルと認識する過程とを実行する
ことを特徴とするコネクタモデル検出方法。
【請求項5】
1または複数の部品モデルを有する3次元モデルからのコネクタモデルの検出を,コンピュータに実行させるためのプログラムであって,
前記コンピュータを,
抽出する特徴形状の指定情報を記憶する特徴形状指定情報記憶部と,
検出したいコネクタモデルが有する特徴形状に関する条件を示すコネクタ条件を記憶するコネクタ条件記憶部と,
前記部品モデルから前記特徴形状の指定情報により指定された特徴形状を抽出する特徴形状抽出部と,
前記抽出された特徴形状が前記コネクタ条件を満たす場合に,前記部品モデルをコネクタモデルと認識するコネクタ判定部として
機能させるためのコネクタモデル検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−113561(P2010−113561A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286094(P2008−286094)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】