コネクタ受け治具
【課題】複数の種類のコネクタに対応することが可能なコネクタ受け治具を提供する。
【解決手段】コネクタ受け治具1は、第1治具5と、第2治具6と、を備える。第1治具5は、クシ歯部10を有する。第2治具6は、クシ歯部10との間で端末コネクタを挟持するコネクタ固定部11を有し、第1治具5に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を、挟持方向で複数選択可能に構成される。
【解決手段】コネクタ受け治具1は、第1治具5と、第2治具6と、を備える。第1治具5は、クシ歯部10を有する。第2治具6は、クシ歯部10との間で端末コネクタを挟持するコネクタ固定部11を有し、第1治具5に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を、挟持方向で複数選択可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを組み立てる際において、当該ワイヤハーネスに接続されるコネクタ類を保持するためのコネクタ受け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複数の電線が束ねられたワイヤハーネスは、ASSY盤と呼ばれる組立作業台の上で組み立てられる。このASSY盤の上には、各種の治具が所定の位置に配置されている。組立作業者は、電線やコネクタ類を、所定の治具に対して順次配置していき、電線同士の結束作業等を行うことにより、所定形状のワイヤハーネスを組み立てることができる。
【0003】
特許文献1には、この種の治具が記載されている。特許文献1が開示するコネクタ受け治具は、U字状に形成されている。この特許文献1が開示するコネクタ受け治具は、コネクタに接続された分岐線の部分をU字状の分に引っ掛ける構成であり、コネクタそのものを保持する構成ではない。従って、コネクタを確実に保持するという点では改良の余地があった。また、特許文献1の構成では、分岐線に取り付けた状態のコネクタしか保持することができない。
【0004】
一方、特許文献2は、箱状に形成されたコネクタ受け部材によってコネクタを保持する構成を開示している。この特許文献2の構成は、コネクタそのものを保持する構成なので、特許文献1の構成に比べて、コネクタ保持の確実性が向上していると考えられる。また、特許文献2の構成はコネクタそのものを保持する構成なので、当該コネクタがワイヤハーネスに取り付けられる前の状態であっても、当該コネクタをコネクタ受け部材に保持させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−273824号公報
【特許文献2】特開平7−130449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のようにコネクタそのものを保持する構成とした場合、コネクタを確実に保持するためには、当該コネクタの形状に合ったコネクタ受け部材を用意する必要がある。しかしながら、コネクタは、その用途に応じて複数の種類が存在している。従って、当該複数のコネクタに応じてコネクタ受け部材も複数用意しなければならず、コストが増大していた。
【0007】
また、特許文献2の構成は、ワイヤハーネス導出方向(コネクタに接続されたワイヤハーネスの長手方向)に向かってコネクタが抜けないようにするために、コネクタ係止部材及びバネを備えている。このように、バネやコネクタ係止部材を組み込む必要があるため、特許文献2のコネクタ受け部材は複雑な構成となっており、この点でもコストが増大していた。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、複数の種類のコネクタに対応することが可能なコネクタ受け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成のコネクタ受け治具が提供される。即ち、このコネクタ受け治具は、第1治具と、第2治具と、を備える。前記第1治具は、第1挟持部を有する。前記第2治具は、前記第1挟持部との間でコネクタを挟持する第2挟持部を有し、前記第1治具に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具は、前記第1治具と前記第2治具とを連結する際の相対位置を、前記コネクタが挟持される方向で複数選択可能に構成される。
【0011】
この構成により、第1挟持部及び第2挟持部によって挟持するコネクタの種類に応じて、当該第1挟持部と第2挟持部との間隔を選択することができる。従って、コネクタの種類ごとにコネクタ受け治具を用意する必要が無くなるので、部品を共通化してコストダウンを図ることができる。また、コネクタ受け治具で支持するコネクタの種類が別の種類に変更された場合であっても、第1挟持部と第2挟持部との間隔を適宜変更するだけで、当該別の種類のコネクタにコネクタ受け治具を対応させることができる。
【0012】
上記のコネクタ受け治具は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第1治具又は前記第2治具の一方は、係止凸部を備える。また、前記第1治具又は前記第2治具の他方は、前記係止凸部が係合可能な係合部を備える。また、前記第1治具及び前記第2治具は、前記係止凸部が前記係合部と係合することにより連結されるように構成される。そして、前記係合部は、前記コネクタが挟持される方向に複数並んで形成される。
【0013】
このように、係止凸部と係合部とにより第1治具及び第2治具を連結するという簡単な構成で、第1治具及び第2治具を連結/非連結自在とすることができる。また、係合部を複数形成しているので、係止凸部を係合させる係合部を選択することにより、第1治具と第2治具とを連結する際の相対位置を選択することが可能となる。
【0014】
上記のコネクタ受け治具において、前記係止凸部は、弾性変形可能な弾性変形部の先端に形成されたロック爪であることが好ましい。
【0015】
即ち、弾性変形部を変形させることでロック爪を係合部から外すことができるので、簡単な構成で第1治具及び第2治具を連結/非連結自在とすることができる。
【0016】
上記のコネクタ受け治具は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記コネクタは、電線の端部に接続された端末コネクタである。また、前記第1挟持部又は前記第2挟持部の何れか一方は、前記電線が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材から構成される。そして、前記第1挟持部及び前記第2挟持部は、前記端末コネクタに接続された電線の長手方向で、前記端末コネクタを挟持する。
【0017】
これにより、電線を接続した状態のコネクタを、当該電線の長手方向で挟持することができる。従って、例えば電線が引っ張られることによりコネクタが電線の長手方向の力を受けた場合であっても、当該長手方向でのコネクタの位置を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ受け治具及び端末コネクタの構成を示す斜視図。
【図2】端末コネクタをコネクタ受け治具に保持させた様子を示す斜視図。
【図3】コネクタ受け治具及び端末コネクタの構成を示す側面図。
【図4】端末コネクタをコネクタ受け治具に保持させた様子を示す側面図。
【図5】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を示す斜視図。
【図6】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を別の角度から示す斜視図。
【図7】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を示す側面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】係合孔にロック爪を係合させたときの様子を図8と同じ断面で示す断面図。
【図10】別の係合孔にロック爪を係合させたときの様子を図8と同じ断面で示す断面図。
【図11】変形例に係るコネクタ受け治具の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の1実施形態に係るコネクタ受け治具1は、ワイヤハーネスの組み立て作業時に、当該ワイヤハーネスの先端部に接続された端末コネクタ3を保持するための治具である。
【0020】
まず、ワイヤハーネスの組み立て作業について簡単に説明する。図示は省略するが、ワイヤハーネスは複数の電線が束ねられたものであり、通常、複数に分岐した枝分かれ構造となっている。そして、枝分かれしたワイヤハーネスの電線(分岐線2)の先端には、図1及び図3に示すように、端末コネクタ3が接続される。端末コネクタ3は、接続先の電装部品の種類や分岐線2の本数等に応じて、複数の種類が用意されている。
【0021】
当該ワイヤハーネスは、ASSY盤と呼ばれる作業台の上で組み立てられる。具体的には、ASSY盤上には、所定の位置に支持棒4が立設され、当該支持棒4の先端に図1のコネクタ受け治具1が配置される。なお、通常、端末コネクタ3は、ワイヤハーネスに複数設けられるので、これに対応してコネクタ受け治具1もASSY盤に複数配置される。また、ASSY盤上には、ワイヤハーネスの電線自体を支持するための電線受け治具(図略)も適宜配置される。
【0022】
組立作業者は、まず、電線や端末コネクタ等を、所定の治具上に配置する。続いて、組立作業者は、配置された電線同士の所定位置をテープ等により結束する処理や、電線端部に所定のコネクタを接続する処理等を行う。これにより、所定の枝分かれ構造を有するとともに所定位置に所定のコネクタを備えたワイヤハーネスが製造される。
【0023】
次に、本実施形態のコネクタ受け治具1について説明する。図2及び図4に示すように、コネクタ受け治具1は、クシ歯部(第1挟持部)10とコネクタ固定部(第2挟持部)11との間で端末コネクタ3を挟持することにより、当該端末コネクタ3を保持する構成となっている。
【0024】
なお、ワイヤハーネスの組み立て作業時において、コネクタ受け治具1に保持された端末コネクタ3は、当該端末コネクタ3に接続された分岐線2によって引っ張られる方向の力を受け易い。従って、当該引っ張られる方向(分岐線2の長手方向)での位置を確実に固定できることが好ましい。この点、本実施形態のコネクタ受け治具1は、図4に示すように、分岐線2の長手方向(図4の左右方向)で端末コネクタ3を挟持するように構成されている。これにより、当該長手方向での端末コネクタ3の位置を確実に固定することができる。以下の説明では、この端末コネクタを挟持する方向(図4の左右方向)を、挟持方向と呼ぶ。
【0025】
クシ歯部10は、端末コネクタ3の前記分岐線2が接続されている側の面(接続面3a)に対向するように配置されている。また、クシ歯部10は、複数(具体的には3本)の棒状部材13から構成されている。当該複数の棒状部材13は、その長手方向が前記挟持方向とは直交する方向(具体的には図3の上下方向)に沿うように立設されている。また、図1に示すように、前記複数の棒状部材13は、当該棒状部材13の長手方向及び前記挟持方向と直交する方向(以下、横幅方向と呼ぶ)に一列に並んで配置されている。
【0026】
なお、この複数の棒状部材13が並んでいる間隔は、端末コネクタ3に接続された分岐線2を通すことができる程度の間隔となっている。これにより、分岐線2が接続された状態の端末コネクタ3をコネクタ受け治具1で保持させたときに、図2に示すように、前記分岐線2を棒状部材13の間から通すことができる。このように、端末コネクタ3を挟持するための部材(クシ歯部10)が、分岐線2を通すことができるように構成されているので、分岐線2が接続された状態の端末コネクタ3を適切に挟持することができる。
【0027】
一方、コネクタ固定部11は、コネクタ固定板14を備えている。このコネクタ固定板14は板状の部材として形成されるとともに、端末コネクタ3の前記接続面3aとは反対側の面(先端面3b)に対向する当接面14aを有している。また、このコネクタ固定板14は、ある程度の弾性変形が可能に構成されている。具体的には、コネクタ固定板14は、前記クシ歯部から遠ざかる方向に向かって前記当接面14aを移動させるように、弾性変形することができる。
【0028】
端末コネクタ3をコネクタ受け治具1に取り付ける際には、当該端末コネクタ3を、コネクタ受け治具1の上方から棒状部材13の長手方向(図3の下向き)に移動させ、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間に押し込む。このとき、端末コネクタ3の先端面3bによってコネクタ固定板14が押され、弾性変形する結果、図4のように、当接面14aがクシ歯部10から遠ざかる方向に移動する。
【0029】
以上のように、端末コネクタ3をクシ歯部10及びコネクタ固定部11との間に押し込むことにより、弾性変形したコネクタ固定板14の復元力が前記挟持方向に働くので、当該復元力によって端末コネクタ3を確実に挟持することができる。
【0030】
一方、端末コネクタ3をコネクタ受け治具1から取り外す際には、棒状部材13の長手方向(具体的には図4の上向き)に端末コネクタ3を引き抜けば良い。
【0031】
ここで、コネクタ受け治具1によって端末コネクタ3を確実に保持するためには、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、挟持される端末コネクタ3の幅(挟持方向での幅)に対して適切な間隔となっていることが好ましい。より具体的には、当接面14aと、棒状部材13と、の間隔が、端末コネクタ3の挟持方向での幅と略一致していることが好ましい。しかしながら、端末コネクタ3は、前述のように複数種類用意されている。そして、端末コネクタ3は、その種類ごとに挟持方向の幅が異なっている。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔は、端末コネクタ3の種類ごとに異ならせる必要がある。
【0032】
この点、本実施形態のコネクタ受け治具1は、第1治具と第2治具とを連結する際に、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を適宜選択可能に構成されている。これにより、1種類のコネクタ受け治具1によって、複数種類の端末コネクタ3に対応することができるようになっている。
【0033】
以下、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を選択可能とするための構成について、詳しく説明する。図5から図8に示すように、コネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6の2つの部分から構成されており、第1治具5と第2治具6は連結/非連結自在に構成されている。そして、コネクタ受け治具は、第1治具5と第2治具6とが連結した状態(図1から図4に示す状態)で端末コネクタ3を保持することができるように構成されている。
【0034】
第1治具5は、第1ベース部15と、前記クシ歯部10と、から構成されている。第1ベース部15は、ASSY盤に立設された支持棒4の先端に固定されている。前記クシ歯部10の各棒状部材13は、この第1ベース部15に立設されている。また、図6に示すように、第1ベース部15には、後述のロック爪19を、挟持方向に挿入可能な挿入孔17が形成されている。また、第1ベース部15には、前記挿入孔17に挿入されたロック爪19が係合可能な係合孔(係合部)18が、挟持方向に並んで複数(具体的には2つ)形成されている。
【0035】
一方、第2治具6は、第2ベース部16と、前記コネクタ固定部11と、ロック爪(係止凸部)19と、弾性変形部20と、から構成されている。なお、第2ベース部16、コネクタ固定部11、ロック爪19及び弾性変形部20は、一体的に形成されている。もっとも、これらはそれぞれ別々の部材として構成されていても良い。
【0036】
弾性変形部20は、第2ベース部16から前記挟持方向に突出する板状の部位として形成されており、ある程度の弾性変形が可能となっている。この弾性変形部20の先端部には、前記横幅方向に突出する爪状のロック爪19が形成されている。
【0037】
前述のように、このロック爪19は、第1ベース部15に形成された挿入孔17に挿入できるように構成されている。図9の断面図に示すように、挿入孔17に挿入されたロック爪19は、複数の係合孔18のうち何れか1つに嵌まり込んで係合するようになっている。このように、係合孔18とロック爪19とが係合することにより、第1治具5と第2治具6とが連結される。
【0038】
また、前記弾性変形部20を変形させることにより、係合孔18からロック爪19を外すことができるように構成されている。これにより、第1治具5と第2治具6との連結を解除することができるように構成されている。
【0039】
また、前述のように、係合孔18は、挟持方向(図8から図10の左右方向)に並んで複数形成されている。従って、第1治具5と第2治具6とを連結させる際には、ロック爪19を係合させる係合孔18を選択することができる。例えば、図9は、図面向かって左側の係合孔18にロック爪19を係合させた様子を、図10は、図面向かって右側の係合孔18にロック爪19を係合させた様子を、それぞれ示している。このように、挟持方向に並んだ複数の係合孔18のうち何れの係合孔18にロック爪19を係合させるかを選択することにより、第1治具5と第2治具6とを連結させた際の挟持方向における相対位置を選択することができる。これにより、端末コネクタ3の種類に応じて、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を選択することができるようになっている。
【0040】
ここで、各係合孔18の挟持方向での位置は、端末コネクタ3の種類に対応して形成されている。例えば、図9のように図面向かって左側の係合孔18にロック爪19を係合させると、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、ある特定の種類の端末コネクタ3を挟持するのに適切な間隔となるように構成されている。また、図10のように別の係合孔18にロック爪19を係合させると、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、別の種類の端末コネクタ3を挟持するのに適切な間隔となるように構成されている。
【0041】
このように、係合孔18が予め適切な位置に形成されているので、当該係合孔18にロック爪19を係合させるだけで、クシ歯部10とコネクタ固定部11とを適切に位置決めすることができる。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を、端末コネクタ3の種類に応じて微調整するといった作業が必要が無い。
【0042】
ここで、挟持方向に並んだ係合孔18のそれぞれに番号を付しておくと、特に好適である。この場合、第1治具5と第2治具6とを連結する作業を行う作業者としては、指定された番号の係合孔18にロック爪19を係合させるだけで良い。
【0043】
なお、弾性変形部20は適度な強度を有しており、コネクタ受け治具1の通常の使用状態では、ロック爪19が係合孔18から外れることがないように構成されている。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が偶発的に変化してしまう可能性は、極めて低い。
【0044】
また、図8に示すように、ロック爪19は、挟持方向に対して傾斜した傾斜面19aと、挟持方向に対して直交する垂直面19bと、を有している。この垂直面19bは、挿入孔17に対するロック爪19の挿入方向(図8の図面右向き方向)とは、反対方向を向いて(即ち図8の図面左を向いて)形成されている。これにより、クシ歯部10とコネクタ固定部11が離れる方向に力が加わったとき(即ち、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間に端末コネクタ3が押し込まれたとき)に、係合孔18の縁に対して垂直面19bが引っ掛かる。以上の構成により、コネクタ受け治具1に端末コネクタ3を保持させたときに、ロック爪19が係合孔18から外れてしまうことが無いようになっている。
【0045】
また、図8等に示すように、係合孔18は、挿入孔17の内部と、第1ベース部15の側面と、を連通するように形成されている。従って、例えば、ロック爪19が係合した係合孔18に対して、第1ベース部15の側面側から所定の工具を挿し込むことにより、前記係合孔18からロック爪19を外すことができる。これにより、第1治具5と第2治具6との連結を解除することができる。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態のコネクタ受け治具1は、第1治具5と、第2治具6と、を備える。第1治具5は、クシ歯部10を有する。第2治具6は、クシ歯部10との間で端末コネクタ3を挟持するコネクタ固定部11を有し、第1治具5に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を、挟持方向で複数選択可能に構成される。
【0047】
この構成により、クシ歯部10及びコネクタ固定部11によって挟持する端末コネクタ3の種類に応じて、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を選択することができる。従って、端末コネクタ3の種類ごとにコネクタ受け治具1を用意する必要が無くなるので、部品を共通化してコストダウンを図ることができる。また、コネクタ受け治具1で支持する端末コネクタ3の種類が別の種類に変更された場合であっても、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を適宜変更するだけで、当該別の種類の端末コネクタ3にコネクタ受け治具1を対応させることができる。
【0048】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1は、以下のように構成されている。即ち、第2治具6は、ロック爪19を備える。また、第1治具5は、ロック爪19が係合可能な係合孔18を備える。また、第1治具5及び第2治具6は、ロック爪19が係合孔18と係合することにより連結されるように構成される。そして、係合孔18は、挟持方向に複数並んで形成される。
【0049】
このように、ロック爪19と係合孔18とにより第1治具5及び第2治具6を連結するという簡単な構成で、第1治具5及び第2治具6を連結/非連結自在とすることができる。また、係合孔18を複数形成しているので、ロック爪19を係合させる係合孔18を選択することにより、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を選択することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1において、ロック爪19は、弾性変形可能な弾性変形部20の先端に形成されている。
【0051】
即ち、弾性変形部20を変形させることでロック爪19を係合孔18から外すことができるので、簡単な構成で第1治具5及び第2治具6を連結/非連結自在とすることができる。
【0052】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1は、以下のように構成されている。即ち、コネクタは、分岐線2の端部に接続された端末コネクタ3である。また、クシ歯部10は、分岐線2が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材13から構成される。そして、クシ歯部10及びコネクタ固定部11は、端末コネクタ3に接続された分岐線2の長手方向で、前記端末コネクタ3を挟持する。
【0053】
これにより、分岐線2を接続した状態の端末コネクタ3を、当該分岐線2の長手方向で挟持することができる。従って、例えば分岐線2が引っ張られることにより端末コネクタ3が分岐線2の長手方向の力を受けた場合であっても、当該長手方向での端末コネクタ3の位置を確実に保持することができる。
【0054】
次に、図11を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11に示すように、本変形例のコネクタ受け治具100において、棒状部材13の本数は2本、係合孔18の数は4つとなっている。このように、棒状部材13及び係合孔18の数は適宜変更することができる。
【0056】
また、このコネクタ受け治具100は、端末コネクタ3の横幅方向の側面に対面する横壁21を備えている。そして、このコネクタ受け治具100に端末コネクタ3を取り付けると、当該端末コネクタ3が横壁によって挟み込まれるようになっている。この構成により、端末コネクタ3が横幅方向でズレてしまうことを防止することができる。
【0057】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0058】
上記実施形態では、第1治具5にクシ歯部10と係合孔18を、第2治具6にコネクタ固定部11とロック爪19を、それぞれ配置する構成としたが、これに限らない。例えば、クシ歯部10を備えた第1治具5にロック爪を形成し、コネクタ固定部11を備えた第2治具6に係合孔18を形成する構成としても良い。
【0059】
上記実施形態では、第1治具5を支持棒4の先端に固定する構成としたが、この構成に代えて、第2治具を支持棒4の先端に固定する構成とすることもできる。また、支持棒4を介すことなく、第1治具又は第2治具の何れか一方をASSY盤に直接固定しても良いことはもちろんである。
【0060】
上記実施形態において、第1挟持部はクシ歯部10として構成したが、これに代えて、単なる壁状の部材であっても良い。要は、第1挟持部と第2挟持部とによってコネクタを挟持することができれば良い。ただし、上記実施形態のように第1挟持部をクシ歯部として構成すれば、端末コネクタ3に接続された分岐線2を通すことができるので、当該分岐線2の長手方向で端末コネクタ3を挟持することができる。もっとも、必ずしもこの方向で端末コネクタ3を挟持しなければならない訳ではなく、当該端末コネクタ3を、例えば分岐線2の長手方向と直交する方向で挟持するように構成しても良い。
【0061】
上記実施形態において、第2挟持部は、弾性変形するコネクタ固定板14を有するコネクタ固定部11であるとしたが、このように弾性変形する構成は省略することもできる。この場合であっても、第1挟持部と第2挟持部との間隔が適切であれば、端末コネクタ3を適切に保持することができる。
【0062】
上記実施形態では、係止凸部をロック爪19、係合部を係合孔18とする構成としたが、この構成に限らない。例えば、係合部は、挿入孔17の内部と第1ベース部15の側面とを連通する孔とする構成に代えて、単なる凹部として構成しても良い。要は、係止凸部と係合部が係合することによって第1治具と第2治具とを連結するように構成され、係合部が挟持方向で複数形成されていれば良い。
【0063】
また、上記実施形態では、ロック爪19を弾性変形部20の先端に配置し、弾性変形部20を変形させることによりロック爪を係合孔18から外す構成としたが、この構成に限らない。例えば、ロック爪(係止凸部)19は必ずしも弾性変形部の先端に配置されていなければならない訳ではなく、係止凸部を係合部から外すことができるように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0064】
1 コネクタ受け治具
3 端末コネクタ(コネクタ)
5 第1治具
6 第2治具
10 第1挟持部(クシ歯部)
11 第2挟持部(コネクタ固定部)
13 棒状部材
18 係合孔(係合部)
19 ロック爪(係止凸部)
20 弾性変形部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを組み立てる際において、当該ワイヤハーネスに接続されるコネクタ類を保持するためのコネクタ受け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複数の電線が束ねられたワイヤハーネスは、ASSY盤と呼ばれる組立作業台の上で組み立てられる。このASSY盤の上には、各種の治具が所定の位置に配置されている。組立作業者は、電線やコネクタ類を、所定の治具に対して順次配置していき、電線同士の結束作業等を行うことにより、所定形状のワイヤハーネスを組み立てることができる。
【0003】
特許文献1には、この種の治具が記載されている。特許文献1が開示するコネクタ受け治具は、U字状に形成されている。この特許文献1が開示するコネクタ受け治具は、コネクタに接続された分岐線の部分をU字状の分に引っ掛ける構成であり、コネクタそのものを保持する構成ではない。従って、コネクタを確実に保持するという点では改良の余地があった。また、特許文献1の構成では、分岐線に取り付けた状態のコネクタしか保持することができない。
【0004】
一方、特許文献2は、箱状に形成されたコネクタ受け部材によってコネクタを保持する構成を開示している。この特許文献2の構成は、コネクタそのものを保持する構成なので、特許文献1の構成に比べて、コネクタ保持の確実性が向上していると考えられる。また、特許文献2の構成はコネクタそのものを保持する構成なので、当該コネクタがワイヤハーネスに取り付けられる前の状態であっても、当該コネクタをコネクタ受け部材に保持させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−273824号公報
【特許文献2】特開平7−130449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のようにコネクタそのものを保持する構成とした場合、コネクタを確実に保持するためには、当該コネクタの形状に合ったコネクタ受け部材を用意する必要がある。しかしながら、コネクタは、その用途に応じて複数の種類が存在している。従って、当該複数のコネクタに応じてコネクタ受け部材も複数用意しなければならず、コストが増大していた。
【0007】
また、特許文献2の構成は、ワイヤハーネス導出方向(コネクタに接続されたワイヤハーネスの長手方向)に向かってコネクタが抜けないようにするために、コネクタ係止部材及びバネを備えている。このように、バネやコネクタ係止部材を組み込む必要があるため、特許文献2のコネクタ受け部材は複雑な構成となっており、この点でもコストが増大していた。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、複数の種類のコネクタに対応することが可能なコネクタ受け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成のコネクタ受け治具が提供される。即ち、このコネクタ受け治具は、第1治具と、第2治具と、を備える。前記第1治具は、第1挟持部を有する。前記第2治具は、前記第1挟持部との間でコネクタを挟持する第2挟持部を有し、前記第1治具に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具は、前記第1治具と前記第2治具とを連結する際の相対位置を、前記コネクタが挟持される方向で複数選択可能に構成される。
【0011】
この構成により、第1挟持部及び第2挟持部によって挟持するコネクタの種類に応じて、当該第1挟持部と第2挟持部との間隔を選択することができる。従って、コネクタの種類ごとにコネクタ受け治具を用意する必要が無くなるので、部品を共通化してコストダウンを図ることができる。また、コネクタ受け治具で支持するコネクタの種類が別の種類に変更された場合であっても、第1挟持部と第2挟持部との間隔を適宜変更するだけで、当該別の種類のコネクタにコネクタ受け治具を対応させることができる。
【0012】
上記のコネクタ受け治具は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第1治具又は前記第2治具の一方は、係止凸部を備える。また、前記第1治具又は前記第2治具の他方は、前記係止凸部が係合可能な係合部を備える。また、前記第1治具及び前記第2治具は、前記係止凸部が前記係合部と係合することにより連結されるように構成される。そして、前記係合部は、前記コネクタが挟持される方向に複数並んで形成される。
【0013】
このように、係止凸部と係合部とにより第1治具及び第2治具を連結するという簡単な構成で、第1治具及び第2治具を連結/非連結自在とすることができる。また、係合部を複数形成しているので、係止凸部を係合させる係合部を選択することにより、第1治具と第2治具とを連結する際の相対位置を選択することが可能となる。
【0014】
上記のコネクタ受け治具において、前記係止凸部は、弾性変形可能な弾性変形部の先端に形成されたロック爪であることが好ましい。
【0015】
即ち、弾性変形部を変形させることでロック爪を係合部から外すことができるので、簡単な構成で第1治具及び第2治具を連結/非連結自在とすることができる。
【0016】
上記のコネクタ受け治具は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記コネクタは、電線の端部に接続された端末コネクタである。また、前記第1挟持部又は前記第2挟持部の何れか一方は、前記電線が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材から構成される。そして、前記第1挟持部及び前記第2挟持部は、前記端末コネクタに接続された電線の長手方向で、前記端末コネクタを挟持する。
【0017】
これにより、電線を接続した状態のコネクタを、当該電線の長手方向で挟持することができる。従って、例えば電線が引っ張られることによりコネクタが電線の長手方向の力を受けた場合であっても、当該長手方向でのコネクタの位置を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ受け治具及び端末コネクタの構成を示す斜視図。
【図2】端末コネクタをコネクタ受け治具に保持させた様子を示す斜視図。
【図3】コネクタ受け治具及び端末コネクタの構成を示す側面図。
【図4】端末コネクタをコネクタ受け治具に保持させた様子を示す側面図。
【図5】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を示す斜視図。
【図6】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を別の角度から示す斜視図。
【図7】第1治具と第2治具を非連結状態としたときの様子を示す側面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】係合孔にロック爪を係合させたときの様子を図8と同じ断面で示す断面図。
【図10】別の係合孔にロック爪を係合させたときの様子を図8と同じ断面で示す断面図。
【図11】変形例に係るコネクタ受け治具の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の1実施形態に係るコネクタ受け治具1は、ワイヤハーネスの組み立て作業時に、当該ワイヤハーネスの先端部に接続された端末コネクタ3を保持するための治具である。
【0020】
まず、ワイヤハーネスの組み立て作業について簡単に説明する。図示は省略するが、ワイヤハーネスは複数の電線が束ねられたものであり、通常、複数に分岐した枝分かれ構造となっている。そして、枝分かれしたワイヤハーネスの電線(分岐線2)の先端には、図1及び図3に示すように、端末コネクタ3が接続される。端末コネクタ3は、接続先の電装部品の種類や分岐線2の本数等に応じて、複数の種類が用意されている。
【0021】
当該ワイヤハーネスは、ASSY盤と呼ばれる作業台の上で組み立てられる。具体的には、ASSY盤上には、所定の位置に支持棒4が立設され、当該支持棒4の先端に図1のコネクタ受け治具1が配置される。なお、通常、端末コネクタ3は、ワイヤハーネスに複数設けられるので、これに対応してコネクタ受け治具1もASSY盤に複数配置される。また、ASSY盤上には、ワイヤハーネスの電線自体を支持するための電線受け治具(図略)も適宜配置される。
【0022】
組立作業者は、まず、電線や端末コネクタ等を、所定の治具上に配置する。続いて、組立作業者は、配置された電線同士の所定位置をテープ等により結束する処理や、電線端部に所定のコネクタを接続する処理等を行う。これにより、所定の枝分かれ構造を有するとともに所定位置に所定のコネクタを備えたワイヤハーネスが製造される。
【0023】
次に、本実施形態のコネクタ受け治具1について説明する。図2及び図4に示すように、コネクタ受け治具1は、クシ歯部(第1挟持部)10とコネクタ固定部(第2挟持部)11との間で端末コネクタ3を挟持することにより、当該端末コネクタ3を保持する構成となっている。
【0024】
なお、ワイヤハーネスの組み立て作業時において、コネクタ受け治具1に保持された端末コネクタ3は、当該端末コネクタ3に接続された分岐線2によって引っ張られる方向の力を受け易い。従って、当該引っ張られる方向(分岐線2の長手方向)での位置を確実に固定できることが好ましい。この点、本実施形態のコネクタ受け治具1は、図4に示すように、分岐線2の長手方向(図4の左右方向)で端末コネクタ3を挟持するように構成されている。これにより、当該長手方向での端末コネクタ3の位置を確実に固定することができる。以下の説明では、この端末コネクタを挟持する方向(図4の左右方向)を、挟持方向と呼ぶ。
【0025】
クシ歯部10は、端末コネクタ3の前記分岐線2が接続されている側の面(接続面3a)に対向するように配置されている。また、クシ歯部10は、複数(具体的には3本)の棒状部材13から構成されている。当該複数の棒状部材13は、その長手方向が前記挟持方向とは直交する方向(具体的には図3の上下方向)に沿うように立設されている。また、図1に示すように、前記複数の棒状部材13は、当該棒状部材13の長手方向及び前記挟持方向と直交する方向(以下、横幅方向と呼ぶ)に一列に並んで配置されている。
【0026】
なお、この複数の棒状部材13が並んでいる間隔は、端末コネクタ3に接続された分岐線2を通すことができる程度の間隔となっている。これにより、分岐線2が接続された状態の端末コネクタ3をコネクタ受け治具1で保持させたときに、図2に示すように、前記分岐線2を棒状部材13の間から通すことができる。このように、端末コネクタ3を挟持するための部材(クシ歯部10)が、分岐線2を通すことができるように構成されているので、分岐線2が接続された状態の端末コネクタ3を適切に挟持することができる。
【0027】
一方、コネクタ固定部11は、コネクタ固定板14を備えている。このコネクタ固定板14は板状の部材として形成されるとともに、端末コネクタ3の前記接続面3aとは反対側の面(先端面3b)に対向する当接面14aを有している。また、このコネクタ固定板14は、ある程度の弾性変形が可能に構成されている。具体的には、コネクタ固定板14は、前記クシ歯部から遠ざかる方向に向かって前記当接面14aを移動させるように、弾性変形することができる。
【0028】
端末コネクタ3をコネクタ受け治具1に取り付ける際には、当該端末コネクタ3を、コネクタ受け治具1の上方から棒状部材13の長手方向(図3の下向き)に移動させ、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間に押し込む。このとき、端末コネクタ3の先端面3bによってコネクタ固定板14が押され、弾性変形する結果、図4のように、当接面14aがクシ歯部10から遠ざかる方向に移動する。
【0029】
以上のように、端末コネクタ3をクシ歯部10及びコネクタ固定部11との間に押し込むことにより、弾性変形したコネクタ固定板14の復元力が前記挟持方向に働くので、当該復元力によって端末コネクタ3を確実に挟持することができる。
【0030】
一方、端末コネクタ3をコネクタ受け治具1から取り外す際には、棒状部材13の長手方向(具体的には図4の上向き)に端末コネクタ3を引き抜けば良い。
【0031】
ここで、コネクタ受け治具1によって端末コネクタ3を確実に保持するためには、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、挟持される端末コネクタ3の幅(挟持方向での幅)に対して適切な間隔となっていることが好ましい。より具体的には、当接面14aと、棒状部材13と、の間隔が、端末コネクタ3の挟持方向での幅と略一致していることが好ましい。しかしながら、端末コネクタ3は、前述のように複数種類用意されている。そして、端末コネクタ3は、その種類ごとに挟持方向の幅が異なっている。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔は、端末コネクタ3の種類ごとに異ならせる必要がある。
【0032】
この点、本実施形態のコネクタ受け治具1は、第1治具と第2治具とを連結する際に、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を適宜選択可能に構成されている。これにより、1種類のコネクタ受け治具1によって、複数種類の端末コネクタ3に対応することができるようになっている。
【0033】
以下、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を選択可能とするための構成について、詳しく説明する。図5から図8に示すように、コネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6の2つの部分から構成されており、第1治具5と第2治具6は連結/非連結自在に構成されている。そして、コネクタ受け治具は、第1治具5と第2治具6とが連結した状態(図1から図4に示す状態)で端末コネクタ3を保持することができるように構成されている。
【0034】
第1治具5は、第1ベース部15と、前記クシ歯部10と、から構成されている。第1ベース部15は、ASSY盤に立設された支持棒4の先端に固定されている。前記クシ歯部10の各棒状部材13は、この第1ベース部15に立設されている。また、図6に示すように、第1ベース部15には、後述のロック爪19を、挟持方向に挿入可能な挿入孔17が形成されている。また、第1ベース部15には、前記挿入孔17に挿入されたロック爪19が係合可能な係合孔(係合部)18が、挟持方向に並んで複数(具体的には2つ)形成されている。
【0035】
一方、第2治具6は、第2ベース部16と、前記コネクタ固定部11と、ロック爪(係止凸部)19と、弾性変形部20と、から構成されている。なお、第2ベース部16、コネクタ固定部11、ロック爪19及び弾性変形部20は、一体的に形成されている。もっとも、これらはそれぞれ別々の部材として構成されていても良い。
【0036】
弾性変形部20は、第2ベース部16から前記挟持方向に突出する板状の部位として形成されており、ある程度の弾性変形が可能となっている。この弾性変形部20の先端部には、前記横幅方向に突出する爪状のロック爪19が形成されている。
【0037】
前述のように、このロック爪19は、第1ベース部15に形成された挿入孔17に挿入できるように構成されている。図9の断面図に示すように、挿入孔17に挿入されたロック爪19は、複数の係合孔18のうち何れか1つに嵌まり込んで係合するようになっている。このように、係合孔18とロック爪19とが係合することにより、第1治具5と第2治具6とが連結される。
【0038】
また、前記弾性変形部20を変形させることにより、係合孔18からロック爪19を外すことができるように構成されている。これにより、第1治具5と第2治具6との連結を解除することができるように構成されている。
【0039】
また、前述のように、係合孔18は、挟持方向(図8から図10の左右方向)に並んで複数形成されている。従って、第1治具5と第2治具6とを連結させる際には、ロック爪19を係合させる係合孔18を選択することができる。例えば、図9は、図面向かって左側の係合孔18にロック爪19を係合させた様子を、図10は、図面向かって右側の係合孔18にロック爪19を係合させた様子を、それぞれ示している。このように、挟持方向に並んだ複数の係合孔18のうち何れの係合孔18にロック爪19を係合させるかを選択することにより、第1治具5と第2治具6とを連結させた際の挟持方向における相対位置を選択することができる。これにより、端末コネクタ3の種類に応じて、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の距離を選択することができるようになっている。
【0040】
ここで、各係合孔18の挟持方向での位置は、端末コネクタ3の種類に対応して形成されている。例えば、図9のように図面向かって左側の係合孔18にロック爪19を係合させると、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、ある特定の種類の端末コネクタ3を挟持するのに適切な間隔となるように構成されている。また、図10のように別の係合孔18にロック爪19を係合させると、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が、別の種類の端末コネクタ3を挟持するのに適切な間隔となるように構成されている。
【0041】
このように、係合孔18が予め適切な位置に形成されているので、当該係合孔18にロック爪19を係合させるだけで、クシ歯部10とコネクタ固定部11とを適切に位置決めすることができる。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を、端末コネクタ3の種類に応じて微調整するといった作業が必要が無い。
【0042】
ここで、挟持方向に並んだ係合孔18のそれぞれに番号を付しておくと、特に好適である。この場合、第1治具5と第2治具6とを連結する作業を行う作業者としては、指定された番号の係合孔18にロック爪19を係合させるだけで良い。
【0043】
なお、弾性変形部20は適度な強度を有しており、コネクタ受け治具1の通常の使用状態では、ロック爪19が係合孔18から外れることがないように構成されている。従って、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間の間隔が偶発的に変化してしまう可能性は、極めて低い。
【0044】
また、図8に示すように、ロック爪19は、挟持方向に対して傾斜した傾斜面19aと、挟持方向に対して直交する垂直面19bと、を有している。この垂直面19bは、挿入孔17に対するロック爪19の挿入方向(図8の図面右向き方向)とは、反対方向を向いて(即ち図8の図面左を向いて)形成されている。これにより、クシ歯部10とコネクタ固定部11が離れる方向に力が加わったとき(即ち、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間に端末コネクタ3が押し込まれたとき)に、係合孔18の縁に対して垂直面19bが引っ掛かる。以上の構成により、コネクタ受け治具1に端末コネクタ3を保持させたときに、ロック爪19が係合孔18から外れてしまうことが無いようになっている。
【0045】
また、図8等に示すように、係合孔18は、挿入孔17の内部と、第1ベース部15の側面と、を連通するように形成されている。従って、例えば、ロック爪19が係合した係合孔18に対して、第1ベース部15の側面側から所定の工具を挿し込むことにより、前記係合孔18からロック爪19を外すことができる。これにより、第1治具5と第2治具6との連結を解除することができる。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態のコネクタ受け治具1は、第1治具5と、第2治具6と、を備える。第1治具5は、クシ歯部10を有する。第2治具6は、クシ歯部10との間で端末コネクタ3を挟持するコネクタ固定部11を有し、第1治具5に対して連結及び非連結自在に構成される。そして、このコネクタ受け治具1は、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を、挟持方向で複数選択可能に構成される。
【0047】
この構成により、クシ歯部10及びコネクタ固定部11によって挟持する端末コネクタ3の種類に応じて、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を選択することができる。従って、端末コネクタ3の種類ごとにコネクタ受け治具1を用意する必要が無くなるので、部品を共通化してコストダウンを図ることができる。また、コネクタ受け治具1で支持する端末コネクタ3の種類が別の種類に変更された場合であっても、クシ歯部10とコネクタ固定部11との間隔を適宜変更するだけで、当該別の種類の端末コネクタ3にコネクタ受け治具1を対応させることができる。
【0048】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1は、以下のように構成されている。即ち、第2治具6は、ロック爪19を備える。また、第1治具5は、ロック爪19が係合可能な係合孔18を備える。また、第1治具5及び第2治具6は、ロック爪19が係合孔18と係合することにより連結されるように構成される。そして、係合孔18は、挟持方向に複数並んで形成される。
【0049】
このように、ロック爪19と係合孔18とにより第1治具5及び第2治具6を連結するという簡単な構成で、第1治具5及び第2治具6を連結/非連結自在とすることができる。また、係合孔18を複数形成しているので、ロック爪19を係合させる係合孔18を選択することにより、第1治具5と第2治具6とを連結する際の相対位置を選択することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1において、ロック爪19は、弾性変形可能な弾性変形部20の先端に形成されている。
【0051】
即ち、弾性変形部20を変形させることでロック爪19を係合孔18から外すことができるので、簡単な構成で第1治具5及び第2治具6を連結/非連結自在とすることができる。
【0052】
また、本実施形態のコネクタ受け治具1は、以下のように構成されている。即ち、コネクタは、分岐線2の端部に接続された端末コネクタ3である。また、クシ歯部10は、分岐線2が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材13から構成される。そして、クシ歯部10及びコネクタ固定部11は、端末コネクタ3に接続された分岐線2の長手方向で、前記端末コネクタ3を挟持する。
【0053】
これにより、分岐線2を接続した状態の端末コネクタ3を、当該分岐線2の長手方向で挟持することができる。従って、例えば分岐線2が引っ張られることにより端末コネクタ3が分岐線2の長手方向の力を受けた場合であっても、当該長手方向での端末コネクタ3の位置を確実に保持することができる。
【0054】
次に、図11を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11に示すように、本変形例のコネクタ受け治具100において、棒状部材13の本数は2本、係合孔18の数は4つとなっている。このように、棒状部材13及び係合孔18の数は適宜変更することができる。
【0056】
また、このコネクタ受け治具100は、端末コネクタ3の横幅方向の側面に対面する横壁21を備えている。そして、このコネクタ受け治具100に端末コネクタ3を取り付けると、当該端末コネクタ3が横壁によって挟み込まれるようになっている。この構成により、端末コネクタ3が横幅方向でズレてしまうことを防止することができる。
【0057】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0058】
上記実施形態では、第1治具5にクシ歯部10と係合孔18を、第2治具6にコネクタ固定部11とロック爪19を、それぞれ配置する構成としたが、これに限らない。例えば、クシ歯部10を備えた第1治具5にロック爪を形成し、コネクタ固定部11を備えた第2治具6に係合孔18を形成する構成としても良い。
【0059】
上記実施形態では、第1治具5を支持棒4の先端に固定する構成としたが、この構成に代えて、第2治具を支持棒4の先端に固定する構成とすることもできる。また、支持棒4を介すことなく、第1治具又は第2治具の何れか一方をASSY盤に直接固定しても良いことはもちろんである。
【0060】
上記実施形態において、第1挟持部はクシ歯部10として構成したが、これに代えて、単なる壁状の部材であっても良い。要は、第1挟持部と第2挟持部とによってコネクタを挟持することができれば良い。ただし、上記実施形態のように第1挟持部をクシ歯部として構成すれば、端末コネクタ3に接続された分岐線2を通すことができるので、当該分岐線2の長手方向で端末コネクタ3を挟持することができる。もっとも、必ずしもこの方向で端末コネクタ3を挟持しなければならない訳ではなく、当該端末コネクタ3を、例えば分岐線2の長手方向と直交する方向で挟持するように構成しても良い。
【0061】
上記実施形態において、第2挟持部は、弾性変形するコネクタ固定板14を有するコネクタ固定部11であるとしたが、このように弾性変形する構成は省略することもできる。この場合であっても、第1挟持部と第2挟持部との間隔が適切であれば、端末コネクタ3を適切に保持することができる。
【0062】
上記実施形態では、係止凸部をロック爪19、係合部を係合孔18とする構成としたが、この構成に限らない。例えば、係合部は、挿入孔17の内部と第1ベース部15の側面とを連通する孔とする構成に代えて、単なる凹部として構成しても良い。要は、係止凸部と係合部が係合することによって第1治具と第2治具とを連結するように構成され、係合部が挟持方向で複数形成されていれば良い。
【0063】
また、上記実施形態では、ロック爪19を弾性変形部20の先端に配置し、弾性変形部20を変形させることによりロック爪を係合孔18から外す構成としたが、この構成に限らない。例えば、ロック爪(係止凸部)19は必ずしも弾性変形部の先端に配置されていなければならない訳ではなく、係止凸部を係合部から外すことができるように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0064】
1 コネクタ受け治具
3 端末コネクタ(コネクタ)
5 第1治具
6 第2治具
10 第1挟持部(クシ歯部)
11 第2挟持部(コネクタ固定部)
13 棒状部材
18 係合孔(係合部)
19 ロック爪(係止凸部)
20 弾性変形部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1挟持部を有する第1治具と、
前記第1挟持部との間でコネクタを挟持する第2挟持部を有し、前記第1治具に対して連結及び非連結自在に構成された第2治具と、
を備え、
前記第1治具と前記第2治具とを連結する際の相対位置を、前記コネクタが挟持される方向で複数選択可能に構成されることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ受け治具であって、
前記第1治具又は前記第2治具の一方は、係止凸部を備え、
前記第1治具又は前記第2治具の他方は、前記係止凸部が係合可能な係合部を備え、
前記第1治具及び前記第2治具は、前記係止凸部が前記係合部と係合することにより連結されるように構成されており、
前記係合部は、前記コネクタが挟持される方向に複数並んで形成されることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ受け治具であって、
前記係止凸部は、弾性変形可能な弾性変形部の先端に形成されたロック爪であることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のコネクタ受け治具であって、
前記コネクタは、電線の端部に接続された端末コネクタであり、
前記第1挟持部又は前記第2挟持部の何れか一方は、前記電線が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材から構成され、
前記第1挟持部及び前記第2挟持部は、前記端末コネクタに接続された電線の長手方向で、前記端末コネクタを挟持することを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項1】
第1挟持部を有する第1治具と、
前記第1挟持部との間でコネクタを挟持する第2挟持部を有し、前記第1治具に対して連結及び非連結自在に構成された第2治具と、
を備え、
前記第1治具と前記第2治具とを連結する際の相対位置を、前記コネクタが挟持される方向で複数選択可能に構成されることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ受け治具であって、
前記第1治具又は前記第2治具の一方は、係止凸部を備え、
前記第1治具又は前記第2治具の他方は、前記係止凸部が係合可能な係合部を備え、
前記第1治具及び前記第2治具は、前記係止凸部が前記係合部と係合することにより連結されるように構成されており、
前記係合部は、前記コネクタが挟持される方向に複数並んで形成されることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ受け治具であって、
前記係止凸部は、弾性変形可能な弾性変形部の先端に形成されたロック爪であることを特徴とするコネクタ受け治具。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のコネクタ受け治具であって、
前記コネクタは、電線の端部に接続された端末コネクタであり、
前記第1挟持部又は前記第2挟持部の何れか一方は、前記電線が通過可能な間隔で設けられた複数の棒状部材から構成され、
前記第1挟持部及び前記第2挟持部は、前記端末コネクタに接続された電線の長手方向で、前記端末コネクタを挟持することを特徴とするコネクタ受け治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−210658(P2011−210658A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79135(P2010−79135)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
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