説明

コラムの段積み順検出装置

【課題】 容器を多段に段積みしたコラムの段積み順を検出する。
【解決手段】 コラムCの搬送路の途中にフレーム41を立設し、フレーム41の左右にブレーキ付きACサーボモータ42で同期して一端から他端へ一方方向に昇降するベルト式リフター43を設け、左右のベルト式リフター43に容器Tの側面に付設しているRFIDタグrの物品情報を読み取るアンテナ44を対向して設け、フレーム41の直下に配置されたコラムCを検知する光電スイッチ45をフレーム41の下部に設け、コラムCを載せた台車Dを案内する台車ガイド46をフレーム41の下部の内側に設け、段積み順検出装置40を制御する制御盤48を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品が段積みされたコラムの段積み順を検出するコラムの段積み順検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段積みされた複数の物品を検品する検品装置が特許文献1に開示されている。この技術は、複数の荷物が収容されたカゴ台車に荷物情報が記録された無線ICタグを付設し、無線ICタグの荷物情報を読み取るリーダーを備えたゲートをトラックヤードに立設し、トラックにカゴ台車を積み降ろす際にリーダーで読み取った荷物情報と予め格納されている正規の荷物情報とを照合する管理サーバーを設けたことを特徴としている。
【0003】
ところで、前記技術は1つの無線ICタグに複数の荷物情報を記録しており、1回の読み取りで全荷物情報を同時に取得して照合できるが、その複数の荷物の段積み順まで検品する場合は前記技術では対応できなかった。
【特許文献1】特開2006−69729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、複数の物品が段積みされたコラムの段積み順を検出して検品できるようにするコラムの段積み順検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 複数の物品が段積みされたコラムの段積み順を検出する検出装置であって、コラムの各物品に物品情報が記録された無線ICタグを付設し、コラムの搬送路の途中位置に所定の交信距離に近接した無線ICタグの物品情報を読み取る読取装置をコラムの段積み方向に沿って移動自在に設け、コラムが読取装置の位置に搬送されると読取装置を一端から他端へ一方方向に移動させる駆動手段を設け、移動中の読取装置で各物品の無線ICタグの物品情報を最接近したものから順に1個づつ連続的に読み取らせ且つ読み取った各物品情報と駆動手段の移動方向の情報とを組み合わせてコラムの物品の段積み順を示す段積み情報を構成する制御手段を設けたことを特徴とする、コラムの段積み順検出装置
2) 制御手段が構成した段積み情報と外部から入力された正規の段積み情報との照合結果を表示する表示手段を設け、両情報が異なる場合に正規の段積み順を表示手段に表示する制御を制御手段に備え、両情報が異なる場合に作業者へ警報する警報手段を設けた、前記1)記載のコラムの段積み順検出装置
3) 読取装置と駆動手段を搬送路の左右両側に設け、左右の読取装置が同じ物品の無線ICタグの物品情報を読み取るように左右の駆動手段を同期させ、いずれか一方の読取装置が読み取り不能の場合に他方の読取装置で読み取った物品情報を用いて段積み情報を構成する補完制御を制御手段に備えた、前記1)又は2)記載のコラムの段積み順検出装置
4) 読取装置を一方方向に移動させながら無線ICタグの物品情報を読み取った後に読取装置をその位置で停止させ、次のコラムの無線ICタグの物品情報を読み取る際に読取装置を前記停止位置から逆方向に移動させながら読み取り、その逆方向に読み取った物品情報を逆順に組み替えて段積み情報を構成する制御を制御手段に備えた、前記1)〜3)いずれか記載のコラムの段積み順検出装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、読取装置が段積み方向に移動しながら物品情報を1個づつ連続的に読み取るようにしたから、その読み取った物品情報と駆動手段の移動方向の情報とを組み合わせると段積み順を示す情報が構成されて段積み順が検出される。よって、その段積み情報を外部の正規の段積み情報と照合することで段積み順を検品できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、段積み情報が管理コンピュータ等に格納されている正規の段積み情報と異なる場合に作業者へランプ又はブザー音等で警報する警報手段や、正規の段積み順を示すディスプレイ装置等の表示手段を制御手段に備えると、その場で作業者が容易に手直しできる。読取装置を搬送路の左右両側に設け、左右の読取装置の動作を同期させて同じ物品の無線ICタグの物品情報を読み取るようにすると、物品の両側面に無線ICタグが付設されている場合においては、いずれか一方の読取装置がエラー等で読み取り不能の場合に他方の読取装置で読み取った物品情報で段積み情報が補完されてバックアップ機能を付与でき、物品の左右いずれか片側の側面のみに無線ICタグが付設されている場合においては、左右いずれかの読取装置で読み取ることができた方の物品情報を用いて段積み情報を構成することで、無線ICタグの付設位置が左右に異なる物品が混在していても段積み順を検出できる。読取装置を一方方向に移動させながら無線ICタグの物品情報を読み取った後に読取装置をその位置で停止させ、次のコラムの無線ICタグの物品情報を読み取る際に読取装置を前記停止位置から逆方向に移動させながら読み取るようにすると、読取装置の戻り動作を省略して効率的に検出できる。本発明でいう物品は、物品自体・物品を収容した容器(ケース・トレー・段ボール箱等)・パレットを包含する。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例の店舗別配送別仕分け設備の説明図、図2,3は実施例の段積み順検出装置の説明図、図4は実施例の検出方法を示す説明図、図5,6は実施例の制御盤のディスプレイ装置の表示画面の説明図、図7は実施例の段積み順検出装置のフローチャート、図8は実施例の管理コンピュータのフローチャートである。
【0009】
図中、10は物品投入場、11は物品供給ライン、12は容器、13,13aは搬送コンベヤ、14は投入指示器、15はRFIDタグデータ書込器、20は仕分指示場、21はRFIDタグデータ読取器、22は段積み指示器、30は仕分場、40は段積み順検出装置、41はフレーム、42はブレーキ付きACサーボモータ、43はベルト式リフター(駆動手段)、44はアンテナ(読取装置)、45は光電スイッチ、46は台車ガイド、47は固定L金具、48は制御盤(制御手段)、48aは警報器(警報手段)、48bはディスプレイ装置(表示手段)、48cは段積み情報、48dは再検品ボタン、48eはプログラム、48fは物品情報、48gは移動方向情報、50は仕分け保管場、60は管理コンピュータ(制御手段)、61はプログラム、62はデータベース、70は配送トラック、Cはコラム、Dは台車、Hは作業者、mは物品、Tは容器、rはRFIDタグ(無線ICタグ)である。
【0010】
本実施例の店舗別配送別仕分け設備は、図1に示すように供給された物品mを作業者Hが容器Tに投入作業する物品投入場10と、容器12に収容された物品mを物品投入場10へ供給する物品供給ライン11と、物品mが投入された容器Tを仕分指示場20へ搬送する搬送コンベヤ13,13aと、容器Tへの物品mの投入指示をする投入指示器14と、物品mが投入された容器TのRFIDタグrに物品情報を書き込むRFIDタグデータ書込器15と、店舗別配送別に容器Tを仕分け指示する仕分指示場20と、物品mが投入された容器TのRFIDタグrの物品情報を読み取るRFIDタグデータ読取器21と、読み取った物品情報に基づいて配送先仕分け及び段積み段数を指示する段積み指示器22と、段積みした配送先別のコラムCを出荷まで貯留する仕分場30と、コラムCの段積み順を検出する段積み順検出装置40とで構成されている。
【0011】
段積み順検出装置40は、図2に示すようにフレーム41の左右にブレーキ付きACサーボモータ42で同期して一端から他端へ昇降するベルト式リフター43を設け、左右のベルト式リフター43にRFIDタグrの物品情報を読み取るアンテナ44を対向させて設け、フレーム41の直下に配置されたコラムCを検知する光電スイッチ45をフレーム41の下部に対向させて設け、コラムCを載せた台車Dを案内する台車ガイド46をフレーム41の下部の内側に設け、フレーム41の立設状態を支持する固定L金具47をフレーム41の下端に設け、段積み順検出装置40を制御する制御盤48を備えている。
【0012】
制御盤48には、図3に示すように検出した段積み順が正規の段積み順と異なる場合に作業者Hへブザー音で警報する警報器48aと、検出した段積み順及び正規の段積み順を対比した段積み情報48c及び間違い箇所を反転表示するタッチパネル式のディスプレイ装置48bと、段積み順に間違いがある場合において並べ替えて再検品する際に操作するための再検品ボタン48dと、段積み順検出装置40を制御するプログラム48eと、RFIDタグrの物品情報48fと、ベルト式リフター43の移動方向を示す移動方向情報48gとを備えている。管理コンピュータ60は投入指示器14と段積み指示器22と制御盤48と接続され、各機器を制御するプログラム61と、物品情報・物品の仕分け情報・仕分け先別のコラムの段積み順を記録したデータベース62とを備えている。
【0013】
本実施例では、物品投入場10で作業者Hが物品供給ライン11の横に用意した空の容器Tを搬送コンベヤ13aに置き、物品供給ライン11の容器12の物品mを投入指示器14の指示通りにピッキングして空の容器Tに投入し、RFIDタグデータ書込器15でRFIDタグrに物品情報48fを書き込んで搬送コンベヤ13a及び搬送コンベヤ13で仕分指示場20へ搬送する。書き込む情報は物品情報48fに代えてIDコードのみを書き込み、管理コンピュータ60側でIDコードに対応する物品情報48fをデータベース62から読み出すようにしてもよい。
【0014】
仕分指示場20に搬送された容器TはRFIDタグデータ読取器21でRFIDタグrの物品情報48fを読み取り、段積み指示器22に配送先仕分け及び段積み段数が表示される。IDコードの場合はそれに対応する物品情報48fを管理コンピュータ60のデータベース62から読み出して表示する。別の作業者Hがその表示に基づいて容器Tを仕分場30の店舗別配送別に配置している台車Dに段積みし、コラムCが形成される。コラムCが所定の段数に達すると、図4(a)に示すように別の作業者HがそのコラムCを載せた台車Dを段積み順検出装置40に運搬する。
【0015】
図4(b)に示すように、台車Dが台車ガイド46に沿ってフレーム41を潜るとコラムCの先端が光電スイッチ45を遮光して検知し(この時点で台車Dを停止させる)、図4(c)に示すように左右のベルト式リフター43が下端から上端まで上昇しながら容器TのRFIDタグrの物品情報48fをアンテナ44で順に受信して連続的に読み取り、読み取られた物品情報48fと移動方向情報48gが制御盤48を通じて管理コンピュータ60へ送信される。読み取り中において、左右いずれか一方のアンテナ44が何らかの原因で物品情報48fを読み取ることができなかった場合は、読み取ることができた他方のアンテナ44の物品情報48fを用いて補完する。ベルト式リフター43の移動速度は2000mm/sで、ストロークが3000mmの場合は1.5秒で読み取りが完了する。ベルト式リフター43は上端に達すると停止し、次のコラムCの検品時までその位置で待機する。
【0016】
管理コンピュータ60では、読み取られた物品情報48fと移動方向情報48gを組み合わせて段積み順を構成し、その検出した段積み順を記憶済みの正規と段積み順と照合し、その結果を制御盤48へ送信する。制御盤48のディスプレイ装置48bには検出した段積み順と正規の段積み順とを対比した段積み情報48cがグラフィカルに表示される。照合した結果、誤りがあった場合は図5に示すようにその箇所が反転表示され、警報器48aが警報音を発音する。作業者Hはその表示を見てコラムCの段積み順を組み替え、再検品ボタン48dを操作して段積み順検出装置40で再検品する。検品した結果、正しく段積みされている場合は図6に示すようにディスプレイ装置48bに表示され、図4(d)に示すように段積み順検出装置40を通過し、コラムCを台車Dごと配送トラック70に積み込んで出荷される。
【0017】
次のコラムCの段積み順を検品する際は、前記と同様に台車Dが台車ガイド46に沿ってフレーム41を潜るとコラムCの先端が光電スイッチ45を遮光して検知し、左右のベルト式リフター43がこんどは先に停止していた上端から逆方向に下端まで下降しながら容器TのRFIDタグrの物品情報48fをアンテナ44で逆順に受信して連続的に読み取り、読み取られた物品情報48fと移動方向情報48gが制御盤48を通じて管理コンピュータ60へ送信される。管理コンピュータ60では移動方向情報48gが逆方向を示しているから受信した物品情報48fを逆順に組み替えて段積み情報48cを構成し、前記と同様に検品される。このように、複数のコラムCを連続的に検品する際、ベルト式リフター43の下降動作時も物品情報48fを読み取るようにすることで、ベルト式リフター43の戻り動作を省略して効率的に検品できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のコラムの段積み順検出装置は、物品を収容したケースやトレー等のコラムの検品に有用である。また、高さの異なる物品が混在したコラムの検品にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の店舗別配送別仕分け設備の説明図である。
【図2】実施例の段積み順検出装置の説明図である。
【図3】実施例の段積み順検出装置の説明図である。
【図4】実施例の検出方法を示す説明図である。
【図5】実施例の制御盤のディスプレイ装置の表示画面の説明図である。
【図6】実施例の制御盤のディスプレイ装置の表示画面の説明図である。
【図7】実施例の段積み順検出装置のフローチャートである。
【図8】実施例の管理コンピュータのフローチャートである。
【符号の説明】
【0020】
10 物品投入場
11 物品供給ライン
12 容器
13,13a 搬送コンベヤ
14 投入指示器
15 RFIDタグデータ書込器
20 仕分指示場
21 RFIDタグデータ読取器
22 段積み指示器
30 仕分場
40 段積み順検出装置
41 フレーム
42 ブレーキ付きACサーボモータ
43 ベルト式リフター(駆動手段)
44 アンテナ(読取装置)
45 光電スイッチ
46 台車ガイド
47 固定L金具
48 制御盤(制御手段)
48a 警報器(警報手段)
48b ディスプレイ装置(表示手段)
48c 段積み情報
48d 再検品ボタン
48e プログラム
48f 物品情報
48g 移動方向情報
50 仕分け保管場
60 管理コンピュータ(制御手段)
61 プログラム
62 データベース
70 配送トラック
C コラム
D 台車
H 作業者
m 物品
T 容器
r RFIDタグ(無線ICタグ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が段積みされたコラムの段積み順を検出する検出装置であって、コラムの各物品に物品情報が記録された無線ICタグを付設し、コラムの搬送路の途中位置に所定の交信距離に近接した無線ICタグの物品情報を読み取る読取装置をコラムの段積み方向に沿って移動自在に設け、コラムが読取装置の位置に搬送されると読取装置を一端から他端へ一方方向に移動させる駆動手段を設け、移動中の読取装置で各物品の無線ICタグの物品情報を最接近したものから順に1個づつ連続的に読み取らせ且つ読み取った各物品情報と駆動手段の移動方向の情報とを組み合わせてコラムの物品の段積み順を示す段積み情報を構成する制御手段を設けたことを特徴とする、コラムの段積み順検出装置。
【請求項2】
制御手段が構成した段積み情報と外部から入力された正規の段積み情報との照合結果を表示する表示手段を設け、両情報が異なる場合に正規の段積み順を表示手段に表示する制御を制御手段に備え、両情報が異なる場合に作業者へ警報する警報手段を設けた、請求項1記載のコラムの段積み順検出装置。
【請求項3】
読取装置と駆動手段を搬送路の左右両側に設け、左右の読取装置が同じ物品の無線ICタグの物品情報を読み取るように左右の駆動手段を同期させ、いずれか一方の読取装置が読み取り不能の場合に他方の読取装置で読み取った物品情報を用いて段積み情報を構成する補完制御を制御手段に備えた、請求項1又は2記載のコラムの段積み順検出装置。
【請求項4】
読取装置を一方方向に移動させながら無線ICタグの物品情報を読み取った後に読取装置をその位置で停止させ、次のコラムの無線ICタグの物品情報を読み取る際に読取装置を前記停止位置から逆方向に移動させながら読み取り、その逆方向に読み取った物品情報を逆順に組み替えて段積み情報を構成する制御を制御手段に備えた、請求項1〜3いずれか記載のコラムの段積み順検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−169019(P2008−169019A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5547(P2007−5547)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】