説明

コネクタ及びコネクタユニット

【課題】簡単な構造の繰り返し挿抜可能なアーク発生を防止できるのコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタユニット1はコネクタ2と、コネクタ2に嵌合可能な相手方コネクタ17とを備えている。コネクタ2はハウジング3と端子9とを備えている。端子9の相手方端子26との接触部12には微細な凹凸13を設け、凹凸13にはアーク発生防止剤として耐アーク性のグリースが塗布されている。相手方コネクタ17は相手方ハウジング18と相手方端子26とを備えている。相手方端子26の端子9との接触部29には微細な凹凸32を設け、凹凸32にはアーク発生防止剤として耐アーク性のグリースが塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子に塗布したアーク発生防止剤を保持することが可能なコネクタ及びコネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には多くの電子機器が搭載されており、電子機器はワイヤハーネスを介して、自動車や他の電子機器と接続されている。ワイヤハーネスと電子機器とは、それぞれが備えたコネクタ同士が嵌合することにより接続され、ワイヤハーネスは電子機器に電力や制御信号等を伝達する。
【0003】
嵌合して電気的に接続しているコネクタ同士が外されると、接触していたコネクタの端子同士は離れる。この際、コネクタに加わる電圧が高い場合は、端子同士が離れる瞬間に端子同士の間でアーク放電が発生する。このアーク放電により、端子は溶解して形状が変化し、端子間の接触不良を引き起こす虞がある。またコネクタの挿抜を繰り返すことにより、アーク放電による端子の形状が著しく変形し、挿抜不能の状態になる虞もある。特に自動車においては、電源の高電圧化により、アーク放電による端子への影響は甚大である。
【0004】
この種の問題を解決するために、様々なコネクタが用いられてきた(例えば特許文献1参照)。この種のコネクタは、互いに嵌合可能な相手方コネクタの相手方端子と接触して電気的に接続する端子と、アーク抑止体とを備えている。アーク抑止体は、導電性物質よりなり、前記端子と電気的に接続されている。アーク抑止体は、接触していた前記端子と相手方端子とが離れた時に、相手方端子と接触して、前記端子と相手方端子を電気的に接続する位置に設けられている。
【0005】
アーク抑止体と端子とを備えたコネクタと、相手方端子を備えた相手方コネクタとが嵌合している場合、前記端子と相手方端子とは接触し電気的に接続されている。前記コネクタと相手方コネクタとが外されると、前記端子と相手方端子とが離れる。アーク抑止体は、前記端子が相手方端子から離れた後も相手方端子と接触を続け、コネクタ間の電気的な接続を維持する。これにより、アーク抑止体は、前記端子と相手方端子との間で起こり得るアーク放電を抑制する。最後に電気的接続が切断されるアーク抑止体と相手方端子との間では、アーク放電が起こり得る。しかし、アーク抑止体は端子と比較して非常に薄く金属供給が直ちに停止するため、アーク放電はすぐに消滅する。アーク放電によりアーク抑止体の一部は溶損するが、相手方端子の損傷は少ない。
【特許文献1】特開2003−249302
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1等に記載されたコネクタは、アーク抑止体を備えていた。このため、コネクタの構造が複雑になり生産コストが高くなる傾向があった。またアーク抑止体の相手方端子との接触部は、アーク放電が起こると容易に溶損し、溶損した接触部はアーク抑止体として機能しなくなっていた。
【0007】
したがって、本発明の目的は、簡単な構造の、繰り返し挿抜可能なアーク発生を防止できるコネクタ及びコネクタユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のコネクタは、互いに嵌合可能な相手方コネクタの相手方端子と接触して電気的に接続する端子を備えたコネクタにおいて、前記端子の前記相手方端子との接触部に微細な凹凸を設けるとともに、前記凹凸にアーク発生防止剤を塗布したことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項1に記載のコネクタと、前記コネクタに嵌合可能な相手方コネクタとを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載した本発明のコネクタによれば、端子の接触部に微細な凹凸を設け、凹凸にアーク発生防止剤を塗布している。このため、塗布されたアーク発生防止剤は、接触部の凹凸により効果的に保持され、他部へ流出しにくい。
【0011】
請求項2に記載した本発明のコネクタユニットによれば、端子の接触部に微細な凹凸を設け、凹凸にアーク発生防止剤を塗布している。このため、塗布されたアーク発生防止剤は、接触部の凹凸により効果的に保持され、他部へ流出しにくい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、端子の接触部に微細な凹凸を設け、凹凸にアーク発生防止剤を塗布している。このため、塗布されたアーク発生防止剤は、接触部の凹凸により効果的に保持され、他部へ流出しにくい。したがって、簡単な構造でありながら、繰り返される挿抜作業においても、アーク発生防止剤により接触部間でのアーク放電を抑制することができる。またアーク放電が発生しても、接触部はアーク発生防止剤で覆われているため、直接アークに触れることはなく、アーク放電による溶損は少ない。したがって、アーク放電による端子の溶損を抑制することができる。
【0013】
また、端子の接触部に微細な凹凸を設けているため、接触部間の接触面積が小さい。つまり、アーク放電が発生しても、金属供給は少なく、アーク放電を低減することができる。したがって、アーク放電による端子の溶損を抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、端子の接触部に微細な凹凸を設け、凹凸にアーク発生防止剤を塗布している。このため、塗布されたアーク発生防止剤は、接触部の凹凸により効果的に保持され、他部へ流出しにくい。したがって、簡単な構造でありながら、繰り返される挿抜作業においても、アーク発生防止剤により接触部間でのアーク放電を抑制することができる。またアーク放電が発生しても、接触部はグリースで覆われているため、直接アークに触れることはなく、アーク放電による溶損は少ない。したがって、アーク放電による端子の溶損を抑制することができる。
【0015】
また、端子の接触部に微細な凹凸を設けているため、接触部間の接触面積が小さい。つまり、アーク放電が発生しても、金属供給は少なく、アーク放電を低減することができる。したがって、アーク放電による端子の溶損を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかるコネクタユニットを、図1ないし図5を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかるコネクタユニット1は、図1に示すように、コネクタ2と、コネクタ2に嵌合可能な相手方コネクタ17と、を備えている。コネクタ2は、ハウジング3と、端子9とを備えている。相手方コネクタ17は、相手方ハウジング18と、相手方端子26とを備えている。
【0017】
ハウジング3は、絶縁性の合成樹脂からなり、図1に示すように、筒状に成形されている。ハウジング3は、開口部の一方にはハウジング収容室4を備え、相手方ハウジング18を収容する。開口部の他方には端子収容室8を備え、端子9を収容する。ハウジング収容室4の上壁5の内面6には、係合受け部としてのロック穴7が設けられている。ロック穴7は、上壁5の内面6から凹に形成され、上壁5を貫通していない。ロック穴7は、後述する相手方ハウジング18の係合突起25と係合可能である。
【0018】
端子9は、導電性の板金等からなり、図1に示すように、ハウジング3の端子収容室8に収容されている。端子9は、電線15と接続される電線接続部10と、相手方端子26と接触する接触部12と、を備えている。電線接続部10は、複数のかしめ片11を備えている。かしめ片11は、電線15の端末をかしめ、電線15の芯線16と電気的に接続する。
【0019】
接触部12は、略棒状に形成され、図1に示すように、嵌合する相手方コネクタ17に対向する方向に、ハウジング収容室4内に突出して設けられている。接触部12は、ハウジング3と相手方ハウジング18とが嵌合すると、図3ないし図5に示すように、相手方端子26の接触部29と接触し、端子9と相手方端子26とは電気的に接続する。接触部12の表面には、図2に示すように、微細な凹凸13が設けられている。
【0020】
凹凸13の凹みは、直径1μm〜500μm程度の丸形に形成されている。凹凸13は、凹凸形状を持つロールによる圧延により、端子成形前の板金時等に形成する。凹凸13は、端子成形時に、表面が凹凸である金型によるプレスにより形成してもよい。また凹凸13は、端子成形後に、セラミック、ガラスや金属等のショット材を用いたショットピーニングにより形成してもよい。凹凸13には、アーク発生防止剤として後述する構成のアーク発生を防止するグリースが塗布され、図1及び2に示すように、グリース層14が形成されている。グリースは、ディップコーティングにより凹凸13に塗布する。グリースは、刷毛等の塗布具により直接塗布してもよい。
【0021】
相手方ハウジング18は、図1に示すように、絶縁性の合成樹脂からなる。相手方ハウジング18は、端子収容室19とロックアーム21とを備えている。端子収容室19は、筒状に成形され、相手方端子26を収容する。
【0022】
ロックアーム21は、図1に示すように、端子収容室19の上壁20に平行な壁23と、上壁20と壁23とを連結する連結壁22と、を一体に備え、側面から見て倒立L字状に形成されている。ロックアーム21は、可撓性を有している。ロックアーム21は、壁23の外面24から凸に、係合部としての係合突起25を備えている。相手方ハウジング18がハウジング収容室4に収容されると、ロックアーム21の壁23の外面24と、ハウジング収容室4の上壁5の内面6とが接し、係合突起25とロック穴7とは係合する。
【0023】
相手方端子26は、導電性の板金等からなり、図1に示すように、電線15と接続される電線接続部27と、端子9と接触する接触部29と、を備えている。電線接続部27は、複数のかしめ片28を備えている。かしめ片28は電線15の端末をかしめ、電線15の芯線16と電気的に接続する。
【0024】
接触部29は、略箱状に形成され、図1に示すように、嵌合するコネクタ2に対向する方向に開口している。接触部29は、内側の上面には板状接触片30が設けられており、内側の下面には弾性接触片31が設けられている。接触部29は、ハウジング3と相手方ハウジング18とが嵌合すると、図5に示すように、板状接触片30と弾性接触片31とが端子9の接触部12を挟持し、端子9と相手方端子26とは電気的に接続する。接触部29の表面には、図2に示すように、微細な凹凸32が設けられている。凹凸32は、端子9の接触部12に設けられた凹凸13と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0025】
アーク発生防止剤としてのグリースは、後述する基油、増ちょう剤、添加物から構成される。構成比としては、基油が95〜70重量%、増ちょう剤と添加剤が5〜30重量%である。増ちょう剤の割合を増加させると、アーク発生はより防止できる一方、グリースの体積抵抗率が増大し通電性が低下する。増ちょう剤は15重量%以下、添加剤は10重量%以下がよい。また、グリースのちょう度が比較的高いものや、基油の粘度が比較的低いものは、凹凸13、32に塗布した際に、他部に流出しにくく外観の損害や埃等の付着を防ぐことが可能である。
【0026】
基油は、鉱物油系では、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油がアーク発生をより防止できる。合成油系では、ポリオールエステル油、ポリアルキレングリコール油、ジエステル油、次いでポリ−α−オレフィン油、最後にジフェニルエーテル油がアーク発生をより防止できる。以上の基油から、一種または二種以上が選択可能である。同種の基油の場合には、粘度が低い方がアーク発生をより防止できる。これは、粘度が低いと糸引き性即ち追従性がなく接触部への塗れ性に優れるため、十分なグリース層が形成されるためである。
【0027】
増ちょう剤は、有機化ベントナイト、カルシウム複合石けん、次いでウレア化合物、リチウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けんがアーク発生をより防止できる。。以上の増ちょう剤から、一種又は二種以上が選択可能である。有機化ベントナイトを含むグリースは、粒子形状によっては通電しないこともあるが、粒状にして基油に添加すると通電性が向上する。
【0028】
添加剤は、酸化防止剤、帯電防止剤、増粘剤から、一種又は二種以上が選択可能である。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系とカチオン系との混合界面活性剤から、一種又は二種以上が選択可能である。
【0029】
本実施形態では、アーク発生を防止するグリースとして以上のような構成のグリースを用いる。なお、前記グリースは絶縁性である。凹凸13、32に絶縁性のグリースを塗布しても、図5に示すように、接触部12、29同士が直接接触している場合、又は図4に示すように、接触部12、29同士が薄いグリース層14、33を介して接触している場合は、通電可能である。
【0030】
前述した構成のコネクタ2と相手方コネクタ17とを嵌合させる際には、まず、図1に示すように、コネクタ2のハウジング収容室4に、相手方コネクタ17の相手方ハウジング18を侵入させる。この時、端子9の略棒状の接触部12は、図3に示すように、相手方端子26の略箱状の接触部29に徐々に侵入する。
【0031】
相手方ハウジング18は、図1に示すように、ロックアーム21の壁23の外面24と、ハウジング収容室4の上壁5の内面6とを接触させ、ハウジング収容室4に侵入する。壁23の外面24に設けられた係合突起25が上壁5と接すると、壁24は、連結壁22と離れた側が、端子収容室19に接近する方向に弾性変形する。相手方ハウジング18は、係合突起25の上面と上壁5の内面6とを接しながら、ハウジング収容室4に侵入する。係合突起25がロック穴7に到達すると、係合突起25とロック穴7とは係合する。同時に、ロックアーム21の弾性復元力により、壁23の外面24と上壁5の内面6とが互いに接し、ハウジング3と相手方ハウジング18とは嵌合する。
【0032】
前述したハウジング3と相手方ハウジング18との嵌合と並行して、端子9と相手方端子26とが互いに接近する。端子9の接触部12は、図3に示すように、相手方端子26の接触部29にさらに侵入する。
【0033】
続いて、図4に示すように、端子9の接触部12と相手方端子26の接触部29とが接触する前に、接触部12、29のグリース層14、33同士が互いに接近し、接触する。接触部12と接触部29とには表面に凹凸13、32を設け、アーク発生を防止するグリースを塗布している。塗布されたグリースは絶縁性であるが、接触部12、29同士が薄いグリース層14、33を介して接触している部分においては、通電可能である。よってグリース層14、33が接触する時に、アーク放電が発生する可能性がある。しかし接続部12、29の表面はアーク発生を防止するグリースで覆われており、アーク放電による端子9及び相手方端子26の溶損を抑制できる。
【0034】
最後に、図5に示すように、接触部12、29同士が互いに接触する。接触部12は、接触部29の弾性接触片31を下方向に弾性変形させる。接触部12は、板状接触片30と弾性接触片31とに挟持され、端子9と相手方端子26とは接触する。
【0035】
コネクタ2と相手方コネクタ17とを外す際には、ロックアーム21の壁23の、連結壁24と離れた側を、相手方コネクタ17の端子収容室19に接近する方向に弾性変形させる。すると、係合突起25とロック穴7の係合が外れる。この状態でハウジング3と相手方ハウジング18とを互いに逆方向に引っ張ることにより、ハウジング3と相手方ハウジング18とを外すことができる。
【0036】
前述したハウジング3と相手方ハウジング18とが外れるのと並行して、端子9の接触部12は、相手方端子26の接触部29から徐々に抜け出す。続いて、図4に示すように、接触部12と接触部29とが離れ、接触部29の弾性接触片31は弾性復元力により上方向に復元する。一方グリース層14、33同士は互いに接触を維持する。この段階では、グリース層14、33の通電性のため、電気的な接続は維持される。
【0037】
最後に、図3に示すように、端子9の接触部12のグリース層14と相手方端子25の接触部29のグリース層33とが離れ、端子9と相手方端子25とは離れる。接触部12と接触部29とには表面に凹凸13、32を設け、アーク発生を防止するグリースを塗布している。塗布したグリースは絶縁性であるが、接触部12、29同士が薄いグリース層14、33を介して接触している部分においては、通電可能である。よってグリース層14、33が離れる時に、アーク放電が発生する可能性がある。しかし接触部12、29の表面はアーク発生を防止するグリースで覆われており、アーク放電による端子9及び相手方端子26の溶損を抑制できる。
【0038】
本実施形態によれば、端子9の接触部12及び相手方端子26の接触部29に微細な凹凸13、32を設け、アーク発生防止剤を塗布している。このため、塗布されたアーク発生防止剤は、接触部12、26の凹凸13、32により効果的に保持され、他部へ流出しにくい。したがって、簡単な構造でありながら、繰り返される挿抜作業においても、アーク発生防止剤により接触部12、26間でのアーク放電を抑制することができる。またアーク放電が発生しても、接触部12、29はアーク発生防止剤で覆われているため、直接アークに触れることはなく、アーク放電による溶損は少ない。したがって、アーク放電による端子9及び相手方端子12の溶損を抑制することができる。
【0039】
また、端子9の接触部12及び相手方端子26の接触部29に微細な凹凸13、32を設けているため、接触部12、29間の接触面積が小さい。つまり、アーク放電が発生しても、金属供給は少なく、アーク放電を低減することができる。したがって、アーク放電による端子9及び相手方端子26の溶損を抑制することができる。
【0040】
本実施形態においては、アーク発生防止剤として、前述のような構成のアーク発生を防止するグリースを用いていた。しかしながら、本発明では、前記グリース以外の油状物質を塗布してもよい。油状物質とは、鉱物油類(例えば、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等)、合成油類(例えば、ポリオールエステル油、ポリアルキレングリコール油、ジエステル油、ポリ−α−オレフィン油、ジフェニルエーテル油等)、動物油類、植物油類等が挙げられる。以上から、一種または二種以上を配合したものでもよいし、これらに前述の添加剤を添加したものでもよい。さらに前述の増ちょう剤を添加したものでもよい。塗布された油状物質は、端子9、26に設けられた凹凸13、32で油層を形成し、凹凸13、32により効果的に保持される。
【0041】
また本実施形態においては、コネクタ2の端子9の接触部12と、相手方コネクタ17の相手方端子26との接触部29との両方に、微細な凹凸13、32を設けアーク発生を防止するグリースを塗布していた。しかしながら、本発明では、コネクタ2の端子9の接触部12と、相手方コネクタ17の相手方端子26との接触部29との少なくともいずれか一方に、凹凸を設け前記グリースを塗布すればよい。
【0042】
例えば、端子9の接触部12のみに、凹凸13を設けアーク発生を防止するグリースを塗布する。端子9と相手方端子26とが互いに接近すると、端子9の接触部12のグリース層14と、相手方端子26の接触部29とが互いに接近し、接触する。端子9の接触部12のグリース層14により、接触部12、29間でのアーク放電を抑制することができる。またアーク放電が発生しても、端子9の接触部12はグリースで覆われているため、直接アークに触れることはなく、端子9の接触部12のアーク放電による溶損は少ない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタユニットの断面図である。
【図2】図1に示されたコネクタユニットを構成するコネクタの端子の接触部の凹凸及び相手方コネクタの相手方端子の接触部の凹凸を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示されたコネクタと相手方コネクタとが接近し、端子及び相手方端子が接近している状態を拡大して示す断面図である。
【図4】図1に示されたコネクタと相手方コネクタとが接近し、端子及び相手方端子が接近し接触部のグリース層が接触している状態を拡大して示す断面図である。
【図5】図1に示されたコネクタと相手方コネクタとが接近し、端子及び相手方端子が接触している状態を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 コネクタユニット
2 コネクタ
3 ハウジング
9 端子
12 接触部(端子)
13 凹凸(端子)
14 グリース層(端子)
17 相手方コネクタ
18 相手方ハウジング
26 相手方端子
29 接触部(相手方端子)
32 凹凸(相手方端子)
33 グリース層(相手方端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合可能な相手方コネクタの相手方端子と接触して電気的に接続する端子を備えたコネクタにおいて、
前記端子の前記相手方端子との接触部に微細な凹凸を設けるとともに、前記凹凸にアーク発生防止剤を塗布したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタと、前記コネクタに嵌合可能な相手方コネクタとを備えたことを特徴とするコネクタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−27604(P2008−27604A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195481(P2006−195481)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)