説明

コマンド対応付け支援システム、コマンド対応付け支援方法およびプログラム

【課題】2つのコマンド群間における各コマンドの対応付けを容易に短時間で行えるように支援するコマンド対応付け支援システムを提供する。
【解決手段】情報抽出手段71は、第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する。コマンド類似度計算手段73は、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算し、パラメータ類似度計算手段74は、パラメータ関連情報の類似度を計算する。コマンド対応付け手段75は、総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマンド対応付け支援システム、コマンド対応付け支援方法、およびコマンド対応付け支援プログラムに関し、特に、2つのコマンド群間の各コマンドの対応付けを行えるように支援するコマンド対応付け支援システム、コマンド対応付け支援方法、およびコマンド対応付け支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ITシステムの構築や運用管理において、様々なコマンド群やプログラムが利用されている。例えば、ネットワークシステムの構築においては、ネットワーク機器の諸設定を登録するための機器設定コマンド群を利用し、また、Webアプリケーション等の開発においては、開発環境に応じたプログラミング言語の関数やシェルコマンド群を利用している。このような環境においては、例えば、利用機種やOS(Operating System)のバージョンが変わることで、各種コマンド群も変わることが多く、各種コマンド群に関する知識の浅いシステム開発者やネットワーク構築者は、効率良く業務を遂行するために各種コマンド群を熟知することが求められる。しかし、全ての機種やシステムのコマンド群を覚えることは困難である。そのため、コマンドの共通化等に関連する技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、ISDN(Integrated Services Digital Network )交換機の運用において、運用コマンドが異なる複数の電子交換機を、種々の電子交換機に対応する共通コマンドで集中保守できるようした運用コマンド統合システムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムでは、管理対象の各電子交換機の運用コマンドと共通コマンドとの関係を記憶するメモリを備え、そのメモリを参照して、入力された共通コマンドを、宛先の電子交換機のコマンドに変換する。管理者は、共通コマンドの機能のみを理解しておくだけで、例えば、メーカや機種が異なる種々の電子交換機を運用できる。
【0004】
特許文献2には、企業間の電子商取引等において、企業によってスキーマが異なる電子伝票等の構造化文書を時間やコストを抑えて流通させるために、構造化文書間のスキーマを変換する変換ルールを作成する装置が記載されている。特許文献2に記載された装置は、例えば、企業Aのスキーマに従った構造化文書を企業Bのスキーマに従った構造化文書に変換するためのルールを作成する場合、企業A,Bの構造化文書のスキーマを取得し、各スキーマで使用されているタグ名を抽出し、タグ名が一致している場合には、一致するタグ名の対応関係を変換ルールに追加する。また、一致していない場合、タグ名の同義語辞書を検索し、タグ名が同義語であるならば、そのタグ名の対応関係を変換ルールに追加する。また、特許文献2に記載の装置では、ユーザが対応ルールを確認し、修正する。
【0005】
また、非特許文献1には、機種によって機能やコマンド名が異なる計算機を含むネットワーク環境において、ユーザが異機種の計算機の類似コマンドを検索可能とする検索方法が記載されている。非特許文献1に記載された検索方法では、コマンド名とそのコマンドのオンラインマニュアル上の概要文を使って、異機種間のコマンドの類似度を算出する。この類似度の算出方法では、前処理として、概要文の表記のゆれを統一し、正規化する。そして、コマンド、およびそのコマンドの概要文との間で共通に出現する単語の出現率を利用して類似度を計算する。
【0006】
また、特許文献3には、入力された文書の書式情報と、文書データベースに記憶される文書の書式情報との類似性を評価し、書式が類似する文書を検索する文書検索装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−153239号公報(段落0015−0020、図2、図6)
【特許文献2】特開2003−58523号公報(段落0034−0046、図1、図10)
【特許文献3】特開2007−279978号公報(段落0015−0017)
【非特許文献1】安達久博、下山豪彦、「オンラインマニュアル概要文を利用した異機種間の類似コマンド検索方法」、情報処理学会研究報告、VOL.95、NO.27(NL−106)、社団法人情報処理学会、PAGE,25−30、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたシステムでは、各電子交換機の運用コマンドと共通コマンドとの関係を人手で定めておき、メモリに予め記憶させておかなければならない。機器の台数が多くなると、このような作業に多くの時間を費やさなければならない。
【0009】
特許文献2に記載の装置では、一致するタグ名の対応関係や、同義語であるタグ名の対応付けは自動的に行われる。しかし、タグ名が一致していないタグ同士や、同義語ではないタグ同士の対応付けは人手で行わなければならず、タグ名が一致していないタグや、互いに同義語でないタグが多い場合には、そのタグ群のタグ同士の対応付けに時間がかかってしまう。また、スキーマによっては、タグ名が同一であってもタグの持つ意味が異なることが考えられ、結果として、自動的に対応付けられたタグの確認を人手で行う必要も生じる。
【0010】
また、非特許文献1に記載された方法は、10単語程度で構成される短いオンラインマニュアルの概要文を使った類似度計算であるため、機種によっては、類似度が同程度のコマンドが多く出力されてしまい、ユーザはその中から適切なコマンドを目視によって選択しなければならなくなる。そのため、コマンドの対応付けを高速に行いたいというユーザの要求には応えられない場合がある。
【0011】
また、特許文献3に記載された装置は、一文書が入力されると、その文書の書式情報に類似する文書を検索する。従って、検索時には、一種類の書式情報に類似する文書を検索する。しかし、コンピュータやOS等の場合、一種類のコンピュータやOSに着目したとしても、そのコンピュータやOSに利用されるコマンドは多数存在する。そのため、種類の異なるコンピュータ同士やOS同士の間での対応付けは、コマンドの集合と、コマンドの集合との間で、対応するコマンドを抽出していく必要がある。
【0012】
そこで、本発明は、2つのコマンド群間における各コマンドの対応付けを容易に短時間で行えるように支援するコマンド対応付け支援システム、コマンド対応付け支援方法、およびコマンド対応付け支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるコマンド対応付け支援システムは、第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出手段と、第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報およびパラメータ関連情報を記憶するコマンド情報記憶手段と、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算手段と、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算手段と、コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付け手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるコマンド対応付け支援方法は、第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出ステップと、予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算ステップと、予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのパラメータ関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算ステップと、コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付けステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるコマンド対応付け支援プログラムは、コンピュータに、第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出処理、予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算処理、予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのパラメータ関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算処理、および、コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付け処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2つのコマンド群間における各コマンドの対応付けを容易に短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、ネットワーク機器の機器設定コマンドの対応付けを支援する場合を例にして説明するが、本発明はネットワーク機器の機器設定コマンドの対応付けに限定されず、他の種類のコマンドの対応付け支援にも適用可能である。
【0018】
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態のコマンド対応付け支援システム100は、要素抽出手段110と、コマンド情報記憶装置120と、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140と、コマンド選択手段150と、変換ルール作成手段160と、変換ルール記憶装置170とを備える。コマンド対応付け支援システム100には入力装置210が設けられるが、コマンド対応付け支援システム100自身が、入力装置210を備えてもよい。本実施形態のコマンド対応付け支援システム100は、変換元コマンド群のコマンドと変換先コマンド群のコマンドとを対応付け、変換元のコマンドから変換先のコマンドへの変換ルールを作成する。
【0019】
入力装置210は、ネットワーク機器の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルをコマンド対応付け支援システム100に入力するためのインタフェースである。このネットワーク機器のコマンド群は、変換元コマンド群に該当する。
【0020】
要素抽出手段110は、入力装置210からコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定する。コマンドマニュアルは、一つのネットワーク機器の個々のコマンドを一定の記述形式で記述している。従って、要素抽出手段110は、所定の記述条件に合致する部分を、一つ分のコマンドの情報の記述範囲として判定して、コマンド毎の情報の範囲を特定すればよい。例えば、要素抽出手段110は、一つのコマンドに関する情報の記述開始を表す箇所から、次のコマンドに関する情報の記述開始を表す箇所までを、一つ分のコマンドの情報の記述範囲と判定する。ただし、コマンドマニュアルの記述形式は機器によって異なるので、要素抽出手段110は、一つ分のコマンドの記述を特定するための記述条件を複数記憶しておき、いずれかの記述条件で一つ分のコマンドの情報の記述範囲を判定できたならば、その記述条件に合致する記述範囲をそれぞれ特定していけばよい。
【0021】
そして、要素抽出手段110は、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とをコマンドマニュアルから抽出する。コマンド関連情報は、例えば、コマンド名およびコマンドの説明文字列である。コマンドの説明文字列とは、コマンドの説明を表す文字列である。また、パラメータ関連情報の例として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータ数を特定可能な情報(例えば、必須パラメータのリスト)が挙げられる。パラメータの説明文字列とは、パラメータの説明を表す文字列である。また、パラメータ名は、個々のパラメータ毎に定められているので、各パラメータ名を抽出することにより、全パラメータ数を判断できる。以下、本実施形態では、要素抽出手段110が、コマンド関連情報として、コマンド名およびコマンドの説明文字列を抽出し、パラメータ関連情報として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列と、必須パラメータ数を特定可能な情報とを抽出する場合を例にして説明する。
【0022】
なお、全パラメータ数とは、1つのコマンドに付随する全てのパラメータの数であり、1つのコマンドに対して指定し得る全てのパラメータの数であるということもできる。必須パラメータは、1つのコマンドに対して必ず指定しなければならないパラメータであり、必須パラメータ数は必須パラメータの数である。なお、全パラメータ数と必須パラメータ数の差は、1つのコマンドに対して指定してもしなくてもよいパラメータ(オプションパラメータ)の数である。なお、コマンドマニュアルにおいて、個々のコマンドのパラメータは、必須パラメータであるか否かを判定できるように記述される。
【0023】
コマンド情報記憶装置120は、変換先コマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を記憶する。より具体的には、変換先コマンド群のコマンド毎に、コマンド関連情報(コマンド名およびコマンドの説明文字列)と、コマンドのパラメータ名、パラメータの説明文字列を記憶する。また、コマンド情報記憶装置120は、各コマンド毎に、必須パラメータ数を特定可能な情報も記憶する。
【0024】
なお、本実施形態では、必須パラメータ数を特定可能な情報が、必須パラメータのリストである場合を例にして説明するが、必須パラメータ数を特定可能な情報として、必須パラメータ数そのものを用いてもよい。
【0025】
コマンド類似度計算手段130は、コマンド情報記憶装置120から、コマンド毎に、コマンド関連情報(コマンド名およびコマンドの説明文字列)を読み込む。そして、コマンド関連情報の類似度を計算する。すなわち、要素抽出手段110に抽出された変換元コマンド群のコマンドのコマンド関連情報と、コマンド情報記憶装置120から読み込んだ変換先コマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算する。
【0026】
パラメータ類似度計算手段140は、コマンド情報記憶装置120から、コマンド毎に、パラメータ関連情報(パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータ数を特定可能な情報)を読み込む。そして、変換元コマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と、変換先コマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算する。具体的には、パラメータ関連情報との類似度として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度と、全パラメータ数の一致度と、必須パラメータ数の一致度とを計算する。変換元コマンド群のコマンドについても、変換先コマンド群のコマンドについても、全パラメータ数は、コマンド毎に抽出したパラメータ名の個数から判断し、その全パラメータ数から一致度を計算すればよい。また、必須パラメータ数は、コマンド毎に抽出した、必須パラメータ数を特定可能な情報から判断し、その必須パラメータ数から一致度を計算すればよい。
【0027】
コマンド選択手段150は、コマンド類似度計算手段130が計算したコマンド関連情報の類似度と、パラメータ類似度計算手段140が計算したパラメータ関連情報の類似度とから、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算する。そして、コマンド選択手段150は、総合類似度の順位の順番にコマンドをユーザに提示する。例えば、コマンド対応付け支援システム100がディスプレイ装置(図示せず。)を備え、コマンド選択手段150は、そのディスプレイ装置に総合類似度の順番にコマンドを表示させる。また、コマンド対応付け支援システム100は、例えば、キーボードやマウス等のユーザに操作されるユーザ操作部(図示せず)を備え、ユーザ操作部の操作によって、コマンドが指定された場合、コマンド選択手段150は、指定されたコマンドに対するコマンドの対応付けを行う。
【0028】
変換ルール作成手段160は、コマンド選択手段150が対応付けを行ったコマンドの組み合わせ毎に、変換元コマンド群のコマンドを変換先コマンド群のコマンドに変換する変換ルールを作成する。
【0029】
変換ルール記憶装置170は、変換ルール作成手段160によって作成された変換ルールを記憶する。
【0030】
要素抽出手段110、コマンド類似度計算手段130、パラメータ類似度計算手段140、コマンド選択手段150、および変換ルール作成手段160は、例えば、プログラム(コマンド対応付け支援プログラム)によって動作するCPUによって実現される。要素抽出手段110と、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140と、コマンド選択手段150と、変換ルール作成手段160とが同一のCPUによって実現されてもよい。この場合、プログラムは、例えば、コマンド対応付け支援システム100が備えるプログラム記憶装置(図示せず。)に記憶される。CPUは、そのプログラムを読み込み、そのプログラムに従って、要素抽出手段110、コマンド類似度計算手段130、パラメータ類似度計算手段140、コマンド選択手段150、および変換ルール作成手段160として動作すればよい。
【0031】
コマンド情報記憶装置120と、変換ルール記憶装置170とは、例えば、ハードディスクのような記憶装置によって実現される。
【0032】
次に、コマンドマニュアルの例について説明する。コマンドマニュアルは、例えば、ファイル形式で入力装置210を介して、要素抽出手段110に入力される。ファイル形式の例として、テキストファイル、ワードプロセッサによって作成された文書ファイル、PDF(Portable Document Format)ファイル等が挙げられるが、コマンドマニュアルの形式は特に限定されない。
【0033】
図2は、ネットワーク機器のコマンドマニュアルの例を示す説明図である。例えば、図2に示すコマンドマニュアルの1行目は、コマンドの機能名を表す。例えば、「■ タグ無しポート指定」は、タグ無しポート指定のコマンドに関する各説明が以下に続くことを表す。このように所定の記号(文字列でもよい)が、コマンドに関する各説明の開始を表すように記載されていてもよい。
【0034】
また、図2に示すコマンドマニュアルの2行目「入力形式」は、コマンド定義を示す。すなわち、コマンドがどのような形式で入力されるかに関する説明が次に続くことを示している。図2に示す例では、次の3行目の「set vlan untag P1 P2 [P3]」が、タグ無しポート指定に関するコマンド定義を具体的に示している。「set vlan untag」の文字列部分がコマンド名であり、「P」および数字で表されたP1、P2、[P3]は、それぞれコマンドに付随するパラメータを表している。このうち、括弧の記号“[]”はオプションパラメータであることを表す。従って、本例では、P1、P2が必須パラメータを表し、P3はオプションパラメータを表している。本例では、「入力形式」において、パラメータをP1,P2,P3等の記号で表し、各パラメータのパラメータ名や詳細な説明を、「パラメータ」欄に記述する場合を示しているが、「入力形式」において、コマンド名の後に続くパラメータを、パラメータ名で直接記述してもよい。
【0035】
また、図2に示すコマンドマニュアルの4行目「パラメータ」は、コマンドに付随するパラメータの説明が次に続くことを示している。本例では、図2に示す5〜9行目がパラメータの説明部分に該当する。この部分では、P1,P2,P3等の個々のパラメータを表す記号とともに、パラメータ名等が記述される。また、{A|B}は、「AまたはB」を意味する。例えば、5行目の「P1 {VLAN−ID|Name}」は、1番目のパラメータP1として、パラメータ名が「VLAN−ID」または「Name」であるパラメータが入力されることを表している。さらに、パラメータ名の次に、そのパラメータの説明文字列が記述されている。例えば、図2に示す6行目の「VLAN−ID:VLAN番号1〜4094」は、VLAN−ID欄には1〜4094までの数値が入力されることを表す文字列である。また、7行目の「Name:VLAN名」は、Name欄にはVLAN名となる文字列が入力されることを表す文字列である。また、8行目「P2 ポート番号1〜26」は、2番目のパラメータP2として、パラメータ名が「ポート番号」のパラメータが入力され、そのポート番号として1〜26の数値が入力されることを表す。同様に、9行目「P3 フレームタイプ指定{all|untag}」は、3番目のパラメータP3として、パラメータ名が「フレームタイプ指定」のパラメータが入力され、そのパラメータとして「all」または「untag」が入力されることを表す。パラメータ欄は、コマンド定義で示された各パラメータについて記述される。
【0036】
また、図2に示すコマンドマニュアルの10行目「説明」は、このコマンドの説明文字列が次に続くことを示している。本例では、11行目の「VLANタグ無しポートの設定をします。」という記載が、このコマンドの説明文字列に該当する。
【0037】
また、図2に示すコマンドマニュアルの12行目「デフォルト値」は、パラメータのデフォルト値が次に続くことを示している。本例では、13行目がデフォルト値を具体的に示した部分であり、P1のデフォルト値として1が入力されていて、P2のデフォルト値として1〜26の数値のいずれかが入力されていて、パラメータP3のデフォルト値としてallが入力されていることを表す。
【0038】
また、図2に示すコマンドマニュアルの14行目「入力例」は、このコマンドを使った実際の入力例が次に続くことを示している。15行目の「set vlan untag 1 3」が実際の入力例を表す。本例では、ポート番号3番にVLAN番号1番をタグ無しポート指定として登録する、というコマンドの例を示している。
【0039】
また、図2に示すコマンドマニュアルの16行目「ノート」は、このコマンドに関する備考が次に続くことを示している。本例では、次の17行目に「なし」と記載され、備考が特にない場合を例示している。
【0040】
図2は、タグ無しポート指定に関するコマンドを例に示しているが、同じネットワーク機器に対する他の各コマンドも、同じ書式で記述される。一つのコマンドマニュアル内において、コマンドに関する種々の説明(コマンド名、コマンドの説明文字列、パラメータ名、パラメータの説明文字列等)は、コマンド毎に同じ書式で記述される。また、コマンドによる設定対象が異なるコマンドマニュアルでは、別の書式によってコマンドの種々の説明が記述されてもよいが、一つのコマンドマニュアル内では共通の書式でコマンド毎に説明が記述される。
【0041】
次に、動作について説明する。
まず、ネットワーク機器のコマンドマニュアルが入力装置210を介して、コマンド対応付け支援システム100の要素抽出手段110に入力される。ここで、コマンドマニュアルは、変換元コマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を記述している。コマンドマニュアルが入力されると、要素抽出手段110は、そのコマンドマニュアルを参照して、コマンド毎に、コマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出する。本実施形態では、コマンド関連情報として、コマンド名およびコマンドの説明文字列を抽出し、パラメータ関連情報として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータ数を特定可能な情報を抽出する。ただし、コマンドの説明文字列やパラメータの説明文字列として「なし」を意味する情報を抽出してもよい。要素抽出手段110は、コマンド毎に抽出したコマンド関連情報(コマンド名およびコマンドの説明文字列)をコマンド類似度計算手段130に渡し、各コマンド毎に抽出したパラメータ関連情報(パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータ数を特定可能な情報)をパラメータ類似度計算手段140に渡す。
【0042】
以下、要素抽出手段110が、コマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出する動作の例を説明する。要素抽出手段110は予め、一つ分のコマンドの記述を特定するための記述条件を記憶する。そして、その記述条件に該当する部分(1つ分のコマンドに関する記述部分)を特定し、その部分から、コマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出する。例えば、図2に例示する書式で記載されたコマンドマニュアルにおいて、図2の1行目(■から始まる行)から、次の■から始まる行の直前までを一つのコマンドに関する記述部分として特定し、その範囲からコマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出する。同様の処理を繰り返し、コマンドマニュアルに記述された複数のコマンドについてそれぞれ、コマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出すればよい。ただし、一つ分のコマンドの記述を特定するための記述条件は、機器やソフトウェアによって異なるので、そのような記述条件として想定される条件を複数種類、要素抽出手段110に記憶させておけばよい。
【0043】
以下、図2に例示する書式のコマンドマニュアルからコマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出する場合を例にして説明する。図3は、要素抽出手段110が抽出した情報を格納するためのテーブル(以下、変換元コマンドテーブルと記す。)の例を示す説明図である。本例では、変換元コマンドテーブル310に、機器名、変換元コマンド群のコマンド名、そのコマンドの説明文字列、そのコマンドの各パラメータ名、各パラメータの説明文字列、必須パラメータのリストが格納される。
【0044】
要素抽出手段110は、コマンド定義の記述開始を意味するキーワード(図2では「入力文字列」)を検索し、そのキーワードの次の行の記述「set vlan untag P1 P2 [P3]」を変換元コマンド群のコマンドのコマンド名として抽出し、変換元コマンドテーブル310に格納する(図3参照)。
【0045】
また、要素抽出手段110は、コマンド名においてパラメータを表す各記号(P1,P2,P3)をキーワードとして、そのキーワードを含む記述を検索し、その検索結果をパラメータ名として、パラメータ毎に変換元コマンドテーブル310に格納する。例えば、1番目のパラメータを表すP1をキーワードとして、6行目の「P1 {VLAN−ID|Name}」を検索できるので、その文字列を1番目のパラメータ名として変換元コマンドテーブル310に格納する。同様に、P2をキーワードとして、8行目の「P2 ポート番号1〜26」を検索できるので、その文字列を2番目のパラメータ名として変換元コマンドテーブル310に格納する。同様に、P3をキーワードとして、9行目の「P3 フレームタイプ指定{all|untag}」を検索できるので、その文字列を3番目のパラメータ名として変換元コマンドテーブル310に格納する(図3参照)。
【0046】
また、要素抽出手段110は、各パラメータ名をキーワードとして、そのキーワードを含む記述を検索し、その検索結果を、パラメータ名が示すパラメータの説明文字列として変換元コマンドテーブル310に格納する。例えば、1番目のパラメータに関しては、「VLAN−ID」をキーワードとして、6行目の「VLAN−ID:VLAN番号1〜4094」を検索できるので、この文字列を、1番目のパラメータの説明文字列として格納する。また、「Name」をキーワードとして、7行目の「Name:VLAN名」を検索できるので、この文字列も、1番目のパラメータの説明文字列として格納する(図3参照)。要素抽出手段110は、2番目のパラメータに関しては、「ポート番号1〜26」をキーワードにして検索を実行するが、該当する部分がないので、2番目のパラメータの説明文字列として、説明がないことを意味する文字列「なし」を変換元コマンドテーブル310に格納する(図3参照)。説明がないことを意味する文字列は「なし」以外の文字列であってもよい。同様に、3番目のパラメータに関しても、「フレームタイプ指定{all|untag}」を含む記述箇所がないので、3番目のパラメータの説明文字列として「なし」を格納する(図3参照)。
【0047】
図2に例示するコマンドマニュアルからパラメータ名およびパラメータの説明文字列を検索するときに、パラメータ名を抽出するキーワードとして「パラメータ」を用いて、図2の4行目を特定し、5行目、8行目、9行目からパラメータ名を抽出する等の方法でパラメータ名を抽出してもよい。
【0048】
なお、コマンドに対して指定されるパラメータの数はコマンド毎に異なる。コマンドに対して指定されるパラメータの数に応じて、変換元コマンドテーブル310におけるパラメータ名の列を増やせばよい。パラメータの説明文字列に関しても同様である。
【0049】
次に、要素抽出手段110は、コマンドの説明文字列の記述開始を意味するキーワード(図2では「説明」)を検索し、そのキーワードの次の行の記述「VLANタグ無しポートの設定をします。」を、コマンドの説明文字列として抽出し、変換元コマンドテーブル310に格納する(図3参照)。
【0050】
次に、この変換元コマンドの必須パラメータを特定する。本例では、パラメータを「P」および数字で表し、さらに、オプションパラメータについては、括弧の記号“[]”を付すことによって表している。要素抽出手段110は、括弧の記号“[]”が付されていないパラメータを、例えば、コマンドマニュアル中の「入力形式」から特定し、そのリストを変換元コマンドテーブル310に格納する(図3参照)。
【0051】
要素抽出手段110は、上記のようにコマンド名を判断するためのキーワード、コマンドの説明文字列を判断するためのキーワード、パラメータ名を判断するためのキーワード、パラメータの説明文字列を判断するためのキーワードを用いて、各要素を抽出する。これらのキーワードの定め方は、機器やソフトウェアのコマンドマニュアル毎に異なっている。また、オプションパラメータと必須パラメータとを区別するための記述方法も、コマンドマニュアル毎に異なっている。各要素を抽出するための条件(キーワードの定め方や、オプションパラメータと必須パラメータとの区別の仕方)として想定される条件を、要素抽出手段110に設定しておき、要素抽出手段110は、いずれかの条件を用いて、コマンド名等の各要素を抽出すればよい。
【0052】
また、要素抽出手段110は、ネットワーク機器名を抽出する。機器名の抽出方法は、特に限定されない。例えば、要素抽出手段110は、コマンドマニュアルファイル内からネットワーク機器名を探してもよいし、各種ネットワーク機器に実装されているSNMP(Simple Network Management Protocol)を使ったMIB(Management Information Base)情報から探してもよい。機器名の抽出は、変換元コマンド名およびコマンドの説明文字列、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の抽出前に行ってもよいし、抽出後に行ってよい。また、機器名の抽出は、初めの1度だけ行った後、変換元コマンドテーブル310中の機器名列に全て同じ文字列を入力してもよい。
【0053】
要素抽出手段110は、このような抽出処理を、コマンドマニュアルに記述されたコマンドの数だけ繰り返し行い、変換元コマンドテーブル310を作成する。要素抽出手段110は、コマンド名およびコマンドの説明文字列(コマンド関連情報)と、パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータのリスト(パラメータ関連情報)とを抽出して、変換元コマンドテーブルを作成した後、その変換元コマンドテーブルをコマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140に渡す。
【0054】
コマンド情報記憶装置120は、変換先コマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列と、コマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列と、必須パラメータを特定するための情報(必須パラメータのリスト)とを予め記憶する。図4は、コマンド情報記憶装置120が記憶する情報の例を示す説明図である。図4に示すように、コマンド情報記憶装置120は、コマンド毎に、コマンド名、コマンドの説明文字列、そのコマンドの各パラメータ名、各パラメータの説明文字列、必須パラメータのリストをテーブルとして記憶する。以下、このテーブルを変換先コマンドテーブルと記す。コマンドに対して指定されるパラメータの数はコマンド毎に異なるので、コマンドに対して指定されるパラメータの数に応じて、変換先コマンドテーブル320におけるパラメータ名の列を増やせばよい。パラメータの説明文字列に関しても同様である。
【0055】
図4に示す1番目のコマンドを例に説明する。図4では、1番目のコマンドに関して、コマンド名が「set vlan portbase」であり、コマンドの説明文字列が「ポートベースVLANを設定します。」という文字列であることを示している。さらに、そのコマンドの1番目のパラメータのパラメータ名が「VLAN−ID」であり、パラメータの説明文字列が「VLAN番号1〜4094、またはVLAN名を指定」であり、2番目のパラメータのパラメータ名が「ポート番号」であり、パラメータの説明文字列が「ポート番号1〜26を指定」であり、3番目のパラメータのパラメータ名が「フレームタイプ」であり、パラメータの説明文字列が「all、またはuntag」であることを示している。さらに、必須パラメータが、パラメータ1(すなわち、1番目のパラメータ)およびパラメータ2(2番目のパラメータ)であることを示している。コマンド情報記憶装置120は、他の各コマンドについても同様の内容を記憶する。
【0056】
変換先コマンドテーブル320が記憶する内容をユーザが編集可能な構成であってもよい。例えば、コマンド対応付け支援システム100がキーボードやマウス等のユーザに操作されるユーザ操作部(図示せず)と、そのユーザ操作部を介して入力されたユーザの指示により、変換先コマンドテーブル320が記憶する内容を編集するコマンド編集手段(図示せず)とを備えていてもよい。コマンド編集手段は、ユーザの指示に従って、新規コマンドに関する情報を変換先コマンドテーブル320に追加して記憶させたり、既に変換先コマンドテーブル320に記憶されている情報を修正したり、削除したりしてもよい。コマンド編集手段(図示せず)も、例えば、プログラムに従って動作するCPUによって実現される。
【0057】
要素抽出手段110が変換元コマンド群の各コマンド毎に情報抽出を行った後、コマンド類似度計算手段130は、コマンド情報記憶装置120に記憶されるコマンド名およびコマンドの説明文字列(すなわち、変換先コマンド群のコマンドのコマンド関連情報)を読み込み、コマンド関連情報の類似度を計算する。図5は、コマンド関連情報の類似度を計算する動作の例を示すフローチャートある。また、図6は、コマンド関連情報の類似度の計算例を示す説明図である。
【0058】
コマンド類似度計算手段130は、変換元コマンドテーブル310に各種情報が抽出された各コマンドの中から一つのコマンドを選択する。すなわち、変換元コマンド群中の一つのコマンドを選択する。そして、コマンド類似度計算手段130は、そのコマンドのコマンド関連情報と、変換先コマンド群の個々のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算する。また、後述するように、パラメータ類似度計算手段140は、変換元コマンド群中から選択されたコマンドと、変換先コマンド群の個々のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算する。ここで、変換元コマンド群中から選択されるコマンドを着目コマンドと記す。ここでは、コマンド類似度計算手段130が着目コマンドを選択する場合を例にするが、パラメータ類似度計算手段140が着目コマンドを選択してもよい。
【0059】
コマンド類似度計算手段130は、コマンド情報記憶装置120から変換先コマンドテーブル320を読み込み、その変換先コマンドテーブル320から、変換先コマンド群の各コマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列を抽出する。そして、コマンド類似度計算手段130は、変換元コマンド群から選択した着目コマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列をベクトル化し、変換先コマンド群の全コマンドについてもコマンド名およびコマンドの説明文字列をベクトル化する(ステップS1)。ステップS1において、コマンド類似度計算手段130は、まず、着目コマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列と、変換先コマンド群の全コマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に含まれる単語を複数抽出する。本実施形態では、各名詞を抽出する場合を例にして説明する。コマンド類似度計算手段130は、抽出した個々の名詞毎に、名詞が着目コマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数する。コマンド類似度計算手段130は、名詞の種類毎に出現回数を計数した結果を要素とするベクトルを定める。着目コマンドに関して、コマンド名およびコマンドの説明文字列における名詞の出現回数を計数した結果から定めたベクトルを第1のコマンド名ベクトルと記す。同様に、コマンド類似度計算手段130は、変換先コマンド群の一つ一つのコマンドについて、抽出した個々の名詞毎に、名詞がコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数し、名詞の種類毎に出現回数を計数した結果を要素とするベクトルを定める。変換先コマンド群のコマンド毎に、コマンド名およびコマンドの説明文字列における名詞の出現回数を計数した結果から定めたベクトルを第2のコマンド名ベクトルと記す。
【0060】
図6を参照して、第1のコマンド名ベクトルおよび第2のコマンド名ベクトルの導出の具体例を示す。図6に示すコマンド名「set vlan untag」のコマンドが着目コマンドであるとする。また、変換先コマンド群のコマンドとして、コマンド名が「set vlan portbase」のコマンドと、コマンド名が「set snmp manager ip」のコマンドを例にして説明する。コマンド類似度計算手段130は、着目コマンドのコマンド名「set vlan untag」およびコマンドの説明文字列「VLANタグ無しポートの設定をします。」、変換先コマンド群の1番目のコマンドのコマンド名「set vlan portbase」およびコマンドの説明文字列「ポートベースVLANを設定します。」、変換先コマンド群の2番目のコマンドのコマンド名「set snmp manager ip」およびコマンドの説明文字列「SNMPマネージャのIPアドレスを設定します。」から名詞となる文字列を抽出する。コマンド類似度計算手段130は、例えば、形態素解析により、名詞となる文字列の抽出を行えばよいが、名詞となる文字列の抽出方法は特に限定されない。次に、コマンド類似度計算手段130は、着目コマンドのコマンド名「set vlan untag」およびコマンドの説明文字列「VLANタグ無しポートの設定をします。」の中に、抽出した名詞が何回出現するかを個々の名詞毎に計数する。例えば、「set」は1回、「vlan」は2回、「untag」は1回、・・・等のように計数を行う。コマンド類似度計算手段130は、名詞毎の計数結果を格納したテーブル(以下、ベクトル計算テーブルと記す。)を作成する。また、コマンド類似度計算手段130は、変換先コマンド群の1番目のコマンドについても同様に、抽出した名詞が何回出現するかを計数し、ベクトル計算テーブル330に計数結果を格納する。さらに、変換先コマンド群の2番目のコマンドについても同様に、名詞毎に出現回数を計数し、ベクトル計算テーブル330に計数結果を格納する。この結果、図6に例示するベクトル計算テーブル330が生成される。各コマンドについて、名詞毎に求めた計数結果の数値を並べることによって、ベクトルが得られる。計測結果の数値を並べる際の基準となる名詞の順番は、各ベクトルで共通である。図6に示すベクトル計算テーブル330において、最初の数値の並びである(1,2,1,1,1,・・・)は、第1のコマンド名ベクトルである。2番目の数値の並びである(1,2,0,0,0,・・・)は、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」について求めた第2のコマンド名ベクトルである。3番目の数値の並びである(1,0,0,0,0,・・・)は、変換先コマンド群のコマンド「set snmp manager ip」について求めた第2のコマンド名ベクトルである。
【0061】
ステップS1の後、コマンド類似度計算手段130は、第1のコマンド名ベクトルと、それぞれの第2のコマンド名ベクトルとのコサイン類似度を求めることによって、着目コマンドと変換先コマンド群のそれぞれのコマンドとの間の、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算する(ステップS2)。コサイン類似度の計算方法は、既知の手法でよい。すなわち、2つのベクトルをV1,V2と表したときに、以下に示す式(1)の左辺のcosθをV1,V2のコサイン類似度として計算すればよい。
【0062】
【数1】

【0063】
ただし、<V1,V2>は、ベクトルV1,V2の内積である。また、||V1||はV1のノルムであり、||V2||はV2のノルムである。
【0064】
図6に示す例において、第1のコマンド名ベクトルと、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」について求めた第2のコマンド名ベクトルとのコサイン類似度を求めると、0.738となる。また、第1のコマンド名ベクトルと、変換先コマンド群のコマンド「set snmp manager ip」について求めた第2のコマンド名ベクトルとのコサイン類似度を求めると、0.175となる。コマンド類似度計算手段130は、変換先コマンド群のコマンド毎に求めたコサイン類似度を格納したテーブル(以下、コマンド名類似度テーブル)340を作成し、コマンド選択手段150に渡す。図6に示すコマンド名類似度テーブル340において、コサイン類似度は、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度である。
【0065】
また、要素抽出手段110が変換元コマンド群の各コマンド毎に情報抽出を行った後、パラメータ類似度計算手段140は、コマンド情報記憶装置120に記憶されるパラメータ関連情報(パラメータ名およびパラメータの説明文字列、必須パラメータ数を特定可能な情報)を読み込み、パラメータ関連情報の類似度を計算する。すなわち、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度と、全パラメータ数の一致度と、必須パラメータ数の一致度とを計算する。図7は、パラメータ関連情報の類似度を計算する動作の例を示すフローチャートである。図8は、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度の計算例を示す説明図である。
【0066】
ここでは、コマンド類似度計算手段130が、変換元コマンドテーブル310に各種情報が抽出された各コマンドの中から着目コマンドを選択し、パラメータ類似度計算手段140に通知している場合を例に説明する。ただし、パラメータ類似度計算手段140が着目コマンドを選択し、コマンド類似度計算手段130に着目コマンドを通知してもよい。
【0067】
パラメータ類似度計算手段140は、コマンド情報記憶手段120から変換先コマンドテーブル320を読み込み、さらに、その変換先コマンドテーブル320から、変換先コマンド群の各コマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列、および必須パラメータ数を特定可能な情報を抽出する。そして、パラメータ類似度計算手段140は、変換元コマンド群から選択された着目コマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列をベクトル化し、変換先コマンド群の全コマンドについてもパラメータ名およびパラメータの説明文字列をベクトル化する(ステップT1)。ステップT1において、パラメータ類似度計算手段140は、まず、着目コマンドの各パラメータ名および各パラメータの説明文字列に含まれる単語を複数抽出する。本実施形態では、各名詞を抽出する場合を例にして説明する。パラメータ類似度計算手段140は、抽出した個々の名詞毎に、名詞が着目コマンドの各パラメータ名および各パラメータの説明文字列に出現する回数を計数する。パラメータ類似度計算手段140は、名詞の種類毎に出現回数を計数した結果を要素とするベクトルを定める。着目コマンドに関して、各パラメータ名および各パラメータの説明文字列における名詞の出現回数を計数した結果から定めたベクトルを第1のパラメータベクトルと記す。同様に、パラメータ類似度計算手段140は、変換先コマンド群の一つ一つのコマンドについて、抽出した個々の名詞毎に、名詞が各パラメータ名および各パラメータの説明文字列に出現する回数を計数し、名詞の種類毎に出現回数を計数した結果を要素とするベクトルを定める。変換先コマンド群のコマンド毎に、各パラメータ名および各パラメータの説明文字列における名詞の出現回数を計数した結果から定めたベクトルを第2のパラメータベクトルと記す。
【0068】
図8を参照して、第1のパラメータベクトルおよび第2のパラメータベクトルの導出の具体例を示す。図8に示す変換元コマンドテーブル311において示したコマンドが着目コマンドであるとする。また、変換先コマンド群のコマンドとして、コマンド名が「set vlan portbase」のコマンドと、コマンド名が「set snmp manager ip」のコマンドを例にして説明する。
【0069】
パラメータ類似度計算手段140は、着目コマンドの1番目のパラメータ名「{VLAN−ID|Name}」と、そのパラメータの説明文字列「VLAN−ID:VLAN番号1〜4094、Name:VLAN名」と、2番目のパラメータ名「ポート番号1〜26」と、3番目のパラメータ名「フレームタイプ指定{all|untag}」と、変換先コマンド群の各コマンドにおける各パラメータ名、各パラメータの説明文字列に該当する「VLAN−ID」、「VLAN番号1〜4094、またはVLAN名を指定」、「ポート番号」、「ポート番号1〜26を指定」、「フレームタイプ」、「all、またはuntag」、「IPアドレス」、「IPアドレスを指定」、「SNMPマネージャ」、「ID」、「状態」、および「enable、またはdisable」から、名詞となる文字列を抽出する。ただし、パラメータ名またはパラメータの説明文字列が「なし(存在しないことを意味する文字列)」である場合、「なし」は名詞抽出対象から除外する。また、図8に示す例では、パラメータを表す記号であるP1,P2等も名詞抽出対象から除外している。ステップS1の処理と同様に、名詞となる文字列の抽出は、例えば、形態素解析によって行えばよいが、形態素解析以外の方法で抽出してもよい。本例では、図8に示すテーブル331に例示するように、「VLAN−ID」、「name」、・・・等の文字列が抽出される。次に、パラメータ類似度計算手段140は、着目コマンドの各パラメータ名および各パラメータの説明の中に、抽出した名詞が何回出現するかを個々の名詞毎に計数し、名詞毎の計数結果を格納したテーブル(以下、パラメータベクトル計算テーブルと記す。)を作成する。また、コマンド類似度計算手段130は、変換先コマンド群の一つ一つのコマンドについて、各パラメータ名および各パラメータの説明の中に、抽出した名詞が何回出現するかを個々の名詞毎に計数し、パラメータベクトル計算テーブル331に計数結果を格納する。
【0070】
この結果、図8に例示するパラメータベクトル計算テーブル331が生成される。各コマンドについて、名詞毎に求めた計数結果の数値を並べることによって、ベクトルが得られる。計測結果の数値を並べる際の基準となる名詞の順番は、各ベクトルで共通である。図8に例示するパラメータベクトル計算テーブル331において、最初の数値の並びである(2,2,2,2,1,・・・)は、第1のパラメータベクトルである。2番目の数値の並びである(1,0,2,3,1,・・・)は、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」について求めた第2のパラメータベクトルである。3番目の数値の並びである(0,0,0,0,0,・・・)は、変換先コマンド群のコマンド「set snmp manager ip」について求めた第2のパラメータベクトルである。
【0071】
ステップT1の後、パラメータ類似度計算手段140は、第1のパラメータベクトルと、それぞれの第2のパラメータベクトルとのコサイン類似度を求めることによって、着目コマンドと変換先コマンド群のそれぞれのコマンドとの間の、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度を計算する(ステップT2)。コサイン類似度の計算は、ステップS2(図5参照)と同様に行えばよい。
【0072】
また、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度を格納するためのテーブルを、パラメータ類似度テーブルと記す。図9にパラメータ類似度テーブルの例を示す。パラメータ類似度計算手段140は、ステップT2で計算した類似度をパラメータ類似度テーブル341に格納する。図9に示すパラメータ類似度テーブル341におけるコサイン類似度は、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度である。図9に示す例では、例えば、着目コマンドと、「set vlan portbase」との間における、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度が0.760であることを示している。
【0073】
次に、パラメータ類似度計算手段140は、着目コマンドにおける全パラメータ数と、変換先コマンド群のコマンド毎の全パラメータ数を判断し、着目コマンドと変換先コマンド群の一つ一つのコマンドとの間における全パラメータ数の一致度を計算する(ステップT3)。全パラメータ数は、例えば、一つのコマンドについて抽出された各パラメータ名の数をカウントすることによって判断すればよい。例えば、図8に示す変換元コマンドテーブル311における「set vlan untag」については、全パラメータ数は3個と判断できる。同様に、変換先コマンドテーブル321における「set vlan portbase」の全パラメータ数も3個であり、「set snmp manager ip」の全パラメータ数も3個であると判断できる。
【0074】
ステップT3では、パラメータ類似度計算手段140は、変換先コマンド群のコマンド毎に、そのコマンドの全パラメータ数と着目コマンドの全パラメータ数の差の絶対値を求める。そして、差の絶対値が大きいほど、全パラメータ数の一致度が小さくなり、差の絶対値が小さいほど、全パラメータ数の一致度が大きくなるように、全パラメータ数の一致度を定める。例えば、変換先コマンド群のコマンドの全パラメータ数と着目コマンドの全パラメータ数の差の絶対値をQすると、Qに所定の正数を加算し、その加算結果の逆数を全パラメータ数の一致度として計算する。すなわち、所定の正数をRとした場合、1/(Q+R)を、全パラメータ数の一致度とすればよい。以下、R=1と定めた場合を例にする。
【0075】
ステップT3の計算例を示す。着目コマンドである「set vlan untag」の全パラメータ数は3であり、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」の全パラメータ数も3である。よって、パラメータ類似度計算手段140は、両者の差の絶対値|3−3|=0を計算し、差の絶対値0を用いて、1/(0+1)=1を計算する。この1が「set vlan untag」および「set vlan portbase」における全パラメータ数の一致度である。着目コマンドと、変換先コマンド群のもう一つのコマンド「set snmp manager ip」とに関しても、全パラメータ数の差の絶対値|3−3|=0を計算し、全パラメータ数の一致度を1/(0+1)の計算により、1とする。パラメータ類似度計算手段140は、変換先コマンド群のコマンド毎に計算した全パラメータ数の一致度を、パラメータ類似度テーブル341に格納する(図9参照)。
【0076】
次に、パラメータ類似度計算手段140は、着目コマンドにおける必須パラメータ数と、変換先コマンド群のコマンド毎の必須パラメータ数を判断し、着目コマンドと変換先コマンド群の一つ一つのコマンドとの間における必須パラメータ数の一致度を計算する(ステップT4)。必須パラメータ数は、必須パラメータ数を特定可能な情報から判断すればよい。本実施形態では、必須パラメータ数を特定可能な情報は、必須パラメータのリストであり、そのリストに挙げられたパラメータの数を計数すればよい。例えば、例えば、図8に示す変換元コマンドテーブル311における「set vlan untag」については、必須パラメータがパラメータ1(1番目のパラメータ)およびパラメータ2(2番目のパラメータ)であることが示されている。よって、必須パラメータ数は2であると判断できる。同様に、変換先コマンドテーブル321における「set vlan portbase」の必須パラメータ数も2個であり、「set snmp manager ip」の必須パラメータ数は3個であると判断できる。
【0077】
ステップT4では、変換先コマンド群のコマンド毎に必須パラメータ数の一致度を計算する。必須パラメータ数の一致度は、全パラメータ数の一致度と同様の計算で求めればよい。すなわち、必須パラメータ数の差の絶対値が大きいほど、必須パラメータ数の一致度が小さくなり、必須パラメータ数の差の絶対値が小さいほど、必須パラメータ数の一致度が大きくなるように、必須パラメータ数の一致度を求める。例えば、変換先コマンド群のコマンドの必須パラメータ数と着目コマンドの必須パラメータ数の差の絶対値をQ’とすると、Q’に所定の正数Rを加算し、その加算結果の逆数を必須パラメータ数の一致度として計算する。すなわち、1/(Q’+R)を計算すればよい。以下、本例において、R=1とする。
【0078】
ステップT4の計算例を示す。着目コマンドである「set vlan untag」の必須パラメータ数は2であり、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」の必須パラメータ数も2である。よって、パラメータ類似度計算手段140は、両者の差の絶対値|2−2|=0を計算し、差の絶対値0を用いて、1/(0+1)=1を計算する。この1が「set vlan untag」および「set vlan portbase」における必須パラメータ数の一致度である。また、変換先コマンド群のもう一つのコマンド「set snmp manager ip」の必須パラメータ数は3である。よって、「set snmp manager ip」に関しては、「set vlan untag」の必須パラメータ数2との差の絶対値|2−3|=1を計算し、差の絶対値1を用いて、1/(1+1)=0.5を計算する。この0.5が「set vlan untag」および「set snmp manager ip」における必須パラメータ数の一致度である。パラメータ類似度計算手段140は、変換先コマンド群のコマンド毎に計算した必須パラメータ数の一致度を、パラメータ類似度テーブル341に格納する(図9参照)。
【0079】
パラメータ類似度計算手段140は、ステップT2〜T4の結果を格納したパラメータ類似度テーブル341をコマンド選択手段150に渡す。
【0080】
なお、コマンド類似度計算手段130がコマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算する処理と、パラメータ類似度計算手段140がパラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度および必須パラメータ数の一致度を計算する処理とでは、どちらの処理を先におこなってもよい。また、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140とが独立したコンピュータによって実現され、2つのコンピュータが同時に処理を行ってもよい。
【0081】
コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度および必須パラメータ数の一致度が計算された後、コマンド選択手段150は、それらの値を用いて、着目コマンドと、変換先コマンド群の一つ一つのコマンドとの総合類似度を計算する。コマンド選択手段150は、その総合類似度を利用して、着目コマンドと、変換先コマンド群中の一つのコマンドとを対応付ける。また、コマンド選択手段150が着目コマンドと変換先コマンド群のコマンドとの対応付けを行ったならば、例えばコマンド類似度計算手段130が変換元コマンド群から新たに着目コマンドを選択し、新たに選択した着目コマンドについて、コマンド関連情報の類似度、パラメータ関連情報の類似度を求め、さらに総合類似度を求めてコマンドの対応付けを行う処理を繰り返す。
【0082】
図10は、変換元コマンド群から選択された着目コマンドと変換先コマンド群中の一つのコマンドとを対応付ける処理の例を示すフローチャートである。図11は、コマンド選択手段150が実行するコマンドの対応付けの具体例を示す説明図である。
【0083】
まず、コマンド選択手段150は、コマンド類似度計算手段130の計算結果(コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度)と、パラメータ類似度計算手段140の計算結果(パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度および必須パラメータ数の一致度)とを用いて、着目コマンドと、変換先コマンド群のコマンドとの総合類似度を、変換先コマンド群の一つ一つのコマンド毎に計算する(ステップU1)。コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度は、コマンド名類似度テーブル340を参照すればよい。また、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度および必須パラメータ数の一致度は、パラメータ類似度テーブル341を参照すればよい。総合類似度は、例えば、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度と、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度と、全パラメータ数の一致度と、必須パラメータ数の一致度との和として求めればよい。
【0084】
例えば、着目コマンド「set vlan untag」と、変換先コマンド群のコマンド「set vlan portbase」との間における、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度が0.738であるとする(図11参照)。また、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度が、それぞれ0.760,1,1であるとする(図11参照)。この場合、コマンド選択手段150は、「set vlan untag」と「set vlan portbase」の総合類似度を、0.738+0.760+1+1=3.498と計算する。同様に、着目コマンド「set vlan untag」と、変換先コマンド群のコマンド「set snmp manager ip」との総合類似度を、0.175+0+1+0.5=1.675と計算する。
【0085】
ステップU1において、コマンド選択手段150は、着目コマンドとの総合類似度を変換先コマンド群のコマンド毎に求めた結果をテーブルに格納する。以下、このテーブルを総合類似度テーブルと記す。本例では、ステップU1の結果、図11に示す総合類似度テーブル350が得られる。
【0086】
次に、コマンド選択手段150は、着目コマンドと対応付けられる候補(すなわち、変換先コマンド群の各コマンド)を、着目コマンドとの総合類似度が高い順に並べ替える。そして、並べ替えた順に、着目コマンドと、変換先コマンド群の各コマンドとの組をユーザに提示する(ステップU2)。ステップU2では、総合類似度の値も提示してよい。例えば、コマンド対応付け支援システム100が備えるディスプレイ装置(図示せず)に表示させればよい。ユーザへの提示方法は、特に限定されない。例えば、ディスプレイ装置上にGUI(Graphical User Interface)を表示させてもよい。あるいは、コマンドプロンプトに標準出力することによって出力してもよい。
【0087】
ステップU2において、例えば、総合類似度テーブル350に格納された各コマンドを総合類似度順に並べ替えてもよい。図11に示す総合類似度テーブル351は、総合類似度順に並べ替えた結果を示している。図11に示す例では、並べ替え前後で、総合類似度テーブルは変化していない。
【0088】
着目コマンドと、変換先コマンド群の各コマンドとの組を出力する場合、例えば、着目コマンドと、並べ替え後の総合類似度テーブルを出力すればよい。総合類似度テーブルに含まれる個々のコマンドは、同時に出力された着目コマンドとの組を表す。
【0089】
ユーザは、総合類似度が高い順に出力される総合類似度テーブルに含まれる個々のコマンドを参照して、着目コマンドと対応付けるべきコマンドを判断し、そのコマンドを指定する操作を行う。すなわち、対応付けるべき着目コマンドと選択先コマンド群のコマンドとの組を指定する。ステップU2において、コマンド選択手段150は、例えば、ユーザ操作部(図示せず)を介して、ユーザによる指定を受けると、指定された組み合わせにおけるコマンド同士を対応付ける。例えば、図11に示す総合類似度テーブル351における「set vlan portbase」がユーザに選択されることで、「set vlan untag」と「set vlan portbase」との組が指定される。すると、コマンド選択手段150は、そのコマンド同士を対応付ける。コマンド選択手段150は、対応付けた変換元コマンド群のコマンドおよび変換先コマンド群のコマンドを変換ルール作成手段160に通知する。例えば、コマンド名の組を変換ルール作成手段160に渡す。
【0090】
また、コマンド選択手段150は、ユーザに指定された組に含まれるコマンドを、総合類似度テーブル351の中から削除する。また、そのコマンドを、コマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140が参照する変換元コマンドテーブル310や、コマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140が読み込んだ変換先コマンドテーブル320から削除する(ステップU3)。例えば、「set vlan untag」と「set vlan portbase」とが対応付けられたならば、コマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140が参照する変換元コマンドテーブル310から、「set vlan untag」に関する各情報を削除する。また、コマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140が読み込んだ変換先コマンドテーブル320から「set vlan portbase」に関する各情報を削除する。
【0091】
ステップU3が完了したならば、ステップU3でコマンドが削除された変換元コマンドテーブル310、変換先コマンドテーブル320を用いて、コマンド類似度計算手段130がステップS1〜S2の処理を行い、パラメータ類似度計算手段140がステップT1〜T4の処理を行い、コマンド選択手段150が、ステップU1〜U3を行う。この処理を繰り返すことで、コマンドの対応付けを順次行っていく。対応付けの完了したコマンドをテーブルから削除するので、コマンド同士の対応付けを行う毎に、コマンド類似度計算手段130およびパラメータ類似度計算手段140の類似度計算を高速化することができる。
【0092】
そして、例えば、変換元コマンド群の全てのコマンドについて対応付けが完了したならば、繰り返し処理を終了する。
【0093】
また、ステップU2において、総合類似度だけでなく、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度(コサイン類似度)、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度(コサイン類似度)、全パラメータ数一致度、および必須パラメータ数一致度も同時に提示してよい。そして、それらの項目のうち、いずれかがユーザに指定されたならば、指定された項目の値の大きい順に、再度並べ替えを行って、並べ替え毎のコマンドの組を再提示してもよい。
【0094】
また、上記の例では、ユーザにコマンドを提示し、ユーザに指定されたコマンドの組を対応付ける場合を示したが、ユーザに対する提示を行わなくてもよい。例えば、コマンド選択手段150は、ステップU1で計算した総合類似度が最大となる着目コマンドと選択先コマンド群のコマンドとの組を特定し、総合類似度が最大となる着目コマンドと選択先コマンド群のコマンドとを対応付けてもよい。その後、コマンド選択手段150は、対応付けたコマンドをテーブルから削除する処理(ステップU3)を行ってもよい。他の点については、既に説明した動作と同様である。
【0095】
コマンド選択手段150によって、コマンド同士の対応付けが行われた後、変換ルール作成手段160は、対応付けられたコマンドの組毎に、変換元コマンド群のコマンドを変換先コマンド群のコマンドに変換する変換ルールを生成する。例えば、変換ルール作成手段160は、対応付けられたコマンドの組における変換元側のコマンドのコマンド名を変換先側のコマンド名に変換し、変換元側のコマンドの各パラメータを、変換先側のコマンドにおける各パラメータに用いることを指定する変換ルールを作成する。なお、変換ルール作成手段160は、対応付けられたコマンドをコマンド選択手段150から通知される。通知されたコマンドの各コマンドのパラメータは、例えば、変換元コマンドテーブル、変換先コマンドテーブルを参照すればよい。変換元コマンドテーブル、変換先コマンドテーブルは、それぞれ、コマンド類似度計算手段130、パラメータ類似度計算手段140から渡されればよい。
【0096】
図12は、変換ルールを作成する処理の具体例を示す。図12に示す変換元コマンドと変換先コマンドが対応付けられているとする。変換ルール作成手段160は、対応付けられた変換元コマンドのコマンド名および各パラメータ名を格納し、さらに、変換先コマンドのコマンド名を格納し、変換先コマンドの各パラメータとして、変換元コマンドにおける対応するパラメータとして用いることを指定した情報を格納したテーブル(以下、変換ルールテーブル)を作成する。パラメータ同士の対応付けは、例えば、パラメータ名が同一の文字列を含んでいるパラメータ同士が対応付けられると判定すればよい。この変換ルールテーブルが、変換ルールとなる。また、変換ルール作成手段160は、機器名を指定する情報も変換ルールテーブルに格納する。機器名は、例えば、要素抽出手段110が抽出した機器名を用いればよい。なお、本例では、コマンドマニュアルが機器のコマンドマニュアルである場合を例示したが、コマンドマニュアルはソフトウェアのコマンドマニュアルであってもよい。その場合、要素抽出手段110がコマンドマニュアルからソフトウェア名を抽出し、変換ルール作成手段160は、ソフトウェア名を指定する情報を変換ルールテーブルに格納すればよい。
【0097】
図12に示す例では、ステップU2(図10参照)において、「set vlan untag」と組をなすコマンドとして「set vlan portbase」が選択された場合を例にしている。図12に示す変換ルールテーブル360では、変換元コマンドのコマンド名「set vlan untag」が格納され、変換元コマンドのコマンド名「set vlan portbase」が格納されている。また、変換元コマンドの3つのパラメータ名がそれぞれ格納され、変換先コマンドの1番目から3番目までの各パラメータとして、変換元パラメータの1番目から3番目を指定する情報が格納されている。図12に示す変換ルールテーブル360は、「機器名がBで変換元コマンド名『set vlan untag』である場合、変換先コマンド名『set vlan portbase』に変換し、変換元コマンドのパラメータ1『{VLAN−ID|Name}』を、変換先コマンドの最初のパラメータとして入力し、変換元コマンドのパラメータ2『ポート番号1〜26』を、変換先コマンドの2番目のパラメータとして入力し、変換元コマンドのパラメータ3『フレームタイプ指定』を、変換先コマンドの3番目のパラメータとして入力する。」ということを表す。なお、変換ルールテーブル360における各パラメータを格納する列の数は、変換元側のコマンドや変換先側のコマンドのパラメータ数に応じて可変である。
【0098】
なお、変換ルールの記述形式は、コマンド名および各パラメータの対応付けができれば、図12に例示する記述形式に限定されない。
【0099】
変換ルール作成手段160は、作成した変換ルール(本例では変換ルールテーブル360)を変換ルール記憶装置170に記憶される。
【0100】
なお、変換ルール作成手段160が変換ルールを作成する際に、対応付けられているコマンド同士でパラメータ数が一致していない場合もあり得る。その場合、対応付け可能なパラメータだけを使って変換ルールを作成すればよい。対応付けられなかったパラメータが存在する場合、変換ルールとともに、そのパラメータのパラメータ名も変換ルール記憶装置170に記憶させればよい。
【0101】
変換ルール記憶装置170が記憶する変換ルールテーブル360をユーザが編集可能な構成であってもよい。例えば、コマンド対応付け支援システム100がキーボードやマウス等のユーザに操作されるユーザ操作部(図示せず)と、そのユーザ操作部を介して入力されたユーザの指示により、変換ルール記憶装置170が記憶する変換ルールテーブル360を編集する変換ルール編集手段(図示せず)とを備えていてもよい。変換ルール編集手段は、ユーザの指示に従って、変換ルール記憶装置170が記憶する変換ルールテーブル360に対して、新たな内容を追加したり、修正したり、削除したりしてもよい。変換ルール編集手段(図示せず)も、例えば、プログラムに従って動作するCPUによって実現される。
【0102】
次に、本発明の第1の実施形態の効果について説明する。本実施形態では、ユーザが任意のコマンドマニュアルを入力すると、コマンド関連情報の類似度と、パラメータ関連情報の類似度とをそれぞれ計算し、その類似度から、コマンド同士の総合類似度を計算する。そして、変換元コマンド群の着目コマンドとの総合類似度が高い順に、変換先コマンド群のコマンドをユーザに提示し、着目コマンドと変換先コマンド群のコマンドとの組が指定された場合、その着目コマンドと変換先コマンド群のコマンドとを対応付ける。よって、2つのコマンド群間における各コマンドの対応付けを正確、かつ高速に行うことができる。総合類似度の高い順にコマンドが提示されるので、ユーザは適切な判断をしやすくなり、その結果、正確で高速な対応付けが可能となる。ユーザが選択するのではなく、着目コマンドとの総合類似度が最も高いコマンドを自動的に選択して対応付けを行う場合でも同様の効果が得られる。また、パラメータ関連情報の類似度として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度の他に、全パラメータ数の一致度、必須パラメータ数の一致度も用いることで、対応付けの正確性をより高めることができる。
【0103】
また、本発明では、コマンドマニュアルにおけるコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド関連情報およびパラメータ関連情報を抽出するので、コマンドマニュアルに含まれる複数のコマンドについてそれぞれ対応付けを行うことができる。
【0104】
実施形態2.
図13は、本発明の第2の実施形態の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態のコマンド対応付け支援システム100は、要素抽出手段110と、コマンド情報記憶装置120と、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140と、コマンド選択手段150と、変換ルール作成手段160と、変換ルール記憶装置170と、パラメータ同義語記憶装置410と、パラメータ語統一手段420とを備える。
【0105】
パラメータ同義語記憶装置410は、同義語の組(同義語となる語同士の組)を記憶する記憶装置である。パラメータ同義語記憶装置410には、各種機器やソフトウェアで用いられるコマンドのパラメータにおいて、同じ意味でパラメータ名として用いられることがあると想定される同義語の組を記憶させておく。例えば、コマンド対応付け支援システム100の管理者や設計者が予め同義語の組をパラメータ同義語記憶装置410に記憶させておけばよい。例えば、「回線番号」というパラメータ名と、同じ意味のパラメータ名で「ポート番号」が採用されることがあると想定される場合、予め「回線番号」と「ポート番号」とを同義語の組としてパラメータ同義語記憶装置410に記憶させておけばよい。パラメータ同義語記憶装置410が同義を記憶する態様については後述する。
【0106】
パラメータ語統一手段420は、要素抽出手段110が抽出した変換元コマンド群のコマンドの各パラメータ名および各パラメータの説明文字列と、コマンド情報記憶装置120に記憶されているコマンド(変換先コマンド群のコマンド)の各パラメータ名および各パラメータの説明文字列とに含まれている語の中に、同義語を持つ語が含まれているならば、パラメータ同義語記憶装置410を参照して、同義語の組内の一つの同義語に変換する。例えば、変換元コマンド群のコマンドあるいは変換先コマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に「回線番号」という語が含まれているとする。また、パラメータ同義語記憶装置410に、「回線番号」と「ポート番号」とが同義語の組として記憶されているとする。この場合、パラメータ語統一手段420は、各パラメータ名および各パラメータの説明文字列に含まれる「回線場号」を「ポート番号」に変換することによって、「ポート番号」に統一する。
【0107】
パラメータ語統一手段420は、同義語となる語を統一した後の各パラメータ名および各パラメータの説明文字列をパラメータ類似度計算手段140へ渡す。例えば、パラメータ語統一手段420は、要素抽出手段110から変換元コマンドテーブルを受け取り、変換元コマンドテーブル内における各コマンド名および各パラメータの説明文字列内の語を、パラメータ語統一手段420を参照して統一する。また、パラメータ語統一手段420は、コマンド情報記憶装置120から変換先コマンドテーブルを読み込み、その変換先コマンドテーブル内における各コマンド名および各パラメータの説明文字列内の語を、パラメータ語統一手段420を参照して統一する。パラメータ語統一手段420は、同義語を統一した変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブルをパラメータ類似度計算手段140に渡し、パラメータ類似度計算手段140は、そのテーブルを用いて、パラメータ関連情報の類似度を計算する。
【0108】
その他の構成要素の動作は、第1の実施形態と同様である。ただし、変換ルール作成手段160は、パラメータ語統一手段420によって統一が行われる前の語を用いて変換ルール(変換ルールテーブル)を作成する。例えば、パラメータ語統一手段420が、同義語の統一を行った場合、変換前の語と変換後の語との対応関係をメモリに記憶させておき、変換ルール作成手段160は、そのメモリに記憶された対応関係を参照して、対応付けた変換元コマンド群のコマンドおよび変換先コマンド群のコマンドの各パラメータ名および各パラメータ文字列内の語を統一前の語に戻してから、変換ルールを作成すればよい。
【0109】
なお、同義語を一つの語に統一する場合、変換元コマンド群および変換先コマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータ説明文字列に含まれていなかった同義語に統一してもよい。あるいは、変換元コマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータ説明文字列で用いられていた語で統一してもよい。あるいは、変換先コマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータ説明文字列で用いられていた語で統一してもよい。
【0110】
パラメータ同義語記憶装置410は、例えば、ハードディスクのような記憶装置によって実現される。また、パラメータ語統一手段420は、例えば、プログラムによって動作するCPUによって実現される。なお、プログラムは、例えば、コマンド対応付け支援システム100が備えるプログラム記憶装置(図示せず。)に記憶される。CPUは、そのプログラムを読み込み、そのプログラムに従って、パラメータ語統一手段420として動作する。
【0111】
次に、パラメータ同義語記憶装置410が記憶する内容の一例を示し、第2の実施形態の動作について説明する。図14は、パラメータ同義語記憶装置410が記憶する情報の例を示す説明図である。図14に示すように、同義語となる各語をそれぞれ、同義語0から同義語n(nは1以上)として定め、同義語0から同義語nまでの各語を対応付けたテーブル(以下、同義語テーブルと記す。)をパラメータ同義語記憶装置410に記憶させておく。図14に示す例では、「回線場号」と「ポート番号」が同義語として定められ、また、「VLAN−ID」と「VLAN_ID」と「VLAN番号」と「VLAN識別番号」とが同義語として定められている。各組における同義語の数は可変である。
【0112】
また、同義語の各組において、統一語として用いる語が定められる。それぞれの組において、一つの語を統一語として定めることができれば、統一語の定め方は特に限定されない。本例では、一つの組の同義語の数をmとすると、図14に例示する同義語テーブル430における「同義語(m−1)」に統一するものとする。例えば、同義語が2つである場合、「同義語1」として記憶された語に統一語とするものとする。
【0113】
図15は、パラメータ語統一手段420の動作の例を示すフローチャートである。図16は、同義語の統一処理の具体例を示す説明図である。パラメータ語統一手段420は、要素抽出手段110から変換元コマンドテーブルを受け取り、コマンド情報記憶装置120から変換先コマンドテーブルを読み込むと、パラメータ同義語記憶装置410に記憶される同義語テーブル430に記憶される同義語の組から統一語以外の一つの語を選択する(ステップV1)。ここでは、図16に示す同義語テーブル430から「回線番号」を選択したとする。
【0114】
パラメータ語統一手段420は、ステップV1で選択した語に合致する語を、変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブル内から検索し、変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブルにおけるその語を、統一語に変換する(ステップV2)。例えば、ステップV1で「回線番号」を選択した場合、図16に例示する変換元コマンドテーブル312において「set vlan untag」の2番目のパラメータ名として「回線番号1〜26」が記述されているので、この文字列中の「回線番号」を「ポート番号」に変換する。その結果、このパラメータ名は「ポート番号1〜26」という記述に変換される。
【0115】
また、パラメータ語統一手段420は、変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブルにおけるどの語をどの語に変換したかという対応関係(変換前の語と変換後の語との対応関係)を、例えばメモリ(図示せず。)に記憶させておく。
【0116】
以降、同様に、パラメータ語統一手段420は、統一語以外の語を選択し、変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブル内におけるその語を統一語に変換する処理(ステップV1,V2)を繰り返す(ステップV3)。統一語以外の各語について統一語への変換が完了するまで、この繰り返し処理を行う。
【0117】
なお、パラメータ名およびパラメータの説明文字列に、選択した語が複数回出現することがある。その場合、その語をそれぞれ統一語に変換する。例えば、「VLAN番号」を選択していて、「VLAN番号」を統一語に変換するとする。この場合、図16に示す変換先コマンドテーブル322において、「VLAN番号」は2回現れるが、この「VLAN番号」をいずれも統一語に変換する。
【0118】
パラメータ類似度計算手段140は、パラメータ語統一手段420によって同義語が統一された変換元コマンドテーブルおよび変換先コマンドテーブルを用いて、パラメータ関連情報の類似度(パラメータ名およびパラメータ説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、必須パラメータ数の一致度)を計算する。この計算方法は、第1の実施形態と同様である。また、コマンド類似度計算手段130、コマンド選択手段150は、第1の実施形態と同様に動作する。既に説明したように、変換ルール作成手段160は、パラメータ語統一手段420による変換前の語と変換後の語との対応関係を参照し、コマンド選択手段150によって対応付けられたコマンドのパラメータ名およびパラメータ文字列中の語を、変換前の語に戻す。そして、第1の実施形態と同様に、変換ルールを作成する。
【0119】
なお、パラメータ語統一手段420による同義語統一処理およびコマンド類似度計算手段130による類似度計算処理は、どちらも、要素抽出手段110がコマンドマニュアルに対する処理を抽出した後に行う。パラメータ語統一手段420が同義語統一処理を実行するタイミングは、コマンド類似度計算手段130による類似度計算処理の前であっても、後であってもよい。あるいは、パラメータ語統一手段420による同義語統一処理およびコマンド類似度計算手段130による類似度計算処理を同時に行う構成であってもよい。
【0120】
本実施形態において、パラメータ同義語記憶装置410が記憶する内容(同義語の組)をユーザが編集可能な構成であってもよい。例えば、コマンド対応付け支援システム100がキーボードやマウス等のユーザに操作されるユーザ操作部(図示せず)と、そのユーザ操作部を介して入力されたユーザの指示により、パラメータ同義語記憶装置410が記憶する同義語の組を編集する同義語編集手段(図示せず)とを備えていてもよい。同義語編集手段は、ユーザの指示に従って、新たな同義語の組を追加したり、削除したりしてもよい。また、同義語編集手段は、ユーザの指示に従って、個々の組において、新たに同義語を追加したり、同義語を削除したりしてもよい。
【0121】
第2の実施形態の効果について説明する。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2の実施形態によれば、パラメータ語統一手段420がパラメータ名およびパラメータの説明文字列内において、同じ意味を表す語を統一し、パラメータ類似度計算手段140は、その統一処理語のパラメータ名およびパラメータの説明文字列を用いて類似度計算を行う。そのため、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度をより高い精度で計算することができ、その結果、総合類似度の精度が上がり、コマンドの対応付けをより正確に行うことができる。
【0122】
実施形態3.
図17は、本発明の第3の実施形態の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態のコマンド対応付け支援システム100は、要素抽出手段110と、コマンド情報記憶装置120と、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140と、コマンド選択手段150と、変換ルール作成手段160と、変換ルール記憶装置170と、コマンド変換手段520とを備える。コマンド対応付け支援システム100には、コンフィグ入力装置510と出力装置530とが設けられるが、コマンド対応付け支援システム100自身が、コンフィグ入力装置510および出力装置530を備えていてもよい。
【0123】
コンフィグ入力装置510は、ネットワーク機器が持つ機器設定ファイルをコマンド対応付け支援システム100のコマンド変換手段520に入力するためのインタフェースである。機器設定ファイルは、変換元コマンド群のコマンドの集合であり、例えば、テキスト等の文書フォーマットで作成されたファイルである。ここでは、ネットワーク機器に対する機器設定ファイルを例に説明するが、コンフィグ入力装置510に入力される設定フィアルは、ソフトウェアに対する設定を規定したものであってもよい。これらの機器設定ファイルやソフトウェアに対する設定ファイルは、機器やソフトウェアに対する設定を行うための設定情報ということができる。機器やソフトウェアに対する設定情報は、変換元コマンド群のコマンドを含むファイル形式で入力されてもよい。また、変換元コマンド群の個々のコマンドが一つずつ、あるいは、複数まとめて、設定情報として入力されてもよい。このような設定情報がコンフィグ入力装置510を介してコマンド変換手段520に入力される。ここでは、機器設定ファイルが入力される場合を例にして説明する。なお、コンフィグ入力装置510および入力装置210が同一の装置によって実現されていてもよい。
【0124】
コマンド変換手段520は、変換ルール作成手段160が作成して変換ルール記憶装置170に記憶させた変換ルールに従い、機器設定ファイル(設定情報)に含まれる変換前コマンド群のコマンドを、変換先コマンド群のコマンドに変換する。
【0125】
出力装置530は、コマンド変換手段520によってコマンドが変換された機器設定ファイルを出力する出力装置である。出力装置530は、例えば、ディスプレイ装置によって実現され、コマンド変換後の機器設定ファイルを表示する。ただし、出力装置530はディスプレイ装置に限定されず、機器設定ファイルの出力態様も表示に限定されない。
【0126】
コマンド変換手段520は、例えば、プログラムによって動作するCPUによって実現される。なお、プログラムは、例えば、コマンド対応付け支援システム100が備えるプログラム記憶装置(図示せず。)に記憶される。CPUは、そのプログラムを読み込み、そのプログラムに従って、コマンド変換手段520として動作する。
【0127】
次に、本実施形態の動作について説明する。
変換ルール作成手段160が変換ルールを作成して変換ルール記憶装置170に記憶させるまでの動作は、第1の実施形態と同様である。
【0128】
また、コンフィグ入力装置510は、例えば、ユーザの操作に従って、機器設定ファイルをコマンド変換手段520に入力する。なお、機器設定ファイルは、ユーザが各ネットワーク機器から手作業で抽出してもよい。あるいは、各ネットワーク機器とコンフィグ入力装置510との間で適切なネットワークプロトコルを用いた通信を行い、コンフィグ入力装置510が機器設定ファイルを自動的に抽出してもよい。図18は、コンフィグ入力装置510がコマンド変換手段520に入力する機器設定ファイルの一部の具体例を示す説明図である。図18に示す2行目から4行目は、コマンド「set vlan untag」によって機器に対する設定を規定している部分である。
【0129】
コマンド変換手段520は、機器設定ファイルが入力されると、変換ルール記憶装置170が記憶する変換ルールに従って、機器設定ファイルに含まれるコマンド(変換元コマンド群のコマンド)を、変換先コマンド群のコマンドに変換する。図19は、コマンド変換手段520のコマンド変換処理の処理経過の例を示すフローチャートである。また、図20は、コマンド変換手段520のコマンド変換処理の具体例を示す説明図である。図20において、機器設定ファイル540はコマンド変換前の機器設定ファイルの例であり、機器設定ファイル550はコマンド変換後の機器設定ファイルの例である。
【0130】
コマンド変換手段520は、コンフィグ入力装置510から入力された機器設定ファイルの中から変換元コマンドを1つ選択する(ステップW1)。ここでは、機器設定ファイル内では、1行に1つのコマンドが記述されているものとする。この場合、コマンド変換手段520は、ステップW1において、機器設定ファイルにおける1行分の記述を選択すればよい。例えば、コマンド変換手段520は、図20に例示する機器設定ファイル540中の2行目「set vlan untag 10 1」を選択する。
【0131】
次に、コマンド変換手段520は、ステップW1で選択したコマンドを変換する変換ルールを、変換ルール記憶装置170に記憶された変換ルールの中から検索する(ステップW2)。例えば、各変換ルールにおける変換元コマンドのコマンド名と、ステップW1で選択したコマンドのコマンド名とを照合して、コマンド名が一致する変換ルールを検索すればよい。図20に示す変換ルールテーブル361が変換ルール記憶装置170に記憶されているとする。コマンド変換手段520は、ステップW1で選択したコマンドのコマンド名「set vlan untag」を変換元コマンドのコマンド名とする検索し、変換ルールテーブル361の1番目の変換ルールを読み込む(図20参照)。
【0132】
ステップW2の後、コマンド変換手段520は、ステップW1で選択したコマンドを、ステップW2で検索した変換ルールに従って変換する(ステップW3)。例えば、図20に例示する変換ルールテーブル361の1番目の変換ルールは、変換元コマンド名「set vlan untag」を変換先コマンド名「set vlan portbase」に変換し、変換元コマンドの1番目のパラメータ(「{VLAN−ID|Name}」)を変換先コマンドの1番目のパラメータとし、変換元コマンドの2番目のパラメータ(「ポート番号1〜26」)を変換先コマンドの2番目のパラメータとすることを定めている。この変換ルールに従い、コマンド変換手段520は、ステップW1で選択した「set vlan untag 10 1」を、「set vlan portbase 10 1」に変換する。
【0133】
以降、同様に、コマンド変換手段520は、機器設定ファイルから一つのコマンドを選択し、そのコマンドに応じた変換ルールを検索して、コマンドを変換する処理(ステップW1〜W3)を繰り返す(ステップW4)。機器設定ファイルの全コマンドに対して変換が完了するまで、この繰り返し処理を行う。この結果、図20に示す機器設定ファイル540の内容は、図20に示す機器設定ファイル550のように変換される。
【0134】
コマンド変換手段520は、変換後の機器設定ファイル550を出力装置530に出力させる。例えば、コマンド変換手段520は、出力装置530に相当するディスプレイ装置に表示させてもよい。また、出力形式は、例えば、テキストファイル等のファイル形式であってもよいし、他のファイルフォーマットであってもよい。また、コマンドプロンプトの標準出力等に変換結果を出力してもよい。あるいは、出力装置530は通信インタフェースであって、変換後の機器設定ファイルを、通信ネットワークを介して直接各ネットワーク機器に送信する出力態様であってもよい。
【0135】
以上の説明では、機器に対する設定情報(機器設定ファイル)が入力される場合を例にして、説明したが、ソフトウェアに対する設定情報が入力され、その設定情報内のコマンドを変換してもよい。
【0136】
第3の実施形態において、コマンド変換手段520は、ステップW1で選択したコマンドの変換ルールがない場合、すなわち、ステップW2で変換ルールの検索に失敗した場合、選択したコマンドの変換ルールが存在しない旨の情報を出力してもよい。例えば、ステップW1で選択したコマンドの変換ルールがなく、その変換ルールの作成をユーザに促すメッセージをディスプレイ装置等に表示させてもよい。
【0137】
また、第1の実施形態で説明したように、パラメータ数が一致していないコマンド同士が対応付けられている場合もあり得る。この場合、変換ルール作成手段160は、応付け可能なパラメータだけを使って変換ルールを作成すればよい。対応付けられなかったパラメータが存在する場合、変換ルールとともに、そのパラメータのパラメータ名も変換ルール記憶装置170に記憶させればよい。ステップW2で検索した変換ルールとともに、対応付けが行われていないパラメータが変換ルール記憶装置170に記憶されている場合、対応付けが行われていないパラメータのパラメータ名と、その変換ルールを完成させるように変換ルールの編集を促すメッセージとをディスプレイ装置等に表示させてもよい。
【0138】
また、設定情報には、設定情報内のコマンドが適用される機器やソフトウェアを指定する指定情報(機器名またはソフトウェア名等)が含まれていてもよい。コマンド変換手段520は、設定情報に含まれる指定情報を参照し、その指定情報を用いて、変換ルール記憶装置170に記憶される変換ルールを絞り込んでもよい。例えば、コマンド変換手段520は、機器設定ファイルの所定位置(例えば1行目)には機器名が記述されているとみなして機器名を抽出し、抽出した機器名に対応する変換ルールだけを変換ルール記憶装置170から最初に選択しておいてもよい。コマンド変換手段520は、ステップW2において、その変換ルールの中から選択コマンドに合う変換ルールを検索してもよい。このように、機器名等で変換ルールを絞り込むことで、コマンドの変換処理を高速化することができる。
【0139】
コマンド変換手段520は、ステップW2で検索した変換ルールを、各コマンドに対する変換処理が完了するまで一時記憶しておき、ステップW1〜W3の繰り返し処理でステップW2を再度実行する場合には、直前のステップW1で選択したコマンドの変換ルールを、一時記憶している変換ルールの中から検索し、目的の変換ルールが一時記憶している変換ルールの中になければ、変換ルール記憶装置170に記憶される変換ルールから選択してもよい。
【0140】
コマンド変換手段520は、変換先コマンド群のコマンドから変換元コマンド群へのコマンドへ逆変換する処理を行ってもよい。
【0141】
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、コマンド変換手段520は、入力された設定情報に含まれるコマンドを、変換ルールに従って、変換先コマンド群のコマンドに変換する。従って、これによって、異なるコマンド群間における同義コマンドの検索および置換を容易に行うことができる。そして、単一のコマンドまたは複数のコマンドを含む設定情報を、別のコマンド群における同義のコマンドで記述した設定情報に自動的に変換することができる。
【0142】
第3の実施形態において、第2の実施形態と同様に、パラメータ同義語記憶装置410およびパラメータ語統一手段420(図13参照)を備えていてもよい。その場合、第2の実施形態と同様の効果も得られる。
【0143】
実施形態4.
図21は、本発明の第4の実施形態の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態のコマンド対応付け支援システム100は、要素抽出手段110と、コマンド情報記憶装置120と、コマンド類似度計算手段130と、パラメータ類似度計算手段140と、コマンド選択手段150と、変換ルール作成手段160と、変換ルール記憶装置170と、パラメータ重み計算手段610とを備える。
【0144】
パラメータ重み計算手段610は、パラメータ類似度計算手段140がパラメータ関連情報として計算した「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、および「必須パラメータ数の一致度」に対して重み付けを行う。具体的には、パラメータ重み計算手段610は、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度に対してそれぞれ重み係数を乗じることによって、重み付けを行う。パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度に対する重み係数を第1の重み係数と記す。全パラメータ数の一致度に対する重み係数を第2の重み係数と記す。必須パラメータ数の一致度に対する重み係数を第3の重み係数と記す。パラメータ重み計算手段610は、パラメータ類似度計算手段140が作成したパラメータ類似度テーブル(図9参照)に格納された値を用いて、上記の重み付けを行い、重み付けを行った後の各値(パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度)を格納したテーブル(重み類似度テーブル)を作成すればよい。
【0145】
また、コマンド対応付け支援システム100が、例えば、第1から第3までの各重み係数を格納する重み係数テーブルを記憶する重み係数記憶手段(図示せず)を備え、パラメータ重み計算手段610がその第1から第3までの各重み係数を参照する構成であってもよい。なお、第1から第3までの各重み係数をユーザが編集可能な構成であってもよい。例えば、コマンド対応付け支援システム100がキーボードやマウス等のユーザに操作されるユーザ操作部(図示せず)と、そのユーザ操作部を介して入力されたユーザの指示により、重み係数テーブルを編集する重み変更手段(図示せず)とを備えていてもよい。重み変更手段は、ユーザの指示に従って、第1から第3までの各重み係数の値を更新する。
【0146】
類似度の計算精度を上げるために、第1の重み係数の値を、第2の重み係数および第3の重み係数よりも大きく定めることが好ましい。また、第2の重み係数と第3の重み係数の大小関係では、類似度の計算精度を上げるために、第2の重み係数の値を第3の重み係数よりも大きく定めることが好ましい。ただし、第3の重み係数の値を第2の重み係数よりも大きく定めてもよい。
【0147】
コマンド類似度計算手段130は、第1の実施形態と同様に、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算する。
【0148】
本実施形態において、コマンド選択手段150は、コマンド類似度計算手段130が計算した「コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度」と、重み付けをした「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、「必須パラメータ数の一致度」から総合類似度を計算する。コマンド選択手段150は、コマンドの個々の組について、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度、重み付けをした「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、および「必須パラメータ数の一致度」の総和を計算し、その総和を総合類似度とする。
【0149】
その他の点については、第1の実施形態と同様である。
【0150】
パラメータ重み計算手段610は、例えば、プログラムによって動作するCPUによって実現される。なお、プログラムは、例えば、コマンド対応付け支援システム100が備えるプログラム記憶装置(図示せず。)に記憶される。CPUは、そのプログラムを読み込み、そのプログラムに従って、パラメータ重み計算手段610として動作する。
【0151】
次に、動作について説明する。
図22は、パラメータ重み計算手段610の動作の例を示すフローチャートである。また、図23は、重み付けを行い、重み付け結果から総合類似度を計算する例を示す説明図である。
【0152】
パラメータ類似度計算手段140は、第1の実施形態と同様に、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度を計算し、それらの計算結果を格納したパラメータ類似度テーブルを作成する。パラメータ類似度計算手段140は、そのパラメータ類似度テーブルをパラメータ重み計算手段610に渡す。図23に示すテーブル342は、このパラメータ類似度テーブルの例を示す
【0153】
パラメータ重み計算手段610は、パラメータ類似度テーブルに格納された、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度に対して、重み付けを計算する(ステップX1)。すなわち、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度の組において、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度に第1の重み係数を乗じ、全パラメータ数の一致度に第2の重み係数を乗じ、必須パラメータ数の一致度に第3の重み係数を乗じる。
【0154】
パラメータ重み計算手段610は、パラメータ類似度テーブルにおける「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、および「必須パラメータ数の一致度」の各組に対する重み付けが終了するまで、ステップX1の処理を繰り返す。
【0155】
例えば、図23に示すように、第1の重み係数が0.8であり、第2の重み係数が0.3であり、第3の重み係数が0.6であるとする。また、パラメータ類似度テーブル342(図23参照)において、「set vlan portbase」と着目コマンドとの間における「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、および「必須パラメータ数の一致度」は、それぞれ0.760,1,1となっている。従って、パラメータ重み計算手段610は、「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度(0.760)」に第1の重み係数(0.8)を乗じて、その重み付け後の値0.608を計算する。同様に、「全パラメータ数の一致度(1)」に第2の重み係数(0.3)を乗じて、その重み付け後の値0.3を計算する。同様に、「必須パラメータ数の一致度(1)」に第3の重み係数(0.6)を乗じて、その重み付け後の値0.6を計算する。パラメータ重み計算手段610は、この計算結果を重み類似度テーブルに格納する。
【0156】
図23に示す例では、「set vlan portbase」に関する重み付け処理後、「set snmp manager ip」が残っているので、「set snmp manager ip」に関しても同様に重み付けを行い、重み類似度テーブル630(図23参照)を作成する。パラメータ重み計算手段610は、作成した重み類似度テーブル630をコマンド選択手段150に渡す。
【0157】
また、コマンド類似度計算手段130は、第1の実施形態と同様に、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算し、その計算結果を格納したコマンド名類似度テーブルを作成し、コマンド選択手段150に渡す。図23に示すテーブル340は、この例を示す。
【0158】
コマンド選択手段150は、コマンド名類似度テーブル340と、重み類似度テーブル630とを参照して、コマンドの組毎に、「コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度」、および、重み付けを行った「パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度」、「全パラメータ数の一致度」、「必須パラメータ数の一致度」の和を、総合類似度として計算する。
【0159】
例えば、図23に例示するコマンド名類似度テーブル340および重み類似度テーブル630が得られた場合、コマンド選択手段150は、着目コマンド(図23において図示せず)と「set vlan portbase」との総合類似度を、0.738+0.608+0.3+0.6=2.246と計算する。また、着目コマンド(図23において図示せず)と「set snmp manager jp」との総合類似度を、0.175+0+0.3+0.3=0.775と計算する。
【0160】
コマンド選択手段150は、計算した各総合類似度を総合類似度テーブル640に格納する。総合類似度を計算した後の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0161】
第4の実施形態の効果について説明する。第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに第4の実施形態によれば、パラメータ関連情報(パラメータ名およびパラメータの説明文字列、全パラメータの一致度、必須パラメータの一致度)に対する重み付けを行い、その結果を用いて総合類似度を計算する。従って、パラメータ関連情報の類似度および総合類似度の精度をより向上させることができ、2つのコマンド群間のコマンドの対応付けを正確に、また高速に行うことができる。
【0162】
第3の実施形態および第4の実施形態において、第2の実施形態と同様に、パラメータ同義語記憶装置410およびパラメータ語統一手段420(図13参照)を備えていてもよい。その場合、第2の実施形態と同様の効果も得られる。
【0163】
また、第4の実施形態において、第3の実施形態と同様に、コマンド変換手段520(図17参照)を備えていてもよい。その場合、第3の実施形態と同様の効果も得られる。
【0164】
また、第1の実施形態、第2の実施形態および第4の実施形態において、変換ルール作成手段160および変換ルール170を備えずに、コマンド選択手段150による、変換元コマンド群のコマンドと変換先コマンド群のコマンドとの対応付けまでを行う構成であってもよい。そのような構成においても、コマンド関連情報の類似度、およびパラメータ関連情報の類似度を求め、さらに総合類似度を計算して、総合類似度を用いてコマンドの対応付けを行うので、コマンドの対応付けを短時間で容易に行うことができる。
【0165】
上記の各実施形態で説明したコマンド対応付け支援システムは、例えば、ネットワーク管理を行うためのシステムに適用することができる。また、各種プログラミング言語によるプログラムソースコードの自動変換や同義コマンドの検索等にも適用できる。
【0166】
次に、本発明の概要を説明する。図24は、本発明の概要を示すブロック図である。本発明のコマンド対応付け支援システムは、情報抽出手段71と、コマンド情報記憶手段72と、コマンド類似度計算手段73と、パラメータ類似度計算手段74と、コマンド対応付け手段75とを備える。
【0167】
情報抽出手段71(例えば、要素抽出手段110)は、第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する。
【0168】
コマンド情報記憶手段72(例えば、コマンド情報記憶装置120)は、第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報およびパラメータ関連情報を記憶する。
【0169】
コマンド類似度計算手段73(例えば、コマンド類似度計算手段130)は、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算する。
【0170】
パラメータ類似度計算手段74(例えば、パラメータ類似度計算手段140)は、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算する。
【0171】
コマンド対応付け手段75(例えば、コマンド選択手段150)は、コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付ける。
【0172】
このような構成により、2つのコマンド群間における各コマンドの対応付けを容易に短時間で行うことができる。
【0173】
また、上記の実施形態には、コマンド対応付け手段75が、第1のコマンド群のコマンド毎に、そのコマンドとの総合類似度が高い順に第2のコマンド群のコマンドを提示し、第2のコマンド群のコマンドのうちユーザに指定されたコマンドと第1のコマンド群のコマンドとを対応付ける構成が開示されている。そのような構成によれば、ユーザは、総合類似度が高い順にコマンドを確認できるので、対応するコマンドの指定を容易に行うことができる。
【0174】
また、上記の実施形態には、コマンド対応付け手段75が、第1のコマンド群のコマンド毎に、第1のコマンド群のコマンドと、そのコマンドとの総合類似度が最も高い第2のコマンド群のコマンドとを対応付ける構成が開示されている。そのような構成によれば、ユーザが操作を行わなくても、コマンドを対応付けることができる。
【0175】
また、上記の実施形態には、コマンド対応付け手段75に対応付けられたコマンドの組み合わせ毎に、第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する変換ルールを作成する変換ルール作成手段(例えば、変換ルール作成手段160)を備える構成が開示されている。そのような構成によれば、コマンド変換ルールを容易に短時間で作成することができる。
【0176】
また、上記の実施形態には、変換ルール作成手段が作成した変換ルールを記憶する変換ルール記憶手段(例えば、変換ルール記憶装置170)と、変換ルール記憶手段に記憶された変換ルールをユーザの操作に従って編集する変換ルール編集手段とを備える構成が開示されている。そのような構成によれば、自動的に作成された変換ルールをユーザが編集できる。
【0177】
また、上記の実施形態には、ハードウェア(例えば、ネットワーク機器)またはソフトウェアに対する設定を行うための設定情報(例えば、機器設定ファイル)であって第1のコマンド群のコマンドを含む設定情報が入力されると、変換ルールに従って、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換するコマンド変換手段を備える構成が開示されている。そのような構成によれば、設定情報内のコマンドを、同じ意味を持つ別のコマンドに変換することができる。
【0178】
また、上記の実施形態には、変換ルール作成手段が、コマンド対応付け手段に対応付けられたコマンドの組み合わせ毎に、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名と第2のコマンド群のコマンドのコマンド名とを対応付け、第1のコマンド群のコマンドのパラメータと第2のコマンド群のコマンドのパラメータとを対応付けることによって、変換ルールを作成し、コマンド変換手段が、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドのコマンド名を第2のコマンド群のコマンドのコマンド名に変換し、第1のコマンド群のコマンドのパラメータを、対応する第2のコマンド群のコマンドのパラメータとして記述することによって、第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する構成が開示されている。
【0179】
また、上記の実施形態には、コマンド変換手段が、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドの変換ルールが存在しない場合、第1のコマンド群のコマンドの変換ルールが存在しない旨の情報を出力する構成が開示されている。そのような構成によれば、変換ルールが不足していることをユーザが認識できる。
【0180】
また、上記の実施形態には、コマンド変換手段が、ハードウェアまたはソフトウェアを指定する指定情報を含む設定情報が入力されると、指定情報によって指定されたハードウェアまたはソフトウェアのコマンドマニュアルに基づいて作成された変換ルールを選択し、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する構成が開示されている。そのような構成によれば、変換ルールの絞り込みが行われるので、コマンドの変換をより速く行うことができる。
【0181】
また、上記の実施形態には、コマンド変換手段が、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換したときに、変換に用いた変換ルールを一時記憶し、設定情報に第1のコマンド群のコマンドが再度出現した場合、一時記憶した変換ルールを参照して第2のコマンド群のコマンドへの変換を行う構成が開示されている。そのような構成によれば、同じ変換ルールを繰り返し探索する必要がないので、コマンドの変換をより速く行うことができる。
【0182】
また、上記の実施形態には、情報抽出手段71が、第1のコマンド群のコマンド毎に、コマンド関連情報として、コマンド名およびコマンドの説明文字列をコマンドマニュアルから抽出し、パラメータ関連情報として、コマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列と、コマンドの必須パラメータ数を特定可能な情報とをコマンドマニュアルから抽出し、コマンド情報記憶手段72が、第2のコマンド群のコマンド毎に、コマンド関連情報として、コマンド名およびコマンドの説明文字列を記憶し、パラメータ関連情報として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列と、コマンドの必須パラメータ数を特定可能な情報とを記憶し、コマンド類似度計算手段73が、コマンド関連情報の類似度として、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算し、パラメータ類似度計算手段74が、パラメータ関連情報の類似度として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度と、全パラメータ数の一致度と、必須パラメータ数の一致度とを計算する構成が開示されている。そのような構成によれば、全パラメータ数の一致度および必須パラメータ数の一致度も用いて総合類似度を計算するので、コマンドの対応付けの精度を高めることができる。
【0183】
また、上記の実施形態には、パラメータ類似度計算手段74が、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第1のパラメータベクトルを定め、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第2のパラメータベクトルを定め、第1のパラメータベクトルと第2のパラメータベクトルとのコサイン類似度を、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度とする構成が開示されている。
【0184】
また、上記の実施形態には、パラメータ類似度計算手段74が、第1のコマンド群のコマンドの全パラメータ数と第2のコマンド群のコマンドの全パラメータ数との差の絶対値に所定の正数を加算し、その加算結果の逆数を全パラメータ数の一致度とし、第1のコマンド群のコマンドの必須パラメータ数と第2のコマンド群のコマンドの必須パラメータ数との差の絶対値に所定の正数を加算し、その加算結果の逆数を必須パラメータ数の一致度とする構成が開示されている。
【0185】
また、上記の実施形態には、コマンド類似度計算手段73が、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第1のコマンド名ベクトルを定め、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第2のコマンド名ベクトルを定め、第1のコマンド名ベクトルと第2のコマンド名ベクトルとのコサイン類似度を、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度とする構成が開示されている。
【0186】
また、上記の実施形態には、同義語の組を記憶する同義語記憶手段(例えば、パラメータ同義語記憶装置410)と、同義語の組をなす語が第1のコマンド群のコマンドまたは第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する場合、パラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する語を同義語の組内の一つの同義語に変換するパラメータ名統一手段(例えば、パラメータ語統一手段420)とを備える構成が開示されている。そのような構成によれば、語の統一を行ってから、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度を計算するので、類似度の精度を高めることができる。
【0187】
また、上記の実施形態には、同義語記憶手段によって記憶された同義語の組をユーザの操作に従って編集する同義語編集手段を備える構成が開示されている。そのような構成によれば、ユーザが同義語の組を編集することができる。
【0188】
また、上記の実施形態には、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度に対する重み係数である第1の重み係数と、全パラメータ数の一致度に対する重み係数である第2の重み係数と、必須パラメータ数の一致度に対する重み係数である第3の重み係数とを用いて、パラメータ類似度計算手段が計算したパラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度に対する重み付けを行う重み付け手段(例えば、パラメータ重み計算手段610)を備え、コマンド対応付け手段75が、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度と、重み付けが行われた後の、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度とを用いて総合類似度を計算する構成が開示されている。そのような構成によれば、パラメータ関連情報の類似度の精度を向上させることができる。
【0189】
また、上記の実施形態には、コマンド情報記憶手段120に記憶された情報をユーザの操作に従って編集するコマンド編集手段を備える構成が開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、異なるコマンド群に属するコマンド同士の対応付けに好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク機器のコマンドマニュアルの例を示す説明図である。
【図3】変換元コマンドテーブルの例を示す説明図である。
【図4】コマンド情報記憶装置が記憶する情報の例を示す説明図である。
【図5】コマンド関連情報の類似度を計算する動作の例を示すフローチャートある。
【図6】コマンド関連情報の類似度の計算例を示す説明図である。
【図7】パラメータ関連情報の類似度を計算する動作の例を示すフローチャートである。
【図8】パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度の計算例を示す説明図である。
【図9】パラメータ類似度テーブルの例を示す説明図である。
【図10】変換元コマンド群から選択された着目コマンドと変換先コマンド群中の一つのコマンドとを対応付ける処理の例を示すフローチャートである。
【図11】コマンドの対応付けの具体例を示す説明図である。
【図12】変換ルールを作成する処理の具体例を示す説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図14】パラメータ同義語記憶装置が記憶する情報の例を示す説明図である。
【図15】パラメータ語統一手段の動作の例を示すフローチャートである。
【図16】同義語の統一処理の具体例を示す説明図である。
【図17】本発明の第3の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図18】機器設定ファイルの一部の具体例を示す説明図である。
【図19】コマンド変換処理の処理経過の例を示すフローチャートである。
【図20】コマンド変換処理の具体例を示す説明図である。
【図21】本発明の第4の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図22】パラメータ重み計算手段の動作の例を示すフローチャートである。
【図23】重み付けを行い、重み付け結果から総合類似度を計算する例を示す説明図である。
【図24】本発明の概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0192】
110 要素抽出手段
120 コマンド情報記憶装置
130 コマンド類似度計算手段
140 パラメータ類似度計算手段
150 コマンド選択手段
160 変換ルール作成手段
170 変換ルール記憶装置
410 パラメータ同義語記憶装置
420 パラメータ語統一手段
520 コマンド変換手段
610 パラメータ重み計算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、当該コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出手段と、
第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報およびパラメータ関連情報を記憶するコマンド情報記憶手段と、
第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算手段と、
第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算手段と、
コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付け手段とを備える
ことを特徴とするコマンド対応付け支援システム。
【請求項2】
コマンド対応付け手段は、第1のコマンド群のコマンド毎に、当該コマンドとの総合類似度が高い順に第2のコマンド群のコマンドを提示し、第2のコマンド群のコマンドのうちユーザに指定されたコマンドと第1のコマンド群のコマンドとを対応付ける
請求項1に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項3】
コマンド対応付け手段は、第1のコマンド群のコマンド毎に、第1のコマンド群のコマンドと、当該コマンドとの総合類似度が最も高い第2のコマンド群のコマンドとを対応付ける
請求項1に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項4】
コマンド対応付け手段に対応付けられたコマンドの組み合わせ毎に、第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する変換ルールを作成する変換ルール作成手段を備える
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項5】
変換ルール作成手段が作成した変換ルールを記憶する変換ルール記憶手段と、
変換ルール記憶手段に記憶された変換ルールをユーザの操作に従って編集する変換ルール編集手段とを備える
請求項4に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項6】
ハードウェアまたはソフトウェアに対する設定を行うための設定情報であって第1のコマンド群のコマンドを含む設定情報が入力されると、変換ルールに従って、前記設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換するコマンド変換手段を備える
請求項4または請求項5に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項7】
変換ルール作成手段は、コマンド対応付け手段に対応付けられたコマンドの組み合わせ毎に、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名と第2のコマンド群のコマンドのコマンド名とを対応付け、第1のコマンド群のコマンドのパラメータと第2のコマンド群のコマンドのパラメータとを対応付けることによって、変換ルールを作成し、
コマンド変換手段は、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドのコマンド名を第2のコマンド群のコマンドのコマンド名に変換し、前記第1のコマンド群のコマンドのパラメータを、対応する第2のコマンド群のコマンドのパラメータとして記述することによって、第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する
請求項6に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項8】
コマンド変換手段は、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドの変換ルールが存在しない場合、前記第1のコマンド群のコマンドの変換ルールが存在しない旨の情報を出力する
請求項6または請求項7に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項9】
コマンド変換手段は、ハードウェアまたはソフトウェアを指定する指定情報を含む設定情報が入力されると、指定情報によって指定されたハードウェアまたはソフトウェアのコマンドマニュアルに基づいて作成された変換ルールを選択し、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換する
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項10】
コマンド変換手段は、設定情報に含まれる第1のコマンド群のコマンドを第2のコマンド群のコマンドに変換したときに、変換に用いた変換ルールを一時記憶し、設定情報に前記第1のコマンド群のコマンドが再度出現した場合、一時記憶した変換ルールを参照して第2のコマンド群のコマンドへの変換を行う
請求項6から請求項9のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項11】
情報抽出手段は、第1のコマンド群のコマンド毎に、コマンド関連情報として、コマンド名および当該コマンドの説明文字列をコマンドマニュアルから抽出し、パラメータ関連情報として、当該コマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列と、当該コマンドの必須パラメータ数を特定可能な情報とをコマンドマニュアルから抽出し、
コマンド情報記憶手段は、第2のコマンド群のコマンド毎に、コマンド関連情報として、コマンド名および当該コマンドの説明文字列を記憶し、パラメータ関連情報として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列と、当該コマンドの必須パラメータ数を特定可能な情報とを記憶し、
コマンド類似度計算手段は、コマンド関連情報の類似度として、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度を計算し、
パラメータ類似度計算手段は、パラメータ関連情報の類似度として、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度と、全パラメータ数の一致度と、必須パラメータ数の一致度とを計算する
請求項1から請求項10のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項12】
パラメータ類似度計算手段は、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第1のパラメータベクトルを定め、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第2のパラメータベクトルを定め、第1のパラメータベクトルと第2のパラメータベクトルとのコサイン類似度を、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度とする
請求項11に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項13】
パラメータ類似度計算手段は、第1のコマンド群のコマンドの全パラメータ数と第2のコマンド群のコマンドの全パラメータ数との差の絶対値に所定の正数を加算し、その加算結果の逆数を全パラメータ数の一致度とし、第1のコマンド群のコマンドの必須パラメータ数と第2のコマンド群のコマンドの必須パラメータ数との差の絶対値に所定の正数を加算し、その加算結果の逆数を必須パラメータ数の一致度とする
請求項11または請求項12に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項14】
コマンド類似度計算手段は、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第1のコマンド名ベクトルを定め、第1のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列、および第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に含まれる複数の単語について、単語が第2のコマンド群のコマンドのコマンド名およびコマンドの説明文字列に出現する回数を計数し、単語毎の計数結果を要素とするベクトルである第2のコマンド名ベクトルを定め、第1のコマンド名ベクトルと第2のコマンド名ベクトルとのコサイン類似度を、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度とする
請求項11から請求項13のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項15】
同義語の組を記憶する同義語記憶手段と、
前記同義語の組をなす語が第1のコマンド群のコマンドまたは第2のコマンド群のコマンドのパラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する場合、当該パラメータ名およびパラメータの説明文字列に出現する語を前記組内の一つの同義語に変換するパラメータ名統一手段とを備える
請求項11から請求項14のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項16】
同義語記憶手段によって記憶された同義語の組をユーザの操作に従って編集する同義語編集手段を備える請求項15に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項17】
パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度に対する重み係数である第1の重み係数と、全パラメータ数の一致度に対する重み係数である第2の重み係数と、必須パラメータ数の一致度に対する重み係数である第3の重み係数とを用いて、パラメータ類似度計算手段が計算したパラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度に対する重み付けを行う重み付け手段を備え、
コマンド対応付け手段は、コマンド名およびコマンドの説明文字列の類似度と、重み付けが行われた後の、パラメータ名およびパラメータの説明文字列の類似度、全パラメータ数の一致度、および必須パラメータ数の一致度とを用いて総合類似度を計算する
請求項11から請求項16のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項18】
コマンド情報記憶手段に記憶された情報をユーザの操作に従って編集するコマンド編集手段を備える
請求項1から請求項17のうちのいずれか1項に記載のコマンド対応付け支援システム。
【請求項19】
第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、当該コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出ステップと、
予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算ステップと、
予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのパラメータ関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算ステップと、
コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付けステップとを含む
ことを特徴とするコマンド対応付け支援方法。
【請求項20】
コマンド対応付けステップで、第1のコマンド群のコマンド毎に、当該コマンドとの総合類似度が高い順に第2のコマンド群のコマンドを提示し、第2のコマンド群のコマンドのうちユーザに指定されたコマンドと第1のコマンド群のコマンドとを対応付ける
請求項19に記載のコマンド対応付け支援方法。
【請求項21】
コマンド対応付けステップで、第1のコマンド群のコマンド毎に、第1のコマンド群のコマンドと、当該コマンドとの総合類似度が最も高い第2のコマンド群のコマンドとを対応付ける
請求項19に記載のコマンド対応付け支援方法。
【請求項22】
コンピュータに、
第1のコマンド群の各コマンドのコマンド名およびパラメータに関する情報を含むコマンドマニュアルが入力されると、当該コマンドマニュアル内のコマンド毎の情報の範囲を特定して、コマンド毎に、コマンド名に関する情報であるコマンド関連情報と、パラメータに関する情報であるパラメータ関連情報とを抽出する情報抽出処理、
予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのコマンド関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報と第2のコマンド群のコマンドのコマンド関連情報との類似度を計算するコマンド類似度計算処理、
予めコマンド情報記憶手段に記憶された第2のコマンド群の各コマンドのパラメータ関連情報を用いて、第1のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報と第2のコマンド群のコマンドのパラメータ関連情報との類似度を計算するパラメータ類似度計算処理、および、
コマンド関連情報の類似度およびパラメータ関連情報の類似度から、コマンドの類似度を表す総合類似度を計算し、総合類似度を利用して第1のコマンド群のコマンドと第2のコマンド群のコマンドとを対応付けるコマンド対応付け処理
を実行させるためのコマンド対応付け支援プログラム。
【請求項23】
コンピュータに、
コマンド対応付け処理で、第1のコマンド群のコマンド毎に、当該コマンドとの総合類似度が高い順に第2のコマンド群のコマンドを提示させ、第2のコマンド群のコマンドのうちユーザに指定されたコマンドと第1のコマンド群のコマンドとを対応付けさせる
請求項22に記載のコマンド対応付け支援プログラム。
【請求項24】
コンピュータに、
コマンド対応付け処理で、第1のコマンド群のコマンド毎に、第1のコマンド群のコマンドと、当該コマンドとの総合類似度が最も高い第2のコマンド群のコマンドとを対応付けさせる
請求項22に記載のコマンド対応付け支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−113651(P2010−113651A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287685(P2008−287685)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】