説明

コポリアミドと、このコポリアミドを含む組成物と、その使用

【課題】コポリアミドと、このコポリアミドを含む組成物と、その使用。
【解決手段】下記一般式に対応する少なくとも2つの単位を含むコポリアミド:
A/(ジアミン).(Cw二酸)
〔ここで、ジアミンは脂環式ジアミン、wは二酸中の炭素数を表し、Aはアミノ酸またはラクタムから得られる単位および式(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位の中から選択され(ここで、xはジアミン中の炭素数を表し、yは二酸中の炭素数を表し、AおよびCw二酸の中から選択されるモノマーの少なくとも一種はその全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリアミドと、その使用、特に消費材のような種々の物品、例えば眼鏡フレーム、眼鏡レンズ、電気器具、電子部品、自動車部品、外科器具、包装材料またはスポーツ用品の製造での使用に関するものである。
本発明はさらに、このコポリアミドを含む組成物と、この組成物の使用、特に上記物品の全てまたは一部の製造での使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジアミンと二酸の重縮合で得られる透明な非晶質ポリアミドは公知である。このポリアミドは多くの機械特性、例えば衝撃強度、引張強度および/または圧縮強度、外部からの攻撃(例えば熱、薬品、紫外線等)に対する高い耐性および透明性を有する点で特に有利である。ポリアミドをベースにした物品、例えば眼鏡フレーム、種々のケース、自動車部品、外科器具、包装材料またはスポーツ用品が登場している。これらの物品の製造に適した透明な非晶質ポリアミドは本出願人の特許文献1(欧州特許第1,595,907号公報)および特許文献2(米国特許公開第2005/0272908号明細書)に記載されている。
【0003】
これらのポリアミドは少なくとも一種の脂環式ジアミンと少なくとも50mol%のテトラデカンジオン酸との重縮合で得られる。その他の追加の一つまたは複数のジカルボン酸は脂肪族、芳香族および脂環式ジカルボン酸の中から選択できる。このポリアミドは上記の全ての特性の他にかなり高いガラス転移温度Tg、一般に約130〜約160℃のガラス転移温度Tgも示す。
【0004】
しかし、近年の環境問題から、特に石油から得られる出発材料の供給が制限され、持続可能な開発にできるだけ対応した材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1,595,907号公報
【特許文献2】米国特許公開第2005/0272908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の機械特性の少なくとも一部を保持したまま、ASTM D6866規格に従った再生可能またはバイオ資源の出発材料から作られるポリアミドを提供することにある。
ポリアミドは特にコポリアミドである。
一般に、コポリアミドは少なくとも2つの異なる反復単位を含み、これらの異なる単位は2つの対応するモノマーまたはコモノマーから形成される。コポリアミドはアミノ酸、ラクタムおよび/またはジカルボン酸とジアミンの中から選択される2つ以上のモノマーまたはコモノマーから作られる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコポリアミドは少なくとも2つの単位(それぞれ「A」および「(ジアミン).(Cw二酸)」)を含み、下記の一般式に対応する(すなわち、少なくとも下記の一般式を含む):
A/(ジアミン).(Cw二酸)
〔ここで、
ジアミンは脂環式ジアミンであり、
wは二酸中の炭素数を表し、好ましくは4〜36であり、
Aはアミノ酸またはラクタムから得られる単位および式(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位の中から選択される(ここで、xはジアミン中の炭素数を表し、yは二酸中の炭素数を表し、xおよびyはそれぞれ好ましくは4〜36である)〕
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明では、AおよびCw二酸の中から選択される(コ)モノマーの少なくとも一種の全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能なまたはバイオ資源の出発材料から得られ、コポリアミド中の再生可能な有機炭素(バイオ資源炭素または「モダン(contemporain)」炭素ともよばれる)の含有率(%表記)(%Crenew.org)が厳密に0より大きい。ここで、%Crenew.orgは下記式(I)に対応する:
【0009】
【数1】

【0010】
(ここで、
i=ASTM D6866規格で100%再生可能な出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー
j=ASTM D6866規格で100%化石出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー、
k=ASTM D6866規格で一部が再生可能な出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー、
Fi、Fj、Fk=コポリアミド中の各モノマーi、j、kのモル分率、
Ci、Cj、Ck=コポリアミド中の各モノマーi、j、kの炭素数、
Ck’=一つまたは複数のモノマーk中のASTM D6866規格で再生可能な有機炭素原子数)
【0011】
種類(再生可能または石油)、すなわちモノマー(i、j、k)の各々の起源はASTM D6866規格の方法の一つに従って決定される。
【0012】
換言すれば、本発明のコポリアミドは下記(1)〜(3):
(1)アミノ酸とCw二酸、または
(2)ラクタムとCw二酸、または
(3)CxジアミンとCy、Cw二酸、
の少なくとも一種の(コ)モノマーの全てまたは一部がASTMD6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる。
【0013】
(コ)モノマーAは、全ての変形例でラクタム、アミノ酸または(Cxジアミン).(Cy二酸)で、脂環式ジアミンおよびCw二酸は式(I)ではモノマーi、j、kである。
【0014】
再生可能なまたはバイオ資源の出発材料は天然の動物または植物の資源であり、これらは人間の時間で短い期間に再構成することができる。特に、これら資源は消費速度以上の速さで再生可能である必要がある。
化石原料に由来する材料とは違って、再生可能またはバイオ資源の出発材料は14Cを含む。生物(動物または植物)から得られる全ての炭素のサンプルは3つの同位元素:12C(約98.892%)、13C(約1.108%)および14C(痕跡量:1.2×10-10%)の混合物である。生物組織の14C/12C比は大気のそれと同じである。環境中では14Cは主として2つの形:無機の形すなわち二酸化炭素(CO2)の形と、有機の形すなわち有機分子中に一体化された炭素の形で存在する。
【0015】
有機生物体中では炭素が環境と絶えず交換しているので、14C/12C比は新陳代謝によって一定に保たれる。大気中の14Cの比率は一定であるので、その比は生物中でも同じである。生きている間、生物は12Cと一緒に14Cも吸収し、14C/12C比の平均値は1.2×l0-12に等しい。
【0016】
12Cは安定しており、サンプル中の12C原子の数は経時的に一定である。一方、14Cは放射性であり(生物中の炭素の1グラム当たり毎分、13.6個の14C同位元素が崩壊)、サンプル中のこの原子の数は下記の式に従って時間(t)の関数で減少する:
n=no exp(−at)
(ここで、
noは開始時(生物、動植物の死)の14C原子の数であり、
nは時間tの終了後に残った14C原子の数であり、
aは崩壊定数(または放射性定数)で、これは半減期に関係する)
【0017】
半減期(または半減時間)とは所定の種の放射性核または不安定粒子の数が崩壊によって半分になるまでの期間であり、半減期T1/2は式aT1/2=ln2によって崩壊定数と関係する。14Cの半減期は5730年である。
14Cの半減期(T1/2)を考慮すると、14Cの含有率は再生可能な出発材料を抽出してから本発明のコポリアミドを製造し、さらにはその使用終了までほぼ一定である。
【0018】
本発明コポリアミドは少なくともその一部が再生可能またはバイオ資源の出発材料から得られる有機炭素で構成される。この含有率はASTM D6866規格に記載の方法の一つに従って14Cの含有量を測定することで証明できる。
このASTM D6866規格では再生可能な出発材料から得られる有機炭素(バイオ炭素とよばれる)の測定方法が3つ提案されている。本発明のコポリアミドに用いられる比率は、この規格に説明されているマススペクトル分析による方法または液体シンチレーションを用いたスペクトロメトリによる方法に従って測定するのが好ましい。
【0019】
従って、材料中の14Cの存在は、その量にかかわらず、その構成分子の起源を示し、すなわちこれらが化石原料ではなく、再生可能なまたはバイオ資源の出発材料に由来することを示す。ASTM D6866規格に記載の方法で行う測定によって、再生可能材料から得られる(コ)モノマーまたは出発材料と、化石原料から得られる(コ)モノマーまたは出発材料とを区別できる。これらの測定は試験の役目をする。
【0020】
従って、少なくとも一種の(コ)モノマーまたは出発材料を、(ASTM D6866規格で)一部再生可能な出発材料から得られるものに慎重に選択することによって、従来のポリアミド、例えば上記のポリアミドとほとんど同等な機械特性を有し、しかも、化石資源の使用を制限して上記の持続可能な発展の懸念の少なくとも一つに対応できるコポリアミドを得ることができる。
【0021】
例えば、これらの(コ)モノマーは再生可能資源、例えば植物油または天然多糖類、例えばでんぷんまたはセルロースから得ることができる。でんぷんは例えばトウモロコシまたはジャガイモから抽出できる。これらの(コ)モノマーすなわち出発材料は種々の変換プロセス、特に従来の化学プロセスおよび酵素を介したまたはバイオ発酵による変換プロセスで得ることができる。
【0022】
特定実施例では、本発明コポリアミドの%Crenew.org含有率は20%以上、有利には50%以上、好ましくは52%以上、さらに好ましくは54%以上である。
本発明コポリアミドの%Crenew.org含有率が50%以上である場合、そのコポリアミドはJBPAの「バイオマスPla」認定を得る基準を満たしている。この認定もやはりASTM D6866規格に基づいている。本発明のコポリアミドはさらにJORAの「バイオマスベースの」ラベルを付けることができる。
【0023】
本発明の別の対象は、上記コポリアミドの少なくとも一種を含む組成物にある。
本発明の別の対象は、単層構造物または多層構造物の少なくとも一つの層の構成での、上記コポリアミドの使用と、このコポリアミドを少なくとも一種含む組成物の使用にある。
【0024】
本発明の有利な実施例では、Aのモル含有率が20〜82%で、脂環式ジアミンのモル含有率が9〜40%で、Cw二酸のモル含有率も9〜40%である。
このようなモル含有率を選択することによって、大抵の場合、透明なコポリアミドが得られる。透明性はコポリアミドの溶融エンタルピーの値が0〜12J/gであることによって特徴付けられる。
【0025】
本発明の好ましい実施例では、Aのモル含有率が22〜64%で、脂環式ジアミンおよびCw二酸のモル含有率がそれぞれ18〜39%である。
上記の全てのパラグラフおよび以降の本明細書で用いられる「〜」という用語は両限界値を含む。
【0026】
本発明の第1の観点で、コポリアミドは少なくとも2つの単位を含み、式:A/(ジアミン).(Cw二酸)に対応する。
本発明のコポリアミドの式:A/(ジアミン).(Cw二酸)で、(ジアミン)は脂環式ジアミンを示す。
脂環式ジアミンとしては2つの環を含むものが好ましい。これらは特に下記一般式に対応する:
【化1】

【0027】
(ここで、
1〜R4は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基の中から選択される互いに同一でも異なっていてもよい基を表し、Xは単結合または下記から成る二価の基を表す:
炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有する脂肪族鎖、
炭素数6〜12の脂環式基、
炭素数6〜8の脂環式基で置換された炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有する脂肪族鎖、
シクロヘキシルまたはベンジル基を有する直鎖または分岐鎖のジアルキルから成る炭素数8〜12の基)
【0028】
さらに好ましくは、本発明コポリアミドの脂環式ジアミンはビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)の中から選択される。
【0029】
さらに好ましくは、透明なコポリアミドを得るために、脂環式ジアミンをビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、特にBASF社から商品名ラロミン(Laromin、登録商標)C260で市販のもの、および、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)の中から選択し、この際、PACMがシス/シス、シス/トランスおよびトランス/トランスPACMの中から選択される2つまたはそれ以上の立体異性体の混合物から形成される場合、40重量%以上のトランス/トランス立体異性体を含むPACMは除く。特に48〜50重量%のトランス/トランス立体異性体を含むPACM、例えばBASF社から商品名デシカン(Dicycane、登録商標)で市販のPACM48またはPACM50は除く。逆に、BMACMのように、約20重量%のトランス/トランス立体異性体を含むPACM20、特にAir Products社から商品名アミクレ(Amicure、登録商標)で市販のものが特に好ましい。
【0030】
同様に、式:A/(ジアミン).(Cw二酸)で、(Cw二酸)は式:HOOC−(CH2w-2−COOHの脂肪族二酸を示す。wは二酸中に存在する炭素原子の合計数を表し、wは当然、2より厳密に大きい整数である。
本発明コポリアミドの(ジアミン).(Cw二酸)単位の二酸の炭素数wは4〜36の整数であるのが好ましい。
【0031】
Cw二酸はASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られ、コハク酸(w=4)、アジピン酸(w=6)、ヘプタンジオン酸(w=7)、アゼライン酸(w=9)、セバシン酸(w=10)、ウンデカンジオン酸(w=11)、ドデカンジオン酸(w=12)、ブラシル酸(w=13)、テトラデカンジオン酸(w=14)、ヘキサデカンジオン酸(w=16)、オクタデカンジオン酸(w=18)、オクタデセンジオン酸(w=18)、エイコサンジオン酸(w=20)、ドコサンジオン酸(w=22)および36個の炭素を含むダイマー脂肪酸の中から選択するのが好ましい。
【0032】
CyおよびCu二酸に関して上記および以下の本明細書で挙げたダイマー脂肪酸は特に特許文献3(欧州特許第0,471,566号公報)に記載の長い炭化水素鎖を含む不飽和一塩基脂肪酸のオリゴマー化または重合で得られる。
【特許文献3】欧州特許第0,471,566号公報
【0033】
脂環式ジアミンと(Cw二酸)のモル比は化学量論比であるのが好ましい。
本発明の第1変形例では、一般式:A/(ジアミン).(Cw二酸)中の(コ)モノマーまたは単位Aはアミノ酸から得られる単位である。このアミノ酸は再生可能な出発材料から、さらにはASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるのが好ましい。
このアミノ酸は9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、12−アミノドデカン酸、11−アミノウンデカン酸およびこれらの誘導体、特に、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸の中から選択するのがさらに好ましい。
【0034】
一つのアミノ酸の代わりに、2つ、3つ(またはそれ以上)のアミノ酸の混合物を考えることもできる。しかし、この場合、生成したコポリアミドはそれぞれ3つ、4つ(またはそれ以上)の単位を含む。3つの異なる単位を含むコポリアミドの特定の場合を以下、特に本発明の第2の観点で説明する。
式:A/(ジアミン).(Cw二酸)中のコモノマーまたは(ジアミン).(Cw二酸)単位は、脂環式ジアミンとCw二酸との可能な任意の組合せ、特に上記脂環式ジアミンと二酸との任意の組合せで構成できる。
【0035】
BMACMをBで表し、炭素数wのCw二酸をwで表した場合、特に下記モノマーの使用が考えられる:BMACMを脂環式ジアミンとした場合、B.4、B.6、B.9、B.7、B.10、B.11、B.12、B.13、B.14、B.16、B.18、B.20、B.22およびB.36。
11−アミノウンデカン酸から得られる単位は番号11で表し、ジアミンPACMはPで表す。考えられる組合せの中で、下記式のコポリアミドの中から選択される一つに対応するコポリアミドは特に顕著な利点を有する:11/B.10、11/P.10、11/B.12、12/B.12、11/P.12、12/P.12、11/B.14、11/P.14、11/B.18および11/P.18、好ましくは11/B.10および11/P.10。
【0036】
本発明の第2変形例では、一般式:A/(ジアミン).(Cw二酸)中の(コ)モノマーまたは単位Aは式:(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位である。ここで、xはジアミン中に存在する炭素原子の数を表し、yは二酸に存在する炭素原子の数を表す。
【0037】
Cxジアミンは脂肪族、脂環式またはアリール芳香族ジアミンにすることができる。
同様に、Cy二酸も脂肪族、脂環式または芳香族二酸にすることができる。
当然、(Cxジアミン).(Cy二酸)および(Ctジアミン).(Cw二酸)コモノマーまたは単位が厳密に同じである特定の場合は除く(Cxジアミンが脂環式ジアミンである場合に生じる可能性がある)。
xおよびyの数は当然、整数であり、xは0より厳密に大きい整数であり、yは2より厳密に大きい整数である。xおよびyはそれぞれ4〜36であるのが好ましい。
【0038】
CxジアミンおよびCy二酸の(コ)モノマーの少なくとも一種はASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるのが有利である。
CxジアミンおよびCy二酸はいずれもASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるのが好ましい。
Cxジアミンは脂環式ジアミンにすることができる。(ジアミン).(Cw二酸)コモノマーまたは単位のジアミンに関して脂環式ジアミンとして挙げたものを参照されたい。
【0039】
Cxジアミンはアリール芳香族ジアミンにすることができる。アリール芳香族ジアミンとしては、1,3−キシリレンジアミン(メタ−キシリレンジアミンまたはMXDAともよばれる)、1,4−キシリレンジアミン(パラ−キシリレンジアミンまたはPXDA)およびこれらの混合物が挙げられる。
ぞれぞれ、Cxジアミンは式:H2N−(CH2x−NH2の脂肪族ジアミンであり、Cy二酸は式:HOOC−(CH2y-2−COOHの脂肪族二酸であるのが有利である。
【0040】
Cxジアミンはブタンジアミン(x=4)、ペンタンジアミン(x=5)、ヘキサンジアミン(x=6)、ヘプタンジアミン(x=7)、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、エイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)および脂肪酸から得られるジアミン(x=36)の中から選択されるのが好ましい。
【0041】
(Cxジアミン).(Cy二酸)コモノマーまたは単位のCy二酸の好ましい選択は(ジアミン).(Cw二酸)コモノマーまたは単位のCw二酸の好ましい二酸で説明したものを参照されたい。
従って、x=4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、16、18、20、22および36であるジアミンおよびy=4、6、7、9、10、11、12、13、14、16、18、20、22である二酸およびy=36のダイマー脂肪酸が挙げられる。
【0042】
本発明の第2変形例の(Cxジアミン).(Cy二酸)/(ジアミン).(Cw二酸)コポリアミドの考えられる組合せの中で、特に6.10/B.10、6.10/B.12、6.10/B.14、6.10/B.18、10.10/B.10、10.10/B.12、10.10/B.14、10.10/B.18、10.12/B.10、10.12/B.12、10.12/B.14、10.12/B.18、6.10/P.10、6.10/P.12、6.10/P.14、6.10/P.18、10.10/P.10、10.10/P.12、10.10/P.14、10.10/P.18、10.12/P.10、10.12/P.12、10.12/P.14および10.12/P.18,好ましくは6.10/B.10、10.10/B.10、10.12/B.10、6.10/P.10、10.10/P.10および10.12/P.10の中から選択される式の一つに対応するコポリアミドが挙げられる。
【0043】
(Cxジアミン)と(Cy二酸)のモル比は化学量論比であるのが好ましい。
本発明の第3変形例では、一般式A/(ジアミン).(Cw二酸)中の(コ)モノマーまたは単位Aをラクタムから得る。
ラクタムとしては特に、カプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。
このラクタムは再生可能な出発材料、しかもASTM D6866規格に従ったものから得られるのが好ましい。
しかし、現在のところ、ASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるラクタムはラクタム11以外に存在しないが、再生可能な出発材料から得られるラクタムが今後製造できるようになることを除外するものではないので、この第3変形例も本明細書の対象の一部を成す。
【0044】
Aがアミノ酸から得られる本発明の第1変形例で説明したように、二種以上のラクタムの混合物を考えることができ、さらに、このラクタムを少なくとも一種のアミノ酸および/または少なくとも一種の二酸および一種のジアミンとの混合物とすることもできる。
【0045】
本発明の第2の観点では、コポリアミドは少なくとも一つの第3の単位をさらに含み、第1の観点で説明した本発明の一般式の後に「(Ctジアミン).(Cu二酸)」を付けたもので表される。少なくとも3つの単位を含む場合には、本発明のコポリアミドは下記一般式に対応する(すなわち、少なくとも下記一般式を含む):
A/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)
(ここで、tはジアミンの炭素原子の数を表し、uは二酸の炭素原子の数を表し、それぞれ4〜36である)
【0046】
本発明の第2の観点の時点で、第1の観点の式の本説明における「少なくとも」という用語は本発明のコポリアミドが明示した式を含むことを意味し、この式はそれぞれ2つの単位を含み、且つ、この2つの単位を含む3つの単位を含むが、2つの単位または3つの単位の式はさらに別の異なる単位をさらに含むコポリアミドの式に含めることができる。すなわち、本発明のコポリアミドは4つ、5つまたは6つ等の異なる単位を有することができる。ただし、これらは少なくとも2つのA/(ジアミン).(Cw二酸)単位または3つのA/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)単位を含む。
【0047】
本発明では、A、Cw二酸、CtジアミンおよびCu二酸の中から選択されるモノマーの少なくとも一種の全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られ、上記式(I)で求められる%Crenew.orgが厳密に0より大きくなるようにする。
換言すれば、本発明のコポリアミドでは、下記:
(1)アミノ酸、CwおよびCu二酸、およびCtジアミン、または、
(2)ラクタム、CwおよびCu二酸、およびCtジアミン、または、
(3)CxおよびCtジアミン、さらにCy、CwおよびCu二酸
の少なくとも一つの(コ)モノマーの全てまたは一部がASTMD6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる。
全ての変形例、(ラクタム、アミノ酸または(Cxジアミン).(Cy二酸))の(コ)モノマーA、脂環式ジアミンおよびCwおよびCu二酸は式(I)ではモノマーi、j、kである。
【0048】
本発明の有利な実施例のモル含有率は以下の通り:
Aのモル含有率は20〜82%、有利には22〜64%で、
脂環式ジアミンとCtジアミンのモル含有率の合計は9〜40%、有利には18〜39%で、
CwおよびCu二酸のモル含有率の合計は9〜40%、有利には18〜39%である。
本発明の第2の観点のコポリアミドの式:A/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)では上記のA(コ)モノマーまたは単位、(ジアミン).(Cw二酸)(コ)モノマーまたは単位で説明したことを参照されたい。
【0049】
この式で(Ctジアミン)はジアミンを示し、tはジアミン中に存在する炭素原子の合計数を表し、tは当然、0より厳密に大きい整数である。
同様に、この式中の(Cu二酸)は二酸を示し、uは二酸中に存在する炭素原子の合計数を表し、uは当然、2より厳密に大きい整数である。
【0050】
本発明コポリアミドの(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位のジアミンの炭素数tおよび二酸の炭素数uはそれぞれ4〜36であるのが好ましい。
Cu二酸はASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるのが好ましい。
Cu二酸は脂肪族、脂環式または芳香族二酸にすることができる。
Cu二酸は式:HOOC−(CH2u-2−COOHの脂肪族二酸であるのが有利である。
【0051】
(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位のCu二酸の好ましい選択は(Cxジアミン).(Cy二酸)コモノマーまたは単位のCy二酸または(ジアミン).(Cw二酸)のCw二酸の好ましい二酸で説明したものを参照されたい。
本発明の有利な実施例では、CtジアミンはASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる。
Ctジアミンは、Cxジアミンで説明したように、脂肪族、脂環式またはアリール芳香族ジアミンにすることができる。
当然、(Cxジアミン).(Cy二酸)、(ジアミン).(Cw二酸)および(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位が厳密に同じである特定の場合は除く。
特に、第4の変形例では、(Ctジアミン)はH2N−(CH2t−NH2の脂肪族ジアミンを示す。ここで、tはジアミン中に存在する炭素原子の数を表し、tは当然、0より厳密に大きい整数である。
【0052】
(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位のCt脂肪族ジアミンの好ましい選択は(Cxジアミン).(Cy二酸)コモノマーまたは単位のCxジアミンの好ましいジアミンで説明したものを参照されたい。
(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位のCtジアミンおよびCu二酸の好ましい選択は、特にこれらの両方がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる場合に、(Cxジアミン).(Cy二酸)コモノマーまたは単位の好ましいジアミンおよび二酸で説明したものを参照されたい。
当然、(Cxジアミン).(Cy二酸)および(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位が厳密に同じである特定の場合は除く。
【0053】
第4変形例のA/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)コポリアミドの考えられる組合せの中で、特に11/B.10/6.10、11/P.10/6.10、11/B.10/10.10、11/P.10/10.10、6.10/B.10/10.10、6.10/P.10/10.10、6.10/B.12/10.10、6.10/P.12/10.10、6.10/B.12/10.12、6.10/P.12/10.12、6.12/B.12/10.12および6.12/P.12/10.12、好ましくは6.12/B.12/10.12、6.12/P.12/10.12、11/B.10/10.10および11/P.10/10.10の中から選択される式の一つに対応するコポリアミドが選択される。
【0054】
第5の有利な変形例では、(Ctジアミン)は脂環式ジアミン、例えば式A/(ジアミン).(Cw二酸)中の(ジアミン)で説明したものを示す。
Ct脂環式ジアミンはビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)の中から選択されるのがさらに好ましい。
【0055】
BMACMおよび約20重量%のトランス/トランス立体異性体を含むPACM20を選択するのがさらに好ましい。
既に述べたように、(ジアミン).(Cw二酸)および(Ctジアミン).(Cu二酸)コモノマーまたは単位が厳密に同じである特定の場合は除く。
【0056】
第5変形例のA/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)コポリアミドの考えられる組合せの中で、特に11/B.10/P.10、11/B.12/P.12、11/B.14/P.14、12/B.10/P.10、12/B.12/P.12、12/B.14/P.14、6.10/B.10/P.10、6.10/B.12/P.12、10.10/B.10/P.10、10.10/B.12/P.12、10.12/P.10/B.10および10.12/P.12/B.12、好ましくは11/B.10/P.10および11/B.12/P.12の中から選択される式の一つに対応するコポリアミドが選択される。
【0057】
(Ctジアミン)と(Cu二酸)のモル比は化学量論比であるのが好ましい。
本発明の別の対象は、コモノマーまたは単位Aがアミノ酸またはラクタムから得られる単位および式(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位の中から選択される本発明の第1および第2の観点による少なくとも一種のコポリアミドを含む組成物にある。
【0058】
本発明の組成物は少なくとも一種の第2のポリマーをさらに含むことができる。
この第2のポリマーは半結晶ポリアミド、非晶質ポリアミド、半結晶コポリアミド、非晶質コポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択できる。
この第2のポリマーの全てまたは一部は、ASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られるのが好ましい。
この第2のポリマーは特にポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)および多糖類(後者は変性および/または配合されていてもよい)の中から選択することができる。
【0059】
本発明の組成物は少なくとも一種の添加剤をさらに含むことができる。
この添加剤は特に、充填剤、繊維、染料、安定剤、特に紫外線安定剤、可塑剤、衝撃改質剤、界面活性剤、顔料、増白剤、酸化防止剤、天然ワックスおよびこれらの混合物の中から選択できる。
特に、充填剤としてはシリカ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛、酸化チタンまたはガラスビーズが挙げられる。
この添加剤は再生可能起源であり、さらにはASTM D6866規格に従っているのが好ましい。
【0060】
本明細書のコモノマーまたは出発材料(アミノ酸、ジアミン、二酸)はN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸、ダイマー脂肪酸および脂環式ジアミンを除いて、直鎖であるのが効果的であるが、これらの全てまたは一部を分岐鎖、脂環式、部分的に不飽和、芳香族またはアリール芳香族にすることを妨げるものではない。
18ジカルボン酸は飽和オクタデカンジオン酸またはそれ自体が不飽和のオクタデセンジオン酸にすることができることは注目すべきである。
【0061】
本発明コポリアミドまたは組成物は構造物の構成で使用できる。
この構造物は、本発明のコポリアミドのみまたは本発明の組成物のみから形成される場合は単層構造物にすることができる。
また、この構造物は少なくとも2つの層を含む場合および構造物を形成する種々の層の少なくとも一つが本発明のコポリアミドまたは組成物から形成される場合は多層構造物にすることができる。
【0062】
構造物は単層であれ多層であれ、繊維、フィルム、パイプ、中空体または射出部品の形にすることができる。
本発明のコポリアミドまたは本発明の組成物は、レンズ、特に眼鏡レンズまたは眼鏡フレームの製造で使用するのが有利である。
また、本発明コポリアミドまたは本発明組成物は電気器具、電子部品、例えば電話、コンピュータまたはマルチメディアシステムの全てまたは一部の部品でも使用できる。
【0063】
本発明のコポリアミドおよび組成物は従来の通常の方法に従って製造できる。特に下記特許文献を参照されたい。
【特許文献4】ドイツ国特許第4318047号公報
【特許文献5】米国特許第6,143,862号明細書
【0064】
式A/(ジアミン).(Cw二酸)に対応する本発明のコポリアミドの製造方法は、A、脂環式ジアミンおよびCw二酸の中から選択される(コ)モノマーの全てまたは一部の重縮合の少なくとも一つの段階を含み、AおよびCw二酸の中から選択される(コ)モノマーの少なくとも一つは、全てまたは一部がASTM D6866に従った再生可能なまたはバイオ資源の出発材料から得られる。
【0065】
式A/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)に対応する本発明のコポリアミドの製造方法は、A、脂環式ジアミン、CtジアミンおよびCw二酸およびCu二酸の中から選択される(コ)モノマーの全てまたは一部の重縮合の少なくとも一つの段階を含み、A、Cw二酸、CtジアミンおよびCu二酸の中から選択される(コ)モノマーの少なくとも一つは、全てまたは一部がASTM D6866に従った再生可能な出発材料から得られる。
【0066】
当然、上記の2つまたは3つの異なる単位を含むコポリアミドの製造方法は4つ以上の異なる単位を含むコポリアミドの製造法に適合できる。
これら全ての製造方法は、A、Cw二酸、場合によってはCtジアミンおよびCu二酸の中から選択される(コ)モノマーの少なくとも一つの全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる少なくとも一つの段階をさらに含むことができる。(コ)モノマーを得るこの段階はいわゆる重縮合段階の前に行われる。
以下、本発明の実施例を説明するが、以下の実施例は例示のためのものであって、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0067】
各種コポリアミドの製造(試験A〜S)
試験A〜Sの全てまたは一部で用いられるモノマーは以下の通り:
(1)11−アミノウンデカン酸([表1]ではA11で表示)、アルケマ社、CAS 2432-99-7、
(2)ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン ([表1]ではMACM), BASF社から商品名ラロミン(Laromin、登録商標) C260で市販、CAS 6864-37-5、
(3)パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン ([表1]ではPACM20)、21重量%のトランス/トランス異性体を含む、Air Products社から商品名アミクル(Amicure、登録商標)で市販、CAS 1761-71-3,
(4)パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン ([表1]ではPACM50)、50重量%のトランス/トランス異性体を含む、フルカ(Fluka)社から市販、CAS 1761-71-3、
(5)ドデカンジオン酸 ([表1]ではDC12), インベンタ(Invista)社から市販、CAS 693
(6)セバシン酸([表1]ではDC10)、サンケミ(Sun Chemie)社から市販、CAS 111
(7)デカンジアミン([表1]ではDA10)、サンケミ(Sun Chemie)社から市販、CAS 646、
(8)ヘキサメチレンジアミンまたはヘキサンジアミン([表1]ではHDMA)、ロディア(Rhodia)社から市販、 CAS 124-09-4
(9)メタ−キシレンジアミン([表1]ではMXDA)、三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical)社から市販, CAS 1477-55-0,
(10)ラウリルラクタム、アルケマ社から市販、CAS 947-04-6。
【0068】
各ホモポリアミドおよびコポリアミドを、[表1]に記載の特定の組成(実施例A〜S)に従って、2つ、3つまたは4つのモノマーから複数の添加剤との混合物として調製した。
【0069】
【表1】

【0070】
以下、実施例A〜Sの全てに適合できる製造方法を実施例Aに関して詳細に説明する。
下記の添加剤の重量含有率は全ての実施例A〜Sに適用可能である。
実施例Aの組成物は下記モノマーおよび添加剤〔安息香酸、次亜リン酸、イルガノックス(Irganox、登録商標)1098(チバ(Ciba)社から市販の酸化防止剤)、脱イオン水〕を下記重量含有率で含む:
7.35 kgのアミノウンデカン酸 (36.51 mol)
12.3 kgのデカンジオン酸 (60.82 mol)
14.58 kgのMACM (61.16 mol)
72.17 g の安息香酸 (0.59 mol)
35 gのイルガノックス(Irganox、登録商標)1098
8.75 gの次亜リン酸 (H3PO2)
525 gの蒸留水。
【0071】
この組成物を92lのオートクレーブに導入し、閉じた後、撹拌しながら260℃まで加熱する。自己生成圧力下に2時間維持した後に圧力を1.5時間かけて大気圧に戻す。次いで、反応器を窒素フラッシングして280℃で約1時間脱気する。
得られたホモポリアミドまたはコポリアミドを次いでレースの形に押し出し、周囲温度の水浴で冷却し、造粒する。
得られた顆粒を続いて真空下に80℃で12時間乾燥し、含水率を0.1%以下にする。
【0072】
実施例A〜Sのホモポリアミドおよびコポリアミドの評価
ガラス転移温度(Tg)および溶融エンタルピー(J/g)を第2回目の加熱時に加熱および冷却の速度を20℃/分にしてISO 11357規格に従ってDSCで測定した。
得られた測定値、すなわち、実施例A〜Sの各ホモポリアミドまたはコポリアミドごとに計算した%Crenew.org含有率を[表1]に示した。
実施例A〜EおよびH〜Sのコポリアミドは、%Crenew.org含有率が実際には厳密に0より大きいという意味で、本発明によるものである。
また、実施例A〜C、H〜LおよびO〜Sは透明である。
さらに、本発明による実施例A〜EおよびH〜Sでは、ガラス転移温度を50℃〜134℃に変えられるので、Tgの基準が重要な場合、当業者は所望のTgに応じて組成物の配合を調節できる。
当然、この説明は、実施例A〜C、H〜LおよびO〜Sの組成物にも当てはまり、これらの組成物は本発明によるもので、透明で且つTg値は60℃〜134℃である。
本発明のコポリアミドおよび組成物から得られる物品は、高温、例えば60℃以上の温度での熱機械強度に優れ、一般に、110℃以上のTg値での用途が感がられる。
【0073】
本発明のコポリアミドの配合物間の色の比較(実施例T〜V)
実施例T〜Vのコポリアミドの組成:
実施例T
8.05 kgのラウリルラクタム(40.80 mol)
12.37 kg のデカンジオン酸(61.16 mol)
14.58 kgのBMACM (61.16 mol)
72.17 gの安息香酸(0.59 mol)
35 g のイルガノックス(Irganox、登録商標)1098
3.5 kgの蒸留水
【0074】
実施例U:
3.56 kgのデカンジアミン(20.66 mol)
16.69 kgのデカンジオン酸(82.53 mol)
14.75 kgのBMACM (61.88 mol)
72.17 gの安息香酸 (0.59 mol)
35 gのイルガノックス(Irganox、登録商標)1098
525 gの蒸留水
【0075】
実施例V:
8.16 kg のアミノウンデカン酸(40.51 mol)
12.32 kgのデカンジオン酸(60.92 mol)
14.52 kgのBMACM (60.92 mol)
72.17 gの安息香酸(0.59 mol)
35 gのイルガノックス(Irganox、登録商標)1098
525 gの蒸留水。
【0076】
実施例UおよびVは先の組成物UおよびVを用いて実施例Aで述べた一般的な方法に従って製造する。
実施例Tの場合に用いる方法は以下の通り:
92lのオートクレーブに8.05kgのラウリルラクタム(40.80mol)、12.37kgのデカンジオン酸(61.16mol)、14.58kgのBMACM(61.16mol)、72.17gの安息香酸(0.59mol)、35gのイルガノックス(Irganox、登録商標)1098および3.5kgの蒸留水を入れる。次いでオートクレーブを閉じ、撹拌しながら280℃に加熱する。自己生成圧力下に3時間維持した後に、圧力を1.5時間かけて大気圧に戻す。次いで、反応器を窒素フラッシングによって280℃で約1時間脱気する。
本発明の実施例T、UおよびVにそれぞれ対応する下記コポリアミドが得られる:
(1)PA10.10/B.10(54%の再生可能な有機C)
(2)PA12/B.10 (30%の再生可能な有機C)
(3)PA11/B.10 (54%の再生可能な有機C)
YI(黄変指数)をASTM E313規格に従って厚さ2mmの板で測定し、[表2]に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
黄変度を最高から最低までの段階で格付けすると以下の通り:
12/B.10>10.10/B.10>11/B.10
結論:実施例T〜Vの中ではPA11/B.10の黄変指数が最も低い。
【0079】
エタノール中の耐応力亀裂性の測定:
耐応力亀裂性を求めるに射出成形IFC試験片に様々な歪み(2.99%以下)を与え、ISO 22088規格に従って周囲温度のエタノール中に24時間浸漬する。[表2]に示す歪みは、試験片の破損が生じる歪みに対応する。この測定は特にポリアミドの表面処理(クリーニングワイプス、エタノールを含む溶剤)に耐える能力を示す。
【0080】
【表2】

【0081】
上記歪み条件下では、PA11/B.10が破損しないことが分かる。PA11/B.10(本発明の実施例A)の耐応力亀裂性はエタノール中のホモポリアミドPAB.14およびPAB.12(比較例)より良い。
【0082】
上記と同じ試験片の屈折率(n)の測定:
装置はクルース(Kr≡ochss)社のアッペ(Abbe)屈折計を用いる。プリズムと被試験片との接触を良好にするために、プリズムとサンプルとの間にブロモナフタレンを用いる。
(1)B.14 n=1.507
(2)B.12 n=1.510
(3)11/B.10 n=1.511
【0083】
PA11/B.10の屈折率はB.12に等しく、PAB.14より大きい。
光学レンズおよび眼鏡レンズの用途には、本発明のPA11/B.10を用いるのが有利であることは明らかである。すなわち、PA11/B.10は透明性に加えて、屈折率が1.511で、黄変指数が極めて低く、エタノール中の耐応力亀裂性が優れている。
【0084】
脂環式ジアミンおよびラクタムを除いて、本明細書に挙げたアミノ酸、ジアミンおよび二酸は、ASTM D6866規格の趣旨の範囲内で再生可能な出発材料から得られることは知られている。
【0085】
ASTM D6866規格に従った再生可能な(バイオ資源の)出発材料から始める合成経路で今後開発されるアミノ酸、ラクタム、ジアミンおよび/または二酸、特に脂環式ジアミンから得ることができるコポリアミドも当然、本明細書には含まれるということは理解できよう。
さらに、2種または3種の単位を含むコポリアミドを記載したが、3種を超える単位、例えば4種または5種の単位を含むコポリアミドも考えることができ、これらの複数の単位はそれぞれアミノ酸、ラクタムまたは式:(ジアミン).(二酸)に対応する単位から得られる。当然、各単位の組合せは厳密に異なり、上記式(I)によって求められる%Crenew.org含有率は厳密に0より大きい。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
A/(ジアミン).(Cw二酸)
〔ここで、
ジアミンは脂環式ジアミンであり、
wは二酸中の炭素数を表し、好ましくは4〜36であり、
Aはアミノ酸またはラクタムから得られる単位および式(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位の中から選択され(ここで、xはジアミン中の炭素数を表し、yは二酸中の炭素数を表し、xおよびyはそれぞれ好ましくは4〜36である)〕、
に対応する少なくとも2つの単位を含むコポリアミドであって、
AおよびCw二酸の中から選択されるモノマーの少なくとも一種はその全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られ、コポリアミド中の再生可能な有機炭素の含有率(%表記)は下記式(I)に対応する(%Crenew.org)が厳密に0より大きいことを特徴とするコポリアミド:
【数1】

(ここで、
i=ASTM D6866規格に従って100%再生可能である出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー、
j=ASTM D6866規格に従って100%化石出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー、
k=ASTM D6866規格に従って一部が再生可能な出発材料から得られる一つまたは複数のモノマー、
Fi、Fj、Fk=コポリアミド中の各モノマーi、j、kのモル分率、
Ci、Cj、Ck=コポリアミド中の各モノマーi、j、kの炭素数、
Ck’=モノマーk中のASTM D6866規格に従って再生可能な有機炭素の原子数)
【請求項2】
%Crenew.org含有率が20%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは52%以上、さらに好ましくは54%以上である請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
Aのモル含有率が20〜82%、有利には22〜64%で、
脂環式ジアミンおよびCw二酸のモル含有率がそれぞれ9〜40%、有利には18〜39%である請求項1または2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
脂環式ジアミンがビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
Cw二酸がコハク酸(w=4)、アジピン酸(w=6)、ヘプタンジオン酸(w=7)、アゼライン酸(w=9)、セバシン酸(w=10)、ウンデカンジオン酸(w=11)、ドデカンジオン酸(w=12)、ブラシル酸(w=13)、テトラデカンジオン酸(w=14)、ヘキサデカンジオン酸(w=16)、オクタデカンジオン酸(w=18)、オクタデセンジオン酸(w=18)、エイコサンジオン酸(w=20)、ドコサンジオン酸(w=22)および36個の炭素を含むダイマー脂肪酸の中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項6】
Aがアミノ酸から得られる単位で、アミノ酸が9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、12−アミノドデカン酸、11−アミノウンデカン酸およびこれらの誘導体、特に、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸の中から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
11/B.10、11/P.10、11/B.12、12/B.12、11/P.12、12/P.12、11/B.14、11/P.14、11/B.18および11/P.18、好ましくは11/B.10および11/P.10の中から選択される式の一つに対応する請求項1〜6のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項8】
Aが式(Cxジアミン).(Cy二酸)に対応する単位で、Cxジアミンがブタンジアミン(x=4)、ペンタンジアミン(x=5)、ヘキサンジアミン(x=6)、ヘプタンジアミン(x=7)、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、エイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)および脂肪酸から得られるジアミン(x=36)の中から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項9】
Cy二酸がコハク酸(y=4)、アジピン酸(y=6)、ヘプタンジオン酸(y=7)、アゼライン酸(y=9)、セバシン酸(y=10)、ウンデカンジオン酸(y=11)、ドデカンジオン酸(y=12)、ブラシル酸(y=13)、テトラデカンジオン酸(y=14)、ヘキサデカンジオン酸(y=16)、オクタデカンジオン酸(y=18)、オクタデセンジオン酸(y=18)、エイコサンジオン酸(y=20)、ドコサンジオン酸(y=22)および36個の炭素を含むダイマー脂肪酸の中から選択される請求項1〜5および8のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項10】
6.10/B.10、6.10/B.12、6.10/B.14、6.10/B.18、10.10/B.10、10.10/B.12、10.10/B.14、10.10/B.18、10.12/B.10、10.12/B.12、10.12/B.14、10.12/B.18、6.10/P.10、6.10/P.12、6.10/P.14、6.10/P.18、10.10/P.10、10.10/P.12、10.10/P.14、10.10/P.18、10.12/P.10、10.12/P.12、10.12/P.14および10.12/P.18、好ましくは6.10/B.10、10.10/B.10、10.12/B.10、6.10/P.10、10.10/P.10および10.12/P.10の中から選択される式の一つに対応する請求項1〜5、8および9のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項11】
少なくとも一つの第3の単位をさらに含む下記一般式に対応する請求項1〜10のいずれか一項に記載のコポリアミド:
A/(ジアミン).(Cw二酸)/(Ctジアミン).(Cu二酸)
〔ここで、
tはジアミン中の炭素数を表し、uは二酸中の炭素数を表し、tおよびuは好ましくはそれぞれ4〜36であり、
A、Cw二酸、CtジアミンおよびCu二酸の中から選択されるモノマーの少なくとも一種はその全てまたは一部がASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる〕
【請求項12】
Aのモル含有率が20〜82%、有利には22〜64%で、
脂環式ジアミンおよびCtジアミンのモル含有率の合計と、CwおよびCu二酸のモル含有率の合計がそれぞれ9〜40%、有利には18〜39%である請求項11に記載のコポリアミド。
【請求項13】
Ctジアミンがビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)の中から選択される脂環式ジアミンである請求項11または12に記載のコポリアミド。
【請求項14】
Cu二酸がコハク酸(u=4)、アジピン酸(u=6)、ヘプタンジオン酸(u=7)、アゼライン酸(u=9)、セバシン酸(u=10)、ウンデカンジオン酸(u=11)、ドデカンジオン酸(u=12)、ブラシル酸(u=13)、テトラデカンジオン酸(u=14)、ヘキサデカンジオン酸(u=16)、オクタデカンジオン酸(u=18)、オクタデセンジオン酸(u=18)、エイコサンジオン酸(u=20)、ドコサンジオン酸(u=22)および36の炭素を含むダイマー脂肪酸の中から選択される請求項11〜13のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項15】
11/B.10/P.10、11/B.12/P.12、11/B.14/P.14、12/B.10/P.10、12/B.12/P.12、12/B.14/P.14、6.10/B.10/P.10、6.10/B.12/P.12、10.10/B.10/P.10、10.10/B.12/P.12、10.12/P.10/B.10および10.12/P.12/B.12、好ましくは11/B.10/P.10および11/B.12/P.12の中から選択される式の一つに対応する請求項11〜14のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のコポリアミドを少なくとも一つ含む組成物。
【請求項17】
半結晶または非晶質ポリアミド、半結晶または非晶質コポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択される第2のポリマーを少なくとも一つさらに含む請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
第2のポリマーの全てまたは一部が、ASTM D6866規格に従った再生可能な出発材料から得られる請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも一種の添加剤、好ましくは天然およびASTM D6866規格に従った再生可能起源の添加剤をさらに含み、この添加剤が充填剤、繊維、染料、安定剤、特に紫外線安定剤、可塑剤、衝撃改質剤、界面活性剤、顔料、増白剤、酸化防止剤、天然ワックスおよびこれらの混合物の中から選択される請求項16〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のコポリアミドまたは請求項16〜19のいずれか一項に記載の組成物の、単層構造物または多層構造物の少なくとも一つの層の構成での使用。
【請求項21】
構造物が繊維、フィルム、パイプ、中空体または射出部品の形をしている請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のコポリアミドまたは請求項16〜19のいずれか一項に記載の組成物の、レンズ、眼鏡レンズまたは眼鏡フレームの製造での使用。

【公表番号】特表2011−524929(P2011−524929A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514107(P2011−514107)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051185
【国際公開番号】WO2009/153534
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】