説明

コマンドロガー装置

【課題】遊技機の試験等に用いられるコマンドロガー装置において、動作モードを状況に応じて自動的な切り替えることができ、表示アプリケーションのテストにおける異常の再現性をより容易に確認することができるコマンドロガー装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コマンドロガー装置100は、上位基板210と下位基板220との間に接続される。コマンドロガー装置100は、コマンドロギングモードにおいて、上位基板210から受信したコマンドをそのまま下位基板220に送信し、コマンド再生モードにおいて、上位基板210から受信したコマンドの代わりに、制御装置40が再生したコマンドを下位基板220に送信する。制御装置40は、所定の条件に応じて、コマンドロギングモードとコマンド再生モードとを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコマンドロガー装置に関し、とくに、遊技機において、コマンドを送信する上位基板と、コマンドを受信するとともにこれに従って動作する下位基板との間に接続されるコマンドロガー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機またはパチスロ機等の遊技機には、複数の基板を含むものがある。これらの基板には、他の基板の動作を制御する基板(上位基板)と、上位基板の制御に従って演出等を行う基板(下位基板)とがある。このような遊技機の例は、特許文献1に記載される。特許文献1の段落[0025]〜[0029]および図6等には、遊技機が複数の基板を備え、主制御基板およびサブ統合制御基板が他の基板の動作を制御する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−304878号公報
【0004】
このような遊技機の開発作業において、基板の動作の試験や解析のためにコマンドロガー装置が用いられる場合がある。コマンドロガー装置は、上位基板と下位基板との間に接続され、上位基板が送信したコマンドを受信して記録したり、これを再生して下位基板に送信したりする。
ここで、コマンドを受信して記録する「ロギング状態」と、コマンドを再生して下位基板に送信する「コマンド送信状態」とは、物理的なスイッチを手動で操作することにより切り替えられる。コマンドロガー装置がロギング状態にあるときに、下位基板の問題(リセット等の異常)が発生した場合には、コマンドロガー装置の使用者がスイッチを操作してコマンドロガー装置をコマンド再生状態に切り替え、その問題の再現テストを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコマンドロガー装置では、ロギング状態とコマンド送信状態との切り替えを手動で行う必要があり、状況に応じた自動的な切り替えができないという問題があった。このため、ロギング状態において問題が発生した場合等に、その問題の再現テストを自動で行うことができなかった。また、表示アプリケーションのテストにおける異常の再現性を確認することが困難であった。
【0006】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、動作モードを状況に応じて自動的な切り替えることができるコマンドロガー装置を提供することを目的とする。また、表示アプリケーションのテストにおける異常の再現性をより容易に確認することができるコマンドロガー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るコマンドロガー装置は、遊技機において、コマンドを送信する上位基板と、コマンドを受信するとともにこれに従って動作する下位基板との間に接続されるコマンドロガー装置であって、コマンドロガー装置は、コマンドを記録および再生する制御装置を備え、コマンドロガー装置は、コマンドロギングモードおよびコマンド再生モードで動作可能であり、コマンドロギングモードにおいて、コマンドロガー装置は、上位基板から受信したコマンドをそのまま下位基板に送信し、コマンド再生モードにおいて、コマンドロガー装置は、上位基板から受信したコマンドを下位基板に送信せず、制御装置が再生したコマンドを下位基板に送信し、制御装置は、所定の条件に応じて、コマンドロガー装置をコマンドロギングモードで動作させ、またはコマンド再生モードで動作させる。
【0008】
コマンドロガー装置は、下位基板の異常を検出する異常検出手段を備え、コマンドロガー装置がコマンドロギングモードで動作しているときに、異常検出手段が下位基板の異常を検出した場合には、コマンドロガー装置はコマンド再生モードでの動作を開始してもよい。
コマンドロガー装置は、上位基板からコマンドを受信するための入力端子と、下位基板にコマンドを送信するための出力端子と、入力端子および出力端子を電気的に導通させまたは遮断するリレー手段とを備え、コマンドロガー装置がコマンド再生モードで動作している場合には、リレー手段は、入力端子および出力端子を遮断することにより、上位基板から受信したコマンドの下位基板への送信を遮断し、コマンドロガー装置がコマンドロギングモードで動作している場合、または、コマンドロガー装置の電源がオフである場合には、リレー手段が入力端子および出力端子を導通させることにより、上位基板から受信したコマンドを下位基板に送信してもよい。
コマンドロギングモードにおいて、コマンドロガー装置は、上位基板から受信したコマンドを記録してもよい。
リレー手段はノーマリークロウズタイプのスイッチを含んでもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るコマンドロガー装置は、所定の条件に応じて動作モードを自動的に切り替えることができ、また、表示アプリケーションのテストにおける異常の再現性をより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るコマンドロガー装置およびこれに関連する構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のコマンドロガー装置の内部構成およびこれに接続される機器の構成を概略的に示す図である。
【図3】図1のコマンドロガー装置の状態に応じた動作を表す図である。
【図4】実施の形態1の変形例に係る構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、実施の形態1に係るコマンドロガー装置100およびこれに関連する構成を概略的に示す。コマンドロガー装置100は、遊技機200の開発、動作の試験および解析等に用いられる。遊技機200は、たとえばパチンコ機であるが、パチスロ機であってもよく、複数の基板を含むものであれば他の遊技機であってもよい。
【0012】
遊技機200は複数の基板を含む。図1の例では、遊技機200全体の動作を制御する上位基板210と、上位基板210によって制御され演出等を実行する下位基板220とを含む。上位基板210は、下位基板220の動作を制御する電子的なコマンドを作成する機能と、このコマンドを出力として外部(たとえば下位基板220)に送信する機能とを有するものであり、たとえばメイン基板または統括基板と呼ばれるものである。また、下位基板220は、外部(たとえば上位基板210)から送信されるコマンドを入力として受信する機能と、このコマンドに従って動作する機能とを有する。上位基板210および下位基板220は、いずれも半導体素子を含む制御装置(図示せず)を備え、それぞれの制御装置によって制御される。
【0013】
下位基板220は、たとえば演出制御基板と呼ばれるものであり、画像を表示するLCD(液晶表示装置)230と、音声を出力するスピーカー240と、点灯/消灯可能なランプ250とが接続される。下位基板220は、上位基板210からのコマンドに応じて、LCD230、スピーカー240、およびランプ250の動作を制御することにより、遊技機200を用いる遊戯者に対する演出の処理を実行する。下位基板220は、その記憶手段に表示アプリケーションのプログラムを格納しており、演出の一部はこのプログラムを実行することにより行われる。
【0014】
このような上位基板210と下位基板220との間に、本発明に係るコマンドロガー装置100が接続される。ここで、コマンドロガー装置100は、上位基板210に対しては下位基板220が接続されるべきインタフェースに接続され、また、下位基板220に対しては上位基板210が接続されるべきインタフェースに接続される。すなわち、遊技機200が製品として出荷される際、または利用者が遊技機200を用いて実際に遊戯を行う際には、上位基板210および下位基板220は直接的に接続されるものであるが、図1に示す構成はこれとは異なり、上位基板210および下位基板220は直接的には接続されず、これらの間にコマンドロガー装置100が介在している。
【0015】
コマンドロガー装置100は、コマンド入力インタフェース10およびコマンド出力インタフェース20を備え、これらを介してコマンドを送受信する。すなわち、コマンド入力インタフェース10は、コマンドを受信するための入力端子として上位基板210に接続され、コマンドロガー装置100はコマンド入力インタフェース10を介し、入力として上位基板210からのコマンドを受信する。また、コマンド出力インタフェース20は、コマンドを送信するための出力端子として下位基板220に接続され、コマンドロガー装置100はコマンド出力インタフェース20を介し、出力として下位基板220にコマンドを送信する。コマンド入力インタフェース10およびコマンド出力インタフェース20は、たとえばいずれも10ピンコネクタとして構成することができる。
【0016】
なお、コマンドロガー装置100は、下位基板220と同じ構成の受信回路を備えており、下位基板220と同様にしてコマンドを受信する。
また、コマンドロガー装置100は、上位基板210から受信したコマンドを記録する記録媒体として、SDカード110を備える。なお、この記録媒体は、情報を電磁的に記録できるものであればSDカード以外の記録媒体であってもよい。
【0017】
このような構成により、コマンドロガー装置100は、上位基板210から送信されるコマンドを受信する機能と、受信したコマンドをSDカード110に記録する機能と、受信したコマンドを下位基板220に送信する機能とを有する。また、コマンドロガー装置100は、SDカード110に記録されたコマンドを再生して下位基板220に送信する機能も有する。
【0018】
コマンドの具体例およびコマンドロガー装置100が記録するデータの具体例は、次のようなものである。
各コマンドは2バイトのデータによって表され、具体例は「80 00」、または「80 01」、あるいは「80 02」(いずれも16進表記)である。これらのコマンドは、演出の種類および継続時間を表す情報を含む。たとえば、下位基板220は、コマンド「80 00」を受信すると、これに応じて、特定の種類の演出(たとえば、LCD230に特定の画像を表示するとともにスピーカー240から特定の音声を出力し、さらにランプ250を特定のパターンで点灯・消灯させるという演出)を1秒間だけ実行する。同様に、コマンド「80 01」および「80 02」を受信すると、同じ演出をそれぞれ2秒間および3秒間だけ実行する。
【0019】
コマンドロガー装置100は、これらのコマンドを、そのコマンドを受信した時刻と関連付けて記録する。時刻は、たとえばコマンドロガー装置100の電源がオンとなった時刻を基準として表すことができる。時刻の単位はたとえばミリ秒である。
例として、0秒目にコマンド「80 00」を受信した場合、コマンドロガー装置100は、「00000000, 80 00」というデータをSDカード110に記録する。同様に、1秒目にコマンド「80 01」を受信した場合、コマンドロガー装置100は、「00001000, 80 01」というデータをSDカード110に記録する。
このようにして、0秒目、1秒目、3秒目にそれぞれコマンド「80 00」「80 01」「80 02」を受信した場合には、コマンドロガー装置100がSDカード110に記録するデータは次のように表される。
00000000, 80 00,
00001000, 80 01,
00003000, 80 02
なお、これらのコマンドの形式および記録されるデータの形式は例示であり、これとは異なる形式が用いられてもよい。
【0020】
図2は、図1のコマンドロガー装置100の内部構成およびこれに接続される機器の構成を概略的に示す。
コマンドロガー装置100は、コマンド入力インタフェース10とコマンド出力インタフェース20とを接続するフォトモスリレー30を備える。このフォトモスリレー30は、ノーマリークロウズ(Normally Closed)タイプすなわち常時閉タイプのスイッチであり、制御信号(たとえば所定の電圧信号)が入力されない場合すなわちオフの状態では導通状態であるが、制御信号が入力された場合すなわちオンの状態では遮断状態となる。このフォトモスリレー30は、フォトモスリレー30の外部から入力される制御信号に応じてオンまたはオフに切り替えられ、オフすなわち導通状態の場合にはコマンド入力インタフェース10およびコマンド出力インタフェース20を互いに電気的に導通させ、オンすなわち遮断状態の場合にはこれらを互いに遮断する。
なお、フォトモスリレー30は、この例ではフォトモスを含むリレーであるが、ノーマリークロウズタイプのスイッチとして構成することができるリレーであれば他のリレーであってもよい。
【0021】
また、コマンドロガー装置100は、コマンドロガー装置100全体の動作を制御する制御装置40を備える。制御装置40はコマンド入力インタフェース10とコマンド出力インタフェース20との間に接続され、フォトモスリレー30と制御装置40とは並列に配置される。制御装置40は、たとえばCPU(中央処理装置)を含むコンピュータとしての構成を有する。また、制御装置40の一部はCPLDによって構成されてもよい。
【0022】
制御装置40は、上位基板210からコマンド入力インタフェース10を介して入力されたコマンドを、SDカードインタフェース81(詳細は後述)を介してSDカード110に記録する機能を有する。また、制御装置40は、SDカード110に記録されたコマンドを、SDカードインタフェース81を介して読み出し、読み出したコマンドを再生し、再生したコマンドをコマンド出力インタフェース20を介して下位基板220に出力する機能を有する。
【0023】
また、コマンドロガー装置100は、電源スイッチ50および電源回路51を備える。電源回路51は、制御装置40を含むコマンドロガー装置100全体の電源を供給する。電源スイッチ50は手動でまたは外部からの信号の入力に応じてオンまたはオフに切り替えられ、これに応じて電源回路51の状態が切り替わることによって、コマンドロガー装置100の電源がオンまたはオフに制御される。電源回路51への電力の供給は、たとえばコマンドロガー装置100に接続されるACアダプタ(図示せず)を介してなされる。または、電源回路51への電力の供給は、他の部分からなされてもよく、たとえばコマンド入力インタフェース10と共通のハーネスを介して上位基板210からなされてもよい。
【0024】
また、コマンドロガー装置100は、表示装置として、LCD(液晶表示装置)60を備える。LCD60は、制御装置40のGPIOポート(汎用入出力ポート)の一つに接続され、制御装置40の制御に応じて、コマンドロガー装置100の電源状態、動作モード、受信コマンド、送信コマンド、内部変数等を表示する。
また、コマンドロガー装置100はブザー70を備える。ブザー70は、制御装置40のGPIOポートの一つに接続され、制御装置40の制御に応じてブザー音を出力する。
【0025】
コマンドロガー装置100は、各種インタフェースとして、SDカードインタフェース81、USBシリアルコントロールインタフェース82、カラーセンサーインタフェース83、その他入出力インタフェース84、USB機器接続用インタフェース85、コンフィグ用インタフェース86および汎用インタフェース87を備える。
【0026】
SDカードインタフェース81は、たとえばSDカードスロットとして構成することができ、これにSDカード110が接続される(または装着される、あるいは挿入される)ことにより、制御装置40とSDカード110との間で、SPIモードを使用したデータの入出力が可能となる。
【0027】
USBシリアルコントロールインタフェース82は、たとえばFT2232Dモジュールを含むUSBデバイスコネクタとして構成することができる。このUSBシリアルコントロールインタフェース82は、TXD端子およびRXD端子を含み、JTAG規格に従って動作する。また、USBシリアルコントロールインタフェース82は、PC(パーソナルコンピュータ)120のUSBポート(図示せず)に接続され、PC120との通信に用いられる。さらに、PC120からコマンドロガー装置100への電源の供給に用いられてもよい。PC120はこのUSBシリアルコントロールインタフェース82を介して制御装置40の動作を制御し、これによってコマンドロガー装置100の動作を制御する。遊技機200の開発者は、PC120を操作することによって、コマンドロガー装置100を用いた遊技機200のデバッグ作業や、コマンドロガー装置100のコンフィグ作業(設定変更作業)を行うことができる。
【0028】
なお、PC120はSDカードスロット等のSDカードインタフェースを備えるものであってもよい。この場合、PC120と制御装置40との間のデータの受け渡しは、SDカードインタフェース81に代えて、またはこれに加えて、SDカード110を介して行われてもよい。このような構成においては、PC120がSDカード110に記録したコマンドを制御装置40が再生してもよい。
【0029】
カラーセンサーインタフェース83は、デジタルカラーセンサー130との通信を可能とするインタフェースであり、たとえば制御装置40のGPIOポートの一つに接続された6ピンコネクタとして構成することができる。デジタルカラーセンサー130としてはたとえばS9706を用いることができる。S9706は、RGBの3色にそれぞれ対応するフォトダイオードを備え、光の各成分を検出してこれに応じた信号を出力する。
【0030】
このデジタルカラーセンサー130は、下位基板220の異常を検出する異常検出手段として機能し、光によって表される下位基板220の状態、たとえばLCD230の表示内容を検出するために用いられる。ここで、下位基板220がLCD230に表示する内容は、必ずしも実機と同一の内容でなくともよく、デジタルカラーセンサー130を用いた試験のために特別に設計された内容であってもよい。たとえば、下位基板220の動作状態を色によって表し、その色をLCD230の全面に表示させてもよい。具体例として、下位基板220が正常に動作している場合にはLCD230の全面を白色とし、下位基板220において何らかの異常(または、「不具合」と呼ばれる状態)が検出された場合にはLCD230の全面を黒色としてもよい。このようにすると、デジタルカラーセンサー130は、下位基板220の動作状態をより容易かつ確実に検出することができる。なお、「異常」である場合の例としては、下位基板220においてリセットが発生した場合や、その他下位基板220が設計とは異なる挙動を示した場合が挙げられる。
【0031】
その他入出力インタフェース84は、上記以外の用途のインタフェースをまとめたものであり、たとえば制御装置40のGPIOポートの一つに接続された6ピンコネクタとして構成することができる。その他入出力インタフェース84は、たとえば、遊技機200に用いられる玉数のカウンタの入力、制御装置40に対するリセット信号の入力、LEDに対する出力、等に用いられる。
【0032】
USB機器接続用インタフェース85は、たとえばUSBホストコネクタとして構成することができる。このUSB機器接続用インタフェース85は、UDH規格に従って動作し、USB入力デバイス140との通信に用いられる。遊技機200の開発者は、USB入力デバイス140を操作して、制御装置40に対し、制御信号その他の信号を入力することができる。USB入力デバイス140としては、市販のコントローラ、たとえばジョイパッド等を用いることができる。
【0033】
コンフィグ用インタフェース86は、JTAG機器150との通信を可能にするインタフェースであり、たとえば14ピンコネクタとして構成することができる。JTAG機器150は、コンフィグ用に、すなわちコマンドロガー装置100のコンフィグ作業(設定変更作業)を行うために用いられる。
汎用インタフェース87は、将来の拡張に備えて設けられるインタフェースである。
【0034】
以上のように構成されるコマンドロガー装置100の動作を、以下に説明する。
図3は、コマンドロガー装置100の状態に応じた動作を表す。図3(a)は、コマンドロガー装置100の電源がオフである場合に対応する。図3(b)は、コマンドロガー装置100の電源がオンであり、コマンドロギングモードで動作している場合に対応する。この状態を「ロギング状態」と呼ぶ。図3(c)は、コマンドロガー装置100の電源がオンであり、コマンド再生モードで動作している場合に対応する。この状態を「コマンド送信状態」と呼ぶ。コマンドロガー装置100は、電源がオンである場合には、制御装置40の制御に従って、図3(b)に示すコマンドロギングモードまたは図3(c)に示すコマンド再生モードのいずれかで動作可能である。
【0035】
図3(a)に示すように、コマンドロガー装置100の電源がオフである場合には、制御装置40にも電力が供給されず、制御装置40は動作しない。また、この場合、フォトモスリレー30に制御信号が入力されないため、フォトモスリレー30はオフすなわち導通状態であり、コマンド入力インタフェース10およびコマンド出力インタフェース20を導通させている。したがって、コマンドロガー装置100は、コマンド入力インタフェース10を介して上位基板210から受信したコマンドを、そのままコマンド出力インタフェース20を介して下位基板220に送信することになる。すなわち、この場合、上位基板210から送信されたコマンドは、あたかもコマンドロガー装置100が接続されていないかのように、透過的に下位基板220に送信される。
【0036】
このように、コマンドロガー装置100の電源がオフであっても、上位基板210と下位基板220とのコマンドの送受信は遮断されない。よって、コマンドロガー装置100を用いない動作試験をする場合であっても、コマンドロガー装置100を取り外す必要がなく、上位基板210と下位基板220との間にこれを接続した状態のままで実行することができる。したがって、コマンドロガー装置100を用いる試験と用いない試験とを繰り返し行う場合であっても、コマンドロガー装置100の電源を切り替えるだけで対応可能であり、コマンドロガー装置100の接続変更作業は不要である。
【0037】
図3(b)に示すように、コマンドロガー装置100がコマンドロギングモードで動作している場合には、制御装置40は、コマンド入力インタフェース10から入力されるコマンドを受信し、これをSDカードインタフェース81に対して出力する。これによって、コマンドロガー装置100は、上位基板210から受信したコマンドを、SDカード110に記録する。
また、コマンドロギングモードでは、制御装置40はフォトモスリレー30に制御信号を入力せず、フォトモスリレー30はオフすなわち導通状態である。したがって、電源がオフである場合(図3(a))と同様に、コマンドロガー装置100は、コマンド入力インタフェース10を介して上位基板210から受信したコマンドを、そのままコマンド出力インタフェース20を介して下位基板220に送信する。
【0038】
図3(c)に示すように、コマンドロガー装置100がコマンド再生モードで動作している場合には、制御装置40は、コマンドを再生し、再生されたコマンドをコマンド出力インタフェース20に出力する。これによって、コマンドロガー装置100は、制御装置40が再生したコマンドを下位基板220に送信する。
ここで、コマンドの再生は、たとえばSDカード110に記録されたコマンドを順次読み出し、それぞれ関連付けられた時刻にそのコマンドを再生することによって行われる。このようにすることで、コマンドロガー装置100は、過去に上位基板210によって送信されたコマンド群を、順序および時間的関係を保ったまま再現することができる。
【0039】
また、コマンド再生モードでは、制御装置40はフォトモスリレー30に制御信号を入力し、フォトモスリレー30をオンすなわち遮断状態とする。これによって、コマンドロギングモードとは異なり、上位基板210から受信したコマンドの下位基板220への送信が遮断され、コマンドロガー装置100は、上位基板210から受信したコマンドを下位基板220に送信しないことになる。このため、制御装置40が再生したコマンドは、上位基板210からのコマンドと衝突することなく、下位基板220に送信される。
【0040】
以上のように、実施の形態1に係るコマンドロガー装置100は、電源がオンである場合には通常のコマンドロガー装置としてコマンドロギングモードおよびコマンド再生モードにおける機能を実行し、一方で、電源がオフである場合には上位基板210から受信したコマンドをそのまま下位基板220に透過させる。このため、コマンドロガー装置100を繰り返し着脱する接続変更作業が不要となり、試験に要する時間および労力を低減することができる。
【0041】
なお、コマンドロガー装置100におけるコマンドロギングモードとコマンド再生モードとの切り替えは、PC120からの入力、デジタルカラーセンサー130からの入力、USB入力デバイス140からの入力等に応じ、制御装置40が実行する。この切り替えの条件は、たとえば遊技機200の挙動を基準として決定することができる。このように、制御装置40は、所定の条件に応じて、コマンドロガー装置100をコマンドロギングモードで動作させ、またはコマンド再生モードで動作させる。
【0042】
具体的な動作の例は、次のようになる。まず、下位基板220が正常に動作している場合には、制御装置40はコマンドロガー装置100をコマンドロギングモードに維持する。コマンドロガー装置100がコマンドロギングモードで動作しているときに、デジタルカラーセンサー130が下位基板220の異常(リセットの発生等)を検出した場合には、制御装置40はコマンドロガー装置100をコマンド再生モードに切り替える。すなわち、コマンドロガー装置100はコマンド再生モードでの動作を開始することになる。このような制御装置40の動作は、プログラムによって規定される。このプログラムは、たとえば制御装置40の記憶手段に格納することができ、制御装置40は、このプログラムを実行することにより、本明細書に記載される機能を実現する。
【0043】
デジタルカラーセンサー130による異常の検出はLCD230の表示内容に応じてなされ、その検出の基準は当業者であれば適宜設計することができる。たとえば、制御装置40は、デジタルカラーセンサー130がある閾値以上の強度の白色光を検出していれば下位基板220が正常に動作していると判断することができ、そうでなければ下位基板220に異常が発生したと判断することができる。
【0044】
また、制御装置40は、コマンドロガー装置100をコマンド再生モードに切り替えた後、SDカード110に記録されたコマンド列に応じてコマンドを再生し、これによって異常の再現テストを行う。ここで、異常の再現テストを行う際の具体的なコマンドの再生方法(たとえば、再生されるコマンドの選択および再生するタイミング)については、当業者であれば適宜設計することができる。
【0045】
このように、制御装置40は、下位基板220の異常等の所定の条件に応じてコマンドロガー装置100の動作モードを自動的に切り替えるので、コマンドロガー装置100は、下位基板220の異常等の再現テストを自動で行うことができる。
制御装置40による制御はソフトウエアに従って実行されるものであるため、機器の付け替え作業や物理的なスイッチの操作に頼ることなくコマンドロギングモードからコマンド再生モードへの切り替えを行うことができ、自動的にバグの再現テストを行うことが可能となる。
このため、とくに、下位基板220の表示アプリケーションのテストにおける異常の再現性をより容易に確認することができる。
【0046】
上述の実施の形態1では、コマンドの再生は、SDカード110から読み出したコマンドに応じて行われる。変形例として、コマンドの再生は、PC120から入力されたコマンドに応じて行ってもよい。この場合、制御装置40は、コマンドと、そのコマンドが再生されるべき時刻とをPC120から受信し、指示された時刻に応じたタイミングでコマンドを再生してもよい。このようにすると、上位基板210から実際に送信されたコマンド列のみならず、人為的に作り出したコマンド列を下位基板220に送信するためのコマンド送信機として、コマンドロガー装置100を機能させることができる。
【0047】
上述の実施の形態1では、フォトモスリレー30はノーマリークロウズタイプのリレーであるが、これは他のタイプのリレーであってもよい。ノーマリークロウズタイプでないリレーを用いる場合には、コマンドロガー装置100の電源がオフである状態ではコマンド入力インタフェース10とコマンド出力インタフェース20との接続が遮断されるのでコマンドを透過させることができないが、コマンドロガー装置100の電源が常にオンであれば、実施の形態1と同様にモードの切り替えを行うことができる。
【0048】
実施の形態1では、コマンドロガー装置100は1台のみ設けられる。変形例として、図4に示すように複数台のコマンドロガー装置100を設けてそれぞれ異なる遊技機200に接続してもよく、また、これらのコマンドロガー装置100をすべて1台のPC120に接続してもよい。このようにすると、1台のPC120で複数のコマンドロガー装置100および遊技機200を効率的に制御することができる。
【0049】
実施の形態1では、下位基板220はLCD230、スピーカー240およびランプ250を制御して演出を行う基板であるが、下位基板は上位基板210の制御に従って動作するものであればよく、他の機能を持つ基板が用いられてもよい。
【0050】
実施の形態1では、遊技機200は2つの基板からなり、これらの基板のうち制御する側のものを上位基板210とし、制御される側のものを下位基板220としている。変形例として、遊技機は3つ以上の基板を含むものであってもよい。この場合、上位基板・下位基板の関係は相対的なものであってもよい。
たとえば、遊技機は、最上位の基板と、その下位に接続される中間位の基板と、さらにその下位に接続される最下位の基板を含んでもよい。この場合、コマンドロガー装置100を最上位の基板と中間位の基板との間に接続した場合には、最上位の基板が図1の上位基板210に相当する基板となり、中間位の基板が図1の下位基板220に相当する基板となるが、コマンドロガー装置100を中間位の基板と最下位の基板との間に接続した場合には、中間位の基板が図1の上位基板210に相当する基板となり、最下位の基板が図1の下位基板220に相当する基板となる。
【符号の説明】
【0051】
10 コマンド入力インタフェース(入力端子)、20 コマンド出力インタフェース(出力端子)、30 フォトモスリレー(リレー手段)、40 制御装置、100 コマンドロガー装置、130 デジタルカラーセンサー(異常検出手段)、200 遊技機、210 上位基板、220 下位基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機において、コマンドを送信する上位基板と、前記コマンドを受信するとともにこれに従って動作する下位基板との間に接続されるコマンドロガー装置であって、
前記コマンドロガー装置は、前記コマンドを記録および再生する制御装置を備え、
前記コマンドロガー装置は、コマンドロギングモードおよびコマンド再生モードで動作可能であり、
前記コマンドロギングモードにおいて、前記コマンドロガー装置は、前記上位基板から受信した前記コマンドをそのまま前記下位基板に送信し、
前記コマンド再生モードにおいて、前記コマンドロガー装置は、前記上位基板から受信した前記コマンドを前記下位基板に送信せず、前記制御装置が再生した前記コマンドを前記下位基板に送信し、
前記制御装置は、所定の条件に応じて、前記コマンドロガー装置を前記コマンドロギングモードで動作させ、または前記コマンド再生モードで動作させる
コマンドロガー装置。
【請求項2】
前記コマンドロガー装置は、前記下位基板の異常を検出する異常検出手段を備え、
前記コマンドロガー装置が前記コマンドロギングモードで動作しているときに、前記異常検出手段が前記下位基板の前記異常を検出した場合には、前記コマンドロガー装置は前記コマンド再生モードでの動作を開始する
請求項1に記載のコマンドロガー装置。
【請求項3】
前記コマンドロガー装置は、
前記上位基板から前記コマンドを受信するための入力端子と、
前記下位基板に前記コマンドを送信するための出力端子と、
前記入力端子および前記出力端子を電気的に導通させまたは遮断するリレー手段と
を備え、
前記コマンドロガー装置が前記コマンド再生モードで動作している場合には、前記リレー手段は、前記入力端子および前記出力端子を遮断することにより、前記上位基板から受信した前記コマンドの前記下位基板への送信を遮断し、
前記コマンドロガー装置が前記コマンドロギングモードで動作している場合、または、前記コマンドロガー装置の電源がオフである場合には、前記リレー手段が前記入力端子および前記出力端子を導通させることにより、前記上位基板から受信した前記コマンドを前記下位基板に送信する
請求項1または2に記載のコマンドロガー装置。
【請求項4】
前記コマンドロギングモードにおいて、前記コマンドロガー装置は、前記上位基板から受信した前記コマンドを記録する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコマンドロガー装置。
【請求項5】
前記リレー手段はノーマリークロウズタイプのスイッチを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコマンドロガー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−120719(P2011−120719A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280344(P2009−280344)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(598073394)株式会社マイクロキャビン (1)
【Fターム(参考)】