コネクタ用弁体及びコネクタ
【課題】流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ、及び、このコネクタに用いられるコネクタ用弁体を提供すること。
【解決手段】一端３１ｂに平滑シール面３３を有する第１本体２１ｃと、第１本体２１ｃの他端３２ｃに第１本体２１ｃと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ｃとを有し、平滑シール面３３に作用する圧力で一端３１ｃが第２本体２２ｃに近接又は離間するように屈伸するコネクタ用弁体５Ｃ、並びに、管体８１を接続可能な少なくとも２つの接続口１２〜１４、接続口１２〜１４を連通する流路１５及び弁体収納部１６を有するコネクタ管４と、弁体収納部１６に収納されたコネクタ用弁体５Ｃとを備え、平滑シール面３３が接続口１２の開口を閉塞する第１姿勢と、一端３１ｂが屈伸して管体８１の内腔８１ａと流路１５とを連通させる第２姿勢とに移行可能なコネクタ１。
【解決手段】一端３１ｂに平滑シール面３３を有する第１本体２１ｃと、第１本体２１ｃの他端３２ｃに第１本体２１ｃと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ｃとを有し、平滑シール面３３に作用する圧力で一端３１ｃが第２本体２２ｃに近接又は離間するように屈伸するコネクタ用弁体５Ｃ、並びに、管体８１を接続可能な少なくとも２つの接続口１２〜１４、接続口１２〜１４を連通する流路１５及び弁体収納部１６を有するコネクタ管４と、弁体収納部１６に収納されたコネクタ用弁体５Ｃとを備え、平滑シール面３３が接続口１２の開口を閉塞する第１姿勢と、一端３１ｂが屈伸して管体８１の内腔８１ａと流路１５とを連通させる第２姿勢とに移行可能なコネクタ１。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、コネクタ用弁体及びコネクタに関し、さらに詳しくは、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ及びこのコネクタに用いられるコネクタ用弁体に関する。
【背景技術】
【０００２】
少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタには種々のものが知られているが、例えば、医療用コネクタが挙げられる。医療用コネクタは、例えば、患者に留置されたカテーテル等を介して患者に必要な薬液、体液、栄養剤等（この発明において流体と称する。）を投与する静脈内投与又は輸血等に用いられるコネクタ、１つの管体に接続された第１の流体とは異なる種類又は濃度の第２の流体を同様にして患者に静脈内投与する場合に用いられるコネクタ、具体的には混注管等が挙げられる。
【０００３】
従来、混注管等の医療用コネクタに第２の流体を注入するのに注射針を備えた注射器等を用いていたが、医療従事者の針刺しによる感染を未然に回避するために、近年、このような注射器に代えて、注射針を備えていない注射器等の管体、例えば、ルアーロック付きシリンジ、ルアーロック付き輸液管等が医療用コネクタに接続する管体として用いられるようになっている。
【０００４】
このような注射針を備えていない管体を接続可能又は使用可能な医療用コネクタは、接続口を常時液密にシールする一方、必要時に限って接続口を開いて流体を投与可能にするために、その内部にコネクタ用弁体を備えている。
【０００５】
このような医療用コネクタは種々のタイプが知られており、その１つとして、例えば、接続口を閉塞するシール部をその軸線方向に前後進させることで接続口を開閉させる医療用コネクタが挙げられる。このような医療用コネクタは接続口内に進入して接続口をシールするシール部とこのシール部を接続口に向けて付勢する付勢手段とを有する弁体を備えている。
【０００６】
このような医療用コネクタとして、例えば、特許文献１には「管体を接続する接続口と、流体通路とを有するコネクタ本体と、弁体と、前記弁体を、前記コネクタ本体に対し、該コネクタ本体の軸方向に移動可能に支持する支持部と、前記弁体を前記接続口側に向って付勢する付勢手段とを備え、前記弁体の移動により、前記接続口が開閉するよう構成されていることを特徴とするコネクタ」が記載されている（請求項５、０１４４欄〜０１６７欄、図１２〜図１４）。このコネクタにおいて、弁体は、略円柱状で（００２８欄、００６２欄、図１２〜図１３等）、小径部３１と液密（気密）に嵌合し得るリング状の第１のリブ（第１の嵌合部）５１１」を有しており（００６１欄、００６９欄等）、付勢手段の収縮によってコネクタ本体の軸方向に移動可能に支持部４１により支持されている（請求項９、００６欄、０１４７欄、図４等）。
【０００７】
また、特許文献２には、「両端に輸液管が連結される主流路と、この主流路から分岐する支流路とを備える分岐管を有する医療用混注管であって、上記支流路の先端部に内栓室を形成し、この内栓室内に、上記支流路の先端開口部を閉塞するための栓部と、この栓部に一体に形成され、外部からの押圧力により開栓可能な程度に上記栓部を上記開口部側に付勢する付勢部材とを備えた内栓を配設し、上記押圧力によって上記付勢部材が縮小すると共に上記栓部が上記内栓室内部に押し込まれて開栓し、上記縮小した付勢部材の伸長力によって上記栓部が上記先端開口部側に移動して付勢されることにより閉栓するように構成すると共に、上記支流路の内栓室と主流路との間に存して、上記内栓室に向かって漸次小径となる縮径部と、上記主流路に向かって漸次大径となる拡径部と、上記縮径部及び拡径部を連絡する連絡部と、上記拡径部から連設され上記拡径部より大径の調整部とからなる弁室を形成し、上記弁室内に、基体部と、外周面が上記弁室の縮径部の周面と同一形状である矢尻部と、外周面が上記弁室の拡径部の周面と同一形状である矢羽部とからなり、上記矢尻部と上記矢羽部とが、上記弁室の縮径部と拡径部との間隔と等距離に離間するように基体部から連設され、上記開口部から上記主流路への流れを許容し、上記主流路から上記開口部への流れを遮断する逆止弁を設け、上記逆止弁が、上記主流路側からの液圧によって、上記逆止弁の矢尻部の外周面が上記弁密着して上記支流路を遮断するように構成されたことを特徴とする医療用混注管」が記載されている（請求項１）。この「医療用混注管」における「内栓２」は「内栓室１２１内に収容される栓部２１と、可撓性を有する樹脂で形成されたバネであり、楕円板がつづら折り様に連なった形状の付勢部材２２とからなる」（００２１欄〜００２３欄及び図２（Ｂ）等）。
【０００８】
さらに、特許文献３には、概略、「注入口及び注入流路を有するハウジングと、流動制御部材、例えば、ピストン部、ピストン部に連接されピストン部を注入流路に付勢（ｂｉａｓｉｎｇ）する付勢部（ｂｉａｓｉｎｇ ｓｅｃｔｉｏｎ）及び付勢部に連接された流出部を有するこれらの結合部とを有する針なしアクセス装置」が記載されている（請求項１、４、１３等）。この「針なしアクセス装置」における付勢部材はハウジング２０内で「図８Ａに示されるようにシリンジ先端部によって付勢力に反して軸線方向に押し下げられる」（例えば、第８欄第２行〜第３行、図８Ａ等）。
【０００９】
別のタイプのコネクタ又は弁体として、例えば、接続口を閉塞するシール部を軸線方向に前後進させると共に傾斜させて接続口を開閉させる医療用コネクタが挙げられる。このような医療用コネクタとして、例えば、特許文献４には「軸線に沿って延在するハウジングと、このハウジングに内蔵され、ハウジングの基端に配置された弁座を密閉する第１姿勢及び自身の軸線がハウジングの軸線からずれた第２姿勢に変形する弁要素とを含むコネクタ」（請求項１等）が記載されている（第９欄第１９行〜同第３４行、図１２等）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開２００１−１７０１８８号公報
【特許文献２】特許第４４３３１４１号公報
【特許文献３】米国特許出願公開第２００６／１６３５１５号明細書
【特許文献４】米国特許第５７８２８１６号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
ところで、特許文献１〜３のように、シール部をその軸線方向に前後進させる医療用コネクタにおいては、注射針を備えていない注射器等の管体を医療用コネクタに挿入して流体を注入するには、管体の先端面とシール部との間に流体を流通させる間隙が必要になる。具体的には、特許文献１の「コネクタ」においては「弁体の、前記管体の先端面が接触する側に、凹部および／または凸部が形成されている」（請求項１１等、図２、図４、図７等）。また、特許文献３の「針なしアクセス装置」においては、例えば、シリンジから流出した流体が流れる「開口（ｏｐｅｎｉｎｇ）５６」を有している（第５欄００９４欄、図６等）。一方、特許文献２の「医療用混注管」においては「この状態で、シリンジｓのプランジャー（図示せず）を押し込むと、シリンジｓ中の薬液ｕが、図５に示されるように内栓２を、更に若干押し込みつつ内栓室１２１に注入される」。
【００１２】
このようにシール部が凹部、凸部又は開口を有していると、シール部の表面及び接続口を清掃しにくく、バクテリア等の繁殖を十分に抑制できないことがあり、清掃しやすくするためにシール部の表面に凹部、凸部又は開口等を設けない場合には特許文献２のように薬液ｕの注入圧を高めて薬液ｕでプランジャー（図示せず）を押し込む必要があり、薬液ｕを容易かつ確実に注入できないことがある。
【００１３】
一方で、特許文献２の「医療用混注管」及び特許文献３の「針なしアクセス装置」は、それ自体の形状が複雑であり、特に流路の形状が複雑で表面積が大きく、流体又は薬液ｕが医療用混注管又は針なしアクセス装置内に、特に流路に付着して残存しやすくなる。一般に、医療用コネクタは患者に必要な流体を所定量投与することが要求されるので、医療用コネクタ内に流体を残存しにくいものが求められる。
【００１４】
この発明は、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ、及び、このコネクタに用いられるコネクタ用弁体を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
この発明の発明者らは、コネクタ用弁体を、特許文献１〜３のようにシール部を単に軸線方向に前後進するように構成するのではなく、接続口を閉塞する平滑なシール面を有する第１本体とこれに連接された第２本体とが屈伸するように構成すると、平滑なシール面であっても接続口を閉塞できるにもかかわらず流体を容易に注入できるうえ、コネクタ内の流路を単純な形状にできることを見出した。
【００１６】
前記課題を解決するための第１の手段である、この発明に係るコネクタ用弁体は、管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管に収納され、流体の流通を制御するコネクタ用弁体であって、一端に、前記弁体収納部の内面に開口する前記第１の接続口の開口を閉塞する平滑シール面を有し、前記第１の接続口の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、前記第１本体の他端に前記第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸することを特徴とする。
【００１７】
このコネクタ用弁体における好適な一例は、
（１）第１本体及び第２本体は、１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体であり、
（２）前記屈曲体は、延在方向がなす角度が直角又は鋭角で屈曲した形状を有しており、
（３）前記屈曲体は、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状であり、
（４）前記第２本体の延在方向下流側に前記第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有し、
（５）前記第３本体の延在方向下流側に前記第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有し、側面視渦巻状をなし、
（６）前記平滑シール面は、コネクタ管に収納されたときに、前記軸線に対して垂直な平面、又は、前記第１の接続口の外側に凸に湾曲する湾曲面であり、
（７）前記コネクタ用弁体は、弾性材料、樹脂又は金属で作製されており、
（８）前記コネクタ用弁体は、前記弁体収納部の内面と共に流体を流通させる流通路を前記コネクタ用弁体の外周に形成し、
（９）コネクタは、混注管である。
【００１８】
前記課題を解決するための第２の手段である、この発明に係るコネクタは、管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管と、前記第１の接続口における前記弁体収納部の内面に開口する開口を前記平滑シール面が閉塞するように前記弁体収納部に収納されたこの発明に係るコネクタ用弁体とを備え、前記コネクタ用弁体は、前記平滑シール面が前記開口を閉塞する第１姿勢と前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸して前記管体の内腔と前記流路とを連通させる第２姿勢とに移行可能なことを特徴とする。
【００１９】
このコネクタにおける好適な一例は、コネクタ用弁体が前記第１の接続口の軸線方向に屈伸する。
【発明の効果】
【００２０】
この発明に係るコネクタ用弁体は、一端に平滑シール面を有し栓部を有しない第１本体と、この第１本体の他端に第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、前記一端が第２本体に近接又は離間するように屈伸するから、延伸すると平滑シール面であっても接続口を閉塞できるにもかかわらず、屈曲すると流体を容易に注入できるうえ、コネクタ内の流路が単純な形状になる。したがって、この発明によれば、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ及びこのコネクタに用いられるコネクタ用弁体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】図１は、この発明に係るコネクタ用弁体の一例を示す概略側面図であり、図１（ａ）はこの発明に係るコネクタ用弁体の一例における延伸状態を示す概略側面図であり、図１（ｂ）はこの発明に係るコネクタ用弁体の一例における屈曲状態を示す概略側面図である。
【図２】図２は、この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例を示す概略側面図である。
【図３】図３は、この発明に係るコネクタの一例を示す概略断面図であり、図３（ａ）はこの発明に係るコネクタの一例における密閉状態を示す概略断面図であり、図３（ｂ）はこの発明に係るコネクタの一例における開放状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
この発明に係るコネクタ用弁体は、少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタ、例えば、患者に留置されたカテーテルに連結されたチューブ等と輸液管等とを接続する医療用コネクタ、特に、前記チューブと、注射針を備えていない注射器等の管体、例えば、ルアーロック付きシリンジ、ルアーロック付き輸液管等（この発明において針無し管体と称する。）を接続する医療用コネクタに、好適に用いられる。以下に医療用コネクタを例に挙げてこの発明を説明する。
【００２３】
この発明に係るコネクタについての詳細は後述するが、この発明に係るコネクタ用弁体の理解を容易にするため簡単に説明すると、この発明に係るコネクタの好適な一例である医療用コネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、平面視略Ｙ字状のコネクタ管４とコネクタ管４に内蔵されるコネクタ用弁体５Ｃとを備えている。このコネクタ管４は、例えば針無し管体８１を接続可能な第１の接続口１２、患者に留置されたカテーテル等に連結された、図示しない管体が接続される第２の接続口１３、及び、患者に投与する流体を収納したバッグ等に連結された、図示しない管体が接続される第３の接続口１４と、これらの接続口１２〜１４を連通させる内部空間としての流路１５と、第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６とを有している。このコネクタ管４においては、弁体収納部１６は流路１５の大部分になっている。コネクタ用弁体５Ｃは弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持された状態で弁体収納部１６に収納される。
【００２４】
この発明に係るコネクタ用弁体は、この発明に係るコネクタ、例えばコネクタ１におけるコネクタ管４に設けられた弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持された状態で弁体収納部１６に収納される。弁体収納部１６に収納されたこの発明に係るコネクタ用弁体は弁体収納部１６の内面と共に流体を流通させる環状の流通路を自身の外周に形成する。したがって、この発明に係るコネクタ用弁体は弁体収納部１６に収納可能で流通路を形成可能な形状及び寸法を有している。
【００２５】
まず、この発明に係るコネクタ用弁体の概要を簡単に説明する。この発明に係るコネクタ用弁体は、具体的には、一端に、弁体収納部１６の内面に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面を有し、第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、この第１本体の他端に第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有している。この平滑シール面は、コネクタ管４に通常わずかな負荷状態で収納されたときに弁体収納部１６に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞できればよく、例えば、第１の接続口１２の軸線Ｃに対して垂直な平面、又は、第１の接続口１２の外側に凸に湾曲する湾曲面であるのが好ましい。平滑シール面がこのような垂直な平面又は湾曲面になっていれば第１の接続口１２の開口を全面的に覆って閉塞できる。そして、この発明に係るコネクタ用弁体は、針無し管体８１によって第１本体に作用する圧力すなわち荷重で、例えば図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、第１本体の一端が第２本体に近接又は離間するように、例えば第１の接続口１２の軸線Ｃに対して、屈伸する。
【００２６】
このように、この発明に係るコネクタ用弁体は流体を注入する際に第１の接続口１２の軸線Ｃ方向に圧力が作用すると第１の接続口１２近傍に位置する第１本体の一端が第２本体に近接するように屈曲する。このようにこの発明に係るコネクタ用弁体特に第１本体及び第２本体が屈曲すると、この発明に係るコネクタ用弁体特に第１本体は第２本体に向かう前傾姿勢になって屈曲した第１本体の平滑シール面が接続口１２の軸線Ｃを大きく超えると共に針無し管体８１の先端面８３から離間する。その結果、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面であっても、第１本体は第１の接続口１２に圧入された略垂直な針無し管体８１の先端面８３との間に空間が形成され、針無し管体８１の流体はこの空間を経てコネクタ管４内に容易に注入される。そして、針無し管体８１をコネクタ管４から抜脱すると、軸線Ｃ方向に作用する圧力が解除されて、第１本体は自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から元の姿勢まで延伸して平滑シール面が第１の接続口１２の軸線Ｃまで復帰してこの接続口１２の開口をシールする。この発明に係るコネクタ用弁体はこのような屈曲及び延伸によって高い屈曲性及びシール性を発揮し、この発明に係るコネクタ用弁体の屈曲及び延伸は針無し管体８１の挿脱が複数回であっても同様にすなわち一様に再現性よく繰り返されるから、この発明に係るコネクタ用弁体は流体の注入回数にかかわらず高い屈曲性及びシール性を発揮する。このように、この発明に係るコネクタ用弁体は、延伸すると平滑シール面で接続口を閉塞し、屈曲すると流体を容易に注入できる。なお、後述するように、この発明に係るコネクタ用弁体は、弁体収納部１６及び所望により載置部又は支持部１７に支持され自ら積極的に屈曲するように構成されており、他の部材又は要素に補助されることなく、屈伸する。この発明において、「屈曲」とはこの発明に係るコネクタ用弁体における第１本体及び第２本体が圧力の作用する方向に対して無負荷状態よりも鋭角又は扁平な弓状に曲がることを意味し、撓み曲がることを表す撓曲、座屈又は湾屈とも別言できる。
【００２７】
また、この発明に係るコネクタ用弁体は、流体を注入する際に屈曲して平滑シール面が接続口１２の軸線Ｃを大きく超えるから、この接続口１２を閉塞するシール部を平滑シール面にすることができ、その結果、平滑シール面及び接続口１２を容易に清浄でき、バクテリア等の繁殖を抑制できる。また、この発明に係るコネクタ用弁体は、屈伸する第１本体及び第２本体で構成されているから、この弁体の周囲に形成される流路として機能する空間が単純な形状になり、この発明に係るコネクタ用弁体に付着等して残留する流体の残留量を低減できる。
【００２８】
この発明に係るコネクタ用弁体において、第１本体及び第２本体は１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体であるのが好ましく、換言すると、第１本体に平滑シール面が存在しており、第１本体に頭部が連接されていないのが好ましい。そして、第１本体及び第２本体すなわち線材又は板材は中実であるのが、屈曲した後の反発力又は復元力が高くシール性に優れる点で好ましい。この発明に係るコネクタ用弁体において、屈曲体は、第１本体の延在方向と第２本体の延在方向とが交差する角度（内角）θが直角又は鋭角で屈曲した形状であるのが好ましく、具体的には、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状であるのが特に好ましい。換言すると、第２本体は第１本体の他端に第１本体と共に、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状になるように連接されているのが好ましく、直角又は鋭角の内角を有する楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状になるように連接されているのが特に好ましい。第１本体及び第２本体がこのように形成されていると、流体の残留量を低減できるうえ、屈曲した後の反発力又は復元力に優れ、第１本体及び第２本体が圧力の作用及び解除によって再現性よく屈伸して屈伸性及びシール性を高い水準で両立できる。この発明において「屈伸」とは、第１本体の一端が好ましくは第１本体と第２本体との連接部を中心にして第２本体に近接するように屈曲し、この一端が好ましくは連接部を中心にして第２本体から離間するように延伸することを意味し、また第１本体及び第２本体が好ましくは連接部を中心として楔形、Ｌ字形、Ｖ字形等の開き角が大きくなったり小さくなったりすることをも意味する。
【００２９】
この発明に係るコネクタ用弁体は、第１本体と第２本体とで構成されていればよく、例えば弁体収納部１６への収納安定性、屈曲した後の反発力又は復元力の安定性等を考慮して、第２本体の延在方向下流側に第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有していてもよく、さらに、この第３本体の延在方向下流側に第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有していてもよい。この発明に係るコネクタ用弁体が第３本体及び第４本体を有している場合には、後述するように、側面視したときに、第４本体が第１本体に向かって延在するような渦巻状、螺旋状をなしているのが、屈曲した後の反発力又は復元力が強く安定になる点で、好ましい。
【００３０】
この発明に係るコネクタ用弁体は、屈伸性及びシール性を効率よく発現できる点で、弾性材料、樹脂又は金属で作製され、少なくとも第１本体及び第２本体がそれらの連接部で屈伸可能な弾性又は可撓性を有している。この発明に係るコネクタ用弁体が弾性材料で作製される場合にはこの発明に係るコネクタ用弁体全体が弾性又は可撓性を有している。この発明に係るコネクタ用弁体を作製可能な弾性材料は、３０〜７０のＪＩＳ Ａ硬度を発現させる弾性材料であるのが好ましく、例えば、各種ゴム、各種エラストマー等が挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。この発明に係るコネクタ用弁体を作製可能な樹脂及び金属は、第１本体と第２本体との連接部が屈伸可能であればそれ自体弾性を有していなくてもよく、公知の樹脂及び金属を特に限定されることなく使用できる。樹脂としては、例えば、後述するコネクタ管等に用いられる各種樹脂、エンプラ、スーパーエンプラ、これら以外の各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられ、金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ニッケル等が挙げられる。この発明に係るコネクタ用弁体はこれら弾性部材、樹脂又は金属を定法によって成形又は加工することで製造できる。
【００３１】
この発明に係るコネクタ用弁体を、図面を参照して、具体的に説明する。この発明に係るコネクタ用弁体の一例であるコネクタ用弁体（以下、弁体と称することがある。）５Ａは、前記範囲のＪＩＳ Ａ硬度を発現するように弾性材料で形成され、図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、コネクタ管、例えば図３に示される、管体を接続可能な３つの接続口１２〜１４とこれらの接続口１２〜１４を連通する流路１５と第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６とを有するコネクタ管４に収納され、コネクタ管４内を流通する流体の流通を制御、換言すると、第１の接続口１２を針無し管体８１の挿脱によって開閉する。
【００３２】
この弁体５Ａは、一端（先端とも称する。）３１ａに、弁体収納部１６の内面に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有し、第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有しない第１本体２１ａと、第１本体２１ａの他端３２ａに第１本体２１ａと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ａとを備えている。この弁体５Ａは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが略直角となるように軸線方向の略中央を中心にして屈曲した、全体として略Ｌ字状の屈曲体であって、軸線に垂直な断面形状が略円形の中実になっている。したがって、この弁体５Ａは、第１本体２１ａと第２本体２２ａとがそれぞれ異なる方向、この例においては略垂直な方向に延在しており、その屈曲点すなわち連接部３５ａで一体に連接されている。そして、この弁体５Ａは、第２本体２２ａの端部が載置部又は支持部１７に載置又は支持され、弁体収納部１６の内周面に連接部３５ａが接触するように、第１本体２１ａ及び第２本体２２ａが共に傾斜した起立状態で弁体収納部１６に収納される。
【００３３】
このような形状を有する弁体５Ａは、図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、第１本体２１ａの一端３１ａの外周面は平滑シール面３３として機能し、この平滑シール面３３は弁体５Ａがコネクタ管４に収納されたときに第１の接続口１２の外側に凸に湾曲する湾曲面になっている。したがって、一端３１ａの湾曲面が第１の接続口１２の開口を覆うように閉塞でき、弁体５Ａは第１本体２１ａの他に第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有していない。そして、この湾曲面である平滑シール面３３は針無し管体８１に収容された流体を弁体収納部１６に案内する案内溝又は案内凹部のない平坦面になっている。このように第１本体２１ａは、その一端３１ａの平滑シール面３３が第１の接続口１２をシールするシール部として機能すると共に、その全体が第２本体２２ａと共に弁体５Ａを屈伸させるように機能する。なお、弁体５Ａにおいて、一端３１ａの平滑シール面３３はコネクタ管４に収納されたときに第１の接続口１２の開口を覆う平面であってもよい。
【００３４】
このように第１本体２１ａ及び第２本体２２ａとで構成された弁体５Ａは、弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持され、通常わずかな負荷状態で弁体収納部１６に収納される。この弁体５Ａに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用し又は負荷されると、この圧力は軸線Ｃ上に位置する平滑シール面３３に作用して第１本体２１ａを同方向に押圧する。そうすると、第１本体２１ａは連接部３５ａを支点にして第１本体２１ａの一端３１ａが第２本体２２ａに近接するように屈曲して、図１（ｂ）に示されるように、一端３１ａが第２本体に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ａは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ａの延在方向と第２本体２２ａの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００３５】
この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例である弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第１本体の一端及び弁体収納部１６への収納状態が異なること以外は弁体５Ａと基本的に同様である。弁体５Ａと同様の構成についての説明は省略し、図２（ａ）中同じ符号を付与する。
【００３６】
この弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第１本体２１ｂの延在方向から僅かに傾斜した膨出部を一端３１ｂに有する第１本体２１ｂと第１本体２１ｂの他端３２ｂに連接された第２本体２２ｂとを備えている。弁体５Ｂにおいても一端３１ｂは、球状又は楕円球状をなしており、第１の接続口１２の内周面には密着せず、この接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有している。この弁体５Ｂは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが直角よりも僅かに小さな鋭角、例えば７０〜８５°となるように屈曲した、全体として略Ｌ字状又は略Ｖ字状の屈曲体になっている。そして、この弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第２本体２２ｂが全体的に載置部又は支持部１７に載置又は支持され、弁体収納部１６の内周面であって載置部又は支持部１７の近傍に連接部３５ｂが接触し、第１本体２１ａが起立状態に、第２本体２２ａが横臥状態で弁体収納部１６に収納される。
【００３７】
このように第１本体２１ｂ及び第２本体２２ｂとで構成された弁体５Ｂに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用すると、第１本体２１ｂは連接部３５ｂを支点にして第１本体２１ｂの一端３１ｂが第２本体２２ｂに近接するように屈曲して、図２（ａ）に示されるように、一端３１ｂが第２本体に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ｂは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ｂの延在方向と第２本体２２ｂの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００３８】
この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例である弁体５Ｃは、図２（ｂ）に示されるように、第１本体の一端及び弁体収納部１６への収納状態が異なり第３本体及び第４本体を有していること以外は弁体５Ａと、また第３本体及び第４本体を有していること以外は弁体５Ｂと基本的に同様である。弁体５Ａ及び弁体５Ｂと同様の構成についての説明は省略し、図２（ｂ）中同じ符号を付与する。
【００３９】
この弁体５Ｃは、図２（ｂ）に示されるように、第１本体２１ｂの延在方向から僅かに傾斜した膨出部を一端３１ｂに有する第１本体２１ｂと、第１本体２１ｂの他端３２ｂに第１本体２１ｂと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ｃと、第２本体２２ｃの延在方向下流側すなわちその端部に第２本体２２ｃと異なる方向であって第１本体２１ｂの延在方向と概略同じ方向に延在するように連接された第３本体２３ｃと、第３本体２３ｃの延在方向下流側すなわちその端部に第３本体２３ｃと異なる方向であって第２本体２２ｃと概略同じ方向に延在するように連接された第４本体２４ｃとを備えている。この弁体５Ｃは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが略直角又は直角よりも僅かに小さな鋭角となるように３箇所を屈曲した屈曲体であって、軸線に垂直な断面形状が略円形の中実になっている。したがって、この弁体５Ｃは、第１本体２１ｂ、第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃが連接部３５ｂと同様の第１連接部３５ｃ、第２連接部３６ｃ及び第３連接部３７ｃで一体に連接されている。したがって、この弁体５Ｃは、側面視略矩形の渦巻状又は螺旋状になっており、側面視所謂「渦巻バネ」のような形状をしている。弁体５Ｃにおいても一端３１ｂは第１の接続口１２の内周面には密着せず、この接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有している。弁体５Ｃは、４つの本体で構成されているが、この発明において、弁体は５以上の本体で構成されていてもよい。
【００４０】
このように第１本体２１ｂ、第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃで構成された弁体５Ｃは、弁体５Ｂと基本的に同様に弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持され、通常わずかな負荷状態で弁体収納部１６に収納される。この弁体５Ｃに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用すると、この圧力は軸線Ｃ上に位置する平滑シール面３３に作用して第１本体２１ｂを同方向に押圧する。そうすると、第１本体２１ｂは第１連接部３５ｃを支点にして第１本体２１ｂの一端３１ｂが第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃに近接するように屈曲して、後述する図３（ｂ）に示されるように、一端３１ｂが第２本体２２ｃ側に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ｃは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ｂの延在方向と第２本体２２ｃの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００４１】
この発明に係る弁体は前記した例に限定されることはなくこの発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記した各種の頭部及び脚部を適宜に組み合わせることができる。
【００４２】
弁体５Ａ〜５Ｃは、いずれも、１本の線材が屈曲された屈曲体として構成されているが、この発明において、弁体は１枚の板材が屈曲された屈曲体として構成されていてもよく、この場合には、弁体収納部１６に注入された流体を第２の接続口１３に流通させるための、流通孔を弁体に穿孔してもよく、また板材の寸法を弁体収納部１６の内周を閉塞しない寸法に調整してもよく、これらを併用してもよい。
【００４３】
弁体５Ａ〜５Ｃは、いずれも、弾性材料で作製されているが、この発明において、弁体は弾性材料に代えて樹脂、金属等で作製されていてもよい。
【００４４】
この発明に係るコネクタは、少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタ、例えば、前記医療用コネクタ、特に、前記チューブと針無し管体とを接続する医療用コネクタすなわち混注管等として好適に用いられる。そして、この発明に係るコネクタは、コネクタ管とこの発明に係るコネクタ用弁体とを備えており、この発明に係るコネクタ用弁体は、前記したように、平滑シール面が接続口の開口を閉塞する第１姿勢（密閉状態とも称する。）と、平滑シール面に作用する圧力で第１本体の一端が第２本体に近接又は離間するように屈伸して管体の内腔と流路とを連通させる第２姿勢（開放状態とも称する。）とに移行可能になっている。この発明に係るコネクタ用弁体が第１姿勢にあると平滑シール面が第１の接続口の弁体収納部に開口する開口を液密にシールする。一方、この発明に係るコネクタ用弁体が前記のように屈曲すると、第１姿勢から第２姿勢に移行して、第１本体が第２本体に向かう前傾姿勢になって、平坦シール面が接続口の軸線を大きく超えて針無し管体の先端面から離間する。その結果、針無し管体の内腔とコネクタ管の流路とが弁体収納部内で連通して管体の内腔からコネクタ管内に流体が供給される。流体の供給が終了した後に管体を第１の接続口から抜脱すなわち退避させると、この発明に係るコネクタ用弁体にかかっていた圧力が解除されて自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から元の姿勢まで延伸して、すなわち第２姿勢から第１姿勢に移行して、平坦シール面が第１の接続口を液密にシールする。このようにしてこの発明に係るコネクタは優れた屈伸性及びシール性を発揮する。そして、第１の接続口を第１の接続口を液密にシールするでシールするから清掃しやすく、またこの発明に係るコネクタ用弁体の周りに形成される流路が単純な形状になるから液残りも少なくなる。
【００４５】
この発明に係るコネクタの一例であるコネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、針無し管体８１を接続可能な第１の接続口１２、患者に留置されたカテーテル等に連結された、図示しない管体が接続される第２の接続口１３、及び、患者に投与する流体を収納したバッグ等に連結された、図示しない管体が接続される第３の接続口１４、これらの接続口１２〜１４を連通させる流路１５、並びに、第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６を有するコネクタ管４と、コネクタ管４の弁体収納部１６又は流路１５内に内蔵されるコネクタ用弁体５Ｃとを備えている。
【００４６】
このようなコネクタ管４は弁体５Ｃを内蔵できる限り従来公知のコネクタ管を限定されることなく用いることができ、例えば、図３に示されるように平面視略Ｙ字状のコネクタ管４、平面視略Ｔ字状のコネクタ管、平面視略十字状のコネクタ管等が挙げられる。コネクタ管４は、その軸線方向の一端側に針無し管体８１が接続される第１の接続口１２が配置され、他端側にカテーテル等に連結された管体が接続される第２の接続口１３が配置され、前記軸線方向に交差する方向に突出し、流体を収納したバッグ等に連結された管体が接続される第３の接続口１４が配置されている。そして、第１の接続口１２と第２の接続口１３との間に軸線方向に沿って弁体５Ｃを収納可能な弁体収納部１６が配置されており、弁体収納部１６がもっとも大径の中空構造になっており、第１の接続口１２が弁体収納部１６よりも小さな径の貫通孔になっており、第２の接続口１３及び第３の接続口１４がもっとも小径の管体構造になっている。コネクタ管４の各接続口１２〜１４には必要に応じて、後述する針無し管体と接続可能な構造又は接続を一時的に保持可能な構造、例えば、ルアーロックネジ等が形成されている。
【００４７】
コネクタ管４の弁体収納部１６は、第２の接続部１３側が先細の尖形部を有する中空の円筒形になっており、尖形部の上流側に弁体５Ｃを載置又は支持する載置部又は支持部１７が配置されている。この載置部又は支持部１７は網体、貫通孔を有する板体、弁体収納部１６の径方向に例えば格子状に張設された複数の棒体等で構成されている。この載置部又は支持部１７は、通常わずかな負荷状態となるように弁体５Ｃが弁体収納部に収納されるように弁体５Ｃの第２本体２２ｃを載置すると共に、流体を第２の接続口１３に流通させる。
【００４８】
コネクタ１に接続される針無し管体８１は、内腔８１ａすなわち流体を流通させる流路を内部に有していれば特に限定されず、前記した各種の管体が挙げられる。図３（ａ）に示されるように、この管体の先端部８２は第１の接続口１２に接続可能な形状になっており、通常、第１の接続口１２の内径よりも僅かに小さな外径を有する小径環状構造になっている。この先端部８２の外周面には第１の接続口１２に所望により形成されたルアーロックに螺合するルアー溝を有していてもよい。
【００４９】
コネクタ管４及び針無し管体８１は通常剛性のある材料、例えば、各種樹脂、各種ガラス、各種セラミックス、各種金属で形成される。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−（４−メチルペンテン−１）、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）、アクリロニトリル−スチレン共重合体（ＡＳ樹脂）、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリシクロヘキサンテレフタレート（ＰＣＴ）等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン（ＰＥＫ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、ポリエーテルイミド、ポリアセタール（ＰＯＭ）、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル（液晶ポリマー）、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂、又はこれら樹脂を１種以上含むブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。
【００５０】
コネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、針無し管体８１が第１の接続口１２に接続されていないとき、すなわち密閉状態にあるときは、弁体収納部１６に収納された弁体５Ｃはその軸線Ｃ方向に延伸した第１姿勢をとっており、平滑シール面３３が第１の接続口１２の弁体収納部１６の内部に開口する開口を液密に密閉すなわちシールしている。弁体５Ｃはこのように第１の接続口１２の開口を密閉しているから第３の接続口１３を通過した患者の血液又は第２の接続口１４から注入された流体等が第１の接続口１２から流出することがなく、この体５Ｃは逆止弁、止血弁等としても機能する。この第１姿勢において、第１の接続口１２には平滑シール面３３が露出しているから、第１の接続口１２はもちろん平滑シール面３３も容易に清浄、拭取り又は払拭してバクテリア等の繁殖を抑制できる。弁体収納部１６に収納された弁体５Ｃは弁体収納部１６の内面と共に流体を流通させる単純な形状の流通路を自身の外周に形成する。したがって、弁体収納部１６の内径は弁体５Ｃよりも大きな寸法に設定されている。
【００５１】
コネクタ１を介して患者に流体を供給するには、図３（ｂ）に示されるように、管体８１の先端部８２を弁体５Ａの弾発力に反して第１の接続口１２に圧入する。そうすると、弁体５Ｃは第１本体２１ｂと第２本体２２ｃとを有しているから、第１の接続口１２に接続された針無し管体８１による弁体５Ｃの平滑シール面３３に作用した押圧力によって第１本体２１ｂが連接部３５ｃを支点にして第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃに近接するように屈曲して、一端３１ｂが第２本体２２ｃ側に向かうような前傾姿勢になる。このような前傾姿勢によって、第１の接続口１２の開口をシールしていた平坦シール面３３が第１の接続口１２の軸線Ｃを大きく超えて第１連接部３５ｃの反対側に移行して、針無し管体８１の先端面８３から離間する。一方、軸線Ｃに沿って第１の接続口１２に圧入された針無し管体８１の先端面８３は軸線Ｃ上にあり、この軸線Ｃに対して垂直になっている。このように屈曲した弁体５Ｃは、第１本体２１ｂの外周面が先端面８３に対向しているから、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面３３であっても、その外周面と先端面８３との間に空間８４が形成され、流体はこの空間８４を経て針無し管体８１からコネクタ管４に容易に注入される。このように管体８１の先端部８２を第１の接続口１２に圧入すると、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面３３であっても、針無し管体８１の内腔８１ａと流路１５とが連通した、コネクタ１すなわち第１の接続口１２が開放された第２姿勢になる。そして、第１の接続口１２から注入された流体は、屈曲した弁体５Ｃの外周面とコネクタ管４との間に形成される空間は単純な形状になって速やかに、かつ弁体５Ｃにほとんど付着等することなく流通し、次いで載置部又は支持部１７を経由して第２の接続口１３に流入する。このように流体は単純な形状の通路を流通するからコネクタ１内にほとんど残留しない。なお、弁体５Ｃは前記圧力によって自ら積極的に屈曲する。
【００５２】
そして、弁体５Ｃは、針無し管体８１による押圧力によって第１本体２１ｂが第１連接部３５ｃを支点にして容易に屈曲するから、流体を注入するときに針無し管体８１を大きな圧力で挿入しなくても弁体５Ｃを屈曲させることができ、また比較的小さな圧力で第１の接続口１２をシールできる。
【００５３】
このようにして所望の流体を注入した後に針無し管体８１を第１の接続口１２から抜脱すると、針無し管体８１により負荷された押圧力が解除されて、弁体５Ｃは自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から第１姿勢まで延伸して、すなわち第２姿勢から第１姿勢に移行して、平坦シール面３３が第１の接続口１２の開口を液密にシールする。このようにして弁体５Ｃが第１姿勢に復帰すると前記したように第１の接続口１２はもちろん平滑シール面３３も容易に清浄できる。そして、このように弁体５Ｃを備えたコネクタ１は、たとえ流体を複数回注入する場合であっても、弁体５Ｃが一様に屈曲すると共に圧力が解除されると第１姿勢に延伸するから、弁体５Ｃの屈伸すなわち第１姿勢と第２姿勢との移行は毎回同様に再現性よく繰り返される。したがって、コネクタ１は屈曲性及びシール性に優れる。
【００５４】
なお、弁体５Ｃを備えたコネクタ１についてその構造及び作用を説明したが、弁体５Ｃに代えて弁体５Ａ及び５Ｂを備えたコネクタであっても同様に機能する。
【００５５】
この発明に係るコネクタは前記した例に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【００５６】
１ コネクタ
４ コネクタ管
５Ａ〜５Ｃ コネクタ用弁体（弁体）
１２ 第１の接続口
１３ 第２の接続口
１４ 第３の接続口
１５ 流路
１６ 弁体収納部
１７ 載置部又は支持部
２１ａ、２１ｂ 第１本体
２２ａ〜２２ｃ 第２本体
２３ｃ 第３本体
２４ｃ 第４本体
３１ａ、３１ｂ 一端
３２ａ、３２ｂ 他端
３３ 平滑シール面
３５ａ、３５ｂ 連接部（屈曲部）
３５ｃ 第１連接部
３６ｃ 第２連接部
３７ｃ 第３連接部
８１ 針無し管体
８１ａ 内腔
８２ 先端部
８３ 先端面
８４ 空間
【技術分野】
【０００１】
この発明は、コネクタ用弁体及びコネクタに関し、さらに詳しくは、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ及びこのコネクタに用いられるコネクタ用弁体に関する。
【背景技術】
【０００２】
少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタには種々のものが知られているが、例えば、医療用コネクタが挙げられる。医療用コネクタは、例えば、患者に留置されたカテーテル等を介して患者に必要な薬液、体液、栄養剤等（この発明において流体と称する。）を投与する静脈内投与又は輸血等に用いられるコネクタ、１つの管体に接続された第１の流体とは異なる種類又は濃度の第２の流体を同様にして患者に静脈内投与する場合に用いられるコネクタ、具体的には混注管等が挙げられる。
【０００３】
従来、混注管等の医療用コネクタに第２の流体を注入するのに注射針を備えた注射器等を用いていたが、医療従事者の針刺しによる感染を未然に回避するために、近年、このような注射器に代えて、注射針を備えていない注射器等の管体、例えば、ルアーロック付きシリンジ、ルアーロック付き輸液管等が医療用コネクタに接続する管体として用いられるようになっている。
【０００４】
このような注射針を備えていない管体を接続可能又は使用可能な医療用コネクタは、接続口を常時液密にシールする一方、必要時に限って接続口を開いて流体を投与可能にするために、その内部にコネクタ用弁体を備えている。
【０００５】
このような医療用コネクタは種々のタイプが知られており、その１つとして、例えば、接続口を閉塞するシール部をその軸線方向に前後進させることで接続口を開閉させる医療用コネクタが挙げられる。このような医療用コネクタは接続口内に進入して接続口をシールするシール部とこのシール部を接続口に向けて付勢する付勢手段とを有する弁体を備えている。
【０００６】
このような医療用コネクタとして、例えば、特許文献１には「管体を接続する接続口と、流体通路とを有するコネクタ本体と、弁体と、前記弁体を、前記コネクタ本体に対し、該コネクタ本体の軸方向に移動可能に支持する支持部と、前記弁体を前記接続口側に向って付勢する付勢手段とを備え、前記弁体の移動により、前記接続口が開閉するよう構成されていることを特徴とするコネクタ」が記載されている（請求項５、０１４４欄〜０１６７欄、図１２〜図１４）。このコネクタにおいて、弁体は、略円柱状で（００２８欄、００６２欄、図１２〜図１３等）、小径部３１と液密（気密）に嵌合し得るリング状の第１のリブ（第１の嵌合部）５１１」を有しており（００６１欄、００６９欄等）、付勢手段の収縮によってコネクタ本体の軸方向に移動可能に支持部４１により支持されている（請求項９、００６欄、０１４７欄、図４等）。
【０００７】
また、特許文献２には、「両端に輸液管が連結される主流路と、この主流路から分岐する支流路とを備える分岐管を有する医療用混注管であって、上記支流路の先端部に内栓室を形成し、この内栓室内に、上記支流路の先端開口部を閉塞するための栓部と、この栓部に一体に形成され、外部からの押圧力により開栓可能な程度に上記栓部を上記開口部側に付勢する付勢部材とを備えた内栓を配設し、上記押圧力によって上記付勢部材が縮小すると共に上記栓部が上記内栓室内部に押し込まれて開栓し、上記縮小した付勢部材の伸長力によって上記栓部が上記先端開口部側に移動して付勢されることにより閉栓するように構成すると共に、上記支流路の内栓室と主流路との間に存して、上記内栓室に向かって漸次小径となる縮径部と、上記主流路に向かって漸次大径となる拡径部と、上記縮径部及び拡径部を連絡する連絡部と、上記拡径部から連設され上記拡径部より大径の調整部とからなる弁室を形成し、上記弁室内に、基体部と、外周面が上記弁室の縮径部の周面と同一形状である矢尻部と、外周面が上記弁室の拡径部の周面と同一形状である矢羽部とからなり、上記矢尻部と上記矢羽部とが、上記弁室の縮径部と拡径部との間隔と等距離に離間するように基体部から連設され、上記開口部から上記主流路への流れを許容し、上記主流路から上記開口部への流れを遮断する逆止弁を設け、上記逆止弁が、上記主流路側からの液圧によって、上記逆止弁の矢尻部の外周面が上記弁密着して上記支流路を遮断するように構成されたことを特徴とする医療用混注管」が記載されている（請求項１）。この「医療用混注管」における「内栓２」は「内栓室１２１内に収容される栓部２１と、可撓性を有する樹脂で形成されたバネであり、楕円板がつづら折り様に連なった形状の付勢部材２２とからなる」（００２１欄〜００２３欄及び図２（Ｂ）等）。
【０００８】
さらに、特許文献３には、概略、「注入口及び注入流路を有するハウジングと、流動制御部材、例えば、ピストン部、ピストン部に連接されピストン部を注入流路に付勢（ｂｉａｓｉｎｇ）する付勢部（ｂｉａｓｉｎｇ ｓｅｃｔｉｏｎ）及び付勢部に連接された流出部を有するこれらの結合部とを有する針なしアクセス装置」が記載されている（請求項１、４、１３等）。この「針なしアクセス装置」における付勢部材はハウジング２０内で「図８Ａに示されるようにシリンジ先端部によって付勢力に反して軸線方向に押し下げられる」（例えば、第８欄第２行〜第３行、図８Ａ等）。
【０００９】
別のタイプのコネクタ又は弁体として、例えば、接続口を閉塞するシール部を軸線方向に前後進させると共に傾斜させて接続口を開閉させる医療用コネクタが挙げられる。このような医療用コネクタとして、例えば、特許文献４には「軸線に沿って延在するハウジングと、このハウジングに内蔵され、ハウジングの基端に配置された弁座を密閉する第１姿勢及び自身の軸線がハウジングの軸線からずれた第２姿勢に変形する弁要素とを含むコネクタ」（請求項１等）が記載されている（第９欄第１９行〜同第３４行、図１２等）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開２００１−１７０１８８号公報
【特許文献２】特許第４４３３１４１号公報
【特許文献３】米国特許出願公開第２００６／１６３５１５号明細書
【特許文献４】米国特許第５７８２８１６号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
ところで、特許文献１〜３のように、シール部をその軸線方向に前後進させる医療用コネクタにおいては、注射針を備えていない注射器等の管体を医療用コネクタに挿入して流体を注入するには、管体の先端面とシール部との間に流体を流通させる間隙が必要になる。具体的には、特許文献１の「コネクタ」においては「弁体の、前記管体の先端面が接触する側に、凹部および／または凸部が形成されている」（請求項１１等、図２、図４、図７等）。また、特許文献３の「針なしアクセス装置」においては、例えば、シリンジから流出した流体が流れる「開口（ｏｐｅｎｉｎｇ）５６」を有している（第５欄００９４欄、図６等）。一方、特許文献２の「医療用混注管」においては「この状態で、シリンジｓのプランジャー（図示せず）を押し込むと、シリンジｓ中の薬液ｕが、図５に示されるように内栓２を、更に若干押し込みつつ内栓室１２１に注入される」。
【００１２】
このようにシール部が凹部、凸部又は開口を有していると、シール部の表面及び接続口を清掃しにくく、バクテリア等の繁殖を十分に抑制できないことがあり、清掃しやすくするためにシール部の表面に凹部、凸部又は開口等を設けない場合には特許文献２のように薬液ｕの注入圧を高めて薬液ｕでプランジャー（図示せず）を押し込む必要があり、薬液ｕを容易かつ確実に注入できないことがある。
【００１３】
一方で、特許文献２の「医療用混注管」及び特許文献３の「針なしアクセス装置」は、それ自体の形状が複雑であり、特に流路の形状が複雑で表面積が大きく、流体又は薬液ｕが医療用混注管又は針なしアクセス装置内に、特に流路に付着して残存しやすくなる。一般に、医療用コネクタは患者に必要な流体を所定量投与することが要求されるので、医療用コネクタ内に流体を残存しにくいものが求められる。
【００１４】
この発明は、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ、及び、このコネクタに用いられるコネクタ用弁体を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
この発明の発明者らは、コネクタ用弁体を、特許文献１〜３のようにシール部を単に軸線方向に前後進するように構成するのではなく、接続口を閉塞する平滑なシール面を有する第１本体とこれに連接された第２本体とが屈伸するように構成すると、平滑なシール面であっても接続口を閉塞できるにもかかわらず流体を容易に注入できるうえ、コネクタ内の流路を単純な形状にできることを見出した。
【００１６】
前記課題を解決するための第１の手段である、この発明に係るコネクタ用弁体は、管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管に収納され、流体の流通を制御するコネクタ用弁体であって、一端に、前記弁体収納部の内面に開口する前記第１の接続口の開口を閉塞する平滑シール面を有し、前記第１の接続口の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、前記第１本体の他端に前記第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸することを特徴とする。
【００１７】
このコネクタ用弁体における好適な一例は、
（１）第１本体及び第２本体は、１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体であり、
（２）前記屈曲体は、延在方向がなす角度が直角又は鋭角で屈曲した形状を有しており、
（３）前記屈曲体は、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状であり、
（４）前記第２本体の延在方向下流側に前記第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有し、
（５）前記第３本体の延在方向下流側に前記第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有し、側面視渦巻状をなし、
（６）前記平滑シール面は、コネクタ管に収納されたときに、前記軸線に対して垂直な平面、又は、前記第１の接続口の外側に凸に湾曲する湾曲面であり、
（７）前記コネクタ用弁体は、弾性材料、樹脂又は金属で作製されており、
（８）前記コネクタ用弁体は、前記弁体収納部の内面と共に流体を流通させる流通路を前記コネクタ用弁体の外周に形成し、
（９）コネクタは、混注管である。
【００１８】
前記課題を解決するための第２の手段である、この発明に係るコネクタは、管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管と、前記第１の接続口における前記弁体収納部の内面に開口する開口を前記平滑シール面が閉塞するように前記弁体収納部に収納されたこの発明に係るコネクタ用弁体とを備え、前記コネクタ用弁体は、前記平滑シール面が前記開口を閉塞する第１姿勢と前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸して前記管体の内腔と前記流路とを連通させる第２姿勢とに移行可能なことを特徴とする。
【００１９】
このコネクタにおける好適な一例は、コネクタ用弁体が前記第１の接続口の軸線方向に屈伸する。
【発明の効果】
【００２０】
この発明に係るコネクタ用弁体は、一端に平滑シール面を有し栓部を有しない第１本体と、この第１本体の他端に第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、前記一端が第２本体に近接又は離間するように屈伸するから、延伸すると平滑シール面であっても接続口を閉塞できるにもかかわらず、屈曲すると流体を容易に注入できるうえ、コネクタ内の流路が単純な形状になる。したがって、この発明によれば、流体の注入が容易で液残りも少ない衛生面にも優れたコネクタ及びこのコネクタに用いられるコネクタ用弁体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】図１は、この発明に係るコネクタ用弁体の一例を示す概略側面図であり、図１（ａ）はこの発明に係るコネクタ用弁体の一例における延伸状態を示す概略側面図であり、図１（ｂ）はこの発明に係るコネクタ用弁体の一例における屈曲状態を示す概略側面図である。
【図２】図２は、この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例を示す概略側面図である。
【図３】図３は、この発明に係るコネクタの一例を示す概略断面図であり、図３（ａ）はこの発明に係るコネクタの一例における密閉状態を示す概略断面図であり、図３（ｂ）はこの発明に係るコネクタの一例における開放状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
この発明に係るコネクタ用弁体は、少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタ、例えば、患者に留置されたカテーテルに連結されたチューブ等と輸液管等とを接続する医療用コネクタ、特に、前記チューブと、注射針を備えていない注射器等の管体、例えば、ルアーロック付きシリンジ、ルアーロック付き輸液管等（この発明において針無し管体と称する。）を接続する医療用コネクタに、好適に用いられる。以下に医療用コネクタを例に挙げてこの発明を説明する。
【００２３】
この発明に係るコネクタについての詳細は後述するが、この発明に係るコネクタ用弁体の理解を容易にするため簡単に説明すると、この発明に係るコネクタの好適な一例である医療用コネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、平面視略Ｙ字状のコネクタ管４とコネクタ管４に内蔵されるコネクタ用弁体５Ｃとを備えている。このコネクタ管４は、例えば針無し管体８１を接続可能な第１の接続口１２、患者に留置されたカテーテル等に連結された、図示しない管体が接続される第２の接続口１３、及び、患者に投与する流体を収納したバッグ等に連結された、図示しない管体が接続される第３の接続口１４と、これらの接続口１２〜１４を連通させる内部空間としての流路１５と、第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６とを有している。このコネクタ管４においては、弁体収納部１６は流路１５の大部分になっている。コネクタ用弁体５Ｃは弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持された状態で弁体収納部１６に収納される。
【００２４】
この発明に係るコネクタ用弁体は、この発明に係るコネクタ、例えばコネクタ１におけるコネクタ管４に設けられた弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持された状態で弁体収納部１６に収納される。弁体収納部１６に収納されたこの発明に係るコネクタ用弁体は弁体収納部１６の内面と共に流体を流通させる環状の流通路を自身の外周に形成する。したがって、この発明に係るコネクタ用弁体は弁体収納部１６に収納可能で流通路を形成可能な形状及び寸法を有している。
【００２５】
まず、この発明に係るコネクタ用弁体の概要を簡単に説明する。この発明に係るコネクタ用弁体は、具体的には、一端に、弁体収納部１６の内面に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面を有し、第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、この第１本体の他端に第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有している。この平滑シール面は、コネクタ管４に通常わずかな負荷状態で収納されたときに弁体収納部１６に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞できればよく、例えば、第１の接続口１２の軸線Ｃに対して垂直な平面、又は、第１の接続口１２の外側に凸に湾曲する湾曲面であるのが好ましい。平滑シール面がこのような垂直な平面又は湾曲面になっていれば第１の接続口１２の開口を全面的に覆って閉塞できる。そして、この発明に係るコネクタ用弁体は、針無し管体８１によって第１本体に作用する圧力すなわち荷重で、例えば図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、第１本体の一端が第２本体に近接又は離間するように、例えば第１の接続口１２の軸線Ｃに対して、屈伸する。
【００２６】
このように、この発明に係るコネクタ用弁体は流体を注入する際に第１の接続口１２の軸線Ｃ方向に圧力が作用すると第１の接続口１２近傍に位置する第１本体の一端が第２本体に近接するように屈曲する。このようにこの発明に係るコネクタ用弁体特に第１本体及び第２本体が屈曲すると、この発明に係るコネクタ用弁体特に第１本体は第２本体に向かう前傾姿勢になって屈曲した第１本体の平滑シール面が接続口１２の軸線Ｃを大きく超えると共に針無し管体８１の先端面８３から離間する。その結果、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面であっても、第１本体は第１の接続口１２に圧入された略垂直な針無し管体８１の先端面８３との間に空間が形成され、針無し管体８１の流体はこの空間を経てコネクタ管４内に容易に注入される。そして、針無し管体８１をコネクタ管４から抜脱すると、軸線Ｃ方向に作用する圧力が解除されて、第１本体は自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から元の姿勢まで延伸して平滑シール面が第１の接続口１２の軸線Ｃまで復帰してこの接続口１２の開口をシールする。この発明に係るコネクタ用弁体はこのような屈曲及び延伸によって高い屈曲性及びシール性を発揮し、この発明に係るコネクタ用弁体の屈曲及び延伸は針無し管体８１の挿脱が複数回であっても同様にすなわち一様に再現性よく繰り返されるから、この発明に係るコネクタ用弁体は流体の注入回数にかかわらず高い屈曲性及びシール性を発揮する。このように、この発明に係るコネクタ用弁体は、延伸すると平滑シール面で接続口を閉塞し、屈曲すると流体を容易に注入できる。なお、後述するように、この発明に係るコネクタ用弁体は、弁体収納部１６及び所望により載置部又は支持部１７に支持され自ら積極的に屈曲するように構成されており、他の部材又は要素に補助されることなく、屈伸する。この発明において、「屈曲」とはこの発明に係るコネクタ用弁体における第１本体及び第２本体が圧力の作用する方向に対して無負荷状態よりも鋭角又は扁平な弓状に曲がることを意味し、撓み曲がることを表す撓曲、座屈又は湾屈とも別言できる。
【００２７】
また、この発明に係るコネクタ用弁体は、流体を注入する際に屈曲して平滑シール面が接続口１２の軸線Ｃを大きく超えるから、この接続口１２を閉塞するシール部を平滑シール面にすることができ、その結果、平滑シール面及び接続口１２を容易に清浄でき、バクテリア等の繁殖を抑制できる。また、この発明に係るコネクタ用弁体は、屈伸する第１本体及び第２本体で構成されているから、この弁体の周囲に形成される流路として機能する空間が単純な形状になり、この発明に係るコネクタ用弁体に付着等して残留する流体の残留量を低減できる。
【００２８】
この発明に係るコネクタ用弁体において、第１本体及び第２本体は１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体であるのが好ましく、換言すると、第１本体に平滑シール面が存在しており、第１本体に頭部が連接されていないのが好ましい。そして、第１本体及び第２本体すなわち線材又は板材は中実であるのが、屈曲した後の反発力又は復元力が高くシール性に優れる点で好ましい。この発明に係るコネクタ用弁体において、屈曲体は、第１本体の延在方向と第２本体の延在方向とが交差する角度（内角）θが直角又は鋭角で屈曲した形状であるのが好ましく、具体的には、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状であるのが特に好ましい。換言すると、第２本体は第１本体の他端に第１本体と共に、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状になるように連接されているのが好ましく、直角又は鋭角の内角を有する楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状になるように連接されているのが特に好ましい。第１本体及び第２本体がこのように形成されていると、流体の残留量を低減できるうえ、屈曲した後の反発力又は復元力に優れ、第１本体及び第２本体が圧力の作用及び解除によって再現性よく屈伸して屈伸性及びシール性を高い水準で両立できる。この発明において「屈伸」とは、第１本体の一端が好ましくは第１本体と第２本体との連接部を中心にして第２本体に近接するように屈曲し、この一端が好ましくは連接部を中心にして第２本体から離間するように延伸することを意味し、また第１本体及び第２本体が好ましくは連接部を中心として楔形、Ｌ字形、Ｖ字形等の開き角が大きくなったり小さくなったりすることをも意味する。
【００２９】
この発明に係るコネクタ用弁体は、第１本体と第２本体とで構成されていればよく、例えば弁体収納部１６への収納安定性、屈曲した後の反発力又は復元力の安定性等を考慮して、第２本体の延在方向下流側に第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有していてもよく、さらに、この第３本体の延在方向下流側に第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有していてもよい。この発明に係るコネクタ用弁体が第３本体及び第４本体を有している場合には、後述するように、側面視したときに、第４本体が第１本体に向かって延在するような渦巻状、螺旋状をなしているのが、屈曲した後の反発力又は復元力が強く安定になる点で、好ましい。
【００３０】
この発明に係るコネクタ用弁体は、屈伸性及びシール性を効率よく発現できる点で、弾性材料、樹脂又は金属で作製され、少なくとも第１本体及び第２本体がそれらの連接部で屈伸可能な弾性又は可撓性を有している。この発明に係るコネクタ用弁体が弾性材料で作製される場合にはこの発明に係るコネクタ用弁体全体が弾性又は可撓性を有している。この発明に係るコネクタ用弁体を作製可能な弾性材料は、３０〜７０のＪＩＳ Ａ硬度を発現させる弾性材料であるのが好ましく、例えば、各種ゴム、各種エラストマー等が挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。この発明に係るコネクタ用弁体を作製可能な樹脂及び金属は、第１本体と第２本体との連接部が屈伸可能であればそれ自体弾性を有していなくてもよく、公知の樹脂及び金属を特に限定されることなく使用できる。樹脂としては、例えば、後述するコネクタ管等に用いられる各種樹脂、エンプラ、スーパーエンプラ、これら以外の各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられ、金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ニッケル等が挙げられる。この発明に係るコネクタ用弁体はこれら弾性部材、樹脂又は金属を定法によって成形又は加工することで製造できる。
【００３１】
この発明に係るコネクタ用弁体を、図面を参照して、具体的に説明する。この発明に係るコネクタ用弁体の一例であるコネクタ用弁体（以下、弁体と称することがある。）５Ａは、前記範囲のＪＩＳ Ａ硬度を発現するように弾性材料で形成され、図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、コネクタ管、例えば図３に示される、管体を接続可能な３つの接続口１２〜１４とこれらの接続口１２〜１４を連通する流路１５と第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６とを有するコネクタ管４に収納され、コネクタ管４内を流通する流体の流通を制御、換言すると、第１の接続口１２を針無し管体８１の挿脱によって開閉する。
【００３２】
この弁体５Ａは、一端（先端とも称する。）３１ａに、弁体収納部１６の内面に開口する第１の接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有し、第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有しない第１本体２１ａと、第１本体２１ａの他端３２ａに第１本体２１ａと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ａとを備えている。この弁体５Ａは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが略直角となるように軸線方向の略中央を中心にして屈曲した、全体として略Ｌ字状の屈曲体であって、軸線に垂直な断面形状が略円形の中実になっている。したがって、この弁体５Ａは、第１本体２１ａと第２本体２２ａとがそれぞれ異なる方向、この例においては略垂直な方向に延在しており、その屈曲点すなわち連接部３５ａで一体に連接されている。そして、この弁体５Ａは、第２本体２２ａの端部が載置部又は支持部１７に載置又は支持され、弁体収納部１６の内周面に連接部３５ａが接触するように、第１本体２１ａ及び第２本体２２ａが共に傾斜した起立状態で弁体収納部１６に収納される。
【００３３】
このような形状を有する弁体５Ａは、図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、第１本体２１ａの一端３１ａの外周面は平滑シール面３３として機能し、この平滑シール面３３は弁体５Ａがコネクタ管４に収納されたときに第１の接続口１２の外側に凸に湾曲する湾曲面になっている。したがって、一端３１ａの湾曲面が第１の接続口１２の開口を覆うように閉塞でき、弁体５Ａは第１本体２１ａの他に第１の接続口１２の内周面に密接する栓部を有していない。そして、この湾曲面である平滑シール面３３は針無し管体８１に収容された流体を弁体収納部１６に案内する案内溝又は案内凹部のない平坦面になっている。このように第１本体２１ａは、その一端３１ａの平滑シール面３３が第１の接続口１２をシールするシール部として機能すると共に、その全体が第２本体２２ａと共に弁体５Ａを屈伸させるように機能する。なお、弁体５Ａにおいて、一端３１ａの平滑シール面３３はコネクタ管４に収納されたときに第１の接続口１２の開口を覆う平面であってもよい。
【００３４】
このように第１本体２１ａ及び第２本体２２ａとで構成された弁体５Ａは、弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持され、通常わずかな負荷状態で弁体収納部１６に収納される。この弁体５Ａに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用し又は負荷されると、この圧力は軸線Ｃ上に位置する平滑シール面３３に作用して第１本体２１ａを同方向に押圧する。そうすると、第１本体２１ａは連接部３５ａを支点にして第１本体２１ａの一端３１ａが第２本体２２ａに近接するように屈曲して、図１（ｂ）に示されるように、一端３１ａが第２本体に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ａは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ａの延在方向と第２本体２２ａの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００３５】
この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例である弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第１本体の一端及び弁体収納部１６への収納状態が異なること以外は弁体５Ａと基本的に同様である。弁体５Ａと同様の構成についての説明は省略し、図２（ａ）中同じ符号を付与する。
【００３６】
この弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第１本体２１ｂの延在方向から僅かに傾斜した膨出部を一端３１ｂに有する第１本体２１ｂと第１本体２１ｂの他端３２ｂに連接された第２本体２２ｂとを備えている。弁体５Ｂにおいても一端３１ｂは、球状又は楕円球状をなしており、第１の接続口１２の内周面には密着せず、この接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有している。この弁体５Ｂは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが直角よりも僅かに小さな鋭角、例えば７０〜８５°となるように屈曲した、全体として略Ｌ字状又は略Ｖ字状の屈曲体になっている。そして、この弁体５Ｂは、図２（ａ）に示されるように、第２本体２２ｂが全体的に載置部又は支持部１７に載置又は支持され、弁体収納部１６の内周面であって載置部又は支持部１７の近傍に連接部３５ｂが接触し、第１本体２１ａが起立状態に、第２本体２２ａが横臥状態で弁体収納部１６に収納される。
【００３７】
このように第１本体２１ｂ及び第２本体２２ｂとで構成された弁体５Ｂに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用すると、第１本体２１ｂは連接部３５ｂを支点にして第１本体２１ｂの一端３１ｂが第２本体２２ｂに近接するように屈曲して、図２（ａ）に示されるように、一端３１ｂが第２本体に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ｂは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ｂの延在方向と第２本体２２ｂの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００３８】
この発明に係るコネクタ用弁体の別の一例である弁体５Ｃは、図２（ｂ）に示されるように、第１本体の一端及び弁体収納部１６への収納状態が異なり第３本体及び第４本体を有していること以外は弁体５Ａと、また第３本体及び第４本体を有していること以外は弁体５Ｂと基本的に同様である。弁体５Ａ及び弁体５Ｂと同様の構成についての説明は省略し、図２（ｂ）中同じ符号を付与する。
【００３９】
この弁体５Ｃは、図２（ｂ）に示されるように、第１本体２１ｂの延在方向から僅かに傾斜した膨出部を一端３１ｂに有する第１本体２１ｂと、第１本体２１ｂの他端３２ｂに第１本体２１ｂと異なる方向に延在するように連接された第２本体２２ｃと、第２本体２２ｃの延在方向下流側すなわちその端部に第２本体２２ｃと異なる方向であって第１本体２１ｂの延在方向と概略同じ方向に延在するように連接された第３本体２３ｃと、第３本体２３ｃの延在方向下流側すなわちその端部に第３本体２３ｃと異なる方向であって第２本体２２ｃと概略同じ方向に延在するように連接された第４本体２４ｃとを備えている。この弁体５Ｃは、一方向に延在する１本の中実線材を互いのなす角度（内角）θが略直角又は直角よりも僅かに小さな鋭角となるように３箇所を屈曲した屈曲体であって、軸線に垂直な断面形状が略円形の中実になっている。したがって、この弁体５Ｃは、第１本体２１ｂ、第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃが連接部３５ｂと同様の第１連接部３５ｃ、第２連接部３６ｃ及び第３連接部３７ｃで一体に連接されている。したがって、この弁体５Ｃは、側面視略矩形の渦巻状又は螺旋状になっており、側面視所謂「渦巻バネ」のような形状をしている。弁体５Ｃにおいても一端３１ｂは第１の接続口１２の内周面には密着せず、この接続口１２の開口を閉塞する平滑シール面３３を有している。弁体５Ｃは、４つの本体で構成されているが、この発明において、弁体は５以上の本体で構成されていてもよい。
【００４０】
このように第１本体２１ｂ、第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃで構成された弁体５Ｃは、弁体５Ｂと基本的に同様に弁体収納部１６の載置部又は支持部１７に載置又は支持され、通常わずかな負荷状態で弁体収納部１６に収納される。この弁体５Ｃに、第１の接続口１２における軸線Ｃ方向の圧力が作用すると、この圧力は軸線Ｃ上に位置する平滑シール面３３に作用して第１本体２１ｂを同方向に押圧する。そうすると、第１本体２１ｂは第１連接部３５ｃを支点にして第１本体２１ｂの一端３１ｂが第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃに近接するように屈曲して、後述する図３（ｂ）に示されるように、一端３１ｂが第２本体２２ｃ側に向かうような前傾姿勢になる。その結果、弁体５Ｃは全体的に軸線Ｃ方向に圧縮された状態、すなわち、第１本体２１ｂの延在方向と第２本体２２ｃの延在方向とのなす角度（内角）θが小さくなるように、屈曲する。
【００４１】
この発明に係る弁体は前記した例に限定されることはなくこの発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記した各種の頭部及び脚部を適宜に組み合わせることができる。
【００４２】
弁体５Ａ〜５Ｃは、いずれも、１本の線材が屈曲された屈曲体として構成されているが、この発明において、弁体は１枚の板材が屈曲された屈曲体として構成されていてもよく、この場合には、弁体収納部１６に注入された流体を第２の接続口１３に流通させるための、流通孔を弁体に穿孔してもよく、また板材の寸法を弁体収納部１６の内周を閉塞しない寸法に調整してもよく、これらを併用してもよい。
【００４３】
弁体５Ａ〜５Ｃは、いずれも、弾性材料で作製されているが、この発明において、弁体は弾性材料に代えて樹脂、金属等で作製されていてもよい。
【００４４】
この発明に係るコネクタは、少なくとも２つの管体同士を接続するコネクタ、例えば、前記医療用コネクタ、特に、前記チューブと針無し管体とを接続する医療用コネクタすなわち混注管等として好適に用いられる。そして、この発明に係るコネクタは、コネクタ管とこの発明に係るコネクタ用弁体とを備えており、この発明に係るコネクタ用弁体は、前記したように、平滑シール面が接続口の開口を閉塞する第１姿勢（密閉状態とも称する。）と、平滑シール面に作用する圧力で第１本体の一端が第２本体に近接又は離間するように屈伸して管体の内腔と流路とを連通させる第２姿勢（開放状態とも称する。）とに移行可能になっている。この発明に係るコネクタ用弁体が第１姿勢にあると平滑シール面が第１の接続口の弁体収納部に開口する開口を液密にシールする。一方、この発明に係るコネクタ用弁体が前記のように屈曲すると、第１姿勢から第２姿勢に移行して、第１本体が第２本体に向かう前傾姿勢になって、平坦シール面が接続口の軸線を大きく超えて針無し管体の先端面から離間する。その結果、針無し管体の内腔とコネクタ管の流路とが弁体収納部内で連通して管体の内腔からコネクタ管内に流体が供給される。流体の供給が終了した後に管体を第１の接続口から抜脱すなわち退避させると、この発明に係るコネクタ用弁体にかかっていた圧力が解除されて自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から元の姿勢まで延伸して、すなわち第２姿勢から第１姿勢に移行して、平坦シール面が第１の接続口を液密にシールする。このようにしてこの発明に係るコネクタは優れた屈伸性及びシール性を発揮する。そして、第１の接続口を第１の接続口を液密にシールするでシールするから清掃しやすく、またこの発明に係るコネクタ用弁体の周りに形成される流路が単純な形状になるから液残りも少なくなる。
【００４５】
この発明に係るコネクタの一例であるコネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、針無し管体８１を接続可能な第１の接続口１２、患者に留置されたカテーテル等に連結された、図示しない管体が接続される第２の接続口１３、及び、患者に投与する流体を収納したバッグ等に連結された、図示しない管体が接続される第３の接続口１４、これらの接続口１２〜１４を連通させる流路１５、並びに、第１の接続口１２の軸線に沿ってこの接続口１２に隣接するように配置された弁体収納部１６を有するコネクタ管４と、コネクタ管４の弁体収納部１６又は流路１５内に内蔵されるコネクタ用弁体５Ｃとを備えている。
【００４６】
このようなコネクタ管４は弁体５Ｃを内蔵できる限り従来公知のコネクタ管を限定されることなく用いることができ、例えば、図３に示されるように平面視略Ｙ字状のコネクタ管４、平面視略Ｔ字状のコネクタ管、平面視略十字状のコネクタ管等が挙げられる。コネクタ管４は、その軸線方向の一端側に針無し管体８１が接続される第１の接続口１２が配置され、他端側にカテーテル等に連結された管体が接続される第２の接続口１３が配置され、前記軸線方向に交差する方向に突出し、流体を収納したバッグ等に連結された管体が接続される第３の接続口１４が配置されている。そして、第１の接続口１２と第２の接続口１３との間に軸線方向に沿って弁体５Ｃを収納可能な弁体収納部１６が配置されており、弁体収納部１６がもっとも大径の中空構造になっており、第１の接続口１２が弁体収納部１６よりも小さな径の貫通孔になっており、第２の接続口１３及び第３の接続口１４がもっとも小径の管体構造になっている。コネクタ管４の各接続口１２〜１４には必要に応じて、後述する針無し管体と接続可能な構造又は接続を一時的に保持可能な構造、例えば、ルアーロックネジ等が形成されている。
【００４７】
コネクタ管４の弁体収納部１６は、第２の接続部１３側が先細の尖形部を有する中空の円筒形になっており、尖形部の上流側に弁体５Ｃを載置又は支持する載置部又は支持部１７が配置されている。この載置部又は支持部１７は網体、貫通孔を有する板体、弁体収納部１６の径方向に例えば格子状に張設された複数の棒体等で構成されている。この載置部又は支持部１７は、通常わずかな負荷状態となるように弁体５Ｃが弁体収納部に収納されるように弁体５Ｃの第２本体２２ｃを載置すると共に、流体を第２の接続口１３に流通させる。
【００４８】
コネクタ１に接続される針無し管体８１は、内腔８１ａすなわち流体を流通させる流路を内部に有していれば特に限定されず、前記した各種の管体が挙げられる。図３（ａ）に示されるように、この管体の先端部８２は第１の接続口１２に接続可能な形状になっており、通常、第１の接続口１２の内径よりも僅かに小さな外径を有する小径環状構造になっている。この先端部８２の外周面には第１の接続口１２に所望により形成されたルアーロックに螺合するルアー溝を有していてもよい。
【００４９】
コネクタ管４及び針無し管体８１は通常剛性のある材料、例えば、各種樹脂、各種ガラス、各種セラミックス、各種金属で形成される。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−（４−メチルペンテン−１）、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）、アクリロニトリル−スチレン共重合体（ＡＳ樹脂）、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリシクロヘキサンテレフタレート（ＰＣＴ）等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン（ＰＥＫ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、ポリエーテルイミド、ポリアセタール（ＰＯＭ）、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル（液晶ポリマー）、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂、又はこれら樹脂を１種以上含むブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。
【００５０】
コネクタ１は、図３（ａ）に示されるように、針無し管体８１が第１の接続口１２に接続されていないとき、すなわち密閉状態にあるときは、弁体収納部１６に収納された弁体５Ｃはその軸線Ｃ方向に延伸した第１姿勢をとっており、平滑シール面３３が第１の接続口１２の弁体収納部１６の内部に開口する開口を液密に密閉すなわちシールしている。弁体５Ｃはこのように第１の接続口１２の開口を密閉しているから第３の接続口１３を通過した患者の血液又は第２の接続口１４から注入された流体等が第１の接続口１２から流出することがなく、この体５Ｃは逆止弁、止血弁等としても機能する。この第１姿勢において、第１の接続口１２には平滑シール面３３が露出しているから、第１の接続口１２はもちろん平滑シール面３３も容易に清浄、拭取り又は払拭してバクテリア等の繁殖を抑制できる。弁体収納部１６に収納された弁体５Ｃは弁体収納部１６の内面と共に流体を流通させる単純な形状の流通路を自身の外周に形成する。したがって、弁体収納部１６の内径は弁体５Ｃよりも大きな寸法に設定されている。
【００５１】
コネクタ１を介して患者に流体を供給するには、図３（ｂ）に示されるように、管体８１の先端部８２を弁体５Ａの弾発力に反して第１の接続口１２に圧入する。そうすると、弁体５Ｃは第１本体２１ｂと第２本体２２ｃとを有しているから、第１の接続口１２に接続された針無し管体８１による弁体５Ｃの平滑シール面３３に作用した押圧力によって第１本体２１ｂが連接部３５ｃを支点にして第２本体２２ｃ、第３本体２３ｃ及び第４本体２４ｃに近接するように屈曲して、一端３１ｂが第２本体２２ｃ側に向かうような前傾姿勢になる。このような前傾姿勢によって、第１の接続口１２の開口をシールしていた平坦シール面３３が第１の接続口１２の軸線Ｃを大きく超えて第１連接部３５ｃの反対側に移行して、針無し管体８１の先端面８３から離間する。一方、軸線Ｃに沿って第１の接続口１２に圧入された針無し管体８１の先端面８３は軸線Ｃ上にあり、この軸線Ｃに対して垂直になっている。このように屈曲した弁体５Ｃは、第１本体２１ｂの外周面が先端面８３に対向しているから、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面３３であっても、その外周面と先端面８３との間に空間８４が形成され、流体はこの空間８４を経て針無し管体８１からコネクタ管４に容易に注入される。このように管体８１の先端部８２を第１の接続口１２に圧入すると、第１の接続口１２の開口をシールするシール部が平坦シール面３３であっても、針無し管体８１の内腔８１ａと流路１５とが連通した、コネクタ１すなわち第１の接続口１２が開放された第２姿勢になる。そして、第１の接続口１２から注入された流体は、屈曲した弁体５Ｃの外周面とコネクタ管４との間に形成される空間は単純な形状になって速やかに、かつ弁体５Ｃにほとんど付着等することなく流通し、次いで載置部又は支持部１７を経由して第２の接続口１３に流入する。このように流体は単純な形状の通路を流通するからコネクタ１内にほとんど残留しない。なお、弁体５Ｃは前記圧力によって自ら積極的に屈曲する。
【００５２】
そして、弁体５Ｃは、針無し管体８１による押圧力によって第１本体２１ｂが第１連接部３５ｃを支点にして容易に屈曲するから、流体を注入するときに針無し管体８１を大きな圧力で挿入しなくても弁体５Ｃを屈曲させることができ、また比較的小さな圧力で第１の接続口１２をシールできる。
【００５３】
このようにして所望の流体を注入した後に針無し管体８１を第１の接続口１２から抜脱すると、針無し管体８１により負荷された押圧力が解除されて、弁体５Ｃは自身の反発力又は復元力で前傾姿勢から第１姿勢まで延伸して、すなわち第２姿勢から第１姿勢に移行して、平坦シール面３３が第１の接続口１２の開口を液密にシールする。このようにして弁体５Ｃが第１姿勢に復帰すると前記したように第１の接続口１２はもちろん平滑シール面３３も容易に清浄できる。そして、このように弁体５Ｃを備えたコネクタ１は、たとえ流体を複数回注入する場合であっても、弁体５Ｃが一様に屈曲すると共に圧力が解除されると第１姿勢に延伸するから、弁体５Ｃの屈伸すなわち第１姿勢と第２姿勢との移行は毎回同様に再現性よく繰り返される。したがって、コネクタ１は屈曲性及びシール性に優れる。
【００５４】
なお、弁体５Ｃを備えたコネクタ１についてその構造及び作用を説明したが、弁体５Ｃに代えて弁体５Ａ及び５Ｂを備えたコネクタであっても同様に機能する。
【００５５】
この発明に係るコネクタは前記した例に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【００５６】
１ コネクタ
４ コネクタ管
５Ａ〜５Ｃ コネクタ用弁体（弁体）
１２ 第１の接続口
１３ 第２の接続口
１４ 第３の接続口
１５ 流路
１６ 弁体収納部
１７ 載置部又は支持部
２１ａ、２１ｂ 第１本体
２２ａ〜２２ｃ 第２本体
２３ｃ 第３本体
２４ｃ 第４本体
３１ａ、３１ｂ 一端
３２ａ、３２ｂ 他端
３３ 平滑シール面
３５ａ、３５ｂ 連接部（屈曲部）
３５ｃ 第１連接部
３６ｃ 第２連接部
３７ｃ 第３連接部
８１ 針無し管体
８１ａ 内腔
８２ 先端部
８３ 先端面
８４ 空間
【特許請求の範囲】
【請求項１】
管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管に収納され、流体の流通を制御するコネクタ用弁体であって、
一端に、前記弁体収納部の内面に開口する前記第１の接続口の開口を閉塞する平滑シール面を有し、前記第１の接続口の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、前記第１本体の他端に前記第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、
前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸するコネクタ用弁体。
【請求項２】
第１本体及び第２本体は、１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体である請求項１に記載のコネクタ用弁体。
【請求項３】
前記屈曲体は、延在方向がなす角度が直角又は鋭角で屈曲した形状を有している請求項２に記載のコネクタ用弁体。
【請求項４】
前記屈曲体は、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状である請求項２又は３に記載のコネクタ用弁体。
【請求項５】
前記第２本体の延在方向下流側に前記第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有する請求項１〜３のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項６】
前記第３本体の延在方向下流側に前記第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有し、側面視渦巻状をなしている請求項５に記載のコネクタ用弁体。
【請求項７】
前記平滑シール面は、コネクタ管に収納されたときに、前記軸線に対して垂直な平面、又は、前記第１の接続口の外側に凸に湾曲する湾曲面である請求項１〜６のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項８】
前記第１本体及び前記第２本体は共に中実である請求項１〜７のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項９】
前記第１本体及び前記第２本体は、その軸線に垂直な断面形状が円形又は楕円形である請求項１〜８のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１０】
前記コネクタ用弁体は、弾性材料、樹脂又は金属で作製されている請求項１〜９のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１１】
前記コネクタ用弁体は、前記弁体収納部の内面と共に流体を流通させる流通路を前記コネクタ用弁体の外周に形成する請求項１〜１０のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１２】
前記コネクタは、混注管である請求項１〜１１のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１３】
管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管と、
前記第１の接続口における前記弁体収納部の内面に開口する開口を前記平滑シール面が閉塞するように前記弁体収納部に収納された請求項１〜１２のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体とを備え、
前記コネクタ用弁体は、前記平滑シール面が前記開口を閉塞する第１姿勢と、前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸して前記管体の内腔と前記流路とを連通させる第２姿勢とに移行可能なコネクタ。
【請求項１４】
前記コネクタ用弁体は、前記第１の接続口の軸線方向に屈伸する請求項１３に記載のコネクタ。
【請求項１】
管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管に収納され、流体の流通を制御するコネクタ用弁体であって、
一端に、前記弁体収納部の内面に開口する前記第１の接続口の開口を閉塞する平滑シール面を有し、前記第１の接続口の内周面に密接する栓部を有しない第１本体と、前記第１本体の他端に前記第１本体と異なる方向に延在するように連接された第２本体とを有し、
前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸するコネクタ用弁体。
【請求項２】
第１本体及び第２本体は、１本の線材又は１枚の板材が屈曲された線材又は板材の屈曲体である請求項１に記載のコネクタ用弁体。
【請求項３】
前記屈曲体は、延在方向がなす角度が直角又は鋭角で屈曲した形状を有している請求項２に記載のコネクタ用弁体。
【請求項４】
前記屈曲体は、楔形、Ｌ字形、Ｖ字形、弓状又は弧状である請求項２又は３に記載のコネクタ用弁体。
【請求項５】
前記第２本体の延在方向下流側に前記第２本体と異なる方向に延在するように連接された第３本体を有する請求項１〜３のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項６】
前記第３本体の延在方向下流側に前記第３本体と異なる方向に延在するように連接された第４本体を有し、側面視渦巻状をなしている請求項５に記載のコネクタ用弁体。
【請求項７】
前記平滑シール面は、コネクタ管に収納されたときに、前記軸線に対して垂直な平面、又は、前記第１の接続口の外側に凸に湾曲する湾曲面である請求項１〜６のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項８】
前記第１本体及び前記第２本体は共に中実である請求項１〜７のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項９】
前記第１本体及び前記第２本体は、その軸線に垂直な断面形状が円形又は楕円形である請求項１〜８のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１０】
前記コネクタ用弁体は、弾性材料、樹脂又は金属で作製されている請求項１〜９のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１１】
前記コネクタ用弁体は、前記弁体収納部の内面と共に流体を流通させる流通路を前記コネクタ用弁体の外周に形成する請求項１〜１０のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１２】
前記コネクタは、混注管である請求項１〜１１のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体。
【請求項１３】
管体を接続可能な少なくとも２つの接続口とこれらの接続口を連通する流路と第１の前記接続口の軸線に沿ってこの接続口に隣接するように配置された弁体収納部とを有するコネクタ管と、
前記第１の接続口における前記弁体収納部の内面に開口する開口を前記平滑シール面が閉塞するように前記弁体収納部に収納された請求項１〜１２のいずれか１項に記載のコネクタ用弁体とを備え、
前記コネクタ用弁体は、前記平滑シール面が前記開口を閉塞する第１姿勢と、前記平滑シール面に作用する圧力によって前記一端が前記第２本体に近接又は離間するように屈伸して前記管体の内腔と前記流路とを連通させる第２姿勢とに移行可能なコネクタ。
【請求項１４】
前記コネクタ用弁体は、前記第１の接続口の軸線方向に屈伸する請求項１３に記載のコネクタ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１３−２２４１７（Ｐ２０１３−２２４１７Ａ）
【公開日】平成２５年２月４日（２０１３．２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１６３１１６（Ｐ２０１１−１６３１１６）
【出願日】平成２３年７月２６日（２０１１．７．２６）
【出願人】（０００１９０１１６）信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年２月４日（２０１３．２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年７月２６日（２０１１．７．２６）
【出願人】（０００１９０１１６）信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
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