説明

コネクタ用梱包トレイ

【課題】作業性の向上及び部品点数の削減を図るとともに無駄を省いてコスト削減を図ることが可能であり、また、収納後におけるリード端子の状態確認を容易にすることが可能であり、さらには、リード端子の変形をし難くすることが可能なコネクタ用梱包トレイを提供する。
【解決手段】コネクタ用梱包トレイ1におけるコネクタ収納部21は、収納する光コネクタ2毎に、リード端子収納部27と、嵌合間口閉塞部28とを有している。光コネクタ2をコネクタ収納部21の対応する位置に収納すると、光コネクタ2の嵌合間口7が嵌合間口閉塞部28により塞がれる。また、光コネクタ2のリードフレーム15等がリード端子収納部27に収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ収納部を有し、このコネクタ収納部に一又は複数のコネクタを収納するコネクタ用梱包トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタの中には、コネクタハウジングから例えばL字状のリード端子が突出するものがあり、このようなコネクタを搬送する際には、リード端子が外力により変形・破損してしまわないようにするためとして、コネクタ用梱包トレイが用いられている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
リード端子を有するコネクタとしては、プリント基板に実装される電気コネクタや光コネクタ、或いはハイブリッドコネクタ(電気コネクタと光コネクタとを一体化させたもの)が知られている。これらのうち光コネクタやハイブリッドコネクタは、埃等を嫌う光学部品を構成に含んでいることから、例えば使用時まで防塵キャップ(保護キャップ)で覆われるようになっている(例えば下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−1286号公報
【特許文献2】特開2002−23009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば光コネクタやハイブリッドコネクタを搬送する場合、先ず防塵キャップで所定部分を覆い、次にコネクタ用梱包トレイのコネクタ収納部に収納する作業を行う必要がある。従って、数多くのコネクタを搬送することを考えると、防塵キャップを用いることは作業性が良いとは言えないことが分かる。尚、防塵キャップは通常、使用時に取り外され、この後に廃棄されてしまうことから、無駄な部品であるとも言える。
【0006】
ところでリード端子にあっては、コネクタ収納部の奥位置まで収納されてしまうと、この収納状態を目視により確認することは困難になる。また、奥位置に収納される途中において引っ掛かりが生じてしまうと、変形・破損に繋がる虞がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、作業性の向上及び部品点数の削減を図るとともに無駄を省いてコスト削減を図ることが可能であり、また、収納後におけるリード端子の状態確認を容易にすることが可能であり、さらには、リード端子の変形をし難くすることが可能なコネクタ用梱包トレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のコネクタ用梱包トレイは、コネクタ収納部を有し、該コネクタ収納部に一又は複数のコネクタを収納するコネクタ用梱包トレイにおいて、コネクタハウジングから突出するリード端子を収納するリード端子収納部を前記コネクタ収納部の開口側に形成するとともに、前記リード端子収納部よりもコネクタ収納方向奥側に前記コネクタの嵌合間口を塞ぐ凸状の嵌合間口閉塞部を形成することを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、コネクタ収納部にコネクタを収納すると、コネクタの嵌合間口が凸状の嵌合間口閉塞部により塞がれる。また、コネクタのリード端子がリード端子収納部に収納される。コネクタ収納部において、嵌合間口閉塞部はコネクタ収納方向奥側に配置形成され、リード端子収納部はコネクタ収納方向手前側に配置形成される。
【0010】
請求項2記載の本発明のコネクタ用梱包トレイは、請求項1に記載のコネクタ用梱包トレイにおいて、前記嵌合間口に連続するガイド凸部及び/又はガイド凹部を案内しつつ係合するガイド係合部を前記嵌合間口閉塞部に形成することを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、コネクタの嵌合間口が嵌合間口閉塞部により塞がれる過程で、嵌合間口に連続するガイド凸部及び/又はガイド凹部がガイド係合部に案内されつつ係合する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された本発明によれば、嵌合間口閉塞部を有しており、コネクタを収納すると、このコネクタの嵌合間口が嵌合間口閉塞部により塞がれることから、従来のような防塵キャップ(保護キャップ)を用いる必要がなく、結果、作業性の向上及び部品点数の削減を図るとともに無駄を省いてコスト削減を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、リード端子収納部をコネクタ収納部の開口側に配置していることから、コネクタ収納後におけるリード端子の状態確認を容易に行うことができるとともに、リード端子の変形をし難くすることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載された本発明によれば、収納後のガタ付きを防止することができるとともに、収納方向の間違いをなくすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のコネクタ用梱包トレイを示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は要部拡大斜視図、(c)はコネクタ収納状態の拡大斜視図である。
【図2】図1のコネクタの図であり、(a)は斜視図、(b)は嵌合間口側から見た正面図である。
【図3】ガイド係合部を図1のA視方向から見る図であり、(a)はコネクタ収納前の図(一部断面を含む)、(b)はコネクタ収納後の図(一部断面を含む)である。
【図4】ガイド係合部を図1のB視方向から見る図であり、(a)はコネクタ収納前の図(一部断面を含む)、(b)はコネクタ収納後の図(一部断面を含む)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
コネクタ用梱包トレイは、コネクタ収納部に一又は複数のコネクタを収納するものであり、コネクタ収納部の開口側にリード端子収納部を形成することによりなる。また、リード端子収納部よりもコネクタ収納方向奥側に凸状の嵌合間口閉塞部を形成することによりなる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明のコネクタ用梱包トレイを示す図である。また、図2は図1のコネクタを示す図である。さらに、図3及び図4は図1のガイド係合部を示す図である。
【0017】
図1において、引用符号1は本発明のコネクタ用梱包トレイを示している。コネクタ用梱包トレイ1は、プリント基板に実装されるコネクタ(PCBコネクタ)を例えば基板組み立て現場まで数多く搬送するためのものであって、特に限定するものでないが、ここでは絶縁性を有する合成樹脂の射出成形により形成されている。コネクタ用梱包トレイ1は、これと同じものを重ね合わせることができるようになっている。
【0018】
先ず上記PCBコネクタの構成及び構造について説明をし、次にコネクタ用梱包トレイ1の構造について説明をするものとする。
【0019】
PCBコネクタは、上記の如くプリント基板に実装されるコネクタであって、ここでは光コネクタ2を一例に挙げるものとする(電気コネクタやハイブリッドコネクタであってもよいものとする)。
【0020】
図1及び図2において、光コネクタ2は、光コネクタハウジング3と、光学部品としての二つのFOT(Fiber Optic Transceiver )4及びスリーブ5と、シールドケース6とを備えて構成されている。光コネクタ2は、レセプタクルタイプのものであって、図示しないプラグタイプの相手側光コネクタと機械的に嵌合するとともに、この嵌合に伴って光学的な接続が完了するようになっている。
【0021】
光コネクタハウジング3は、絶縁性を有する合成樹脂の射出成形により略箱状となる形状に形成されている。光コネクタハウジング3の前側には、上記相手側光コネクタとの嵌合開始部分となる嵌合間口7が開口形成されている。この嵌合間口7には、ガイド凸部8及びガイド凹部9が奥側へ向けて真っ直ぐ延びるように連成されている。ガイド凹部9の中間には、上記相手側光コネクタとの嵌合を行うロック部10が形成されている。引用符号11は嵌合空間を示している。
【0022】
光コネクタハウジング3の後側には、FOT収容室(図示省略)が形成されている。このFOT収容室は、対応するFOT4をそれぞれ収容することができるように形成されている。光コネクタハウジング3には、FOT収容室と嵌合空間11とを連通するようにスリーブ保持部12が二つ形成されている。スリーブ保持部12は、FOT4の光素子と、上記相手側光コネクタのフェルールとの位置に合わせて貫通形成されている。
【0023】
光コネクタハウジング3の下側には、上記プリント基板の位置決め穴(図示省略)に差し込まれる位置決めピン13が形成されている。また、光コネクタハウジング3の左右両側には、シールドケース6に対する係止部14が形成されている。
【0024】
FOT4は、光素子を有するFOT本体(符号省略)と、このFOT本体からのびる複数のリードフレーム15(回路基板接続用のピン状のリード端子)とを有している。ここでは、発光素子を有するものと、受光素子を有するものの二種類のFOT4が用いられている。尚、FOT4は、光変換モジュール、光素子モジュールなどと呼ばれることもある。
【0025】
スリーブ5は、FOT4の光素子と、上記相手側光コネクタのフェルールとの間に介在する光学部品であって、FOT4の組み付け前にスリーブ保持部12に差し込まれて保持されるようになっている。
【0026】
シールドケース6は、導電性を有する金属薄板をプレス加工することにより形成されている。シールドケース6は、光コネクタハウジング3の外側を覆うような形状に形成されている。シールドケース6は、FOT4等に対し電磁的なシールドを施すことができるように形成されている。引用符号16は上記プリント基板の固定穴(図示省略)に差し込まれる固定脚部を示している。また、引用符号17は上記プリント基板のグランド(図示省略)に接続されるグランドピンを示している。
【0027】
シールドケース6の後側には、FOT収容室に向けてFOT4を押圧するための押圧部18が形成されている。また、シールドケース6の左右両側には、光コネクタハウジング3の係止部14に係止される係止片19が形成されている。
【0028】
図1ないし図4において、光コネクタ2を収納して搬送するためのコネクタ用梱包トレイ1は、平面視長方形状に形成されている(形状は一例であるものとする)。また、コネクタ用梱包トレイ1は、四つの側面がそれぞれ平坦に形成されている。このようなコネクタ用梱包トレイ1の上面20には、トレイ長手方向に延びるとともに、下方に凹む二つのコネクタ収納部21が平行に配置形成されている(コネクタ収納部21の数や配置は一例であるものとする)。コネクタ収納部21は、嵌合間口7を下方に向けて、光コネクタ2を収納することができるように形成されている。また、コネクタ収納部21は、所定の間隔をあけて、四つの光コネクタ2を収納することができるように形成されている(収納数は一例であるものとする)。
【0029】
コネクタ収納部21は、収納する光コネクタ2毎に次のような部分を有している。すなわち、第一側面部22〜第四側面部25と、底面部26と、リード端子収納部27と、嵌合間口閉塞部28とを有している。
【0030】
第一側面部22は、光コネクタ2の上側に対し僅かな隙間をあけて対向する平坦な面として形成されている。第二側面部23は、二つの面を有するように形成されている。具体的には、光コネクタ2の下側に対し僅かな隙間をあけて対向する平坦な面を底面部26から連続するように、また、光コネクタ2のリードフレーム15、固定脚部16、及びグランドピン17の長さ分だけ間隔をあけて対向する平坦な面をコネクタ収納部21の開口29から連続するように形成されている。第三側面部24及び第四側面部25は、光コネクタ2の左右両側に対し僅かな隙間をあけて対向する平坦な面としてそれぞれ形成されている。底面部26は、コネクタ収納部21の底位置にある面として形成されている。底面部26は、ここでは光コネクタ2の収納時にこの前側(嵌合間口7)が当接する部分としても形成されている(ストッパとして機能するように形成されている)。
【0031】
リード端子収納部27は、光コネクタ2のリードフレーム15、固定脚部16、及びグランドピン17を収納する部分として、コネクタ収納部21の開口29側に配置形成されている。このようなリード端子収納部27よりも奥側(コネクタ収納方向奥側)には、嵌合間口閉塞部28が配置形成されている。
【0032】
嵌合間口閉塞部28は、底面部26から所定の高さで突出する凸状の部分(略柱状となる部分)として形成されている。このような嵌合間口閉塞部28は、光コネクタ2の嵌合間口7を塞ぐことができるように形成されている(言い換えれば、嵌合間口7を蓋することができるように形成されている)。嵌合間口閉塞部28は、光コネクタ2の嵌合間口7の形状に合わせて形成されている。また、嵌合間口閉塞部28は、光コネクタ2の嵌合空間11に差し込むことができるように形成されている。尚、嵌合間口閉塞部28は、光コネクタ2のスリーブ5に対し当接しないように形成されている。
【0033】
嵌合間口閉塞部28には、ガイド係合部30、31が形成されている。ガイド係合部30は、光コネクタ2のガイド凸部8を案内しつつ係合する部分として凹状に形成されている。また、ガイド係合部31は、光コネクタ2のガイド凹部9を案内しつつ係合する部分として凸状に形成されている。ガイド係合部31には、光コネクタ2のロック部10に対する逃がし部分32が形成されている。
【0034】
上記構成及び構造において、図1に示す如く光コネクタ2をコネクタ収納部21の対応する位置に収納すると、図3及び図4に示す如く光コネクタ2の嵌合間口7が嵌合間口閉塞部28により塞がれる。また、光コネクタ2のリードフレーム15等がリード端子収納部27に収納される。
【0035】
以上、図1ないし図4を参照しながら説明してきたように、コネクタ用梱包トレイ1におけるコネクタ収納部21は嵌合間口閉塞部28を有しており、光コネクタ2を収納すると、この光コネクタ2の嵌合間口7は嵌合間口閉塞部28により蓋される。従って、従来のような防塵キャップ(保護キャップ)を用いる必要がなく、結果、作業性の向上及び部品点数の削減を図るとともに無駄を省いてコスト削減を図ることができるという効果を奏する。
【0036】
また、コネクタ収納部21は、リード端子収納部27をコネクタ収納部21の開口29側に配置することから、光コネクタ2の収納後におけるリードフレーム15等の状態確認を容易に行うことができるという効果を奏する。さらに、コネクタ収納部21は、光コネクタ2の収納時におけるリードフレーム15等の移動距離を短くできることから、リードフレーム15等の変形を起こり難くすることができるという効果を奏する。
【0037】
さらにまた、嵌合間口閉塞部28は、ガイド係合部30、31を有することから、光コネクタ2の収納後におけるガタ付きを防止することができるとともに、収納方向の間違いをなくすことができるという効果を奏する。
【0038】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1…コネクタ用梱包トレイ
2…光コネクタ(コネクタ)
3…光コネクタハウジング(コネクタハウジング)
4…FOT
5…スリーブ
6…シールドケース
7…嵌合間口
8…ガイド凸部
9…ガイド凹部
10…ロック部
11…嵌合空間
12…スリーブ保持部
13…位置決めピン
14…係止部
15…リードフレーム(リード端子)
16…固定脚部
17…グランドピン
18…押圧部
19…係止片
20…上面
21…コネクタ収納部
22…第一側面部
23…第二側面部
24…第三側面部
25…第四側面部
26…底面部
27…リード端子収納部
28…嵌合間口閉塞部
29…開口
30、31…ガイド係合部
32…逃がし部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ収納部を有し、該コネクタ収納部に一又は複数のコネクタを収納するコネクタ用梱包トレイにおいて、
コネクタハウジングから突出するリード端子を収納するリード端子収納部を前記コネクタ収納部の開口側に形成するとともに、前記リード端子収納部よりもコネクタ収納方向奥側に前記コネクタの嵌合間口を塞ぐ凸状の嵌合間口閉塞部を形成する
ことを特徴とするコネクタ用梱包トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ用梱包トレイにおいて、
前記嵌合間口に連続するガイド凸部及び/又はガイド凹部を案内しつつ係合するガイド係合部を前記嵌合間口閉塞部に形成する
ことを特徴とするコネクタ用梱包トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240944(P2011−240944A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112748(P2010−112748)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】