説明

コネクタ

【課題】簡便な構成で、良好なコンタクト保持力を発揮するコネクタを提供すること。
【解決手段】コンタクト110と、ハウジング120と、コンタクト110の挿入方向とは反対方向への移動を規制する第1規制機構と、コンタクト110の挿入方向への移動を規制する第2規制機構と、コンタクト110の挿入方向を中心とした回転を規制する回転規制機構とを備え、第1規制機構は、ハウジング係合部128と、挿入されたコンタクト110を回転させることによりハウジング係合部128に対して係合するコンタクト係合部115とから構成されるコネクタ100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図12に示すように、接続端子510と、接続端子510を保持するハウジング520とから構成され、接続端子510が、外周面に形成された凹部からなる軸方向位置決め部515を有し、ハウジング520が、接続端子510を収容する端子収容孔522と、端子収容孔522内に出没可能に形成され軸方向位置決め部515に係合する可撓性の軸方向係合部528とを有するコネクタ500が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のコネクタ500では、端子収容孔522内への接続端子510の挿入時に、接続端子510の挿入により押圧されて可撓性の軸方向係合部528が弾性変形及び弾性復帰することで、軸方向位置決め部515と軸方向係合部528とが係合し、ハウジング520に対する接続端子510の挿入方向手前側(図12において右側)への移動が規制されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−114057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のコネクタ500では、接続端子510の挿入方向手前側への移動規制が可撓性の軸方向係合部528により行われるため、ハウジング520による接続端子510の保持力が弱いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、簡便な構成で、良好なコンタクト保持力を発揮するコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、収容部を有するハウジングと、前記収容部内に外部から挿入されて前記ハウジングにより保持されるコンタクトと、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの挿入方向とは反対方向への移動を規制する第1規制機構と、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの前記挿入方向への移動を規制する第2規制機構と、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの前記挿入方向を中心とした回転を規制する回転規制機構とを備え、前記第1規制機構は、前記ハウジングに形成されたハウジング係合部と、前記コンタクトに形成され、前記ハウジングに対して挿入された前記コンタクトを回転させることにより前記ハウジング係合部に対して係合するコンタクト係合部とから構成されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0008】
また、前記回転規制機構は、前記第2規制機構として機能してもよい。
【0009】
また、前記回転規制機構は、前記ハウジングに形成されたカシメ受容部と、前記コンタクトに形成され前記カシメ受容部内に受容されるカシメ部とから構成されていてもよい。
【0010】
また、前記第2規制機構は、前記カシメ受容部が形成されたフランジ受容部と、前記カシメ部が形成されたフランジ部とから構成されていてもよい。
【0011】
また、前記コンタクトは、コンタクト本体部を有し、前記コンタクト係合部は、前記コンタクト本体部から外方に突出した突起部であり、前記ハウジング係合部は、前記収容部に面する側面に形成され、前記挿入方向において前記ハウジングの手前側から奥側に向けて前記収容部の内側から外側に変位する段差部であってもよい。
【0012】
また、前記コンタクトは、コンタクト本体部を有し、前記コンタクト係合部は、前記コンタクト本体部から外方に突出した突起部であり、前記ハウジングは、ハウジング本体部を有し、前記ハウジング係合部は、前記挿入方向において前記ハウジング本体部の奥側に位置する端面であってもよい。
【0013】
また、前記ハウジングは、前記収容部を規定する内周壁を有したハウジング本体部と、前記挿入方向に沿って前記ハウジング本体部の内周壁に凹設されたガイド溝とを有し、前記ハウジング係合部は、前記挿入方向における前記ガイド溝の奥側端部において、前記収容部の周方向に向けて変位した位置に形成されていてもよい。
【0014】
また、前記回転規制機構は、前記ハウジングに形成されたカシメ受容部と、前記コンタクトに形成され前記カシメ受容部内に受容されるカシメ部とから構成され、前記挿入方向における前記ガイド溝の手前側端部が、前記カシメ受容部であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、ハウジングに対して挿入されたコンタクトを回転させることによりハウジング係合部とコンタクト係合部とを相互に係合させるように構成され、かつコンタクトの回転を規制する回転規制機構とを有していることにより、ハウジング係合部及びコンタクト係合部に弾性や可撓性を持たせる必要がなく、ハウジング係合部とコンタクト係合部との間の強固な係合を実現し、簡便な構成で、良好なコンタクト保持力を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例であるコネクタを示す斜視図である。
【図2】コンタクト及びハウジングを断面視して示す説明図である。
【図3】コンタクトを示す平面図、及び、A−A線位置、B−B線位置、C−C線位置で矢印方向に視たコンタクトの断面図である。
【図4】ハウジングを示す一部断面図、及び、D−D線位置、E−E線位置、F−F線位置で矢印方向に視たハウジングの断面図である。
【図5】ハウジングに対するコンタクトの挿入途中の状態を示す説明図である。
【図6】ハウジングに対してコンタクトを挿入方向の奥側まで挿入した状態を示す説明図である。
【図7】図6の状態からハウジングに対してコンタクトを回転させた状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第2実施例であるコネクタを構成するコンタクト及びハウジングを示す斜視図である。
【図9】ハウジングに対してコンタクトを挿入方向の奥側まで挿入した状態を示す斜視図である。
【図10】図9の状態からハウジングに対してコンタクトを回転させた状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示す状態を異なる角度から視て示すコンタクト及びハウジングの斜視図である。
【図12】従来のコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のコネクタの複数の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
なお、以下の説明において用いられる「挿入方向」は、ハウジングに対してコンタクトを挿入する方向のことを意味し、「挿入方向手前側」は、図2乃至図11に示す図の右側のことを意味し、「挿入方向奥側」は、図2乃至図11に示す図の左側のことを意味し、「径方向」は、コンタクトを収容するハウジングの収容部の径方向のことを意味し、「周方向」は、コンタクトを収容するハウジングの収容部の周方向のことを意味する。
【実施例1】
【0019】
まず、本発明の第1実施例であるコネクタ100について、図1乃至図7に基づいて説明する。
【0020】
コネクタ100は、プラグコネクタとして構成された相手側コネクタ(図示しない)に嵌合されるソケットコネクタであり、図1に示すように、導電性のコンタクト110と、コンタクト110を保持する絶縁性のハウジング120と、コンタクト110及びハウジング120を外筐するケース130とを備えている。
【0021】
コンタクト110は、銅合金から成る電源用のソケットコンタクトであり、図2に示すように、コンタクト本体部111と、ソケット部112と、挿入開口部113と、電線用開口部114と、コンタクト係合部115と、フランジ部116と、カシメ部117とを有している。
【0022】
コンタクト本体部111は、図2や図3に示すように、筒状に形成され、断面円形の外周面を有している。
【0023】
ソケット部112は、図2に示すように、コンタクト本体部111の内部に形成され、コネクタ100と相手側コネクタ(図示しない)との嵌合時に、プラグコンタクトとして構成された相手側コンタクト(図示しない)を収容する部位であり、バネ部材(図示しない)等が収容され、このバネ部材(図示しない)が相手側コンタクト(図示しない)と接触し接続する。
【0024】
挿入開口部113は、図2に示すように、ソケット部112の挿入方向の前側に形成され、相手側コンタクト(図示しない)を挿通させる開口部である。
【0025】
電線用開口部114は、図2に示すように、ソケット部112の挿入方向の後側に形成され、コンタクト110に接続される電線(図示しない)を挿通させる開口部であり、電線(図示しない)をコンタクト110に半田付けやネジ等で固定して接続させる部分である。
【0026】
コンタクト係合部115は、図2に示すように、コンタクト本体部111の挿入方向の前側端部において、コンタクト本体部111の外周面から径方向外側に向けて突出形成され、ハウジング120に対してコンタクト110を取り付けた状態で、ハウジング係合部128に対して挿入方向奥側で係合する部位である。コンタクト係合部115は、図3に示すように、コンタクト本体部111の外周の対称な位置に計2箇所形成されている。
【0027】
フランジ部116は、図2に示すように、コンタクト本体部111の挿入方向の後側に形成されている。
【0028】
カシメ部117は、図2や図3に示すように、フランジ部116から径方向外側に向けて突出形成されている。
【0029】
ハウジング120は、絶縁性の樹脂から成形され、本実施例では、ケース130に一体成形されている。なお、ハウジング120とケース130とを別体に成形し、ケース130に対してハウジング120を取り付けてもよい。
【0030】
ハウジング120は、図2に示すように、ハウジング本体部121と、収容部122と、コンタクト挿入開口部123と、ガイド突出部124と、開口部125と、ガイド溝126と、カシメ受容部126aと、移動許容部127と、ハウジング係合部128と、フランジ受容部129とを有している。
【0031】
ハウジング本体部121は、図2に示すように、筒状に形成されている。ハウジング本体部121の内周壁は、コンタクト110を収容する収容部122を規定している。収容部122は、断面円形に形成されている。
【0032】
コンタクト挿入開口部123は、図2に示すように、収容部122の挿入方向手前側に形成され、コンタクト110を挿通させる開口部である。
【0033】
ガイド突出部124は、図2に示すように、ハウジング本体部121の挿入方向奥側端部において、ハウジング本体部121の内周壁から径方向内側に向けて突出形成され、コネクタ100と相手側コネクタ(図示しない)との嵌合時に、相手側コンタクト(図示しない)をソケット部112内に誘導する誘い部として機能する。ガイド突出部124は、図4に示すように、周方向における90°毎に計4箇所形成されている。これら4つのガイド突出部124により画定された相手側コンタクト(図示しない)用の開口部125の開口寸法は、コンタクト110を挿通させることのない大きさで設定されている。
【0034】
ガイド溝126は、図2に示すように、ハウジング本体部121の内周壁に挿入方向に沿って凹設され、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付け時に、コンタクト係合部115を挿入方向に沿ってガイドする部位である。ガイド溝126は、図4に示すように、ハウジング本体部121の内周壁の対称な位置に計2箇所形成されている。このガイド溝126の挿入方向手前側端部は、コンタクト110のカシメ部117を受容するカシメ受容部126aとして機能する。
【0035】
移動許容部127は、図2に示すように、ガイド溝126の挿入方向奥側端部から周方向に向けて連設され、コンタクト係合部115をガイド溝126の挿入方向奥側端部から周方向に向けて移動させることを許容する部位である。各移動許容部127は、図4に示すように、ガイド溝126の挿入方向奥側端部から周方向の両側に向けて同一の角度範囲に亘って延在している。
【0036】
ハウジング係合部128は、ハウジング120に対してコンタクト110を取り付けた状態で、コンタクト係合部115に対して係合する部位であり、コンタクト110が挿入方向とは反対方向へ向けて移動することを規制するものである。本実施例では、図2に示すように、前述した移動許容部127を形成した結果として挿入方向の手前側から奥側に向けて径方向の内側から外側に変位するハウジング本体部121の内周壁の段差部が、ハウジング係合部128として機能する。
【0037】
フランジ受容部129は、図2に示すように、ハウジング本体部121の挿入方向手前側端部において、ハウジング本体部121の内周壁に凹設され、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付け状態で、フランジ部116の一部を受容する部位である。
【0038】
ケース130は、絶縁性の樹脂から成形され、ハウジング120と一体成形されている。ケース130は、図1に示すように、電源用のコンタクト110とは別途に設けられた信号コンタクト(図示しない)を収容する信号コンタクト収容部131を有している。
【0039】
つぎに、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付け方法について、図5乃至図7を用いて説明する。
【0040】
まず、図5及び図6に示すように、コンタクト係合部115をガイド溝126内に配置しコンタクト110を挿入方向にガイドした状態で、コンタクト110をハウジング120に対して挿入方向奥側まで挿入する。
【0041】
ここで、図6に示す状態では、フランジ部116がフランジ受容部129に当接し、コンタクト110の挿入方向の前側端部がガイド突出部124に当接しないように、コンタクト110の各部及びハウジング120の各部が寸法設定されている。
【0042】
次に、図7に示すように、周方向におけるカシメ部117とガイド溝126の一部であるカシメ受容部126aとの位置を一致させるように、ハウジング120に対してコンタクト110を周方向に回転させる。なお、本実施例ではガイド溝126の一部をカシメ受容部126aとして用いたが、カシメ受容部126aをガイド溝126とは別の位置に設けてもよい。
【0043】
ここで、本実施例では、図7に示す状態で、コンタクト係合部115が移動許容部127の周方向側面に当接しないように、周方向における移動許容部127の寸法が設定されている。しかしながら、図7に示す状態で、コンタクト係合部115が移動許容部127の周方向側面に当接するように構成することで、周方向におけるカシメ部117の位置とカシメ受容部126aの位置とが一致するように、コンタクト110の回転を規制してもよい。
【0044】
最後に、カシメ部117を挿入方向の手前側から奥側に向けてカシメることで、カシメ部117がカシメ受容部126a内に受容される。即ち、カシメ部117を斜めに倒すようにカシメることで、コンタクト110が回転した際に、カシメ部117の側面がカシメ受容部126aの側壁に当接することによって、回転止めとなる。
【0045】
以上のように、本実施例では、ハウジング120に収容されたコンタクト110の挿入方向とは反対方向への移動を規制する第1規制機構が、ハウジング係合部128とコンタクト係合部115とから構成され、また、ハウジング120に収容されたコンタクト110の挿入方向への移動を規制する第2規制機構が、フランジ部116とフランジ受容部129とから構成され、また、ハウジング120に収容されたコンタクト110の回転を規制する回転規制機構が、カシメ部117とカシメ受容部126aとから構成される。
【0046】
このようにして得られた本実施例のコネクタ100では、ハウジング120に対して挿入されたコンタクト110を回転させることによりハウジング係合部128とコンタクト係合部115とを相互に係合させるように構成されていることにより、ハウジング係合部128及びコンタクト係合部115に弾性や可撓性を持たせる必要がなく、ハウジング係合部128とコンタクト係合部115との間の強固な係合を実現し、簡便な構成で、良好なコンタクト保持力を発揮できる。
【0047】
また、本実施例では、前述した第1規制機構を構成するハウジング係合部128及びコンタクト係合部115に限らず、第2規制機構を構成するフランジ部116及びフランジ受容部129と、回転規制機構を構成するカシメ部117及びカシメ受容部126aとに関しても、弾性や可撓性を持たせる必要がないため、良好なコンタクト保持力を得ることができる。
【0048】
また、本実施例のコネクタ100では、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付けに際し、取り付け部材等の追加部材を必要としないため、部品点数の増加を回避できる。
【0049】
また、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付けが、ハウジング120に対するコンタクト110の挿入、ハウジング120に対するコンタクト110の回転、及び、カシメ受容部126a内へのカシメ部117のカシメの3段階による簡便な手順により達成するため、ハウジング120に対するコンタクト110の取り付けを容易かつ簡便に達成できる。
【0050】
また、本実施例では、相手側コネクタ(図示しない)との嵌合部側(開口部125側)
以外の箇所(コンタクト挿入開口部123)からハウジング120に対してコンタクト110を挿入するように構成されているため、嵌合部側(開口部125側)からではハウジング120に対してコンタクト110を挿入することのできない所謂クローズエントリー構造のコネクタに適用することができる。
【0051】
また、カシメ受容部126aとしてガイド溝126の挿入方向手前側端部を利用することにより、ハウジング120の構造の複雑化を回避でき、ハウジング120の製造負担を低減できる。
【実施例2】
【0052】
つぎに、本発明の第2実施例であるコネクタ200について、図8乃至図11に基づいて説明する。なお、第2実施例の説明においては、第1実施例と構成が相違する点についてのみ説明する。
【0053】
コネクタ200は、ソケットコネクタとして構成された相手側コネクタ(図示しない)に嵌合されるプラグコネクタであり、図8に示すように、導電性のコンタクト210と、コンタクト210を保持する絶縁性のハウジング220と、コンタクト210及びハウジング220を外筐するケース(図示しない)とを備えている。なお、第2実施例におけるケース(図示しない)の具体的態様は、図1に示す第1実施例におけるケース130と同様である。
【0054】
コンタクト210は、銅合金から成る電源用のプラグコンタクトであり、図8乃至図11に示すように、コンタクト本体部211と、電線用開口部214と、コンタクト係合部215と、フランジ部216と、カシメ部217と、プラグ部218とを有している。
【0055】
コンタクト本体部211は、図8に示すように、断面円形の外周面を有している。
【0056】
電線用開口部214は、図11に示すように、コンタクト本体部211の挿入方向の後側に形成され、コンタクト210に接続される電線(図示しない)を挿通させる開口部でコンタクト110の電線用開口部114と同一の機能を有する。
【0057】
コンタクト係合部215は、図8乃至図10に示すように、コンタクト本体部211の外周面から径方向外側に向けて突出形成され、ハウジング220に対してコンタクト210を取り付けた状態で、ハウジング係合部228に対して挿入方向奥側で係合する部位である。コンタクト係合部215は、コンタクト本体部111の外周の対称な位置に計2箇所形成されている。
【0058】
フランジ部216は、図8や図11に示すように、コンタクト本体部211の挿入方向の後側に形成されている。
【0059】
カシメ部217は、図8や図11に示すように、フランジ部216から径方向外側に向けて突出形成されている。
【0060】
プラグ部218は、図8乃至図11に示すように、コンタクト本体部211の挿入方向の前側端部から、挿入方向の前側に向けて更に突出形成されている。
【0061】
ハウジング220は、絶縁性の樹脂から成形され、本実施例では、ケース(図示しない)と一体成形されている。なお、ハウジング220とケース(図示しない)とを別体に成形し、ケース(図示しない)に対してハウジング220を取り付けてもよい。
【0062】
ハウジング220は、図8に示すように、ハウジング本体部221と、収容部222と、コンタクト挿入開口部(図示しない)と、ガイド溝226と、カシメ受容部(図示しない)と、ハウジング係合部228と、フランジ受容部(図示しない)とを有している。
【0063】
ハウジング本体部221は、図8乃至図11に示すように、筒状に形成されている。ハウジング本体部221の内周壁は、コンタクト210を収容する収容部222を規定している。収容部222は、断面円形に形成されている。
【0064】
コンタクト挿入開口部(図示しない)は、収容部222の挿入方向手前側に形成され、コンタクト210を挿通させる開口部である。
【0065】
ガイド溝226は、図8に示すように、ハウジング本体部221の内周壁に挿入方向に沿って凹設され、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付け時に、コンタクト係合部215を挿入方向に沿ってガイドする部位である。ガイド溝226は、ハウジング本体部221の内周壁の対称な位置に計2箇所形成されている。このガイド溝226の挿入方向手前側端部は、コンタクト210のカシメ部217を受容するカシメ受容部(図示しない)として機能する。
【0066】
ハウジング係合部228は、ハウジング220に対してコンタクト210を取り付けた状態で、コンタクト係合部215に対して係合する部位である。本実施例では、図8乃至図10に示すように、ハウジング本体部221の挿入方向奥側端面が、ハウジング係合部228として機能する。
【0067】
フランジ受容部(図示しない)は、ハウジング本体部221の挿入方向手前側端部において、ハウジング本体部221の内周壁に凹設され、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付け状態で、フランジ部216の一部を受容する部位である。
【0068】
ケース(図示しない)は、絶縁性の樹脂から成形され、ハウジング220と一体成形されている。ケース(図示しない)は、電源用のコンタクト210とは別に設けられた信号コンタクト(図示しない)を収容する信号コンタクト収容部(図示しない)を有している。
【0069】
つぎに、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付け方法について、図9及び図10を用いて説明する。
【0070】
まず、コンタクト係合部215をガイド溝226内に配置しコンタクト210を挿入方向にガイドした状態で、図9に示すように、コンタクト210をハウジング220に対して挿入方向奥側まで挿入する。
【0071】
ここで、本実施例では、図9に示す状態で、フランジ部216がフランジ受容部(図示しない)に当接するように構成されている。
【0072】
次に、図10に示すように、周方向におけるカシメ部217及びカシメ受容部(図示しない)の位置を一致させるように、ハウジング220に対してコンタクト210を周方向に回転させる。
【0073】
最後に、カシメ部217を挿入方向の後側から前側に向けてカシメることで、カシメ部217がカシメ受容部(図示しない)内に受容される。
【0074】
以上のように、本実施例では、ハウジング220に収容されたコンタクト210の挿入方向とは反対方向への移動を規制する第1規制機構が、ハウジング係合部228とコンタクト係合部215とから構成され、また、ハウジング220に収容されたコンタクト210の挿入方向への移動を規制する第2規制機構が、フランジ部216とフランジ受容部(図示しない)とから構成され、また、ハウジング220に収容されたコンタクト210の回転を規制する回転規制機構が、カシメ部217とカシメ受容部(図示しない)とから構成される。
【0075】
このようにして得られた本実施例のコネクタ200では、ハウジング220に対して挿入されたコンタクト210を回転させることによりハウジング係合部228とコンタクト係合部215とを相互に係合させるように構成されていることにより、ハウジング係合部228及びコンタクト係合部215に弾性や可撓性を持たせる必要がなく、ハウジング係合部228とコンタクト係合部215との間の強固な係合を実現し、簡便な構成で、良好なコンタクト保持力を発揮できる。
【0076】
また、本実施例では、前述した第1規制機構を構成するハウジング係合部228及びコンタクト係合部215に限らず、第2規制機構を構成するフランジ部216及びフランジ受容部(図示しない)と、回転規制機構を構成するカシメ部217及びカシメ受容部(図示しない)とに関しても、弾性や可撓性を持たせる必要がないため、良好なコンタクト保持力を得ることができる。
【0077】
また、本実施例のコネクタ200では、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付けに際し、取り付け部材等の追加部材を必要としないため、部品点数の増加を回避できる。
【0078】
また、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付けが、ハウジング220に対するコンタクト210の挿入、ハウジング220に対するコンタクト210の回転、及び、カシメ受容部(図示しない)内へのカシメ部217のカシメの3段階による簡便な手順により達成するため、ハウジング220に対するコンタクト210の取り付けを容易かつ簡便に達成できる。
【0079】
また、カシメ受容部(図示しない)としてガイド溝226の挿入方向手前側端部を利用することにより、ハウジング220の構造が複雑化することを回避でき、ハウジング220の製造負担を低減できる。
【0080】
なお、上述した実施例では、コンタクト係合部の数量が2つであるものとして説明したが、コンタクト係合部の数量に限定はなく、1つ以上であればよい。また、ガイド溝の数量に関しても、コンタクト係合部の数量に応じて設定すればよい。
【0081】
また、上述した実施例では、第1規制機構が突起状のコンタクト係合部と段差状のコンタクト係合部とで構成されるものとして説明したが、第1規制機構の具体的態様は、挿入方向の奥側までハウジングに挿入されたコンタクトを回転させることによりコンタクトの一部がハウジングの一部に係合するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、コンタクト本体部の外周面に形成された周方向に延びる凹部と、ハウジング本体部の内周壁に形成された突起部とで、第1規制機構を構成してもよい。
【0082】
また、上述した実施例では、第2規制機構がコンタクトの挿入方向の後側に形成されたフランジ部とハウジングの挿入方向手前側に形成されたフランジ受容部とで構成されるものとして説明したが、第2規制機構の具体的態様は、コンタクトの一部がハウジングの一部に係合するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、コンタクトの挿入方向の前側端部とハウジングの一部(第1実施例におけるガイド突出部等)とで、第2規制機構を構成してもよい。
【0083】
また、上述した実施例では、回転規制機構がコンタクトに形成されたカシメ部とハウジングに形成されたカシメ受容部とで構成されるものとして説明したが、回転規制機構の具体的態様は、ハウジングに対するコンタクトの回転を規制するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、コンタクト及びハウジングと別体に形成された止め具を用いて、ハウジングに対するコンタクトの回転を規制してもよい。
【0084】
また、上述した実施例では、ハウジングに形成されたガイド溝の挿入方向手前側端部がカシメ受容部として機能するものとして説明したが、ガイド溝とは別途にハウジングにカシメ受容部を形成してもよい。
【0085】
また、上述した実施例では、ハウジング及びコンタクトの間における挿入方向へのガイド機構がハウジングに形成されたガイド溝とコンタクトに形成されたコンタクト係合部とで構成されるものとして説明したが、このガイド機構の具体的態様はこれに限定されるものではなく、例えば、挿入方向に沿ってコンタクト本体部の外周面に形成された溝と、ハウジング本体部の内周壁に形成された突起部とで、ガイド機構を構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
100、200 ・・・ コネクタ
110、210 ・・・ コンタクト
111、211 ・・・ コンタクト本体部
112 ・・・ ソケット部
113 ・・・ 挿入開口部
114、214 ・・・ 電線用開口部
115、215 ・・・ コンタクト係合部
116、216 ・・・ フランジ部
117、217 ・・・ カシメ部
218 ・・・ プラグ部
120、220 ・・・ ハウジング
121、221 ・・・ ハウジング本体部
122、222 ・・・ 収容部
123 ・・・ コンタクト挿入開口部
124 ・・・ ガイド突出部
125 ・・・ 開口部
126、226 ・・・ ガイド溝
126a ・・・ カシメ受容部
127 ・・・ 移動許容部
128、228 ・・・ ハウジング係合部
129 ・・・ フランジ受容部
130 ・・・ ケース
131 ・・・ 信号コンタクト収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有するハウジングと、前記収容部内に外部から挿入されて前記ハウジングにより保持されるコンタクトと、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの挿入方向とは反対方向への移動を規制する第1規制機構と、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの前記挿入方向への移動を規制する第2規制機構と、前記ハウジングに収容された前記コンタクトの前記挿入方向を中心とした回転を規制する回転規制機構とを備え、
前記第1規制機構は、前記ハウジングに形成されたハウジング係合部と、前記コンタクトに形成され、前記ハウジングに対して挿入された前記コンタクトを回転させることにより前記ハウジング係合部に対して係合するコンタクト係合部とから構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記回転規制機構は、前記第2規制機構として機能することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記回転規制機構は、前記ハウジングに形成されたカシメ受容部と、前記コンタクトに形成され前記カシメ受容部内に受容されるカシメ部とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2規制機構は、前記カシメ受容部が形成されたフランジ受容部と、前記カシメ部が形成されたフランジ部とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトは、コンタクト本体部を有し、
前記コンタクト係合部は、前記コンタクト本体部から外方に突出した突起部であり、
前記ハウジング係合部は、前記収容部に面する側面に形成され、前記挿入方向において前記ハウジングの手前側から奥側に向けて前記収容部の内側から外側に変位する段差部であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コンタクトは、コンタクト本体部を有し、
前記コンタクト係合部は、前記コンタクト本体部から外方に突出した突起部であり、
前記ハウジングは、ハウジング本体部を有し、
前記ハウジング係合部は、前記挿入方向において前記ハウジング本体部の奥側に位置する端面であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記収容部を規定する内周壁を有したハウジング本体部と、前記挿入方向に沿って前記ハウジング本体部の内周壁に凹設されたガイド溝とを有し、
前記ハウジング係合部は、前記挿入方向における前記ガイド溝の奥側端部において、前記収容部の周方向に向けて変位した位置に形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記回転規制機構は、前記ハウジングに形成されたカシメ受容部と、前記コンタクトに形成され前記カシメ受容部内に受容されるカシメ部とから構成され、
前記挿入方向における前記ガイド溝の手前側端部が、前記カシメ受容部であることを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2規制機構は、前記カシメ受容部が形成されたフランジ受容部と、前記カシメ部が形成されたフランジ部とから構成されていることを特徴とする請求項8に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−234635(P2012−234635A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100540(P2011−100540)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】