説明

コペプチンを使用する疾患の診断方法

【課題】バソプレッシンの低いin vivoの安定性、及び血小板への結合及び血小板からの放出に由来して変化する結果のために、バイオマーカーとしての使用は、急速に生じる分解の影響で、最適化されたサンプルの実施条件であっても極端に制限される。
【解決手段】特に循環器疾患、腎臓疾患、及び肺疾患、並びに敗血症ショックを含むショック、敗血症、及び中枢神経系の疾患/病気、及び神経変性疾患の検出及び早期の検出、診断及び経過のモニタリングのために、特に神経下垂体からのバソプレッシンの放出の非生理学的な変化に相関する疾患と関連してバソプレッシンの放出を定量するための診断マーカーとしてのコペプチンの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、心臓疾患、腎臓疾患、炎症性疾患、及び敗血症、並びに中枢神経系の病気/疾患及び神経変性疾患、並びに他の下記の疾患に存在するような、神経下垂体からのバソプレッシンの放出の非生理学的な変化に関連する若しくは誘導される疾患のための、コペプチン、及び/またはその前駆体若しくはフラグメント、及び/またはそのスプライスバリアント、コペプチンを含むフラグメント、及び/または組み合わせ、及び/またはそれらの誘導体の液性のバイオマーカーとしての医学的な診断における使用に関する。
【0002】
本願の以下の記述において、コペプチン免疫反応性を示すという共通の特徴を有する、いかなる生体分子、並びに上述のフラグメント、誘導体、及びそれらの組み合わせは、「コペプチン」を意味する。そのため、用語「コペプチン」は、とりわけ、その様なサンプルに存在する場合は、例えばVP-プロホルモンを含む。
【0003】
本発明に係るコペプチンは、バイオマーカー、特に液性のバイオマーカーとして使用され、慢性的若しくはうっ血性心不全、心停止、心臓性ショック、心筋梗塞、急性心筋梗塞、高血圧症、心臓手術、肝硬変、肺疾患、腎多嚢胞病のような腎臓(腎)疾患、尿崩症、低ナトリウム症の形態、不適合抗利尿ホルモン分泌症候群の形態、出血、浮腫形成疾患、炎症性疾患、外傷、火傷、それらの感染性合併症、及び敗血症、重度な敗血症、及び敗血症ショック、並びに中枢神経系(CNS)の疾患/病気及び神経変性疾患に存在するような、神経下垂体からのバソプレッシンの放出の非生理学的な変化、特に増大に関連するまたは誘導される疾患の診断に使用されて良い。
【0004】
本願において、バイオマーカーの使用が述べられる場合は、血液、血清若しくは血漿、及び脳脊髄液(cerebrospinal fluid (CSF))のような生物学的な流動体のin vitroのサンプル(すなわち、ex vivo)における前記バイオマーカーの定量を意味する。当業者にとって、これは、サンプルに事実上存在し得る生理学的に生じる「コペプチン」分子のみを定量すべきであることを明示する。例えば、糖鎖付加及び/若しくはリン酸化のような翻訳後修飾の長さ、及び/または存在によって、及び/またはタイプ、及びまたは程度が異なる、本質的に同一の免疫反応性である身体の流動体の幾つかの異なる種のサンプルに存在してよい。任意に与えられるアッセイが1種より多い分子を認識する可能性があるという固有の可能性に鑑みて、好ましい実施態様によるコペプチンの定量はコペプチン免疫反応性の定量、特に好ましくは以下に記載されるようなアッセイを使用して測定されるような免疫反応性として理解されるべきである。
【0005】
バイオマーカーとしての、または製薬品の活性成分としてのコペプチンの定量に関連して有用なアッセイ成分及び試薬の調製にも本願発明の使用が拡張する限りでは、例えば天然のコペプチンとの相同性が減少した、または安定性が修飾された融合生成物及び修飾物を含む、任意のコペプチンペプチドまたは誘導体が、天然のコペプチド生成物にいかなる制限もされずに使用されて良い。
【0006】
したがって、本発明のコペプチンという用語は、コペプチンに対して、例えば75%のみの相同性、好ましくは少なくとも80%の相同性、より好ましくは少なくとも90%の相同性を示すアミノ酸配列も含む。
【0007】
用語「診断」または「診断上」は、本明細書において、他に規定されない限り、特定の疾患の同定という意味での診断だけでなく、特定の疾患のリスクにおけるまたは特定の疾患を有することが推定される、無症候または高リスク集団のスクリーニング、特に早期の検出、未治療または治療された患者のモニタリング、並びに治療の過程及び予後/早期の予後及び生存予後のモニタリングも含むことを意図する一般的な用語として使用される。
【0008】
本発明はさらに、特に上述の方法、並びにその様な成分を含むキット及びアッセイにおける使用のための、コペプチンに対するまたはコペプチンの部分的なペプチドに対する抗体に関する。
【背景技術】
【0009】
ショックの血管拡張状態は生命を脅かす状態である。末梢の血圧が急激に減少し、通常はカテコールアミンの投与後に正常に戻らない。最も頻度の高いショックの形態は敗血症の最も重度な形態でもある敗血症ショックである。さらに、激しい心臓の手術、出血性及び心臓性のショックの後、または医薬品または毒物によって毒に犯された後に血管拡張性のショックが現れうる [1、2] 。
【0010】
オートクリン/パラクリン経路を介して主に効果的な一連のペプチドは血圧の調節に関与する。以下の分子は血管拡張性の作用を有することが既知である:例えば、アドレノモジュリン、カルシトニン、遺伝子関連ペプチド(CGRP)、及び心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。血管収縮性の効果は例えば以下の分子を示す:エンドセリン、アンギオテンシンII、及びバソプレッシン(アルギニン-バソプレッシン、抗利尿ホルモン(ADH)としても既知である)。
【0011】
バソプレッシンは、視床下部のニューロンにおいて主に形成される、より大きな前駆体分子の切断生成物である(「VPプロホルモン」;ポリペプチド配列を図3に示す;配列番号4)[20]。合成後に、VPプロホルモンはゴルジ体で糖鎖付加され、分泌小胞に封じられ、プロホルモンコンバターゼSP3によってバソプレッシン、ニューロフィジン、及びコペプチンの3つのペプチドに分割される。下垂体の神経末端への軸策の移動後に、前記ペプチドは特定の刺激(例えば、高浸透圧、血液量の減少、または他のホルモン)に対して小胞より分泌される。
【0012】
バソプレッシンの最も主要な生理学的な作用は身体の水分の維持である(抗利尿)。生理学的に増加した血圧に対するバソプレッシンの作用は、健康な個体では敗血症ショックの個体より顕著ではない。さらなるバソプレッシンの生理学的な作用は、下垂体副腎軸(ACTH、コルチゾール)の調節、胃腸管の活性の刺激、及び血小板の凝集である。[1、この番号は参考文献の番号を意味する]。
【0013】
ショックの病因において、バソプレッシンは中心的な役割を担う:実験的なショックのモデルでは、バソプレッシンの血漿濃度が刺激後15分以内に正常な濃度よりも3桁増大することが示された[4]。下垂体に蓄えられているバソプレッシンの急速な放出後に、敗血症ショックの患者で観察されたようにショック症候群のさらなる過程の間にバソプレッシン濃度が急激に減少する[5-7]。この観察は、成功裏に試験された敗血症ショックの治療のためのバソプレッシン補充療法の概念の基であった[8-10]。これらの結果は、生体内のバソプレッシンの減少が敗血症ショックの状態に寄与することを示す[5]。
【0014】
バソプレッシンは、心停止を有する患者の生存の可能性の診断マーカーとしても議論されており [11]、続いて、そのような患者の治療に使用された[12]。
【0015】
バソプレッシンまたはVPプロホルモンの病態生理学的な過剰発現は、前立腺、精巣ガン、卵巣、及び膵臓ガン、下垂体腺腫、及び神経節腫、嗅神経芽腫、乳ガン、及び結腸ガン、鼻咽頭ガン、、頭及び首のガン、褐色細胞腫、及び胃腸起源のガン、扁平上皮ガン、腺ガン、及び大細胞ガンのような幾つかのタイプのガンで示されている[13、24、25、26]。ガンにおいて生産または放出されるバソプレッシンは、病態生理学的に形成されたもの、すなわち正常な生理学的なバソプレッシン生産と異なる異常な生理学的経路(変化した病態組織)によって形成されたものとして解されるべきである。
上述の疾患において、バソプレッシンは正常な起源である器官(神経下垂体)より放出されるが、非生理学的なレベルである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Singh Ranger G: The physiology and emerging roles of antidiuretic hormone. Int. J. Clin. Pract. 56: 777-782, 2002
【非特許文献2】Landry DW, Oliver JA: The pathogenesis of vasodilatory shock. N. Engl. J. Med. 345: 588-595
【非特許文献3】Coates LC, Birch NP: Differential cleavage of provasopressin by the major molecular forms of SPC3. J. Neurochem. 70: 1670-1678, 1998
【非特許文献4】Wilson MF, Brackett DJ, Tompkins P, Benjamin B, Archer LT, Hinshaw LB: Elevated plasma vasopressin concentrations during endotoxin and E.coli shock. Adv. Shock. Res. 6: 15-26, 1981
【非特許文献5】Landry DW, Levin HR, Gallant EM, Ashton RC, Jr., Seo S, D’Alessandro D, Oz MC, Oliver JA: Vasopressin deficiency contributes to the vasodilation of septic shock. Crit. Care Med. 30: 497-500
【非特許文献6】Sharshar T, Carlier R, Blanchard A, Paillard M, Raphael JC, Gajdos P, Annane D: Depletion of neurohypophyseal content of vasopressin in septic shock. Crit Care Med 30: 497-500, 2002
【非特許文献7】Sharshar T, Blanchard A, Paillard M, Raphael JC, Gajdos P, Annane D: Circulating vasopressin levels in septic shock. Crit Care Med 31: 1752-1758, 2003
【非特許文献8】Forrest P: Vasopressin and shock. Anaesth Intensive Care 29: 463-472, 2001
【非特許文献9】Vincent JL: Endocrine support in the critically ill. Crit Care Med 30: 702-703, 2002
【非特許文献10】Holmes CL, Landry DW, Granton JT: Science Review: Vasopressin and the cardiovascular system part 2- clinical physiology. Crit Care 8: 15-23, 2004
【非特許文献11】Lindner KH, Strohmenger HU, Ensinger H, Hetzel WD, Ahnefeld FW, Georgieff M: Stress hormone response during and after cardiopulmonary resuscitation. Anaesthiology 77: 662-668, 1992
【非特許文献12】Wenzel V, Krismer AC, Arntz HR, Sitter H, Stadlbauer KH, Lindner KH: A comparison of vasopressin and epinephrine for out-of-hospital cardiopulmonary resuscitation. N Engl J Med 350: 105-113, 2004
【非特許文献13】North WG: Gene regulation of vasopressin and vasopressin receptors in cancer. Exp Physiol 85 Spec No: 27 S-40 S, 2000
【非特許文献14】Baumann G, Dingmann JF: Distribution, blood transport and degradation of antidiuretic hormone in man. J Clin Invest 57: 1109-1116, 1976
【非特許文献15】Smyth DG, Massey DE: A new glycopeptide in pig, ox and sheep pituitary. Biochem Biophys Res Commun 87: 1006-1010, 1979
【非特許文献16】de Bree FM, Burbach JP: Structure-function relationships of the vasopressin prohormone domains. Cell Mol Neurobiol 18: 173-191, 1998
【非特許文献17】Holwerda DA: A glycopeptide from the posterior lobe of pituitaries. I. Isolation and characterization. Eur J Biochem 28: 334-339, 1972
【非特許文献18】Nagy G, Mulchahey JJ, Smyth DG, Neill JD: The glycopeptide moiety of vasopressin-neurophysin precursor is neurohypophysial prolactin releasing factor. Biochem Biophys Pes Commun 151: 524-529, 1988
【非特許文献19】Hyde JF, North WG, Ben-Jonathan N: The vasopressin-associated glycopeptide is not a prolactin-releasing factor: studies with lactating Brattleboro rats. Endocrinology 124: 35-40, 1989
【非特許文献20】North, W. G. "Biosynthesis of vasopressin and neurophysins" in: D. Gash and G. Boer (eds.), Vasopressin: Principles and Properties, pp. 175-209. New York: Plenum Press, 1987)
【非特許文献21】Chesney et al., J. Lab. Clin. Med. 1985, S. 106, abrufbar unter www.ncbi.nih.gov
【非特許文献22】Kluge et al., Clinical Chemistry 1999, S. 98-100
【非特許文献23】Robertson et al., Journal of Clinical Investigation, Vol. 52, 1973, S. 2340-2352
【非特許文献24】North, W. G. et al, "Immunohistochemical Evaluation of Vasopressin Expression in Breast Fibrocystic Disease and Ductal Carcinoma In Situ (DCTS)", Endocrine Pathology, 2003, Vol. 14, No.3, 2003, pages 257-262
【非特許文献25】North W. G. et al . , "Vasopressin gene related products are markers of human breast cancer". Breast Cancer Research and Treatment, Vol. 34, 1995, pages 229-235
【非特許文献26】North W.G. : "Neuropeptide Production by Small Cell Carcinoma: Vasopressin and Oxytocin as Plasma Markers of Disease", J Clin Endocrinol Metab, Vol. 73, 1991, No. 6, pages 1316-1320
【非特許文献27】Thibonnier M., Vasopressin receptor antagonists in heart failure, Current Opinion in Pharmacology 2003, 3:683-687
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
コペプチン(C末端糖タンパク質としても既知である)は39アミノ酸、その糖鎖部分を含み、約2000Daの分子量を有する[15-17]。糖鎖付加は前駆体VP-プロホルモンの131位である(配列番号4参照)。コペプチンの生物学的な機能は不明確なままである。
【0018】
例えば血清または血漿のような身体の流動体における液性の診断マーカーとしてバソプレッシンを直接定量することは、ルーチンの診断にとって適切でない。90%より多くのバソプレッシンは血小板に結合することから、測定のために利用できない[21]。かくして、血漿で認められるフリーなバソプレッシンは血流に放出されたバソプレッシンの真の量を反映しない。血小板に対するバソプレッシンの結合は、血漿を得るために使用される遠心分離に依存して変化する測定に含まれる血小板の量に依存して異なる結果を導く[22]。さらなる妨害は、血液サンプルを遠心分離前に室温の状態にすると、より多量のバソプレッシンが認められるという事実である。これらの効果及びin vivoにおけるバソプレッシンの短い半減期(24分、[14])、及び-20℃で保存した際でもex vivoの血漿サンプルにおける短い半減期は、ルーチンの診断におけるバソプレッシンの使用を妨害している。その短い半減期のため、ルーチンの診断において、バソプレッシンが検出限界に達する前にサンプルの入手、血漿の取得、サンプルの実験室への輸送、及び必要とされる試験を含む実験室における診断の実施をすることが不可能であった。
【0019】
さらに、バソプレッシンの低いin vivoの安定性、及び血小板への結合及び血小板からの放出に由来して変化する結果のために、バイオマーカーとしての使用は、急速に生じる分解の影響で、最適化されたサンプルの実施条件であっても極端に制限される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の主題は、バソプレッシンの不利な半減期の効果、及び測定において変化する結果を克服すること、並びに循環器疾患及び敗血症の診断のための、バソプレッシンの放出に関連する分子、より具体的にはコペプチンの検出及び定量のための方法、使用、及びキットを開発することである。
【0021】
本発明の主題は、VPプロホルモン(バソプレッシンの前駆体)の特定のフラグメント、特にコペプチンを、循環器疾患及び敗血症の診断及びモニタリングにおいて、特に身体の流動体におけるバソプレッシンの生理学的な放出の定量のためのツールとして使用できるという驚くべき発見に基づいて達成されるであろう。
【0022】
前記フラグメント、特にコペプチンの産生は、同一の前駆体に由来するために、バソプレッシンの放出と相関する。
【0023】
ex vivoにおける前記前駆体タンパク質、フラグメント、及び/またはその組み合わせの安定性は驚くほど高く、前記フラグメント、特にコペプチンをルーチンの目的に完全に適したものとすることが認められた。
【0024】
コペプチンのようなフラグメントと前記前駆体ペプチドの他のフラグメントとの間の結合は、バソプレッシンが関与する全ての疾患のための診断のツールとしてそれらを適切なものとする。そのため、特にコペプチンは、各種の疾患、特に循環器疾患及び全身の炎症、特に敗血症の診断及びモニタリングのための医学的な診断方法において使用されて良い。
【0025】
さらに、1つの実施態様において本発明は、バソプレッシンが関与する上述の疾患ための疾患の診断、経過の調節、及び予後のためのコペプチンの使用に関する。
【0026】
臨床的なデータが、前記疾患の診断を支持するために更に考慮に入れられても良い。
【0027】
本発明に係るコペプチンと少なくとも75%の相同性、好ましくは80%の相同性、より好ましくは少なくとも90%の相同性を示すアミノ酸配列を使用することが可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施態様において、以下の実施例よれば、ヒトバソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン前駆体のアミノ酸配列の2つの領域(PATV17;PLAY17)が特定の抗体によって認識される免疫学的な結合部位として選択された:
132-147位:CATQLDGPAGALLLRLV (PATV17 -配列番号1)
149-164位:CLAGAPEPFEPAQPDAY (PLAY17 -配列番号2)。
【0029】
検定のため、及び標準溶液の調製のために、上述の結合部位の双方を含むぺプチドを使用した(PAY33):
132-164位:ATQLDGPAGALLLRLVQLAGAPEPFEPAQPDAY (PAY33 -配列番号3)。
【0030】
特定の抗体に認識される免疫学的な結合部位PATV17及びPLAY17は、131位のコペプチンの推定の糖鎖付加部位を含まないように選択された。そのため、定量されたコペプチンの翻訳後修飾(糖鎖付加)の存在または不在は、その様な抗体を使用するアッセイにおけるコペプチンの認識に対していかなる有意な影響も有するはずがない。そのため、用語「コペプチン」は「裸の」コペプチンペプチドと同様に、前記ペプチドの翻訳後修飾形態を含む。
【0031】
上述の各ペプチドが以下の記載にように合成される際に、アミノ末端にシステイン残基を各コペプチンアミノ酸配列に付加し、前記ペプチドを当業者に既知の方法によって可溶性タンパク質として化学的に合成した。それらを精製し、質量分析器及び逆相HPLCによって品質を調整し、分取して凍結乾燥した(Jerini AG, Berlin, Germany)。
【0032】
本発明に係る合成ペプチドを抗原の生産に使用して、動物に注射し、本発明に係るコペプチンに対する抗体を産生した。当業者に既知の、この主題を達成するための他の方法が使用されて良い。
【発明を実施するための形態】
【0033】
好ましい実施態様では、Pierce, Rockford, IL, USAの方法に従って、前記ペプチドPATV17及びPLAY17をMBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を介して担体タンパク質であるスカシ貝ヘモシアニン(KLH)に接合した。ヒツジで上述のペプチドに対する抗体を生産した。本発明の好ましい実施態様では、上述のペプチドに対するポリクローナル抗体を産生させた。既知の方法に従って抗体を精製した。本発明の好ましい実施態様では、これは、Pierce(Boston, USA)の方法に従って、PierceのSulfoLink-Gelのアミノ末端のシステイン残基を介するペプチドのカップリングによるリガンド特異的なアフィニティークロマトグラフィーによって好適に達成された。好ましい実施態様では、検出可能なマーカーを使用して前記抗体を標識した。使用されるマーカーは好ましくは蛍光マーカーであり、より好ましい実施態様では、前記抗体を化学発光マーカーで標識し、更に好ましい実施態様では、PATV17(0413-pAK)及びPLAY17(0417-pAK)に対する抗体を化学発光マーカーで標識した。
【0034】
さらなる好ましい実施態様では、本発明は、身体の流動体のサンプル中の本発明に係るコペプチンの検出のために産生された抗体の使用、並びに特定量のその様な抗体または本発明に係る分子の検出に特異的な多量の抗体を含むキットに関する。各種の標識を使用する手動の、自動の、若しくは治療の時点の様式の競争的またはサンドイッチ免疫アッセイを含む、当業者に既知のもののような、異なるアッセイが前記分子の検出に使用されて良い。
【0035】
個々の分子に対する抗体の結合の検出方法も当業者に既知である。その様な既知のアッセイのいかなる様式がコペプチンの定量との関連で使用されても良い。例えば、いわゆるPOC(治療の時点の)試験として免疫クロマトグラフィータイプのような即時試験の装置を用いてコペプチンを定量することは本発明の範囲の内である。コペプチンの定量は、いわゆるTRACE(登録商標)技術を使用する、いわゆるKRYPTOR(登録商標)タイプのホモジーニアスアッセイで実施されても良い。
【0036】
本発明の好ましい実施態様は、特にサンドイッチタイプの2つの部位の免疫アッセイのための、上述のペプチド0413-pAK及び0417-pAKに対して産生された抗体の使用を開示する。本発明の他の好ましい実施態様は、各種の身体の流動体及び他の生体物質中の本発明の分子、特にコペプチンの濃度の検出及び定量のためのこれらの抗体の使用を開示する。好ましい実施態様では、コペプチンは身体の流動体で50pg/mlを超える濃度で検出されて良い(図1)。
【0037】
1つの好ましい実施態様では、本発明は、血清及び血漿におけるex vivoのコペプチンの長期の安定性の発見に基づき、それを使用する(表2)。血漿及び血清におけるコペプチンのレベルは、驚くべきことに、室温で2日間貯蔵した後でさえ安定であった。かくして、コペプチンは、バソプレッシンよりもはるかに診断の目的に適する。
【0038】
本発明の好ましい実施態様は、健康な個体、敗血症患者、心筋梗塞患者、及び動脈の血圧の増大した患者におけるコペプチンの検出のための、並びに慢性またはうっ血性心不全(CHF)の重度の決定のためのPLAY17及びPATV17に対して産生された抗体の使用を開示する(図4)。
【0039】
本発明は、身体の流動体中の本発明の分子、特にコペプチンの存在及び安定性の決定、並びに健康な対照と上述の各種の患者を含む各種の疾患の患者とのペプチド濃度の差の測定を可能にする(図2;図4)。健康な対照個体の中央値は約13pg/mlである。
【0040】
本発明は、更に、上述のものを含む疾患の状態における、身体の流動体中の液性のバイオマーカーであるコペプチンの濃度の優位な変化を開示する。
【0041】
本発明の好ましい実施態様は非常に有意な変化、すなわち敗血症患者(中央値150.5pg/ml)及び心筋梗塞の患者(中央値129.5pg/ml)におけるコペプチンの濃度の約10倍の増大、並びに動脈の血圧が増大した患者(中央値459.5pg/ml)における約35倍の増大という驚くべき発見に基づく。
【0042】
CHF患者では、コペプチンの測定レベルは、New York Heart Association (NYHA)機能分類システムを使用して一般的に評価される病気の重度と良く相関する。NYHAクラスIからIVは以下の典型的な機能と一致する:NYHAクラスI−無症候;NYHAクラスII−中程度の運動に伴う症状;NYHAクラスIII−最小限の運動に伴う症状;NYHAクラスIV−休息時の症状(呼吸困難)。全部で348のCHF患者(25のNYHAクラスI;124のNYHAクラスII;127のNYHAクラスIII;72のNYHAクラスIV;表1参照)の血漿サンプル中のコペプチンレベルを定量した試験において、異なるクラスの中央値は明らかに傾向を示した(以下の表1参照)。
本発明は、特にコペプチンの1つ以上の抗体を使用する、上述の疾患のための診断方法、キット、及びアッセイも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】標準物質としてペプチドPAY33を使用してコペプチンの免疫反応性のサンドイッチ免疫アッセイのための標準曲線を示す。
【図2】健康な個体と異なる群の患者(敗血症、心筋梗塞、及び動脈の血圧の増大)のサンプルにおけるコペプチン免疫反応性の濃度を示す。
【図3】バソプレッシンプロホルモンアミノ酸配列(1文字表記;配列番号4参照)を示す。
【図4】NYHA分類システムに従って分類されたCHF(慢性心不全)患者のサンプルにおけるコペプチン免疫反応性の濃度を示す。
【実施例】
【0044】
物質、方法、及び測定
(実施例1)
ペプチド合成
当業者に既知の標準的な方法に従って、ペプチドを合成し、それらの品質を質量分析器及び逆相HPLCによって調整して、分取して凍結乾燥した(Jerini AG, Berlin, Germany)。前記ペプチドのアミノ酸配列を以下に示す(番号はヒトプロバソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン-前駆体(132-147位及び149-164位)に相当する位置を意味する):
PATV 17 (132-147 + N末端システイン残基) :
CATQLDGPAGALLLRLV [配列番号1] ,
PLAY 17 (149-164 + N末端システイン残基) :
CLAGAPEPFEPAQPDAY [配列番号2] ,
標準ペプチド PAY 33 (132-164)
ATQLDGPAGALLLRLVQLAGAPEPFEPAQPDAY [配列番号3]。
【0045】
(実施例2)
接合及び免疫
PIERCE, Rockford, IL, USAによる「NHS-エステルマレイミド架橋剤」のプロトコルに従って、MBS(マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって、配列番号1から2のペプチドを担体タンパク質KLH(スカシ貝ヘモシアニン)に接合した。100μgの接合体(接合体のペプチド量に係るμg)を受けさせ、続いて4週間ごとに50μgの接合体(接合体のペプチド量に関する量)を受けさせてヒツジを免疫した。4週間毎の免疫後4ヶ月から、700mlの血液を全ての羊より回収し、遠心分離によって抗血清を得た。接合、免疫、及び抗血清の生産はMicroPharm, Carmerthenshire, UKによって実施された。
【0046】
(抗体の精製)
ヒツジ由来のポリクローナル抗体をリガンド特異的なアフィニティー精製を使用して精製した。この工程のために、ペプチドPATV17及びPLAY17をPierce社(Boston, USA)製のSulfoLink-Gelに結合させた。Pierce社のプロトコルに従って前記結合を生じさせた。5mgのペプチドを5mlのゲルに添加した。
【0047】
まとめると、カラムを10mlの溶出バッファー(50mM クエン酸、pH2.2)及び結合バッファー(100mM リン酸ナトリウム、0.1% Tween、pH6.8)を使用して3回洗浄した。100mlのヒツジ抗血清を0.2μmのフィルターを使用して濾過し、カラムから10mlの結合バッファーの入ったビーカーに移されたカラム物質に添加した。前記物質を穏やかに回転させて室温で一晩インキュベートした。前記物質を空のカラム(NAAP25,Pharmacia, emptied)に移した。溶出液を廃棄した。続いて、前記カラムを250mlのタンパク質を含まない結合バッファー(洗浄溶出液のタンパク質量<0.02A 280nm)で洗浄した。洗浄したカラムに溶出バッファーを添加して、1mlのフラクションを回収した。各フラクションのタンパク質量をBCA法によって測定した(PIERCE, Rockford, IL, USAのプロトコルに従って)。タンパク質量が0.8mg/mlより大きいフラクションを溜めた。タンパク質量の測定後、39mgの抗PATV17抗体0413-pAk及び103mgの抗PLAY17抗体0417-pAkを得た。
【0048】
(実施例4)
標識
以下の様に、抗PLAY17抗体0417-pAkを処理した:Pharmacia社のプロトコルに従い、NAP-5ゲル濾過カラム(Pharmacia)を介して、500μlのアフィニティー精製した産生された抗体を1mlの100mMリン酸カリウムバッファー(pH8.0)中で再緩衝化した。抗体溶液のタンパク質濃度は1.5mg/mlであった。
【0049】
化学発光マーカーを使用する標識のために、10μlのMA70-Akridinium-NHS-エステル(1mg/ml;Hoechst Behring)を67μlの抗体溶液に添加して、室温で15分間インキュベートした。次いで、423μlの1Mグリシンを添加して、10分間インキュベートした。Pharmacia社のプロトコルに従い、NAP-5ゲル濾過カラムを使用して、前記溶液を1mlの溶媒A(50mMリン酸カリウム、100mM NaCl、pH7.4)中で再緩衝化した。未結合のラベルの最終的な除外のために、ゲル濾過HPLCを実施した(カラム:Waters Protein Pak SW300)。前記サンプルを添加して、溶媒A、1ml/分の流速でクロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィーの流れを、標識の程度を測定するために280nm及び368nmの波長でUVメーターにおいて連続的にモニターした。標識化抗体の吸収比368/280nmは0.1であった。モノマー状の抗体を含有するフラクションを回収し(保持時間8から10分)、3mlの( 100mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、5%ウシ血清アルブミン、0.1%アジ化ナトリウム、pH7.4)で処理した。
【0050】
(実施例5)
カップリング
抗PATV17抗体0413-pAkを放射された5mlのポリスチロール管(Greiner, Germany)に固定化した。その方法のために、前記抗体溶液を、50mM Tris、100mM NaCl、pH7.8で6.6μg/mlのタンパク質濃度に希釈した。管毎に300μlの希釈タンパク質溶液をピペットで移した。これらを22℃で20時間インキュベートして、溶液を除去した。次いで、4.2mlの10mMリン酸ナトリウム、2%Karion FP、0.3%ウシ血清アルブミン、pH6.5の溶液を各管に添加した。20時間後に前記溶液を除去して、前記管を真空乾燥器で乾燥させた。
【0051】
(実施例6)
免疫アッセイ
以下のアッセイバッファーを使用した:100mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、5%ウシ血清アルブミン、0.1%非特異的ヒツジIgG、0.1%アジ化ナトリウム、pH7.4。
【0052】
健康な個体と各種の疾患/上述の疾患の患者、特に心臓疾患及び循環の疾患のEDTA-血漿のコペプチン濃度を定量した。
【0053】
標準的な物質として、バソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン前駆体の132-164位に相当する、化学的に合成されたペプチド(ペプチドPAY33)を使用した。前記標準物質を正常なウマの血清に希釈した(Sigma)。
【0054】
試験管中に、100μlの標準物質またはサンプル、並びに100μlのアッセイバッファーをピペットで移した。前記管を穏やかに回転させて、22℃で2時間インキュベートした。1mlの洗浄バッファー(0.1% Tween20)を使用して4回洗浄した後に、上清を廃棄した。次いで、100万RLU(相対光単位)のMA70で標識された抗体を含有する200μlのアッセイバッファーを添加して、22℃で穏やかに回転させて更に2時間インキュベートした。1mlの洗浄バッファー(0.1% Tween20)を使用して4回洗浄した後に、管に結合した化学発光物質をルミノメーターで定量した(Berthold, LB952T, basic reagents Brahms AG)。ソフトウェアMultiCalc(Spline Fit)を使用して、サンプルの濃度を測定した。
【0055】
(実施例7)
コペプチン濃度の測定
コペプチン免疫反応性という用語は、開発されたサンドイッチ免疫アッセイによって検出される基質の量を意味する。前記サンドイッチ免疫アッセイは、基質の検出のために、バソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン-前駆体の132-147位及び149-164位に対して産生された抗体を使用する。開発されたアッセイの典型的な標準曲線を図1に記載する。前記アッセイを使用して、50pg/mlを超える血漿または血清中のコペプチンの免疫反応性が定量的に測定されて良い。
【0056】
(実施例8)
健康な個体及び疾患状態のコペプチン免疫反応性の濃度
健康な個体の血清及び血漿、並びに敗血症、心筋梗塞、及び動脈の血圧の増大を含む各種の疾患に罹っている患者の血清及び血漿を分析した(図2)。コペプチン免疫反応性を測定した。健康な個体と比較すると、コペプチン免疫反応性は疾患状態で驚くほど増大した。健康な個体は約13pg/mlの中央値を示し、敗血症患者は約150pg/mlの中央値、心筋梗塞の患者では約129pg/mlの中央値、動脈の血圧の増大の患者では459pg/mlの中央値であった。
【0057】
(実施例9)
NYHAクラスIからIVの慢性的心不全(CHF)患者におけるコペプチン免疫反応性の濃度
全部で348のCHF患者(NYHAクラスIに25;NYHAクラスIIに124;NYHAクラスIIIに348;NYHAクラスIVに72;表1参照)の血清及び血漿サンプルにおいて、上述のアッセイを使用してコペプチンレベルを測定した。結果を図4に図示する。認められ得るように、異なるクラスのpg/mlにおけるコペプチン濃度の中央値は明らかな増大の傾向を示した。NYHAクラスIの患者の中央値は20.30pg/ml、クラスIIは33.25pg/ml、クラスIIIは49.60pg/ml、及びクラスIVは85.80pg/mlであると認められた(以下の表1の統計データ参照)。
【0058】
【表1】

【0059】
血漿中のコペプチンレベルとCHFの重度との密接な相関関係が存在するという発見は、コペプチンを、CHFの診断(ポジティブなまたはネガティブな診断)、CHFの経過及び進展のモニタリング、並びにCHF治療のモニタリング及び調節における使用のためのバイオマーカーの候補にする。更に、心不全の治療においてバソプレッシンレセプターアンタゴニストの有用性を評価する現在の試みに鑑みて[27]、心不全の患者の血清または血漿サンプル中のコペプチンの定量は、とりわけバソプレッシンレセプターアンタゴニストを使用する治療が有用であり得る患者を同定することが可能である。
【0060】
(実施例10)
コペプチン免疫反応性の安定性
コペプチン免疫反応性は血漿及び血清中において驚くほど安定であることを発見した(表2)。表2は、敗血症患者の血清及び血漿中の外来性の免疫反応性コペプチンのex vivoにおける安定性を示す。
【0061】
【表2】

【0062】
室温(RT)で2日間の貯蔵でさえ、免疫反応性における減少は検出されないであろう。
【0063】
かくして、コペプチン免疫反応性のex vivoにおける安定性はバソプレッシンと比較して驚くほど顕著に増大した。
【0064】
1. Singh Ranger G: The physiology and emerging roles of antidiuretic hormone. Int. J. Clin. Pract. 56: 777-782, 2002;
2. Landry DW, Oliver JA: The pathogenesis of vasodilatory shock. N. Engl. J. Med. 345: 588-595;
3. Coates LC, Birch NP: Differential cleavage of provasopressin by the major molecular forms of SPC3. J. Neurochem. 70: 1670-1678, 1998;
4. Wilson MF, Brackett DJ, Tompkins P, Benjamin B, Archer LT, Hinshaw LB: Elevated plasma vasopressin concentrations during endotoxin and E.coli shock. Adv. Shock. Res. 6: 15-26, 1981;
5. Landry DW, Levin HR, Gallant EM, Ashton RC, Jr., Seo S, D’Alessandro D, Oz MC, Oliver JA: Vasopressin deficiency contributes to the vasodilation of septic shock. Crit. Care Med. 30: 497-500;
6. Sharshar T, Carlier R, Blanchard A, Paillard M, Raphael JC, Gajdos P, Annane D: Depletion of neurohypophyseal content of vasopressin in septic shock. Crit Care Med 30: 497-500, 2002;
7. Sharshar T, Blanchard A, Paillard M, Raphael JC, Gajdos P, Annane D: Circulating vasopressin levels in septic shock. Crit Care Med 31: 1752-1758, 2003;
8. Forrest P: Vasopressin and shock. Anaesth Intensive Care 29: 463-472, 2001;
9. Vincent JL: Endocrine support in the critically ill. Crit Care Med 30: 702-703, 2002;
10. Holmes CL, Landry DW, Granton JT: Science Review: Vasopressin and the cardiovascular system part 2- clinical physiology. Crit Care 8: 15-23, 2004;
11. Lindner KH, Strohmenger HU, Ensinger H, Hetzel WD, Ahnefeld FW, Georgieff M: Stress hormone response during and after cardiopulmonary resuscitation. Anaesthiology 77: 662-668, 1992;
12. Wenzel V, Krismer AC, Arntz HR, Sitter H, Stadlbauer KH, Lindner KH: A comparison of vasopressin and epinephrine for out-of-hospital cardiopulmonary resuscitation. N Engl J Med 350: 105-113, 2004;
13. North WG: Gene regulation of vasopressin and vasopressin receptors in cancer. Exp Physiol 85 Spec No: 27 S-40 S, 2000;
14. Baumann G, Dingmann JF: Distribution, blood transport and degradation of antidiuretic hormone in man. J Clin Invest 57: 1109-1116, 1976;
15. Smyth DG, Massey DE: A new glycopeptide in pig, ox and sheep pituitary. Biochem Biophys Res Commun 87: 1006-1010, 1979;
16. de Bree FM, Burbach JP: Structure-function relationships of the vasopressin prohormone domains. Cell Mol Neurobiol 18: 173-191, 1998;
17. Holwerda DA: A glycopeptide from the posterior lobe of pituitaries. I. Isolation and characterization. Eur J Biochem 28: 334-339, 1972;
18. Nagy G, Mulchahey JJ, Smyth DG, Neill JD: The glycopeptide moiety of vasopressin-neurophysin precursor is neurohypophysial prolactin releasing factor. Biochem Biophys Pes Commun 151: 524-529, 1988;
19. Hyde JF, North WG, Ben-Jonathan N: The vasopressin-associated glycopeptide is not a prolactin-releasing factor: studies with lactating Brattleboro rats. Endocrinology 124: 35-40, 1989;
20. North, W. G. "Biosynthesis of vasopressin and neurophysins" in: D. Gash and G. Boer (eds.), Vasopressin:
Principles and Properties, pp. 175-209. New York: Plenum Press, 1987);
21. Chesney et al., J. Lab. Clin. Med. 1985, S. 106, abrufbar unter www.ncbi.nih.gov;
22. Kluge et al., Clinical Chemistry 1999, S. 98-100
23. Robertson et al., Journal of Clinical Investigation, Vol. 52, 1973, S. 2340-2352;
24. North, W. G. et al, "Immunohistochemical Evaluation of Vasopressin Expression in Breast Fibrocystic Disease and Ductal Carcinoma In Situ (DCTS)", Endocrine Pathology, 2003, Vol. 14, No.3, 2003, pages 257-262;
25. North W. G. et al . , "Vasopressin gene related products are markers of human breast cancer". Breast Cancer Research and Treatment, Vol. 34, 1995, pages 229-235;
26. North W.G. : "Neuropeptide Production by Small Cell Carcinoma: Vasopressin and Oxytocin as Plasma Markers of Disease", J Clin Endocrinol Metab, Vol. 73, 1991, No. 6, pages 1316-1320;
27. Thibonnier M., Vasopressin receptor antagonists in heart failure, Current Opinion in Pharmacology 2003, 3:683-687.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の流動体サンプル中のコペプチン、またはコペプチン免疫反応性を示すコペプチンの生理学的に生じるスプライスバリアント、フラグメント、若しくは翻訳後修飾された形態の量の測定、並びにコペプチンの測定された量またはコペプチン免疫反応性と、疾患の存在及び/または経過及び/または重度及び/または予後との関連付けによる、神経下垂体からのバソプレッシンの放出の非生理学的な変化に関連する、または誘導される疾患の診断及びモニタリングのためのin vitro診断方法。
【請求項2】
前記神経下垂体からのバソプレッシン放出の非生理学的変化に関連する、または誘導される疾患が、循環器疾患、特に慢性若しくはうっ血性心不全、心停止、心臓性ショック、心筋梗塞、急性心筋梗塞、高血圧症、心臓手術;肝硬変;肺疾患、腎多嚢胞病のような腎臓(腎)疾患;尿崩症;低ナトリウム症の形態、不適合抗利尿ホルモン分泌症候群の形態;出血、浮腫形成疾患、炎症性疾患、外傷、火傷、それらの感染性合併症及び敗血症、重度な敗血症、及び敗血症ショック;並びに中枢神経系(CNS)の疾患/病気からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コペプチン免疫反応性が、配列番号1に存在するアミノ酸配列を認識する第1の特異的な結合物、並びに配列番号2に存在するアミノ酸配列を認識する第2の特異的な結合物を使用するサンドイッチ免疫アッセイを使用して測定することが可能である免疫反応性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記特異的な結合物がポリクローナル及び/またはモノクローナル抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫アッセイが第1の固定化された特異的な結合物、及び検出可能なラベルを有する、または標識されたマーカー分子との反応によって選択的に標識されることが可能である、第2の可溶化された特異的な結合物を使用するヘテロジーニアス免疫アッセイである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫アッセイがホモジーニアス免疫アッセイである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的な流動体が血清、血漿、血液、または脳脊髄液(cerebrospinal fluid;(CSF))より選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患が敗血症、心筋梗塞、慢性心不全、及び動脈の血圧の増大より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
−配列番号1または配列番号2に存在する第1のアミノ酸配列を認識する、少なくとも1つの第1の抗体;及び
−配列番号1または配列番号2に存在する他の第2のアミノ酸配列を認識する、少なくとも1つの第2の抗体、
−前記第1または第2の抗体の少なくとも1つは検出可能なラベルを有する、
を含む、免疫アッセイのための試薬を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項10】
前記第1または第2の抗体の1つが表面上に固定化される、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
標準物質として使用され、且つ検定目的のためのペプチドを更に含む、請求項9または10に記載のキット。
【請求項12】
前記ペプチドが配列番号3に係るアミノ酸配列を有する、請求項11に記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−227095(P2011−227095A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−168242(P2011−168242)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2007−526400(P2007−526400)の分割
【原出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(501154389)ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・ゲーエムベーハー (29)
【Fターム(参考)】