説明

コモン・パブリック・ラジオ・インタフェース(CPRI)のベンダー特有領域を使った回線迂回方式

【課題】低廉なコストで、CPRIを無線制御部と無線部間の内部インタフェースに採用した無線基地局のCPRIリンク障害に対処する手段を提供する。
【解決手段】複数の無線部間を直接接続する通信手段、及び該通信手段並びに他の無線部と無線制御部とを接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を、自無線部と無線制御部とを接続するCPRIリンクの迂回ルートとする手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局内部のオープンインタフェースであるコモン・パブリック・ラジオ・インタフェース、すなわちCPRI(Common Public Radio Interface)を採用し、無線基地局内の制御部と無線部をREC(Radio Equipment Control)とRE(Radio Equipment)として分離し、その間を光ファイバー回線で接続した無線基地局(以下、CPRI無線基地局ということがある。)における回線迂回方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線基地局の設置形態は、無線制御部(REC)と無線部(RE)とが離れた場所に設置され、その間を光ファイバーで結ぶ1対nの接続形態が一般化している。またRECとREとの間のインタフェース部に、コモン・パブリック・ラジオ・インタフェース(CPRI)を用いるケースが増加している。このCPRIの詳細な内容については、下記非特許文献1にアクセスすることにより取得可能である。
【0003】
図7は、内部インタフェースとして上述のCPRIを採用した無線基地局を模式的に示したものである。
無線基地局(100)は、REC(101)、n個のRE(120)及び各RE(120)とREC(101)を接続する光ファイバーによるCPRIリンク(110)から構成されている。RE(120)は、例えば地下街などに設置され、REC(101)の設置された地点からでは電波が充分到達しないような場所においても移動端末(140)の使用を可能とすることができる。
【0004】
上記のような構成の無線基地局(100)の場合、RECとRE間の光ファイバーが断線すると、それに接続されるREは、RECとの間で信号(ユーザーデータ、監視/制御信号等)の送受信ができなくなり、REは運用不能の状態に陥り、移動端末(140)はセル内待受け、通話が不能となってしまう。
【0005】
通常、上記の問題を回避するためにRECとRE間に同じ伝送容量の光ファイバーを複数本敷設し、光回線を冗長構成とする手法を用いるが、光ファイバーが複数本となるため、その敷設費用の増加が避けられない。
【0006】
また、図8に示すように、RE#2(120’)とREC(101)間のCPRIリンク(110’)に障害が発生した場合に、RE#2(120’)とREC(101)間のデータ送受信を通信回線(130)とRE#1(120)を経由して行うことで、上記の問題を解決しようとすると、RE#1(120)とREC(101)間のCPRIリンク(110)には、REC(101)とRE#1(120)間のデータと、REC(101)とRE#2(120’)間のデータが流れるため、REC(101)とRE#1(120’)間の光回線の伝送容量を増やさなければならない問題が生じる。
【0007】
そのほかの通信システムの障害対策として、例えば下記特許文献1及び下記特許文献2に記載された技術が存在する。
特許文献1に開示されたものは、いわゆるN+1構成による障害対策である。このN+1構成は2重化構成と比べると経済的ではあるが、CPRI無線基地局のCPRIリンクに適用しようとすると、N本のリンクとN個のREに予備のリンクとREを1つ設けることになる。しかし各REはそれぞれ異なる場所に設置されるのであり、どこに設置されREと接続するリンクに障害が発生するか分からないから、CPRI無線基地局のCPRIリンク障害に対してはN+1構成は採用できない。
【0008】
また、特許文献2に開示されたものはATM交換網に関するものであり、現用の運用コネクションに対して障害に備えて予備のコネクションを確立しておいたり予約しておいたりするものであり、もともとノード間の接続ルートが複数あるような交換網用の手法であって、CPRI無線基地局のような1対N接続のシステムには適用することができない。
【特許文献1】特開平08−149180号公報
【特許文献2】特開2008−298461号公報
【非特許文献1】CPRI Common Public Radio (Interfacehttp://www.cpri.info/spec.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低廉なコストで、CPRI無線基地局のCPRIリンク障害に対処する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、CPRI無線基地局を構成する複数の無線部間を直接接続する通信手段、及び該通信手段並びに他の無線部と無線制御部とを接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を、自無線部と無線制御部とを接続するCPRIリンクの迂回ルートとする手段を提供する。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、無線制御部と無線部との間のCPRIリンクの冗長構成を必要とすることなく、また無線制御部と無線部との間のCPRIリンクの伝送容量を増加させることなく、無線制御部と無線部との間に低廉なコストで迂回ルートを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の基本原理及びその実施態様の基本構成例を示す図である。
図1に例示した本実施態様の無線基地局(50)は、無線制御装置REC(1)と2つの無線装置であるRE#1(20)とRE#2(20’)、REC(1)とRE#1(20)を接続するCPRIリンク#1(10)、REC(1)とRE#2(20’)を接続するCPRIリンク#2(10’)、及びRE#1(20)とRE#2(20’)を接続する通信回線(30)から構成される。RE#1(20)とRE#2(20’)はそれぞれが受け持つセル内の移動端末(40,40’)との無線による送受信の中継を行う。
【0013】
CPRIリンク#1(10)及びCPRIリンク#2(10’)上で伝送されるデータのフォーマットには、制御用と管理用の信号(C&M信号)に割り当てられた領域とユーザーデータに割り当てられた領域のほか、移動体通信システムを運用し、移動体通信サービスをユーザーに提供するキャリア(ベンダー)にその使用方法が任せられているベンダー特有領域(Vender Specific 領域)が存在する。
【0014】
本発明は、CPRIリンク#2(10’)のバックアップルートとして、通信回線(30)とCPRIリンク#1(10)のベンダー特有領域を使用する。図1の例では、無線装置が2つの場合であるが、無線装置の数が3以上の場合でも、無線装置間を接続する通信回線を設け、CPRIリンクごとにバックアップルートとしてそのベンダー特有領域を使用する相手方のCPRIリンクを決めておくことにより迂回ルートを設定することができる。その際の通信回線は、迂回ルートを形成することさえできれば、複数の1対1接続のもの等様々な形態のものが可能である。
【0015】
もし、CPRIリンク#2(10’)に障害が発生した場合には、CPRIリンク#1(10)のユーザーデータ領域はRE#1(20)のセルに位置する移動端末(40)のユーザーデータにより使用されるが、ベンダー特有領域は、RE#1(20’)のセルに位置する移動端末(40’)のユーザーデータを含むREC(1)とRE#2(20’)との間の送受信データにより使用される。
【0016】
図2は、CPRIにおいて一度に連続して送信されるデータであるUMTS無線フレームのフレーム構造の一例を説明する図である。CPRIではビット速度等に応じて幾種類かのフレーム構造が存在するが、ここでは代表的なもののみを紹介する。なお、UMTSは、CPRIが準拠している、第3世代移動体通信システムの標準の一つである、Universal Mobile Telecommunication System の略である。
【0017】
図2の(1)に示すのは、最下層の構造である基本フレームの構成を示すものである。基本フレームは、8ビットのワードの16個から構成される。これらのワードはY0、Y1、・・・、Y15と表記され、これらのY0、Y1等は基本フレームの行番号と呼ばれる。基本フレームの先頭ワード(バイト)は制御用の信号に割り当てられるコントロールワードである。
【0018】
図2の(2)に示すのは、256個の基本フレームからなるハイパーフレームの構成である。ハイパーフレーム中の基本フレームは、X0、X1、・・・、X255と表記される。1ハイパーフレームには256個のコントロールワードが割り当てられることになる。
【0019】
図2の(3)に示すのは、150個のハイパーフレームからなるUMTS無線フレームの構成である。UMTS無線フレーム中のハイパーフレームは、Z0、Z1、・・・、Z149と表記される。
【0020】
図2の(4)は、一度に連続して送信されるデータの塊であるUMTS無線フレームが順次送信される様子が示されている。UMTS無線フレームには順次ノードBフレームナンバー(BFN)が付与されて送信される。
【0021】
以上の説明から理解されるように、CPRIリンク上を流れるワードは、BFNにより何番目に送信されたUMTS無線フレームに含まれるかが特定され、UMTS無線フレームでの位置は、上述のX、Y、Z座標により特定される。
したがって、ハイパーフレーム中のコントロールワードは(X#,Y0)、#=0,1,・・・,255で識別することができる。
【0022】
図3は、ハイパーフレーム中の256個のコントロールワードがどのように用いられるかを説明する図である。図示のように64行ずつ4列並べることにより64のサブチャネルを構成し、サブチャネルごとに制御信号の種別を定め、列ごと(ワードごと)にその用途を定めている。
【0023】
ベンダー特有領域は、サブチャネル16からサブチャネルP−1までに割り当てられており、Pの値はサブチャネル2の4番目のワード、X座標で言えばX194で指定されている。
【0024】
Pの最大値は63であるから、最大でコントロールデータに割り当てられた領域の半分までベンダー特有領域とし、バックアップルートとして使えることになる。したがって、後に説明するように、ベンダー特有領域をバックアップルートとして使う場合には、トラフィック制御を行うことが望ましい。
【0025】
図4は、図1に示す実施態様に係る無線基地局(50)の機能ブロック構成例を示す図である。図1と同じ符号を付した部分は図1について説明したものと同様である。
無線制御装置REC(1)は、共通装置であるアクセスリンク制御部(2)と回線切替制御部(7)、無線装置RE#1(20)とRE#2(20’)に対応したRE監視部(3,3’)、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4,4’)、回線切替要求信号検出部(5,5’)、CPRIリンク回線状態検出部(6,6’)、及び回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4,4’)間を接続する迂回用通信路としての迂回用バス(8)を含んで構成される。なお、本発明と直接関係しない部分については省略している。また、迂回用通信路はバスに限らず、例えば複数の無線部同士をそれぞれ直接接続するN対N接続のネットワークであってもよい。
【0026】
無線装置RE#1(20)は、CPRIリンク回線状態検出部(21)、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22)、回線切替要求信号検出部(23)、通信回線(30)の状態を検出する回線状態検出部(24)、回線切替制御部(25)及び主信号処理部/監視制御部(26)を含んで構成される。なお、無線送受信機能の部分については省略している。
無線装置RE#2(20’)の構成も、無線装置RE#1(20)と同様である。
【0027】
以下、図5及び図6を参照して図4に示す無線基地局(50)のCPRIリンク障害時の迂回ルートへの切替動作について説明する。
図5は、無線制御装置REC(1)主導の迂回ルートへの切替動作を示すものである。
【0028】
(1)CPRIリンク(10')に障害が発生してCPRIリンク(10')を用いた通信が不能となった場合、REC(1)のCPRIリンク回線状態検出部(6’)によって、CPRIリンク断を検出し、
(2)その情報が回線切替制御部(7)に通知される。
(3)回線切替制御部(7)は、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4)に対して回線切替要求信号を送信する。
(4)回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4)は回線切替要求信号をRE#1(20)向けのCPRI信号のベンダー特有領域の特定のアドレス(図3を参照。)に挿入する。RE#1(20)は、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22)で受信したCPRI信号のベンダー特有領域から回線切替要求信号を抽出し、RE#2(20’)向けの通信回線(30)に送信する。RE#2(20’)は回線切替要求信号検出部(23’)で回線切替要求信号を抽出した場合、回線切替制御部(25’)に対して回線切替要求を送信する。
(5)これにより回線切替制御部(25’)は回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22’)に対して回線切替制御を行う。
(6)次に無線制御装置REC(1)の回線切替制御部(7)は、アクセスリンク制御部(2)に対してユーザーデータ量を制限するための通知を送信する。これにより、アクセスリンク制御部(2)は、呼制御等を実施し、ユーザーデータ量を減らす。具体的には、RE#2(20’)に収容された移動端末(40’)を緊急呼に制限することなどを実施する。サービス種別を緊急連絡用のメールに制限することによってもユーザーデータ量を減らすことができる。
(7)また、回線切替制御部(7)は、RE監視制御部(3’)に対しても通知を送信し、これによりRE監視制御部(3’)はRE#2(20’)向けのポーリング信号の送信間隔を伸ばす。なお、このポーリング信号は、迂回用バス(8)等の迂回ルートによりRE#2(20’)に送信されるのは勿論である。
(8)次に、回線切替制御部(7)は回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4’)に対して切替要求を送信し、
(9)回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4’)はRE#2(20’)向けデータのルートを迂回用バス(8)の方向に切りかえる。
【0029】
以上の切替動作の後、RE#2(20’)向けデータは次のように送信される。
回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4)では、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4')から受信したデータを、RE#1(20)向けのCPRI信号のベンダー特有領域に挿入し、RE#1(20)に向けて送信する。
【0030】
RE#1(20)は、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22)でベンダー特有領域からデータを抽出し、通信回線(30)に送信する。
RE#2(20’)では、通信回線(30)から受信したデータを回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22’)を経由して、主信号処理部/監視制御部(26’)に渡す。
【0031】
主信号処理部/監視制御部(26’)は受け取ったデータのうち、制御信号に基づいて主信号の処理や監視制御を行うとともに、ペイロードデータは図示しない無線送信部から移動端末に向けて送信される。
移動端末からの上りデータは、上述の送信時のルートを逆方向に送信される。
【0032】
図6は、無線装置側主導の迂回ルートへの切替動作を示すものである。
(1)CPRIリンク(10')に障害が発生してCPRIリンク(10')を用いた通信が不能となった場合、RE#2(20’)のCPRIリンク回線状態検出部(21’)によって、CPRIリンク断を検出し、
(2)その情報が回線切替制御部(25’)に通知される。
(3)回線切替制御部(25’)は、回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22’)に対して回線切替要求信号を送信するとともに、
(4)回線切替要求信号を通信回線(30)に送出する。
(5)上記回線切替要求信号を受信したRE#1(20)の回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(22)はREC(1)向けのCPRI信号のベンダー特有領域の特定のアドレスに回線切替要求信号を挿入し、REC(1)においては、回線切替要求信号検出部(5)が、ベンダー特有領域にて受信した回線切替要求信号を検出し、回線切替制御部(7)に、回線切替要求信号を通知する。
(6)次に回線切替制御部(7)は、アクセスリンク制御部(2)に対してユーザーデータ量を制限するための通知を送信する。これにより、アクセスリンク制御部(2)は、呼制御等を実施し、ユーザーデータ量を減らす。
(7)また、回線切替制御部(7)は、RE監視制御部(3’)に対しても通知を送信し、これによりRE監視制御部(3’)は、RE#2(20’)向けのポーリング信号の送信間隔を伸ばす。
(8)次に、回線切替制御部(7)は回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4’)に対して切替要求を送信し、
(9)回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4’)は、RE#2(20’)向けデータのルートを迂回用バス(8)の方向に切りかえる。
ルート切替後のRE#2(20’)向けデータの送信動作、及び上りデータの受信動作は、図5を参照して説明したものと同様である。
【0033】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、無線制御部には迂回用バスを、無線部間には通信回線を設け、CPRIリンク上のベンダー特有領域とともに迂回ルートを形成するようにしたので、低廉なコストでCPRIリンクの障害発生時の迂回ルートを設けることができる。
【0034】
そして、回線を迂回ルートに切り替えたことを回線切替/ベンダー特有データ挿入抽出部(4,4’)等に保持しておくことにより、無線制御部が無線部とデータの送受信を行う場合に、CPRIリンクで直接接続されていない無線部を直接接続されている無線部と同等に認識し、制御することができる。
【0035】
(付記1)
無線制御部と複数の無線部とをそれぞれコモン・パブリック・ラジオ・インタフェースを採用したCPRIリンクで接続した無線基地局において、
前記複数の無線部間を直接接続する通信回線を設け、
他の無線部の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域と前記通信回線を自無線部と前記無線制御部を接続する前記CPRIリンクの迂回ルートとすることを特徴とする無線基地局。
(付記2)
前記無線制御部は、回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う前記複数の無線部に対応した複数の回線切替/データ抽出挿入部と該複数の回線切替/データ抽出挿入部の間を相互に接続する迂回用通信路を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
対応する前記無線部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記迂回用通信路へ回線ルートを切り替え、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が前記対応する無線部とは別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記迂回用通信路を介して送られてきた前記別の無線部向けの送信データを前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記迂回用通信路に送出し、
前記別の無線部に対応する回線切替/データ抽出挿入部は、前記迂回用通信路から前記別の無線部からの上りデータを取り込むことを特徴とする付記1に記載の無線基地局。
(付記3)
前記無線制御部は、前記無線部との接続を他の無線部とを接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を用いて行う場合には、前記無線部との間のデータ量に制限を加えることを特徴とする付記2に記載の無線基地局。
(付記4)
前記無線部の呼を緊急呼に制限することにより前記データ量に制限を加えることを特徴とする付記3に記載の無線基地局。
(付記5)
前記無線部へのポーリング間隔を長くすることにより前記データ量に制限を加えることを特徴とする付記3に記載の無線基地局。
(付記6)
前記無線部は、回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う回線切替/データ抽出挿入部を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記通信回線へ回線ルートを切り替え、前記無線制御部向けの上りデータを前記通信回線に送出するとともに、前記通信回線により送られてきた送信データを取り込み、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記通信回線を介して送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部への送信データを前記通信回線に送出することを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の無線基地局。
(付記7)
付記1に記載の無線基地局に用いられる無線制御部において、
回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う前記複数の無線部に対応した複数の回線切替/データ抽出挿入部と該複数の回線切替/データ抽出挿入部の間を接続する迂回用通信路を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
対応する前記無線部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記迂回用通信路へ回線ルートを切り替え、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が前記対応する無線部とは別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記迂回用バスを介して送られてきた前記別の無線部向けの送信データを前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記迂回用通信路に送出し、
前記別の無線部に対応する回線切替/データ抽出挿入部は、前記迂回用通信路から前記別の無線部からの上りデータを取り込むことを特徴とする無線制御部。
(付記8)
前記迂回用通信路はバスであることを特徴とする付記7に記載の無線制御部。
(付記9)
前記迂回用通信路はN対N接続のネットワークであることを特徴とする付記7に記載の無線制御部。
(付記10)
付記1に記載の無線基地局に用いられる無線部において、
回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う回線切替/データ抽出挿入部を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記通信回線へ回線ルートを切り替え、前記無線制御部向けの上りデータを前記通信回線に送出するとともに、前記通信回線により送られてきた送信データを取り込み、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記通信回線を介して送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部への送信データを前記通信回線に送出することを特徴とする無線部。
(付記11)
無線制御部と複数の無線部とをそれぞれコモン・パブリック・ラジオ・インタフェースを採用したCPRIリンクで接続し、前記複数の無線部間を直接接続する通信回線を設けた無線基地局で実施される回線迂回方法において、
前記CPRIリンク上のベンダー特有領域と前記通信回線を、他のCPRIリンクの迂回ルートとすることを特徴とする回線迂回方法。
(付記12)
前記無線制御部において前記CPRIリンクの障害を検出し、
前記無線制御部は、該障害の検出されたCPRIリンクと接続された無線装置とは別の無線装置と接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を使用して回線切替要求を該別の無線装置に送出し、
該別の無線装置は、前記通信回線を介して前記回線切替要求を前記障害の検出されたCPRIリンクと接続された無線装置に送信することを特徴とする付記11に記載の回線迂回方法。
(付記13)
前記無線部で該無線部と前記無線制御部を接続するCPRIリンクの障害を検出し、
該無線部から前記通信回線を介して他の無線部に回線切替要求を送出し、
該他の無線部は、前記無線制御部と接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を使用して前記回線切替要求を前記無線制御部に送信することを特徴とする付記11に記載の回線迂回方法。
(付記14)
前記迂回ルート上のデータ量に制限を加えることを特徴とする付記11に記載の回線迂回方法。
(付記15)
前記迂回ルートを利用する呼を緊急呼に制限することにより前記データ量に制限を加えることを特徴とする付記14に記載の回線迂回方法。
(付記16)
前記迂回ルートにより接続される無線部へのポーリング間隔を長くすることにより前記データ量に制限を加えることを特徴とする付記14に記載の回線迂回方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の基本原理及び基本構成例を示す図である。
【図2】CPRIにおいて一度に連続して送信されるデータのフレーム構造の一例を説明する図である。
【図3】ハイパーフレーム中のコントロールワードがどのように用いられるかを説明する図である。
【図4】図1に示す無線基地局の機能ブロック構成例を示す図である。
【図5】無線制御装置主導の迂回ルートへの切替動作を示す図である。
【図6】無線装置主導の迂回ルートへの切替動作を示す図である。
【図7】内部インタフェースとしてCPRIを採用した無線基地局を模式的に示す図である。
【図8】図7に示す無線基地局における従来の回線迂回方式の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 無線制御装置
10 CPRIリンク
20 無線部
30 通信回線
40 移動端末
50 無線基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線制御部と複数の無線部とをそれぞれコモン・パブリック・ラジオ・インタフェースを採用したCPRIリンクで接続した無線基地局において、
前記複数の無線部間を直接接続する通信回線を設け、
他の無線部の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域と前記通信回線を自無線部と前記無線制御部を接続する前記CPRIリンクの迂回ルートとすることを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記無線制御部は、回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う前記複数の無線部に対応した複数の回線切替/データ抽出挿入部と該複数の回線切替/データ抽出挿入部の間を相互に接続する迂回用通信路を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
対応する前記無線部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記迂回用通信路へ回線ルートを切り替え、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が前記対応する無線部とは別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記迂回用通信路を介して送られてきた前記別の無線部向けの送信データを前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記迂回用通信路に送出し、
前記別の無線部に対応する回線切替/データ抽出挿入部は、前記迂回用通信路から前記別の無線部からの上りデータを取り込むことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局
【請求項3】
前記無線制御部は、前記無線部との接続を他の無線部とを接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を用いて行う場合には、前記無線部との間のデータ量に制限を加えることを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記無線部は、回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う回線切替/データ抽出挿入部を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記通信回線へ回線ルートを切り替え、前記無線制御部向けの上りデータを前記通信回線に送出するとともに、前記通信回線により送られてきた送信データを取り込み、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記通信回線を介して送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部への送信データを前記通信回線に送出することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の無線基地局。
【請求項5】
請求項1に記載の無線基地局に用いられる無線制御部において、
回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う前記複数の無線部に対応した複数の回線切替/データ抽出挿入部と該複数の回線切替/データ抽出挿入部の間を接続する迂回用通信路を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
対応する前記無線部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記迂回用通信路へ回線ルートを切り替え、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が前記対応する無線部とは別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記迂回用バスを介して送られてきた前記別の無線部向けの送信データを前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記対応する無線部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記迂回用通信路に送出し、
前記別の無線部に対応する回線切替/データ抽出挿入部は、前記迂回用通信路から前記別の無線部からの上りデータを取り込むことを特徴とする無線制御部。
【請求項6】
請求項1に記載の無線基地局に用いられる無線部において、
回線切替と前記ベンダー特有領域のデータ挿入抽出を行う回線切替/データ抽出挿入部を備え、
前記回線切替/データ抽出挿入部は、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンクに障害が発生し通信不能となった場合に該CPRIリンクから前記通信回線へ回線ルートを切り替え、前記無線制御部向けの上りデータを前記通信回線に送出するとともに、前記通信回線により送られてきた送信データを取り込み、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域が別の無線部の迂回ルートとして用いられているときは、
前記通信回線を介して送られてきた前記別の無線部からの上りデータを前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入し、
前記無線制御部との間の前記CPRIリンク上のベンダー特有領域に挿入されて送られてきた前記別の無線部への送信データを前記通信回線に送出することを特徴とする無線部。
【請求項7】
無線制御部と複数の無線部とをそれぞれコモン・パブリック・ラジオ・インタフェースを採用したCPRIリンクで接続し、前記複数の無線部間を直接接続する通信回線を設けた無線基地局で実施される回線迂回方法において、
前記CPRIリンク上のベンダー特有領域と前記通信回線を、他のCPRIリンクの迂回ルートとすることを特徴とする回線迂回方法。
【請求項8】
前記無線制御部において前記CPRIリンクの障害を検出し、
前記無線制御部は、該障害の検出されたCPRIリンクと接続された無線装置とは別の無線装置と接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を使用して回線切替要求を該別の無線装置に送出し、
該別の無線装置は、前記通信回線を介して前記回線切替要求を前記障害の検出されたCPRIリンクと接続された無線装置に送信することを特徴とする請求項7に記載の回線迂回方法。
【請求項9】
前記無線部で該無線部と前記無線制御部を接続するCPRIリンクの障害を検出し、
該無線部から前記通信回線を介して他の無線部に回線切替要求を送出し、
該他の無線部は、前記無線制御部と接続するCPRIリンク上のベンダー特有領域を使用して前記回線切替要求を前記無線制御部に送信することを特徴とする請求項7に記載の回線迂回方法。
【請求項10】
前記迂回ルート上のデータ量に制限を加えることを特徴とする請求項7に記載の回線迂回方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−99137(P2008−99137A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280498(P2006−280498)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】