説明

コヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルのための別個の分散補償

2つの光端末を結合する光リンクにおける光アセンブリ。光アセンブリは、分散補償及び別個の増幅が関与する限り、各々が別個に処理される光波長チャネルの2つの群を受信して、多重分離する。光アセンブリはその場合、更なる送信のための同じファイバに2つの群を多重化して戻す。例えば、光波長チャネルの一の群は各々、コヒーレントチャネルであり、光アセンブリにおいて分散を受けないことが可能である一方、他の群は、光アセンブリにおいて分散補償を受ける非コヒーレントチャネルを有することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの光端末を結合する光リンクにおける光アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信ネットワークは、ネットワークノード間に高速データを供給することにより情報時代の重要な要求に対して貢献している、光ファイバ通信ネットワークは、相互接続された光ファイバリンクの集合体を有する。簡単にいうと、光ファイバリンクは、光ファイバに光の形で情報を発信する光信号ソースを有する。内部反射の原理のために、光信号は、最終的に光信号受信器で受信されるまで、光ファイバの中を通って伝播される。光ファイバリンクが双方向性である場合、情報は、典型的には、別個の光ファイバを用いて、逆に通信されることが可能である。
【0003】
複数の光ファイバリンクは、広範な用途で用いられることが可能であり、各々の光ファイバリンクは、様々な長さの光ファイバリンクを必要とする。例えば、比較的短い光ファイバリンクは、コンピュータとその近接する周辺装置との間で、又はローカルビデオソース(例えば、DVD、DVR)とテレビとの間で情報を通信するように用いられることが可能である。しかしながら、反対の極端においては、情報が2つのネットワークノード間で通信されるとき、光ファイバリンクは数百km、更には数千kmに及ぶことが可能である。
【0004】
長距離及び超長距離オプティクスとは、数百km又は数千kmのオーダーの長い光ファイバリンクにおける光信号の送信のことをいう。典型的には、長距離オプティクスは、単一の光ファイバにおける別個のチャネルでの光信号の送信を有し、各々のチャネルは、波長分割多重方式(WDM)及び高密度波分割多重方式(DWDM)の原理を用いて、光の別個の波長に対応している。
【0005】
WDM又はDWDMを用いてそのような長い距離に亘る光信号の送信は、特に、チャネル領域毎に1秒当たりのギガバイトの高いビットレートにおける膨大な技術的挑戦を提供している。高速での長距離及び超長距離の光通信の技術における何れの改善においても、かなりの時間及び資源が必要である。各々の改善は、そのような改善がしばしば、世界中でのかなり広範囲に亘る通信の利用可能性に繋がるために、かなりの前進を示すことが可能である。従って、そのような前進は、関係がますます希薄になる地理的な場所と、協調する、学習する、ビジネスを展開する人間の能力を加速する可能性を高くする。
【発明の概要】
【課題を解決しようとする手段】
【0006】
本明細書で詳述している実施形態は、2つの光端末を結合する光リンクにおける光アセンブリに関する。光アセンブリは、分散補償及び別個の増幅が関与している限り、各々が別個に処理される光波長チャネルの2つの群を受信して、多重分離する。光アセンブリはその場合、更なる送信のために同じファイバに戻るようにそれらの2つの群を多重化する。例えば、光波長チャネルの一の群は各々、コヒーレントチャネルであり、分散補償を受けないことが可能である一方、他の群は、光アセンブリにおいて分散補償を受ける非コヒーレントチャネルを有することが可能である。光アセンブリの例は、光送信端末と光受信端末との間に分配され、それにより、コヒーレントチャネルに比べて、異なる分散マップを非コヒーレントチャネルに与えることが可能である。これは、特定のコヒーレントチャネル又は非コヒーレントチャネルについての性能を改善する方に分散マップが、より調整されるようにする。
【0007】
上記の及び他の有利点及び特徴が得られる方法を記載するように、種々の実施形態の更なる特徴について、添付図を参照して以下で詳述している。それらの図は単に例示としての実施形態を示し、故に、本発明の範囲を限定するとみなされないと理解されるべきものであり、それらの実施形態においては、添付図を用いて、付加的な特異性について詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本明細書で説明している原理が用いられている光通信システムを示す図である。
【図2A】図1の光通信システムで動作する光アセンブリであって、コヒーレント光チャネルが非コヒーレント光チャネルから分離されている、光アセンブリの模式図である。
【図2B】図2Aの光アセンブリの特定の実施例を示す図である。
【図3】図2の光アセンブリが分散補償されていないシステムにおけるコヒーレントチャネルの分散マップにおいてどのように動作することが可能であるかを示す分散マップであって、非コヒーレントチャネルが、非コヒーレントチャネルに関して分散補償を実行するように、図2A又は2Bの光アセンブリを用いて周期的に分離される、分散マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載する実施形態に従って、光リンクにおける光ノードが2つの光端末に結合している。光ノードの何れも、分散補償及び別個の増幅が関与している限り、各々が別個の処理される光波長チャネルの2つの群を受信して、多重分離する光アセンブリを有することが可能である。光アセンブリはその場合、更なる送信のために同じファイバに戻るようにそれら2つの群を多重化する。例えば、光波長チャネルの一の群は各々、コヒーレントチャネルであり、分散補償は受けないことが可能である一方、他の群は、光アセンブリにおいて分散補償を受ける非コヒーレントチャネルを有することが可能である。
【0010】
用語“コヒーレント”とは、検出中に送信されるチャネルの電場(振幅及び位相の両方)を測定する能力のことをいう。この情報は、電子領域における光分散を補償することが可能である強力なディジタルプロセッサに供給されることが可能である。この電子的分散補償は、光リンクにおける光分散の不十分な補償(又は補償なし)若しくは過剰補償を可能にするが、それは必要ない。
【0011】
コヒーレントチャネルに異なる分散を適用することには複数の有利点がある。1つの有利点は、一部の場合に、コヒーレントチャネルの品質は、光分散補償が最小化されるときの、最も高い点での、コヒーレントチャネルの光送信の品質に関連するものである。しかしながら、非コヒーレントチャネルは光分散補償(受信器の分散許容範囲内のまで)を必要とする。従って、同じ光ファイバにおいてコヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルを結合するとき、チャネルの各々のタイプについて異なる光分散補償を有することが好ましい場合がある。
【0012】
他の場合、コヒーレントチャネルの品質は、付加的な光分散を適用することにより改善することが可能であり、この1つの例は、2つの光端末を接続する光ファイバが、1つ又はそれ以上の送信されたコヒーレントチャネルの波長と略同じ波長において、かなり低い分散又は0分散を有する光リンクである。
【0013】
図1は、本明細書で記載している原理を採用している例示としての光通信システム100を模式的に示している。光通信システム100においては、光信号の使用により端末101及び102間で情報が通信される。この用途において使用される慣例のために、端末101から端末102に伝播する光信号は“イースタン”と呼ばれる一方、端末102から端末101に伝播する光信号は“ウェスタン”と呼ばれる。用語“イースタン”及び“ウェスタン”は、反対方向に伝播する2つの光信号間の容易な区別を可能にするために容易に用いられる技術用語である。用語“イースタン”及び“ウェスタン”の使用は、図1における構成要素の任意の実際の地理的な関係を意味するものではない。例えば、本明細書で用いる慣例が端末101から端末102に伝播する“イースタン”光信号を有する場合でさえ、端末101は、端末102のイースト向きに地理的に位置付けられる。
【0014】
一実施形態においては、光信号は波長分割多重方式(WDM)及び高密度波分割多重方式(DWDM)である。WDM又はDWDMにおいては、以下で“光波長チャネル”という複数の別個の光チャネルの各々において情報が通信される。各々の光波長チャネルは、光通信のための特定の波長が割り当てられる。従って、WDM又はDWDM光信号を用いて通信するように、端末101は“n”個の光送信器111(光送信器111(1)乃至111(n)を有し、ここで、nは正の整数である)を有することが可能であり、各々の光送信器は、対応するイースタン光波長チャネルにおいて送信するためのものである。同様に、端末102は、光送信器121(1)乃至121(n)を有する“n”個の光送信器121を有し、各々の光送信器はまた、対応するウェスタン光波長チャネルにおいて送信するためのものである。本明細書に記載している原理はしかしながら、イースタン光波長チャネルの数がウェスタン光波長チャネルの数と同じである通信に限定されるものではない。更に、本明細書に記載している原理は、光送信器の各々の正確な構造に限定されるものではない。しかしながら、レーザは、特定の周波数において送信するための適切な光送信器である。即ち、光送信器は各々、複数のレーザ送信器であることさえ、可能であり、ある周波数範囲内で調節可能である。
【0015】
イースタン方向の光送信のためのイースタンチャネルに関しては、端末101は、光マルチプレクサ112を用いて光送信器111からの複数のイースタン光波長信号を単独の信号イースタン光信号に多重化し、それはその場合、第1ファイバリンク114(1)に送信される前に、任意のイースタン光増幅器113により光学的に増幅されることが可能である。本明細書においては、用語“ファイバリンク”及び“ファイバスパン”は、相互に交換可能に用いられる。
【0016】
イースタンチャネルにおいては、端末101と102との間に“m”個の中継器115及び“m+1”個の光ファイバリンク114が存在する。繰り返されない光通信システムにおいては、単独のファイバリンク114(1)が存在するが、端末101と102との間には中継器が存在しないように、“m”は0である。繰り返される光通信システムにおいては、“m”は1又はそれ以上である。従って、存在する場合には、中継器の各々は、光信号を増幅するために電力を消費する。
【0017】
最後の光ファイバリンク114(m+1)からのイースタン光信号はその場合、任意の光増幅器116により端末102において任意に増幅される。イースタン光信号はその場合、光分波器117を用いて種々の波長の光波長チャネルに分波される。種々の光波長チャネルはその場合、受信器118(1)乃至118(n)を有する光受信器118を対応させることにより、受信されて、処理されることが可能である。
【0018】
ウェスタン方向における光送信のためのウェスタンチャネルに関しては、端子102は、光マルチプレクサ22を用いて、信号のウェスタン光信号に光送信器121(光送信器121(1)乃至121(n)を有する)からのウェスタン光波長信号の各々を多重化する。多重化された光信号はその場合、第1ファイバリンク124(m+1)に送信される前に、任意のウェスタン光増幅器123により光学的に増幅されることが可能である。もう一度、“m”個の中継器125(125(1)乃至125(m)とラベル付けされている)及び“m+1”個の光ファイバリンク(124(1)乃至124(m+1)とラベル付けされている)が存在する。繰り返されない環境においては、ウェスタンチャネルに、1つの光ファイバリンク124(1)のみが存在し、中継器125は存在しないことを思い出されたい。
【0019】
最後の光ファイバリンク124(1)からのウェスタン光信号はその場合、任意の光増幅器126により端末101において光学的に増幅される。ウェスタン光信号はその場合、個別の波長分割光チャネルが受信器128(受信器128(1)乃至128(n)を有する)により受信されて、処理されるとすぐ、光分波器127を用いて分波される。端末101及び/又は102は、光通信システム100に示されている要素すべてを必要とはしない。例えば、光増幅器113、116、123及び/又は126は、一部の構成においては用いられないことが可能である。更に、存在する場合には、対応する光増幅器113、116、123及び/又は126の各々は、必要に応じて、複数の光増幅器の組み合わせであることが可能である。
【0020】
しばしば、中継器間の光路長は略同じである。中継器間の距離は、全部の端末間の光路長、データ速度、光ファイバの品質、光ファイバの損失特性、中継器の数(存在する場合には)、各々の中継器に対して供給可能な電力量(中継器が存在する場合には)等に依存する。しかしながら、高品質のシングルモードファイバについての中継器間の(又は、繰り返されないシステムにおける端末から端末への)典型的な光路長は、約50kmであり得、実際には、30km乃至90km又はそれ以上の範囲内であることが可能である。即ち、本明細書に記載されている原理は、中継器間の任意の特定な光路長に限定されるものではなく、光路長が一の繰り返されるセグメントから次のセグメントまでと同じである中継器システムに限定されるものではない。
【0021】
光通信システム100は、単に例示目的で、単純な形で表されることが可能である。本明細書で説明している原理は、かなり複雑な光通信システムまで拡張することが可能である。本明細書で説明している原理は、各々は多重化されたWDM光信号を通信するためである、複数の光ファイバの対が存在する光通信に適用することが可能である。更に、本明細書で説明している原理はまた、一方向において1つ又はそれ以上の光ファイバの対及び/又は光波長チャネルを分割する1つ又はそれ以上の分岐ノードが存在する光通信に適用することが可能である。更に、本明細書で説明している原理は、ウェスタン方向に比べてイースタン方向において異なる数の中継器が存在する非対称の二方向性の光チャネルに適用することが可能である。
【0022】
図2Aは、図1の光通信システム100においてインラインで使用されることが可能である光アセンブリ200を示している。例えば、光通信システム100のイースタン方向において光アセンブリがインラインで含まれることを検討する。その場合に、複数のイースタン中継器が存在する場合、光アセンブリ200は、それらの中継器に含まれることが可能である。代替として、光アセンブリ200は、恐らく光分岐挿入マルチプレクサ等の任意のノードに含まれることが可能である。
【0023】
光アセンブリ200は、光ノードにおける前の光構成要素又は前の光ファイバから光信号を受信する受信ポート210を有する。受信された光信号は、コヒーレント光チャネル及び非コヒーレント光波長チャネルの両方を有する点で、混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光信号である。コヒーレント光波長チャネルは、コヒーレントに検出される光波長チャネルである。非コヒーレント光波長チャネルは、光信号の電場を測定することなしに直接(又は、非コヒーレントに)検出される光波長チャネルである。
【0024】
光デマルチプレクサ270は光波長チャネルを受信し、信号を少なくとも2つの部分211及び212に多重分離し、一の経路はコヒーレント光チャネルを有し、他の経路は非コヒーレント光チャネルを有する。一実施形態においては、コヒーレントチャネルは経路211に供給され、非コヒーレントチャネルは経路212に供給される。他の実施形態においては、コヒーレントチャネルは経路212に供給され、非コヒーレントチャネルは経路211に供給される。
【0025】
経路211は分散要素(DE)241を有し、光増幅要素221を任意に有し、光増幅要素251を任意に有する。増幅要素221及び251は別個のモジュールであることが可能であり、又は、1つの増幅モジュールの異なる増幅ステージであることが可能である。光増幅要素221及び251は、入力ポートに対して出力ポートで、より高い光パワーを提供し、DE241の光パワー損失を少なくとも一部を補償する。
【0026】
図2Aにおいては、分散要素(DE)241は2つの光増幅器221及び251間に位置付けられているが、DE241の位置は、経路211内のどこでも可能である。
【0027】
他の実施形態においては、分散要素241は、増幅要素221及び251の1つ又はそれ以上の一部であることが可能である。これの一例は、増幅ゲインファイバスプールが分散的であるディスクリートラマン増幅モジュールである。この実施形態においては、1つの増幅モジュールは、DE241と、増幅要素221又は251(若しくは、両方)とを有することが可能である。他の実施形態においては、光経路211に沿った2つ又はそれ以上のモジュールは、分散の正味の合計が、分散要素241として図2Aに示されている、分散要素を有することが可能である。例えば、増幅モジュールは、増幅要素221及び251を有し、別個の分散補償モジュールに加えて、内部分散を有することが可能である。
【0028】
図2Aにおける要素についての上記説明により、それらの要素は機能又は方法を表し、個別のモジュールに必ずしも対応していないが、一部の実施形態においては、図2Aの要素は、個別のモジュールに対応している。
【0029】
経路212は任意に、分散要素(DE)242を有し、光増幅要素222を任意に有し、光増幅要素252を任意に有し、損失要素232を任意に有する。DE242並びに増幅要素222及び252は、経路211について記載されている対応する要素と同じ機能を備えている。しかしながら、DE242の分散(使用される場合)は、DE241の分散とは異なる。このように、経路211及び212の総分散はかなり異なる。
【0030】
一実施形態においては、損失要素232は、経路211における信号波長についてのDE241の損失と類似する、経路212における信号波長についての損失値を有する。他の実施形態においては、損失要素232は、経路211における信号波長につてのDE241の損失と類似する、経路212における信号波長についての損失値を有し、増幅要素221、251、222、252及びDE242は用いられない。損失要素232は減衰の固定値であることが可能であり、又は、経路212における信号波長についての減衰の変動値であることが可能である。損失要素232は受動減衰器であることが可能であり、又は、能動(電気的に制御された)減衰器であることが可能である。
【0031】
図2Aにおいては、分散要素(DE)242及び損失要素(L)232は、2つの光増幅器222と252との間に位置付けられているが、DE242及びL232の位置は、経路212におけるどこでも可能である。
【0032】
一実施形態においては、光要素221、251、222、232及び252は、経路211及び212の総経路損失又はゲインに略等しい方法を提供する。
【0033】
光マルチプレクサ280は、経路211及び212における信号波長を受信し、それらの信号波長を単独の経路220に対して結合する。任意に、増幅要素260は、混合された光信号を増幅し、それにより、コヒーレント光波長信号及び非コヒーレント光波長信号の両方に別個の増幅を与える。
【0034】
増幅要素260が、マルチプレクサ280の後の光アセンブリにおいて示されているが、他の実施形態においては、増幅要素260は、デマルチプレクサ270の前に位置付けられ、同じ機能を備えている。
【0035】
一実施形態においては、光要素221、251、222、232、252及び260は、入力ポート210から出力ポート220(任意の増幅要素260の後)にコヒーレント光波長信号及び非コヒーレント光波長信号の全経路損失又はゲインを略等しくする方法を提供する。
【0036】
図2Aの光アセンブリは、すべてのチャネルについての性能を改善することが可能であるコヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルに異なる分散を与える。分散要素241及び242は、典型的には有害な非線形光効果を高め、故に、チャネルの品質を低下させる分散補償ファイバを有することが可能である。分散補償ファイバにおける非線形効果は、コヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルの両方が混合される場合に、向上することが可能である。従って、コヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルのための別個の経路を提供することは、それらのチャネル間の非線形相互作用を低減し、光信号の品質を改善する。
【0037】
図2Bは、光アセンブリ200の一実施形態である光アセンブリ201を示している。光アセンブリ201の要素は、光アセンブリ200の対応する要素と同じ機能を有することが理解できる。光アセンブリ201においては、コヒーレント光チャネルは光経路212(それはコヒーレント光波長チャネルを担持するために、本明細書においては、“コヒーレント光経路”とも呼ばれる)に供給される一方、非コヒーレント光チャネルは光経路211(それは非コヒーレント光波長チャネルを担持するために、本明細書においては、“非コヒーレント光経路”とも呼ばれる)に供給される。
【0038】
非コヒーレント光波長チャネルは、もし存在する場合に、コヒーレント光波長チャネルに導入される分散に比べて、異なる分散を非コヒーレント光チャネルに導入する分散要素に移動する。図に示されている場合、例えば、コヒーレント光波長チャネルは、DE241がコヒーレント光波長チャネルについて何れの分散も提供しないように、DE241に完全にバイパスをつける。
【0039】
非コヒーレント光波長チャネルがDE241を通り抜けるとき、信号パワーにおいてある損失が存在する。従って、増幅要素251が、DE241における光信号パワーの損失を少なくとも一部を回復するように、備えられる。DE241の非コヒーレント光波長チャネルで生じる減衰量は、DE241をバイパスづけすることを可能にするコヒーレント光波長チャネルが経験する減衰よりかなり大きい。増幅要素251は、故に、一旦、2つの信号が、マルチプレクサ280を用いて、再び結合されると、非コヒーレント光波長チャネルの光パワーを、コヒーレント光波長チャネルの光パワーと、よりインラインにする助けとなる。図示している実施形態においては、増幅要素251は、コヒーレント光波長チャネルのための何れの増幅も提供しない。更に、一実施形態においては、増幅要素は、DE241を通り抜けた非コヒーレント光波長チャネルにより失われた光パワーの少なくとも50%であって、150%より光パワーを戻すように供給する。
【0040】
増幅要素251は、例えば、増幅を提供するように任意にポンピングされる第2の分散要素を有することが可能である。例えば、希土類元素がドープされたファイバ増幅器ではなく、ポンピングされた分散要素を使用することにより、ラインにおいて前方ラマン増幅及び/又は後方ラマン増幅と任意に結合して、光チャネルの広いバンド幅をそのチャネルがサポートするようにする、広いバンドの増幅を可能にする。しかしながら、増幅器251はまた、希土類元素がドープされたファイバ増幅器、又は希土類元素がドープされたファイバ増幅及びファイバラマン増幅の両方を用いるハイブリッド増幅器であることが可能である。一実施形態においては、増幅器251は分散要素241を有する。他の実施形態においては、増幅要素251は、非コヒーレント光チャネルに増幅を与える著しい内部分散の有無に拘わらず、任意の光増幅器であることが可能である。
【0041】
光マルチプレクサ280は、ポート220において混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光信号を生成するように、コヒーレント光波長信号及び非コヒーレント光波長信号を受信して、結合する。光アセンブリ201は、非コヒーレント光波長チャネルに分散を適用し、インラインに含まれるために、光アセンブリ201は、コヒーレント光波長チャネル及び非コヒーレント波長チャネルについて異なる分散マップを生成する助けとなる。従って、光アセンブリ201は、非コヒーレントチャネルに比べて、異なる分散マップがコヒーレントチャネルに適用されるように、システムで用いられることが可能である。
【0042】
コヒーレント検出及び非コヒーレント検出は、分散マップに対するそれらの感度がかなり異なる。非コヒーレント検出(“直接検出”とも呼ばれる)については、現在のシステムは、累積分散の絶対値を比較的低く保つように、分散周波数を補償する。他方、コヒーレント検出については、累積分散の絶対値は、かなり高いことが可能であり、略50,000ps/nm程度に高いことも可能である。更に、分散が略0にかなり近づく場合、非線形歪みは、信号品質又はコヒーレント検出の有効性を低下させ得る。従って、直接検出とは対照的に、異なる分散マップが、コヒーレント検出を受ける光波長チャネルについて構築されることが可能である。
【0043】
図2Bにおける光アセンブリは、すべてのチャネルについての性能を改善することが可能であるコヒーレントチャネル及び非コヒーレントチャネルに対する異なる分散を与える。分散要素241は、典型的にはチャネルの品質を低下させる有害な非線形光学的効果を増加させる分散補償ファイバを有することが可能である。従って、光アセンブリ201はまた、DE241において可能性の高い非線形相互作用をバイパスづけすることにより、コヒーレントチャネルの性能を改善することが可能である。
【0044】
従って、本明細書で説明している原理は、分散補償が関与する限り、異なる光波長チャネルが異なって処理されることが可能であり、それにより、ハイブリッド光波長チャネルが信号システムで用いられることを可能にする、光アセンブリを提供する。
【0045】
図3は、距離D1及び距離D2においてインラインで図2Aの光アセンブリ200の2つを有することにより可能にされる混合された分散マップ300の実施例を示している。この場合、光アセンブリ200は、すべてのノード又は中継器に含まれないが、他の実施形態においては、光アセンブリ200は、各々の光ファイバスパンに含まれることが可能である。混合された分散マップは、コヒーレント光チャネル(以下、“コヒーレント分散マップ”とも呼ばれ、破線で示されている)についての分散マップ311と、非コヒーレント光チャネル(以下、“非コヒーレント分散マップ”とも呼ばれ、実線で示されている)についての分散マップ312とを有する。
【0046】
この混合された分散マップ300においては、事前補償(つまり、送信端末で適用される分散)は存在しないが、確かに適用される事前補償は存在し得、事前補償は、コヒーレント分散マップ311及び非コヒーレント分散マップ312の一方又は両方について異なり得る。図3においては、図2Aの光アセンブリ200の実施例が、点D1及びD2に示されている、図示している場合においては、コヒーレント光波長チャネルは、分散補償中、非コヒーレントチャネルから少し分離される。コヒーレント光波長チャネルは、故に、分散補償をバイパスづけし、従って、コヒーレント光波長チャネルの累積分散は累積する。コヒーレント光波長チャネルに与えられるある分散補償(例えば、累積分散が、電子領域において補償されることが可能である限界、例えば、50,000ps/nmに近づく場合)が存在し得る。しかしながら、図3は、コヒーレント光波長チャネルについての分散補償を示していない。従って、その光システムは、もともと分散補償されていないシステムであることが可能である。
【0047】
しかしながら、非コヒーレント光波長チャネルについては、分散補償が、点D1及びD2において適用される。それらの位置においては、非コヒーレント光波長チャネルは、コヒーレント光波長チャネルから分離され、非コヒーレント光波長チャネルは分散補償される。D1及びD2において非コヒーレント光波長チャネルに適用される分散量は、リンクの累積分散より小さい、その分散に等しい、又はその分散より大きいことが可能である。図示している実施例においては、略0である非コヒーレント光波長チャネル330の総累積分散を戻す、ある最終的な分散補償(矢印320で示されている)が適用される。これは重要であり、故に、非コヒーレント光波長チャネルが直接、検出される。非コヒーレント分散マップ312は、従って、より不規則な鋸歯形状パターンをとる。
【0048】
従って、基本的に分散補償されないシステムにおいてさえ、光アセンブリ200の実施例は、非コヒーレントチャネルの累積分散が略0に保たれるようにされる一方、コヒーレントチャネルの分散は累積が継続される又は少なくともかなり高くされるように、インラインに周期的に位置付けられることが可能である。
【0049】
図示されている図3の実施形態においては、光アセンブリ300は、すべての光ファイバスパンに位置付けられていない。例えば、距離0から距離D1まで約360kmの光学距離、距離D1から距離D2まで約530kmの光学距離、距離D2から受信端末まで約250kmの光学距離が存在する。それらの距離は、中継器間の平均距離より大きい。しかしながら、本明細書で説明している原理はまた、光アセンブリ200がすべての光ファイバスパンにおいて位置付けられる場合に、適用可能である。
【0050】
光アセンブリ200又は201が図1の光通信システムで用いられる場合、任意の光中継器115、125は光アセンブリ200又は201を有することが可能である。任意の光通信システム100の送信器111/受信器128及び送信器121/受信器118が、コヒーレント光チャネル又は非コヒーレント光チャネルであることが可能である。しかしながら、光アセンブリ200のデマルチプレクサ/マルチプレクサのタイプに依存して、光チャネルがコヒーレント又は非コヒーレントである制約が存在することが可能である。例えば、光チャネルの波長が制限されることが可能である
本発明は、本発明の主旨及び重要な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態に具現化されることが可能である。上記の実施形態は、すべての点で、単に例示であって、限定的なものではないとみなされる必要がある。本発明の範囲は、従って、上記の詳述によるのではなく、特許請求の範囲によるとして意図されている。特許請求の範囲と同等な意味及び範囲内にあるすべての変形は、それらの特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光波長チャネル及び非コヒーレント光波長チャネルの結合を有する混合された光信号を受信する入力光ポート;
コヒーレント光経路に、複数のコヒーレント光波長チャネルが供給され、非コヒーレント光波長チャネルが供給されないように、及び、非コヒーレント光経路に、複数の非コヒーレント光波長チャネルが供給され、コヒーレント光波長チャネルが供給されないように、前記入力光ポートに存在する光波長チャネルの前記結合を分離する光マルチプレクサ;
前記コヒーレント光経路及び前記非コヒーレント光経路の一方又は両方に備えられている分散要素であって、存在する場合に、前記コヒーレント光経路に適用される分散量に比べて、異なる分散量が、前記非コヒーレント光経路を介して進む前記複数の非コヒーレント光波長チャネルに適用されるように、動作される、分散要素;並びに
前記光マルチプレクサの出力に関して混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光出力信号を生成するように、前記コヒーレント光経路及び前記非コヒーレント光経路から光波長チャネルを受信して、結合する光マルチプレクサ;
を有する光アセンブリ。
【請求項2】
前記入力光ポートから前記光マルチプレクサの前記出力への第1経路及び第2経路の光ゲイン又は光損失に略等しくする1つ又はそれ以上の光要素であって、前記第1経路は、前記入力光ポートから、光デマルチプレクサ、前記非コヒーレント光経路、前記光マルチプレクサを介して、前記光マルチプレクサの前記出力に繋がり、前記第2経路は、前記入力光ポートから、前記光デマルチプレクサ、前記コヒーレント光経路、前記光マルチプレクサを介して、前記光マルチプレクサの前記出力に繋がっている、1つ又はそれ以上の光要素;
を更に有する、請求項1に記載の光アセンブリ。
【請求項3】
前記1つ又はそれ以上の光要素の少なくとも1つの光要素は光減衰器である、請求項2に記載の光アセンブリ。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の光要素の少なくとも1つの光要素は光増幅器である、請求項2に記載の光アセンブリ。
【請求項5】
前記光増幅器は、希土類元素がドープされた増幅器、ディスクリートラマン増幅器、又は希土類元素がドープされたファイバ増幅及びファイバラマン増幅の両方を有するハイブリッド光増幅器の少なくとも1つの増幅器を有する、請求項4に記載の光アセンブリ。
【請求項6】
前記混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光信号を増幅する光増幅器;
を更に有する、請求項1に記載の光アセンブリ。
【請求項7】
前記分散要素は前記非コヒーレント光経路に含まれる、請求項1に記載の光アセンブリ。
【請求項8】
前記コヒーレント光経路は分散要素を含まない、請求項7に記載の光アセンブリ。
【請求項9】
前記コヒーレント光経路は増幅器を含まない、請求項8に記載の光アセンブリ。
【請求項10】
前記非コヒーレント光経路は、前記非コヒーレント光経路において前記光要素の残りが寄与する損失の50%乃至150%を補償するのに十分なゲインを有する光増幅器を有する、請求項7に記載の光アセンブリ。
【請求項11】
前記分散要素は、前記コヒーレント光経路に含まれる、請求項1に記載の光アセンブリ。
【請求項12】
送信端末;
受信端末;
複数の光中継器;並びに
非コヒーレント光チャネルからコヒーレント光チャネルを分離し、もし存在する場合に、前記受信端末の方への更なる送信のために、前記コヒーレント光チャネル及び前記非コヒーレント光チャネルを再結合する前に、前記コヒーレント光チャネルに適用される、前記非コヒーレント光チャネルに異なる分散を適用する、複数の光アセンブリ;
を有する光システム。
【請求項13】
前記複数の光アセンブリの少なくも1つの光アセンブリは:
入力において混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光信号を受信し、複数のコヒーレント光波長チャネルをコヒーレント光経路に、及び、複数の非コヒーレント光波長チャネルを非コヒーレント光経路に出力する光デマルチプレクサ;
もし存在する場合に、前記コヒーレント光経路に適用される分散に比べて、差分分散が、前記非コヒーレント光経路に適用されるように、前記コヒーレント光経路及び前記非コヒーレント光経路の一方又は両方に備えられる分散要素;
混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光出力信号を生成するように、前記コヒーレント光経路からの前記複数のコヒーレント光波長チャネルと、前記非コヒーレント光経路からの複数の非コヒーレント光波長チャネルとを受信して、結合する光マルチプレクサ;
を有する、請求項12に記載の光システム。
【請求項14】
前記複数の光中継器の一部は前記複数の光アセンブリを有さない、請求項12に記載の光システム。
【請求項15】
前記複数の光中継器の各々は前記複数の光アセンブリの少なくとも1つの光アセンブリを有する、請求項12に記載の光システム。
【請求項16】
コヒーレント光チャネル及び非コヒーレント光チャネルに異なる分散を適用する方法であって:
コヒーレント光波長チャネル及び非コヒーレント光波長チャネルの結合を有する混合された光信号を受信するステップ;
前記複数のコヒーレント光波長チャネルをコヒーレント光経路に、及び、前記複数の非コヒーレント光波長チャネルを非コヒーレント光経路に多重分離するステップ;並びに
もし存在する場合に、前記コヒーレント光経路に適用される分散に比べて、異なる分散が、前記非コヒーレント光経路の前記複数の非コヒーレント光波長チャネルに適用されるように、前記コヒーレント光経路及び前記非コヒーレント光経路の一方又は両方に分散を適用するステップ;
混合されたコヒーレント及び非コヒーレント光出力信号を構築するように、前記複数のコヒーレント光波長チャネル及び前記複数の非コヒーレント光波長チャネルを多重化するステップ;
を有する方法。
【請求項17】
差分分散が前記非コヒーレント光経路に適用され、前記コヒーレント光経路には分散が適用されないように、前記分散を適用するステップが動作する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記多重分離するステップを実行するデマルチプレクサの入力から前記多重化するステップを実行するマルチプレクサの出力への第1経路及び第2経路の光ゲイン及び光損失を略等しくするステップであって、第1経路は、前記デマルチプレクサの前記入力から、前記光デマルチプレクサ、前記非コヒーレント光経路、前記光マルチプレクサを介して、前記光マルチプレクサの前記出力に繋げ、前記第2経路は、前記デマルチプレクサの前記入力から、前記光デマルチプレクサ、前記コヒーレント光経路、前記光マルチプレクサを介して、前記光マルチプレクサの前記出力に繋げる、ステップ;
を更に有する、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−509136(P2013−509136A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536956(P2012−536956)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054113
【国際公開番号】WO2011/056583
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507282163)エックステラ コミュニケーションズ,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】