説明

コラーゲンペプチドコーティング食品およびその製造方法

【課題】コーティング層がクランチ性ある食感、コラーゲンペプチドの機能性、コラーゲンペプチド高含有率を有した新しいコーティング食品およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】可食性センターの表面にコーティング層を有するコーティング食品であって、前記コーティング層中の組成が固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満のコラーゲンペプチドおよび0.5重量%以上かつ20重量%未満の油脂からなり、該コーティング層の水分値が5〜18重量%、該コーティング層の厚みが200μm以上であることを特徴とするコラーゲンペプチドコーティング食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング層を有する食品およびその製造方法に関し、更に詳しくは、可食性センターにコラーゲンペプチドを主成分とするコーティングしてなる食品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品或いは医薬品(以下、可食性センターともいう)へのコーティングは多様化している。コーティングの中でも一般的に糖衣とよばれているものは、ハードコーティング、ソフトコーティングと大別される。ハードコーティングとは、可食性センターを回転釜内で転動させながら、これにコーティング用糖質液(以下、単に糖質液という場合がある)を添加してセンター表面に糖質皮膜を形成させた後乾燥し、この添加と乾燥を繰り返して所望の暑さの糖衣層を形成して糖衣掛け製品を得る。
【0003】
ソフトコーティングとは、ハードコーティングと同様に可食性センターに糖質液を添加してセンター表面に糖質皮膜を形成させた後、糖質を含むコーティング用粉末(以下、単に糖質粉末という場合がある)を散布して、乾燥し、この添加と散布を繰り返して所望の厚さの糖衣層を形成して糖衣掛け製品を製造する。
【0004】
また、糖質以外のコーティングとして近年開発が盛んであるフィルムコーティングが挙げられる。コーティングされるべき芯材や裸錠に対して、その表面に薄い膜状の物質を形成させるコーティング処理の一つであり、コーティングに用いられる素材に応じ、芯材や裸錠の表面の平滑化、耐水性の付与、欠けの防止、形状維持などの様々な目的で実施されている。素材としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースをベースとしたもの(特許文献1)や、酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残さからなる酵母細胞壁画分をベースとしたもの(特許文献2)、さらに口どけなど改善したワキシコーンスターチ由来のヒドロキシアルキル化デキストリン、マルチトール、グリセリン脂肪酸エステルの3成分をベースとしたフィルムコーティング層も提案されている(特許文献3)。また、さらに効率化するためアミロース含量をコントロールされた皮膜形成性澱粉組成物をベースとしたフィルムコーティングも提案されている(特許文献4)。しかしながら、これらは様々な素材を使用しており様々な目的からの改良は加えられてきたが、クランチ性ある食感、機能性付加価値を持ち合わせているものではなかった。
【0005】
一方、近年の健康志向の高まりから、健康成分・美容成分が好まれていることは周知の事実であるが、その中でも、皮膚機能の向上を始め様々な生理活性を持つ「コラーゲン」が一際注目を浴びている。コラーゲンは、生体内において、皮膚、血管、内臓、骨組織など、広く分布しており、動物組織における主要な構成タンパク質である。近年では、化粧品をはじめ、飲料やゼリー、タブレットなど、様々な形態のコラーゲン入り健康食品が展開され、機能性食品素材として研究・開発が各社で進められている。また、コラーゲンの溶解性、消化・吸収性を向上させるためにコラーゲンやゼラチンを加水分解して得た低分子コラーゲン(以下、コラーゲンペプチド)についても幅広く研究されており、更なる機能性や利用技術も多数報告されている。市場にあるコラーゲンおよびコラーゲンペプチドの摂取を主目的とする食品の大半のものは、製造の利便性から顆粒やタブレットの形態を取ることが多く、摂取した際にどうしてもコラーゲン粉末の口残り、ざらつきが気になるものとなっている。
【0006】
また、コラーゲンおよびコラーゲンペプチドを利用した他の例として、分子量400以上3000未満の低分子コラーゲンペプチドを主成分とする組成物に関するもの(特許文献5)、可溶化コラーゲン水溶液をタンニン水溶液に滴下しコラーゲンタンパク質を固定化して作成したコラーゲンビーズに関するもの(特許文献6)なども存在している。これらは食用としても利用できるコラーゲン高含有組成物に関するものであるが、菓子のように手軽に摂取できるものではなく、嗜好性にあわせておいしく食するものでもなかった。
【0007】
つまり、
1)食品或いは医薬品におけるコーティング素材やコーティング技術は、多種多様な組み合わせができるというメリット
2)コラーゲンペプチドの機能性付加価値をおいしく手軽に摂取できるメリット
以上、2点のメリットをハイレベルで実現する技術が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−59147号公報
【特許文献2】特開2000−44878号公報
【特許文献3】特開2007−254299号公報
【特許文献4】特開2007−511584号公報
【特許文献5】特開2006−151847号公報
【特許文献6】特許第3098337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、コーティング層がクランチ性ある食感、コラーゲンペプチドの機能性、コラーゲンペプチド高含有率を有した新しいコーティング食品およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記のような状況を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、コラーゲンペプチドを主成分とする水溶液を作製し、油脂を添加し乳化させることでコーティング可能であることを見出し、さらに、そのコーティング層は、コラーゲンペプチドが高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性付加価値、クランチ性ある食感を持ち合わせていることを発見し本発明を完成させるに至った。また、コーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観となることも発見した。
すなわち、本発明は、
(1)可食性センターの表面にコーティング層を有するコーティング食品であって、前記コーティング層中の組成が固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満のコラーゲンペプチドおよび0.5重量%以上かつ20重量%未満の油脂からなり、該コーティング層の水分値が5〜18重量%、該コーティング層の厚みが200μm以上であることを特徴とするコラーゲンペプチドコーティング食品、
(2)前記(1)記載のコラーゲンペプチドコーティング食品の製造方法であって、転動させた可食性センターに、コラーゲンペプチドおよび油脂を混合し乳化させたコーティング液を散布し乾燥させてコーティングを行うことを特徴とするコラーゲンペプチドコーティング食品の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコラーゲンペプチドコーティング食品は、可食性センターの表面に、クランチ性ある食感を有し、コラーゲンペプチドの含有率が高く、コラーゲンペプチドによる様々な機能性を有するコーティング層を形成しているため、様々な可食性センターの食感をクランチ性あるものにできるだけでなく、コラーゲンペプチドに由来する機能性食品としての付加価値を備えた食品を提供することができる。また、本発明のコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、艶を有した半透明の層となり美しい外観となるため、前記コーティング層が食品の最外層にある場合には、見た目でも楽しむことができる食品を提供することができる。
また、本発明のコラーゲンペプチドコーティング食品の可食性センターを選択し組み合わせることで、食品のバリエーションを広げることができる。
なお、本発明において、クランチ性とは、咀嚼によって砕ける程度の硬度を有し、噛み砕く楽しみが感じられる、程よい食感をいう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るコラーゲンペプチドコーティング食品は、可食性センターにコーティングしてなる食品であって、前記コーティング層中の組成が、固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満のコラーゲンペプチドおよび0.5重量%以上かつ20重量%未満の油脂からなり、該コーティング層の水分値が5〜18重量%、該コーティング層の厚みが200μm以上であることを特徴とする。
【0013】
前記可食性センターとしては、特に限定はなく、チューイングガム、キャンディ、タブレット、糖衣菓子、グミキャンディ、チョコレート、焼き菓子などの食品、並びに錠剤、丸薬およびカプセル剤などの医薬品を使用することができる。また、その形状も任意のものを採用することができる。
【0014】
本発明では、コーティング層を構成する成分として、コラーゲンペプチドおよび油脂を含む。
本発明では、可食性センターの表面のコーティング層の組成が固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満のコラーゲンペプチドからなり、該コーティング層の水分値が5〜18重量%、該コーティング層の厚みが200μm以上である点に大きな特徴がある。本発明では、可食性センターの表面に、コラーゲンペプチドを多量に含有して、コラーゲンペプチドに起因する機能性が期待できるだけでなく、クランチ性ある食感を実現できるコーティング層を備えることを大きな特徴としている。また、前記コラーゲンペプチドを多量に含むコーティング層は艶を有した半透明の層となり、前記コーティング層が食品の最外層にある場合には、食品の外観が美しい外観となることもひとつの大きな特徴である。
なお、コラーゲンペプチドは、粘弾性、粘着性を有するものであり、コーティングには不向きな物性を有する材料であるが、本発明では、前記のように油脂と併用することで可食性センターをコーティングすることに初めて成功した。
【0015】
本発明に用いられるコラーゲンペプチドとしては、コラーゲンあるいはゼラチンなどの変性コラーゲンを酸やアルカリあるいは酵素などで加水分解させることで得られるものが挙げられる。コラーゲンの由来としては、豚、牛、鳥、魚など多様な動物から抽出されたものであり、食品として用いているものであればよく、特に限定はない。また、コラーゲンペプチドを作製する際に用いられる酵素としては、コラーゲンを部分加水分解できるものであればよく、例えば、パパイン、ブロメライン、アクチニジン、フィチンなどのシステインプロテアーゼや、ペプシン、およびこれらの酵素を混合した酵素群などが挙げられるが、特に限定されるものではない。このような加水分解は、水または各種バッファーなどの緩衝液中で行われることが好ましい。本発明では、前記の加水分解された水溶液をそのまま使用してもよいし、乾燥処理などで粉末化したものを用いてもよい。コラーゲンペプチドの分子量に関する情報は、粘度測定や、HPLCおよびゲルろ過法などの定量方法によって得られ、すでに公知の手法を使用することが可能である。また、上記に示すコラーゲンペプチドは、すでに市販されている食品用のものを使用してもよく、平均分子量としては20000以下のものを単独あるいは、2種類以上組み合わせてもよい。市販品の例としては、「コラーゲンペプチドSCP3100(新田ゼラチン社製)」、「PEPTAN 5000 HD(ルスロ社製)」などが挙げられる。
【0016】
本発明では、コーティング層中のコラーゲンペプチドの含有量が、固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満であり、78重量%未満であると、本発明の重要な点であるクランチ性が乏しくなり、99.5重量%以上となると、固形分中の油脂の含有量が減少しコーティングが困難となる。
【0017】
本発明に用いられる油脂は、乳脂、魚鯨油、ヤシ油、パーム脂、カカオ脂、ごま油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油およびオリーブ油その他動物性油脂ならびにこれらの硬化油脂などが挙げられる。
【0018】
本発明では、コーティング層中の油脂の含有量が、固形分中に0.5重量%以上かつ20重量%未満であり、0.5重量%未満になるとコーティング工程中にべたつきが生じ滑らかな外観のコーティングが困難となり、20重量%以上になるとコーティング工程は可能となるがコーティング表面に分離した油脂が浮き出るため、食品としてのおいしさが損なわれる。
【0019】
また、コーティング層の形成を阻害したりせず、また、コーティング層の特徴である食感や外観を損なわない範囲で、必要に応じて、酸味料、香料、着色料などの任意成分を添加することができる。また、その他にも、高甘味度甘味料、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などの機能性素材、乳化剤なども添加可能である。
【0020】
前記添加できる任意成分の例として、酸味料としては、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸などが挙げられる。高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、グリチルリチン、サッカリン、ステビオシド、レバウディオ、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロースなどが挙げられる。この他、香料、着色料、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などの機能性素材、乳化剤などは通常市販品を使用することができる。
【0021】
本発明では、コーティング層の水分の含有量(水分値)が、5重量%以上かつ18重量%以下である。5重量%未満であると乾燥過多でありコーティング層表面にひび割れができ、18重量%を超えるとクランチ性が失われる。また、水分値は、減圧乾燥法やカールフィッシャー法により測定することができる。
【0022】
また、本発明において、コーティング層の厚みは、200μm以上である。この厚みは可食性センターの組み合わせによって適宜調節することが可能であるが、200μm未満の厚みにすると本発明の重要な部分であるクランチ性が失われる。
前記コーティング層の厚みの上限値は、特に限定はないが、食品として咀嚼によって砕け、その食感を楽しむことができるという観点から、3000μm以下が好ましい。
【0023】
また、前記コラーゲンペプチドを含むコーティング層の上に、別の様々なコーティングを行うことも可能であり、さらなる組み合わせが考えられる。
【0024】
次に、本発明に係るコラーゲンペプチドコーティング食品の製造方法について、一好適例により説明する。
【0025】
本発明のコラーゲンペプチドコーティング食品は、転動させた可食性センターに、コラーゲンペプチドおよび油脂を混合し乳化させたコーティング液を散布し乾燥させコーティングを行うことで得られるが、より具体的には以下の通りである。
【0026】
本発明で使用するコーティング液を作製する際の、コラーゲンペプチドの含有量は、コーティング液中、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、さらに好ましくは45〜55重量%である。油脂はコラーゲンペプチドの固形分の割合に合わせ、固形分中に0.5重量%以上かつ20重量%未満の配合であればよいが、好ましくは、1〜10重量%、さらに好ましくは3〜6重量%である。
【0027】
コーティング液の残部には水を用いる。また、コーティング液には、コーティング層の形成を阻害しない範囲で、酸味料、甘味料、香料、栄養成分などを添加することも可能である。
【0028】
前記の成分を混合した後、TKホモミキサー(プライミクス社製)などの攪拌機に掛け乳化をさせてコーティング液を作製する。乳化の状態は、目視ではコーティング液が油脂と水系成分が上層部と下層部に分離していなく、油脂が均一にコーティング液に分散されていれば良い。また、光学顕微鏡を用いて水中油型の乳化を確認することができる。乳化されていない、もしくは乳化が不十分であるとコーティングする際ベタつきが生じ、滑らかなコーティングが形成されない。
【0029】
転動させた可食性センターに、コーティング液を散布する方法としては、公知の方法を用いて行えばよい。例えば、糖衣パンの回転容器内に、可食性センターを入れ、当該容器を回転させながら、コーティング液をスプレイなどにより掛けて、容器内全体にいきわたらせた後、20〜80℃で送風などを行い乾燥させる。この作業を繰り返し、200μm以上になるようコーティング層を形成する。
【0030】
以上のようにして形成されたコーティング層は、コラーゲンペプチドが高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性付加価値、クランチ性ある食感を持ち合わせ、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観となり、可食性センターとの組み合わせにより食品のバリエーションを広げることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、実施例中の「%」は重量%を、「部」は重量部を意味する。
【0032】
(実施例1)
表1に示す組成となるように各成分を混合した物をタブレット成形してセンタータブレットを得た(単重0.8g)。
【0033】
【表1】

【0034】
次いで、下記表2に示す配合となるように、各成分をTKホモミキサー(プライミクス社製)に投入した後、10000rpmで5分攪拌して混合物を乳化させてコーティング液を得た。
【0035】
【表2】

【0036】
次いで、センタータブレット1kgをレボーリングパンに入れ、釜を回転させながら、コーティング液をスプレーノズルにて20g添加した後、60℃の送風を行って乾燥させ、コーティングを行った。
引き続き、同条件で添加、そして乾燥することを20回繰り返して、センタータブレット表面上に300μmのコーティング層を形成した。コーティング層の水分値は減圧乾燥法で測定したところ、10重量%であった。
【0037】
こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品は、タブレットをセンターとし、コーティング層は、コラーゲンペプチドが固形分中に90重量%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、コーティング層の乾燥時間を短くして、コーティング層の仕上がり水分値を18%とする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に90重量%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0039】
(実施例3)
実施例1において、コーティング層の乾燥時間を長くして、コーティング層の仕上がり水分値を5%とする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に90重量%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0040】
(実施例4)
実施例1において、コーティング層の厚みを200μmとする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に90重量%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0041】
(実施例5)
実施例1において、表3に示す組成のコーティング液を用いる以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に約80%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0042】
【表3】

【0043】
(実施例6)
実施例1において、表4に示す組成のコーティング液を用いる以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に99%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0044】
【表4】

【0045】
(実施例7)
実施例1において、表5に示す組成のコーティング液を用いる以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品のコーティング層は、実施例1と同様にコラーゲンペプチドが固形分中に94.5%と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性の付加価値を有し、クランチ性ある食感を持ち合わせており、そのコーティング層は艶を有した半透明の層となり美しい外観も有していた。
【0046】
【表5】

【0047】
(比較例1)
表2に示す組成のコーティング液に変えて、表6に示す組成のコーティング液を用いる以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品は、表面がベタつき滑らかなコーティング面を得ることができなかった。コーティング層中の組成が固形分中の油脂の含有量は0.29%であった。
【0048】
【表6】

【0049】
(比較例2)
表2に示す組成のコーティング液に変えて、表7に示す組成のコーティング液を用いる以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品は、滑らかなコーティング面を得られたものの、表面より油脂が染み出し食品として必要なおいしさを得ることができなかった。コーティング層中の組成が固形分中の油脂の含有量は20.55%であった。
【0050】
【表7】

【0051】
(比較例3)
実施例1の乾燥時間をさらに長くし、コーティング層の仕上がりの水分値を4.0%とする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品は、乾燥過多によりひび割れが生じ、クランチ性ある食感ではなく、艶を有した半透明の層ではなく美しい外観ではなかった。
【0052】
(比較例4)
実施例1の乾燥時間を短くし仕上がりの水分値を19.0%とする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成した。こうして得られたコラーゲンペプチドコーティング食品は、クランチ性ある食感ではなかった。
【0053】
(比較例5)
コーティングの厚みを100μmにする以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層(水分値10%)を形成した。こうして得られたコーティングはクランチ性ある食感ではなかった。
【0054】
(比較例6)
コーティング液作製の際、乳化をせずに作製する以外は、実施例1と同様にして、タブレット表面にコーティング層を形成しようとしたが、コーティング液を掛けた直後にベタつきが生じコーティングが不可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
近年、食品の食感、機能性付加価値において様々なニーズが求められている。このような状況下において、本発明は各種食品の表面にコラーゲンペプチドを主成分とするコーティング層の形成を実現し、可食性センターを選択することで、コラーゲンペプチドが固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満と高含有であり、コラーゲンペプチドの機能性という付加価値や、クランチ性ある食感を食品に付与し、また、コーティング層が最外層にある場合には艶を有した半透明の層となり美しい外観をも食品に付与することで、食品の機能性、食感および外観のバリエーションを広げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食性センターの表面にコーティング層を有するコーティング食品であって、前記コーティング層中の組成が固形分中に78重量%以上かつ99.5重量%未満のコラーゲンペプチドおよび0.5重量%以上かつ20重量%未満の油脂からなり、該コーティング層の水分値が5〜18重量%、該コーティング層の厚みが200μm以上であることを特徴とするコラーゲンペプチドコーティング食品。
【請求項2】
請求項1記載のコラーゲンペプチドコーティング食品の製造方法であって、転動させた可食性センターに、コラーゲンペプチドおよび油脂を混合し乳化させたコーティング液を散布し乾燥させてコーティングを行うことを特徴とするコラーゲンペプチドコーティング食品の製造方法。